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一夜一話

      

去年の5月は、こんな映画を観てました。

去年の5月は、こんな映画を観てました。
画像をクリックして記事ページへお進みください。

「夜空はいつでも最高密度の青色だ」
0夜空はいつでも最高密度の青色だ
池松壮亮と石橋静河の、とても純なラブストーリー。
最後までしっかり観せます。


「ストロベリーショートケイクス」
1ストロベリーショートケイクス
恋に悩む東京の女4人、それぞれの生きざまドラマ。
その、それぞれの生きざまは、世の中、こんな女がいるだろう、と思われる女性像を、
意識的にデフォルメして、美しく標本化し、花のイラスト図鑑のように仕立ててある。

「赤ちょうちん」
2赤ちょうちん
飾り気をえぐり取った殺伐とした荒い感触と、この先を見失った時代の、
いかにも1970年代前半の映画といった趣きの作品です。

「剣侠江戸紫」
3剣侠江戸紫
たまには時代劇。
なかなかの映画、特に脚本がよく書けている。
実在の人を素材にした映画。113分最後まで観せます。

「エスケイプ・フロム・トゥモロー」
4エスケイプ・フロム・トゥモロー
妻子を連れてディズニーランドに来た男ジムの不幸な顛末。
シーンのすべてがディズニーランド内です。
日常のリアルと、あっちの世界が行き来します。

「大いなる休暇」
5大いなる休暇
カナダはケベック州の沖合にある、島民120人の小さな離島のお話。
心温まるストーリーで、少しドタバタ喜劇です

「シンプルメン」
6シンプルメン
登場人物は、良く言えば、偽りや飾りのない、ありのままの感情で生きる、率直な人。
それは我々の日常では、ありえないほどのシンプルさ。阿呆にみえるかもしれない。
そういう設定だから自ずと、このお話は喜劇。

「木靴の樹」
7木靴の樹
ご存知、「木靴の樹」です。
時は20世紀一歩手前の19世紀末。イタリアの小作人たちの日常を群像劇に仕立てました。

「ブリキの太鼓」
8ブリキの太鼓
3歳にして「大人の世界」を忌み嫌い、自ら成長を止め、
その後も幼児のように生きたオスカルという男の話です。
この作品は、観る者の興味、視点の違いで、異なって見える映画かも知れない。
そんな二面性いや三面性があります。


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“ 消失点とトンビ ” もしくは横須賀美術館 《 ふと思う、考える。》

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 先日、横須賀美術館へ行ってきた。
 この美術館は、東京湾の入り口にあたる観音崎の海岸に建ち、海に面して広々とした風景の中にあります。(写真は館の屋上庭園)
 
 私は美術館の屋上にある芝生に座り、眼前に広がる、広~い静かな風景をぼんやり眺めていました。
 上空高く、トンビが数羽、上昇気流に乗ってゆっくり旋回しています。見ていて飽きません。

 と、その時、
 視界の右上空から、ジェット旅客機がゆっくり現れた。
 機首を下げた着陸体勢をしていて、エンジンを止め静かに飛んで来たのです。
 すると、ジェットは美術館の前で、急に90度右旋回し、お尻をコチラに向けた途端、どんどん遠ざかって行く。
 そして、点となった機影は、静かに視界から消え去って行きました‥‥

 あ、これって消失点だ!
 あとで地図を見たら、ジェットは成田空港へ向かっていたのです。
 一機目が消失点へ消えていくと、次の一機が、また視界の右から現れ、同じように成田への消失点に消えていく。
 次から次へ、絶え間ないこのジェットは、山手線の運行間隔より短いのにちょっとびっくり。
 一方、トンビたちは、大空の中、あいかわらず気ままに飛んでいました。

 で、消失点ですが‥‥
 日頃日常、消失点に出会うことは、まず無い。
 ですが、意識や記憶から何かが消えていく消失点って、自分の中には案外たくさんあるな‥、
 ふとそんなことを、横須賀美術館で思った次第。

気になる映画 72  《これから上映の映画》

画像をクリックして公式サイトor上映映画館の情報ページへお進みください。


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「ブルーアワーにぶっ飛ばす」
監督:箱田優子|出演:夏帆
テアトル新宿,ユーロスエース
10月~
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「ココロ、オドル OKINAWAN BLUE」
監督:岸本司
ケイズシネマ新宿
6/22~
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「新聞記者」
監督:藤井道人
新宿ピカデリー、イオンシネマ他
6/28~
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「カスリコ」
監督:高瀬将嗣
ユーロスペース
6/22~
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「こはく」
監督:横尾初喜
ユーロスペース、シネマート新宿
7/6~
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「兄消える」
監督:西川信廣
ユーロスペース
5/25~
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「メモリーズ・オブ・サマー」
監督:アダム・タジンスキ
恵比寿ガーデン・アップリンク吉祥寺
6/1~
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「慶州 ヒョンとユニ」
監督:チャン・リュル
ユーロスペース
6/8~
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「イングランド・イズ・マイン
モリッシー,はじまりの物語」

監督:マーク・ギル
シネクイント 5/31~
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「ルーツ・ビート・ラウド たびだちのうた」
監督:ブレット・ヘイリー
ヒューマントラスト・シネマカリテ他
6/7~
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「台北セブンラブ」
監督:チェン・ホンイー
アップリンク吉祥寺
5/25~

映画「昇天峠」  メキシコ映画  監督:ルイス・ブニュエル

上
バス車内のオリヴェリオ(横縞柄シャツの若い男)と、通路を挟んでその右の女性がラクェル。
彼女は終始、オリヴェリオに秋波を送る。



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 メキシコの太平洋沿岸にある小さな村の出来事、時は1950年ごろ。
 この映画は、明るい太陽のもと、陽気で楽天的な人々の喜劇ですが、唯一、そうでないのは、ある一家の遺産相続のいざこざです。

 それは三兄弟の母親が病に伏せっていて、死期が迫っている、この事から話は始まります。
 つまり、この時を待っていた、上の兄ふたりは、三男オリヴェリオを蚊帳の外に置いて、自分たちに都合良いような遺産の配分をしようとし始めているのです。(ただし映画は、さほど深刻には描いていません)

 一方、ベッドの中の母親は、親思いの善良な三男オリヴェリオに良くしてやりたい。兄ふたりの企みを阻止したいと考えました。
 そこで母親はオリヴェリオに、法的効果を発生させることができる遺言書を作って欲しい、そのために町に住む弁護士のところへ行ってほしいと頼みます。(しっかりした母親です)

 そんなことからオリヴェリオは急ぎ、乗り合いバスに乗車し町へ向かいます。(話は第二段へ進みます)
 話の基軸は、遺産相続のいざこざなのですが、映画はここからエピソードの枝葉を広げ、オリヴェリオ含め、バスに乗り合わせた人々の、てんやわんやを可笑しく語り始めます。

 その、てんやわんやの中身はというと、急で狭い峠道で対向車が来てバスが立ち往生する話、乗客の妊婦がバス車内で急に産気づいて無事出産する話、渡る橋が無いため川の流れを横切る途中、バスがまた立ち往生する事件、運転手が母親の誕生日祝いをするため実家に立ち寄りバス運行がストップする話、よって急ぐオリヴェリオはバスを借りて一足先に町へ行きますが、峠で雷雨に遭遇する話、あとは選挙に立候補した男の話などです。
 とりわけ映画がエピソードとして強調するのは、若いオリヴェリオに色目を使う女ラクェルのシーン。
 下記の予告編の前半部分で、このシーンが垣間見れます。(禁断の果実と南国ムードをどうぞ‥‥)

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=PG4sbtx4BU0

 そう、言い忘れましたが、オリヴェリオは村で、結婚式を挙げた直後に、遺産相続のいざこざに巻き込まれ、このバスに乗っているのです。
 今ごろ新妻は村で、母親の看病をしています。もちろん、ラクェルはそれを知ってのチョッカイなのです。

 あとは観てのお楽しみ。ハッピーエンドです。
 当時の宣伝ポスターを見ると、ラクェルの色っぽさや浮気のエピソードを強調しています。
 また、オリヴェリオとラクェルとの禁断の幻想シーンは白昼夢ですが、これに気を取られすぎるのもどうかと思います。
 総じてこの映画は、当時のメキシコの村人たちの、牧歌的な日々を描くとともに、当時の現代世情を批判的に描いています。
 ちなみに、ルイス・ブニュエル監督の1968年の作「銀河」(フランス製作)の記事は、こちらからどうぞ
 

オリジナルタイトル:Subida al cielo
監督:ルイス・ブニュエル|メキシコ|1951年|75分|
原案:マヌエル・アルトラギーレ|脚本:ルイス・ブニュエル 、 マヌエル・アルトラギーレ 、 ファン・デ・ラ・ガバダ 、 リリア・ソラノ・ガリアナ|撮影:アレックス・フィリップス|
出演:オリヴェリオ(エステバン・マルケス)|ラクェル(リリア・プラド)|バス運転手・シルヴェストロ( ルイス・アセヴェス・カスタニェダ)|オリヴェリオのMama(レオノーラ・ゴメス)|Albina(カルメン・ゴンサレス)|Eladio Gonzalez(マニュエル・ドンデ)|

映画「昇天峠」は、いわば、同じバスに乗り合わせた乗客の話でした。
こういう、バスの乗客を扱った面白い映画は、ほかにもあるんで特集を組みました。
これをクリックして特集ページをご覧ください。
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【 一夜一話の歩き方 】 下記、クリックしてお読みください。

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映画「金子文子と朴烈」  監督:イ・ジュンイク

上
  金子文子と朴烈のツーショット

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 この映画は韓国映画ですが、話は全編に渡り、大正時代の東京です。
 特に、舞台となる1923年は、関東大震災が起こり、 東京市他郡部に戒厳令が発令されました。
 映画はこの辺りから始まります。

 まずは、主役、金子文子を演じきった女優チェ・ヒソに拍手!
 とにかくその演技は光っています。

 さて、いきなりですが、予告編を観てもらいたい。
 これが、本作「金子文子と朴烈」という映画を知る一番の早道だと思うからです。

  予告編 http://www.fumiko-yeol.com/

 どうです? どう感じました? 
 もし、金子文子(1903-1926)と朴烈(1902 -1974)という実在の人物に関心を持ったなら、さらっと以下のウィキペディアをどうぞ。
 【金子文子】(この人の来歴欄を見てください)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E5%AD%90%E6%96%87%E5%AD%90
 【朴烈】
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%B4%E7%83%88
 上記、朴烈についてのウィキペディア記事で、この人のその後の転向歴を知れば、本作「金子文子と朴烈」において、どちらかと言えば、金子文子に注目したストーリーにしているわけが、それとなく分かります。
 そして、本作が扱う朴烈事件という事件とは‥
 【朴烈事件】
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%B4%E7%83%88%E4%BA%8B%E4%BB%B6
 
 この事件の根幹は、人種差別の問題に行き当たります。
 つまり本作で言えば、関東大震災の混乱のさなかに、朝鮮人虐殺があったのか否か。
 これを当時の日本政府は、隠蔽しようとしたのか否か。
 しかし今も、虐殺は無かったと主張する人々がいます。(ネットで検索してみてください)

 総じて本作のような映画は、たぶん日本では製作されえない映画です。
 
 金子文子の出自については、本田靖春 (著)の「不当逮捕」 (岩波現代文庫) の147ページ以降に詳細が記載されています。(講談社ノンフィクション賞受賞)
 そのほか、金子文子については、瀬戸内寂聴(著)「余白の春」(2019年)、小池真理子(著)「悪女と呼ばれた女たち」などがあるようです。
 

オリジナルタイトル:박열
監督:イ・ジュンイク|韓国|2017年|129分|
脚本:ファン・ソング|撮影:パク・ソンジュ|
出演:イ・ジェフン(朴烈)|チェ・ヒソ(金子文子)|キム・インウ(水野錬太郎‥内務大臣)|キム・ジュンハン(立松懐清‥予審を担当した東京地方裁判所判事)|山野内扶(布施辰治)|金守珍/劇団「新宿梁山泊」代表(牧野菊之助)|趙博(内田康哉)|柴田善之(山本権兵衛)|小澤俊夫(田健治郎)|佐藤正行(平沼騏一郎)|金淳次(若槻礼次郎‥内閣総理大臣)|松田洋治(江木翼‥司法大臣)|ハン・ゴンテ(栗原一男)|ユン・スル(新山初代)|


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特集:若尾文子の映画 《まとめ》

特集




 若尾文子の出演映画をまとめてみました。
 これまでにあげた映画、ここに12本。
 製作年の順に並べました。

 一夜一話としてあげられる作品は、大体、このくらいかな。
 そのほかの映画は、気に入らん。

 監督は、溝口健二、増村保造、吉村公三郎、市川崑、小津安二郎、川島雄三、豊田四郎、島耕二、五所平之助、木村恵吾といった、そうそうたるメンバーです。




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「祇園囃子」
 
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「青空娘」
 
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「一粒の麦」
 
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「蛍火」
 
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「あなたと私の合言葉
      さようなら、今日は 」
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「初春狸御殿」
 
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「浮草」
 
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「安珍と清姫」
 
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「女経」
 
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「しとやかな獣」
 
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「雁の寺」
 
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「波影」
 


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映画「めぐりあう日」  監督:ウニー・ルコント

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理学療法士のエリザと、治療院に通うアネット


0_20190422135919543.jpg 夫との不和が続くなか、エリザ34歳は、パリを離れ、ひとり息子のノエと、どこかで新しい生活がしたいという思いが強まるばかりであった。
 そしてまた、親の顔も知らず養子として育ったエリザは、これを機に、実の母の存在を確かめてみたいとも思いはじめた。

 そこでエリザは、実母を探す調査依頼サービスを使って知った自身の出生地、北フランスのダンケルクに居を構え、ノエとの二人だけの生活をはじめたのです。(映画はここから始まります)

 パリで理学療法士として働いていたエリザは、ダンケルクの街にあるリハビリ・クリニックに職を得、ノエは小学校へ通い始める。
 そして、エリザはクリニックの勤務のかたわら、調査依頼サービスのダンケルクにある窓口を訪れ、母子の関係を特定したかったが、匿名出産のため守秘義務の壁に遮られ、エリザはその名前さえ確かめられない。出産したダンケルクの病院、乳幼児保護施設も訪ねるが、門前払い。


00_20190422140203abd.jpg さてそんなある日に、このクリニックに腰の痛みで来院して来た、アネットという50歳半ばの女性患者、この人を映画は描き始める。
 観客はこのシーンで、およそ、この女性が実母だなと、知ることになるが…、話は場面を変えさらに続く。

 ダンケルクの小学校に転校した、エリザの息子ノエは、悪ガキのアラブ人少年と仲良くなる。
 小学校の給食係として働くアネットは、このノエを一目見た時から、なぜかノエに親近感を抱き続けている。
 できればノエには悪ガキの一人になってほしくない、なぜかそう、アネットは願うのです。
 たぶん、ノエの顔立ちに、アラブ系(アルジェリアかモロッコ)の血を引いていることが見てとれるからかもしれない。(隔世遺伝だ、つまりかつて30年以上前、アネットの恋人だった男はアラブ系であった)
 やがて、アネットはノエがエリザの息子であることを知る。

 実の母娘同士だ、エリザもアネットも互いに感じ始める。
 もちろん、アネットは実母だと言い出せない。
 言い出せないが、アネットは娘エリザに会いたくて、エリザと肌を接したくてクリニックに通う。

 しかし、重いわだかまりが、両者の間に壁として立ちはだかるのです。

 あとは観てのお楽しみ。思うほど、重い作品じゃありませんよ。
 エリザが理学療法士だというのがミソですし、ノエの顔立ちがアラブ系だというのもミソですね。

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予告編です。


オリジナルタイトル:Je vous souhaite d'etre follement aimee
監督:ウニー・ルコント|フランス|2015年|104分|
脚本:ウニー・ルコント、アニエス・ドゥ・サシー|撮影:カロリーヌ・シャンプティエ|
出演:セリーヌ・サレット(エリザ)|アンヌ・ブノワ(アネット)|ルイ=ド・ドゥ・ランクザン(アレックス)|フランソワーズ・ルブランルネエリエス・アギス(ノエ)|

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特集:えっ!「突然、あの人が現れた!」 ~想定外の、ひと騒動の物語 13本!

