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一夜一話

映画「天使の分け前」  監督:ケン・ローチ

写真
皆、有罪判決で、裁判所の命令により、刑罰として社会奉仕の無償労働を強いられた、ワルな若者たち。
先頭を歩くのが、主人公のロビー。
その左、ロビーと並んで歩く太っちょが、保護観察所の指導員ハリー。
                  

0-1_20181210102032cfc.png ケン・ローチ監督による娯楽映画です。
 イギリスの下層の青年たちの非行を描く、ケン・ローチ風の物語設定ですが、本作「天使の分け前」は、 ハッピーエンドで終わるハートフルなコメディ作品となっています。

 仕事に就かず(就けず)、無為な日々を送るワルな青年7人が、裁判所からそれぞれ有罪判決を言い渡され、刑罰として40時間以上300時間以内の社会奉仕(ペンキ塗り作業などの無償労働)をすることが決まった。
 彼らの犯罪内容はそれぞれだ。繰り返す暴力沙汰や、アルコール/薬物依存による万引き常習、歴史的記念碑(銅像)への悪戯、列車運行の妨げなど、だった。

 そんな彼らの奉仕活動を現場でまとめ監督するのが、保護観察所の指導員ハリー。
 ハリーは彼らに寄り添う気持ちがある優しい男であった。
 特にハリーの心を引いた青年は、ロビーだった。
 なぜならロビーの彼女レオニーが出産間近であったからだ。暴力沙汰を繰り返すロビーが「父親になる」ことは、ロビーが悪から更生する絶好の機会だと、ハリーが考えたからだった。

0-2_20181210102455571.jpg しかし、これを妨げるのは、ロビーとレオニーそれぞれの父親同士の、古くからの憎しみ合いの因縁であった。

 つまり、正式に夫となるロビーを排斥しようとする、レオニーの家族側の暴力にロビーはさらされるが、これにロビーが暴力で応えれば、もう奉仕活動の刑罰では済まされない。
 レオニーとハリーは、いらつき憤るロビーを制した。そして男の赤ちゃんが生まれる。二人はルークと名付けた。

 ここに来てついに、レオニーの父親がロビーに相談を持ち込んだ。
 お前との喧嘩はお前がいればこれからも続く、5000ポンド渡すから、レオニーと別れ、赤ちゃんを置いて、黙ってこの街を去れと。
 そう、この街にいても、しょうがない、そうロビーも思った。(できれば三人でこの街を出たい・・)

 そんなある日、ハリーは自身の休日を利用して、ロビーら社会奉仕のメンバーを、ウィスキー工場見学やテイスティング会へ連れ出した。(その時のシーンが上の画像)
 ハリーはスコッチウィスキー愛好家で、皆も試飲を楽しんだ。

 話はここから急展開しだす!
 ロビーを幸運に導いたのは、結果的には、社会奉仕活動メンバーの中の一人の女の子だった。
 彼女は万引き常習犯で、何を盗んだことがロビーを幸せに導くことになったのか。
 それは、(1)にスコッチウィスキー工場の売店で、ウィスキーのミニボトルを多量に盗んだこと、(2)に世界的に貴重なスコッチウィスキーを貯蔵樽ごと、競りに出された競売会場で、そのウィスキー貯蔵庫を紹介したオークション資料を盗んだこと。
 もちろん万引きの彼女は、ロビーのためにとは、さらさら思ってのことではなかった。

 ロビーは、持ち帰ったミニボトルを皆であれこれ試飲するうちに、それぞれのスコッチウィスキーの味と香りに魅了された。そう、ロビーは、その違いが分かる自分自身に気付いたのだ。
 そして彼は、図書館まで出かけてスコッチウィスキーのテイスティングの本を読みあさった。
 さあ、ここからは観てのお楽しみ。
 ロビーが思い浮かんだ「ある計画」に乗った3人は、大金を得て、ロビーは職も得た。
 そして、ロビー、レオニーと赤ちゃんの3人は、意気揚々と街を去っていったのでした。
 その時、レオニーはロビーに、にこやかに言った。
 「そんなヤンチャな、あんたが好きよ!」 (終)

オリジナルタイトル:THE ANGELS' SHARE
監督:ケン・ローチ|イギリス= フランス= ベルギー= イタリア|2012年|101分|
脚本:ポール・ラヴァティ|撮影:ロビー・ライアン|音楽:ジョージ・フェントン|
出演:ロビー(ポール・ブラニガン)|ハリー(ジョン・ヘンショウ)|アルバート(ガリー・メイトランド)|ライノ(ウィリアム・ルアン)|モー(ジャスミン・リギンズ)|タデウス(ロジャー・アラム)|レオニー(シボーン・ライリー)|ロリー・マカリスター(チャーリー・マクリーン)|

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ポピュラー音楽!!  クラシック音楽

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1年前・3年前・5年前の12月、一夜一話。(2017年12月・2015年12月・2013年12月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-12-14 Fri 06:00:00
  • 映画
1年前の12月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の12月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2017年12月 Archive>

写真
「西陣の姉妹」
監督:吉村公三郎
三浦光子,宮城野由美子,津村悠子
写真
「雁」
監督:豊田四郎
高峰秀子、東野英治郎
写真
「天の茶助」
監督:SABU
松山ケンイチ、大野いと
写真
「川の底からこんにちは」
監督:石井裕也
満島ひかり
写真
「影」
監督:イェジー・カワレロウィッチ
ポーランド
写真
「黄金のアデーレ 名画の帰還」
監督:サイモン・カーティス
アメリカ
写真
荒唐無稽で波乱万丈なコメディ。
これまでに掲載してきた映画
厳選、33本!
写真
年末、京都へ行ってきた日記
祇園白川、下賀茂神社、和菓子屋


3年前の12月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
3年前の12月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2015年12月 Archive)

写真
「喜劇 にっぽんの
       お婆あちゃん」

監督:今井正  ミヤコ蝶々
写真
「どついたるねん」
監督:阪本順治
赤井英和、相楽晴子
写真
「しとやかな獣」
監督:川島雄三
若尾文子、伊藤雄之助
写真
「青春神話」
監督:ツァイ・ミンリャン
台湾
写真
「マッチ工場の少女」
監督:アキ・カウリスマキ
フィンランド
写真
「ミスター・ロンリー」
監督:ハーモニー・コリン
イギリス
写真
「袋小路」
監督:ロマン・ポランスキー
イギリス
写真
第16回東京フィルメックス、
<まとめ>
    
写真
「コインロッカーの女」
第16回東京フィルメックス上映
韓国
写真
「最愛の子」
第16回東京フィルメックス上映
中国
写真
「人生タクシー」
第16回東京フィルメックス上映
イラン
写真
「酔生夢死」
第16回東京フィルメックス上映
台湾

5年前の12月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
5年前の12月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2013年12月 Archive)

写真
「集金旅行」
監督:中村登
佐田啓二、岡田茉莉子
写真
「土砂降り」
監督:中村登
佐田啓二、岡田茉莉子
写真
「裸足のピクニック」
監督:矢口史靖
芹沢砂織
写真
「立候補」
監督:藤岡利充
ドキュメンタリー映画
写真
「セクシー地帯」
監督:石井輝男
三原葉子
写真
「阿修羅城の瞳」
監督:滝田洋二郎
宮沢りえ
写真
「天使の入江」
監督:ジャック・ドゥミ
フランス
写真
「我らの生活」
監督ダニエレ・ルケッティ
イタリア
写真
第14回東京フィルメックス
<まとめ> 計10本
    

写真
写真展「ジョセフ
      ・クーデルカ展」

東京国立近代美術館
写真
絵画展「生誕130年 川瀬巴水展」
~郷愁の日本風景
千葉市美術館
写真
箱根の「にごり湯」めぐり
芦の湯温泉「きのくにや」
仙石原温泉「パウエル」
写真
信州の「湯田中・渋温泉郷」めぐり
渋温泉と湯田中温泉

7年前の12月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
7年前の12月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2011年12月 Archive>

写真
「流れる」
監督:成瀬巳喜男
山田五十鈴、高峰秀子
写真
「恋の花咲く 伊豆の踊子」
監督:五所平之助
田中絹代
写真
「てなもんやコネクション」
監督:山本政志
新井令子、ツェ・ワイ・キット
写真
「生きてるうちが花なのよ
 死んだらそれまでよ党宣言」

倍賞美津子、原田芳雄
写真
「サウダーヂ」
監督:富田克也
鷹野毅、伊藤仁、田我流
写真
「われに撃つ用意あり」
監督:若松孝二
原田芳雄、桃井かおり
写真
「イン・ザ・スープ」
監督:A・ロックウェル
アメリカ
写真
「夢の旅路」
監督:マイケル・D・ジャコモ
アメリカ
写真
「サンタクロースの眼は青い」
監督:ジャン・ユスターシュ
フランス
写真
「ミリオンズ」
監督:ダニー・ボイル
イギリス
写真
「ベッドかざりとほうき」
監督:R・スティーヴンソン
アメリカ
写真
「つめたく冷えた月」
監督:パトリック・ブシテー
フランス
写真
「ロスト・チルドレン」
監督:ジャン=P・ジュネ
フランス
写真
「名前のない少年、
      脚のない少女」

ブラジル
写真
「無言歌」
監督:ワン・ビン
香港







美術館に行ってきた。 ~根津美術館「新・桃山の茶陶」

上






 時には、こういう展示を見て、心を洗うのも良い。
 まずは、美術館のホールにある、中国6世紀ごろの菩薩像や如来三尊像をみて気持ちの準備。
 いざ、突入。
 たくさん展示されている黄瀬戸、志野焼、瀬戸黒、絵唐津、織部焼、一点一点丁寧に見た。
(桃山の茶陶は1596年~1624年に降盛を極めたという)
 主な展示作品リストはこちらから。(根津美術館公式サイトより)

 当たり前だが、茶陶などの器は、手に取って見るもの、絵画のように離れて見るものじゃない。だから茶陶をよく見ようと近づいて、ショーケースのガラスに、思わず額をぶつける音が時々聞えたりするのが可笑しい。
 欧米人や和服姿の女性が多かったのも目を引いた。

 私がこの特別展に興味を持ったのは、かつて京都三条通沿いに、「瀬戸物屋町」という瀬戸物商の街があったことや、近年の発掘によって多数の茶陶破片が出土し、「瀬戸物屋町」が「桃山の茶陶」発展に果たした多大な役割が解明されたと知ったからだった。
 京都の町を描いた洛中洛外図屏風に当時の「瀬戸物屋町」の様子が描かれている。
 また、日本最古の絵地図:京都の町地図である「都記」にその名が記されている。


0_201812061011171eb.jpg

詳しくは下記の参考資料ふたつ・・・
 「三条「せと物や町」の成立と変遷」 ~(財)京都市埋蔵文化財研究所・京都市考古資料館  こちらからご覧ください。
 「三条せと物や町出土の茶陶」 ~(財)京都市埋蔵文化財研究所  こちらから

 両資料内に掲載の地図に、5か所の発掘現場の町名が記載されています。そのうちのひとつ弁慶石町には弁慶石※※が名所として建っています。
 また、有来新兵衛屋敷跡とあるのは、たぶん日昇別荘という上等そうな旅館です。

 京都へ行った折には是非、「瀬戸物屋町」を思い浮かべながら三条通を歩いてみてください。
 三条寺町からイノダコーヒ三条店のあたりです。

観光ガイドマップ風なのは、これがお薦め。
 「三条界隈」 ~京都市埋蔵文化財研究所  こちらから
 2ページ目です!(大きく拡大して見れます)

             

 桃山の茶陶が降盛を極めたというは1596年~1624年とのこと。
 本能寺の変は1582年。
 秀吉が市中の寺院を鴨川沿いへ強制移転し寺町通や御土居を作ったのが1591年。
 同じく秀吉は1590年に「天正の地割」で、「瀬戸物屋町」界隈を南北に通る道路、御幸町通と麩屋町通を新設した。
 これで「瀬戸物屋町」街の繁栄の基礎ができたのだろう。
 謎多き、聚楽第(建設期間1586年~1587年、1595年に破却)を見ていた「瀬戸物屋町」の商人たちは、御土居の七口のひとつ粟田口から続く三条通で、物流の玄関口の街で、大きな商いをしていたのだろうが、後世に言う「桃山の茶陶」の発展に尽くしているとは案外思ってもみなかったかもしれない。

※※弁慶石
 「増補 洛中洛外の群像 ~失われた中世京都へ」 瀬田勝哉(著) 平凡社ライブラリー
 これに詳しい。

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アニメ映画「夜は短し歩けよ乙女」  監督:湯浅政明 原作:森見登美彦

上

0-1_20181203111730e8f.jpg



 アニメ映画の、あの「千年女優」のように猛スピードで目まぐるしく展開します。
 原作の小説とはだいぶ違うそうですが、これはこれで十分楽しめますね。

 京都のお話です。
 大酒飲みの女子学生「黒髪の乙女」が、先斗町、木屋町の飲み屋街や、夜の下賀茂神社境内で開催の古本屋市や、京都の街頭で大暴れの大活躍。

0-2_201812031118498b8.jpg 脇を固めるは、あやかしの3階建て電車(自宅)の老人李白や、学園祭事務局長、パンツ総番長などおかしな大学生たち、飲み屋の常連酔客、古書収集マニア、古本市の神様らの大勢の登場人物たちが、自身の存在をかけて登場します。


 そして、「黒髪の乙女」に思い寄せる大学生(先輩)とは・・。そんで「ナカメ」とは・・。
(下記予告編へ続く)
 
 90秒予告編 公式URL 
 https://www.youtube.com/watch?v=tmeU9GFJW3I


監督:湯浅政明|2017年| 93分|
原作:森見登美彦|脚本:上田誠|キャラクター原案:中村佑介|キャラクターデザイン:伊東伸高|絵コンテ:湯浅政明、夏目真悟、大平晋也、チェ・ウニョン|演出:湯浅政明、許平康|総作画監督:伊東伸高|作画監督:濱田高行、霜山朋久、伊東伸高|フラッシュアニメーション:ホアン・マヌエル・ラグナ、アベル・ゴンゴラ|色彩設計:ルシル・ブリアン|美術監督:上原伸一、大野広司|撮影監督:バティスト・ペロン|


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映画「吹けば飛ぶよな男だが」  監督:山田洋次

上

 喜劇をベースに、阿呆なチンピラの恋と、その行方を語る映画。

1-0_20181128153126c70.jpg 主役「吹けば飛ぶよな男」を演ずる、なべおさみの想定外の熱演です。
 相方は、ど田舎からポッと出て来た、ちょっとポンな女、の役柄がぴったりの緑魔子。
 そして、もうひとりの相方、チンピラの手下役、佐藤蛾次郎が、寅さん出演以上のいい味。

 九州から片道切符で大阪駅に降り立った花子(緑魔子)。いかにも家出娘、の風。
 かたや、駅前雑踏で、ポルノ(ブルーフィルム)出演の女を物色中のやくざ数人。つまり、鉄(芦屋小雁)と、その配下に、主役の三郎(なべおさみ)にガス(佐藤蛾次郎)がいる。

 ま、いろいろあって、三郎は、堕ちてい行きそうな花子を、やくざのおもちゃにされそうな花子を、どうにも見過ごすことができず、大阪の街の片隅で、ガスとともに思案するが、そのうち三郎は花子に情が移り、そして恋・・。


2-0_20181128153413550.jpg 花子の妊娠。
 三郎が紹介した、花子の勤め先トルコ風呂の女将、お清(ミヤコ蝶々)が三郎に花子の妊娠を教えた。

 一方で、三郎とガスと、ソレとは理解していない花子とで始めた、ツツモタセ稼業に引っかかった客、独身の大学の先生(有島一郎)から、花子は隠れキリシタンの里生まれで、その教えから堕胎も、自殺もできないことを、三郎は教えられる。
 実は花子、強姦の末の妊娠であったし家出であったのだ。
 ああ、花子の苦悩!そして三郎はいかに・・。
 う~ん、あとは観てのお楽しみ。

 この映画、いわば、なべおさみ、緑魔子、佐藤蛾次郎が主役と言っていい。
 そして名脇役ミヤコ蝶々に有島一郎が脇を固める。
 ちょい役も、なかなかの布陣。
 大阪万博開催2年前の1968年、昭和43年の大阪の街をお楽しみください。

監督:山田洋次|1968年|89分|
脚本:森崎東、山田洋次|撮影:高羽哲夫|
出演:なべおさみ(三郎)|緑魔子(花子)|佐藤蛾次郎(ガス)有島一郎(先生)|ミヤコ蝶々(お清)|犬塚弘(不動)|芦屋小雁(鉄)|上方柳太(馬やん)|上方柳次(喜やん)|牧よし子(先生の家の老女中)|石井トミコ(不動の妻)|曽我廼家一二三(刑事)|佐山俊二(看守)|石橋エータロー(男)|安田伸(客引きの男)|石井均(トルコ風呂の助平男)|小沢昭一(弁士)|

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美術館に行ってきた。 ~三菱一号館美術館「フィリップス・コレクション展」、出光美術館「江戸絵画の文雅 魅惑の18世紀」

「フィリップス・コレクション展」 三菱一号館美術館

 この展示作品の多くは、下記から見ることができます。
 https://mimt.jp/pc/gallery.html  (三菱一号館美術館の公式サイト)

 そのなかで、気に入った絵画を5点あげてみました。
 どれも持って帰りたい。 
 ほかには、クレーやカンディンスキーの絵が気になりました。
 色がくすんでいるのです。照明の影響なのか、絵の具の劣化か、元々こうなのかな?
(下記5点の色彩は、当然ながら本当ではありません、単なるデジタル画像ですから)

写真
101.0×74.0cm
こんな大きなルオーの絵を見たのは初で大感激。
男のスーツの紺色が奥深い色彩なのでじっと見
つめました。この紺と赤の対比も絶妙。
写真
65.1×50.2cm
ピカソは何点かあったが、これが一番。
絵を見つめるほどに、この女性が知り合いの様
に思えてくるから不思議。写実!
写真
59.4×72.7cm
絵の中のその場所に引き込まれます。
朝日か夕日か、その陽射し光の柔らかな色彩、そして道に長い陰
を引く青。道端の静かな空間が描かれている。
写真
36.2×50.2cm
セザンヌのこういう風景画が好き。
私の近所から見える遠景を、頭の中で、この絵風に置き換えてみることがある。
その時それが心地いい。
写真
46.0×50.2cm
この人、初めて見ました。
味がありますね。嵐のあとにまだ残る荒い風を頬に感じます。
絵が放つオーラ(良さ)は、やはり実物を見ないと分からない。


「江戸絵画の文雅 魅惑の18世紀」 出光美術館

出光2 趣向ががらっと変わりますが、18世紀の江戸絵画の文雅。
 池大雅、与謝蕪村、俵屋宗達、尾形光琳など名立たる画人の作が並んでいました。圧巻です。
 こういった絵画はたいてい、掛軸や屏風に収められています。(右図:池大雅「竹裏館図」116.1×29.2㎝)
 特に掛軸ですが、掛軸に仕立てること(表装)にも私は関心がいきます。
 絵に合った裂(きれ)の、柄や色合いの工夫具合で、作品の見栄えが違ってくる。表装は額縁の存在以上の影響を作品に与えます。
 そんな目で見て、与謝蕪村の「筏師画賛」(下図)がすごく良かった!
 ただこれだけ見ると、なんじゃという風ですが、表装と相まって素晴らしい作。(絵自体のサイズは27.2×66.8㎝)
 笠をかぶり蓑(みの)をまとっているから雨模様らしい。
 川の流れのしぶきや雨が冷たいのでしょうか、実物の作品をよく見ると、筏師の素足に表情がある。冷たそう!

