FC2ブログ

Home

一夜一話

映画「東京の宿」(1935) サイレント映画  監督:小津安二郎

上

 働き口を求めて、子連れで東京をさまよう男の、昭和10年の人情噺だが、実験的な風合いもある映画。
 悲しい話だけれども、小津風のユーモア(親子の会話)が悲しみを和らげている。

2-0_201810201557462d7.jpg 海近くの、見渡す限りの埋立地らしき荒れ野。人影がまったく無い所。
 雑草が生える一帯を貫く一本道、 その道沿いに電柱がずっと向こうまで連なる景色。
 遠くには、幾本かの煙突が立つ大工場、近くにガスタンク。時折、トラックや電車が風景の奥を通り過ぎる。
 映画はこの空虚な風景の中に、主人公の喜八(坂本武)と二人の息子を置く。(三人の身の上を風景に託している)

 そのほかの登場人物は、3人だけだ。
 まずは、おつね(飯田蝶子)。
 埋立地の外れの街に、わびしい一膳めし屋があって、その女将が、おつね。
 今日も働き口が見つからなかった喜八は子を連れ、この店に入った。子たちはガツガツ飯を食う。(一日一食かもしれない)
 まったくの偶然だったが、おつねは喜八の昔馴染み。互いに再会を喜ぶが、喜八の心は塞ぐ。おつねは喜八のその後の境遇を知らない。

2-00_201810201601113f4.jpg そして、おたか(岡田嘉子)と、その幼い娘。
 埋立地で喜八と出会う。多くの宿泊客が雑魚寝する安宿でも出会う。
 おたかも子連れで職を探していた。やはり、この親も娘に満足に食べさせる金が無い。
 そして喜八は、そんな場合じゃないのに、おたかに恋心を持つ。

 さて、やっとのこと喜八は、おつねの紹介で念願の職を得え、部屋も借りれた。長男を小学校へ通わせる。
 喜八と長男の弁当は、おつねがこしらえた。
 喜八は、おたかとその娘に、おつねのめし屋で飯を食わせてやった。
 おたかを思う喜八の心は昂っていく、おたかのほうも満更でもない。

 ところが、ある日、おたかとその娘の姿が消える。
 実は、娘が高熱の病になり、入院させるため、すぐさま金が要る。おたかは、やむを得ず、安酒を飲ませる居酒屋の女となっていた。
 そしてまたもや偶然、おたかを失った喜八がヤケ酒を飲んでいる目の前に、おたかが現れる。
 事情を聞いた喜八はおたかに、こんな所で働くのは止せと怒った。

 喜八はその夜すぐに行動に出た。
 まず、おつねに、何の前置きもなく30円貸してくれと乞う。
 喜八は以前にもおつねに借金があったらしく、それは棒引きだが、もう貸せないと素気無く断られる。
 はやる気持ちを抑えきれず、見境がなくなったか、喜八は、ついに最終手段、どこかの家から金を盗み、そうして黙っておつねに渡した。

 街に警官が動き始める。
 察したおつねは喜八に問うた。「盗んだね」
 「おたかの娘をこのまま死なせるわけにはいかない」
 「馬鹿だね、あんたの息子たちのことは考えなかったのかい」
 「あとの事を頼んだよ」
 おつねは、ウンとは口に出さなかったが、素振りで示した。そして・・、
 「交番はどこだ?」と、喜八はおつねに聞いた。

             
 
 喜八とおつねの会話の中で、喜八の妻は子を置いて姿をくらました事は分かるが、映画はそれ以上の事は言わない。
 同じく、おたかのそれまでの事情も言わない。
 映画は、喜八、おたか、おつねの3人が抱える、それまでのそれぞれの「世間」を一切語らず、登場人物3人をただ、映画シーンの限られた時空の中だけで生かそうとする。
 それは、まるで水族館の水槽の魚を、のぞき見るがごとく、だ。

監督:小津安二郎|1935年|80分|
原作:ウィンザアト・モネ(小津、池田忠雄、荒田正男の3名合同ペンネーム)
脚本:池田忠雄、荒田正男|撮影:茂原英朗|
出演:喜八(坂本武)|長男の善公(突貫小僧)|次男の正公(末松孝行)|おたか(岡田嘉子)|その娘の君子(小嶋和子)|喜八の昔馴染みのおつね(飯田蝶子)|警官(笠智衆)|←言われないと気付かない

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽


スポンサーサイト

気に入ってる、最近の映画。(ヨーロッパ・ロシアの映画編)

写真
「パラダイス 愛」
オーストリアの普通のおばさんがアフ
リカのリゾート地へ軽く遊びに行く話。
アフリカの男とのセックスなど白人の
おばさん達の愛のパラダイスを描く。
オーストリア
監督:ウルリッヒ・ザイドル
写真
「パラダイス 神」
宗教をテーマにする、かなりビターな
喜劇。コミカルな語り口を忘れず人の
業をえぐり出す。このコミカルさの妙
味にピンと来てほしい。
オーストリア
監督:ウルリッヒ・ザイドル
写真
「呼吸」
冷たいけれど新鮮なそよ風が吹く再出
発の話。孤児院で育ち親知らず。院内
の喧嘩で相手が死亡。それ以来、少年
院で服役5年。初めて仕事に就いた。
オーストリア
監督:カール・マルコヴィックス
写真
「さよなら、人類」
ロイ・アンダーソン監督のファンなだ
けに言いたくないのですが、残念な作。
映像の魔術に「冴え」が無くなりまし
たが、しかし他に類のない貴重な映画。
スウェーデン
監督:ロイ・アンダーソン
写真
「BIUTIFUL ビューティフル」
重い映画です。部隊はスペイン・バル
セロナ。映像は闇の中で妖しく押し黙
り、雨に濡れて、にじむ光のように美
しい。奥行きがある映画です。
スペイン
監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
写真
犯罪「幸運」
東欧の羊飼いの娘とベルリンのホーム
レス青年との純なラブストーリー。
女性監督らしい繊細さも気持ち良い。
適度な緊張がラストまで。
ドイツ
監督:ドリス・デリエ
写真
「アデル、ブルーは熱い色」
高校生のアデルが同じ学校の先輩男子
より、街で見かけたブルーの髪の女性
に魅かれていく話。アデル役女優の自
然体の熱演に脱帽だ、素晴らしい。
フランス
監督:アブデラティフ・ケシシュ
写真
「ゲンスブールと女たち」
しっかり作られたいい映画。主人公は
フランスの著名なミュージシャン、ゲ
ンスブール。恋多き波乱万丈の生涯を
楽しく不思議に描きます。
フランス
監督:ジョアン・スファール
写真
「さすらいの女神(ディーバ)たち」
米国ヌードショー一座がフランスを興
行中。ユーモアたっぷりの楽しい舞台。
映画はダンサーたちの存在感と明るさ
飾らない演技で成り立っている。
フランス
監督:マチュー・アマルリック
写真
「ちいさな哲学者たち」
幼稚園の先生が哲学の授業をする様子
を継続的にドキュメンタリーした映画。
個の独立、自己主張を早くから言われ
る国フランス。日本はどうなんでしょ。
フランス
監督:ジャン=P・ポッジ、P・バルシェ
写真
「幸せのありか」
ポーランドに住む脳性麻痺の男の子が
青年に成長するまでの苦難のお話を、
あたたかな眼差しで、時にコミカルに
明るく描いた映画。
ポーランド
監督:マチェイ・ピェプシツァ
写真
「エレナの惑い」
静かな静かなサスペンス・ドラマ。 
遺産配分は人の心を激しく揺り動かす。
そして揺れる心は愛をもねじ伏せ、良
心さえも易々と乗り越える。
ロシア
監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ





映画「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」 イタリア映画  監督:ガブリエーレ・マイネッティ

上

 イタリア味のスーパーヒーロー、SFクライム・アクション映画。
 なんだか最後まで観てしまった。
 スーパーな肉体を得た主人公エンツォとアレッシアとの男女関係が、アクション映画にしちゃ繊細に描かれている。

0_20181011124325779.jpg 主人公エンツォは少年の頃には既にワルだったが、それなりに楽しかったらしい。
 だが、今じゃ生きる意欲も無い一匹狼、ギャングの下働きで何とか生きている。

 凶暴な男ジンガロは数人の手下を抱えて麻薬を扱うギャング。
 その手下の1人セルジョに連れ添ってエンツォは、ヤクの小袋を飲みこんだ運び屋の黒人の体内から、袋を排出させる現場に居た。
 ところがセルジョは奪われた拳銃で黒人に撃たれ即死、エンツォも肩を撃たれて高いビルから落下。
 しかし、地面にたたき付けられたエンツォは、しばらくののち意識が戻り、何ごとも無かった様子でひとりその場を立ち去った。
 部屋に帰り、肩を貫通した傷を手当てしたが、翌日には傷跡も無かった。
 エンツォは気がついた。あの時、不死と怪力を得たのだと。(あの時とは?は、もちろん観てのお楽しみ)

 その頃、ジンガロは苛立っていた。ヤクを持って帰るはずのセルジョが行方不明。
 手下を連れたジンガロはセルジョの家に押し入り、そこに居た娘のアレッシアを手荒く扱い父親の行方を詰問していた。
 そこへエンツォが飛び込んで手下を投げ飛ばしアレッシアを救う。
 エンツォの部屋の階下がセルジョと娘の部屋で、アレッシアとは“一応”、顔見知り。

 アレッシアは精神障害があって、退院後は「鋼鉄ジーグ」※のアニメの世界に浸ることで、心の安定を得ている女性。(※日本のアニメ)
 彼女はエンツォに問いただす、父親はどこ? 彼女は不安なのです。
 そしてアレッシアは、エンツォを「鋼鉄ジーグ」のヒーローと同一視し始めます。
 ですが、エンツォはいつものように、変な女アレッシアが、うざい。

 さあ、この辺から、エンツォ、アレッシアの微妙な関係がスタートします。
 一方エンツォは、セルジョが隠し持っていた、ジンガロ一味の現金強奪計画のメモをもとに、エンツォひとりで現金輸送車を襲撃してしまいます。

 その単独襲撃をまのあたりにしたジンガロは、エンツォがどこでどうして、あのスーパー能力を得たかに執心しだし、アレッシアを人質にし、ついに事の次第を聞きだします。だが、お前本当か? ジンガロは信用しません。ところが・・(それは観てのお楽しみ)

 話は進んで、超能力を得た目立ちたがり屋のジンガロは、世界中のツイッタ―で騒がれるような巨悪なテロへと単独で突き進みます。
 そして、エンツォの登場です。
 エンツォが正義に目覚めたのは、交通事故で炎上する車から、女の子を救ったことがきっかけでした。周りの多くの人々がエンツォの行為と勇気を称賛しました。エンツォにとってそれは、生きる糧を得た事でありました。

オリジナル・タイトル:LO CHIAMAVANO JEEG ROBOT
監督:ガブリエーレ・マイネッティ|イタリア|2015年|119分|
脚本:ニコラ・グアッリャノーネ|撮影:ミケーレ・ダッタナジオ|
出演:エンツォ(クラウディオ・サンタマリア)|ジンガロ(ルカ・マリネッリ)|アレッシア(イレニア・パストレッリ)|セルジョ(ステファノ・アンブロジ)|ほか

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽

1年前・3年前・5年前の10月、一夜一話。(2017年10月・2015年10月・2013年10月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-10-15 Mon 06:00:00
  • 映画
1年前の10月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の10月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2017年10月 Archive>

写真
「お父さんと伊藤さん」
監督:タナダユキ
上野樹里,L・フランキー,藤竜也
写真
「薔薇大名」
監督:池広一夫
小林勝彦,浦路洋子,宮川和子
写真
「青空娘」
監督:増村保造
若尾文子,菅原謙二,川崎敬三

写真
「ひつじ村の兄弟」
監督:G・ハゥコーナルソン
アイスランド
写真
「ラスト・ショー」
監督:P・ボグダノヴィッチ
アメリカ
写真
「女と男のいる舗道」
監督:ジャン=リュック・ゴダール
フランス
写真
「偉大なるマルグリット」
監督:グザヴィエ・ジャノリ
フランス
写真
「ピンク・キャデラック」
監督:バディ・ヴァン・ホーン
アメリカ
写真
「シークレット・サンシャイン」
監督:イ・チャンドン
韓国
写真
「ブロンクス物語 愛につつまれた街」
監督:ロバート・デ・ニーロ
アメリカ


3年前の10月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
3年前の10月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2015年10月 Archive)

写真
「風切羽」
監督:小澤雅人
秋月三佳
写真
「その夜の侍」
監督:赤堀雅秋
堺雅人
写真
「喧嘩犬」
監督:村山三男
田宮二郎
写真
「下妻物語」
監督:中島哲也
深田恭子、土屋アンナ
写真
「ヴィヴィアン・マイヤーを
          探して」

(ドキュメンタリー映画)
写真
「イゴールの約束」
監督:ダルデンヌ兄弟
ベルギー
写真
「ハネムーン・キラーズ」
監督:レナード・カッスル
アメリカ
写真
「ヘルシンキ・ナポリ
    オールナイトロング」

監督:ミカ・カウリスマキ
写真
「憂鬱な楽園」
監督:ホウ・シャオシェン
台湾
写真
“1970年代の日本のロック、フォークを
振り返る”をテーマにして読んだ本。


5年前の10月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
5年前の10月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2013年10月 Archive)

写真
「PicNic ピクニック」
監督:岩井俊二
チャラ、浅野忠信
写真
「ヘヴンズ ストーリー」
監督:瀬々敬久
寉岡萌希、長谷川朝晴
写真
「燃えつきた地図」
監督:勅使河原宏
勝新太郎、市原悦子、渥美清
写真
「狂った野獣」
監督:中島貞夫
渡瀬恒彦、川谷拓三
写真
「密航0ライン」
監督:鈴木清順
長門裕之,清水まゆみ,中原早苗
写真
「タナカヒロシのすべて」
監督:田中誠
鳥肌実、ユンソナ
写真
「さゞなみ」
監督:長尾直樹
唯野未歩子,豊川悦司,松坂慶子
写真
「妹」
監督:藤田敏八
秋吉久美子、林隆三
写真
「ヘッドライト」
監督:アンリ・ベルヌイユ
フランス
写真
「フィッシュ・タンク」
監督:アンドレア・アーノルド
イギリス
写真
「トゥルー・ヌーン」
監督:ノシール・サイードフ
タジキスタン
写真
「カリフォルニア・ドールズ」
監督:ロバート・アルドリッチ
アメリカ
写真
「第七天国」
監督:フランク・ボーゼージ
アメリカ
写真
「母と娘」
監督:ロリー・ビー・キントス
フィリピン


7年前の10月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
年前の10月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2011年10月 Archive>