000_20190425132916445.png ある日、「あの人」が、何の前触れもなく、ひょっこり、やって来た。
 もう、これだけで物語になる。
 「あの人」とは、日ごろ忘れかけていた、訳ありの身内
 田舎の父であったり、実母であったり、行方知らずの子であったり兄妹であったり、命の恩人であったり、だ。

 そのうえ、
 「あの人」は、今日まで、何処で、どうしてたのか?
 なぜ、突然に帰って来たのか?
 そして、そもそも、かつて、なぜ姿をくらましたのか‥などなど

 それから、言うまでもなく、帰ってきてからのひと騒動
 そう、このシチュエーションは、幾重にも物語が生まれるのです。
 さあ、ここにあげた13本の映画は、「あの人」をめぐっての興味津々の物語です。

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ふきげんな過去 2「ふきげんな過去」 二階堂ふみ|小泉今日子


 そんなこんなのある日突然、ひとりの女が店に現れた。
 それは、死んだはずだよの、果子(二階堂ふみ)の伯母の未来子(小泉今日子)、つまり果子の母親の姉だった。
 母も祖母も、びっくり! 「あんた、生きてたの!」ふきげんな過去3
 しかし果子は初対面。
 そしてその日から、未来子は家族同然に果子の部屋に居座ることになった。



レイチェルの結婚3「レイチェルの結婚」 アメリカ


 ある姉妹の話です。
 麻薬依存症の回復施設に長年入っている妹のキムが、一時帰宅の許可を得て、実に久々に、実家に帰って来た。
 明日が姉のレイチェルの結婚式。姉夫婦は趣向をこらした式を、実家(大きな邸宅)であげようとしている。
 姉妹の久々の再会。どう接すればいいか?互いに手探りであった。レイチェルの結婚4
 キムは知らない人々が家に大勢いることで、すでに心を硬くしていた。タバコを離せない。
 たぶん、あの時、キムは16歳だったんだろう。(映画は多くを語らない)  
 あの日キムは、年が離れた弟・イーサンを車に乗せ、ふたりだけでドライブに出た。
 キムは麻薬でラリッていたのだった‥。

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一夜一話の “今日はイタリアのポップスだよ”  TV番組「小さな村の物語イタリア」テーマ曲

TV



 ご存知、長寿テレビ番組「小さな村の物語 イタリア」のテーマソングです。
 何回聴いても、いつも、いい曲だと感心する。好きだな。
 歌ってるのは、オルネラ・ヴァノーニ(1934 - )、曲は「逢いびき」。
 繰り返すメロディが、盛り上がて行って、ああサビに入る、そしてまた、あのメロディに戻り繰り返す。
 シンプル!こんな曲よくぞ作ったもんだ。素晴らしい!
 聴いてみて。

映画「男性・女性」  監督:ジャン・リュック・ゴダール

上




 1965年の、20歳前後のパリの男女を描く映画です。(公開は1966年)
 主人公ポール役のジャン・ピエール・レオ(当時21歳)や綺麗な女優さん達、そしてファッションやパリの街角をモノクロ映像で描いています。
 映画で流れるフレンチポップスは、かわいいボーカル、軽いリズム。
 これらが本作の魅力のひとつと、すなおに言ってもいいでしょう。

ここで、まずは予告編を観てみましょうか。


0_20190315032130dda.jpg ところが、こんな軽快な映像に対し、セリフは監督の政治意識が反映され、かつ不条理劇風な突飛なエピソードも挿入されているので、実際の映画はちょっと難解に感じるかもしれません。 
 また、映画のタイトル副題が「15の事実」となっていて、話はエピソード集の形態で、パッチワークの様相。
 その中には、登場人物に最新時事についての問いを、矢継ぎ早に浴びせるインタビュー(らしくみせる)シーンが、いくつかあります。

 なにしろ50年以上前の最新時事ですから、よって観る方は、1965年当時の政治/文化の時事を少し思い返す必要はあります。
 当時の時事を知ってこそ、この映画がドキュメンタリーっぽいとも言えるでしょうし、知らなければ、そうは感じない。

 まずは、シーンの3年後にフランスで起きた五月革命へ向けて、政治的ボルテージが徐々に高まりつつある、こんなムードが1965年のパリの世間を、なんとなく包んでいたでしょう。(映画ではポールの友人ロベールが政治活動に熱心)
 「自由と平等と自治」を掲げた約1000万人とされる労働者と学生がパリでゼネストを行った。

 そんな中で、アメリカ軍による北ベトナム爆撃(北爆)が1964年、開始される。(ベトナム戦争:アメリカはじめとする資本主義・自由主義陣営と、ソ連など共産主義・社会主義陣営との対立が背景にあった
 映画の中では、ポールとロベールが、アメリカ軍の黒塗り公用車にペンキで「ベトナムに平和を」と落書きするシーンが織り込まれている。
 そして1966年、中国では毛沢東による文化大革命の時代に入ります。(これが当時、監督に大きな影響を与えつつあった。その真っ最中の、監督の政治意識がこの映画の背景にあるようですし、フランスでは毛沢東熱が高まる過程にあって毛沢東語録は五月革命に強く作用したとされる)
 
 でも、政治に関心の無い若者(ノンポリ)もたくさんいました、そんな人達が映画の主な登場人物です。
 だから監督は、世界はこれで良いのかという思いで、矢継ぎ早に問いを若者に浴びせる、そんなインタビューシーンを作ったのかもしれません。


 次いで1965年の文化にまつわる時事を少し。
 この映画に「マルクスとコカ・コーラの子供たち」と表現する字幕が出てきて、なるほど登場人物たちをそう捉えているんだという、監督の視点がはっきりして、印象に残ります。
 コカ・コーラは繁栄するアメリカ、資本主義のアメリカを象徴すると言われました。(登場人物の女の子たちはコーラを飲んでいますが、ポールが飲むシーンは無いようでした)
 そのアメリカから、政治メッセージを打ち出したボブ・ディランのプロテスト・ソングがフランスにも流れたでしょう。
 またセックスや避妊の話が映画に出てきますが、これは1964年にカトリック教会が経口避妊薬の使用を非難する声明を発表した事が背景にあるのかもしれません。
 ちょっと付け加えると、当時映画館では、シェルブールの雨傘、マイ・フェア・レディ、サウンド・オブ・ミュージック、メリー・ポピンズや007なんかも上映されていたでしょうね。


 さて本作は、50年以上前の、かつ、遠い国フランスの映画ですが、これを、も少し私たちの身近に引き寄せてみましょうか‥。(パリの香りを削ぐことになりますが)
 ジャン・ピエール・レオは1944年生まれで、日本で言う団塊の世代のちょっとお兄さんといった位置。
 登場人物の18歳の女性は団塊の世代に当てはまる。
 こんな世代の若者が日本でどうだったかに思いめぐらせば、「男性・女性」の理解が進むかもしれません。
 1965年といえば昭和40年、70年安保闘争の学生たちは、団塊の世代です。
 どこかの大学のどこかの新左翼や学生新聞部とか、あるいは北爆を機にスタートしたベ平連(ベトナムに平和を!市民連合)とかに属していた人々や、その取り巻きでは、監督やポールやロベールのような問題意識の人間が、日本にもたくさんいました。もちろんノンポリの方が多勢だったですが。
 ちなみに音楽はフォーク・ソングブーム、でも加山雄三の「君といつまでも」なんかは誰でも歌えたでしょう。
9_20190315033412979.jpg ついでに言うと、ポールの恋人マドレーヌ(シャンタル・ゴヤ)は歌手で、レコードデビューしたての女性という設定で、彼女の歌が日本でヒットしたというセリフがありました。※このページの一番下へ

 もし、この映画を日本に置き換えるとすると、マドレーヌ役はさしあたり吉永小百合(1945年生まれ)とか和泉雅子(1947年生まれ)あたりの年代の女優が演じる、反体制的な主張を取り入れたATG製作の青春映画風になるのでしょうか。
 そうそう、「男性・女性」は1968年に日本公開され配給はATGでした。
 他の映画会社とは一線を画す非商業主義的な作品を製作・配給した映画会社

 とにかく本作を、シネマ・ヴェリテ・スタイル云々と、まるで映画専門の学芸員解説風に書き連ねても、映画の良さは分かりにくいと思う。
下 要するに、この映画は表面的には軽い青春劇映画風ですが、1965年のパリの空気が臭うという意味でドキュメンタリーとして観るのが一番でしょう。

 ついでに言えば、五月革命後のパリを描く映画に「ママと娼婦」(監督:ジャン・ユスターシュ)があります。
 これを日本に置き換えれば「もう頬づえはつかない」(監督:東陽一)あたりかな。 
 (それぞれの映画記事は、タイトルをクリックしてお読みください)

 実際、シャンタル・ゴヤは日本でヒット。そのうちの1曲。
 乙女の涙/シャンタル・ゴヤ(Une échape, une rose - Chantal Goya) 1965
  試聴 https://www.youtube.com/watch?v=VTFUrnLhOpY


オリジナルタイトル:Masculin Feminin
監督・脚色・台詞:ジャン・リュック・ゴダール|フランス・スウェーデン|1966年|103分|
原作:ギイ・ド・モーパッサン|撮影 :ウィリー・クラント|
出演:ジャン=ピエール・レオ(ポール)|シャンタル・ゴヤ(マドレーヌ)|マルレーヌ・ジョベール(エリザベート)|ミシェル・ドゥボール(ロベール)|カトリーヌ=イザベル・デュポール(カトリーヌ)|ブリジット・バルドー(カフェの女)|アントワーヌ・ブルセイエ(カフェの男)|ほか

 1960年代のフランス映画はいいですね。
 下記のページで、60年代の作品をまとめています。クリックしてご覧ください。
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【 一夜一話の歩き方 】 下記、クリックしてお読みください。

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映画「横道世之介」  主演:高良健吾、吉高由里子 監督:沖田修一

上


1-0_20190415124540eb2.jpg 映画を観ていると、登場人物の誰もが、「ああ、こういう人いるよね」って感じで、人物描写が巧い映画です。
 ここが本作の見どころ。  
 つまり「こういう人」という人物像の、デフォルメ具合が絶妙なのです。
 また、デフォルメした部分が、時にオーバー気味になって笑いを誘います。
 特に主人公の横道世之介(高良健吾)が、高良の演技と相まって、そうそうこういう人いる感がうまく出ています。
 一方、さりげないシーンで映画は、世之介や押しかけ彼女?与謝野祥子(吉高由里子)などの、ふとした心の綾を上手にすくい取って表現していて、笑いだけじゃなく繊細さも大事にしています。

 物語は1987年春、世之介18歳が長崎から東京へ上京し、法政大学の入学式に出るところから始まります。
 そして世之介が35歳になるまでの、17年間のドラマです。
2-0_20190415124711e33.jpg 物語は世之介・祥子だけでなく、二人の学友達やその知り合い達それぞれの、その後の人生もていねいに描きこんでいます。(登場人物は多いです)
 ちなみに、話の展開は必ずしも時系列ではありませんが、難しくはしていません。
 むしろ、時系列に語らないことが、ストーリーに起伏、躍動感を生み、飽きさせません。

 総じて、目まぐるしく明るく笑えますが、話が3/4くらい進んだところでは悲しみを交えます、しかしやがてカラッとしたエンディングを迎えます。

 予告編を観てみましょう。



監督:沖田修一|2012年|160分|
原作:吉田修一|脚本:沖田修一 、 前田司郎|撮影:近藤龍人|
出演:横道世之介(高良健吾)|与謝野祥子(吉高由里子)|倉持一平(池松壮亮)|片瀬千春(伊藤歩)|加藤雄(綾野剛)|阿久津唯(朝倉あき)|大崎さくら(黒川芽以)|小沢(柄本佑)|戸井睦美(佐津川愛美)|祥子の母(堀内敬子)|祥子の父(國村隼)|世之介の父・横道洋造(きたろう)|世之介の母・横道多恵子(余貴美子)|世之介のアパート隣室住人・室田恵介(井浦新)|
3-0_201904151256555da.jpg

一夜一話の歩き方 下記、クリックしてお読みください。

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 ポピュラー音楽!!    クラシック音楽 

映画「漂うがごとく」 ベトナム映画  監督:ブイ・タク・チュエン

上
ズエンとカム (カムの家で)


0_201904101810308f2.jpg 2009年のベトナム映画です。
 ハノイの街中、家々を吹き抜ける、ゆったりとした風と、街の遠いざわめきに、家の臭いがリアルに感じとれる、静かな映画。
 せりふは総じて少なめです。

 ズエンとカムという親友二人の女性を柱にして語られる物語ですが、話に含みを持たせています。
 映画が語らない、この含みが見どころです。
 
 ズエンは知り合って三か月で年下の男ハイと結婚します。
 ハイは幼い感じの男、言ってしまえばマザコン。人当たりは柔らかく優しいが、僕は僕、あなたはあなた、といった風なところがあって、新妻ズエンに対し、もひとつ深く交わらない。だから、新婚なのにセックスレスっぽい。
 でも、ズエンはハイといることが嬉しい。
 
 ところがです、それは、あとから振り返ると、親友カムが仕掛けた事だったのか?というようなことが起きます。
 それとは、カムがズエンに、知り合いの男、トーに手紙を届けるのを頼んだこと。
 しかし、トーの部屋に行ったズエンは、いきなりトーに押し倒されあわやのところをなんとか逃げ帰ることができました。
 後日、ズエンはこのことをカムに話すのですが、カムはセクシャルな意味合いを込めて「どうだった?」と言うのです。

00_2019041018122189a.jpg ズエンはカムの言う、そのことを即座に理解しました。ズエンはトーに出会い、夫ハイとは正反対の野性的男性を知ったのです。
 ズエンはトーに心惹かれていきます。前戯だけで終わるトーの愛撫に魅了されます。ズエンは女性としての自身の身体に目覚めるのです。

 そして映画は、ズエンが夫に偽ってトーとの旅行に行くなど、いくつかのエピソードを加えていきますが、ズエンとトーとのその後の関係については、多くを語りません。
 そのかわり映画は、ズエンがカムのもとに帰って来ての、二人だけの全裸シーンを強調します。

 思えば映画は、トーについてあまり語らず、その存在を曖昧にして、受け身のズエンを鮮明に描いています。
 もしかしたら、トーの存在は比喩かもしれません。
 そして、カムのためにウェディングドレスを黙々と作るカムの老いた母親に、カムは「そんなのいらない」という彼女のセリフが気になりますし、カムが親友ズエンの結婚式に出席しなかったことも気になります。

000_2019041018132757f.jpg ちなみに映画は、脇役の存在にエッジを利かせています。これがいい!
 子離れできないハイの母親、おちゃめなハイの妹、上記のカムの母親、トーとの付き合いが長い女性と聾唖の幼い娘。
 この脇役たちの存在が、この映画にピリリとしたスピリットを吹き込んでいるのです。
 
 以下から予告編が観れます。


 製作陣は、ベトナムのニューウェーブといわれる人々とのこと。
 挿入音楽もセンスがいいです。


下
オリジナルタイトル:CHƠI VƠI
監督:ブイ・タク・チュエン|ベトナム|2009年|106分|
脚本:ファン・ダン・ジー|撮影:リー・タイ・ズン|音楽:ホアン・ゴク・ダイ|
出演:ドー・ハイ・イエン(ズエン)|リン・ダン・ファム(カム)|ジョニー・グエン(トー)|グエン・ズイ・コア(ハイ)|ほか

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去年の4月は、こんな映画を観てました。

画像をクリックして記事ページへお進みください。


1正門前行
淡々としていますが、コメディです。
この映画、監督の手による脚本の勝利です。
回りまわっての結末で、ふたつの話を、巧みにストンと落とします。うまい!(と最後で思う)

2トラスト・ミー
高校生の女の子マリアと、30歳過ぎの独身マシューとの、純愛物語風の喜劇です。
この映画、賢者もスーパースターも出てこない。
極々、普通の人の、その弱い所の内面を優しく可笑しくして見せる。
ここら辺がハル・ハートリー監督の持ち味かな!