出光

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2年前・4年前・6年前の11月、一夜一話。(2016年11月・2014年11月・2012年11月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-11-30 Fri 06:00:00
  • 映画
2年前の11月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  2年前の11月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2016年11月 Archive>

写真
「あん」
監督:河瀬直美
樹木希林
写真
<カ行> の洋画
これまでに記事にした洋画
2016.11.15 現在
写真
「エル・スール」
監督:ビクトル・エリセ
スペイン
写真
「橋の上の娘」
監督:パトリス・ルコント
フランス
写真
第17回東京FILMeX上映作品
3作品:スリランカ、韓国、中国
       
写真
第17回東京FILMeX上映作品
「マンダレーへの道」
台湾/ミャンマー
写真
今日はジャズ・ボーカルだよ。
ダイアナ・クラールと
ナット・キング・コール
写真
最近、読んだ本、3冊。


4年前の11月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  4年前の11月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2014年11 Archive)

写真
「鴛鴦歌合戦」
監督:マキノ正博
片岡千恵蔵、市川春代
写真
「箱入り息子の恋」
監督:市井昌秀
星野源、夏帆
写真
「穴」
監督:市川崑
京マチ子,船越英二,山村聡
写真
「顔役」
監督:勝新太郎
勝新太郎,山崎努,藤岡琢也
写真
「タラデガ・ナイト
      オーバルの狼」

アメリカ
写真
「記憶が私を見る」
監督:ソン・ファン
製作:ジャ・ジャンクー|中国
写真
「グロリア」
監督:ジョン・カサヴェテス
アメリカ
写真
「バニシング・ポイント」
監督:R・C・サラフィアン
アメリカ
写真
「呼吸」
監督:K・マルコヴィックス
オーストリア
写真
東京フィルメックス2014
「扉の少女」
韓国
写真
東京フィルメックス2014
「生きる」
韓国
写真
美術展「楽園としての芸術」
障害ある人たちによる作品展
(東京都美術館)
写真
美術展「オープン・スペース
          - 2014」

( 東京オペラシティ内 ICC)
写真
京都のはなし
うどん


6年前の11月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  6年前の11月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2012年11月 Archive)

写真
「宇宙大戦争」
監督:本多猪四郎
特撮: 円谷英二
写真
「野良犬」
監督:黒澤明
三船敏郎、志村喬
写真
「暁の追跡 」
監督:市川崑
池部良、杉葉子
写真
「Love Letter」
監督:岩井俊二
中山美穂
写真
「ヒポクラテスたち」
監督:大森一樹
古尾谷雅人、伊藤蘭
写真
「ドント・ルック・バック」
ドキュメンタリー映画
アメリカ、イギリス
写真
「トニ」
監督:ジャン・ルノワール
フランス
写真
「ヘンリー・フール」
監督:ハル・ハートリー
アメリカ
写真
「ウェルカム・トゥ
       ・コリンウッド」

アメリカ
写真
「鬼火」
監督:ルイ・マル
フランス
写真
「恋の邪魔者」
監督:パトリス・ルコント
フランス
写真
「おばあちゃんの家」
監督:イ・ジョンヒャン
韓国
写真
「天使の眼、野獣の街」
監督:ヤウ・ナイホイ
香港
写真
「灯台守の恋」
監督:フィリップ・リオレ
フランス



ロシア映画「アイカ」(原題) ~第19回東京フィルメックス上映作品

『アイカ 』(公開時邦題未定)  Ayka 【コンペティション作品】 
ロシア、ドイツ、ポーランド、カザフスタン、中国|2018|100分|監督:セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ (Sergei DVORTSEVOY)|2019年公開予定
アイカ



 季節は冬、大雪のモスクワが話の舞台。
 天山山脈の北、キルギス共和国(旧国名キルギスタン)から出稼ぎに来ている若い女性、その名はアイカ。 
 モスクワ市内の病院で出産しその直後に、子を院内に置き去りにして、アイカは病院を去った。

 アイカが持つ、外国人労働者の労働許可証の期限は、すでに切れている。
 もとより、彼女のような中央アジアからの出稼ぎに、まともな扱いを受けるまともな収入の仕事はない。

 病院を去ったアイカは、その足で、それまで働いていた職場へ急ぐ。
 そこは、人目を避けた薄汚い地下室、鶏肉処理に女たちが働いている。アイカも加わる。
 しかし怪しげな雇い主は、彼女たちにここ数日分の賃金支払いをせず、姿をくらました。

 アイカは苦しそうだ。
 出産直後の医療手当を受けずに病院を出たのだから当然だ、出血が止まらない。
 アイカの住処は、不法滞在の人間たちが集まり住むホテル、と持ち主が呼ぶタコ部屋のような所。窓はすべて塞がれ当局の目を避けている。一人分のスペースは畳一畳分あるかないか、仕切りはカーテン1枚。アイカは家賃を滞らせている。

 スマホに、アイカの姉からたびたび電話がかかる。
 良からぬ者に脅されているらしい。
 アイカは、実はその連中からまとまった金を借りたが、まだ多額の残金を返せずにいる。その脅しが始まった。あと2日で返せ、さもなくば姉の指を切り落とすと脅す。
 アイカが出産すぐに働こうとするのは、この返済にため。時間は無い。
 何故に彼女は多額の借金をしたのだろう、それは彼女の夢、起業だったが・・。

 アイカの乳房が張る。服に乳が染み出る。体調も思うようには戻らない。
 それでも、働き口を探して街をさまよう。雪かきの仕事は無理だった。
 そんななか偶然にも同郷の女性に出会い、代理で臨時の仕事を得た。

 しかしアイカはついに返済は無理だと観念した。
 残す最後の手、それは・・・。(公開を待って、観てください、アイカ役の女優が大熱演です)

              

 ロシアでも、やはり移民差別の問題があります。
 下記は、ロシアの「出稼ぎ労働者ガイド」に侮辱的表記、というグローバル・ボイスの記事。(外部リンク)
 https://jp.globalvoices.org/2013/01/10/19745/ (グローバル・ボイス)
 出稼ぎ労働者向けのガイドブックに、出稼ぎ者を表すイラストの、その顔の部分が道具(塗装用ローラー、ほうき、コテ)に描かれている。
 私のブログでは、出稼ぎ労働を主題に据えた映画を2つ取り上げています。
 スペイン映画「BIUTIFUL ビューティフル」とベルギー映画「イゴールの約束」です。クリックしてご覧になってみてください。
 
 なお、「アイカ(仮題)」の監督、セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ監督は、2008年に「トルパン」という映画を撮っています。(カンヌ映画祭「ある視点」賞を受賞)
 この映画はすでに私のブログで記事にしています、こちらからお読みください。
 「アイカ」主演女優も出演していました。

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中国映画「轢き殺された羊」(ひきころされたひつじ) ~第19回東京フィルメックス上映作品

『轢き殺された羊』 Jinpa 【コンペティション作品】
中国|2018|86分|監督:ペマ ツェテン(Pema Tseden)|
1_20181121183430f89.jpg


 まず冒頭から感じるのは、スタンダードサイズの映像構図がとても良いのです。
 観ているだけで気持ち良い。


 話のステージは、高度5000メートル級のチベット高原。
 草木生えぬ広大な大地の、ひたすら続く一本道を、一台のトラックが走る。
 ガタガタ道と、おんぼろトラックの走行音と、虚無的な無人の大地、このシーンが続くうちに、いつしか観客は虚空な気持ちになっていく。
 これがこの映画の重要な前奏曲。


0-0_20181124121839d24.jpg
 
 その一瞬だった。迷い羊だろうか、トラックは一頭の羊を轢いてしまった。
 ドライバーのジンパという男、顔はいかついが心は優しいのだろう。羊の供養が頭に浮かび、羊を助手席シートに担ぎ上げた。
 そののち、しばらく走ったジンパは、無心に歩く巡礼者のような薄汚い姿の男を情けで乗せてやった。この男も名をジンパと言った。親の仇討ちに向かうと言う。

 話はこの先、ドライバーのジンパの孤独な日常を描きながらも、もう一人のジンパの事が、何故か気にかかるドライバーのジンパは、途中で降ろした彼のあとを追うことになる。
 そしてドライバーのジンパは、幻想の中で、もう一人のジンパの過去の、その一瞬に立ち現れるのであった。

 彼の地の、今の風俗が味わえるのも、この映画の魅力のひとつです。


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気になる映画 68  《これから上映の映画》

写真
「夜明け」
監督:広瀬奈々子
1/18- ピカデリー
写真
「台北暮色」
監督:ホアン・シー
製作指揮:ホウ・シャオシェン
11/24- ユーロスペース他各地
写真
「山中傳奇」
監督:キン・フー
11/24- 新宿K's cinema
 
写真
ペーター・ネストラー監督特集
アテネ・フランセ文化センター
11/29-12/1
 
写真
日本スウェーデン外交関係樹立150周年
スウェーデン映画への招待
国立映画アーカイブ
11/27-12/13、12/15-23



韓国映画「川沿いのホテル」,「草の葉」 ~第19回東京フィルメックス上映作品

『川沿いのホテル』 Hotel By The River 【特別招待作品】
韓国|2018|96分|監督:ホン・サンス (HONG Sang Soo)|
1_2018111911531692a.jpg
 冬、漢江の川岸に建つ、宿泊客の少ないホテルを舞台に、著名な詩人と、彼がホテルに呼び寄せた息子兄弟との話。
 そしてもうひとつは、悲恋に打ちひしがれ、ホテルの一室に籠もる後輩を、慰めるため先輩が訪ねた、という設定の女性2人の話。
 
 この二つの話は並行して語られ、時にちょっと交わります。
 また映画は、作らない静かな演技・撮影と、極々自然な会話シーンだけで成り立っていて、かつロケはホテルの館内外だけの、簡素なつくり。


1-0_20181121141905e46.jpg ですが、そんなシーンの中に、早くに離婚した詩人と息子との疎遠な親子関係の、そして有名人の次男と妻に逃げられたショボい兄といった兄弟関係の、それぞれの微妙な距離感とちぐはぐさ、それを乗り越えようとする歩み寄りを浮き彫りにします。 

 一方、女性2人の会話からは、後輩と相手の男との状況が見え出し、酷い仕打ちなのに、ふと相手を思う気持ちが湧き上がる後輩の話を真摯に優しく聞く先輩、そして先輩も何か悲しみを持っている様が浮かび上がります。

 脚本を書くホン・サンス監督は、ロケ当日の朝に脚本を書き上げ、よって俳優は当日に脚本を渡されたようです。
 即座の反応が求められる俳優は懸命でしょうが、そうした即興性で俳優を刺激して出てくる演技は、監督にとって新鮮採れたてに感じるのでしょう。それを求めるのでしょう。
 もっとも、監督は事前に俳優と十分にコミュニケーションをとり、俳優個人の身の回り情報も得て、脚本や役柄に反映しているとのこと。だから、俳優にとっては無理なく演技に入れるそうです。
 ただし、いささか冗長なシーンはありますね。


『草の葉』 Grass 【特別招待作品】
韓国|2018|66分|監督:ホン・サンス (HONG Sang Soo)|
2_20181119115903d1e.jpg
 こちらは、ソウル(?)の街中の路地裏にある喫茶店。
 冒頭、映画は、時を別にして来店した2人客4組の、それぞれの会話シーンだけを連ねます。

 本作は、このように店内での会話シーンをいくつも反復することで、年齢職業さまざまな立場の人々の生きざまや思いを、同時多発的にあるいは現在を面的に描こうとしています。




3-0_201811211700364cc.jpg 知り合いが自殺したことを共有する男女の言い争いの会話や、演劇界では知れたベテランだが意見をたがえて劇団を抜けたが故に生活困窮する老人と心配する中年女優との会話や、店先外のテーブルではもう一人の男優と友人の若い女性との会話を、観客は聞きます。
 加えて、これらの会話をずっと、店内の隅でいわば盗み聞きして、Macになにやら書き込んでいる、物書き志望の、淑やかな女性(この人が主役か)がいます。
 さらには、この女性が店外にいた男優に厚かましくされたり・・。

66.jpg 続いて、シーンは他の店に移ります。 
 物書き志望の女性が、その弟とその彼女にずけずけ物言いするシーン、厚かましい男優の知り合いの女性は、ある男と深刻な悲しい会話をするシーン。

 そして場面はもとの喫茶店に戻ります、夜です。
 そこでは、劇団を抜けた老人と中年女優、厚かましいい男優とその知り合い女性の計4人が和やかにし、これに物書き志望の女性が座に加わるようでした。(終)
 
 もちろんこの間に、知り合いが自殺したことを共有する男女の関係が、喫茶店内で意外な展開をし、物書き志望の女性の弟カップルには、ちょっとした異変が起きたのかもしれません。
 
 他人の会話は、大概、たわいなく聞こえるかもしれないが、本人にとってはそうではない。
 そこにドラマを作って見せてくれます。かつ人の連鎖もテーマのようです。
 また、要所要所にナレーションが入り、シーンを締めています。
 作品の出来は、上の「川沿いのホテル」の方が良いと感じます。

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ポピュラー音楽!!  クラシック音楽
 

映画「にっぽん昆虫記」  監督:今村昌平

上1





 まるでドキュメンタリー映画のようなリアルな映像、ライブ感は、セットを使わずの自然な演出もさることながら、やはり撮影の力が大きいように思う。
 例えば、セリフを言う主役の姿が画面端で、それも縦半身しか映さず、画面中央には端役たちが位置する構図など、映画撮影の御作法を避ける手法をとって、リアル感を出している。
(とは言っても主役のその半身は、三脚に固定したカメラでしっかり構図に入れている技)
 あわせて、口ごもったセリフが方言全開であることもリアル感を誘う。(字幕が欲しい)

 しかしドキュメンタリー映画のようなリアルを感じる一番の要因は、これが決定打だが、50年以上前の俳優たちの放つ「存在感」が、つまり、映画が言うその時代の多くを実際に生きた俳優たちの存在感自体が、当時のリアルな雰囲気を作為なく体現していることだ。
(同じ条件で現代の俳優を起用しては、こうはならないだろう)
 だから観客は、ドラマ映像と、映画に挿入される松川事件や安保闘争の実写との間に違和感を覚えない。

1-0_20181121115516450.jpg


 お話は、大正7年から戦後すぐまでの30年を語り、その間の日本社会の下層を描くを背景にして、東北の小作農家に生まれた松木とめ(左幸子)の、小作出自だからこその不幸と、農村の因習と愛欲と、とめの頑張り、そして単身東京へ出ての、身一つの成り上がりでつかんだ売春稼業と女の幸せ、あとを追う娘信子(吉村実子)の生きざま、そして、とめの挫折と諦観を物語る。
 
 公開当時の売り文句では、「私はカマキリ!男の生血を吸って、たくましく生き抜く背徳の女ひとり」。(ロマンポルノではない)
 左幸子は、本作でベルリン国際映画祭の主演女優賞を受賞(日本人初)。
 


監督:今村昌平|1963年|123分|
脚本:長谷部慶次 、 今村昌平|撮影:姫田真佐久|
出演:松木とめ(左幸子)|松木りん(岸輝子)|松木えん(佐々木すみ江)|松木忠次(北村和夫)|松木沢吉(小池朝雄)|松木るい(相沢ケイ子)|とめの娘・松木信子(吉村実子)|蟹江スマ(北林谷栄)|小野川(桑山正一)|本田俊三(露口茂)|坂下かね(東恵美子)|上林芳次(平田大三郎)|製糸工場の男・松波守男(長門裕之)|米兵の妻(オンリー)の谷みどり(春川ますみ)|班長(殿山泰司)|若い衆A(榎木兵衛)|若い衆B(高緒弘志)|高羽製糸女工A(渡辺節子)|高羽製糸女工B(川口道江)|正心浄土会A(澄川透)|正心浄土会B(阪井幸一朗)|とめのパトロン・唐沢(河津清三郎)|タクシー運転手(柴田新三)|東北本線の客A(青木富夫)|東北本線の客B(高品格)|警察の取調官(久米明)|谷みどりの夫(ヒモ)の韓国人のけんちゃん(小沢昭一)右下写真

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ポピュラー音楽!!  クラシック音楽

1年前・3年前・5年前の11月、一夜一話。(2017年11月・2015年11月・2013年11月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-11-18 Sun 06:00:00
  • 映画
1年前の11月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の11月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2017年11月 Archive>

写真
「喜劇 駅前旅館」
監督:豊田四郎
森繁久彌,伴淳三郎,淡島千景
写真
「あらくれ」
監督:成瀬巳喜男
高峰秀子
写真
「スワロウテイル」
監督:岩井俊二
CHARA 

写真
「妻の愛、娘の時」
監督・主演:シルヴィア・チャン
中国
写真
「天使は白をまとう」
監督:ヴィヴィアン・チュウ
中国
写真
「氷の下」
監督:ツァイ・シャンジュン
中国
写真
「ジョニーは行方不明」
監督:ホァン・シー
台湾
写真
「ファンさん」
監督:ワン・ビン
香港、フランス
写真
「見えるもの、見えざるもの」
監督:カミラ・アンディニ
インドネシア、オランダ

写真
CD紹介
中山うり 「夏祭り鮮やかに」


3年前の11月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
2年前の11月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2015年11月 Archive)

写真
「下町の太陽」
監督:山田洋次
倍賞千恵子
写真
「誓いの休暇」
監督:グリゴーリ・チュフライ
ソ連
写真
「神々のたそがれ」
監督:アレクセイ・ゲルマン
ロシア
写真
「世紀の光」
監督:アピチャッポン
  ・ウィーラセタクン|タイ
写真
「アッカトーネ」
監督:ピエル・パオロ
  ・パゾリーニ|イタリア
写真
「白い光の闇」|スリランカ、
「消失点」 |タイ
第16回東京フィルメックス上映
7-0.jpg
「タルロ」|中国
「ベヒモス」 |中国
第16回東京フィルメックス上映


5年前の11月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
4年前の11月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2013年11月 Archive)

写真
「スチャラカ社員」
監督:前田陽一
ミヤコ蝶々、新藤恵美
写真
「日本列島」
監督:熊井啓
宇野重吉、芦川いづみ
写真
「ビューティフルサンデー」
監督:中島哲也
永瀬正敏、尾藤桃子
写真
「豚と軍艦」
監督:今村昌平
長門裕之、吉村実子
写真
「サーカス五人組」
監督:成瀬巳喜男
大川平八郎、梅園龍子
写真
「八日目の蝉」
監督:成島出
永作博美、井上真央
写真
「M/OTHER」
監督:諏訪敦彦
三浦友和、渡辺真起子
写真
「土」
監督:内田吐夢
小杉勇、風見章子
写真
「僕は天使ぢゃないよ」
監督:あがた森魚
あがた森魚、斉藤沙稚子
写真
「ジェリーフィッシュ」
監督:E・ケレット,S・ゲフェン
イスラエル
写真
「デタッチメント
      優しい無関心」

監督:トニー・ケイ|アメリカ
写真
「わが友イワン・ラプシン」
監督:アレクセイ・ゲルマン
ソ連
写真
「M」
監督:フリッツ・ラング
ドイツ


7年前の11月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
6年前の11月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2011年11月 Archive>

写真
「夫婦善哉」
監督:豊田四郎
森繁久彌、淡島千景
写真
「喜劇 夫婦善哉」
監督:土居通芳
藤山寛美、野川由美子
写真
「魚影の群れ」
監督:相米慎二
夏目雅子、緒形拳
写真
「洗濯機は俺にまかせろ」
監督:篠原哲雄
富田靖子、筒井道隆
写真
「春子とヒデヨシ」
パイナップルツアーズより
監督:中江裕司
写真
「新・夫婦善哉」
監督:豊田四郎
森繁久彌、淡島千景
写真
「喜劇 駅前団地」
監督:久松静児
森繁久彌、フランキー堺
写真
「ビリケン」
監督:阪本順治
杉本哲太、山口智子
写真
「君とボクの虹色の世界」
監督:ミランダ・ジュライ
アメリカ
写真
「石炭、金」
監督:ワン・ビン
中国
写真
「常緑樹」
監督:シン・サンオク
韓国
写真
「ブック・オブ・デイズ」 
監督:メレディス・モンク
アメリカ
写真
「南京の基督」
監督:トニー・オウ
日本・香港
写真
「ゼロシティ」
監督:カレン・シャフナザーロフ
ソ連
写真
「ゴールキーパーの不安」
監督:ヴィム・ヴェンダース
西ドイツ
写真
「ミスター・ツリー」
中国
(第12回東京フィルメックス)

写真
「食う。 百姓のエコロジー」
田中 佳宏 著




映画「ジャーマン+雨」  監督:横浜聡子

320.jpg







 公開時の衝撃は、なかなかでした。
 こういう映画もあるんだと。異次元だね。優れた喜劇です。

 人の話を聞かない女、自身の要求を強引に性急に相手に求める、そんな迷惑極まりない「よし子16歳」を演ずる女優、野嵜好美は、ワン&オンリーだ。

 この尖がりな女の行動を緩和するのが、小学生の男の子3人。(この子役たちが、おいしい味を出している)
 彼らは、よし子が開く縦笛教室の生徒たちだ。
 よし子は先生だが、子たちと同レベルで戯れている(と第三者には見える)

 とある地方都市の郊外、田園風景の中に、ぽつんと建つ、くたびれた小さな一軒家に、よし子はひとりで住んでいる。
 小さい頃、親の離婚時に両方の親に捨てられ、その後、祖母の家で育つも、祖母の死後、中学を中退し、植木職見習いでなんとかギリギリの生活をしている。
 そして小遣い稼ぎに、小学生相手に自宅で縦笛教室を開いている。


0-1_201811162017347ab.jpg よし子は、まるで漫画のキャラのような粗暴な女で嫌われ者だが、それでも彼女を良く思ってくれる人間がいる。
 その一人は、よし子が学校に通っている頃に同級だった、美人の上野まき(藤岡涼音)。
 時によし子にぶたれたりするが、とても親身になってくれる。
 もうひとりは、植木職の先輩でイケメン・ドイツ人のカイ(ペーター・ハイマン)。
 実は、イケメンがいるとのうわさをよし子は聞きつけ、それで植木職人見習いに就いた次第。
 
 よし子は、恋をしたい、歌手デビューしたい、金持ちになりたいと無謀な夢に、無鉄砲にしがみ付いている。
 そんな夢に付き合ってくれるのが、上野まき。(それは観てのお楽しみ)

0-2_2018111620194375d.jpg ですが、よし子の夢は破れ、破れかぶれの日々。
 ほんとはね、そんな夢、叶うはずは無いと自身もハナから思っていたのだろうが、抱く夢が寂しさ悲しみ吹き飛ばす原動力・・。

 よし子、自殺か? 家の前にあるマンホールにいきなり飛び込む。(そこは汲み取り式便所の、し尿槽)
 病院に運ばれ意識不明でベッドに横たわるよし子に、男が床を這いながらベッドサイドに来て、よし子の手を握る。
 そう、それはなんと、植物状態で同じ病院に入院していた父親であった。
 昔、よし子が幼い頃、し尿槽に落ちて、父親が助けてくれた、今回もそのようだ。


監督・脚本:横浜聡子|2006年|71分|
撮影:平野晋吾 、 鎌苅洋一|
出演:林よし子(野嵜好美)|上野まき(藤岡涼音)|カイ(ペーター・ハイマン)|ケン(本多龍徳)|みつぐ(徳永優樹)|あつし(田尻大典)|林よし子の父親(飯島秀司)|汲み取りバキュームカーの男・小川(ひさうちみちお)←著名な漫画家です!