写真
「ツィゴイネルワイゼン」
監督:鈴木清順
原田芳雄、大谷直子
写真
「白昼堂々」
監督:野村芳太郎
渥美清、倍賞千恵子
写真
「雨の中の二人」
監督:桜井秀雄
田村正和、中村晃子
写真
「台所太平記」
監督:豊田四郎
森繁久彌,淡島千景,ほか女優多数
写真
「ある日、突然。」
監督:ディエゴ・レルマン
アルゼンチン
写真
「キャラメル」
監督:ナディーン・ラバキー
レバノン
写真
「旅立ちの汽笛」
監督:A・アブディカリコフ
フランス・キルギス
「戦争のない20日間」
監督:アレクセイ・ゲルマン
ソ連
写真
「テハンノで売春していて
バラバラ殺人にあった女子高生
まだテハンノにいる」
|韓国
写真
「都市の夏」
監督:ヴィム・ヴェンダース
西ドイツ
写真
「ワンダーランド駅で」
監督:B・アンダーソン
アメリカ
写真
「クリチバ 0℃」
監督:エロイ・P・フェへイラ
ブラジル
写真
「明りを灯す人」
監督:アクタン・A・クバト
キルギス
写真
「再会の食卓」
監督:ワン・チュアンアン
中国
写真
「アイ・ラブ・北京」
監督:ニン・イン
中国
写真
「仁義」|フランス
監督:ジャン=ピエール
        ・メルヴィル
写真
「いぬ」|フランス
監督:ジャン=ピエール
        ・メルヴィル




映画「海街diary」 綾瀬はるか, 長澤まさみ, 夏帆, 広瀬すず  監督:是枝裕和

1_20181010200135db1.png
三姉妹+すずの四姉妹。
(左から) 三女の千佳、長女の幸、異母姉妹のすず、次女の佳乃。
彼女たちは鎌倉の古い一軒家に住んでいます。長女の幸は皆の母親役。



0_20181010210111bda.jpg さらりとした映画。
 綾瀬はるかのしっかりした演技力が作品の屋台骨を支えています。
 次いで広瀬すずが、綾瀬に負けず映画を牽引してます。新鮮さを感じます。
 よってこのふたりが本作の柱になっての出来となりました。

 脇では、リリー・フランキーと風吹ジュンが、じんわり味を出します。
 脇役ですが、話に(年齢層に)厚み重みを出す役どころで、案外、本作の勘所です。
 なぜなら、姉妹の父親は映画に登場しません。15年前に家を出たきりです。(そして訃報が届く)
 母親 (大竹しのぶ)も姉妹を置いて家を出てしまいました。(ですから出番は僅か)

 15年前に家を出た父親の、新たな妻との子が、すず (広瀬すず)でした。
 幸 (綾瀬はるか)を長女とする三姉妹は父親と音信不通でしたが、突然の訃報で、父親の葬儀に駆けつけます。
 姉妹とすずの、初めての出会いでした。

 
 三姉妹の母親役の大竹しのぶや、とりわけ叔母役の樹木希林は、監督がよそからチョッと借りて来た風で、映画の流れに馴染んでいないです。
 それぞれ、力あるベテランの演技をしているのですが、周囲の演技者たちに比べ、演技のトーンやテンション度合いが違って浮いている。
 それが狙いなのかもしれないが、しかし樹木希林のシーンにおいては、明らかに樹木希林が浮いている。活かされていない。テンション度が合ってない。
 女優まかせなのか、つまり監督が演出の仕事をしてない。。(限られたシーンにでる出演女優には、そのシーンしか見えない、映画全体のトーンは分からない)

 総じて映画は、深く語らず重くならずに浅瀬を行く。
 ともすると淡泊希薄になりがちなそんな中、綾瀬はるかが、しっかりとした話をかたち作って行きます。
 そこが見どころです。

監督・脚本:是枝裕和|2015年|128分|
原作:吉田秋生
出演:香田幸/地元総合病院で看護師(綾瀬はるか)|香田佳乃/地元信金勤め(長澤まさみ)|香田千佳/近所のスポーツ店店員(夏帆)|三姉妹の母 在北海道(大竹しのぶ)|叔母(樹木希林)|すず(広瀬すず)|三姉妹を幼い頃から見て来た海猫食堂の女あるじ(風吹ジュン)|喫茶店のあるじ、三姉妹の父親の友人(リリー・フランキー)|幸が勤務する総合病院の医師で幸の恋人(堤真一)|佳乃が勤める信金の上司の坂下(加瀬亮)|千佳の恋人(池田貴史)|すずの母(中村優子)|ほか

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽

気に入ってる、最近の映画。(日本映画編)

 ここ数年の公開映画のうちで、気に入ってる映画を拾ってみたら、17本。
 映画はほかにも、どんどん公開されているけれど、脚本、監督や演出、演技にガッカリすることが多い。残念です。

写真
「0.5ミリ」
主演の安藤サクラがいい。彼女独特の
味と存在感がある。
話は五話あって、安藤サクラがそれぞ
れに登場する老人たちに巡り会います。
監督:安藤桃子
出演:安藤サクラ,坂田利夫,津川雅彦



写真
「箱入り息子の恋」
箱入り息子と箱入り娘の、コメディタッ
チな恋のお話。ほんわか映画にみえま
すが、結構、問題提議な話です。実は
子離れできない親を喜劇化している。
監督:市井昌秀
出演:星野源, 夏帆 ,森山良子,大杉漣



写真
「川下さんは何度もやってくる」
生活は貧しく頼り甲斐いないが、仲間
に思いやりある、あったかい男たちの、
おバカでお下劣で物悲しい喜劇映画で
す。それは、先輩の通夜の夜に・・・
監督:いまおかしんじ
出演:佐藤宏,水澤紳吾,櫻井拓也



写真
「風切羽」(かざきりば)
サヤコ役の秋月三佳が時折見せる「目
の力」が、この映画を牽引する。サヤ
コは児童養護施設で暮らしている高3。
卒業すると施設を出なくてはいけない。
監督:小澤雅人
出演:秋月三佳,戸塚純貴,川上麻衣子



写真
「TOO YOUNG TO DIE 若くして死ぬ」
奇想天外、波乱万丈なドタバタ喜劇で
ありながらも悲劇、かつ純情恋愛物語。
そして、ロックバンドのお話でもあり、
さらには輪廻転生、これが話の要。
監督:宮藤官九郎
出演:神木隆之介,長瀬智也, 森川葵


写真
「ツレがうつになりまして。」
ハル(宮崎あおい)は夫(堺雅人)のことを
ツレと呼ぶ。夫婦仲はとてもいい。
ツレは最近、体調が良くない。そうハル
に言うが彼女は軽く考えていた。
監督:佐々部清
出演:宮崎あおい,堺雅人,吹越満



写真
「舞妓はレディ」
こういう明るく楽しい喜劇は好きです。
気晴らししたい時にはぜひ観るといい。
春子役の上白石萌音を大勢のベテラン
が楽しく盛り上げます。
監督:周防正行
出演:上白石萌音,富司純子,田畑智子



写真
「百円の恋」
無職無収入彼氏一度も無しの一子32歳
は一日中パジャマか部屋着でダラダラ
の毎日。遂に一子は家を出る。その近く
にあるボクシングジムが運命だった。
監督:武正晴
出演:安藤サクラ(熱演に拍手),新井浩文



写真
「お父さんと伊藤さん」
脚本が良く出来ていて、演出に抜け目
がない。息子娘の世代も、父親の世代
も楽しめるビターな喜劇。話は妻を亡
くした頑固な父親の、たらい回し。
監督:タナダユキ
出演:上野樹里, L・フランキー,藤竜也


写真
「仁光の受難」
とにかく面白い娯楽時代劇かつ妖怪譚。
江戸時代、ある寺の修行僧・仁光は女
にもてるという坊主として致命的欠陥。
そんなわけで克服の修行の旅に出たが。
監督:庭月野議啓
出演:辻岡正人ほか



写真
「さよなら歌舞伎町」
新宿歌舞伎町のラブホテルを舞台にホ
テルに来る様々な人々が、それぞれに
抱く夢と、背負う問題を活写するグラ
ンド・ホテル形式の喜劇映画。
監督:廣木隆一
出演:染谷将太,前田敦子,南果歩,松重豊