3パパは、出張中!
「黒猫・白猫」のエミール・クストリッツァ監督作。
マリク6歳の父、メーシャの浮気が引き起こした思わぬ展開は、不運にもマリク一家に苦難を与えることになります。
(しかしラストは苦いですが、ハッピーエンドで終わります)
映画は、主に6歳のマリク目線で、2年間の間に起った出来事を、語っていきます。

4ポエトリー アグネスの詩
ミジャは優しい。人当たりがやわらかい。
だがミジャは、ぼんやりしているわけじゃない。
洞察力があり、よく考えているが、いかんせん問題解決に時間がかかる。決断が後手になる。
ミジャは正義感が強い。
孫の事より、自殺したヒジンやその母親に意識が行く。加害者の父親たちのやり方に懐疑的だ。
60歳半ばのミジャは、世知に疎い。
認知症初期と診断された、詩作にあこがれる、おばあさん。

5未来世紀ブラジル
ご存知、テリー・ギリアム監督の作。
SFコメディだが、とてもシリアス。
未来のどこかの国の話。
この国では、国民のあらゆる個人情報が日々徹底的に掌握・管理され、国民は全体主義的に支配されている。

‥‥‥ より以前の映画記事も、下にまとめています。ご覧ください。 ‥‥‥

映画「風たちの午後」(1980) 監督:矢崎仁司

上

 ふたりの女の物語。
 そしてこれは、1970年代の風に吹かれた人たちへの、悲しげな苦いファンタジーでもある。

 夏子と美津は姉妹のように一緒に住んでいる。
 夏子は保母さんで、美津は美容室で働いている。美津は夏子より年上で、世慣れしている。

 実は夏子は美津が好きだが、今もって好きと言えないでいる。
 美津には男がいて、美津はその男を部屋に引き入れる。そんな時、美津はハンカチを窓辺に干す。これが今部屋に来ちゃダメという、夏子への合図になっている。
 こんな時、夏子はとても悲しい。

 夏子は美津からあの男を引き離したい。
 男に、保育園の同僚の子を紹介した。やがて、この子は男の彼女になったが、相変わらず男は美津から離れない。
 ついに夏子は捨て身の手段をとって、自ら男を誘った。

 ふたつの事情を知った美津は、もう一緒に住めないと言って夏子から離れて行った。
 美津はマンションに住み替え、キャバレーで働き始めた。
 密かに、そんな美津の姿を追う夏子は、張り出したおなかを気にしながらも、物陰から美津を見つめ続ける日々。
 
 夏子も引っ越しした。保育園を辞め、日の当たらない小さなその部屋で手内職をしている。
 そしてある日、夏子は美津の留守に、マンションの管理人から姉の部屋だと言ってカギを借り、彼女の部屋へ入った。美津の臭いがする。
 やがて、近くの花屋に頼んでおいた、たくさんの花が部屋に届く。
 夏子はこの花を、部屋の床いっぱいに敷き詰めて、その上に身を横たえた‥‥。


 詩的な映画です。
 セリフはもともと多くない、かつセリフは聞えるか聞こえないか位に音量を抑えている。
 よって自ずと観客は、モノクロの映像が描きだす夏子と美津の一挙一動にまなざしが向かう。
 それと1970年代、あの10年を抜けて来てた、若い感性と、脱力後の優しさとでも言うか、そういうのが見て取れる。
 しかし、話にもう少し、リアルと深みが欲しい。それは男性監督より女性監督の得意とする領域なのかもしれない。 

 予告編です、ご覧ください。

下


オフィシャルサイト:http://kazetachinogogo.com/
監督:矢崎仁司|1980年|105分|
脚本:長崎俊一、矢崎仁司|撮影:石井勲、小松原淳|
出演:綾せつこ(夏子)|伊藤奈穂美(美津)|阿竹真理(夏子の職場・保育園の同僚)|杉田陽志(美津の男友達)|

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映画「マチルド、翼を広げ」  フランス映画  監督:ノエミ・ルヴォウスキー

上2
小学校の三者面談に呼ばれて学校に来た母親は、担任の先生を前にして、なぜ自分がここに来たかのかを思い出せない。
先生の背後の窓の外に、鳥の巣が見えると、母は喜び、娘のマチルドに指し示す。


★    ★     ★

 監督自身の少女時代を元にして、話せるフクロウを登場させるなどファンタジー色を織り交ぜての、自伝的なドラマ。
 監督は、主人公の少女、マチルドの母親役もこなしている。

 さっそく、予告編を観てみよう。

 パリに住むマチルドは母親と二人暮らしだ。
0_20190329221118b1e.jpg 母親には、精神障害がある。(娘を身ごもった頃に発病したようだ)
 ふらっと街に出た彼女は、時々一人で奇行を繰り返すが、そのたびに、帰宅後ベッドで自身の障害に嘆き悲しむのである。
 こんな母親を、なんの偏見もなく温かく見守るのが娘のマチルド。
 時に友達の様に、時に親のような大きな愛で、母親を包むマチルドであった。

 そしてもうひとり、遠くからではあるが母親を見守る男がいた。
 離婚しているが、マチルドの父(マチュー・アマルリック)である。

 母親の奇行、それは例えば、ショッピングモールでウェディングドレスを買い、それを着て雨の中、ずぶ濡れになりながら街をさ迷う。
 クリスマスイヴの夜、彼女は終電に乗り車庫まで乗って警察のお世話になって深夜、帰宅。その間、マチルドはイヴの料理をし、母へのクリスマスプレゼントも用意していた。
 小学校の発表会、マチルドは合唱部に入っていて、独唱も披露するが、来ていた母はいきなり壇上に上がり、娘に寄り添い、発表会が中断する。しかし先生とマチルドの機転で、マチルドは母を連れ出し、にこやかに家へと連れ帰った。
 マチルドが何も知らず学校から帰ると、母は今から引っ越しだという。いくつものカバンにありとあらゆるモノを詰め込んでいる母。
 いきなりの引っ越しを母は数時間でこなしている。
 そしてタクシーで移転先に着き、この家だという、そのドアをノックすると、住人はいぶかしい目でふたりを見つめるのであった。

0-1_2019032922183488c.jpg そんななか、ついに父は元妻に相談した、病院へ行くかと。
 彼女は納得し、郊外にある大きな精神病院へ入った。母は愛する娘とも、夫とも一緒に暮らせない‥。
 
 映画の宣伝は、話のファンタジー色を強く押し出しているが、もうひとつの話の柱は、自覚する精神障害の悲しみについてであります。じーんと伝わってきます。それと、この母の見識の高さを見逃してはいけない。

 認知症の母を持った私には、いささかではありますが、身に覚えのある事柄が映画に見いだせました。
 つまり、この映画は、そんなに向こう側の出来事ではないのです。
 

オリジナルタイトル:DEMAIN ET TOUS LES AUTRES JOURS
監督:ノエミ・ルヴォウスキー|フランス|2017年|95分|
脚本:ノエミ・ルヴォウスキー 、 フロランス・セイヴォス|
出演:マチルド(リュス・ロドリゲス)|マチルドの母=ザッシンガー夫人(ノエミ・ルヴォウスキー)|マチルドの父(マチュー・アマルリック)|成長したマチルド(アナイス・ドゥムースティエ)|フクロウ(ミシャ・レスコー)|
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本作「マチルド、翼を広げ」は、少女の視点で描かれています。
子供の視点で描かれた映画はとてもピュアです。
こういう映画は、ほかにもあるんで特集を組みました。
これをクリックして特集ページをご覧ください。
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浅草へ行ってきた。

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 晴れの土曜日に、浅草へ行ってきた。
 浅草寺の雷門から、本堂へと続く仲見世通りの人出は、なるほどTVで見るとおり。
 たぶん2/3以上は外人観光客だと思われる。
 しかし、混雑を抜けて行った先の本堂前には、意外にも人数が少ないのです。
 つまり混雑の多くは、仲見世通りの途中にある脇道の飲食店へと、散って行くのでしょう。

2_20190322105755843.jpg 私の今日のお目当ては、牛鍋屋、米久本店。(百年の老舗という)
 雷門から少し歩いて、雷門と昔あった吉原遊郭の中間地点にある店。
 年配の女将が頑張っている、間口の広い店。
 来店すると、下足番は太鼓をドンと鳴らす。
 下記は、動画をあげてらっしゃる方による、鍋の様子です。
 https://www.youtube.com/watch?v=usa3FMk6-WU

 はじめは、このように店の女の子がこしらえてくれます。
 鉄皿のような、この小さな鍋で4人前までをこなすんです。
 私はビールを飲みながら頂きました。
 木造の風格ある米久の店内は、大広間の座敷にいくつもある小部屋。
 そしてそのどれもがアジア人観光客でいっぱい。平日はほぼ100%観光客とのこと。
 私たちは、女将の機転で離れに通してくれました。
 ちなみに、私たちに続いて離れに来た客はみな日本人客、そういう交通整理なんだ。

 次に、河岸を変えてもうチョイ飲もうということになり、浅草の街をあちこち歩いて店探し。
 隅田川にかかる吾妻橋のたもとにある、電気ブランで有名な神谷バーに立ち寄ったのですが、ここも観光客でいっぱい。
 こりゃ、高速のサービスエリアにある賑わう大食堂か、昼休みの学食か。
 入口で「二人です」と言うと、店の人は「自分で空いた席を探してください」とケンモホロロに言われて、即、店を出た。

 結局、すしや通りという通りにある、三岩という小さな店に入る。(創業昭和2年)
 品書きを見ると、上段につまみ類、下段に丼物、寿司、鍋類が並んでいる。常連相手の、街の飲み屋という風情。
 聞くと、年配の女将も、うちは地元の店ですとおっしゃっていた。
 店内は、街のお年寄りグループや、お銚子二本を前に何か食べてる若い女性二人組、独り飲みが三人、そのうちの一人は和服姿でビシッと洒落ている。
 いいですね、こういう店。

1_2019032210315703c.jpg 昔は、神谷バーにも風情があった。
 隅田川の対岸はアサヒビールの工場で、店員は「うちは川向こうから、出来立てのビールを工場のタンクから、直接引いてるんです」てな冗談が言えた。(金色のオブジェが無かった頃)

 観光立国なんて言われますが、観光ブームに乗ってやって来る大勢の客たちを受け入れるキャパシティには、ある一定の限界ってあるように思う。
 浅草寺のように無料で境内に入れる敷地が広い観光名所、それと対比して例えば京都の銀閣寺、それぞれにキャパは違う。
 また、浅草という街自体には十分にキャパはあるが、個々の店単位に考えればキャパに限界がある。
 キャパの限界近くを維持することは、繁盛につながるけれども、名所や店の伝統や文化みたいなものは、少しずつ擦り切れていくような気がします。
 
 浅草の、どじょう・うなぎ・やつめうなぎ、の長物専門店 
 ちょっと観光気分で以下、お読みください。

 駒形どぜう(浅草本店) 東京都台東区駒形1-7-12  店のサイト:https://www.dozeu.com/asakusa/
 200年余の歴史あるどじょう専門店。雷門から少し歩く。
 以前に記事にした映画「ふりむいた花嫁」のモデルになった店らしい。(題名をクリックして記事をご覧ください) 
 (以下、この店のサイトより転載)
 「駒形どぜう」の創業は1801年。徳川11代将軍、家斉公の時代です。初代越後屋助七は、武蔵国(現埼玉県北葛飾郡)の出身で、18歳の時に江戸に出て奉公した後、浅草駒形にめし屋を開きました。
 当時から駒形は浅草寺にお参りする参詣ルートのメインストリートであり、また翌年の3月18日から浅草寺のご開帳が行われたこともあって、店は大勢のお客様で繁盛したと言います。
 初代が始めたどぜうなべ・どぜう汁に加え、二代目助七がくじらなべを売り出すなど、商売はその後も順調に続きました。嘉永元年(1848年)に出された当時のグルメガイド『江戸名物酒飯手引草』には、当店の名が記されております。
 やがて時代は明治・大正・昭和と移り変わり、関東大震災、第二次世界大戦では店の全焼という被害を受けます。
 しかし多くのお客様のご支援と先代の努力もあって、江戸の味と建物は現在の七代目へと引き継がれております。

 鰻 駒形 前川(本店) 東京都台東区駒形2-1-29  店のサイト:http://www.unagi-maekawa.com/shop/
 ここも200年の歴史がある。高級店だ。店から出てくる客層がほかと違う。
 どじょう屋を見学してのち、一本隅田川寄りの裏道を歩いていたら、美味そうな蒲焼の臭いで見つけた。
 (以下、この店のサイトより転載)
 創業は文化・文政期(約二百年前)。もとは川魚問屋でしたが、初代勇右衛門が鰻料理に転じました。
 水清らかに情緒豊かな大川にのぞむところから屋号を「前川」としました。
 その頃はお客様も舟で通われました。
 中州から舟で柳橋に遊び、 前川に立ち寄って蒲焼きを賞味し、さらに水神へ廻るのが、当時の通人のコースとされていました。
 現在の場所に移ったのは、関東大震災の後の都市計画によるものです。
 
 八ツ目製薬株式会社・八ッ目鰻本舗 東京都台東区浅草1-10-4  店のサイト:http://www.yatsume.co.jp/honpo.htm
 明治末期創業。漢方生薬製剤、伝統薬、自然薬、健康食品、薬味酒等を販売。
 ここは雷門の近くです。
 店頭のショーケースに目が行きます。

◆最後に、雷門の大きな提灯には、松下電器、裏側には松下幸之助寄贈というプレートが付いています。
 一方、大阪のシンボル、通天閣のネオンサインは、関東系電機メーカー日立が広告主です。
 さて、この関係知りたい方は、ネットで検索してみてください。
 

気になる映画 71  《これから上映の映画》

それぞれの映画の詳細情報は、画像をクリックしてください。(外部リンクです)


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「ビールストリートの恋人たち」
川崎市アートセンター3/30-

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「あなたはまだ帰ってこない」
川崎市アートセンター3/30-

0003.png
「ナポリの隣人」
川崎市アートセンター4/13-

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ソヴィエト映画の世界
シネマヴェーラ渋谷3/30-4/19
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「嵐電」
テアトル新宿京都シネマ
5/24-
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矢崎仁司監督特集
横浜シネマリン3/23-4/5
上映作「ストロベリーショートケイクス」
の映画評は題名クリックしてお読みください。
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「風たちの午後」
監督:矢崎仁司
新宿K's cinema 3/2-
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台湾巨匠傑作選2019
~恋する台湾~
新宿K's cinema 4/20-5/10
上映作品のうち、下記6作品の映画評は題名クリックしてお読みください。

           熱帯魚  ラブゴーゴー  風櫃の少年  台北ストーリー 

           牯嶺街少年殺人事件  青春神話 

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「恋愛依存症の女」
監督:木村聰志
池袋シネマロサ 4/13-1w
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「岬の兄妹」
監督:片山慎三

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「漂うがごとく」
監督:ブイ・タク・チュエン
新宿K's cinema 3/23-
写真
「THE IMAGE BOOK」
監督:ジャン=リュック・ゴダール
シネスイッチ銀座 4/20-
写真
「ギルティ」
監督:グスタフ・モーラー
武蔵野館ほか2/22-
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「12か月の未来図」
監督:オリヴィエ・アヤシュ=ヴィダル
岩波ホール 4/6-


特集:脚本の腕くらべ 「複数の話で構成された映画の面白さ」 17本!

無題4 さて今回は、脚本の腕くらべ。
 3話4話5話というように、同じ脚本家による複数の話を束ねて関連付けて、1本の作品にした映画って、独特の面白さがあります。
 幾つもの話を、そして、それぞれに登場した人物たちを、1本の映画にどう織り込ん行くかが、見どころです。

★    ★

2_2019030413061308e.jpg「彼女を見ればわかること」  監督・脚本:ロドリゴ・ガルシア|アメリカ

 ロサンゼルスに住む5人の女性についての、5つの話。
 大人の女の愛の話です。淡々とした色合いの物憂げなストーリーが5つの話に通底しています、いい映画です。2-1_20190304130615fbf.jpg
 それぞれの話の主人公とその登場人物は、医師とタロット占い師、銀行支店長とホームレスの女、息子と2人暮らしの女とサーカスの男、タロット占い師とそのパートナー、刑事と全盲の妹。
 話はそれぞれ独立していますが、登場人物にわずかな関係性があって、話に余韻を持たせています。総じて大人の映画だな。


3_2019030413061656e.jpg「きみはいい子」  監督:呉美保|原作:中脇初枝|脚本:高田亮

 ある街が舞台となって群像劇が展開されます。
 3つのストーリーが自然な接点を介して互いに作用しあい、どこにでもある『普通の街が内包する多面性』を、無理なく引き出しています。3-1_20190304130618deb.jpg
 また、3つの話を語ることで、その地域のリアリティが一点ではなく面として感じ取れる。だから、身近な話と感じとれます。
 原作の短編小説3作を一本の映画に仕立てたらしいが、それが功を奏したと言えます。
 一見、暗そうな社会派ドラマにみえますが、至って明るくあっさりした感触。ラストはあたたかく、涙かも‥。


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一夜一話の “今日はブラジルのポップスだよ”  モレーノ+2 (モレーノ・ヴェローゾ)

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 リオの、先鋭的なアンダーグラウンド・シーンで、モレーノ・ヴェローゾが率いるユニット「モレーノ+2」のアルバム。
 とにかく、宝箱をのぞき込むような、ワクワク感がたまらなくいい、ブラジル発の珠玉の曲でいっぱいのアルバムです。

 アンダーグラウンド・シーンと聞いて、引くかもしれないが、まずは1曲目を聴いてほしい。
 これ、天使のような美しいメロディだよ。



 こういう癒し系のバラード、そして16ビートのノリのサウンド、そしてモレーノ・ヴェローゾの父、カエターノ・ヴェローゾら先代を引き継ぐいかにも正統派ブラジリアンサウンド、この三種がサンドイッチになったアルバムで、ジャンルを無理に言えば、Electronic, Latin, Funk / Soul, Organic, World。
 ブラジル音楽を中心に、ソウルやアフリカンそしてアート・リンゼイあたりまでの領域がある。
 アメリカのポップスのどん詰まりの閉塞感にくらべ、な~んと未来への伸びしろがあるサウンドなんだろうと思う。
 いいな、大好き!