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気に入ってる、最近の映画。(アジアの映画編)

写真
「花嫁と角砂糖」
結婚式に集まった一族郎党の群像劇。
人々が各々に人生を背負い、ここに集
う様をうまく描いている。これでイラ
ンの家庭料理の匂いがすれば最高。
イラン
監督:レザ・ミルキャリミ
写真
「スタンリーのお弁当箱」
ムンバイの小学校がお話の舞台。クラ
スの中に貧富の差がある。その度合い
を示すのがお弁当の内容と量。でも待
ちに待ったお昼時になると、みな夢中!
インド
監督:アモール・グプテ
写真
「ハーモニー・レッスン」
やくざの世界に通じる18歳の生徒が全
校を支配する中、低学年が公然と虐め
に会い、さらには13歳の少年が殺人事
件に巻き込まれ自白を迫られるが…。
カザフスタン
監督:エミール・バイガジン
写真
「コインロッカーの女」
バイオレンスな裏の世界と短く儚い初
恋を描くアクション映画。最後まで飽
きさせない娯楽作品。しっかりした構
成よく書き込まれた脚本。パワフル!
韓国
監督:ハン・ジュニ
写真
「恋物語」
女性同士のLove Story。女性監督なら
ではの心細やかな描写。ユンジュとジ
スの揺らぐ心の機微を上手にすくい上
げる。脚本への緻密な配慮も伺える。
韓国
監督:イ・ヒョンジュ
写真
「ブンミおじさんの森」
おじさんが住む一軒家は精霊たちが住
む深い森。日が暮れると闇の中に浮か
ぶ舟の様。森のすべての生死・輪廻転
生を包み込んでいるのはアジア的風土。
タイ
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
写真
「光りの墓」
突然の発作後ひたすら眠り続ける不可
思議な難病。この患者が何人も収容さ
れる病院。光る医療機器の不思議感。
患者や死者と交信する女。古代と現代。
タイ
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
写真
「マンダレーへの道」
ミャンマーからタイへ不法入国した男
女のラブストーリーと別れを描く。不
法滞在者が得るのは長時間労働を強い
られる厳しい職場。芽生える恋、だが。
台湾、ミャンマー
監督:ミディ・ジー
写真
「昔々、アナトリアで」
トルコ東部の果てしなく続く丘陵風景
の中で語られる荒涼としたロードムー
ビー、そして関係者たちの群像劇。映
像の文筆力が飛びぬけて素晴らしい。
トルコ
監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
写真
「記憶が私を見る」
観る者の感性が試される映画かも。何
んでもない日常の奥にひっそり佇む精
神の有り様、感情の細やかさを僅かな
台詞で静かに描いて映画にしている!
中国|製作:ジャ・ジャンクー
監督・主演:ソン・ファン
写真
「最愛の子」
実話が基の話。3歳の一人息子の誘拐
事件。中国では子供の誘拐、売買が多
発、年20万人もの子供が行方不明にな
る。この世情を背景に親たちを描く作。
中国
監督:ピーター・チャン
写真
「妻の愛、娘の時」(相愛相親)
母の遺骨を父親が眠る故郷の墓に埋葬
しようとするが故郷に住む父の先妻に
断固反対される喜劇的な話。場面の切
り返しに独特のリズムがあって好印象。 
中国
監督・主演:シルヴィア・チャン
写真
「苦い銭」
市井の人々のありのままを、それも広
大な国土の極一点の様子を描いたドキ
ュメンタリーだが「中国の今」をしっ
かりと感じとれるのはこの監督の魅力。
中国
監督:ワン・ビン
写真
「普通の家族」
マニラの街中でストリートチルドレン
として育った16歳のジェーンと17歳の
アリエスの物語。二人の間に子が生ま
れ、母は強しの苦労の日々。
フィリピン
監督:エドゥアルド・ロイ・Jr




映画「イン・ハー・シューズ」  監督:カーティス・ハンソン

上
妹のマギー、祖母のエラ、姉のローズ


 性格と才能がまったく違う姉妹と、その祖母、女3人のそれぞれの幸せを見つける物語。
 アメリカンテイストな娯楽映画をお楽しみください。
 
0-1.jpg ローズとマギーは、仲が良い。そして共に、独身。
 二人の母は二人が幼い頃、交通事故死したらしい。父親は再婚し姉妹を育て姉は自立し今に至る。

 30歳を過ぎた姉のローズ(トニ・コレット)は、フィラデルフィアの大手法律事務所に勤める弁護士。
 仕事に没頭の毎日は、ある種の現実逃避。
 恋愛に縁が無いらしい、寂しい私生活とエッチな恋愛小説。
 買った上等なマンションの、ウォークインクローゼットには高価な靴がズラリ。ローズにとって慰みの靴たち。
 しかし最近、上司といい関係になったが・・。

 かたや、30歳を前にした妹のマギー(キャメロン・ディアス)は、美貌とナイスバディで男に不自由なし。
 結果、日々、夜遊び度重なる外泊と世間を浮遊する遊び人、ついに継母に実家から追い出される。
 性格は大雑把で楽天家。ファッションセンスは優れてる。
 だが発達障害※があって、店員やレジの仕事もできず、いつも金欠。
 (※読むこと暗算することがとても遅い、学校では特別支援学級だった)

0-2_20181111093116cf7.jpg 姉妹の(母方の)祖母、エラ(シャーリー・マクレーン)は、フロリダにいる。リゾートホテルのような高級な老人ホームに住んでいる。
 エラは今も、娘(姉妹の母親)のことで悔い続けているようだ。(姉妹の母親は映画に登場しない)
 実は姉妹の母親は交通事故死ではなく自殺だった
 エラはあの頃を振り返り、もっと何かしてあげていれば自殺には至らなかったと悔いているのだ。



 姉妹の母親は奇行の人であったらしい。(長女のローズは母親のそんな様子を少しだけ覚えている。マギーは赤ちゃんだった)
 幼い姉妹にとって、母のおかしな振る舞いは楽しかったが、父親にとっては耐え難かったのだろう。
 そんな母親を懸命にかばったのがエラだった。だから、エラと姉妹の父親はいがみ合っていた。

 母の死後、父親はすぐに姉妹からエラを遠ざけた。その後は姉妹は祖母と会うことはなかった。
 だから、幼い姉妹は、祖母はとうに死去したと思っていたのだ。

 さて、お話はどう進んで行くかは観てのお楽しみ。

オリジナルタイトル:In Her Shoes
監督:カーティス・ハンソン|アメリカ|2005年|131分|
原作:ジェニファー・ウェイナー|脚本:スザンナ・グラント|撮影:テリー・ステイシー|
出演:マギー・フェラー(キャメロン・ディアス)|ローズ・フェラー(トニ・コレット)|エラ・ハーシュ(シャーリー・マクレーン)|サイモン・スタイン(マーク・フォイアスタイン)|エイミー(ブルック・スミス)|トッド(アンソン・マウント)|ジム・ダンヴァーズ(リチャード・バージ)|サイデル・フェラー(キャンディス・アザラ)|マイケル・フェラー(ケン・ハワード)|グラント(エリック・バルフォー)|

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ポピュラー音楽!!  クラシック音楽





映画「オンディーヌ 海辺の恋人」  アイルランド映画  監督:ニール・ジョーダン

上

 大人の世界と、子供の世界との境目から生まれた、人魚と漁師のラブストーリー。
 ハッピーエンドな話です。

1-0_201811071706266fe.jpg 漁師のシラキュースがある日、漁船の巻き上げ機で網を引き上げていると、魚と共に、なんと「女」が網にかかった。
 水死体だと思ったが、生きている。慌てて網から出した。
 ずぶ濡れの怯える女は、意識が戻り、オンディーヌと名乗った。(オンディーヌとは水を司る精霊、とっさの機転が利く女のようだ)

 シラキュースは女を病院に連れて行こうと、急ぎ港へ向かおうとしたが、女はそれを制して、誰にも会いたくないと言った。
 そこで一瞬考えたシラキュースは、彼女を世間からかくまうため、亡母が住んだ家のある、小さな入り江へ向かった。
 その家は、海べりに一軒ぽつんと建った、隠れ家のような粗末な あばら屋。
 シラキュースは、ずぶ濡れのオンディーヌをその家に置いてとりあえず去った。(家には亡母が残した衣服がある)
 この日から彼は頻繁にこの家を訪ねることになる。
 ある日、シラキュースはオンディーヌを乗せて漁に出る。するといつも不漁のロブスターが捕れ、刺し網ではないのにサケがたくさん捕れる、その不思議。


 シラキュースは港町に独りで住んでいる。
 妻とは別れた。同じ港町に妻は別な男と住んでいる。
 シラキュースの一人娘アニーは、その家にいる。

2-0_201811071715385bc.jpg だがアニーは実父シラキュースが大好き。
 二人が一緒の時、シラキュースはアニーに即興のおとぎ話をする。アニーはいつもそれを聞きたがる。
 そしてオンディーヌとの出会いののち、シラキュースはアニーに、人魚の話をした。

 聡いアニーは、その話をするシラキュースに何か変、と感じた。
 後日、好奇心旺盛なアニーはひとりで、あばら屋に行き、オンディーヌに会った。
 アニーはオンディーヌを人魚だと思い始める。

 さて、そのオンディーヌだが。
 実はヨアナというルーマニアの女で、なぜ、海で溺れかけていたのか?、それは観てのお楽しみ。

 話は、シラキュースの優しさと世渡りの疎さ、彼に芽生えたオンディーヌへの恋心、そして、それらにほだされ始める謎の女オンディーヌ。
 ですがオンディーヌはこの地に根を下ろす気は無かったようです。
 しかし結果的には、アニーがオンディーヌを人魚だと思う、その心の清らかさが、荒んだオンディーヌの心を打ったのでしょうか。オンディーヌはシラキュースのもとに留まろうとします。


 脚本は登場人物にリアルな色付けしています。
 シラキュースは2年前まではアル中で、港町に知れ渡ったアル中阿呆な男でした。
 その後、酒を断ったものの世を捨てていました。唯一の楽しみは娘のアニーといる時。
 そのアニーは、人工透析が必要な娘。車いすの生活です。
 シラキュースの妻はあばずれな女です。
 オンディーヌことヨアナは、ヤクの密輸にかかわる女。表に出しませんが世慣れした一面がある女のようです。
 そのほか例えば・・神父。シラキュースは信仰心は無いですが、教会の懺悔室は利用します、それを聞く神父がピリッと味を出しています。
 総じて、この映画、人物描写はおおげさでなく、地味。でも、その人となりが、さりげなく伝わってきます。巧い。
 加えて、映像の構図も素敵です。

 ちなみに、ヨアナの仲間があばら屋に押しかけます。ヨアナがブツを隠していると・・。
 これを回避できたのは結果的に、アニーとヨアナとが育んだ世界、人魚にまつわるファンタジーのおかげでした。
 そして、ヨアナの仲間の死が、幸いなことにアニーの腎臓移植につながりました。
 さらには、シラキュースとオンディーヌの心は再び通じ合うことになります。

オリジナルタイトル:Ondine
監督・脚本:ニール・ジョーダン|アイルランド、アメリカ|2009年|111分|
撮影:クリストファー・ドイル|
出演:オンディーヌ(アリシア・バックレーダ)|シラキュース(コリン・ファレル)|娘のアニー(アリソン・バリー)|ほか

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「カキフライが無いなら来なかった」, 「まさかジープで来るとは」 せきしろ, 又吉 直樹 (著) ・・最近読んだ本。

  • Posted by: やまなか
  • 2018-11-02 Fri 06:00:00
  • 書評
1_201810301431350e8.png




5_20181030154001b5c.jpg
 せきしろ, 又吉 直樹の両氏が詠んだ俳句の本。

 俳句と聞いて、即スルーしないで欲しい。
 例えば、本の題名、これがすでに俳句作品のひとつ。
 こういうのを、五七五の形式をとらないから、自由律俳句というらしい。

 どの句も、身の周りの断片を、普通の感覚ですくい上げている。
 「カキフライが無いなら来なかった」と、この句はつぶやく。
 すると何故か「ああ、そうだよね」と、思える。(話の前後の様子が分からないのに・・)
 これが魅力。
(共感し、ほっとする一瞬。ここがエンターテイメント)

 俳句は大きなフォントで表され、1ページに2句か3句、多くて4句。
 だから、ページが進む。
 そうすると、次々にいろんな情景が立ち現れ、ある種の疾走感。
 これが気持ちいい。
 そして心の底にある気持ちが、そっと騒ぐ。 


 
 思えば例えば、ある朝、着替えして、部屋を出、いつもの道を10分歩いて駅へ、電車に乗って30分、目的の駅で降り、ちょっと時間があるので牛丼屋で朝飯を食った、としよう。
 誰しも、この間に、道で、ホームで、車内で、店内で、何かを見て、一瞬何かを感じている。言葉にしないが・・。
 その言葉にしないが・・をこの本は、読者に代わって、巧みに「つぶやきの言葉」にしてくれている。 (悪口の「つぶやき」はありません)


 この2冊、図書館で見つけた。
 なんとなく、今風の詩か俳句か短歌が読みたくて、図書館の詩のコーナーに居たんだけれど・・。
 国語の授業で名を聞いた詩人俳人から俵万智あたりまで、たくさん本が並んでるが、手に取ってみると、どれも古臭く、特別な人の独特の世界観が面倒くさい。
 せきしろ, 又吉 直樹の句は、どちらかと言えば読者が新聞に投稿している川柳とかにに近い。
 しかし、その川柳は、型をなぞり、どこか気取っている感がする。

 取り上げた2冊は、両氏の撮った街風景の写真や散文も掲載されていて飽きさせない。
 気軽にどうぞ。どのページからでも読み始められます。



2年前・4年前・6年前の10月、一夜一話。(2016年10月・2014年10月・2012年10月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-10-30 Tue 06:00:00
  • 映画
2年前の10月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  2年前の10月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2016年10月 Archive>

写真
「パラダイスビュー」
監督:高嶺剛
小林薫、戸川純
写真
「鶴八鶴次郎」
監督:成瀬巳喜男
山田五十鈴、長谷川一夫
写真
「ベニスで恋して」
監督:シルビオ・ソルディーニ
イタリア、スイス
写真
「森浦への道」
監督:イ・マニ
韓国
写真
「フル・フロンタル」
監督:スティーヴン
  ・ソダーバーグ|アメリカ
写真
「リオ、アイラブユー」
~映画音楽に魅せられて
ブラジル
写真
「セントラル・ステーション」
監督:ウォルター・サレス
ブラジル
写真
「110番街交差点」
~映画音楽に魅せられて
アメリカ
     
写真
「ある過去の行方」
監督:アスガー・ファルハディ
フランス、イタリア、イラン

4年前の10月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  4年前の10月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2014年10月 Archive)

写真
「パンドラの匣」
監督:冨永昌敬 |仲里依紗、
川上未映子、染谷将太
写真
「ヌードの夜」 監督:石井隆
余貴美子、竹中直人、
椎名桔平、根津甚八
写真
「足にさわった女」
監督:市川崑
越路吹雪、池部良
写真
「揮発性の女」
監督:熊切和嘉
石井苗子、澤田俊輔
写真
「怪異談 生きてゐる小平次」
監督:中川信夫
宮下順子
写真
「さすらいの女神たち」
監督:マチュー・アマルリック
フランス
写真
「南東から来た男」
監督:エリセオ・スビエラ
アルゼンチン
写真
「ネブラスカ
   ふたつの心をつなぐ旅」

アメリカ
写真
「ショーシャンクの空に」
監督:フランク・ダラボン
アメリカ
写真
「グッド・ウィル
  ・ハンティング 旅立ち」

アメリカ
「キムチを売る女」
監督:チャン・リュル
韓国・中国

6年前の10月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  6年前の10月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2012年10月 Archive)

写真
「クワイエットルームに
        ようこそ」

内田有紀,宮藤官九郎,蒼井優
写真
「水の女」
監督:杉森秀則
UA、浅野忠信
写真
「オキナワの少年」
監督:新城卓
藤川一歩、内藤剛志
写真
「スリー☆ポイント」
監督:山本政志
村上淳、蒼井そら
写真
「ポストマン・ブルース」
監督:SABU
堤真一、遠山景織子
写真
「夏の妹」
監督:大島渚
栗田ひろみ、りりィ
写真
「パプリカ」
監督:今敏
アニメ
写真
「ディナーラッシュ」
監督:ボブ・ジラルディ
アメリカ
写真
「父の初七日」
監督:ワン・ユーリンほか
台湾
写真
「アンナ」
監督:ピエール・コラルニック
フランス
写真
「潜水服は蝶の夢を見る」
監督:ジュリアン
  ・シュナーベル|フランス
写真
「きらめきの季節 美麗時光」
監督:チャン・ツォーチ
台湾
写真
「ラスベガスをやっつけろ」
監督:テリー・ギリアム
アメリカ
写真
「銀河」
監督:ルイス・ブニュエル
フランス


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気になる映画 67  《これから上映の映画》

写真
映画祭「第19回 東京フィルメックス」
11/17-25
有楽町朝日ホール他
写真
「バスキア、10代最後のとき」
監督:サラ・ドライバー
12/22- 恵比寿ガーデンシネマ
写真
朝鮮半島と私たち
(現役日藝生による映画祭)
12/8-14 ユーロスペース

上映作品中 次の映画は記事にしています。
クリックしてご覧ください。
「有りがたうさん」「にあんちゃん」
「かぞくのくに」
写真
国立映画アーカイブ開館記念
生誕100年 映画美術監督:木村威夫(特集)
11/6-25 国立映画アーカイブ(京橋)

上映作品中 次の映画は記事にしています。
クリックしてご覧ください。
「雁」「夢みるように眠りたい」



映画「東京の宿」(1935)   サイレント映画  監督:小津安二郎

上

 働き口を求めて、子連れで東京をさまよう男の、昭和10年の人情噺だが、実験的な風合いもある映画。
 悲しい話だけれども、小津風のユーモア(親子の会話)が悲しみを和らげている。

2-0_201810201557462d7.jpg 海近くの、見渡す限りの埋立地らしき荒れ野。人影がまったく無い所。
 雑草生える一帯を貫く一本道、その道沿いに電柱がずっと向こうまで連なる景色。
 遠くには、幾本かの煙突が立つ大工場、近くにガスタンク。時折、トラックや電車が風景の奥を通り過ぎる。
 映画はこの空虚な風景の中に、主人公の喜八(坂本武)と二人の息子を置く。(三人の身の上を風景に託している)

 そのほかの登場人物は、3人だけだ。
 まずは、おつね(飯田蝶子)。
 埋立地の外れの街に、わびしい一膳めし屋があって、その女将が、おつね。
 今日も働き口が見つからなかった喜八は子を連れ、この店に入った。子たちはガツガツ飯を食う。(一日一食かもしれない)
 まったくの偶然だったが、おつねは喜八の昔馴染み。互いに再会を喜ぶが、喜八の心は塞ぐ。おつねは喜八のその後の境遇を知らない。

2-00_201810201601113f4.jpg そして、おたか(岡田嘉子)と、その幼い娘。
 埋立地で喜八と出会う。多くの宿泊客が雑魚寝する安宿でも出会う。
 おたかも子連れで職を探していた。やはり、この親も娘に満足に食べさせる金が無い。
 そして喜八は、そんな場合じゃないのに、おたかに恋心を持つ。

 さて、やっとのこと喜八は、おつねの紹介で念願の職を得え、部屋も借りれた。長男を小学校へ通わせる。
 喜八と長男の弁当は、おつねがこしらえた。
 喜八は、おたかとその娘に、おつねのめし屋で飯を食わせてやった。
 おたかを思う喜八の心は昂っていく、おたかのほうも満更でもない。

 ところが、ある日、おたかとその娘の姿が消える。
 実は、娘が高熱の病になり、入院させるため、すぐさま金が要る。おたかは、やむを得ず、安酒を飲ませる居酒屋の女となっていた。
 そしてまたもや偶然、おたかを失った喜八がヤケ酒を飲んでいる目の前に、おたかが現れる。
 事情を聞いた喜八はおたかに、こんな所で働くのは止せと怒った。

 喜八はその夜すぐに行動に出た。
 まず、おつねに、何の前置きもなく30円貸してくれと乞う。
 喜八は以前にもおつねに借金があったらしく、それは棒引きだが、もう貸せないと素気無く断られる。
 はやる気持ちを抑えきれず、見境がなくなったか、喜八は、ついに最終手段、どこかの家から金を盗み、そうして黙っておつねに渡した。