写真
「神様のカルテ」
栗原(櫻井)は本庄病院の内科医。彼が夜
間の救急外来担当の日は決まって外来患
者が多い。日本の医療が抱える問題点を
清々しく伝えてる喜劇交じりのいい映画。
監督:深川栄洋
出演:櫻井翔,宮崎あおい,柄本明



写真
「夫婦フーフー日記」
明るくカラッとしたコメディ。粗筋は
とても悲しいのですが、実にいい喜劇。
妻が霊となって・・。永作の演技力が
映画を引っ張っています。
監督:前田弘二
出演:永作博美、佐々木蔵之介



写真
「ディストラクション・ベイビーズ」
世間から「はみ出た」者たちへの哀歌。
そして覚醒し始めるモンスターの物語。
あるいは、痛そうな映画。前触れなく
暴発する怒り仕掛けるケンカ。
監督:真利子哲也
柳楽優弥,菅田将暉,小松菜奈



写真
「超高速!参勤交代 リターンズ」
まさに時代劇娯楽映画。
よく出来てます。楽しんでください。
「超高速!参勤交代」の続編だけど、
これだけでも十分楽しめる。
監督:本木克英
出演:佐々木蔵之介,深田恭子,伊原剛志



写真
「ロボジー」
あり得ない話を長けた話者が真面目に
話すうちに、観客はスッカリ話術には
まって、はらはらドキドキ、大笑い。
そう、これ落語。最後まで一気に観て。
監督:矢口史靖
出演:ミッキー・カーチス,吉高由里子



写真
「パーマネント野ばら」
哀しみと笑いがブレンドされた大人味。
寂れた小さな漁港、町に一軒だけの美
容室が実家のナオコは子連れで出戻っ
た。ラスト近くナオコの意識に驚愕する。
監督:吉田大八
出演:菅野美穂,小池栄子,池脇千鶴





高野文子(著)「田辺のつる」「アネサとオジ」「ふとん」, 大友克洋(著)「ヘンゼルとグレーテル」「童夢」, 松本大洋(著)「鉄コン筋クリート」・・最近読みかえした漫画

  • Posted by: やまなか
  • 2018-10-06 Sat 06:00:00
  • 書評
1_20180924212817a95.png


 漫画を振り返る。
 いま見ても、やはり、いいなぁ という作品を取り上げてみた。
 今回は高野文子、大友克洋、松本大洋だ。
 まずは高野文子の短編3作。

2-1_201810041148205ae.jpg
【高野文子】・・・「田辺のつる」、「アネサとオジ」、「ふとん」

 その昔、初めて出会った高野文子の作品が「田辺のつる」、漫画雑誌・漫金超創刊号に掲載されていた。他の掲載作品に比べ抜きんでて刺激的な漫画であった。
 田辺家に、明治生まれのばあさんがいる。家族から見て、彼女は認知症だが、本人「つる」82歳は、4歳くらいの少女の自意識で、現在を生きているのです。
 だから、ばあさんは可愛い少女の姿で描かれる。
 話は、つるばあさんと家族とのあれこれを語りますが、つるさんは可愛らしくも、たくましい。この嫌味の無いたくましさが、とても印象に残ります。

 「アネサとオジ」は、マンガ奇想天外の春・創刊号に掲載されていた。
 「田辺のつる」同様に、同時掲載されている大友克洋、柴門ふみ、吾妻ひでお、松本零士など他の漫画より図抜けて鮮烈な印象が残った作。(ヘタウマ漫画風のタッチです)
 姉のアネサは野獣のような人間離れの凶暴さで、例えば家猫を一口にパクリ、食べちゃう。
 また、アネサの手足は体から自由に離れる。離れた手は弟のオジの朝食やオヤツをかっさらい、これもあっと言う間にアネサの口に入る。
 オジはアネサを姉として慕うものの、ある日、我が身の危険を感じた。
 そこで、ついに反撃に出る。二階の窓から、下を歩くアネサ目掛けてオジは大きな石を落としたが、アネサの頭が肩に食い込んだだけ、アネサは食い込んだ自身の頭を引っ張り上げ、何事もなかったようにその場を去っていく。
 そんなあるとき、オジを見てアネサが驚愕した。なぜ?(あとは見てのお楽しみ)

 「ふとん」もマンガ奇想天外に掲載されていた。
 やはり、掲載他作を凌ぐ漫画だった。本作は可愛い少女の葬儀の日の話。
 だから悲しいのだが、その悲しみに勝るのが、少女の霊と観音さまとの、可笑しなやり取り。巧い!そして爽やか。
 以上3作、このころの高野文子は冴えていた。

2-2_2018100411503731e.jpg
【大友克洋】・・・「ヘンゼルとグレーテル」、「童夢」

 短編作品「ヘンゼルとグレーテル」の絵は、あの「アキラ」や初期作品群などの、描き込み多いタッチとは異なるプレーンな描写。大友克洋のもうひとつの顔。
 合わせて、お話は童話にさらに「毒」を盛り込んだ、大人の童話に仕上がっている。
 この大友克洋の漫画作品集には、「ヘンゼルとグレーテル」のほかにも有名童話をモチーフにした作が並んでいるが、やっぱりこの「ヘンゼルとグレーテル」の出来が出色。
 大友特有の、滑稽さと残酷さと馬鹿馬鹿しさがここに集約されている。実にいいね。

2-3_201810041152408d9.jpg
 「童夢」は大作。
 当時、(漫画アクションだったかに)何か月かおきに連載されたのをそのたびに読んではいたが、いささか散漫な印象だった。
 しかしその後、修正/書き直ししたんだろう、単行本になって素晴らしい作品となって現れた。(発行が遅れ、単行本購入時にお詫びの特製しおりが付いた)
 とにかく、「アキラ」よりずっと凄い。
 超能力を持つ独居老人のチョウさんの出現シーンは、今も鳥肌が立つ。
 そして同じく超能力を持つ少女エッちゃんが、この団地に引っ越してきた・・。
 230ページのこの単行本、一気に読ませます!

2-4_20181004115514ca7.jpg
【松本大洋】・・・「鉄コン筋クリート」 

 この単行本610ページも、釘付けになり一気に読ませます。
 読み始めると、無音の強音圧が読者を圧倒しだすのを感じます。
 身寄りのない二人の少年シロとクロ。
 身体能力が半端じゃないこの二人の自由奔放さと疎外感、激しい暴力、そして互いの信頼と幼さと心の飢え。
 読み応え十分、骨太な感触、いいですな!


高野文子漫画作品集「絶対安全剃刀」1982年・白泉社 (1977年から1981年までに発表された17作品を収録)
たあたあたあと遠くで銃の鳴く声がする|花|はい―背筋を伸してワタシノバンデス|絶対安全剃刀|1+1+1=0|おすわりあそべ|ふとん|方南町経由新宿駅西口京王百貨店前行|田辺のつるアネサとオジ|あぜみちロードにセクシーねえちゃん|うらがえしの黒い猫|午前10:00の家鴨|早道節用守(はやみちせつようのまもり)|いこいの宿|うしろあたま|玄関|

大友克洋漫画作品集「ヘンゼルとグレーテル」1981年・ソニー・マガジンズ
ヘンゼルとグレーテル|赤頭巾|狼と七匹の子やぎ|狼と羊飼いの少年|三匹の子ぶた|ジャックと豆の木|金の斧、銀の斧|牛とカエル|マッチ売りの少女|白雪姫|ロビンソン・クルーソー漂流記|不思議の国のアリス|オズの魔法使い|アリババと四十人の盗賊|シンデレラ|白鯨|青い鳥|狼男|眠れる森の美女|DON QUIJOTE|I・N・R・I|