「Maquina De Escrever Musica」  Moreno + 2 (モレーノ・ヴェローゾ、カシン、ドメニコ)
タイトル:タイプライター・ミュージック
1. sertao| 2. deusa do amor| 3. enquanto isso| 4. eu sou melhor que voce| 5. das partes| 6. arrivederci| 7. assim| 8. para xo| 9. Esfinge| 10. rio longe| 11. o livro & o beijo| 12. Nenhuma| 13. so vendo que beleza| 14. I’m wishing| 15. Montes Claros(日本盤ボーナス・トラック)|


これまでに掲載したポピュラー音楽の記事は、こちらから。

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映画「生きない」  監督:清水浩

上候補3
沖縄バスツアー客9名と、添乗員・バスガイド・運転手あわせて13名の‥


 ブラック・ユーモアたっぷりの「2泊3日の、沖縄初日の出バス・ツアー」の旅。

 「私は3つなんですが、あなたは?」 「私は4つです」
 これはツアー客同士の会話。
 何のことかというと、借金が3000万ある、相手は4000万。
 そろいもそろって、そんな額の借金を抱えてニッチモサッチモ行かなくなった9名がツアーに参加し、12月30日、バスが待つ那覇空港に降り立った。(ただ、1名だけ、当日キャンセルが出た)

0_20190309121553dd2.png 空港のバス乗り場でツアー客を待ち受ける新垣(ダンカン)という男は、旅行会社サンシャインクラブを立ち上げ、毎回、こういったニッチモサッチモ行かなくなった問題解決型の特殊なツアーを企画している起業家。

 客にとっては、新垣はファイナンシャル・プランナーでもある。
 新垣は、ツアー参加希望者から、その負債額、その理由、家族構成などの情報を聞き出して、それを基に将来のライフプランに即した資金計画やアドバイスを行って、ツアー参加手続きをしている。
 ただし今回、新垣は添乗員として自身もツアーに同行する。

 さて、9名の誰もが背負う多額の借金、これを返済する資金計画とは‥‥、
 実は、沖縄のある町に、切り立った海岸沿いを走る、ガケ際の道路(町道)がある。
 この町道は、今までも車の転落事故が幾度もあった難所であるが、未だに町の町道整備はおろそかなままになっている。
 ここを突くのが、このツアー企画。
 つまり、この難所で、「バスもろとも」ガケから落ちれば(全員死亡の転落事故偽装)、町道整備の瑕疵(かし)で損害賠償請求は確実にできる。(新垣の売り口上)

 この金と保険金で借金を返済するのが「2泊3日の、沖縄初日の出バス・ツアー」プランであり、返済したのち金が余れば残された家族が潤う、とまあ、こういうことになる。(町からの見舞金4000万+保険金あわせて1億2千万というスキーム)
 要するに、借金完全返済保証付き自殺ツアーなのだ。
 決行その日は12月31日。元旦の初日の出を見ることは、まず無いだろう。

 さて、さっき、9名そろいもそろって多額の借金と言ったが、ひとりだけそうでないのがいる。
 それは若い男で、失恋で心に痛手を負い、仕返しに相手に嫌な思い出を作ろうと自殺を考えるに至った男。
 あっ、もうひとり、いや、一組、恋愛がらみの自殺志望がいる。バスの運転手とバスガイド、あってはならぬ恋。
 そう、バスもろとも、ガケから真っ逆さまに海に落ちるわけだから、運転手もガイドも‥。
 もちろん、旅行会社サンシャインクラブの新垣も自殺希望なのだ、ただし映画はその理由を言わない。

 問題 は、美つき という若い女性がこのツアーに紛れ込んでしまったこと。
 那覇空港で皆と同じくバスに乗り込んできたのだが、彼女は自殺希望でもなんでもない、ただの観光客。
 ツアーをドタキャンした伯父から、ツアーを譲ってもらったらしい。(この伯父も自殺希望のはずだが…欠席と譲った理由を映画は言わない)

 元気はつらつな 美つきを前にして、新垣は一瞬、悩んだ。
 殺人になってしまう。しかし断るわけを言えば、ツアーの魂胆が事前に世にばれてしまう恐れがある。
 これは絶対に避けねばならない。
 よって客9名と、運転手・ガイド・新垣の計12名の自殺希望者と、何も知らぬ楽しそうな女性・美つきを乗せてバスはゆく。

 名所旧跡遊園地を巡り、ホテルに着いて湯に浸かり、宴会では各自隠し芸も出て、その後はカラオケ、ストリップなど楽しんだ。
 美つきの持ち歌は、「ぼくらはみんな 生きている、生きているから 歌うんだ」の「手のひらを太陽に」だけでした。

 そして、12月31日の夜は明ける。
 バスが計画のその町道に差し掛かった時、想定外のことが起き、結果、ガケ上に立った新垣だけを置いて、皆はバスに乗ってその場を去る。
 さらには、そのあと、バスは‥‥言いません。
 ブラック・ユーモアどんでん返し。楽しんでください。 


 言いたくないがひとつだけ。
 話の中頃で、ついに新垣がツアーの趣旨を美つきに明かすシーン、美つきの長ゼリフがまるで高校の演劇部のようで、聞いてられなかった。


監督:清水浩|1998年|100分|
原案:中原文夫|脚本:ダンカン|撮影:柳島克己|
出演:新垣(ダンカン)|美つき(大河内奈々子)|バス運転手田口(砂丘光男)|バスガイド福田(春木みさよ)|
以下、ツアー客たち
1.複数回の離婚の慰謝料と子供の養育費の借金に苦しむ伊藤(村野武範)
2.女に騙され借金を背負った教師の木村(尾美としのり)
3.経営不振の町工場を抱える小沢、ダジャレ好き(左右田一平)
4.病弱な子を持つ生真面目な男・神田(小倉一郎)
5.バブル期に銀座接待で美味しい想いをし過ぎ、金銭感覚を忘れて落ちた野口(石田太郎)
6.借金ばかりでなく難病で余命幾ばくもない八代(温水洋一)
7.借金に苦しむ宗教家の能勢(グレート義太夫)
8.設計技師の望月(岸博之)
9.自分を振った女へのあてつけに自殺を考えている小松(三橋貴志)

映画「生きない」は、いわば、同じバスに乗り合わせた乗客の話でした。
こういう、バスの乗客を扱った面白い映画は、ほかにもあるんで特集を組みました。
これをクリックして特集ページをご覧ください。
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映画「ムーンライト」  監督:バリー・ジェンキンス

上
月夜の夜、黒人はブルーに見えると‥‥


0_20190303140039b97.png 子供の頃、リトルと呼ばれた、無口チビッ子いじめられっ子の黒人少年、シャロンのその後の成長物語。
 話の作りは、脇道にそれるエピソードもなく、シャロンの成長に沿ってストレートな流れ、これがすっきりしていて好感が持てます。
 それと映像がきれいです。色彩と光に気を配っています。これが観どころってことで、本作をとりあげました。


 映画の舞台はマイアミ。
 シャロンは、母子家庭の子で、母親は麻薬の常習者でした。
 シャロンが学校の悪ガキたちにいじめられているところを、麻薬ディーラーのボス、フアンという男に助けられてい以来、シャロンはフアンを父親の様に慕うようになる。
 高校生になっても、いじめられは続いた。
 しかし、ある時、シャロンの堪忍袋の緒が切れて、相手に仕返しし、シャロンは少年院へ。
 これがシャロンの人生の変わり目であった。
 その後、彼はアトランタへ移って自身の人生再起を図り、麻薬ディーラーの下っ端から成り上がって、それなりのボスとなっていた。

0-1_20190303140242fd1.jpg 月夜の夜、黒人はブルーに見えるとは‥‥
 フアンがまだキューバにいた少年の頃、近所のばあさんがフアンにそう言ったらしい。
 それをフアンは、ある時シャロンに語った。シャロンはこのことをどう心に刻んだのか‥。
 
 予告編 http://moonlight-movie.jp/


オリジナルタイトル:Moonlight
監督・脚本:バリー・ジェンキンス|アメリカ|2016年|111分|
原案:タレル・アルビン・マクレイニー|撮影:ジェームズ・ラクストン|
出演:小学生のシャロン・あだ名リトル(アレックス・ヒバートシャロン)|母親ポーラ(ナオミ・ハリス)|麻薬ディーラーの元締めフアン(マハーシャラ・アリ)|その妻テレサ(ジャネール・モネイ)|
10代のシャロン(アシュトン・サンダース)|10代のケヴィン(ジャハール・ジェローム)|
大人になったシャロンあだ名ブラック(トレバンテ・ローズ)|大人になったケヴィン(アンドレ・ホランド)|


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映画「残像」  監督:アンジェイ・ワイダ

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 第二次大戦直後の戦後のポーランドを描く映画です。
 この映画の一番のメッセージは、全体主義国家がいかに簡単に、個人の尊厳を握りつぶせるかであります。
 2016年にこの映画が公開されたことは、また再び世界が徐々に全体主義への傾向がみられ始めたことへの警告です。 

 そして次に、スターリン体制のソ連下のポーランドで、表現の自由がいかに打ち砕かれたかを映画は言っています。
 映画の主人公は、ウッチ州立美術学校の教授で著名な前衛画家のヴワディスワフ・ストゥシェミンスキです。芸術の理論家でもあります。


00-0.jpg 一方、国は芸術家に対し、徹底して労働者の英雄像と共産主義国家の国威高揚を作品に求めます。(社会主義リアリズム)
 つまり芸術表現が政治の道具(プロパガンダ)の域内でのみしか認めらないのです。

 かつ国は芸術家に踏み絵を踏ませます、踏めば社会主義リアリズム作品を制作し生活の安定が得られますが、踏まぬとなると職をはく奪され生活はたちまち困窮します。ストゥシェミンスキ(1893–1952)は後者を選択し1950年、教授職を解任されました。

 ストゥシェミンスキの死後、彼を慕った学生たちの手で、彼の理論「視覚の論理」をテキストにまとめ上げ出版しました。(映画でもストゥシェミンスキに寄り添う学生が彼の理論を口述筆記(タイプ打ち)しているシーンがあります)
 また、この理論は学術界および芸術界に及ぼした影響は大きく、のちに彼をクビにした学校は1988年に学校名を、ウッチ・ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキ美術アカデミーとして彼の名を入れ敬意を表しています。(ポーランドは1989年に非共産党政権が成立し現在のポーランド共和国となった)

 ストゥシェミンスキの作品が次から見ることができます。
 彼の妻は、オブジェ・彫刻作家のカタジナ・コブロ(1898-1951)で、この夫婦の作品がここに収められています。(夫婦の写真も掲載されています)
 https://issuu.com/museoreinasofia/docs/kobro_ing
( リンク先の>印で次ページが展開されますので、作品写真が掲載されているページまでページをめくってご覧ください)
 多くの作品写真のなかに映画で出てくる作品や展示室も掲載されています。

 ちなみにアンジェイ・ワイダ監督(1926-2016)は、ストゥシェミンスキが教授をしていたウッチ州立美術学校があるウッチという都市に設立されている、ウッチ映画大学を1953年に卒業したようです。

 下記は本作「残像」の予告編です。


オリジナルタイトル:POWIDOKI (残像)|Afterimage |
監督:アンジェイ・ワイダ|ポーランド|2016年|99分|
脚本:アンジェイ・ワイダ 、 アンジェイ・ムラルチク|撮影:パヴェウ・エデルマン|
出演:ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキ(ボグスワフ・リンダ)|ハンナ(ゾフィア・ヴィフラチュ)|ニカ・ストゥシェミンスカ(ブロニスワヴァ・ザマホフスカ)|ストゥシェミンスキの親友で詩人のユリアン・プシボシ(クシシュトフ・ピェチンスキ)|文化大臣ヴウォジミェシュ・ソコルスキ(シモン・ボブロフスキ)|造形大学学長ライネル(アレクサンデル・ファビシャク)|学生ロマン(トマシュ・ヴウォソク)|店主 (アレクサンドラ・ユスタ)|ルジャ・サツルマン(マリア・セモチュク)|美術館館員(マグダレナ・ヴァジェハ)||小学校長(エヴァ・ヴァンツェル)|


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去年の3月は、こんな映画を観てました。

‥‥‥ 去年3月、日本映画はこれ1本でした。 ‥‥‥

「宇宙人 東京に現わる」
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SF娯楽映画です。
我々よりずっと、科学的に文化的に進化した太陽系外の宇宙人・パイラ星人は、実は地球を案じてやって来たのです。
円盤がいきなり飛来し、地球は大騒ぎ!
「宇宙人 東京に現わる」というチョット怖いタイトルですが、宇宙人地球侵略といった好戦的な話じゃないのが面白い。

‥‥‥ 洋画は5本でした。 ‥‥‥

「はじまりのうた」
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去年の1~3月に観たうちで、一番のいい映画。良く出来ている。
ニューヨークを背景にしたラブロマンス映画です。
ソングライターを目指すグレタ(キーラ・ナイトレイ)の歌声に惚れました。

「幸せをつかむ歌」
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主演メリル・ストリープが売れないロック歌手、家族の再会の話でもあります。

「誘惑されて棄てられて」
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「誘惑されて棄てられて」とは、なんとも悲しい題名ですが、これはビターなドタバタ・コメディです。
話は、シチリアに住む2人、16歳の娘アニェーゼとペッピーノが結婚に至るまでの、てんやわんやな物語。

「ボッカチオ'70」
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イタリア喜劇映画です。
フェデリコ・フェリーニ、ルキノ・ヴィスコンティ、ヴィットリオ・デ・シーカ、マリオ・モニチェリの
4人の監督による4作品オムニバス。
第1話と第4話はイタリアの庶民層が主人公で、第2話は上流階級、第3話は貴族のお話。
それぞれに主役の女優を立てて、その女性の奔放さを語ります。

「未知への飛行」
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1964年製作の米ソ冷戦時代のSF映画。
話は緊迫感がラストまで続き、112分一気に観せます。 

‥‥‥ より以前の映画記事も、下にまとめています。ご覧ください。 ‥‥‥


“ 縦書きの文字が下から上に書いてある ”  《 ふと思う、考える。》


1_2019021519365222f.jpg

 歩いていたら、右の旗(のぼり旗)に出くわした。
 「フォルクスワーゲン認定中古車」の文字が‥、なんと、下から上へ書いてある。
 変だよね。
 旗を逆につけたのか?
 いや、ドイツ語が下から上に書いてあるからじゃない?