 街に警官が動き始める。
 察したおつねは喜八に問うた。「盗んだね」
 「おたかの娘をこのまま死なせるわけにはいかない」
 「馬鹿だね、あんたの息子たちのことは考えなかったのかい」
 「あとの事を頼んだよ」
 おつねは、ウンとは口に出さなかったが、素振りで示した。そして・・、
 「交番はどこだ?」と、喜八はおつねに聞いた。

             
 
 喜八とおつねの会話の中で、喜八の妻は子を置いて姿をくらました事は分かるが、映画はそれ以上の事は言わない。
 同じく、おたかのそれまでの事情も言わない。
 映画は、喜八、おたか、おつねの3人が抱える、それまでのそれぞれの「世間」を一切語らず、登場人物3人をただ、映画シーンの限られた時空の中だけで生かそうとする。
 それは、まるで水族館の水槽の魚を、のぞき見るがごとく、だ。

監督:小津安二郎|1935年|80分|
原作:ウィンザアト・モネ(小津、池田忠雄、荒田正男の3名合同ペンネーム)
脚本:池田忠雄、荒田正男|撮影:茂原英朗|
出演:喜八(坂本武)|長男の善公(突貫小僧)|次男の正公(末松孝行)|おたか(岡田嘉子)|その娘の君子(小嶋和子)|喜八の昔馴染みのおつね(飯田蝶子)|警官(笠智衆)|←言われないと気付かない

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気に入ってる、最近の映画。(ヨーロッパ・ロシアの映画編)

写真
「パラダイス 愛」
オーストリアの普通のおばさんがアフ
リカのリゾート地へ軽く遊びに行く話。
アフリカの男とのセックスなど白人の
おばさん達の愛のパラダイスを描く。
オーストリア
監督:ウルリッヒ・ザイドル
写真
「パラダイス 神」
宗教をテーマにする、かなりビターな
喜劇。コミカルな語り口を忘れず人の
業をえぐり出す。このコミカルさの妙
味にピンと来てほしい。
オーストリア
監督:ウルリッヒ・ザイドル
写真
「呼吸」
冷たいけれど新鮮なそよ風が吹く再出
発の話。孤児院で育ち親知らず。院内
の喧嘩で相手が死亡。それ以来、少年
院で服役5年。初めて仕事に就いた。
オーストリア
監督:カール・マルコヴィックス
写真
「さよなら、人類」
ロイ・アンダーソン監督のファンなだ
けに言いたくないのですが、残念な作。
映像の魔術に「冴え」が無くなりまし
たが、しかし他に類のない貴重な映画。
スウェーデン
監督:ロイ・アンダーソン
写真
「BIUTIFUL ビューティフル」
重い映画です。部隊はスペイン・バル
セロナ。映像は闇の中で妖しく押し黙
り、雨に濡れて、にじむ光のように美
しい。奥行きがある映画です。
スペイン
監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
写真
犯罪「幸運」
東欧の羊飼いの娘とベルリンのホーム
レス青年との純なラブストーリー。
女性監督らしい繊細さも気持ち良い。
適度な緊張がラストまで。
ドイツ
監督:ドリス・デリエ
写真
「アデル、ブルーは熱い色」
高校生のアデルが同じ学校の先輩男子
より、街で見かけたブルーの髪の女性
に魅かれていく話。アデル役女優の自
然体の熱演に脱帽だ、素晴らしい。
フランス
監督:アブデラティフ・ケシシュ
写真
「ゲンスブールと女たち」
しっかり作られたいい映画。主人公は
フランスの著名なミュージシャン、ゲ
ンスブール。恋多き波乱万丈の生涯を
楽しく不思議に描きます。
フランス
監督:ジョアン・スファール
写真
「さすらいの女神(ディーバ)たち」
米国ヌードショー一座がフランスを興
行中。ユーモアたっぷりの楽しい舞台。
映画はダンサーたちの存在感と明るさ
飾らない演技で成り立っている。
フランス
監督:マチュー・アマルリック
写真
「ちいさな哲学者たち」
幼稚園の先生が哲学の授業をする様子
を継続的にドキュメンタリーした映画。
個の独立、自己主張を早くから言われ
る国フランス。日本はどうなんでしょ。
フランス
監督:ジャン=P・ポッジ、P・バルシェ
写真
「幸せのありか」
ポーランドに住む脳性麻痺の男の子が
青年に成長するまでの苦難のお話を、
あたたかな眼差しで、時にコミカルに
明るく描いた映画。
ポーランド
監督:マチェイ・ピェプシツァ
写真
「エレナの惑い」
静かな静かなサスペンス・ドラマ。 
遺産配分は人の心を激しく揺り動かす。
そして揺れる心は愛をもねじ伏せ、良
心さえも易々と乗り越える。
ロシア
監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ





映画「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」 イタリア映画  監督:ガブリエーレ・マイネッティ

上

 イタリア味のスーパーヒーロー、SFクライム・アクション映画。
 なんだか最後まで観てしまった。
 スーパーな肉体を得た主人公エンツォとアレッシアとの男女関係が、アクション映画にしちゃ繊細に描かれている。

0_20181011124325779.jpg 主人公エンツォは少年の頃には既にワルだったが、それなりに楽しかったらしい。
 だが、今じゃ生きる意欲も無い一匹狼、ギャングの下働きで何とか生きている。

 凶暴な男ジンガロは数人の手下を抱えて麻薬を扱うギャング。
 その手下の1人セルジョに連れ添ってエンツォは、ヤクの小袋を飲みこんだ運び屋の黒人の体内から、袋を排出させる現場に居た。
 ところがセルジョは奪われた拳銃で黒人に撃たれ即死、エンツォも肩を撃たれて高いビルから落下。
 しかし、地面にたたき付けられたエンツォは、しばらくののち意識が戻り、何ごとも無かった様子でひとりその場を立ち去った。
 部屋に帰り、肩を貫通した傷を手当てしたが、翌日には傷跡も無かった。
 エンツォは気がついた。あの時、不死と怪力を得たのだと。(あの時とは?は、もちろん観てのお楽しみ)

 その頃、ジンガロは苛立っていた。ヤクを持って帰るはずのセルジョが行方不明。
 手下を連れたジンガロはセルジョの家に押し入り、そこに居た娘のアレッシアを手荒く扱い父親の行方を詰問していた。
 そこへエンツォが飛び込んで手下を投げ飛ばしアレッシアを救う。
 エンツォの部屋の階下がセルジョと娘の部屋で、アレッシアとは“一応”、顔見知り。

 アレッシアは精神障害があって、退院後は「鋼鉄ジーグ」※のアニメの世界に浸ることで、心の安定を得ている女性。(※日本のアニメ)
 彼女はエンツォに問いただす、父親はどこ? 彼女は不安なのです。
 そしてアレッシアは、エンツォを「鋼鉄ジーグ」のヒーローと同一視し始めます。
 ですが、エンツォはいつものように、変な女アレッシアが、うざい。

 さあ、この辺から、エンツォ、アレッシアの微妙な関係がスタートします。
 一方エンツォは、セルジョが隠し持っていた、ジンガロ一味の現金強奪計画のメモをもとに、エンツォひとりで現金輸送車を襲撃してしまいます。

 その単独襲撃をまのあたりにしたジンガロは、エンツォがどこでどうして、あのスーパー能力を得たかに執心しだし、アレッシアを人質にし、ついに事の次第を聞きだします。だが、お前本当か? ジンガロは信用しません。ところが・・(それは観てのお楽しみ)

 話は進んで、超能力を得た目立ちたがり屋のジンガロは、世界中のツイッタ―で騒がれるような巨悪なテロへと単独で突き進みます。
 そして、エンツォの登場です。
 エンツォが正義に目覚めたのは、交通事故で炎上する車から、女の子を救ったことがきっかけでした。周りの多くの人々がエンツォの行為と勇気を称賛しました。エンツォにとってそれは、生きる糧を得た事でありました。

オリジナル・タイトル:LO CHIAMAVANO JEEG ROBOT
監督:ガブリエーレ・マイネッティ|イタリア|2015年|119分|
脚本:ニコラ・グアッリャノーネ|撮影:ミケーレ・ダッタナジオ|
出演:エンツォ(クラウディオ・サンタマリア)|ジンガロ(ルカ・マリネッリ)|アレッシア(イレニア・パストレッリ)|セルジョ(ステファノ・アンブロジ)|ほか

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1年前・3年前・5年前の10月、一夜一話。(2017年10月・2015年10月・2013年10月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-10-15 Mon 06:00:00
  • 映画
1年前の10月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の10月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2017年10月 Archive>

写真
「お父さんと伊藤さん」
監督:タナダユキ
上野樹里,L・フランキー,藤竜也
写真
「薔薇大名」
監督:池広一夫
小林勝彦,浦路洋子,宮川和子
写真
「青空娘」
監督:増村保造
若尾文子,菅原謙二,川崎敬三

写真
「ひつじ村の兄弟」
監督:G・ハゥコーナルソン
アイスランド
写真
「ラスト・ショー」
監督:P・ボグダノヴィッチ
アメリカ
写真
「女と男のいる舗道」
監督:ジャン=リュック・ゴダール
フランス
写真
「偉大なるマルグリット」
監督:グザヴィエ・ジャノリ
フランス
写真
「ピンク・キャデラック」
監督:バディ・ヴァン・ホーン
アメリカ
写真
「シークレット・サンシャイン」
監督:イ・チャンドン
韓国
写真
「ブロンクス物語 愛につつまれた街」
監督:ロバート・デ・ニーロ
アメリカ


3年前の10月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
3年前の10月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2015年10月 Archive)

写真
「風切羽」
監督:小澤雅人
秋月三佳
写真
「その夜の侍」
監督:赤堀雅秋
堺雅人
写真
「喧嘩犬」
監督:村山三男
田宮二郎
写真
「下妻物語」
監督:中島哲也
深田恭子、土屋アンナ
写真
「ヴィヴィアン・マイヤーを
          探して」

(ドキュメンタリー映画)
写真
「イゴールの約束」
監督:ダルデンヌ兄弟
ベルギー
写真
「ハネムーン・キラーズ」
監督:レナード・カッスル
アメリカ
写真
「ヘルシンキ・ナポリ
    オールナイトロング」

監督:ミカ・カウリスマキ
写真
「憂鬱な楽園」
監督:ホウ・シャオシェン
台湾
写真
“1970年代の日本のロック、フォークを
振り返る”をテーマにして読んだ本。


5年前の10月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
5年前の10月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2013年10月 Archive)

写真
「PicNic ピクニック」
監督:岩井俊二
チャラ、浅野忠信
写真
「ヘヴンズ ストーリー」
監督:瀬々敬久
寉岡萌希、長谷川朝晴
写真
「燃えつきた地図」
監督:勅使河原宏
勝新太郎、市原悦子、渥美清
写真
「狂った野獣」
監督:中島貞夫
渡瀬恒彦、川谷拓三
写真
「密航0ライン」
監督:鈴木清順
長門裕之,清水まゆみ,中原早苗
写真
「タナカヒロシのすべて」
監督:田中誠
鳥肌実、ユンソナ
写真
「さゞなみ」
監督:長尾直樹
唯野未歩子,豊川悦司,松坂慶子
写真
「妹」
監督:藤田敏八
秋吉久美子、林隆三
写真
「ヘッドライト」
監督:アンリ・ベルヌイユ
フランス
写真
「フィッシュ・タンク」
監督:アンドレア・アーノルド
イギリス
写真
「トゥルー・ヌーン」
監督:ノシール・サイードフ
タジキスタン
写真
「カリフォルニア・ドールズ」
監督:ロバート・アルドリッチ
アメリカ
写真
「第七天国」
監督:フランク・ボーゼージ
アメリカ
写真
「母と娘」
監督:ロリー・ビー・キントス
フィリピン


7年前の10月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
年前の10月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2011年10月 Archive>

写真
「ツィゴイネルワイゼン」
監督:鈴木清順
原田芳雄、大谷直子
写真
「白昼堂々」
監督:野村芳太郎
渥美清、倍賞千恵子
写真
「雨の中の二人」
監督:桜井秀雄
田村正和、中村晃子
写真
「台所太平記」
監督:豊田四郎
森繁久彌,淡島千景,ほか女優多数
写真
「ある日、突然。」
監督:ディエゴ・レルマン
アルゼンチン
写真
「キャラメル」
監督:ナディーン・ラバキー
レバノン
写真
「旅立ちの汽笛」
監督:A・アブディカリコフ
フランス・キルギス
「戦争のない20日間」
監督:アレクセイ・ゲルマン
ソ連
写真
「テハンノで売春していて
バラバラ殺人にあった女子高生
まだテハンノにいる」
|韓国
写真
「都市の夏」
監督:ヴィム・ヴェンダース
西ドイツ
写真
「ワンダーランド駅で」
監督:B・アンダーソン
アメリカ
写真
「クリチバ 0℃」
監督:エロイ・P・フェへイラ
ブラジル
写真
「明りを灯す人」
監督:アクタン・A・クバト
キルギス
写真
「再会の食卓」
監督:ワン・チュアンアン
中国
写真
「アイ・ラブ・北京」
監督:ニン・イン
中国
写真
「仁義」|フランス
監督:ジャン=ピエール
        ・メルヴィル
写真
「いぬ」|フランス
監督:ジャン=ピエール
        ・メルヴィル




映画「海街diary」 綾瀬はるか, 長澤まさみ, 夏帆, 広瀬すず  監督:是枝裕和

1_20181010200135db1.png
三姉妹+すずの四姉妹。
(左から) 三女の千佳、長女の幸、異母姉妹のすず、次女の佳乃。
彼女たちは鎌倉の古い一軒家に住んでいます。長女の幸は皆の母親役。



0_20181010210111bda.jpg さらりとした映画。
 綾瀬はるかのしっかりした演技力が作品の屋台骨を支えています。
 次いで広瀬すずが、綾瀬に負けず映画を牽引してます。新鮮さを感じます。
 よってこのふたりが本作の柱になっての出来となりました。

 脇では、リリー・フランキーと風吹ジュンが、じんわり味を出します。
 脇役ですが、話に(年齢層に)厚み重みを出す役どころで、案外、本作の勘所です。
 なぜなら、姉妹の父親は映画に登場しません。15年前に家を出たきりです。(そして訃報が届く)
 母親 (大竹しのぶ)も姉妹を置いて家を出てしまいました。(ですから出番は僅か)

 15年前に家を出た父親の、新たな妻との子が、すず (広瀬すず)でした。
 幸 (綾瀬はるか)を長女とする三姉妹は父親と音信不通でしたが、突然の訃報で、父親の葬儀に駆けつけます。
 姉妹とすずの、初めての出会いでした。

 
 三姉妹の母親役の大竹しのぶや、とりわけ叔母役の樹木希林は、監督がよそからチョッと借りて来た風で、映画の流れに馴染んでいないです。
 それぞれ、力あるベテランの演技をしているのですが、周囲の演技者たちに比べ、演技のトーンやテンション度合いが違って浮いている。
 それが狙いなのかもしれないが、しかし樹木希林のシーンにおいては、明らかに樹木希林が浮いている。活かされていない。テンション度が合ってない。
 女優まかせなのか、つまり監督が演出の仕事をしてない。。(限られたシーンにでる出演女優には、そのシーンしか見えない、映画全体のトーンは分からない)

 総じて映画は、深く語らず重くならずに浅瀬を行く。
 ともすると淡泊希薄になりがちなそんな中、綾瀬はるかが、しっかりとした話をかたち作って行きます。
 そこが見どころです。

監督・脚本:是枝裕和|2015年|128分|
原作:吉田秋生
出演:香田幸/地元総合病院で看護師(綾瀬はるか)|香田佳乃/地元信金勤め(長澤まさみ)|香田千佳/近所のスポーツ店店員(夏帆)|三姉妹の母 在北海道(大竹しのぶ)|叔母(樹木希林)|すず(広瀬すず)|三姉妹を幼い頃から見て来た海猫食堂の女あるじ(風吹ジュン)|喫茶店のあるじ、三姉妹の父親の友人(リリー・フランキー)|幸が勤務する総合病院の医師で幸の恋人(堤真一)|佳乃が勤める信金の上司の坂下(加瀬亮)|千佳の恋人(池田貴史)|すずの母(中村優子)|ほか

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一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽

気に入ってる、最近の映画。(日本映画編)

 ここ数年の公開映画のうちで、気に入ってる映画を拾ってみたら、17本。
 映画はほかにも、どんどん公開されているけれど、脚本、監督や演出、演技にガッカリすることが多い。残念です。

写真
「0.5ミリ」
主演の安藤サクラがいい。彼女独特の
味と存在感がある。
話は五話あって、安藤サクラがそれぞ
れに登場する老人たちに巡り会います。
監督:安藤桃子
出演:安藤サクラ,坂田利夫,津川雅彦



写真
「箱入り息子の恋」
箱入り息子と箱入り娘の、コメディタッ
チな恋のお話。ほんわか映画にみえま
すが、結構、問題提議な話です。実は
子離れできない親を喜劇化している。
監督:市井昌秀
出演:星野源, 夏帆 ,森山良子,大杉漣



写真
「川下さんは何度もやってくる」
生活は貧しく頼り甲斐いないが、仲間
に思いやりある、あったかい男たちの、
おバカでお下劣で物悲しい喜劇映画で
す。それは、先輩の通夜の夜に・・・
監督:いまおかしんじ
出演:佐藤宏,水澤紳吾,櫻井拓也



写真
「風切羽」(かざきりば)
サヤコ役の秋月三佳が時折見せる「目
の力」が、この映画を牽引する。サヤ
コは児童養護施設で暮らしている高3。
卒業すると施設を出なくてはいけない。
監督:小澤雅人
出演:秋月三佳,戸塚純貴,川上麻衣子



写真
「TOO YOUNG TO DIE 若くして死ぬ」
奇想天外、波乱万丈なドタバタ喜劇で
ありながらも悲劇、かつ純情恋愛物語。
そして、ロックバンドのお話でもあり、
さらには輪廻転生、これが話の要。
監督:宮藤官九郎
出演:神木隆之介,長瀬智也, 森川葵


写真
「ツレがうつになりまして。」
ハル(宮崎あおい)は夫(堺雅人)のことを
ツレと呼ぶ。夫婦仲はとてもいい。
ツレは最近、体調が良くない。そうハル
に言うが彼女は軽く考えていた。
監督:佐々部清
出演:宮崎あおい,堺雅人,吹越満



写真
「舞妓はレディ」
こういう明るく楽しい喜劇は好きです。
気晴らししたい時にはぜひ観るといい。
春子役の上白石萌音を大勢のベテラン
が楽しく盛り上げます。
監督:周防正行
出演:上白石萌音,富司純子,田畑智子



写真
「百円の恋」
無職無収入彼氏一度も無しの一子32歳
は一日中パジャマか部屋着でダラダラ
の毎日。遂に一子は家を出る。その近く
にあるボクシングジムが運命だった。
監督:武正晴
出演:安藤サクラ(熱演に拍手),新井浩文



写真
「お父さんと伊藤さん」
脚本が良く出来ていて、演出に抜け目
がない。息子娘の世代も、父親の世代
も楽しめるビターな喜劇。話は妻を亡
くした頑固な父親の、たらい回し。
監督:タナダユキ
出演:上野樹里, L・フランキー,藤竜也


写真
「仁光の受難」
とにかく面白い娯楽時代劇かつ妖怪譚。
江戸時代、ある寺の修行僧・仁光は女
にもてるという坊主として致命的欠陥。
そんなわけで克服の修行の旅に出たが。
監督:庭月野議啓
出演:辻岡正人ほか



写真
「さよなら歌舞伎町」
新宿歌舞伎町のラブホテルを舞台にホ
テルに来る様々な人々が、それぞれに
抱く夢と、背負う問題を活写するグラ
ンド・ホテル形式の喜劇映画。
監督:廣木隆一
出演:染谷将太,前田敦子,南果歩,松重豊



写真
「神様のカルテ」
栗原(櫻井)は本庄病院の内科医。彼が夜
間の救急外来担当の日は決まって外来患
者が多い。日本の医療が抱える問題点を
清々しく伝えてる喜劇交じりのいい映画。
監督:深川栄洋
出演:櫻井翔,宮崎あおい,柄本明



写真
「夫婦フーフー日記」
明るくカラッとしたコメディ。粗筋は
とても悲しいのですが、実にいい喜劇。
妻が霊となって・・。永作の演技力が
映画を引っ張っています。
監督:前田弘二
出演:永作博美、佐々木蔵之介



写真
「ディストラクション・ベイビーズ」
世間から「はみ出た」者たちへの哀歌。
そして覚醒し始めるモンスターの物語。
あるいは、痛そうな映画。前触れなく
暴発する怒り仕掛けるケンカ。
監督:真利子哲也
柳楽優弥,菅田将暉,小松菜奈



写真
「超高速!参勤交代 リターンズ」
まさに時代劇娯楽映画。
よく出来てます。楽しんでください。
「超高速!参勤交代」の続編だけど、
これだけでも十分楽しめる。
監督:本木克英
出演:佐々木蔵之介,深田恭子,伊原剛志