大友克洋著「童夢」1983年・双葉社

松本大洋著「鉄コン筋クリートall in one 」2007年・小学館

漫画雑誌「漫金超」 創刊号 1980・春
大友克洋「サン・バーグズヒルの想い出」|川崎ゆきお「猟奇のパラドックス」|雑賀陽平「3193より2316」|さべあのま「I LOVE MY HOME」|高野文子「田辺のつる」|いしいひさいち「絶望的前衛の巻」|ひさうちみちお「ヨセフ」|赤星ジュン「香港猫」|

マンガ奇想天外SFマンガ大全集 春・創刊号  1980年・奇想天外社
坂口尚「祭の日」|吾妻ひでお「Dr.アジマフ安全着陸」|高野文子「アネサとオジ」|柴門ふみ「反逆天使の墜落」|白山宜之「Golden Slumbers」|川崎ゆきお「飛ぶがごとく」|いしかわじゅん「至福の街」|大友克洋「大友克洋の腸の陰干」|坂口尚「坂口尚のSTAR DUST COLLECTION」|松本零士「モルモダリウム1978」|杉浦茂「猿飛天助」|ほか


映画「熱帯魚」 台湾映画  監督:チェン・ユーシュン

上






 のんびりした可笑しさと、生きるペーソスと、力強い生きざまが織りなす台湾の庶民のお話。
 主人公を立てていますが、群像劇でもあります。
 各所のシーンでクスクス笑ってください。

 台北のある中学校の、中三のその教室。高校入試 間近である。
 「400点以上とれる自信の無い人、手を挙げて」と教師が言ったら、ほぼ全員が手を挙げた。
 (台湾の高校入試は統一試験、400点以上が求められるらしい)

 その手を挙げた中に、主人公ツーチャン、その悪友ウェイリーがいる。
 この期に及んでも、ツーチャンは入試に意欲がわかない。ワルじゃないが、親から見ればいい子じゃない。
 毎日バス停で会う純情そうな女の子に片思い。


1_20181002175502309.gif ある日、ツーチャンが小学生の誘拐事件に巻き込まれ、ツーチャンも身柄を拘束された。
 主犯格は元刑事で、事業を起こしたがうまくいかない男、誘拐で一儲けを画策する。
 小学生の子は、日頃から親が息子を見放していて身代金を得られないらしい事が分かり、よって急遽、ツーチャンにお鉢が回る。
 男はツーチャンの親に身代金を要求する。警察が動き出す。金の受け渡しの場で、主犯格は元同僚の刑事に出くわし、シドロモドロ。身代金を得ずに退散。
 ところがこの男が敢え無くも交通事故死、も一人の気の優しい男アケンが誘拐を引き継ぐなりゆき展開となる。


 アケンは二人の口にガムテープを貼って、海岸沿いのアケンの故郷へ向かう。
 今度はこのアケンの一族郎党がツーチャン誘拐で一儲けを狙う。テレビ報道がこの事件を追い始める。ツーチャンの両親がカメラの前で犯人に訴える様子が放映される。
2-1_20181002175715e76.jpg ところが、アケンの一族郎党が間抜けで、したたかで可笑しい。
 そしてアケンらはツーチャンと小学生を優しく扱う。ご飯時は、あたかも家族の一員のよう。のんびりした潮風が吹く日々。
 アケンは、ツーチャンに受験勉強しろと参考書を買って与える。分からないところは近所の物知りに聞きに行くサービス。
 しかし日はまたたく間に経ち、入試日がどんどん迫る。
 テレビの討論特番では、入試の諸問題とツーチャンの試験免除の特例が叫ばれる。
 そうこうするうちに、警察が海岸沿いのこの一帯に目をつけだす。警官の間抜けさも可笑しさを誘う。


 そして・・。
3_20181002175857fdf.jpg そんなさ中、ツーチャンは一人の女の子に恋をする。
 ツーチャンが海で泳いだ時(入試間近なのにそんな余裕はないだろ!)、台北の海に熱帯魚を見た確かに見た。(熱帯魚は台湾のもっと南にしか生息してないはずだが・・)
 ツーチャンが警察に保護される時、その女の子は熱帯魚が一尾入ったビンをツーチャンに渡した。幻じゃない、私も熱帯魚を見たと。

 チェン・ユーシュン監督作品「ラブゴーゴー」の記事はこちらから
 この映画もなかなか良いです。

オリジナルタイトル:熱蔕魚/Tropical Fish
監督・脚本:チェン・ユーシュン|台湾|1995年|108分|
撮影:リャオ・ペンロン|
出演:ツーチャン(リン・ジャーホン)|好きな女の子(ファン・シャオファン)|ツーチャンの親友ウェイリー(リャン・ティンユァン)|小学生タウナン(シー・チンルン)|誘拐主犯格の手下アケン(リン・チェンシン)|その叔母アイー(ウェン・イン)|その夫ヒョン(リェン・ピートン)|ほか多数

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽

2年前・4年前・6年前の9月、一夜一話。(2016年9月・2014年9月・2012年9月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-09-30 Sun 06:00:00
  • 映画
2年前の9月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  2年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2016年9月 Archive>

写真
「風の又三郎」
監督:島耕二
映画音楽に魅せられて
写真
「イン・ザ・プール」
監督:三木聡 オダギリジョー
松尾スズキ、市川実和子
写真
「泥の河」
監督:小栗康平
田村高廣、加賀まりこ
写真
「舞妓はレディ」
監督:周防正行
上白石萌音、富司純子
写真
<か行> の邦画
これまでに記事にした邦画から
    
写真
「ドリンキング・バディーズ
飲み友以上、恋人未満の
甘い方程式」
   アメリカ
写真
「世界」
監督:ジャ・ジャンクー
中国
写真
「その怪物」
監督:ファン・イノ
韓国
写真
「人生スイッチ」
監督:ダミアン・ジフロン
アルゼンチン・スペイン
写真
「シュトロツェクの
        不思議な旅」

西ドイツ
写真
「永遠と一日」
監督:テオ・アンゲロプロス
ギリシャ
写真
京都に行って来た。
「京都の湯と水の話」



4年前の9月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  4年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2014年9月 Archive)

写真
「ミスター・ミセス・ミス
       ・ロンリー」

原田美枝子、宇崎竜童
写真
「水の声を聞く」
監督:山本政志
玄里、趣里、村上淳
写真
「小早川家の秋」
監督:小津安二郎
原節子、中村鴈治郎
写真
「夢みるように眠りたい」
監督:林海象
佐野史郎、佳村萌
写真
「祇園囃子」
監督:溝口健二
若尾文子、木暮実千代
写真
特集「関西の映画です。」
過去記事よりピックアップ
       
写真
「女優で検索」
その名で探す、出演映画。
但し暫定版    
写真
「イーダ」
監督:パベウ・パブリコフスキ
ポーランド
写真
「365日のシンプルライフ」
監督:ペトリ・ルーッカイネン
フィンランド
写真
「愛しのタチアナ」
監督:アキ・カウリスマキ
フィンランド
写真
「最愛の夏」
監督:チャン・ツォーチ
台湾
写真
「マンハッタン」
監督:ウッディ・アレン
アメリカ
写真
「黒いジャガー」「スーパーフライ」
ソウルフルなブラック・シネマは、いかが?