本2 でもアルファベットって、縦書きの場合、上から書くんじゃないの。
 いやいや、上から下、下から上、の両方あるらしい。例えば本の背表紙。

 ここら辺のことについて詳しい記述があった。
 「本棚に立てられた洋書の背文字は読みにくい」
 http://chawantake.sakura.ne.jp/miscellaneous/SpineTitle.html

 話は戻るが、それにしても、日本語が下から上への縦書きってのは、ヤッパリおかしいよね。
 ワーゲン中古車店の前で、ふと‥。
( コーポレート・アイデンティティ(CI)で表示ルールが定まってるんだろうが‥)

映画「パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー」  監督:トム・シャドヤック

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小児がんの患者でしょうか‥‥。


 娯楽映画ですが、真実をまじめに語る物語。
 パッチ・アダムスこと、アメリカの医師ハンター・キャンベル・アダムス(1945-  )という男の業績をもとにした物語です。
 彼は臨床道化師ということを始めた人で、現在も世界中で臨床道化師の活動実践や普及に向けて講演活動をしているそうです。
 本作は、医師、医療がテーマの真面目な映画ですが、映画の作りは、特に主人公役のロビン・ウィリアムズの演技が、いかにもアメリカ映画のおふざけ喜劇仕立てですので、それを承知で見てくださいね。娯楽映画ですから。

予告編はこちら。

 さて映画の中のセリフで、「生の質を高める」という言葉(字幕)が出てきます。
 高めるべき「生の質」(生活の質)とは、医療の現場でよく言われる「クオリティ・オブ・ライフ」(quality of life、略してQOL)。
 このクオリティ・オブ・ライフと同じく常に言われる言葉は「全人的医療」です。ともに医師への戒めの言葉です。

0_2019022614210227e.jpg 医師は、いつの間にか肝心の「患者の心の有りよう、患者の思う自身の生き方、そして患者が欲する社会生活的な立場」を、忘れてしまいがちになった。
 そして医師は、医学の科学的技術的進歩、それと分業化専門化(タコつぼ化)の陰で、往々にして「人(患者)を診ずに、病気だけを、疾患部位だけを診てしまいがちになった」という。
(簡単に言えば、がんは治ったが、一方で重い鬱になってしまった)

 映画では、医学生を前にしてのバージニア大学医学部の学部長の講演は、医師の思い上がりが強すぎで、患者を見下した風で、クオリティ・オブ・ライフや全人的医療を忘れた内容です。
 この講演を聴いて主人公パッチ(ロビン・ウィリアムズ)は違和感を抱いています。
 また、学生寮で同室の同級生が、のちに臨床研修医となって患者対応に苦慮するにおよんで、パッチに助けを求めます。
 この時、彼は初めてパッチが目指す良き医療行為に気づきます。

 日本でも病棟でピエロになって、患者の心を和ませるボランティア活動がありますね。
 ふと思うに将来、AIロボットがピエロの役(臨床道化師)をやるのでしょうか。
 ロボットよりもセラピードッグのほうが患者に優しい気がします。


オリジナルタイトル:Patch Adams
監督:トム・シャドヤック|アメリカ|1998年|116分|
原作:ハンター・ドゥハーティ・アダムス 、 モーリーン・マイランダー|脚本:スティーヴ・オーデカーク|撮影:フェドン・パパマイケル|
出演:ハンター・“パッチ”・アダムス(ロビン・ウィリアムズ)|その同級生トゥルーマン・シフ(ダニエル・ロンドン)|同じく同級生でパッチが思いを寄せる女性カリン・フィッシャー(モニカ・ポッター)|同じく同級生で寮の同室ミッチ・ローマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)|学部長ディーン・ウォルコット(ボブ・ガントン)|イートン(ジョセフ・ソマー)|ジョレッタ(イルマ・P・ホール)|ビル・デーヴィス(ピーター・コヨーテ)|ルディ(マイケル・ジェッター)|アーサー・メンデルソン(ハロルド・グールド)|ほか

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映画「夜明けの祈り」  監督:アンヌ・フォンテーヌ

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 ポーランドの女子修道院に、突然降りかかった悲劇と救済を描く映画です。

 ようやく終結した第二次世界大戦、その直後、ソ連は赤軍をポーランドに駐在させた。
 その兵隊たちが、女子修道院へ乱入し強姦。8人の修道女たちを妊娠させる事件が起きた。
 兵士は数日で去ったが、修道女たちの体内では胎児は日に日に育つ。
 修道院内では、帝王切開が必要な修道女の悲痛な叫びが響く。

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 この非常事態において修道院長は、自身の監督不行き届きの責任追及や、修道院の閉鎖を恐れるあまりに、教会上層部へ、事の次第をまったく報告をせず、事を院内に封じ込めようとする。
 つまり、新生児を密かに知り合いの家に預ける‥‥という手段を考えた。

 かたや当の修道女たちは院長に絶対服従でなけらばならず、一方で強姦され妊娠したことの恐怖と、信仰心では解決されぬ事態に彼女たちの心は激しく動揺する。
 また、修道女のひとりは、自分を輪姦から守ったある赤軍兵に恋心を抱き、彼を追って修道院を出ようと心を決める者も現れる。

 そんななか、副院長的立場の修道女は、事態解決のため院長に背き、単身、フランス赤十字の拠点におもむき、赤十字の組織的了解を得ずに、その場で躊躇する女医マチルドを見つけ出し、何とか修道院に招くことができた。
(この映画は、実在のこの女医が残した日記をもとに製作された)
 マチルドは帝王切開の手術をしたり出産に立ち会い、修道女を救うが、なかには宗教上、他人(女医でも)に自身の肌を見せることを禁じることを頑なに守ろうとする者もいた。

 しかし、マチルドのこうした行動は、フランス赤十字の規範に反することであった。フランス赤十字の活動は、在ポーランドのフランス人のみを救護する活動なのだ。(ポーランド人はポーランド赤十字に頼るべきであるという見解、だが修道院がポーランド赤十字に救済を求めれば、ことの事態が発覚してしまう)

 よってマチルドのこの単独行動は、夜間に密かに行われた。
 さらには赤軍占領下のこの地で、フランス赤十字の拠点を離れるフランス人マチルドの行動は、何の保証もないとても危険な行動であった。

 こうして、修道院、マチルド双方にとって危ない橋を渡る決断の結果、出産はすべて終えることができた。
 そのころ、ついにマチルドの行動がフランス赤十字の部隊長に知れ、彼女はフランスへの帰国命令が出る。

 さて、マチルドが置き土産として修道院に提案した「今後に向けての救済案」とは、そして修道院長の苦しい懺悔(ざんげ)とは‥。
 修道院長の行為はひとりの修道女の自殺をも招いたのであった。

マチルドのモデルとなった実在の女性医師マドレーヌ・ポーリアック(1912 - 1946)については下記Wikipedia参照してください。
 しかし不幸にも彼女は早死にだったようです。

オリジナルタイトル:Les innocentes(罪の無い者)
監督:アンヌ・フォンテーヌ|フランス・ポーランド|2016年|115分|
原作:フィリップ・メニヤル|脚本:サブリナ・B・カリーヌ、アリス・ビヤル、アンヌ・フォンテーヌ、パスカル・ボニゼール|撮影:カロリーヌ・シャンプティエ|
出演:ルー・ドゥ・ラージュ(マチルド)|アガタ・ブゼク(シスター・マリア)|アガタ・クレシャ(マザー・オレスカ)|ヴァンサン・マケーニュ(サミュエル)|ヨアンナ・クーリグ(シスター)|ほか


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うまい酒と、豆腐。 「来福」 

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 一口飲んだその舌先は、一瞬甘口かと思わせるが、実はほどよい辛口。
 そして爽やかなコクがある。
 
 酒のあては、豆腐のうま味が味わえる、美味い豆腐を、醤油かけずに、どうぞ。
 この酒と合いますぞ。


来福酒造
住所:茨城県筑西市村田1626
創業:1716年
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特集:「同じバスに乗り合わせた乗客たち」の物語 7本!

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 「同じバスに乗り合わせた乗客たち」の物語を集めてみました。
 これは群集劇といわれる部類でしょうか。
 見知らぬ者同士の車内では、どんな物語があるのでしょう。
 また下校時のように、知っている顔がある車内では、それはそれで、どんな展開があるのでしょうか。
 そして、バスの中の事だけじゃなく、バスを降りる時のその人の心境、降りてからのその先には、また、それぞれにそれぞれのドラマがあるのです。

★     ★     ★     ★


1_201902071930224eb.jpg1-2_201902071949152da.jpg「有りがたうさん」 日本|1936年

 下田発、峠を二つ越え、三島に至る天城街道20里を走る路線バス。
 地元伊豆の人々の乗り降り、様々な車中の出会いと、一期一会の別れ。
 乗客や道行く人々の人間模様をゆったり、時にしんみり描く、いい映画です。
 そして、運転手と乗客の女性とのラブロマンスでもあります。



5-1_2019020719525270d.jpg5-2_20190207195254e9c.jpg「森の中の淑女たち」 カナダ|1990

 7人のばあさん達が、貸切バスに乗って日帰りピクニックへ出発した。
 ところが森の中の、まったく人気のない狭い林道でバスが故障、回復不可能とわかる。
 彼女達は、近くの湖畔に廃屋の別荘を見つけ、夜露をしのぐことに。
 まずは何か食べるものを探さねば‥ということで知恵を出し合い、ワイルドな1週間をここで過ごす話です。
 気に入った映画です。

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“ 絵画は黙して語らず ”   ‥‥「絵画の歴史 洞窟壁画からiPadまで」,「ギャラリーゲーム ピカソと画商の戦略」,「巨大アートビジネスの裏側 誰がムンクの「叫び」を96億円で落札したのか」 《最近読んだ本》

こ 絵画は黙して語らずだが‥‥。
 近頃、美術館の宣伝が、わざとらしいこと、はなはだしい。
 同時に美術館の視野の偏狭さを感じる。
 絵は、もっと自由な発想で楽しみたいものだ。
 そんな思いで一冊目の「絵画の歴史」を読んだ。これは堅苦しい本ではないし古今東西の画集でもあります。
 
 絵画は黙して語らずだが‥‥。
 そもそも、美術館が所有するような価値が高いと言われる絵画は、王や貴族の持ち物だったし、今でも一握りの富裕層コレクターが買い、また転売もするものなのです。
 そして、それらを生み出した画家たちは、そういう人々向けに絵を描いて来たし、今もそういう人々向けに描いて、画家の生活を支えているのです。
 もちろん、画家とコレクターを仲介するのは画商で、批評家やキュレーターが評価者として加わり、またサザビーズなどの競売会社が高値の市場価格を公表し、さらには最終的に権威付けするのは、特定の企画展を開いたり、所蔵品として収納する美術館なのです。
 私たち一般庶民から見れば、こういった閉ざされた向こうの世界が、現実の美術業界の世界なのでしょう。
 よって私たち部外者は、美術館に行って、自分では買えない貴重な作品を観覧料払ってわずかな時間、観させていただいている。
 ひるがえって思うに、だからこそ、私たちは純な鑑賞者であって、何ものにも束縛されずに楽しめるのだ。
 つまり、買おうか買うまいかの邪念も無いし、絵画に投資する資産の心配も無いし、誰かをヨイショすることもないのだから。 
 ついでに言えば、誰が作り上げたのか知らないが、芸術や芸術家への過剰なまでの神聖さや神話性に、そのうたい文句に、私たちが乗せられ縛られていては、せっかくの純な鑑賞者の立場を見失ってしまいかねないことは心配しなきゃいけない。
 そんなこんなの思いで次の二冊「ギャラリーゲーム」と「巨大アートビジネスの裏側」を読んだ。

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1_20190202100107d77.jpg 「絵画の歴史 洞窟壁画からiPadまで」というこの美術書(画集)は、デイヴィッド・ホックニーという著名なアーティストが、親しい学芸員を相方に、その広い視野で古今東西、数々の絵画に目を注ぎ、画家だからこその眼で「絵画の歴史」を語る本であります。

 こういう人たちと美術館を巡れば、楽しいだろうと思う。
 作品を見て気づかぬことや、作品解説パネルの味気無さの向こうに、なるほど、気づかなかった世界を教えられ、きっとハッとすること度々だろうと思う。

 例えば、洞窟の壁面のシミ、天井板の木目節目が何かに見えたり、といった誰もが経験するそんなことが絵を描くことの原初ではないか、といった話。
 例えば、写真が誕生する1839年より数百年もの前から、西欧の画家は、レンズと鏡(ピンホールカメラ)を使って壁などに投影した画像、つまりレンズを通して見える画像を手本に、遠近法な絵画を制作していたこと。(このことを歴代の画家たちは敢えて公言せずに至っている)
 だからこの、写真のようなモノの見え方に縛られ続けた西欧画家たちは、遠近法など関係ない、日本美術のモノの見え方に感動し、これに群がったこと。
 例えば、写真は一瞬を切り取り、結果、時間の層がない。例えば180時間制作に要したある人物絵画は、その間、画家はモデルの様々な面を見ることになるので、それが絵に込められている。なるほど。

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2_2019020210010989b.jpg  実は、“ ピカソ” は、ピカソ本人だけでは成り立たなかったことを、「ギャラリーゲーム ピカソと画商の戦略」は言っている。
 本書の邦題「ギャラリーゲーム」は興味本位に傾く題だが、著者の本意は原題「Making Modernism」で分かると思う。

 まずピカソは自分の才能をコントロールできる人だったらしい。
 例えば彼が上流階級に出入り出来るようになると、彼らの好みを感じ取り、そのマーケットに向けて作風を変えていく。
 同時にピカソは、印象派画家の作品から響いてくる彼が感じるものを作風に加えていくのだ。

 そして若きピカソにすごいものを感じた、先見性ある画廊が、ピカソと二人三脚となって、ピカソをピカソとして世にプロモーションし始める。このマーケティングに乗ったコレクターと批評家はピカソを称賛し、ついでキュレーターたちも加わり、初の美術館展示となって行く。
 20世紀初めころ、画廊、批評家、キュレーターの職務区分は、今に比べ少々曖昧だったらしいが、これらの人々と協働してピカソは出来上がっていった。
 本書はそうしたモダニズム絵画の成功をつくった市場メカニズムを見せてくれるのです。

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3_20190202100110f09.jpg さて上記「ギャラリーゲーム」から50年100年経た現在の美術界はどうなんだろう。
 一冊目の著者で画家のデイヴィッド・ホックニーだが、代表作《芸術家の肖像画 プールと2人の人物》が、落札予想額90億円に対して102億円で落札された。(2018.11)
 これは、クリスティーズ・ニューヨークで行われた戦後・現代美術セールで、現存作家としてのオークションレコードを塗り替える記録らしいです。

 そんなことを知ってのち、サザビーズジャパン社長であった著者が書いた本書「巨大アートビジネスの裏側 誰がムンクの「叫び」を96億円で落札したのか」を読んだ。
 業界裏話的に興味本位で読むのもいいかもしれないが、ご商売柄、著者が、コレクター達の好みやその変化を数多く見てきたからだろう、学芸員には語れない話が面白いし、例えば、巨匠も高齢になれば画力が落ちる、など美術の学会学問の世界では目をつぶるかもしれないこともズバズバハッキリ言えるのも著者のマーケット経験からだろう。そこが面白かった。


「絵画の歴史 洞窟壁画からiPadまで」  デイヴィッド・ホックニー (著), マーティン・ゲイフォード (著)
目次|画像、美術、そして歴史|画像と現実|徴をつける|影とごまかし|時間と空間を描く|ブルネレスキの鏡とアルベルティの窓|鏡と映像|ルネサンス:自然主義と理想主義|紙、絵具、複製される画像|舞台を描く、絵画を上演する|カラヴァッジョとカメラのような目付きの男たち|フェルメールとレンブラント:手、レンズ、そして心|「理性の時代」の真実と美|1839年以前と以後のカメラ|写真、真実、そして絵画|写真を使う絵画、使わない絵画|スナップショットと動く映像|映画とスチル写真|終わりのない画像の歴史|

「ギャラリーゲーム ピカソと画商の戦略」  マイケル・C. フィッツジェラルド (著)
目次|1章 熊の皮―投機対象はアヴァン=ギャルド|2章 手を組めば無敵―キュビスムを超えて|3章 超シックな人たち―最強の提携者の出現|4章 永遠の若さの化身―シュルレアリストとピカソ|5章 嫉妬の森のあるじ―「神格化」への道|

「巨大アートビジネスの裏側 誰がムンクの「叫び」を96億円で落札したのか」 (文春新書)   石坂 泰章 (著)
目次|第1章 息詰まるムンク「叫び」の落札風景|第2章 名画を「身体検査」する―作品が出品されるまで|第3章 価格はどうやって決まるのか?|第4章 資産としてのアート|第5章 アートを買う|第6章 セレブとアートの華麗なる世界|第7章 グローバル化するアート産業|

アニメ「ソウル・ステーション/パンデミック」  監督:ヨン・サンホ

1_20190206125933653.jpg



 拍手!
 ゾンビ系は趣味じゃないが、すんなりと見終えてしまった。
 よくできているアニメ。筋書きが巧いし、キャラクターの動きも背景も凝っている。
 話はじわりじわりと‥進みます。
 どんでん返しも楽しんでください。

 ただ残念なのは、この予告編が不出来。

  予告編 https://pandemic-movie.com/



オリジナルタイトル:서울역
監督・脚本:ヨン・サンホ|韓国|2016年|92分|

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映画「夜ごとの夢」(1933)  サイレント映画 主演:栗島すみ子 監督:成瀬巳喜男

上

0-1_20190206135547a42.png 86年前の映画です。
 話は女と男の4日間の出来事。(その月の23日から27日)

 幼い一人息子の出世を願い、それを生きがいに女給として今を生きる女、おみつ(栗島すみ子)。
 そんなある日、おみつを捨て家を出て行った男が3年経って、ふいににふらりと現れた。水原である。
 水原は一目、子供見たさに、そしてあわよくばまた、おみつと、よりを戻したい。

 だが、気丈なおみつは、キッパリと水原の申し出を拒み追い返そうとした。
 さてこの騒ぎを聞き付けた家主夫婦が、親切心からふたりの間に入って、これが結果おみつの女の気持ちのスイッチを押したのか、あるいは見るからに萎れた水原におみつが憐れみ以上のものを感じたか。
 ともかく、おみつの胸の底に、水原への愛がまだ宿っていたらしい。

 その日から水原は、おみつと息子の所帯に加わった。女給のヒモである。不景気の最中、水原に職は無い。
 それでも男子、なんとか職を見つけ、おみつと子を養うと水原は口では言ったが、その実、弱気で意欲に欠け、また貧弱な体格で不採用になる始末。
 そんなこんなで結局のところ、子煩悩な水原は息子や近所の子たちに交じり一日、遊んでいる。

0-2_20190206141325e4a.png しかしこの先、おみつに不幸がふたつ続く。
 息子が車に轢かれる。
 しかし幸いにも怪我で済んだが、回復は長引く様子。入院が必要、まとまった金がいる。
 反射的におみつは、金の工面に走ろうとした。それは女給で働く店の常連客で船長の男、以前からおみつをものにしたい男。
 これを察した水原は、俺が工面しようと言い出した。男の見せ場と踏んだ様子。
 だが、実はあてがない。案の定、水原はその夜、金を盗み、警官の拳銃で腕をやられ、傷を負いおみつに金を届けに来た。
 悲しい顔したおみつは言った。この子を犯罪者の子にしたね。その金は受け取らない、返して、自首して。
 おみつと別れたのち、警察に追われる水原は深夜の堤防から身を投げた。


 ストーリーは現代の目からは至極単純、作りは当時としては凝っている様子が窺えるが、これも今となっては‥。しかし、おみつ役の栗島すみ子の存在は色あせない。

 ちなみに、映画冒頭、おみつは旅から帰って来た、というところから始まる。その日は23日。
 おみつは11日間、店を休み家を空け、息子を家主に預けていた。(おみつの部屋の日めくりが12日で止まっていた)
 何しに旅に出たのか映画は言わないが、おみつは手ぶらで、着の身着のままだ。
 また、息子が期待して待っていたお土産も無し。(警察に留置されていたのか?)