写真
「ロボジー」
あり得ない話を長けた話者が真面目に
話すうちに、観客はスッカリ話術には
まって、はらはらドキドキ、大笑い。
そう、これ落語。最後まで一気に観て。
監督:矢口史靖
出演:ミッキー・カーチス,吉高由里子



写真
「パーマネント野ばら」
哀しみと笑いがブレンドされた大人味。
寂れた小さな漁港、町に一軒だけの美
容室が実家のナオコは子連れで出戻っ
た。ラスト近くナオコの意識に驚愕する。
監督:吉田大八
出演:菅野美穂,小池栄子,池脇千鶴





高野文子(著)「田辺のつる」「アネサとオジ」「ふとん」, 大友克洋(著)「ヘンゼルとグレーテル」「童夢」, 松本大洋(著)「鉄コン筋クリート」・・最近読みかえした漫画

  • Posted by: やまなか
  • 2018-10-06 Sat 06:00:00
  • 書評
1_20180924212817a95.png


 漫画を振り返る。
 いま見ても、やはり、いいなぁ という作品を取り上げてみた。
 今回は高野文子、大友克洋、松本大洋だ。
 まずは高野文子の短編3作。

2-1_201810041148205ae.jpg
【高野文子】・・・「田辺のつる」、「アネサとオジ」、「ふとん」

 その昔、初めて出会った高野文子の作品が「田辺のつる」、漫画雑誌・漫金超創刊号に掲載されていた。他の掲載作品に比べ抜きんでて刺激的な漫画であった。
 田辺家に、明治生まれのばあさんがいる。家族から見て、彼女は認知症だが、本人「つる」82歳は、4歳くらいの少女の自意識で、現在を生きているのです。
 だから、ばあさんは可愛い少女の姿で描かれる。
 話は、つるばあさんと家族とのあれこれを語りますが、つるさんは可愛らしくも、たくましい。この嫌味の無いたくましさが、とても印象に残ります。

 「アネサとオジ」は、マンガ奇想天外の春・創刊号に掲載されていた。
 「田辺のつる」同様に、同時掲載されている大友克洋、柴門ふみ、吾妻ひでお、松本零士など他の漫画より図抜けて鮮烈な印象が残った作。(ヘタウマ漫画風のタッチです)
 姉のアネサは野獣のような人間離れの凶暴さで、例えば家猫を一口にパクリ、食べちゃう。
 また、アネサの手足は体から自由に離れる。離れた手は弟のオジの朝食やオヤツをかっさらい、これもあっと言う間にアネサの口に入る。
 オジはアネサを姉として慕うものの、ある日、我が身の危険を感じた。
 そこで、ついに反撃に出る。二階の窓から、下を歩くアネサ目掛けてオジは大きな石を落としたが、アネサの頭が肩に食い込んだだけ、アネサは食い込んだ自身の頭を引っ張り上げ、何事もなかったようにその場を去っていく。
 そんなあるとき、オジを見てアネサが驚愕した。なぜ?(あとは見てのお楽しみ)

 「ふとん」もマンガ奇想天外に掲載されていた。
 やはり、掲載他作を凌ぐ漫画だった。本作は可愛い少女の葬儀の日の話。
 だから悲しいのだが、その悲しみに勝るのが、少女の霊と観音さまとの、可笑しなやり取り。巧い!そして爽やか。
 以上3作、このころの高野文子は冴えていた。

2-2_2018100411503731e.jpg
【大友克洋】・・・「ヘンゼルとグレーテル」、「童夢」

 短編作品「ヘンゼルとグレーテル」の絵は、あの「アキラ」や初期作品群などの、描き込み多いタッチとは異なるプレーンな描写。大友克洋のもうひとつの顔。
 合わせて、お話は童話にさらに「毒」を盛り込んだ、大人の童話に仕上がっている。
 この大友克洋の漫画作品集には、「ヘンゼルとグレーテル」のほかにも有名童話をモチーフにした作が並んでいるが、やっぱりこの「ヘンゼルとグレーテル」の出来が出色。
 大友特有の、滑稽さと残酷さと馬鹿馬鹿しさがここに集約されている。実にいいね。

2-3_201810041152408d9.jpg
 「童夢」は大作。
 当時、(漫画アクションだったかに)何か月かおきに連載されたのをそのたびに読んではいたが、いささか散漫な印象だった。
 しかしその後、修正/書き直ししたんだろう、単行本になって素晴らしい作品となって現れた。(発行が遅れ、単行本購入時にお詫びの特製しおりが付いた)
 とにかく、「アキラ」よりずっと凄い。
 超能力を持つ独居老人のチョウさんの出現シーンは、今も鳥肌が立つ。
 そして同じく超能力を持つ少女エッちゃんが、この団地に引っ越してきた・・。
 230ページのこの単行本、一気に読ませます!

2-4_20181004115514ca7.jpg
【松本大洋】・・・「鉄コン筋クリート」 

 この単行本610ページも、釘付けになり一気に読ませます。
 読み始めると、無音の強音圧が読者を圧倒しだすのを感じます。
 身寄りのない二人の少年シロとクロ。
 身体能力が半端じゃないこの二人の自由奔放さと疎外感、激しい暴力、そして互いの信頼と幼さと心の飢え。
 読み応え十分、骨太な感触、いいですな!


高野文子漫画作品集「絶対安全剃刀」1982年・白泉社 (1977年から1981年までに発表された17作品を収録)
たあたあたあと遠くで銃の鳴く声がする|花|はい―背筋を伸してワタシノバンデス|絶対安全剃刀|1+1+1=0|おすわりあそべ|ふとん|方南町経由新宿駅西口京王百貨店前行|田辺のつるアネサとオジ|あぜみちロードにセクシーねえちゃん|うらがえしの黒い猫|午前10:00の家鴨|早道節用守(はやみちせつようのまもり)|いこいの宿|うしろあたま|玄関|

大友克洋漫画作品集「ヘンゼルとグレーテル」1981年・ソニー・マガジンズ
ヘンゼルとグレーテル|赤頭巾|狼と七匹の子やぎ|狼と羊飼いの少年|三匹の子ぶた|ジャックと豆の木|金の斧、銀の斧|牛とカエル|マッチ売りの少女|白雪姫|ロビンソン・クルーソー漂流記|不思議の国のアリス|オズの魔法使い|アリババと四十人の盗賊|シンデレラ|白鯨|青い鳥|狼男|眠れる森の美女|DON QUIJOTE|I・N・R・I|

大友克洋著「童夢」1983年・双葉社

松本大洋著「鉄コン筋クリートall in one 」2007年・小学館

漫画雑誌「漫金超」 創刊号 1980・春
大友克洋「サン・バーグズヒルの想い出」|川崎ゆきお「猟奇のパラドックス」|雑賀陽平「3193より2316」|さべあのま「I LOVE MY HOME」|高野文子「田辺のつる」|いしいひさいち「絶望的前衛の巻」|ひさうちみちお「ヨセフ」|赤星ジュン「香港猫」|

マンガ奇想天外SFマンガ大全集 春・創刊号  1980年・奇想天外社
坂口尚「祭の日」|吾妻ひでお「Dr.アジマフ安全着陸」|高野文子「アネサとオジ」|柴門ふみ「反逆天使の墜落」|白山宜之「Golden Slumbers」|川崎ゆきお「飛ぶがごとく」|いしかわじゅん「至福の街」|大友克洋「大友克洋の腸の陰干」|坂口尚「坂口尚のSTAR DUST COLLECTION」|松本零士「モルモダリウム1978」|杉浦茂「猿飛天助」|ほか


映画「熱帯魚」 台湾映画  監督:チェン・ユーシュン

上






 のんびりした可笑しさと、生きるペーソスと、力強い生きざまが織りなす台湾の庶民のお話。
 主人公を立てていますが、群像劇でもあります。
 各所のシーンでクスクス笑ってください。

 台北のある中学校の、中三のその教室。高校入試 間近である。
 「400点以上とれる自信の無い人、手を挙げて」と教師が言ったら、ほぼ全員が手を挙げた。
 (台湾の高校入試は統一試験、400点以上が求められるらしい)

 その手を挙げた中に、主人公ツーチャン、その悪友ウェイリーがいる。
 この期に及んでも、ツーチャンは入試に意欲がわかない。ワルじゃないが、親から見ればいい子じゃない。
 毎日バス停で会う純情そうな女の子に片思い。


1_20181002175502309.gif ある日、ツーチャンが小学生の誘拐事件に巻き込まれ、ツーチャンも身柄を拘束された。
 主犯格は元刑事で、事業を起こしたがうまくいかない男、誘拐で一儲けを画策する。
 小学生の子は、日頃から親が息子を見放していて身代金を得られないらしい事が分かり、よって急遽、ツーチャンにお鉢が回る。
 男はツーチャンの親に身代金を要求する。警察が動き出す。金の受け渡しの場で、主犯格は元同僚の刑事に出くわし、シドロモドロ。身代金を得ずに退散。
 ところがこの男が敢え無くも交通事故死、も一人の気の優しい男アケンが誘拐を引き継ぐなりゆき展開となる。


 アケンは二人の口にガムテープを貼って、海岸沿いのアケンの故郷へ向かう。
 今度はこのアケンの一族郎党がツーチャン誘拐で一儲けを狙う。テレビ報道がこの事件を追い始める。ツーチャンの両親がカメラの前で犯人に訴える様子が放映される。
2-1_20181002175715e76.jpg ところが、アケンの一族郎党が間抜けで、したたかで可笑しい。
 そしてアケンらはツーチャンと小学生を優しく扱う。ご飯時は、あたかも家族の一員のよう。のんびりした潮風が吹く日々。
 アケンは、ツーチャンに受験勉強しろと参考書を買って与える。分からないところは近所の物知りに聞きに行くサービス。
 しかし日はまたたく間に経ち、入試日がどんどん迫る。
 テレビの討論特番では、入試の諸問題とツーチャンの試験免除の特例が叫ばれる。
 そうこうするうちに、警察が海岸沿いのこの一帯に目をつけだす。警官の間抜けさも可笑しさを誘う。


 そして・・。
3_20181002175857fdf.jpg そんなさ中、ツーチャンは一人の女の子に恋をする。
 ツーチャンが海で泳いだ時(入試間近なのにそんな余裕はないだろ!)、台北の海に熱帯魚を見た確かに見た。(熱帯魚は台湾のもっと南にしか生息してないはずだが・・)
 ツーチャンが警察に保護される時、その女の子は熱帯魚が一尾入ったビンをツーチャンに渡した。幻じゃない、私も熱帯魚を見たと。

 チェン・ユーシュン監督作品「ラブゴーゴー」の記事はこちらから
 この映画もなかなか良いです。

オリジナルタイトル:熱蔕魚/Tropical Fish
監督・脚本:チェン・ユーシュン|台湾|1995年|108分|
撮影:リャオ・ペンロン|
出演:ツーチャン(リン・ジャーホン)|好きな女の子(ファン・シャオファン)|ツーチャンの親友ウェイリー(リャン・ティンユァン)|小学生タウナン(シー・チンルン)|誘拐主犯格の手下アケン(リン・チェンシン)|その叔母アイー(ウェン・イン)|その夫ヒョン(リェン・ピートン)|ほか多数

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ポピュラー音楽!!  クラシック音楽

2年前・4年前・6年前の9月、一夜一話。(2016年9月・2014年9月・2012年9月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-09-30 Sun 06:00:00
  • 映画
2年前の9月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  2年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2016年9月 Archive>

写真
「風の又三郎」
監督:島耕二
映画音楽に魅せられて
写真
「イン・ザ・プール」
監督:三木聡 オダギリジョー
松尾スズキ、市川実和子
写真
「泥の河」
監督:小栗康平
田村高廣、加賀まりこ
写真
「舞妓はレディ」
監督:周防正行
上白石萌音、富司純子
写真
<か行> の邦画
これまでに記事にした邦画から
    
写真
「ドリンキング・バディーズ
飲み友以上、恋人未満の
甘い方程式」
   アメリカ
写真
「世界」
監督:ジャ・ジャンクー
中国
写真
「その怪物」
監督:ファン・イノ
韓国
写真
「人生スイッチ」
監督:ダミアン・ジフロン
アルゼンチン・スペイン
写真
「シュトロツェクの
        不思議な旅」

西ドイツ
写真
「永遠と一日」
監督:テオ・アンゲロプロス
ギリシャ
写真
京都に行って来た。
「京都の湯と水の話」



4年前の9月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  4年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2014年9月 Archive)

写真
「ミスター・ミセス・ミス
       ・ロンリー」

原田美枝子、宇崎竜童
写真
「水の声を聞く」
監督:山本政志
玄里、趣里、村上淳
写真
「小早川家の秋」
監督:小津安二郎
原節子、中村鴈治郎
写真
「夢みるように眠りたい」
監督:林海象
佐野史郎、佳村萌
写真
「祇園囃子」
監督:溝口健二
若尾文子、木暮実千代
写真
特集「関西の映画です。」
過去記事よりピックアップ
       
写真
「女優で検索」
その名で探す、出演映画。
但し暫定版    
写真
「イーダ」
監督:パベウ・パブリコフスキ
ポーランド
写真
「365日のシンプルライフ」
監督:ペトリ・ルーッカイネン
フィンランド
写真
「愛しのタチアナ」
監督:アキ・カウリスマキ
フィンランド
写真
「最愛の夏」
監督:チャン・ツォーチ
台湾
写真
「マンハッタン」
監督:ウッディ・アレン
アメリカ
写真
「黒いジャガー」「スーパーフライ」
ソウルフルなブラック・シネマは、いかが?



6年前の9月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  6年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2012年9月 Archive)

写真
「不良少年」
監督:羽仁進
山田幸男
写真
「あなたと私の合言葉 
    さようなら、今日は」

若尾文子、京マチ子
写真
「旅の重さ」
監督:斎藤耕一
高橋洋子
写真
「HANA-BI」
監督:北野武
岸本加世子
写真
「さよならS」
監督:エリック・ゾンカ
フランス
写真
「月曜日に乾杯!」
監督:オタール
 ・イオセリアーニ|フランス
写真
「ラテンアメリカ
       光と影の詩」

アルゼンチン
写真
「憎しみ」
監督:マチュー・カソヴィッツ
フランス
写真
「太陽の下の10万ドル」
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
フランス
写真
「カラマリ・ユニオン」
監督:アキ・カウリスマキ
フィンランド
写真
「パリ・ルーヴル美術館
          の秘密」

フランス
写真
「夜行列車」
監督:J・カワレロウィッチ
ポーランド
写真
「ひなぎく」
監督:ヴェラ・ヒティロヴァ
チェコスロヴァキア


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一話 (京都、旅行、美味など)      書評   美術

クラシック音楽    ポピュラー音楽   



一夜一話の “今日はElectronic, Rock, Funk / Soul だよ”  シュギー・オーティス

1_2018092416225090f.jpg






 今日の一枚は、シュギー・オーティスの「Inspiration Information」だよ。
 これ、知らなかった。私の人生をスルーしてました。出会えて感激!
 スゲーかっこいいクールなサウンドです。
 何がって、1974年の録音ってことが信じられない、そんなサウンドです。
 つまり、当時としては斬新過ぎた。


 どんなサウンドか? それは外国のサイトによると、Electronic, Rock, Funk / Soul。
 えって思うかもしれないけれど、聴けば分かる。

 まずは、アルバムのトップ、「Inspiration Information」をどうぞ!
 https://www.youtube.com/watch?v=pNgjmn3YrOM 
 イントロ(8小節)過ぎると、とてもファンキーな!

 よりファンキーなのは、これか。「Sparkle City」
 https://www.youtube.com/watch?v=2gy7Thmqs_A
 イントロのギターカッティングが終わると、ぐっとファンクです。

 こっちは、Electronicなサウンド。「XL-30」
 https://www.youtube.com/watch?v=5hx9t_mE8O4
 疾走するリズム、ノイズっぽいのもはいる。オルガンがグッとくる。素敵!

 これも好きだな。「Happy House」
 https://www.youtube.com/watch?v=PCJOA90JkOo
 シュギーのボーカルもいい!一番好きかも。

 これでとろける、そんな曲。「Pling!」
 https://www.youtube.com/watch?v=EvnvtHatu2I
 このフェンダーローズのサウンドは、ファンタジー。(リンク先の映像は無視してください)

 以上、気づいたと思うけど、ほとんどの曲で、アナログのリズム・ボックスが使われている。
 それと、曲によっては、シュギーの声質と歌いっぷりが、のちに登場するアート・リンゼイに似てる。 
 とにかく、バックの演奏アレンジが実に緻密でハイセンス、これにも注目してほしい。
 ちなみに、ブラスと弦以外は全部、シュギー・オーティスがやってます。ぜひCD買って聴いてやって下さい。

「Inspiration Information」 シュギー・オーティス
1. Inspiration Information| 2. Island Letter| 3. Sparkle City| 4. Aht Uh Mi Hed| 5. Happy House| 6. Rainy Day| 7. XL-30| 8. Pling!| 9. Not Available| 10. Strawberry Letters 23| 11. Sweet Thang| 12. Ice Cold Daydream| 13. Freedom Flight|

【クレジット】
Shuggie Otis (ブラスと弦以外は全部、シュギー・オーティス)
Producer, Arranged By, Written-By, Lead & Backing Vocals, Guitar, Bass, Drums, Organ, Piano, Vibraphone, Percussion, Analog Drum Machines

Saxophone, Flute – Jack Kelso|Strings – B. Porter, B. Asher, D. Jones , J. Parker, L. Rosen, M. Zeavin, N. Roth, S. Boone, T. Ziegler|Trombone – Doug Wintz, Jim Prindle|Trumpet – Curt Sleeten*, Ron Robbins|French Horn – Jeff Martinez|Harp – Carol Robbins|

Engineer [Mixing] – Shuggie Otis
Engineer [Recording] – Bobby Bloom, Johnny Otis, Nicky Otis, Robb DiStefano
Executive-Producer – Johnny Otis ←この人、シュギー・オーティスのお父さんで、著名R&Bミュージシャン、プロデューサー。

これまでに掲載したポピュラー音楽の記事は、こちらから
 

映画 「さらば青春の光」  映画音楽に魅せられて  監督:フランク・ロダム

上
モッズ(族)。仲間と薬、スクーターとアメリカン・ポップスとモッズファッションと。
主人公ジミーもモッズだ。


1-0_201809241554136ff.jpg ザ・フーやモッズ、パンク、スティングに思い入れがあるわけじゃないが、この映画、1960年代のイギリスの若いのに愛された音楽が出てきます。
 ですがロックファンじゃなくとも楽しめる映画です。

 お話の方は、1960年代半ばを舞台にして、労働者層の息子ジミー・クーパーという青年を中心に、労働者階級の若者達の切ない群像を描いています。

 それは、青春のときめきと悲恋や、ブリティッシュ・ロック(The Who)にアメリカンポップスにアンフェタミン(薬物)と乱痴気パーティ、そして若者同士の乱闘や、階級社会への漠とした反抗、為す術の無さ、階級への従順であり、そうした日々に浸るジミーの疑問と離脱への物語です。
 (辛いのは、モッズの彼らも、ロッカーズの彼らも、ともに労働者階級の若者達なんです)

 ただし、映画はいささか青臭い、感傷的な語り口で展開します。そこがいいわけですが。
 また、海浜リゾート地のブライトンの市街や海岸での、モッズとロッカーズそして警察交えた大規模な乱闘シーンは迫力があります。
(1964年に実際に起きた「ブライトンの暴動」)

 本作オリジナルタイトルの「Quadrophenia」(四重人格)は、ブリティッシュ・ロックバンドのザ・フーの、ロックオペラ仕立てのレコードアルバム名(1973年リリース)であり、この映画の原作にあたります。

2-0_20180924155759b18.jpg 挿入曲は当然、The Whoのが多いのですが、1960年当時、実際にイギリスの若者に受けていた音楽となるとアメリカンポップスです。
 シーンに挿入される曲は次のとおりです。

The High Numbers:ZOOT SUIT|Cross Section:HI HEEL SNEAKERS|James Brown:NIGHT TRAIN |The Kingsmen:LOUIE LOUIE |Booker T and The MG’s:GREEN ONIONS|ザ・カスケーズ:悲しき雨音|The Chiffons:HE’S SO FINE |ザ・ロネッツ:ビー・マイ・ベイビー|The Crystals:DA DOO RON RON |The High Numbers:I’M THE FACE

 ザ・ロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」なんか、聞き覚えありますか。いい曲です。次から聴けます。
 https://www.youtube.com/watch?v=jrVbawRPO7I

 The Who大好きな方はこちらですね。映画挿入曲です。
The Who:I AM THE SEA|THE REAL ME |I’M ONE |5’15 |LOVE, REIGN O’ER ME |BELL BOY |I’VE HAD ENOUGH |HELPLESS DANCER |DOCTOR JIMMY |GET OUT AND STAY OUT |FOUR FACES|JOKER JAMES|THE PUNK AND THE GODFATHER |


オリジナルタイトル:Quadrophenia
監督:フランク・ロダム|イギリス|1979年|117分|
脚本:デイヴ・ハンフェリーズ 、 マーティン・スチルマン 、 フランク・ロダム|撮影:ブライアン・テュファノ|
出演:Jimmy:フィル・ダニエルス|Steph:レスリー・アッシュ|Ace:スティング|Chalky:フィリップ・デイヴィス|Dave:マーク・ウィンゲット|ほか多数