6年前の9月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  6年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2012年9月 Archive)

写真
「不良少年」
監督:羽仁進
山田幸男
写真
「あなたと私の合言葉 
    さようなら、今日は」

若尾文子、京マチ子
写真
「旅の重さ」
監督:斎藤耕一
高橋洋子
写真
「HANA-BI」
監督:北野武
岸本加世子
写真
「さよならS」
監督:エリック・ゾンカ
フランス
写真
「月曜日に乾杯!」
監督:オタール
 ・イオセリアーニ|フランス
写真
「ラテンアメリカ
       光と影の詩」

アルゼンチン
写真
「憎しみ」
監督:マチュー・カソヴィッツ
フランス
写真
「太陽の下の10万ドル」
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
フランス
写真
「カラマリ・ユニオン」
監督:アキ・カウリスマキ
フィンランド
写真
「パリ・ルーヴル美術館
          の秘密」

フランス
写真
「夜行列車」
監督:J・カワレロウィッチ
ポーランド
写真
「ひなぎく」
監督:ヴェラ・ヒティロヴァ
チェコスロヴァキア


【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)   洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、新作映画みました、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す   ◆洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)      書評   美術

クラシック音楽    ポピュラー音楽   



一夜一話の “今日はElectronic, Rock, Funk / Soul だよ”  シュギー・オーティス

1_2018092416225090f.jpg






 今日の一枚は、シュギー・オーティスの「Inspiration Information」だよ。
 これ、知らなかった。私の人生をスルーしてました。出会えて感激!
 スゲーかっこいいクールなサウンドです。
 何がって、1974年の録音ってことが信じられない、そんなサウンドです。
 つまり、当時としては斬新過ぎた。


 どんなサウンドか? それは外国のサイトによると、Electronic, Rock, Funk / Soul。
 えって思うかもしれないけれど、聴けば分かる。

 まずは、アルバムのトップ、「Inspiration Information」をどうぞ!
 https://www.youtube.com/watch?v=pNgjmn3YrOM 
 イントロ(8小節)過ぎると、とてもファンキーな!

 よりファンキーなのは、これか。「Sparkle City」
 https://www.youtube.com/watch?v=2gy7Thmqs_A
 イントロのギターカッティングが終わると、ぐっとファンクです。

 こっちは、Electronicなサウンド。「XL-30」
 https://www.youtube.com/watch?v=5hx9t_mE8O4
 疾走するリズム、ノイズっぽいのもはいる。オルガンがグッとくる。素敵!

 これも好きだな。「Happy House」
 https://www.youtube.com/watch?v=PCJOA90JkOo
 シュギーのボーカルもいい!一番好きかも。

 これでとろける、そんな曲。「Pling!」
 https://www.youtube.com/watch?v=EvnvtHatu2I
 このフェンダーローズのサウンドは、ファンタジー。(リンク先の映像は無視してください)

 以上、気づいたと思うけど、ほとんどの曲で、アナログのリズム・ボックスが使われている。
 それと、曲によっては、シュギーの声質と歌いっぷりが、のちに登場するアート・リンゼイに似てる。 
 とにかく、バックの演奏アレンジが実に緻密でハイセンス、これにも注目してほしい。
 ちなみに、ブラスと弦以外は全部、シュギー・オーティスがやってます。ぜひCD買って聴いてやって下さい。

「Inspiration Information」 シュギー・オーティス
1. Inspiration Information| 2. Island Letter| 3. Sparkle City| 4. Aht Uh Mi Hed| 5. Happy House| 6. Rainy Day| 7. XL-30| 8. Pling!| 9. Not Available| 10. Strawberry Letters 23| 11. Sweet Thang| 12. Ice Cold Daydream| 13. Freedom Flight|

【クレジット】
Shuggie Otis (ブラスと弦以外は全部、シュギー・オーティス)
Producer, Arranged By, Written-By, Lead & Backing Vocals, Guitar, Bass, Drums, Organ, Piano, Vibraphone, Percussion, Analog Drum Machines

Saxophone, Flute – Jack Kelso|Strings – B. Porter, B. Asher, D. Jones , J. Parker, L. Rosen, M. Zeavin, N. Roth, S. Boone, T. Ziegler|Trombone – Doug Wintz, Jim Prindle|Trumpet – Curt Sleeten*, Ron Robbins|French Horn – Jeff Martinez|Harp – Carol Robbins|

Engineer [Mixing] – Shuggie Otis
Engineer [Recording] – Bobby Bloom, Johnny Otis, Nicky Otis, Robb DiStefano
Executive-Producer – Johnny Otis ←この人、シュギー・オーティスのお父さんで、著名R&Bミュージシャン、プロデューサー。

これまでに掲載したポピュラー音楽の記事は、こちらから
 

映画 「さらば青春の光」  映画音楽に魅せられて  監督:フランク・ロダム

上
モッズ(族)。仲間と薬、スクーターとアメリカン・ポップスとモッズファッションと。
主人公ジミーもモッズだ。


1-0_201809241554136ff.jpg ザ・フーやモッズ、パンク、スティングに思い入れがあるわけじゃないが、この映画、1960年代のイギリスの若いのに愛された音楽が出てきます。
 ですがロックファンじゃなくとも楽しめる映画です。

 お話の方は、1960年代半ばを舞台にして、労働者層の息子ジミー・クーパーという青年を中心に、労働者階級の若者達の切ない群像を描いています。

 それは、青春のときめきと悲恋や、ブリティッシュ・ロック(The Who)にアメリカンポップスにアンフェタミン(薬物)と乱痴気パーティ、そして若者同士の乱闘や、階級社会への漠とした反抗、為す術の無さ、階級への従順であり、そうした日々に浸るジミーの疑問と離脱への物語です。
 (辛いのは、モッズの彼らも、ロッカーズの彼らも、ともに労働者階級の若者達なんです)

 ただし、映画はいささか青臭い、感傷的な語り口で展開します。そこがいいわけですが。
 また、海浜リゾート地のブライトンの市街や海岸での、モッズとロッカーズそして警察交えた大規模な乱闘シーンは迫力があります。
(1964年に実際に起きた「ブライトンの暴動」)

 本作オリジナルタイトルの「Quadrophenia」(四重人格)は、ブリティッシュ・ロックバンドのザ・フーの、ロックオペラ仕立てのレコードアルバム名(1973年リリース)であり、この映画の原作にあたります。

2-0_20180924155759b18.jpg 挿入曲は当然、The Whoのが多いのですが、1960年当時、実際にイギリスの若者に受けていた音楽となるとアメリカンポップスです。
 シーンに挿入される曲は次のとおりです。

The High Numbers:ZOOT SUIT|Cross Section:HI HEEL SNEAKERS|James Brown:NIGHT TRAIN |The Kingsmen:LOUIE LOUIE |Booker T and The MG’s:GREEN ONIONS|ザ・カスケーズ:悲しき雨音|The Chiffons:HE’S SO FINE |ザ・ロネッツ:ビー・マイ・ベイビー|The Crystals:DA DOO RON RON |The High Numbers:I’M THE FACE

 ザ・ロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」なんか、聞き覚えありますか。いい曲です。次から聴けます。
 https://www.youtube.com/watch?v=jrVbawRPO7I

 The Who大好きな方はこちらですね。映画挿入曲です。
The Who:I AM THE SEA|THE REAL ME |I’M ONE |5’15 |LOVE, REIGN O’ER ME |BELL BOY |I’VE HAD ENOUGH |HELPLESS DANCER |DOCTOR JIMMY |GET OUT AND STAY OUT |FOUR FACES|JOKER JAMES|THE PUNK AND THE GODFATHER |


オリジナルタイトル:Quadrophenia
監督:フランク・ロダム|イギリス|1979年|117分|
脚本:デイヴ・ハンフェリーズ 、 マーティン・スチルマン 、 フランク・ロダム|撮影:ブライアン・テュファノ|
出演:Jimmy:フィル・ダニエルス|Steph:レスリー・アッシュ|Ace:スティング|Chalky:フィリップ・デイヴィス|Dave:マーク・ウィンゲット|ほか多数