 渡しの船に乗るため、ふ頭を歩いていたおみつは船員たちに声を掛けられ、蓮っ葉な笑顔をみせる。
 そして渡しの船内では、乗客から冷たい視線を浴びている。派手な和服からなのか、あるいは乗客はおみつを知っているのか。
 この渡しが佃島への渡しなら、乗客がおみつを知っていておかしくない。
2-2_20190206141704205.png ま、要するに映画は冒頭で、おみつのすれっからしの面を強調し、次いで女給として働くカフェのシーンでも強く描くが、やがて後半になるにつれ、母として妻としての女を描こうとしていることが分かる。
 

英語タイトル:Nightly Dreams
監督・原作:成瀬巳喜男|1933年|64 分|
脚色:池田忠雄|撮影:猪飼助太郎|監督補助に渋谷実の名がある。
4_20190206142550ef3.png出演:栗島すみ子(女・おみつ)|小島照子(その子・文坊)|斎藤達雄(男・水原)|新井淳(家主)|吉川満子(その妻)|坂本武(船長)|大山健二(船員)|小倉繁(船員)|飯田蝶子(カフェの女将)|沢蘭子(女給・おみつの友達)|雲井ツル子(女給)|若水照子(女給)|仲英之助(文坊を診る医者)|大国一郎(水原に不採用を告げる人事係)|西村青児(刑事)|谷麗光(守衛)|


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 ポピュラー音楽!!    クラシック音楽 

“ 渋谷のスクランブル交差点 ”  《 ふと思う、考える。》


 《 ふと思う、考える。》というコーナーを始めようかと。
 私のことなので、どうでもいい事も多々あり。
 初回から、早速どうでもいい事です。

100.gif
 「スクランブル交差点」、と言えば、まず頭に浮かぶのは、二つだろう。
 ひとつは渋谷駅前のあれ。
 もひとつは、路面の、横断歩道表示のシマシマが交差する、この表示でしょう、たぶん。

 ところが、ふと気づいたんです。
 渋谷駅前の横断歩道の路面表示は、X型じゃなく、「/」です。
 つまり、渋谷駅改札側からセンター街への方向のひとつ、だけ。
 どうしてなんだろう?と、渋谷で、ふと・・・・。

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2月掲載の映画 ~去年の今月今夜は何を観てたか(2018.2)


去年の2月、こんな映画を観てました。

2月みた映画

次の邦画2作は、お勧めです。
「強虫女と弱虫男」 
乙羽信子主演の、タイトル通り、強い女性を描く喜劇です。新藤兼人が監督・脚本。
好きですね、こういう映画は。生きるエネルギーが爆発。

「ふりむいた花嫁」
倍賞千恵子, 淡島千景, 伴淳三郎らが出演の、これも喜劇。監督は番匠義彰。
これも良くできた映画です。舞台は浅草の老舗どじょう屋。
洋画は5本でした。まずは、シブいところから2本。
「ガッジョ・ディーロ」
(フランス、ルーマニア)
パリの青年がロマ音楽に魅せられて、ルーマニアのロマの村に現れます。
そしてロマの女とのラブストーリー。

「鶴は翔んでゆく」
(ソ連)
主演女優タチアナ・サモイロワを観てください。いい。

あとは、喜劇系の映画3本。
「スペースボール」
(アメリカ)
「スター・ウォーズ」のパロディです。おバカです。ジョージ・ルーカスが快諾しました。

「バードマン  あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
(アメリカ)
スーパーマンみたいなスーパーヒーロー役を演じてきた俳優の、その後の話ですが、
喜劇でちょっとファンタジーな所が、なかなか。

「ウェイクアップ!ネッド」
(イギリス)
離れ小島のある住人が買った、一枚の宝くじがなんと、12億円! 
誰が当てたんだってところから話は意外な展開へ。

映画「ウィ・アンド・アイ」  監督:ミシェル・ゴンドリー

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 この映画は、起承転結をくっきりにして、ドラマ性を盛り上げる類ではないです。
 言い換えれば、絶えず流れる川の流れや人の流れに、何かしらの情感を汲み取ることを求めるタイプ。

 とは言っても、話の舞台はニューヨークのブロンクス、16歳の子たちの話だから、騒がしい。
 シーンのほとんどが路線バスの中、下校の生徒たちが乗っている。
 気の合う幾つかのグループに分かれて、子たちはそれぞれに、ああだこうだとしゃべっている。
 映画は丹念に彼らの話を聞く。
 その内容はパーティを開く話、誰と誰がいい仲らしい噂など戯れながらの話、いつの時代も変わらぬ青春真っただ中。なりたい将来がまだ見えてこない年頃。
 見た目は大人に見えなくもないが、まだ16歳だから幼い、親や大人の言うことを無視できない。
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 さらりと語る映画の語り口がいい。映画のクロッキーといった感じ。
 流れる挿入サウンドがさりげなくも、いいセンス!


オリジナルタイトル:The We and The I
監督:ミシェル・ゴンドリー|アメリカ|2012年|103分|
脚本:ミシェル・ゴンドリー 、 ポール・プロック 、 ジェフ・グリムショー|撮影監督:アレックス・ディセンホフ|
出演:マイケル(マイケル・ブロディー)|テレサ(テレサ・リン)|レイディ・チェン(レイディーチェン・カラスコ)|リトル・レイ(レイモンド・デルガド)|ジョン(ジョナサン・オルティス)|ビッグ・T(ジョナサン・ウォーレル)|アレックス(アレックス・バリオス)|ナオミ(ナオミ・マーフィー)|

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一夜一話の “今日はロックだよ”  カレン・ダルトン

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 今日の一枚は、女性シンガー、カレン・ダルトン。
 ロック~カントリー系のサウンド。
 当時は再発(輸入盤LP)がなくて、幻なんて言われてたので、ついにレコードを手に入れることはできなかった1枚。
 そしてずっと後になって、忘れた頃に突如、CDで出てきたアルバム。

 ま、そんなことはどうでも良い、初めて聴いたのが、渋谷・百軒店にあったあの店だった。
 驚いたね、その時は。一瞬で、カレン・ダルトンのヴォイスに魅せられた。
 しゃがれていてスモーキーで、一度耳にしたら耳から離れない声質。

 よければ聴いてみて。

 まずは、1曲目「Something On Your Mind」、どうです?彼女の歌声は。いいですね!
 2曲目「When a Man Loves a Woman」、ブルーなバラード、絶品。
 飛んで4曲目「Katie Cruel」や8曲目「Same Old Man」は、トラディショナルの曲。
 カレン・ダルトンはバンジョーも弾きます。
 これ、いわゆるカントリー系のバンジョーじゃない。どこか英国を感じますね。
 この2曲、当時は敬遠してたのですが、今聴くと、いいなと感じます。


KAREN DALTON  In My Own Time (1971)

01. Something On Your Mind (Dino Valenti)
02. When A Man Loves A Woman (Calvin Lewis / Andrew Wright)
03. In My Own Dream (Paul Butterfield)
04. Katie Cruel (Traditional)
05. How Sweet It Is (Dozier/Holland/Holland)
06. In A Station (Richard Manuel)
07. Take Me (George Jones / L. Payne)
08. Same Old Man (Traditional)
09. One Night Of Love (Joe Tate)
10. Are You Leaving For The Country (Richard Tucker)
カッコ内は作曲者

これまでに掲載したポピュラー音楽の記事は、こちらから。
top1-1-1.png

映画「厳重に監視された列車」  チェコスロバキア映画  監督:イジー・メンツェル

1_201902011658257d5.jpg






 舞台は、チェコスロバキアの田舎のとてもローカルな駅。
 ダイヤは一日数本、駅員4名。
 そしてある日、こんな駅に新入りの若者が5人目として加わった。
 彼の名はミロシュ、駅員見習い。
 しかし、先輩駅員はみな暇を持て余している。

 映画は、この駅の人々が駅務以外の時間を、どう過ごしているかを、のんびりしたコメディで見せて行きます。


1-0 駅舎の二階に住む駅長は、ハトの飼育に熱心で、同じく熱心に駅員のひとりで電信係りの若い女駅員ズデニチカを口説いている。
 しかし、もう一人の駅員フビチカは、この女性といい関係だから、駅長は嫉妬。
 ミロシュは、幼なじみの女車掌マーシャと仲がいい、ので、彼女が乗る列車が駅に停車するのが待ち遠しい。
 4人目の駅員は静かな年配で、彼らの行いを遠目に見ている・・。

2-0 ところでミロシュに深い悩みがある。
 彼女とベッドを共にしたが果たせなかったのだ。早漏らしい。
 映画はこの先、ロシュのこの悩みについてのアレコレを可笑しく展開させます。(医者役を監督が演じています)

 さらにこれに乗じて映画は、駅員フビチカと電信係りの女駅員ズデニチカとの、駅のハンコを使ったエロチックな遊びが、鉄道上層部にバレて事は大事になる、というスッタモンダを語ります。

 さて、しかし、この映画を、ゆるいエロチックな話と勘違いしないように。
 時はナチスドイツ下のチェコスロバキアで、この駅をナチス軍の列車も通過するのです。

 世は、チェコ人とスロバキア人とのそもそもの不和が続き、親ドイツ派/反共派・反ドイツ派の分断、そしてナチス・ドイツの圧迫と、まさに荒波の中なのです。

 映画の狙いは、こうした荒波と、ゆるいエロチックな話といった、相容れない2つの話を交錯させて、当時のチェコスロバキアの国情をコメディっぽく言いつつも、庶民のおおらかさと怠惰と、権力に追従する人、そして負けない力を、気負うことなく現したいのだろうと思う。

 で、ある日、駅に1人の女性が現れる。
 彼女ヴィクトリアは、ロシュの悩みを、駅のソファーで解決もしたが、実はパルチザン、それもヒラの戦士じゃない。
 ヴィクトリアは用意した時限爆弾をこの駅に持ってきたのだ。近日中に、爆弾を大量に積んだナチスの軍用列車がこの駅を通過するらしい。
 時限爆弾を受け取ったのは、なんと女たらしのフビチカと年配駅員。この二人も実はパルチザンの一員だったのです。
 ロシュは親しくなったフビチカの言いなりに、通過する軍用列車に時限爆弾を投げ込む役を引き受けるのでしたが‥。

 これが予告編。これだけ観ると、どんな映画か勘違いするでしょう。


3_20190201175918326.jpgオリジナルタイトル:Ostre sledované vlaky|Closely Watched Trains|
監督:イジー・メンツェル|チェコスロバキア|1966年|93分|
原作:ボフミル・フラバル|脚本:イジー・メンツェル 、 ボフミル・フラバル|撮影:ヤロミール・ショフル|
出演:ミロシュ(ヴァーツラフ・ネツカーシュ)|マーシャ(イトカ・ベンドヴァー)|フビチカ (ヨゼフ・ソムル)|ズデニチカ(イトカ・ゼレノホルスカー)|ヴィクトリア(ナジャ・ウルバーンコヴァー)|Dr. Brabec(イジー・メンツェル)|ほか

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気になる映画 70  《これから上映の映画》

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「月夜釜合戦」
監督:佐藤零郎
3/9 ユーロ、4/20 横浜シネマリン
予告編は画像クリック

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「金子文子と朴烈」
監督:イ・ジュンイク
2/16 イメージフォーラム・シネマート心斎橋
予告編は画像クリック

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ユーリー・ノルシュテイン
『「外套」をつくる』 監督:才谷遼
3月下旬 イメージフォーラム
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岸 恵子
昭和銀幕に輝くヒロイン第91弾
2/24 ラピュタ阿佐ヶ谷
上映映画「雪国」の記事へは画像クリック
 

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ソクーロフ特集
2/25 ユーロスペース
孤独な声 セカンド・サークル
日陽はしづかに発酵し・・・
上映映画、上の3作の記事は題名クリック

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ドイツ映画祭2019
3/8 ユーロスペース
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映画「幸せなひとりぼっち」  スウェーデン映画 監督:ハンネス・ホルム


上5

 映画は、オーヴェという男の、これまでの人生、数々の出来事に敬意を表しつつエピソードを語ります。
 そして年老い、やがて人生の店じまいを始めようとするオーヴェの、乾いた悲しみと、突如舞い込んだ新鮮な喜びを語るのです。

3_201901291449504b5.jpg ですから、この映画を、頑固で狭量な独居じいさんの、在りがちな、はた迷惑を笑う話と勘違いしちゃいけません。
 話のコアは、とてもピュアな愛と、亡くした悲しみ。
 もうひとつのコアは、閉ざした心の開放で得た、とても普通の幸せ。
 そして物語の根っこは喜劇です。

1-0_20190129141654f40.jpg
 まずは、オーヴェの乾いた悲しみとは・・。つまり「幸せなひとりぼっち」の「ひとりぼっち」の話。
 実は、オーヴェは自殺しようとしていた。
 最愛の妻が病死してのち(子もいず)この先、生きる希望は無かったのだ。
 自殺までして、あの世の妻ともう一度連れ添いたい願う、その最愛の妻との出会いとは・・・。
 
 その昔、若きオーヴェは、見知らぬ女に寝顔を盗まれた。
 それは列車の中での出来事だった。
 疲労し熟睡していたオーヴェは目覚めたとたん、向かいに座る見知らぬその女と目が合った。
 この一瞬、ふたりに恋が芽生えたのでした。女の名はソーニャ。
 ふたりは生まれも育ちもまったく違うのでしたが、やがてふたりは互いの深い愛に包まれます。
 しかし結婚後、その幸せは一生続かずソーニャは病死してしまうのでした。


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 さて「幸せなひとりぼっち」の「幸せな」の話。現在の話。
 オーヴェの自殺決意を知らずに、それを結果、邪魔するイラン人の女が現れます。
 その女は隣に越してきた一家の奥さんパルヴァネ。
 パルヴァネはオーヴェが心を閉ざし、周囲の人間に怒りをぶちまける厄介じいさんと知ってか知らずか、彼の心の領域に、恐れもせず、明るくズカズカ遠慮なく入ってくるのです。

 さあ、それからは観てのお楽しみ。
 過去/現在の、たくさんのエピソードを巧く見せ、オーヴェの人柄・人生が目の前に浮かび上がって来る脚本は、なかなかの出来です。

 予告編映像はこれ↓です。


オリジナルタイトル:EN MAN SOM HETER OVE
監督:ハンネス・ホルム|スウェーデン|2015年|116分|
原作:フレドリック・バックマン|脚本:ハンネス・ホルム|撮影:ゴラン・ハルベルグ|
出演:オーヴェ(ロルフ・ラスゴード)|ソーニャ(イーダ・エングヴォル)|パルヴァネ(バハー・パール)|青年時代のオーヴェ(フィリップ・ベリ)|オーヴェらが住む団地自治会の副会長の妻アニータ(カタリーナ・ラッソン)|ほか


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特集:美味しい話、「レストラン・食堂」の映画 17本!  