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ポピュラー音楽!!  クラシック音楽


気になる映画 66  《これから上映の映画》

写真
「悲しみに、こんにちは」
スペイン
9/23- 東京都写真美術館ほか
写真
伴淳三郎と三木のり平
昭和に愛されたふたりの喜劇人
9/29-11/2 神保町シアター
写真
ドキュメンタリー・ドリーム・ショー
山形in東京2018
10/6-26 K's cinema
写真
FUN!FUN! ASIAN CINEMA
「細い目」監督ヤスミン・アフマド
「告別」監督:デグナー
10/9、11/5 アテネ・フランセ




閲覧回数の多い映画記事、ベスト10

  • Posted by: やまなか
  • 2018-09-20 Thu 06:00:00
  • 映画
 直近で、よくご覧いただいている映画記事のベスト10です。

 こちらから、のぞいてください。

 とは言え、日々変わっています。瞬間風速みたいな感じです。
 
 



一夜一話の “今日はメンフィス・ソウルだよ” アン・ピーブルス

1_20180903205519840.jpg






 今日の一枚は、メンフィスソウルの名門レーベル、“Hi Records” から、アン・ピーブルスのアルバム「Straight From The Heart」だよ。
 なんたって、このアルバム、Hi の一番いいとこ、この1枚に凝縮、テンコ盛り。
 どの曲聴いても、文句なし。
 ああ、これ以上ことばにするのが、アホらしくなるほど。今日はもう何も言わない。



 まずは、3曲目「What You Laid On Me」を聴いとくれ。
 https://www.youtube.com/watch?v=TU7xJRJOiqA

 次に4曲目、「How Strong Is A Woman」は、どう?
 https://www.youtube.com/watch?v=6_-AlpMdrUI

 例えば6曲目の「I Feel Like Breaking Up Somebody's Home Tonight」
 https://www.youtube.com/watch?v=_MaZDMFMF2s 

 おっと、2曲目「Trouble, Heartaches & Sadness」を忘れてた。
 https://www.youtube.com/watch?v=-ejFwOlTTgs

 以上こんな感じ、アン・ピーブルスっていいでしょ!
 他のトラックもGoodです。
 彼女のほかのアルバムはまたの機会に。

Ann Peebles ‎– Straight From The Heart 1971年  (Hi Records ‎– SHL 32065)

【収録曲】
A1 Slipped, Tripped And Fell In Love|A2 Trouble, Heartaches & Sadness|A3 What You Laid On Me|A4 How Strong Is A Woman|A5 Somebody's On Your Case|B1 I Feel Like Breaking Up Somebody's Home Tonight|B2 I've Been There Before|B3 I Pity The Fool|B4 99 Pounds|B5 I Take What I Want|
【クレジット】
Producer – Willie Mitchell
Backing Vocals – Rhodes, Chalmers And Rhodes
Bass – Leroy Hodges
Bass Saxophone – James Mitchell
Drums – Howard Grimes
Guitar – Teenie Hodges
Organ, Piano – Charles Hodges
Tenor Saxophone – Andrew Love, Ed Logan
Trombone – Jack Hale
Trumpet – Wayne Jackson

これまでに掲載したポピュラー音楽の記事は、こちらから


1年前・3年前・5年前の9月、一夜一話。(2017年9月・2015年9月・2013年9月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-09-16 Sun 06:00:00
  • 映画
1年前の9月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2017年9月 Archive>

写真
「朧夜の女」
監督:五所平之助
飯塚敏子、徳大寺伸
写真
「或る女」
監督:渋谷実
田中絹代、佐野周二

写真
「カフェ・ブダペスト」
監督:フェテケ・イボヤ
ハンガリー
写真
「ヴィンセントが教えてくれたこと」
監督:セオドア・メルフィ
アメリカ
写真
「青いドレスの女」
監督:カール・フランクリン
アメリカ
写真
「夏をゆく人々」
監督:アリーチェ・ロルヴァケル
イタリア
写真
「クスクス粒の秘密」
監督:アブデラティフ・ケシシュ
フランス
写真
「マダム・マロリーと魔法のスパイス」
監督:ラッセ・ハルストレム
アメリカ

写真
「ピカソとシャガール
      愛と平和の讃歌」

ポーラ美術館
写真
CD紹介
“今日はボサノバかな?”
三宅純



3年前の9月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
3年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2015年9月 Archive)

写真
「運命じゃない人」
監督:内田けんじ
中村靖日、霧島れいか
写真
「花よりもなほ」
監督:是枝裕和
岡田准一、宮沢りえ
写真
「白線秘密地帯」
監督:石井輝男
三原葉子、宇津井健
写真
「風の子」
監督:山本嘉次郎
渡辺篤、夏川静江
写真
「メイド・イン・ホンコン」
監督:フルーツ・チャン
香港
写真
「さよなら、人類」
監督:ロイ・アンダーソン
スウェーデン
写真
「ヤクザガール 二代目は10歳」
監督:セルゲイ・ボドロフ
ロシア
写真
「ロスト・イン
     ・トランスレーション」

アメリカ
写真
「フォー・ルームス」
監督:クエンティン・タランティーノ他
アメリカ


5年前の9月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
5年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2013年9月 Archive)

写真
「旅籠屋騒動」
監督:森一生
ミスワカナ、玉松一郎
写真
「モル」
監督:タナダユキ
タナダユキ、石川貴子
写真
「少年」
監督:大島渚
渡辺文雄、小山明子
写真
「にあんちゃん」
監督:今村昌平
長門裕之、松尾嘉代
写真
「いつか読書する日」
監督:緒方明
田中裕子、岸部一徳
写真
「指輪をはめたい」
監督:岩田ユキ  山田孝之、
小西真奈美、真木よう子
写真
「寝ずの番」
監督:マキノ雅彦  長門裕之、
中井貴一、木村佳乃
写真
「裸の十九才」
監督:新藤兼人
原田大二郎、乙羽信子|
写真
「天使が見た夢」
監督:エリック・ゾンカ
フランス
写真
「さすらい」
監督:ヴィム・ヴェンダース
ドイツ
写真
「SWEET SIXTEEN」
監督:ケン・ローチ
イギリス

写真
「自分を探す旅
   (邦画編 その1)」

過去記事からピックアップ
写真
「女が、自分の道を歩む時。」
過去記事からピックアップ
写真
「人生なんて、そうそう
   うまく行かないワケよ。」

過去記事からピックアップ
写真
「やはり、
  大人の映画ってある。」

過去記事からピックアップ
写真
「子供が主演の映画は、
     視点がピュア。」

過去記事からピックアップ


7年前の9月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
7年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2011年9月 Archive>

写真
「二人が喋ってる。」
監督:犬童一心
新屋鳴美、宇野志津香
写真
「風の歌を聴け」
監督:大森一樹
小林薫、真行寺君枝
写真
「米」
監督:今井正
江原真二郎、中村雅子
写真
「NOVEM ノヴェム」
監督:ブラッド・キンメル
アメリカ
写真
「旅人は休まない」
監督:イ・チャンホ
韓国
写真
「ようこそ、羊さま。」
監督:リウ・ハオ
中国
写真
「胡同の理髪師(フートン)」
監督:ハスチョロー
中国
写真
「死の教室」
監督:アンジェイ・ワイダ
ポーランド
写真
「パレルモ・シューティング」
監督:ヴィム・ヴェンダース
ドイツ
写真
「モンド」
監督:トニー・ガトリフ
フランス
写真
「少年と砂漠のカフェ」
監督:A・ジャリリ
イラン
写真
「Jazz Seen
   /カメラが聴いたジャズ」

ドイツ
「ブラックブレッド」
監督:A・ビリャロンガ
スペイン・フランス
写真
「ラストサーカス」
監督:A・デ・ラ・イグレシア
スペイン
写真
「ロビンソナーダ」
監督:ナナ・ジョルジャーゼ
グルジア
写真
「誤発弾」
監督:ユ・ヒョンモク
韓国 1961年
写真
近世文学研究
「江戸滑稽化物尽くし」
アダム・カバット (著)


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ポピュラー音楽!!  クラシック音楽

気になる映画 65  《これから上映の映画》

写真
「ポップ・アイ」
シンガポール
8/18- ユーロスペース
写真
「ジョージア映画祭」
ジョージア(グルジア)
10/13-26 岩波ホール
写真
「テル・ミー・ライズ」
イギリス(1968年制作)
8/25- イメージ・フォーラム


映画「フランコフォニア ルーヴルの記憶」  監督:アレクサンドル・ソクーロフ

上2

1-0_20180910132348269.jpg



 この映画は、ルーヴル美術館についての作品ですが、収蔵品に関して芸術うんぬんを語るのではなく、時の王室・政府や第二次世界大戦を主題に据え、ルーヴル美術館の遍歴を(大河小説のように)描こうとします。

 映画は、昔のモノクロ映像や、絵画に描かれた館内のかつての様子、そしてもちろん、「モナ・リザ」、「サモトラケのニケ」やエジプト・コレクションなど著名な絵画彫像の映像を取り入れたドキュメンタリー形式ではありますが、俳優も登場します。

 そのうちの2人は、ヨーロッパやエジプトなど遠征先からの美術品略奪収集が旺盛だったナポレオン一世と、象徴的な位置づけの謎の女。
 ともに、ルーヴル美術館館内に居つく亡霊として、次の幾つかの絵画シーンに現れます。
 彼自身の肖像画や「皇帝ナポレオン一世と后妃ジョセフィーヌの戴冠式」や、フランス革命を描くドラクロワの「民衆を導く自由の女神」など。

2-1_20180910132910db7.png しかし登場人物の主たるは、第二次世界大戦中、ナチスドイツ軍によるパリ侵攻(パリ陥落)ののち、ルーヴル美術で面会する二人の男、ルーヴル美術館館長とナチス高官であります。(実話の再現)
 ちなみにナレーションは全て、アレクサンドル・ソクーロフ監督です。監督の思いがストレートに伝わってきます。


 映画はおおよそ、こんなことを語ります。
 ルーヴル美術館は、歴代フランス王の王宮(ルーヴル宮殿)でしたが、王宮がヴェルサイユ宮殿へ移って後、王室美術品コレクションの収蔵展示場所となった。
 そしてフランス革命後、フランスが有する優れた美術品を展示する美術館として1793年に開館。
 その後、ナポレオン一世によって所蔵点数は一気に増え、そして王政復古、フランス第二帝政時代、フランス第三共和政を経て収蔵点数はさらに増加。
 映画は、これら美術館の遍歴をたどりながら、第二次世界大戦の「直前」に至ります。

3-0_20180910133439c43.jpg 当時この時のルーヴル美術館館長がジャック・ジョジャール。
 彼は自身を役人だと言います。(フランス国立美術館総局副局長)
 第二次世界大戦中の、フランス第三共和政の終末期に、そしてドイツのパリ侵攻を避けフランス南部に構えたヴィシー政権に仕え、目まぐるしい時代を館長として役目を毅然として果たします。(このヴィシー政権はドイツとイタリアに対し休戦を申し入れます。つまりナチスドイツに屈しナチスに寄り添った政権)

 さて大戦の直前、彼は時をみて、「モナ・リザ」など最も重要な絵画多数をシャンボール城へ避難させ、大戦勃発後、「サモトラケのニケ」などこれも最も重要な彫像群をヴァランセ城へ移送しました。
 こうして主要な美術品の大方が ルーヴル美術館を去った後、ナチスドイツの美術品保護の責任者で高官の、メッテルニヒ伯爵がルーヴルに来館します。
 メッテルニヒの任務は、ルーヴル美術館からの略奪でした。所蔵品の中からナチスが欲する作品を選び出し、ナチスの美術館に移送するためでした、が・・。

 ここら辺を含め、観てのお楽しみ。
 ルーヴル美術館館長とナチス高官のこの二人、事実は奇なりであります。
 そして映画の最後のほうで分かるのですが、ジャック・ジョジャールは密かにパルチザンと通じていたそうです。(ヴィシー政権下で館長として仕えたジャック・ジョジャールは戦後、戦犯として裁かれることになりますが、パルチザンであったことが判明し裁かれずに済みました)

 以上をお読みになって、お勉強的な映画に思われるかもしれませんが、さにあらず、最後まできっちり観せます。

                 

 ルーヴル美術館そのものに関心を持たれた方は、下記からルーヴル美術館公式サイト日本語版を見てください。
 https://www.louvre.fr/jp
 このリンク先の上部に、「作品と宮殿」というのがあります。これをクリックし、さらに「ルーヴルの歴史」をクリックすると、美術館のこれまでが分かります。本作「フランコフォニア ルーヴルの記憶」の一番の参考資料になると思います。

 また、ルーヴル美術館の収蔵品の避難大作戦や、ジャック・ジョジャールとメッテルニヒ伯爵について焦点をあてたドキュメンタリーに、NHK BS世界のドキュメンタリー枠で放映された「ルーブル美術館を救った男」(フランス2014年制作)があります。これもなかなか面白いものです。
5 それにしても、長く続くかと思われたドイツのフランス制圧はたった4年で終わります。

 ちなみにヒトラー個人は、ルーヴル美術館やその収蔵品よりも、音楽に関心があったようです。
 フランス・ドイツの休戦開始の1940年6月23日午前0時。その日、ヒトラーは極秘でパリを視察します。
 彼が真っ先に訪れたのはオペラ座でした。オペラ座の中まで入り熱心に見学したそうです。(「国家と音楽家」中川右介著)

オリジナルタイトル:Francofonia
監督とナレーション:アレクサンドル・ソクーロフ|フランス・ドイツ・オランダ|2015年|88分|
撮影:ブリュノ・デルボネル|
出演:ジャック・ジョジャール(ルーヴル美術館長)/ルイ=ド・ドゥ・ランクザン|ヴォルフ・メッテルニヒ伯爵/ベンヤミン・ウッツェラート|ナポレオン1世/ヴィンセント・ネメス|マリアンヌ(フランス共和国の象徴)/ジョアンナ・コータルス・アルテ|アレクサンドル/アレクサンドル・ソクーロフ|

【 アレクサンドル・ソクーロフ監督の映画 】
 これまでに記事にした、アレクサンドル・ソクーロフ監督の作品です。
 画像をクリックしてお付き合い下さい。

写真
「孤独な声」
写真
「日陽はしづかに発酵し・・」
写真
「セカンド・サークル」
写真
「エルミタージュ幻想」
写真
「マリア」


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アニメ「話の話」  監督:ユーリー・ノルシュテイン


0_2018090516214582d.jpg
「話の話」は、4つのキャラクターデザインで話が構成されています。
 「話の話」は、物語の先へ先へと、急いでいるかのように語って行く流行のアニメとは、まったく違うスタンスです。そして、ザワザワした環境で観ないほうがいいです。

 例えば一枚の絵画をみて、その絵は何を語ってるのか、何が描かれているのか、絵の向こうで何が起ころうとしているのか、そういう「何」に正解はない、絵の横の説明パネルや展示会パンフレットを読むんじゃなく、まずその場でどう感じるかが、大切なのと同じで、「話の話」が語る物語の「何」に正解は無い。(と思う)

 それに、そもそも「話の話」は観てれば、どの国の人でもだいたい分かる。
 その、だいたいがだいたいとして素直に受け入れられないとなると、きっと正解があるんじゃないかと、解説を求めようとするのかもしれない。

 「話の話」を含むユーリー・ノルシュテインの作品群が次から総覧で覗けます。 
 ユーリー・ノルシュテイン監督特集「アニメーションの神様、その美しき世界」の予告編です。
 http://www.imagica-bs.com/norshteyn/
 最初に聴こえてくるアコーディオンの音楽は「話の話」で使われています。これもいいですね。

 この「話の話」を、ユーリー・ノルシュテインのアニメーションを初めて観たのは、確か、深夜の中央線沿線だった。
 仕事を終え、新宿の店で友人と何だったか、やけに意気投合、しこたま飲んで、終電が過ぎ、タクシーで東中野の彼のアパートへ行った。
 その部屋で、互いに目が冴えてしまい、友人は「これ知ってる?観る?」と言いながら、棚から取り出したのが「話の話」のレーザーディスクだった。
 ほどよい?酔いと深夜の静けさの中で観た、ユーリー・ノルシュテインのアニメは、詩的、幻想的で、ゆったりした奥行きと包容力ある世界が広がっていて、あまりに素晴らしく、すぐさま脳裏に焼き付いて、そののち爆睡した。
 その後、ずっとそのままだったが、何時だったかTV放映されたのを運よく録画し、今回改めて観たのです。
 今回観た印象は、その昔と変わらなかった。やはりいい。

オリジナルタイトル:Skazka skazok
監督:ユーリー・ノルシュテイン|ソ連|1979年|29分|
脚本:L・ペトルシェフスカヤ、ユーリー・ノルシュテイン|アニメーション:ユーリー・ノルシュテイン|撮影:I・スキダン=ボーシン|美術:F・ヤールブソワ|編集:N・アブラモバ|作曲:M・メエロビッチ|

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映画「10話」  監督:アッバス・キアロスタミ

上
アミンと母親


 この映画は、イランの首都テヘランに住む女性たちを登場させ、女性ならではの諸問題を、リアルに時にコミカルに描き出そうとする、素晴らしい作品です。
 特徴は、ドキュメンタリー風な、さらりとした描写と、斬新な映像表現です。
 特に、映画のすべてのシーンは、主人公が運転する自動車車内に限られ、かつ助手席に座る人との会話シーンだけで話は終始します。

【 登場人物と10の話 】 
 映画は、題名「10話」が示す通り、10章から成り立っています。

 主人公は、自家用車を運転する女性※。(※役名が無いので、演じている女優名マニア・アクバリを代用します)
 マニア・アクバリは全ての章で、運転席に座り、ドライバーを演じます。
 そのほかの登場人物は、この車の助手席に同乗する人々です。

0-1 その人たちとは、マニア・アクバリの息子アミン(小学生)、マニア・アクバリの妹、老女(敬虔なイスラム教徒)、売春婦(夜、客の車と間違えて乗車した女)、たまたまマニア・アクバリに拾われた女性(昔、信者ではなかった女)といった人たちです。(この5人はそれぞれの章に割り当てられ、一人で登場します)

 このうち映画は、マニア・アクバリの息子アミンのために、10章のうち4つの章を割いています。
 母親マニア・アクバリは、離婚して さほど時を経っていない様子です。
 今、息子アミンは母親の元で生活していますが、アミンの心は母親と父親の間を揺れ動いています。シーンの様子では、どうやらアミンは、父親の元に居たいらしいです。
 アミンは、運転する母親の隣りで、チョット大人びた物言いで母親を批判しながらも、母親にすねて、わめき、押し黙り、またわめきます。
 案外、的を得たアミンの物言いに、母親は真っ向から発言します。そして、ついにアミンはプイッと車を降りてしまいます。いつもこの繰り返しです。
 そしてアミンは父親の所へ泊まりに行くのですが、結局 最終章で母親の元に戻ってきます。
 こんな様子がとてもリアルです。それもそのはず、アミンはマニア・アクバリの実のお子さん。(離婚も実話でしょうね。この母子には申し訳ないが結構、可笑しいシーンです)

0-2.jpg 以上4つのアミンの章は、10章中に分散配置され、そのほかの章には、アミンに代わって助手席に座る大人の女性たち4人が交互に登場します。
 つまり、マニア・アクバリの妹と、たまたまマニア・アクバリに拾われた女性(それぞれ2つの章を割く)そして老女と売春婦です。
 映画はここで、マニア・アクバリと同乗女性との、ごく日常的な会話を通して、男女間の身近な難題や、宗教に関わる問題を語ります。(さらにはイランの現状をも考えさせます)

 これらの登場人物の演技は、マニア・アクバリと実の子アミンの「実際」と比べれば、演技なのですが、すべて素人俳優だそうです。そして台本は無く、全部アドリブだとか。よってセリフはごく自然で、ドキュメンタリー映画っぽく感じます。

 そしてマニア・アクバリの車は、登場人物を乗せテヘランの街中を走ります。
 登場人物の背後の、車窓から見える風景は、いろんな店やモスクやビル、行き交う車、それを縫って横断する人、舗道を行く人、クラクション、高速道路など、どれも今のテヘラン風景です。
 車窓からの風、街の匂いも感じ取れ、観客はテヘランにいる感じがしてきます。

【 斬新な映像表現 】
 映画を観ていて、一番に印象的なのは、カメラアングルです。

 撮影カメラは、運転席のマニア・アクバリだけを写すカメラ1台と、助手席だけ写す1台の、計2台のカメラだけで撮影されています。
 かつ、このカメラは、ボンネット上に据え付けられ、アングルが固定されています。
 つまり、全シーンにおいて、この2種類のアングルだけなのです。

 映画は、こうした2つの映像を、交互に淡々と見せることで、観客の気を、車内の会話に集中させようとします。
 一方でその淡々さは、車窓からの流れる風景、これに観客の目を向けさせようとします。
 ともすれば閉塞感を感じる車内映像ですが、車外が見えることで、広がり感解放感や街の生き生きとした様を、映像に呼び込むことができています。

 ちなみに可笑しいのは、アングル固定ですから、子供のアミンはいつも胸から上が映るのですが、大人は鼻から下しか映らないことも多い。これ結構、映画のお作法を逸脱していて、やってくれましたという感じがします。