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽


気になる映画 66  《これから上映の映画》

写真
「悲しみに、こんにちは」
スペイン
9/23- 東京都写真美術館ほか
写真
伴淳三郎と三木のり平
昭和に愛されたふたりの喜劇人
9/29-11/2 神保町シアター
写真
ドキュメンタリー・ドリーム・ショー
山形in東京2018
10/6-26 K's cinema
写真
FUN!FUN! ASIAN CINEMA
「細い目」監督ヤスミン・アフマド
「告別」監督:デグナー
10/9、11/5 アテネ・フランセ




閲覧回数の多い映画記事、ベスト10

  • Posted by: やまなか
  • 2018-09-20 Thu 06:00:00
  • 映画
 直近で、よくご覧いただいている映画記事のベスト10です。

 こちらから、のぞいてください。

 とは言え、日々変わっています。瞬間風速みたいな感じです。
 
 



一夜一話の “今日はメンフィス・ソウルだよ” アン・ピーブルス

1_20180903205519840.jpg






 今日の一枚は、メンフィスソウルの名門レーベル、“Hi Records” から、アン・ピーブルスのアルバム「Straight From The Heart」だよ。
 なんたって、このアルバム、Hi の一番いいとこ、この1枚に凝縮、テンコ盛り。
 どの曲聴いても、文句なし。
 ああ、これ以上ことばにするのが、アホらしくなるほど。今日はもう何も言わない。



 まずは、3曲目「What You Laid On Me」を聴いとくれ。
 https://www.youtube.com/watch?v=TU7xJRJOiqA

 次に4曲目、「How Strong Is A Woman」は、どう?
 https://www.youtube.com/watch?v=6_-AlpMdrUI

 例えば6曲目の「I Feel Like Breaking Up Somebody's Home Tonight」
 https://www.youtube.com/watch?v=_MaZDMFMF2s 

 おっと、2曲目「Trouble, Heartaches & Sadness」を忘れてた。
 https://www.youtube.com/watch?v=-ejFwOlTTgs

 以上こんな感じ、アン・ピーブルスっていいでしょ!
 他のトラックもGoodです。
 彼女のほかのアルバムはまたの機会に。

Ann Peebles ‎– Straight From The Heart 1971年  (Hi Records ‎– SHL 32065)

【収録曲】
A1 Slipped, Tripped And Fell In Love|A2 Trouble, Heartaches & Sadness|A3 What You Laid On Me|A4 How Strong Is A Woman|A5 Somebody's On Your Case|B1 I Feel Like Breaking Up Somebody's Home Tonight|B2 I've Been There Before|B3 I Pity The Fool|B4 99 Pounds|B5 I Take What I Want|
【クレジット】
Producer – Willie Mitchell
Backing Vocals – Rhodes, Chalmers And Rhodes
Bass – Leroy Hodges
Bass Saxophone – James Mitchell
Drums – Howard Grimes
Guitar – Teenie Hodges
Organ, Piano – Charles Hodges
Tenor Saxophone – Andrew Love, Ed Logan
Trombone – Jack Hale
Trumpet – Wayne Jackson

これまでに掲載したポピュラー音楽の記事は、こちらから


1年前・3年前・5年前の9月、一夜一話。(2017年9月・2015年9月・2013年9月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-09-16 Sun 06:00:00
  • 映画
1年前の9月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2017年9月 Archive>

写真
「朧夜の女」
監督:五所平之助
飯塚敏子、徳大寺伸
写真
「或る女」
監督:渋谷実
田中絹代、佐野周二

写真
「カフェ・ブダペスト」
監督:フェテケ・イボヤ
ハンガリー
写真
「ヴィンセントが教えてくれたこと」
監督:セオドア・メルフィ
アメリカ
写真
「青いドレスの女」
監督:カール・フランクリン
アメリカ
写真
「夏をゆく人々」
監督:アリーチェ・ロルヴァケル
イタリア
写真
「クスクス粒の秘密」
監督:アブデラティフ・ケシシュ
フランス
写真
「マダム・マロリーと魔法のスパイス」
監督:ラッセ・ハルストレム
アメリカ

写真
「ピカソとシャガール
      愛と平和の讃歌」

ポーラ美術館
写真
CD紹介
“今日はボサノバかな?”
三宅純



3年前の9月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
3年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2015年9月 Archive)

写真
「運命じゃない人」
監督:内田けんじ
中村靖日、霧島れいか
写真
「花よりもなほ」
監督:是枝裕和
岡田准一、宮沢りえ
写真
「白線秘密地帯」
監督:石井輝男
三原葉子、宇津井健
写真
「風の子」
監督:山本嘉次郎
渡辺篤、夏川静江
写真
「メイド・イン・ホンコン」
監督:フルーツ・チャン
香港
写真
「さよなら、人類」
監督:ロイ・アンダーソン
スウェーデン
写真
「ヤクザガール 二代目は10歳」
監督:セルゲイ・ボドロフ
ロシア
写真
「ロスト・イン
     ・トランスレーション」

アメリカ
写真
「フォー・ルームス」
監督:クエンティン・タランティーノ他
アメリカ


5年前の9月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
5年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2013年9月 Archive)

写真
「旅籠屋騒動」
監督:森一生
ミスワカナ、玉松一郎
写真
「モル」
監督:タナダユキ
タナダユキ、石川貴子
写真
「少年」
監督:大島渚
渡辺文雄、小山明子
写真
「にあんちゃん」
監督:今村昌平
長門裕之、松尾嘉代
写真
「いつか読書する日」
監督:緒方明
田中裕子、岸部一徳
写真
「指輪をはめたい」
監督:岩田ユキ  山田孝之、
小西真奈美、真木よう子
写真
「寝ずの番」
監督:マキノ雅彦  長門裕之、
中井貴一、木村佳乃
写真
「裸の十九才」
監督:新藤兼人
原田大二郎、乙羽信子|
写真
「天使が見た夢」
監督:エリック・ゾンカ
フランス
写真
「さすらい」
監督:ヴィム・ヴェンダース
ドイツ
写真
「SWEET SIXTEEN」
監督:ケン・ローチ
イギリス

写真
「自分を探す旅
   (邦画編 その1)」

過去記事からピックアップ
写真
「女が、自分の道を歩む時。」
過去記事からピックアップ
写真
「人生なんて、そうそう
   うまく行かないワケよ。」

過去記事からピックアップ
写真
「やはり、
  大人の映画ってある。」

過去記事からピックアップ
写真
「子供が主演の映画は、
     視点がピュア。」

過去記事からピックアップ


7年前の9月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
7年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2011年9月 Archive>

写真
「二人が喋ってる。」
監督:犬童一心
新屋鳴美、宇野志津香
写真
「風の歌を聴け」
監督:大森一樹
小林薫、真行寺君枝
写真
「米」
監督:今井正
江原真二郎、中村雅子
写真
「NOVEM ノヴェム」
監督:ブラッド・キンメル
アメリカ
写真
「旅人は休まない」
監督:イ・チャンホ
韓国
写真
「ようこそ、羊さま。」
監督:リウ・ハオ
中国
写真
「胡同の理髪師(フートン)」
監督:ハスチョロー
中国
写真
「死の教室」
監督:アンジェイ・ワイダ
ポーランド
写真
「パレルモ・シューティング」
監督:ヴィム・ヴェンダース
ドイツ
写真
「モンド」
監督:トニー・ガトリフ
フランス
写真
「少年と砂漠のカフェ」
監督:A・ジャリリ
イラン
写真
「Jazz Seen
   /カメラが聴いたジャズ」