2012092316314141f 2
 美味い料理に、人は集まる。
 食う人も、作る人も。
 人が集まれば、出会いがあり、愛も生まれれば、ケンカも始まる。

 一夜一話で、これまでに取り上げた映画の中から、以下をピックアップしてみました。
 それぞれ、右端の画像をクリックし、記事をご覧ください。


1_20190118030543d14.jpg「ディナーラッシュ」  アメリカ|2001年
 ニューヨークの南、トライベッカにある有名イタリアレストラン「ジジーノ」での、「その日の出来事」を語るサスペンスな映画。 
 「ジジーノ」は予約が無いと入れない超有名店。料理評論家がうなる有名シェフがいる・・。
 予告編https://www.youtube.com/watch?v=_oE-HFYGduU


2_20190115205916e8d.jpg「マーサの幸せレシピ」   ドイツ|2001年
 ドイツにある高級フランス料理店。そしてラブストーリー。
 主人公のマーサは、この店の有名女性シェフ。抜群の才能あって、美しいひと。店のオーナーも常連客誰もが認める、彼女あってのレストラン。
 予告編https://www.youtube.com/watch?v=C0t98cS_2Zw


3_20190115210522a19.jpg「あん」  日本|2015年
 商店街から外れた所にある、どら焼きの店。
 馴染み客は近所の女子中学生達で、店内のカウンターは3人座れば満席。
 桜が満開のある日、徳江は駄目もとで、店で雇ってくれないかと、どら焼き屋の千太郎に申し出ます。あん作りがうまいのです。
 予告編https://www.youtube.com/watch?v=t4OhrkllRsM

キャプチャ4 天地52  4

映画「私が棄てた女」  出演:浅丘ルリ子, 河原崎長一郎, 小林トシ江  監督:浦山桐郎

上1

 この映画の核心は、とてもピュアな愛。
 若さゆえの、純で臆病な出会いだった。

1-1_201901261657089d0.jpg そのふたりとは、貧しい出でバイトに励みつつ、安保闘争に加わる早大学生・吉岡努(河原崎長一郎)と、中卒か高卒かで就職のため東北から上京、小さな工場で働く東北弁の田舎娘・森田ミツ(小林トシ江)

 やがてミツの素朴な心は描き出す。、貧しい今の生活を抜け出したいし、できることなら吉岡と一緒になり、早稲田大学を出る彼の将来にぶら下がり、小さな幸せを得たい。
 しかし吉岡は、もっと上昇志向の強い人生を考えていた、だから、それに不釣り合いなミツという女に重荷を感じ始めていた。
 そしてある日、吉岡はミツを棄てた。(一夜を明かした浜辺の漁師小屋にミツを置き去りにしてしまう)

0-2_20190126165816cfd.png もうひとつの愛。
 それは吉岡と三浦マリ子(浅丘ルリ子)との、少し大人な出会い。
 マリ子は、吉岡と同じ職場の女性で、この会社のオーナー社長の姪。
 マリ子は上流階級の環境で育ったが、心の底でそれに違和感を持っていた。なぜなら実はマリ子の家の経済は、伯父からの借金に支えられていたからだった。

 一方、貧しい家庭に育った吉岡は、マリ子の一族のブルジョアさに大いに負い目を感じていた。だがマリ子はそんな思いを抱く吉岡に同調しようとする。そして吉岡を受け入れがたく思う一族の目を彼女は無視するのであった。
 こんなふたりは、やがて結婚。
 しかし新居は伯父から借りた代官山ハイツだった。(代官山にある当時高級なマンション)
 それでもマリ子も吉岡も、それぞれに思うそれぞれを勝ち取った生活がスタートする。
 だがマリ子は、以前から結婚後も、吉岡の中にある冷たい一点を漠然と感じていた。それはマリ子にとって疎外感を感じる何かであった。

2-0_20190126171444201.jpg ところで、ある日、まったくの偶然であった吉岡とミツとの再会が、この先、マリ子をも巻き込み、三者の心は乱れ荒れていくのであった。
 この悪い流れを作り出したのは、吉岡が顧客接待する場で出会った女であった。この女はミツの居場所を知っていて、ミツから聞き出した吉岡の過去を利用し金に換えようとする算段であった。

3-0_20190126171746e0a.png この女が仕組んだとは露知らずの吉岡は、ミツとの再々会を冷静に喜んだ。その場のふたりの会話は、それぞれの告白の独り言のようでもあった。
 だが、この場の盗撮写真とミツが大事に持っていた吉岡からの昔の手紙をネタに女は、マリ子(の一族の金が目当て)を揺すり始めた。
 この段になってミツは、女とその男ともみ合い、窓からの、あっけない転落死となった。それは自殺のようにも見えた。
 
 マリ子にとって、ミツという存在含め、難は去った。
 ふたりが住み始めた賃貸アパートの、陽だまりのベランダに立つマリ子は安堵な様子なのだが・・。
 マリ子は吉岡との出会いで、平凡な一般庶民の普通のしあわせを夢見、それを手に入れたのではあった。
 さて吉岡は今、何を思っているのだろうか、映画は語らない。


 よく出来た、いい映画です。
 森田ミツ役の小林トシ江が主役と言っても良いかもしれない。いい演技だ。
 吉岡に棄てられたのちのミツの生活など、ここに書かなかっ数々のたエピソードは物語を豊かにしています。
 俳優の背景、例えば背景を通り去る電車などにも気を配る撮影です。
 ラスト近くの吉岡が見る幻想も凝ってます。
下

監督:浦山桐郎|1969年|116分|
原作:遠藤周作|脚色:山内久|撮影:安藤庄平|
出演:吉岡努(河原崎長一郎)|三浦マリ子(浅丘ルリ子)|三浦ユリ子(加藤治子)|森田ミツ(小林トシ江)|森田八郎(加藤武)|森田キネ(岸輝子)|深井しま子(夏海千佳子)|武隈(江角英明)|長島繁男(江守徹)|友人太田(山根久幸)|清水修一(辰巳柳太郎)|清水綱子(織賀邦江)|清水修造(大滝秀治)|清水友枝(北原文枝)|清水修巳(中村孝雄)|清水由起子(阪口美奈子)|大野義雄(小沢昭一)|赤提灯のてる(佐々木すみ江)|医者(遠藤周作)|医者(佐野浅夫)|看護婦(園佳也子)|

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映画「男と女」(1966)  ~映画音楽に魅せられて  監督:クロード・ルルーシュ

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 誰もが知ってるラブストーリー「男と女」。
 でも、この映画をもう一度思い出すよう、予告編を観てみましょうか。
 予告編 https://www.youtube.com/watch?v=Dt40QoTSulg
(注意:予告編ですからシーンは話の前後、関係なく継ぎはぎだらけです)

 まずは、この「男と女」というタイトル、思えば、あまりに単刀直入な題名ですね。
 かつ観終わって感じるのは、アンヌとジャン・ルイの、うまく行ってて、チョットやばくなり、でもやっぱりうまく行きそう、という、すごく単純なストーリー展開なんだよね。
 それと映画冒頭についてだけれど、頭の数分の間に、ふたりの人柄や雰囲気境遇をほぼ映像だけで説明してしまい、これを言い終えるともう、すぐにふたりの出会いシーンとなってしまう。これも単刀直入なんです。

 この速い展開を和らげ、話を詩的にゆったりさせようとするのが、映像美とテーマ音楽。
 で、映画序章の映像に、ぴったりしっとり寄り添うのが、あの詩情あふれるフランシス・レイのテーマ。
 この甘いサウンドで、はじめのうちに観客をノックアウトして、映画の世界に引き込もうという作戦。
 その演奏をよく聴くと、実に感情を込めた演奏で、かつ慎重すぎるくらいに、押さえに押さえてプレイしているのが分かる。
 つまり、客を柔らかく包み込み、感情をそそろうとするサウンドなのだ。

1-0_201901221234574f7.jpg さてここで観る方は考える。
 雰囲気はいい感じだが、じゃあ、この映画、この先、どう展開して観せるんだろう・・
 あのふたりをハッピーエンドで終わらせるつもりか、そうでなくするのか

 と思いきや、結局、尺103分のうち、頭からの70分間ずっと、映画は思わせぶりな態度は示すが、ラブストーリーの展開については語らず、ラストの30分になってやっと話は動き出すのである。(それはアンヌが愛の告白電報を電話で申し込み、モンテカルロにいるジャン・ルイへ送る場面からですね)
 70分間、焦らせてるといえば、その通り。

 じゃこの間、観客は、何を観ているのか、
 ふたりの過去(アンヌの亡夫のこと、ジャン・ルイの亡妻のこと)、そしてアンヌとジャン・ルイのそれぞれの仕事の様子(アンヌは映画製作スタッフでロケ現場、ジャン・ルイは有名なカーレーサーでレース・シーン)。
 これが主で、あとは互いの子供を交えた4人の食事シーンや4人での遊びのシーンもある、が。
 ふたりに芽生えたか?の愛の展開は語らない。

 そして満を持して、アンヌの電報でラブストーリーが始まるのだが。
 しかし、ジャン・ルイがモンテカルロからアンヌのもとへ、雨の中、車を走らすシーンに10分費やす。まだ焦らす。

 さあ、アンヌが二人の子と一緒に砂浜にいて、そこへジャン・ルイが駆け寄るシーン。
 でも二人の抱き合う場面は僅かで、あとは渚を駆ける犬の嬉しそうなシーンを、ずっと映し出す。テーマ音楽を伴って愛の喜びを表そうとしている。(テーマ音楽のテンポが速めです)
 この映画、挿入音楽だけじゃなく、風景でものを語ろうとする間接的な表現が多いです。否、風景ではなく、情景(=心に、ある感じを起こさせる光景や場面)をみせている。
 そう思うと、海、渚(濡れた砂浜)、土砂降りの雨、霧といった「水」のシーンがやたらに多いのです。

 あと、この映画で多く使われるのが、カラー/モノトーンの使い分け。
 浜辺で抱き合ったふたりは、ベッドシーンに移るのですが、このシーンでモノトーンに切り替わる。かつ、ほぼ無音。ここが巧い。
 実は、たぶん、こういった観せ方これがこの映画の魅力であり、作品の力だと思う。(ベッドシーンそのあとの流れは観てのお楽しみ・・) (濃厚シーンを期待していたのに、 肩透かしを食わされたと思っちゃ、ヤボ)


 思えば、この映画、セリフがとても少ない。
 ま、その分、アンヌの表情がものを言う。
 そして映像の仕掛けとモノローグ、並びに挿入音楽の絶妙な入り方で、「男と女」はできていると思う。
 ちなみに、印象的なある1シーンを切り取ったら、「絵になる」と思うものだが、この映画のシーンの静止画は、他の映画に比べ、まったく素っ気ないのに気付いた。
 それで考えるに、この映画は、常時流れ移り行く映像のその微妙なムードの中で、生きているのだと知った次第。

 余談だが、かつて、この映画のテーマ音楽は嫌いだった。FMでよくかかっていた。フランシス・レイなんて、ムードミュージックじゃん。
 でも数年前だったか、DVDを観た時、ジーンと感じました。
 60年代のユーロピアンなオルガンサウンドと、ピアノと鉄琴の音を重ねた音色が素敵です。
 

オリジナルタイトル:Un Homme et Une Femme
監督:クロード・ルルーシュ| フランス|1966年|103分|
脚本:クロード・ルルーシュ 、 ピエール・ユイッテルヘーヴェン|撮影:クロード・ルルーシュ|音楽:フランシス・レイ|作詞:ピエール・バルー|歌:ピエール・バルー 、 ニコール・クロアジール|
出演:アンヌ(アヌーク・エーメ)|ジャン・ルイ(ジャン=ルイ・トランティニャン)|ピエール(ピエール・バルー)|ヴァレリー(ヴァレリー・ラグランジュ)|寄宿学校の校長(シモーヌ・パリ)|ほか

 1960年代のフランス映画はいいですね。
 下記のページで、60年代の作品をまとめています。クリックしてご覧ください。
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気になる映画 69 《公開未定映画、これから上映の映画、見逃してる映画》

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「HOTEL GAGARIN」
Italy(2018年)
Director: Simone Spada
公式予告編は画像クリック
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「ハッピー・アズ・ラザロ」
Italy(2018年)
監督:アリーチェ・ロルヴァケル
公式予告編は画像クリック
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北欧映画の1週間
トーキョー ノーザンライツ フェスティバル2019
ユーロスペース 2/9 - 15
画像クリックでユーロのサイトへ
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「むかしの歌」(1939年)
監督:石田民三
出演:花井蘭子
 
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「三十六人の乗客」(1957年)
監督:杉江敏男
出演:淡路恵子、千秋実
 
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「羽織の大将」(1960年)
監督:千葉泰樹
出演:フランキー堺、団令子
 
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大番頭小番頭(1955年)
監督:鈴木英夫
出演:池部良、雪村いづみ
 
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「女の暦」(1954年)
監督:久松静児
出演:杉葉子,香川京子,田中絹代


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映画「嫌われ松子の一生」  主演:中谷美紀 監督:中島哲也

上


0_20190113154722bee.png 松子は、不器用なくせに向こう見ず、エイヤー!の思いっきりがよくって惚れっぽくって・・。
 でも、その一瞬一瞬すべてがミスジャッジ、結果はまさかの裏目に出ての、ひたすら不幸な人生、一直線。
 だからこそ、松子は人一倍、一途に幸せ求める。

 この映画、こんな松子をどれだけ、どん底に落とせるか、と同時にその不幸を、どれだけハッピーにコミカルに描けるか、に挑戦した映画にみえる。
 監督・脚本の中島哲也、やりましたね。予算も付いた。豪華キャスト。作りが凝ってます。

 映画は松子(中谷美紀)の少女時代から始まる。
 そして父親(柄本明)の希望で音楽の先生になるが、ある出来事でクビに、そして家出し、同棲した相手(宮藤官九郎)の暴力、次に不倫相手(劇団ひとり)に捨てられ、ソープ嬢になり、ヒモを殺害、自殺未遂、刑務所行き、ヤクザ(伊勢谷友介)の女に、そして・・。
<予告編>
 https://www.youtube.com/watch?v=wzxLFblkDt4

13_20190113155117d23.jpg もちろん、松子にも味方がいた。
 その一番は、松子の親友・沢村めぐみ(黒沢あすか)。
 彼女はAV女優「水沢葵」で元ストリッパーで成り上がって会社社長。言ってみれば松子とは逆ベクトルだが。松子への思いは人一倍。

 つぎに松子の妹・久美(市川実日子)もそう。だが久美は生まれながらの病弱のためか、父親の寵愛を一手に受け、松子は幼い頃から嫉妬。
 つぎに、理容師の男。松子が自殺未遂に終わったのは、たまたまその場を通りかかったこの理容師(荒川良々)のおかげ。松子は散髪屋の店を手伝い同棲へ。ただしヒモ殺害の罪で逮捕され、刑務所行き、この間、理髪師の男は別の女と結婚し・・。
 最後に松子の甥っ子(瑛太)。ただし松子との面識はない。松子が他界したのち、おば(伯母)の松子の生き方に共鳴し始める。
 
 ちなみに、狂言回し役の男・龍洋一(伊勢谷友介)にも注目。
 教師をクビになったそもそもの原因は、中学生だったこの男が松子のクラスの児童で、この子が修学旅行中、旅館の金を盗んだことだった。さらには修学旅行付き添いの松子先生がこの子をかばうがためにの、ミスジャッジ、これが松子の人生のつまづきとなったのだった。
 その後、幾年も過ぎる中、男はヤクザになり、また松子先生への謝罪の気持ちを抱え、忽然と松子の前に現れ、ふたりは結ばれる。
 そしてさらに時は過ぎ、映画ラスト近く、年老い浮浪者になった男は悔いを抱えて松子のゆくえを追うのだが・・・。
 
 個性ある俳優がたくさん登場します、お見逃しなく! これもこの映画を観る楽しみのひとつです。
 しかし、何ですね、ふと我が身を振り返るに、身につまされる映画でもありました・・。


監督・脚本:中島哲也|2006年|130分|
原作:山田宗樹|撮影:阿藤正一|
出演:川尻松子(中谷美紀)|松子幼少時代(奥ノ矢佳奈)|松子の甥っ子・川尻笙(瑛太)|松子の父・川尻恒造(柄本明)|松子の妹・川尻久美(市川実日子)|川尻家崩壊の原因だとして松子に冷たい松子の弟・川尻紀夫(香川照之)|その妻・川尻悦子( 濱田マリ)|松子の母親・川尻多恵(キムラ緑子)|松子の教え子でのちにヤクザの龍洋一 (伊勢谷友介)|松子が唯一心を許す親友・沢村めぐみ(黒沢あすか)|ソープ嬢仲間の綾乃(斉藤スミ子)|松子晩年の隣人でヘビーロッカーの大倉修二(ゴリ)|松子の甥っ子の彼女・渡辺明日香(柴咲コウ)|最初の同棲相手で作家志望の八女川徹也(宮藤官九郎)|愛人となる岡野健夫(劇団ひとり)|その妻・岡野芳江(大久保佳代子)|理容師の島津賢治(荒川良々)|白い歯が光る松子が恋した同僚教師・佐伯俊二(谷原章介)|松子に殺されるヒモ、雄琴の男・小野寺保(武田真治)|後藤刑事(マギー)|汐見刑事(渡辺哲)|杉下教頭(竹山隆範)|田所校長(角野卓造)|トルコ「白夜」のマネージャー・赤木(谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)|金を盗まれた旅館売店の男(甲本雅裕)|TVドラマのヒロイン(片平なぎさ (本人役)|同じく犯人役(本田博太郎(本人役)|同じく刑事役(田中要次(本人役)|女囚A:唄(AI)|女囚B:家族(山下容莉枝)|女囚C:プライド(土屋アンナ)|女囚D:思い出(山田花子)|婦警(木野花)|係官(あき竹城)|牧師(嶋田久作)|超人気シンガー(木村カエラ)|アイドル歌手( 阿井莉沙)|
その他の出演者:江本純子、浅野麻衣子、星ようこ、蒼井そら、江口のりこ、松下萌子、榊英雄、鳴海剛、田村泰二郎、山本浩司、木下ほうか、片岡涼乃
下2