オリジナルタイトル:Ten
監督・脚本・撮影:アッバス・キアロスタミ|フランス、イラン|2002年|94分|
出演:マニア・アクバリ|アミン・マヘル|ほか

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ポピュラー音楽!!  クラシック音楽



映画「ミツバチのささやき」  スペイン映画   監督:ビクトル・エリセ

上


0_201809031256086c7.jpg 主人公の少女、アナの愛くるしさと、1940年の静かな田園風景に浸るのもいいだろう。
 これが物語の土台であり、いにしえの良きスペインを表わそうとしているのだから。

 そのうえで、セリフ僅かなこの映画は、いくつかのシーンでいくつかの話をしようとします。
 例えば、まだ若いアナの母親が手紙を書いています。(老いた夫とは歳の開きがある)
 彼女が抱く密かな愛と、変わりゆく世の中への絶望感を、行方不明の愛しい人宛てへ、届くか分からぬ手紙に託します。

 村に映画「フランケンシュタイン」の巡業が来ます。
 上映されるフランケンシュタインの映像は我々観客に、内戦に勝利したファシズム陣営のフランシスコ・フランコを暗示させているのかもしれません。

 その一方で、映画「フランケンシュタイン」の1シーンにある、フランケンシュタインと少女との優しい出会い。
 これを観たアナは怖いながらも、このシーンに魅かれて行きます。(このテーマが映画後半の軸となっていきます)
 そしてある日、反ファシズム陣営に属す一人の男が、走る列車から飛び降り、この村の、畑の中の一軒家の廃屋に身を隠しました。
 巡業の映画を観てからというもの、この廃屋は、アナと姉のイザベルの姉妹にとって、フランケンシュタインのような姿の精霊の棲み家でありました。そして男とアナが出会うのでした。それからは・・。

 一番まっとうな予告編をあげておきます。(El espíritu de la colmena - Duch Roju - 1973 - trailer)
 https://www.youtube.com/watch?v=wR_mjiLGZkc

 「ミツバチのささやき」は、言葉少なに、映像で物語を語ろうとしています。
 よって一枚の絵画を見るように、静かにじっくり観てください。

 本作と同様の、静かな映画60作品を、「静かな映画 洋画編」で取り上げています。
  こちらから、見てみてください。
 本作のビクトル・エリセ監督の1983年作品「エル・スール」は既に記事にしました。
  こちらからお読みください。

オリジナルタイトル:El Espiritu de la Colmena
監督:ビクトル・エリセ|スペイン|1973年|99分|
原案:ビクトル・エリセ|脚本:アンヘル・フェルナンデス・サントス 、 ビクトル・エリセ|撮影:ルイス・カドラード|
出演:アナ(アナ・トレント)|姉イサベル(イサベル・テリェリア)|父親フェルナンド(フェルナンド・フェルナン・ゴメス)|母親テレサ(テレサ・ヒンペラ)|アナの家の家政婦ミラグロス(ケティ・デ・ラ・カマラ)|治安警察官(エスタニス・ゴンサレス)|精霊のフランケンシュタイン(ホセ・ビリャサンテ)|逃亡の男(ジュアン・マルガロ)|アナが通う学校の教師ドナ・ルシア(ラリー・ソルデビラ)|医者(ミゲル・ピカソ)|

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一夜一話の “今日はソウルだよ” アレサ・フランクリン (2)

1-1_201808300924384b3.jpg








 アレサが死んだ。
 亡くなったとか逝去とか、そんな言い方は何か、よそよそしい。
 76歳、今どき若いよ。まだまだ歌えたのに。


 アレサ・フランクリンのアルバム、良いのは色々あるけど、今日は1973年の「Hey Now Hey」。(当時アレサ31歳)

1-3_20180830093545218.jpg 選んだワケは、ふたつ。
 一つ目は、アレサがエンジェルになっているから。
 (アルバムを開くと、右のイラストが現れて、右端に白い翼のアレサがマイク持って立っている)
 それと、もうひとつのワケは、このアルバムのサウンドが、ソウルファンの評価が高い、60年代のアレサから逸脱してるから。

 たぶん、本人的には、1967年の大ヒット曲「リスペクト」などの、それまでのソウルサウンドを、いつまでも後生大事に歌っているわけにもいくまい。
 「リスペクト」の試聴 https://www.youtube.com/watch?v=6FOUqQt3Kg0
 新境地を求めていたと思う。

 アトランティックも模索してたんだろう。
 この「Hey Now Hey」というアルバムのプロデュースは、アレサとクインシー・ジョーンズ。
 次から試聴できる。(いつも思うが、パソコンで聴くと、どんな歌もウスッペラに聴こえて残念)
 https://www.amazon.co.jp/Hey-Now-Aretha-Franklin/dp/B0000033G0

 前知識や固定概念抜きで、じっくり聴くとね、アレサの歌・ピアノはもとより、バック演奏とアレンジも上出来で、総じてアルバムの完成度は高い。
 アレサの、メロディの崩し方、緊張と緩和、間のとり方入り方などなど、あまたのソウルシンガー達から抜きん出たその歌いっぷりは、さすがで、健在です。

 ただ、このアルバム、不人気だったらしい。
 アルバムに納められた曲は、スウィートなソウルを中心に、ビッグバンドジャズ風やニューオリンズ・ソウルもあって、まとまりが無いと言えば、その通り。
 また、(当時の)ナウいミュージシャンの演奏に乗ったスウィートさは、これはアレサが歌うソウルじゃないと思われたんだろう。
 でもアレサは、ちゃんと“アレサならでは”にソウルフルに歌ってんだけどね。例えばベースも、なかなかソウルなベースラインを弾いてんだけどね。
 しかし、そのトータルなサウンドから聴こえる印象が、どうも60年代好きソウルファンには嫌われたかもしれない。

 今から思えば「Hey Now Hey」は、翌年1974年のアルバム「Let Me in Your Life」へ至るまでの、道のり途中の作であった。
 (この「Let Me in Your Life」は以前、記事にしました。 こちらから、どうぞ) 

 ちなみに、ジャズテイストの曲でアレサが弾くピアノソロなんか、彼女、楽しんでるよ。

「Hey Now Hey (The Other Side of the Sky)」

【Track listing】
"Hey Now Hey (The Other Side of the Sky)"  (作曲Aretha Franklin)
"Somewhere"  (作曲Leonard Bernstein, Stephen Sondheim)
"So Swell When You're Well"  (作曲James Booker, Aretha Franklin)
   ★James BookerはニューオリンズのソウルR&Bの楽しい人。
"Angel"  (作曲Carolyn Franklin, Sonny Sanders)  ★Carolyn Franklinはアレサの妹。
"Sister from Texas"  (作曲Aretha Franklin)
"Mister Spain"  (作曲Carolyn Plummer)
"That's The Way I Feel About Cha"  (作曲Bobby Womack, Jim Grisby, Joe Hicks)
"Moody's Mood"  (作曲James Moody, Jimmy McHugh, Dorothy Fields)
"Just Right Tonight"  (作曲Aretha Franklin, Avery Parrish, Buddy Feyne, Quincy Jones, Robert Bruce)
"Master of Eyes (The Deepness of Your Eyes)"  (作曲Aretha Franklin, Bernice Hart) ★LPには無い曲

【Personnel】
Aretha Franklin – vocals (All tracks), piano (tracks 2-3)|Willie Bridges, Charles Chalmers – saxophone|Tommy Cogbill, Jerry Jemmott – bass guitar|Roger Hawkins, Richie Pratt – drums|Wayne Jackson – trumpet|Jimmy Johnson – guitar|Andrew Love, Floyd Newman – saxophone|Spooner Oldham – keyboards|Phil Woods – alto saxophone on "Somewhere"|Joe Farrell – tenor saxophone on "Angel", flute on "Mister Spain"|Billy Preston – piano on "Just Right Tonight"|

これまでに掲載したポピュラー音楽の記事は、こちらから

2年前・4年前・6年前の8月、一夜一話。(2016年8月・2014年8月・2012年8月の掲載記事です)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-08-31 Fri 06:00:00
  • 映画
2年前の8月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  2年前の8月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2016年8月 Archive

写真
「雷魚」
監督:瀬々敬久
佐倉萌
写真
「皆月」
監督:望月六郎  奥田瑛二、
吉本多香美、北村一輝
写真
「浅草四人姉妹」
監督:佐伯清
相馬千恵子,関千恵子,杉葉子
写真
「トワイライト ささらさや」
監督:深川栄洋
新垣結衣、大泉洋
写真
「トレインスポッティング」
監督:ダニー・ボイル
イギリス
写真
「ある子供」
監督:ダルデンヌ兄弟
ベルギー
写真
「ミリオンダラー・ホテル」
監督:ヴィム・ヴェンダース
ドイツ
写真
「フランシス・ハ」
監督:ノア・バームバック
アメリカ
写真
「カッコーの巣の上で」
監督:ミロス・フォアマン
アメリカ
写真
「死刑台のエレベーター」
~映画音楽に魅せられて
監督:ルイ・マル|フランス
写真
「バルタザールどこへ行く」
監督:ロベール・ブレッソン
フランス



4年前の8月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  4年前の8月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2014年8月 Archive

写真
「時代屋の女房」
監督:森崎東
夏目雅子、渡瀬恒彦
写真
「極道ペテン師」
監督:千野皓司
フランキー堺、伴淳三郎ほか
写真
「東京五人男」
監督:斎藤寅次郎
横山エンタツ、花菱アチャコ
写真
「幻影師アイゼンハイム」
監督:ニール・バーカー
アメリカ
写真
「博士の異常な愛情」
監督:スタンリー
 ・キューブリック|アメリカ
写真
「チャイニーズ・ゴースト
       ・ストーリー」

監督:チン・シウトン|香港
写真
「ソウルガールズ」
監督:ウェイン・ブレア
オーストラリア
写真
犯罪「幸運」
監督:ドリス・デリエ
ドイツ
写真
最近読んだ本。
「ナツコ 沖縄密貿易の女王」
文春文庫:2007年
写真
京都観光街歩き、
   そして貴船の川床
    
写真
箱根 姥子温泉
岩盤自然湧出泉 ~秀明館



6年前の8月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  6年前の8月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2012年8月 Archive

写真
「ひとりぼっちの二人だが」
監督:舛田利雄
吉永小百合
写真
「教祖誕生」
監督:天間敏広
北野武 萩原聖人 岸部一徳
写真
「居酒屋ゆうれい」
監督:渡邊孝好
室井滋 萩原健一 山口智子
写真
「誰も知らない」
監督:是枝裕和
柳楽優弥 YOU
写真
「夜の河」
監督:吉村公三郎
山本富士子
写真
「愛より強く」
監督:ファティ・アキン
ドイツ、トルコ
写真
「バグダッド・カフェ」
監督:パーシー・アドロン
西ドイツ
写真
「モーツァルトとクジラ」
監督:ピーター・ネス
アメリカ
写真
「動くな、死ね、甦れ!」
監督:ヴィターリー
  ・カネフスキー(ロシア)
写真
「光の旅人 K-PAX 」
監督:イアン・ソフトリー
アメリカ
写真
「青いパパイヤの香り 」
監督:トラン・アン・ユン
フランス ベトナム
写真
「父、帰る 」
監督:アンドレイ
    ・ズビャギンツェフ
写真
「勝手にしやがれ」
監督:ジャン=リュック
        ・ゴダール
写真
「家の鍵」
監督:ジャンニ・アメリオ
イタリア
写真
「にがい米」
監督:ジュゼッペ
     ・デ・サンティス


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一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽

京都へ、今年も行ってきた。

  • Posted by: やまなか
  • 2018-08-29 Wed 06:00:00
  • 一話
上


 暑いけど、今夏も墓参り。
 京都駅を降り、東山五条の西大谷で、花買って、線香あげて、ハイ終わり。
 西大谷(大谷本廟)境内も、墓地も、炎暑で人影なし。

地図1 とりあえず、八坂神社近くの石塀小路の宿まで歩いて、バッグ置いて、いざ、嵐山。
 行き先は、京都の西端、嵐山の渡月橋を渡った向こう岸、松尾大社だ。(京都市内最古の神社のひとつ)

 市営地下鉄「東西線」乗って「嵐電」に乗り継いで嵐山、のルートもいいが、なにせ、ここは東山四条。東西線まで歩くのは、ちと遠いし暑い!
 そこで、歩く距離が短くて済む、四条河原町に出て阪急に乗ることにした。阪急京都線を桂駅でVターンし、阪急嵐山線で松尾大社駅下車のルートだ。


御朱印帳 ルートが決まって、宿から河原町通へ出る途中、少しは涼しいだろう八坂神社境内を抜ける。
 でも実は、神社を通る別のワケがある。それは、松尾大社へ持っていく「御朱印帳」を家に置き忘れたんよ。
 そんなことで八坂神社で御朱印帳を買って、申し訳ないから、ついでに御朱印をいただく。(松尾大社は御朱印帳を売ってないかもしれないので念のためだった)
 これで私が持ってる御朱印帳は、都合3冊になるが、いただいた御朱印は3つだけ。
 (ちなみに御朱印を書いてもらった八坂社務所のおばちゃんに聞くと、多い時は一日に100回書くらしい)

 さて、そもそも、今回なぜ嵐山か。
 それは、元・京都市在住だったからかな、毎夏、墓参のついでに行きたいどこかが街中に無くなってきた。で、行ったことない周辺部郊外にしたんだ。
 でも、本当の理由は、従妹の行きつけの、嵐山の店で飲むことになったから、だった。


 そうならと、事前に嵐山付近の銭湯を探しておいた。湯につかれば、ビールはさらに美味くなるからだ。
 見つけたのは渡月橋のたもとにある「風風の湯」というスーパー銭湯。ここなら行く店に近い。それに夕方、渡月橋を湯上りで渡り、松風さっと吹くなか、粋に店まで歩いて行けるだろう。

地図2 小 で、だから松尾大社は、それまでの時間つぶし、なわけ。
 なんだけど、ウィキペディアによると、ここは、京都市西部、四条通西端に位置し、東端の八坂神社(祇園社)と対峙して鎮座する、とある。そうか!(これを書くにあたって初めて気付いた)
 それと、松尾大社は古代から渡来系氏族の秦氏(はたうじ)に奉斎されたことで知られる神社で、この秦氏は平安京遷都を推したらしい。京都繁栄の祖とも言える。なるほど。
 そんなことで、この神社で拝み、無事、御朱印をもらった。(松尾大社は酒の神様でもある)


 そんで次に、段取り通り、松尾大社駅から一駅で嵐山線終点の嵐山駅到着。
 駅すぐの桂川河岸の「風風の湯」は、静かな、宣伝過多じゃない、思いのほか良い風呂だった。お薦め。

 風呂を出て、前日の台風通過で増水気味の濁った桂川を見ながら、湿度高く蒸し暑い渡月橋を渡り、15分ほど歩いて、汗じわっとして店に着く。ここは地元客の店。
 私、弟、待ち合わせた従妹とその友達で、冷えたビールをグイッと、おお爽快!(これが毎夏の京都行の目的やねん)
 わいわいやって、気が付きゃ4時間もいた。


2-1_20180827114023085.jpg 翌朝、宿で弟と歯磨きしながら「兄貴、今日どこいこか?」 まったくあても計画もない兄弟。
 ま結局、あれこれさほど迷わず、上賀茂神社へ。
 たぶん、2人とも行ったことが無いような・・気がする。

 市バス4番に飛び乗って、四条河原町から上賀茂神社へ。
 途中、馴染みの街風景を見ながら、でも洛北高校過ぎた北大路あたりからは案外知らない街。
 そして上賀茂神社近くになると畑も見え始めてちょっとした郊外。意外に時間がかかった。少し旅気分。(京都市営バス路線の北辺)
 着いたら、上賀茂神社境内の青空は大きく広がっていました。(正式名:賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)

 生前、おふくろが時々買ってきた、上賀茂神社前の神馬堂のやきもち、今回、私も買おうとしたら、私の次の方で売り切れ。
 朝9時半ごろのことです。
 なんか、落ち着かない京都になりました。
 
下2















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映画「歌っているのはだれ?」 ユーゴスラビア映画   監督:スロボダン・シャン

上
ロマ音楽の辻芸人と、おんぼろバス。

男は歌を歌いアコーディオンを弾く。子供はサイドボーカルとマウスハープを担当。
映画冒頭や各章の頭に登場し、シーンに沿った歌詞を歌い、本作の狂言回しを担う。
バスの乗客でもある。

【バスに乗った、そのほかの10人】
 映画はこれらの人物を登場させて、当時のユーゴスラビア王国セルビア地方の多様性と運命を描くのです。

写真
バスのオーナーで車掌
乗客に対し高圧的。
子豚を数頭、バスに乗せベオグ
ラードの市場で売る。バス商売
より豚売買の方が儲かるらしい
写真
バスの運転手
左の男の息子。ちと頭がポン。
目隠し運転をしてみせる。
河岸で王国軍にリクルートされ
意気揚々とバスを離れる。
写真
第一次世界大戦の元兵士
息子に会いに行くらしい頑固、
短気で古風な老人。
財布に金をたんまり持っている
が財布を落とす。
写真
ドイツびいきの紳士
ナチス信奉かは不明だが周囲の
人間を見下している。河に落ち
流されるが誰も助けない。のち
に下流岸に泳ぎ着き皆に加わる。
写真
田舎の猟師
乗客中、一番の喜劇を演じる役。
荒野の中、バス停でない理由で
乗せてもらえなかったり、猟銃
暴発で下車させられたりの男。
写真
肺結核の男
咳が多くハンカチを手放さない
乗客中一番に影が薄い男。
無口な弱者の代表か。
  
写真
駆け出しの歌手
オーディションのためオグラー
ドへ行く。女好きで色男ぶる。
花嫁に露骨にアプローチする。
  
写真
途中乗車の新婚夫婦
式後、白いベールのまま乗り込
んでくる。バス停に向かって荒
野を走る姿はエミール・クスト
リッツァ監督の映画を思い出す。
写真
新婚夫婦に付き添う坊主
セルビア正教会の僧だろう。
セリフは無い。
当地の宗教を考えさせるトリガ
ー役か。


0_20180826084408e00.jpg その日、セルビアの田舎の始発バス停から、7人の人々が、首都ベオグラードへ向かう一台のバスに乗ったのでありました。(よって本作はロードムービーであります)
 時は1941年、映画の舞台はユーゴスラビア王国(1918年~1941年)のセルビア。

 バスの乗客の客層はさまざまで、互いに知り合いはいませんでした。
 また、バスは個人経営のおんぼろバス(木炭ガスを燃料にして走る木炭自動車)で、オグラードへの道筋は、荒涼としたむき出しの大地をのろのろと抜け、次に緑豊かな河岸を走り、そしてベオグラードに近づく所でやっと石畳の舗装道路を走るのでした。
 それは一泊二日の、夕食付のバスの旅。(木炭ガスを作るドラム缶の釜で焼いたステーキと、パンと生のニラの夕食でした)
 映画は、ゆったりとした喜劇を、のろのろ走るバスに乗せて、乗客それぞれの可笑しさを珍道中として描きます。

 しかし、時は第二次世界大戦(1939年~1945年)最中の、1941年4月5日。
 そして、翌日4月6日は、ドイツ、イタリアを中心とする枢軸国軍とユーゴスラビアとの間で行われた戦争(ユーゴスラビア侵攻)が始まります。
 旅の二日目(4月6日)、ベオグラードに近づくころ、バスは避難する一台の馬車とすれ違います。
 その後、バスは何事もなくベオグラードに到着しましたが、その直後、街は激しい空襲を受けます。
 不幸にもバスは銃撃を受け、横転し激しく炎上してしまいます。
 それでも辛うじてロマ音楽の辻芸人2人が這い出してきましたが、ほかはたぶん全員焼死。
 バスの誰もが、セルビアの誰もが、このユーゴスラビア侵攻など思いもよらないことでありました。

 ロマの歌う辻音楽は、こちらから聴けます。
 https://www.youtube.com/watch?v=-CoL3VzunAc

 このふたりは唯一の生存者でありましたが、バス車中で乗客から差別的な扱いを受けました。
 それは第一次世界大戦の元兵士が財布を失くしたのですが、このふたりが盗んだ掏ったと暴行を受けます。
 ですが財布はバス昇降口の地面に落ちていました。これを拾ったのは、猟師でした。

オリジナルタイトル:Ko to Tamopeva|Who's Singin' Over There?|
監督:スロボダン・シャン|ユーゴスラビア|1980年|87分|
脚本:ドゥシャン・コバチェビッチ|撮影:ボジダル・ニコリッチ|音楽:ボイスラブ・コスティッチ|
出演:バスのオーナー(Pavle Vuisić)|駆け出しの歌手(Dragan Nikolić)|ドイツびいきの紳士(Danilo Stojković)|バス運転手(Aleksandar Berček)|花嫁(Neda Arnerić)|第一次世界大戦の元兵士(Mića Tomić)|田舎の猟師(Taško Načić)|結核おじさん(Boro Stjepanović)|花婿(Slavko Štimac)|ほか


下
















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映画「ソナチネ」(1984) カナダ映画   監督:ミシュリーヌ・ランクト