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1月掲載の映画 ~去年の今月今夜は何を観てたか(2018.1)

去年の1月、こんな映画を観てました。

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「心に花の咲く日まで」
監督:佐分利信
淡島千景、芥川比呂志
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「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」
監督:宮藤官九郎
神木隆之介、長瀬智也
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「歌行燈」
監督:成瀬巳喜男
山田五十鈴、花柳章太郎

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「希望のかなた」
監督:アキ・カウリスマキ
フィンランド|2017
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「国際市場で逢いましょう」
監督:ユン・ジェギュン
韓国|2014
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「断絶」
監督:モンテ・ヘルマン
アメリカ|1971

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CD紹介
“今日は日本のポップスだよ” 
細野晴臣
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CD紹介
“今日はソウルだよ” 
アレサ・フランクリン



その前の年には、こんな映画を観てました。下のこちらをクリックしてご覧ください。
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映画「バルバラ セーヌの黒いバラ」  監督:マチュー・アマルリック

上






 映画の撮影が始まった。
 その映画は、歌に生涯を捧げた、往年のシャンソン歌手・バルバラ( 1930 - 1997)の生きざまを描く物語。
 バルバラを演じるは、女優・ブリジット(ジャンヌ・バリバール)、監督はイヴ(マチュー・アマルリック)。ともにバルバラを敬愛するふたりなのです。
 本作は、この二人を中心に据えて、いくつもの撮影現場シーンと、その合間のオフの様子を見せます。


0_20190110145315058.jpg さて主人公ブリジットですが、彼女は役作りに没頭するあまり、撮影現場で、撮影中でないのに、時にバルバラ本人のような自由奔放な横柄な振る舞いをするようになります。
 それはバルバラに成りきるという物まねの域を超え、ブリジットの人格とバルバラのそれとの境目が次第に曖昧になって行く様子なのです。
 また監督イヴも、例えばコンサートシーン撮影中に、バルバラの持ち歌を歌うブリジットの演技に夢中になり、まるでバルバラ本人を目の前にしているような振る舞いをします。
 劇中劇と劇が、まるでメビウスの輪のような、そんな奇妙な様子が、本作「バルバラ セーヌの黒いバラ」で描かれます。
 よって映画を観るほうの我々も、これは劇中劇でのバルバラのコンサートなの?と、なるわけです。
 このように本作は観客を惑わし、戯れます。
 
 ですが本作の見どころは、この奇をてらった作風にあるのではありません。
 まず何より、バルバラの持ち歌の素晴らしさです。
 そして、バルバラを演じる女優ブリジット役のジャンヌ・バリバールが、とても歌心を持っている。これに惚れます。(口パクじゃないと思うのですがね・・)

 もし、シャンソンに余計な固定概念をお持ちなら、この際棄てましょう。
 そうすれば、本作が、歌を、歌うことを、歌心をテーマにしていることがはっきり分るでしょう。
 そのうえで・・、もしこの映画がギミックなしのストレートな物語展開で、バルバラの偉人性を語るなら、どうってことのない平板な映画になっていたでしょう。

 予告編です。(予告編中で、モノクロ映像がバルバラ本人です)
 公式サイト:http://barbara-movie.com/

 バルバラ本人のCD試聴
 https://www.amazon.co.jp/バルバラ全集-シャンソンの女王-バルバラ/ 


オリジナルタイトル:BARBARA
監督:マチュー・アマルリック|フランス|2017年|99分|
脚本:マチュー・アマルリック、 フィリップ・ディ・フォルコ|撮影:クリストフ・ボーカルヌ|
出演:バルバラを演じる女優・ブリジット(ジャンヌ・バリバール)|監督のイヴ・ザンド(マチュー・アマルリック)|Roland Romanelli(ヴァンサン・ペイラニ)|ラ・メール(オーロール・クレマン)|シャーリー・マルアーニ(グレゴワール・コラン)|アシスタントのマリー(ファニー・インバー)|ジャック・トゥルニエ(ピエール・ミション)|

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映画「ポリー・マグーお前は誰だ」  監督:ウィリアム・クライン

上

0-1_20190106205537871.jpg

 時は1960年代、パリ・ファッション界で一躍脚光を浴びるモデル、ポリー・マグー(ドロシー・マクゴヴァン)を描くコメディーです。
 でも、オフのポリーはソバカスだらけの普通の女の子、アメリカ人だ。

 映画は、ファッション業界とテレビ業界の裏表を、皮肉に描写し笑いを誘うと共に、ポリーの素顔を、そしてポリーに一目惚れした東欧のイケメン王子が白馬にまたがり・・のファンタジーをも取り込み、これら4つのシーンをコミカルに描いていきます。
 さらに映画は、(1)映像はモノクロの美しさを追及しています。(2)4つのシーンを100分のあちこちにパッチワーク風に配置していますので、ストーリー性は希薄。
 よって、難解に感じる向きもありましょうが、60年代のパリ発の粋と遊びが楽しめます。

 次の動画からポリーの素顔と、王子のファンタジー・シーンが観れます。
 https://www.youtube.com/watch?v=JWVGE1BJ1eQ
0-2_20190106205723a87.jpg ちなみに、マノエル・ド・オリヴェイラ監督の2010年の映画「アンジェリカの微笑み」に男女が抱き合いながら空を飛ぶシーンがあります。
 が、これは本作で、ポリーと王子が抱き合い空を飛ぶシーンと酷似ですね。
 元をたどるとすれば、シャガールですかね。

 次のここからはTV局プロデューサーや監督のシーンが観れます。
 TV局はポリーの生い立ちからを描く映像を制作しています。
 https://www.youtube.com/watch?v=u0fohGjYtCY

 これは映画冒頭に出てくる、奇抜なファッションショー。
 https://www.youtube.com/watch?v=dS_aJN7c8ps

 最後に、本作についての詳細な記述を見つけました。(芳野まい氏・著)
 なかなか面白いです。
 『ウィリアム・クライン「ポリー・マグーお前は誰だ?」における王子の役割 ~ファッション、メディア、シンデレラ』
 http://www.gakushuin.ac.jp/univ/let/top/publication/KE_59/KE_59_013.pdf


オリジナルタイトル:Qui etes-vous, Polly Maggoo
監督:ウィリアム・クライン|フランス|1966年|100分|配給:ATG|
脚本:ウィリアム・クライン|撮影:ジャン・ボフティ|音楽:ミシェル・ルグラン|
出演:Polly Maggoo(ドロシー・マクゴヴァン)|Gregoire(ジャン・ロシュフォール)|Prince Igor(サミー・フレー)|Jean Jacques(フィリップ・ノワレ)|ほか

 1960年代のフランス映画はいいですね。
 下記のページで、60年代の作品をまとめています。クリックしてご覧ください。
 img_poster52 3


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画面の装いを一新しました。

スマホやタブレットにも対応できるようにしました。
少しは見やすくなったかな。

また、記事下にあるこの4つのボタンも利用ください。
キャプチャ2
それから、画面右下あたりに現れるこれもお使いください。
一気に記事上や記事下に移動できます。
キャプチャ

◆画面デザイン
トップページのぼんやりな画像(ヘッダー画像)は、既成のテンプレート(画面の装いアプリ)に付随のを、そのまま利用してます。
で、何かなっ~ていう絵柄ですし、ちょっと大きすぎる感じですが、差し当たり差し替え方法がわからん・・。

◆インターネット技術
しかし、テンプレートを支えるIT系テクノロジーは最新です。
今までのテンプレートは10年目のものでした。

よろしくね!

新年おめでとうございます!

 一夜一話、今春でなんと、10年目を迎えます。
 続いちゃいましたね。祝!ポン!ポン!

 ブログに掲載した映画本数は・・1200本くらいかな、もう数える気はない。
 「それはいいけど、この先、どうすんの?」
 今まで通り、その日その日の風まかせ。

 ま、しかし、これからも続けてまいります。
 今年も、御ひいきの程、よろしくお願い申し上げます。

B


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2年前・4年前・6年前の12月、一夜一話。(2016年12月・2014年12月・2012年12月の掲載記事)

2年前の12月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  2年前の12月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2016年12月 Archive>

写真
「仁光の受難」
監督:庭月野議啓
第17回東京フィルメックス上映
写真
「ぼくらの亡命」
監督:内田伸輝
第17回東京フィルメックス上映
写真
「ハワイアン・ドリーム」
監督:川島透
時任三郎、ジョニー大倉
写真
「あの手この手」
監督:市川崑
久我美子、森雅之
写真
「台北ストーリー」
(旧題名:幼なじみ)
監督:エドワード・ヤン|台湾
写真
「苦い銭」
監督:ワン・ビン
中国
写真
「ザーヤンデルードの夜」
監督:モフセン・マフマルバフ
イラン
写真
「大人は判ってくれない」
監督:F・トリュフォー
フランス
写真
第17回東京フィルメックス
上映作品の「まとめ」です。
  
写真
第17回東京フィルメックス上映
フィリピン映画 普通の家族
  
写真
第17回東京フィルメックス上映
カンボジア映画 エグジール
香港映画 大樹は風を招く
写真
第17回東京フィルメックス上映
イスラエル映画山のかなたに
ティクン ~ 世界の修復
写真
第17回東京フィルメックス上映
イスラエル映画 オリーブの山
中国映画 よみがえりの樹
写真
第17回東京フィルメックス上映
韓国映画 「恋物語」
  

写真
今日はソウルのライブだよ。
ダニー・ハサウェイ
写真
“ ジャズはどこから来たのか”
「上海オーケストラ物語」「日本のジャズ史」
「スウィング・ジャパン 」「昭和のバンスキングたち」


4年前の12月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  4年前の12月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2014年12月 Archive)

写真
「さよなら歌舞伎町」
監督:廣木隆一、脚本:荒井晴彦
染谷将太、前田敦子
写真
「やじきた道中 てれすこ」
監督:平山秀幸
中村勘三郎,柄本明,小泉今日子
写真
「弥次喜多道中記」
監督:マキノ正博
片岡千恵蔵,杉狂児,D・ミネ
写真
「ニッポンのみせものやさん」
監督:奥谷洋一郎
ドキュメンタリー映画
写真
「Rain レイン」
監督:マイケル・メレディス
アメリカ
写真
「花嫁と角砂糖」
監督:レザ・ミルキャリミ
イラン
写真
「過去のない男」
監督:アキ・カウリスマキ
フィンランド
写真
「不思議惑星キン・ザ・ザ」
監督:ゲオルギー・ダネリア
ソ連

写真
京都のはなし「銭湯」
銀閣寺や東寺や下鴨神社あたり
で3軒の銭湯に出会った。
写真
京都のはなし「亰料理」
京料理店 「陶然亭」料理旅館 「山名」
そして白川と四条大橋。


6年前の12月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  6年前の12月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2012年12月 Archive)

写真
「非行少女 」
監督:浦山桐郎
和泉雅子、浜田光夫
写真
「夫婦」
監督:成瀬巳喜男
杉葉子、上原謙
写真
「涙を、獅子のたて髪に」
監督:篠田正浩、脚本:寺山修司他
藤木孝、加賀まりこ
写真
「ココニイルコト」
監督:長澤雅彦
堺雅人、真中瞳
写真
「半分の月がのぼる空」
監督:深川栄洋
忽那汐里、池松壮亮
写真
「きみにしか聞こえない」
監督:荻島達也
成海璃子、小出恵介
写真
「猫と鰹節 ある詐話師の物語」
監督:堀川弘通
森繁久彌,三木のり平,伴淳三郎
写真
「按摩と女」
監督:清水宏
高峰三枝子、徳大寺伸
写真
「ギムリ・ホスピタル」
監督:ガイ・マディン
カナダ
写真
「精霊の島」
監督:F・T・フリドリクソン
アイスランド
写真
「ボーイ・ミーツ・ガール」
監督:レオス・カラックス
フランス
写真
「嘆きのテレーズ」
監督:マルセル・カルネ
フランス
写真
「夜の終りに」
監督:アンジェイ・ワイダ
ポーランド
写真
「この森で天使はバスを降りた」
監督:L・D・ズロートフ
アメリカ
写真
「パラダイスの夕暮れ」
監督:アキ・カウリスマキ
フィンランド


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映画「放浪記」(1962)  主演:高峰秀子  監督:成瀬巳喜男

上
女給として働くも、客がすすめる酒で酔っぱらい、「洋風ドジョウすくい」を踊りだした林芙美子(高峰秀子)
こののち、店主から解雇されるが、しゃあしゃあとする林であった。

                 1-0_2018122518395160e.jpg

 「放浪記」とは、小説家・林芙美子(明治36年生まれ)が大正11年の頃から書き留めた日記をもとに、後年、作品としてまとめ上げ、昭和5年にベストセラーとなる小説。
 よって「放浪記」は、いわば若き日の自叙伝であり、映画はこれに沿いながら、底辺から這い上がり著名な作家となるまでのサクセスストーリーに仕上げている。
 林芙美子を演ずる、高峰秀子の素晴らしさを堪能してください。


2-0_201812251844125b8.jpg 林芙美子(高峰秀子)は、その母親が言うに、子供のころから一風変わった娘だった。
 世間が気にするような諸事には、まったく無頓着で、周囲は彼女が何を考えているのか分からず、しかし本人は自立する女性の自我を貫き、我が道を行くのです。

 すなわち、芯が強く、向こう見ずで酒豪で、文学作品をよく読み、いたってロマンチシストで詩人、そしてイケメンに惚れっぽい。(上京の前に尾道市立高等女学校を卒業している)

 そんな林芙美子の人柄を手っ取り早く知るには、「放浪記」を少し読むといいかもしれない。
 ネット上で全文がフリーで読めます(青空文庫です)。
 素朴なテイスト(初出版、雑誌連載)はこちらから
 作品として確立した(新版)はこちらから

 「放浪記」には、子供の頃から今に至る貧乏の苦労や、惚れた男の冷たさや、そんな恨み辛みのつぶやきが赤裸々に描かれています。
 しかし、その赤裸々をネガティブに感じ過ぎると、貧乏不幸をことさら売りにする女の、愚痴や嫉妬にしか聞えないかもしれない。

 さて彼女について、もう少し。
 当時、世は不景気で、まして東京で女ひとりが生きて行くには大変だったろうに、だが、それでも彼女は東京生活を選んだ。
 それは、いくら貧乏してもお構い無し、自己の責任で引き換え得られる自由奔放さが、彼女の身に合っていたからだろう。

 酒場や牛鍋屋の女給などの職を転々とし、今日の食事もままならぬ一方で、林は、多数の女性応募者が殺到した証券会社の面接試験に受かるも、その事務職の仕事の面倒臭さから、一日で職を蹴ったりする。

 さらには惚れた男を追って東京に出た彼女だが上京後すぐにフラれ、次に惚れたイケメンの舞台俳優&詩人の伊達(仲谷昇)、その次に惚れた陰のある詩人の卵(宝田明)にそれぞれ、押しかけ同居するも、うまく行かない様も描かれている。
 一方、上京間もなくの頃から彼女に片思いの、人の好い印刷工の安岡信雄(加東大介)にはすげなく、後年、彼女が著名な小説家になって初めて、林は安岡を人生の友として接したのでした。

 あとは観てのお楽しみということで・・。3-0_20181225190658903.jpg


監督:成瀬巳喜男|1962年|123分|
原作:林芙美子|脚色:井手俊郎 、 田中澄江|撮影:安本淳|
出演:林ふみ子(高峰秀子)|その母きし:田中絹代|貸間の隣室に住む印刷工の安岡信雄(加東大介)|林芙美子の詩人としての輝きを発見する男、そして林の愛人となる伊達春彦(仲谷昇)|売れない詩人、のちに林と同居する男・福池貢(宝田明)|同人会の幹事・白坂五郎(伊藤雄之助)|上野山(加藤武)|林と競う小説家・日夏京子(草笛光子)|同じく小説家の村野やす子(文野朋子)|のちに夫となる画家の藤山武士(小林桂樹)|田村(多々良純)|ほか

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