上2
地下鉄の座席に座るルイゼットとシャンタル。
2人の後ろに見える手作りボードには、「誰かが止めない限り、私達は死にます」と書いてある。
<カナダ、モントリオールの地下鉄車内にて>



 高校生の女の子ふたりの心情を、詩情あふれる映像に乗せて描く映画です。
 そのふたりとは、シャンタルとルイゼット。

0_20180821235424fce.jpg 映画は、まず、シャンタルのことから語り始めます。
 雨上がりの夜、赤いテールライトを、濡れた道路に映して走る路線バス。
 わずかな乗客、ガランとした車内にシャンタルがヘッドホーンで音楽を聴きながら座っている。
 そのバスは、いつもの時刻の通い慣れたバスだから、シャンタルは馴染みになった運転手の男と会話を少し。
 それは、ほんのわずかなことだが、思いのほか、孤独なシャンタルの心を慰めた。
 男は穏やかそうな中年の運転手だが、運転中に時々、ポケット瓶のウィスキーを飲む、いささかヤンチャな男。

 ルイゼットは、夜の港に停泊中の外国航路の船に忍び込んだ。密航しようとしている。
 だが、ひとりの船員に見つかってしまう。
 外国人の彼は、だんまりのルイゼットに何やら話すが話が通じない。(ちなみに本作はカナダの仏語圏の映画)
 しかし、互いにたどたどしい会話が進む中で、ルイゼットはこの中年の船員の、何とも言えぬ優しい包容力に触れる。
 結局、彼に促されルイゼットは下船。港には、潮風と夜のしじまを突いて、どこかの船の汽笛が響き渡っていた。


2-0_2018082208025001e.jpg シャンタル、ルイゼットは共に、ヘッドホーンを欠かさない女の子。
 それは、音楽好きというよりも、自身のまわりの現実を遮断するかのよう。
 その一方で、「自身のまわりの現実」以外(つまりアウトサイダー)から差し伸べられる、いわば救いの手を、彼女たちは待ち望んでいる。そして「ここではない何処かへ」を望むかのよう。映画はそう語る。

 さて、映画はここにエピソードとして、モントリオールのバス地下鉄乗務員のストライキを盛り込んでくる。
 そのことによる影響のひとつ。
 シャンタルと馴染みの運転手はストライキに加わらず、結果、シャンタルの前から姿を消した。シャンタルの、なんとか保っていた心の安定が崩れ始める。
 ストライキによる影響のもうひとつ。
 地下鉄ストライキの突入は、映画ラストで、シャンタルとルイゼットの運命に斧を振り下ろすことになるのでした。

 繊細な映画なので、取扱注意です。
 

オリジナルタイトル:Sonatine
監督・脚本:ミシュリーヌ・ランクト|カナダ|1984年|91分|
撮影:ギイ・デュフォー|
出演:シャンタル(パスカル・ブスィエール)|ルイゼット(マルシア・ピロト)|バス運転手(ピエール・フォトー)|船員(クリメント・デンチェヴ)|バス運転手の妻(ポウリーヌ・ラポワント)|ルイゼットの両親(ピエール・ジャール、テレーズ・モランジュ)|ほか

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映画「超高速!参勤交代 リターンズ」   監督:本木克英

上

 まさに時代劇娯楽映画。
 よく出来てます。楽しんでください。

 「超高速!参勤交代」の続編だけど、これだけでも十分楽しめる。

 予告編でも観てみますか?
 https://www.youtube.com/watch?v=fpH3KJZdwmY

監督:本木克英|2016年|119分|
原作・脚本:土橋章宏|撮影:江原祥二|
出演:佐々木蔵之介(内藤政醇)|深田恭子(お咲)|伊原剛志(雲隠段蔵)|寺脇康文(荒木源八郎)|上地雄輔(秋山平吾)|知念侑李(鈴木吉之丞)|柄本時生(増田弘忠)|六角精児(今村清右衛門)|古田新太(大岡忠相)|近藤公園(瀬川安右衛門)|渡辺裕之(諸坂三太夫)|中尾明慶(森極蔵)|宍戸開(柳生幻道)|橋本じゅん(福田弥之助)|富田靖子(荒木富江)|大鶴義丹(与作)|舞羽美海(琴姫)|宍戸美和(公)|神戸浩茂(吉)|市川猿之助(徳川吉宗)|石橋蓮司(松平輝貞)|陣内孝則(松平信祝)|西村雅彦(相馬兼嗣)|

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ポピュラー音楽!!  クラシック音楽



1年前・3年前・5年前の8月、一夜一話。(2017年8月・2015年8月・2013年8月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-08-16 Thu 06:00:00
  • 映画
1年前の8月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の8月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2017年8月 Archive>

写真
「泣虫小僧」
監督:豊田四郎
林文夫、栗島すみ子
写真
「無花果の顔」
監督:桃井かおり
桃井かおり、山田花子
写真
「石合戦」
監督:若杉光夫
浜田光夫、山田五十鈴

写真
「大統領の理髪師」
監督:イム・チャンサン
韓国
写真
「オンリー・ラヴァーズ・
      レフト・アライヴ」

監督:ジム・ジャームッシュ|アメリカ
写真
「ラブゴーゴー」
監督:チェン・ユーシュン
台湾
写真
「ザ・ローリング・ストーンズ
      シャイン・ア・ライト」

監督:マーティン・スコセッシ|アメリカ
写真
「ギャラリー 欲望の画廊」
監督:ダンカン・ウォード
イギリス
写真
「ナック」
監督:リチャード・レスター
イギリス
写真
「抵抗(レジスタンス)死刑囚の手記より」
監督:ロベール・ブレッソン
フランス



3年前の8月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  3年前の8月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2015年8月 Archive)

写真
「雪国」
監督:豊田四郎
岸惠子、池部良
写真
「0.5ミリ」
監督:安藤桃子
安藤サクラ
写真
「草を刈る娘」 (思春の泉)
監督:中川信夫
左幸子、宇津井健
写真
「ベンヤメンタ学院」
監督:クエイ兄弟
イギリス
写真
「カー・ウォッシュ」
監督:マイケル・シュルツ
アメリカ
写真
「雪の轍」
監督:ヌリ・B・ジェイラン
トルコ
写真
「三文オペラ」
~映画音楽に魅せられて
ドイツ
写真
東南アジアの映画・特選
アジアに吹く風、アジアの匂い
    
写真
京都に行ってきた。
毎日最高気温37度の京都へ
    
写真
武満 徹・作曲「波の盆」
指揮:尾高忠明
東京フィルハーモニー交響楽団
写真
1970年代の日本の
ロック、フォークを振り返る。



5年前の8月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  5年前の8月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2013年8月 Archive)

写真
「火まつり」
監督:柳町光男
太地喜和子、北大路欣也
写真
「楽園」
監督:萩生田宏治
松尾れい子
写真
事件記者シリーズ
「真昼の恐怖」「仮面の脅威」
「姿なき狙撃者」
写真
「何が彼女をそうさせたか」
監督:鈴木重吉
高津慶子
写真
「しあわせのかおり」
監督:三原光尋
中谷美紀 、藤竜也
写真
「ソレイユのこどもたち」
監督:奥谷洋一郎
ドキュメンタリー映画
写真
「音曲の乱」
監督:林海象
佐野史郎、スカパラ、鰐淵晴子
写真
「チキン・ハート」
監督:清水浩   池内博之、
忌野清志郎、松尾スズキ
写真
「真夜中の虹」
監督:アキ・カウリスマキ
フィンランド
写真
「犬と女と刑老人」
監督:シェ・チン
中国
写真
「SUCK サック」
監督:ロブ・ステファニューク
カナダ
写真
「ダフト・パンク
     エレクトロマ」

イギリス
写真
「青の稲妻」
監督:ジャ・ジャンクー
中国
比叡山「山頂のひみつ」
その夏、京都の夜景を
独り占めしたことがある。


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映画「譜めくりの女」   監督:ドゥニ・デルクール

下
譜めくりの女メラニーと、ピアニストのアリアーヌ   (デボラ・フランソワ、カトリーヌ・フロ)


 女が女に、10年経って仕掛け始めた復讐。ドラマは、じわじわ進む。

1-0_2018081410432895a.jpg 10年ほど前、2人は、ピアノコンクールに参加した「少女」と、大勢を審査する審査員の筆頭、「著名ピアニスト」というかたちで出会った。
 その時、著名ピアニストのアリアーヌが犯した罪は、少女メラニーの演奏中に、その演奏を真摯に聴こうとしなかったこと。(審査中にも関わらず審査室に、付き人がアリアーヌのブロマイドを持って入って来て、それにアリアーヌはファンから頼まれたサインをした)
 それを見てしまったメラニーは演奏を中断してしまう。集中力と緊張の糸が切れてしまった。幼いながらも音楽家としての自尊心を傷つけられた。
 しかし、アリアーヌはまったくの無意識であり、なぜメラニーが演奏を中断したのかの疑問もなく、ましてや自身が加害者であることを微塵にも思いよることはなかった。
 よって、アリアーヌはメラニー個人を認識することはなく、このことはその後、忘却の彼方に消えていった。
 しかし、精肉店の娘メラニーはコンクールに向けて、どれだけ懸命であったことか。メラニーの落胆は激しかった。この日をもってメラニーは自宅の小さなアップライト・ピアノに鍵をかけ、ピアニストへの道を封印してしまった。
 これが、復讐の起点であった。

2-0_201808141048106c2.jpg そして10年後、メラニーは就職できる歳になった。
 アリアーヌは今もピアニストだが、ある時、交通事故が発端で精神的に病み始め、一時引退したのち、最近復帰したてであった。
 精神的な病みとは不安症、安心できる付き添いがないと落ち着かない。これがメラニーとアリアーヌをふたたび出合わせた。

3-0_20180814105533635.jpg メラニーは、アリアーヌが夫と共に過ごすバカンスの間、住み込みで、その息子のお守り役(兼家政婦)として雇われた。(アリアーヌの住む家は貴族の館の豪邸だ)
 その後アリアーヌは、言葉にうまく表現できないが、何とも言えぬ相性の良さをメラニーに感じ始める。
 何が好感を誘うのか、それはメラニーのキリリとした清楚な風貌と、仕事を任せられるしっかりした安定感。これがアリアーヌの心のよりどころとなりはじめる。
 そんな折、アリアーヌはメラニーが譜面を読めることを知り、(館に住み込みで)練習時も含め、専属の「譜めくり」になってくれと頼んだ。(譜めくりは演奏家との相性があり、それ如何によって演奏の出来が変わってしまうらしい)
 これを聞いてメラニーは、心の奥底で、ほくそ笑む!
 ここへ至るために、メラニーが計画的に行動してきたことは、アリアーヌの夫が営む著名法律事務所に一般事務として就職し、アリアーヌの夫から信頼を得る働きをしてきたのであった。その結果、息子のお守り役となれたのだった。
 

4-0_20180814110435935.jpg いわゆるサスペンス的緊張感は薄いが、この映画の売りは、別なテイストで引き込まれていくところ。
 それは、メラニーの際立つ清楚さと時に見せる優しさ、その一方で、終始保つ無表情と復讐へのゆるがぬ意志。この混在が観る者を惑わせる。
 かつ映画のその語り口が、復讐の手法を、話が進む前に明かしている様でいて、そうでもないところ。
 さらには、ふたりの女の間に生まれる「信頼と愛」をていねいに描いていく。
 だから観る者は、ドラマが進むにつれ、一体どうするんだ?、復讐するの?と、いろいろ想像させられる。エンターテインメント!


 結局、その信頼と愛こそが、実は復讐の武器だった。
 メラニーは信頼を得るように振る舞い、その先で想定外だったが、アリアーヌのメラニーに対する愛の芽生えに出会い、これも利用する。
 そしてアリアーヌへの復讐のため、アリアーヌの夫もその息子も、そしてアリアーヌが属すピアノトリオのチェリストの男も利用され、みな犠牲となる。 
 陰湿と言えば陰湿だが、観ればわかるが意外とあっさりしている。エンターテインメント!
 その、あっさりさは、メラニー演ずる女優、デボラ・フランソワの起用によるのかもしれない。
 あとは観てのお楽しみ。

オリジナルタイトル:La Tourneuse De Pages
監督・脚本:ドゥニ・デルクール|フランス|2006年|85分|
撮影:ジェローム・ペイルブリュンヌ|
5-0_201808141108209b3.jpg出演:メラニー・プルヴォスト(デボラ・フランソワ)|アリアーヌ・フシェクール(カトリーヌ・フロ)|その夫ジャン・フシェクール(パスカル・グレゴリー)|トリオのバイオリニストの女性ヴィルジニー(クロティルド・モレ)|チェリストの男性ローラン(グザヴィエ・ドゥ・ギユボン)|メラニーの一人息子トリスタン・フシェクール(アントワーヌ・マルティンシウ)|メラニーの父(ジャック・ボナフェ)|メラニーの母(クリスティーヌ・シティ)|メラニーの少女時代(ジュリー・リシャレ)|ほか

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映画「リフ・ラフ」   監督:ケン・ローチ

上
スーザンとスティーヴ


1-0_20180810110304e21.jpg 題名の「リフ・ラフ」とは、「くずのようなヤツ」「ろくでなし」という意味で、底辺生活者を見くだし、さげすむ言葉。
 話は、工事現場でわずかな稼ぎを得る男と、歌の下手な歌手希望の女との、リフ・ラフな愛の物語。

 舞台はロンドン。
 主たるシーンのひとつは、古風な病院ビルを、超高級マンションに再生しようとする工事現場。(マンションのモデルルーム訪問客は運転手付きリムジンで乗りつけたアラブの富豪。工事現場の人間たちとはあまりに済む世界が違う)

 リフ・ラフな連中の仕事は、窓枠の取り外し、配管など病院設備の撤去という単純な力作業だ。
 彼らは、実にリフ・ラフでいい加減な働きだが、陽気。アフリカからの出稼ぎもいる。
 その中で、スティーヴという男は寡黙で真面目。これが主人公。以前、刑務所に入っていたらしい。ゆくゆくは店を持ちたい。
 スティーヴはこの現場で女物のバッグを見つけ、これが縁で持ち主のスーザンと出会うことになる。

 映画は恋愛話を進める一方で、この工事現場のシーンに重きを置く。リフ・ラフな労働者の墜落事故死を含め、結構ドキュメンタリー的な意味合いが強い。
 その様子は、工事下請け会社は現場の安全や雇用を配慮しないし、現場監督は終始彼らを見下し、その作業指示は誠にいい加減。

2-0_20180810110306314.jpg さて、二つ目の主たるシーンは、スティーヴが住む、といっても、不法に立ち入って勝手に住むアパートの空き室。家具など無い。
 スティーヴはここにスーザンを呼んでふたりの生活が始まる。
 スーザンはそれまで殺風景だった部屋をきれいに飾った。それは貧しいながらも幸せな毎日であった。
 ところが、スーザンは歌手への道が開けず精神的に追い詰められ、アパートにたむろする連中からヤクを買う。
 これを知ったスティーヴはスーザンに改心させようとするが受け入れられず別れる。スティーヴはかつて兄がヤクで人生と健康をふいにしたことを知っていた。

 話の顛末とラストシーンは観てのお楽しみですが、起承転結の結が尻切れトンボに感じるかも知れないが、これは手法。小説や漫画の物語や、音楽にもある表現方法。
 それと、英語が苦手な私には、下記のETC英会話の『映画「リフ・ラフ」でイギリス英語』の記述が気に入りました。
 http://aoki.com/etc/recommend/post_11953.html
 これによると、主人公スティーヴの話す英語はスコットランド英語やリバプール英語、そしてロンドン下町英語らしい。(映画はその違いを物語のメッセージとして送って来るのですが、字幕じゃ分からない)
 また当時のイギリスの事情も分かるんで、物語の理解に厚みができるかもしれない。

下
オリジナルタイトル:Riff Raff
監督:ケン・ローチ|イギリス|1991年|94分|
脚本:ビル・ジェシー|撮影:バリー・アクロイド|
出演:スティーヴ(ロバート・カーライル)|スーザン(エマー・マッコート)|コジョ(リチャード・ベルグレイヴ)|ラリー(リッキー・トムリンソン)|ジェイク(ピーター・マラン)|ほか

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映画「ふきげんな過去」  主演:二階堂ふみ、小泉今日子   監督:前田司郎

写真
左手前が果子、右の窓辺が未来子、奥が小学生のカナ  
店の二階の、果子の部屋にて











写真
高校生の果子

 青春期真っただ中にありがちな、ここ以外のどこかに憧れる、普通に不機嫌な女子高生、果子(二階堂ふみ)。
 映画は、この果子の家族を中心に、とりわけ「女達」について語ります。

0-1-0.jpg その語り口は、彼女たちの日々繰り返しの日常を縦糸に、またその日常の裏に隠し持つ、過去の非日常を横糸にして、まるでタペストリーを織りなす感じです。
 そして、そこから浮かび上がる模様、つまり、乾いた悲しみとでも言うべき宿命と、その不思議を映画は語ります。ですが、物語の根っこは喜劇と言っていいでしょう。

 果子のうちは、東京都品川区の端、運河や海近くの古い街にあって、向こうの先には再開発のオシャレな街、天王洲アイルの高層ビルが見える。
 家の稼業は「蓮月庵」という元蕎麦屋。店の名と店の造りそのままに、今はエジプト風の豆料理を売りにする呑み屋をしている。(レストランとは言えぬ古風な店内)
 店は、果子の祖母サチ(梅沢昌代)が女将で、果子の母親サトエ(兵藤公美)が手伝い、野村サンという外国人のおじさんが厨房を任されている。
 果子の父親タイチ(板尾創路)は毎日何もせず、夜は店の客に交じって飲んでいる。
 小学生女子のカナは、まるで果子の妹の様に、いつも果子のうちにいる。預かっているのだ。母親は近所の運河沿いのビルでスナックバーをやっている。

 ところで、この街には、運河にワニがいるという都市伝説がある。
 現に、運河に係留する船上で、銛(もり、漁具)を持ち、ワニの出現を待ち構える女の姿が見える。
 果子も、運河の岸にぼんやり立ち、この都市伝説を確認しようとしている。エレキギターを背負う男友達はそれを冷やかす。

0-2-0.jpg そんなこんなのある日突然、ひとりの女が店に現れた。
 それは、死んだはずだよの、果子の伯母の未来子(小泉今日子)、母親サトエの姉だった。
 祖母のサチもサトエも、びっくり!あんた、生きてたの! しかし果子は初対面。
 そしてその日から、未来子は家族同然に果子の部屋に居座ることになった。(その部屋は元は未来子の部屋だった)

 なぜ、死んだはずの未来子なのか。
 今からさかのぼること10数年前、未来子は北海道で爆破事件を起こし死亡が確認される、警察沙汰であった、のだ。
 その後、未来子はどうも、各地にて潜伏し今に至ったらしい。(政治運動の過激派じゃなく、何か謎の組織の一員らしいが映画は説明しません)

 未来子について、果子が知った事々。
 近所に住む義足のおじさんから聞いた話はこうだ。昔、未来子は地元のやくざの事務所を爆破しようとしたらしい、と。
 さらには、その事件のあと、当時の若き父親は未来子を追って北海道へ行ったとか・・。(近所の年配者らはみな知っている噂)
 そんなことを聞いた後、果子は、両親の寝室に父親と未来子がいるのを見てしまう。
 また、果子がよく行く喫茶店にいつもいる若い男(高良健吾)が、未来子と謎の行動を共にしているらしい。これは果子が男に会い、突き止めた事実。男はある組織の人間だと言う。

0-3-0.jpg こんな風に、果子は未来子の出現後、未来子についての切れ端を集めつなぎ合わせようとする。そして思う、未来子って何者?
 なぜか気になるが、果子は未来子とそりが合わない。同じ部屋にいること自体も嫌。
 ついに部屋で、果子と未来子は取っ組み合いの喧嘩になる。
 そして未来子が言った。「あんたはお父さんとアタシの子だよ」。そして果子がつぶやく。「そんな気がしてた・・」
 (映画はこの母子を、未来子と果子(かこ)と名付け、観客に話の解釈を投げてよこしているのです)

 さて、話のその先は観てのお楽しみですが・・、
 果子の母サトエは姉の未来子に「アタシの勝ちよ」と言い放ち、未来子は「そうよね」と言い返す。
 かたや、果子の祖母サチは煙草をふかしながら、娘の未来子に「出て行っておくれよ」と言い、そう言われて祖母の背に寄りかかり甘える未来子に、「アンタは昔から甘えるのが上手だね」。
 
 そうそう、運河にワニがいるという都市伝説は?、これも観てのお楽しみ。

監督・脚本:前田司郎|2016年|120分|
撮影:佐々木靖之|
出演:果子(二階堂ふみ)|果子の実母の未来子(小泉今日子)|果子の父親タイチ(板尾創路)|タイチの妻で、未来子の妹、かつ果子の養母のサトエ(兵藤公美)|未来子・サトエの母のサチ(梅沢昌代)|カナの母親レイ(黒川芽以)|レイの娘カナ(山田望叶)|謎の組織の男・康則(高良健吾)|野村さんと呼ばれる料理人(AHMAD ALI)|ほか
下
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プロフィール

やまなか

Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めてはや9年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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