ドイツ
「ブラックブレッド」
監督:A・ビリャロンガ
スペイン・フランス
写真
「ラストサーカス」
監督:A・デ・ラ・イグレシア
スペイン
写真
「ロビンソナーダ」
監督:ナナ・ジョルジャーゼ
グルジア
写真
「誤発弾」
監督:ユ・ヒョンモク
韓国 1961年
写真
近世文学研究
「江戸滑稽化物尽くし」
アダム・カバット (著)


【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽

気になる映画 65  《これから上映の映画》

写真
「ポップ・アイ」
シンガポール
8/18- ユーロスペース
写真
「ジョージア映画祭」
ジョージア(グルジア)
10/13-26 岩波ホール
写真
「テル・ミー・ライズ」
イギリス(1968年制作)
8/25- イメージ・フォーラム


映画「フランコフォニア ルーヴルの記憶」  監督:アレクサンドル・ソクーロフ

上2

1-0_20180910132348269.jpg



 この映画は、ルーヴル美術館についての作品ですが、収蔵品に関して芸術うんぬんを語るのではなく、時の王室・政府や第二次世界大戦を主題に据え、ルーヴル美術館の遍歴を(大河小説のように)描こうとします。

 映画は、昔のモノクロ映像や、絵画に描かれた館内のかつての様子、そしてもちろん、「モナ・リザ」、「サモトラケのニケ」やエジプト・コレクションなど著名な絵画彫像の映像を取り入れたドキュメンタリー形式ではありますが、俳優も登場します。

 そのうちの2人は、ヨーロッパやエジプトなど遠征先からの美術品略奪収集が旺盛だったナポレオン一世と、象徴的な位置づけの謎の女。
 ともに、ルーヴル美術館館内に居つく亡霊として、次の幾つかの絵画シーンに現れます。
 彼自身の肖像画や「皇帝ナポレオン一世と后妃ジョセフィーヌの戴冠式」や、フランス革命を描くドラクロワの「民衆を導く自由の女神」など。

2-1_20180910132910db7.png しかし登場人物の主たるは、第二次世界大戦中、ナチスドイツ軍によるパリ侵攻(パリ陥落)ののち、ルーヴル美術で面会する二人の男、ルーヴル美術館館長とナチス高官であります。(実話の再現)
 ちなみにナレーションは全て、アレクサンドル・ソクーロフ監督です。監督の思いがストレートに伝わってきます。


 映画はおおよそ、こんなことを語ります。
 ルーヴル美術館は、歴代フランス王の王宮(ルーヴル宮殿)でしたが、王宮がヴェルサイユ宮殿へ移って後、王室美術品コレクションの収蔵展示場所となった。
 そしてフランス革命後、フランスが有する優れた美術品を展示する美術館として1793年に開館。
 その後、ナポレオン一世によって所蔵点数は一気に増え、そして王政復古、フランス第二帝政時代、フランス第三共和政を経て収蔵点数はさらに増加。
 映画は、これら美術館の遍歴をたどりながら、第二次世界大戦の「直前」に至ります。

3-0_20180910133439c43.jpg 当時この時のルーヴル美術館館長がジャック・ジョジャール。
 彼は自身を役人だと言います。(フランス国立美術館総局副局長)
 第二次世界大戦中の、フランス第三共和政の終末期に、そしてドイツのパリ侵攻を避けフランス南部に構えたヴィシー政権に仕え、目まぐるしい時代を館長として役目を毅然として果たします。(このヴィシー政権はドイツとイタリアに対し休戦を申し入れます。つまりナチスドイツに屈しナチスに寄り添った政権)

 さて大戦の直前、彼は時をみて、「モナ・リザ」など最も重要な絵画多数をシャンボール城へ避難させ、大戦勃発後、「サモトラケのニケ」などこれも最も重要な彫像群をヴァランセ城へ移送しました。
 こうして主要な美術品の大方が ルーヴル美術館を去った後、ナチスドイツの美術品保護の責任者で高官の、メッテルニヒ伯爵がルーヴルに来館します。
 メッテルニヒの任務は、ルーヴル美術館からの略奪でした。所蔵品の中からナチスが欲する作品を選び出し、ナチスの美術館に移送するためでした、が・・。

 ここら辺を含め、観てのお楽しみ。
 ルーヴル美術館館長とナチス高官のこの二人、事実は奇なりであります。
 そして映画の最後のほうで分かるのですが、ジャック・ジョジャールは密かにパルチザンと通じていたそうです。(ヴィシー政権下で館長として仕えたジャック・ジョジャールは戦後、戦犯として裁かれることになりますが、パルチザンであったことが判明し裁かれずに済みました)

 以上をお読みになって、お勉強的な映画に思われるかもしれませんが、さにあらず、最後まできっちり観せます。

                 

 ルーヴル美術館そのものに関心を持たれた方は、下記からルーヴル美術館公式サイト日本語版を見てください。
 https://www.louvre.fr/jp
 このリンク先の上部に、「作品と宮殿」というのがあります。これをクリックし、さらに「ルーヴルの歴史」をクリックすると、美術館のこれまでが分かります。本作「フランコフォニア ルーヴルの記憶」の一番の参考資料になると思います。

 また、ルーヴル美術館の収蔵品の避難大作戦や、ジャック・ジョジャールとメッテルニヒ伯爵について焦点をあてたドキュメンタリーに、NHK BS世界のドキュメンタリー枠で放映された「ルーブル美術館を救った男」(フランス2014年制作)があります。これもなかなか面白いものです。
5 それにしても、長く続くかと思われたドイツのフランス制圧はたった4年で終わります。

 ちなみにヒトラー個人は、ルーヴル美術館やその収蔵品よりも、音楽に関心があったようです。
 フランス・ドイツの休戦開始の1940年6月23日午前0時。その日、ヒトラーは極秘でパリを視察します。
 彼が真っ先に訪れたのはオペラ座でした。オペラ座の中まで入り熱心に見学したそうです。(「国家と音楽家」中川右介著)

オリジナルタイトル:Francofonia
監督とナレーション:アレクサンドル・ソクーロフ|フランス・ドイツ・オランダ|2015年|88分|
撮影:ブリュノ・デルボネル|
出演:ジャック・ジョジャール(ルーヴル美術館長)/ルイ=ド・ドゥ・ランクザン|ヴォルフ・メッテルニヒ伯爵/ベンヤミン・ウッツェラート|ナポレオン1世/ヴィンセント・ネメス|マリアンヌ(フランス共和国の象徴)/ジョアンナ・コータルス・アルテ|アレクサンドル/アレクサンドル・ソクーロフ|

【 アレクサンドル・ソクーロフ監督の映画 】
 これまでに記事にした、アレクサンドル・ソクーロフ監督の作品です。
 画像をクリックしてお付き合い下さい。

写真
「孤独な声」
写真
「日陽はしづかに発酵し・・」
写真
「セカンド・サークル」
写真
「エルミタージュ幻想」
写真
「マリア」


【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽

アニメ「話の話」  監督:ユーリー・ノルシュテイン


0_2018090516214582d.jpg
「話の話」は、4つのキャラクターデザインで話が構成されています。
 「話の話」は、物語の先へ先へと、急いでいるかのように語って行く流行のアニメとは、まったく違うスタンスです。そして、ザワザワした環境で観ないほうがいいです。

 例えば一枚の絵画をみて、その絵は何を語ってるのか、何が描かれているのか、絵の向こうで何が起ころうとしているのか、そういう「何」に正解はない、絵の横の説明パネルや展示会パンフレットを読むんじゃなく、まずその場でどう感じるかが、大切なのと同じで、「話の話」が語る物語の「何」に正解は無い。(と思う)

 それに、そもそも「話の話」は観てれば、どの国の人でもだいたい分かる。
 その、だいたいがだいたいとして素直に受け入れられないとなると、きっと正解があるんじゃないかと、解説を求めようとするのかもしれない。

 「話の話」を含むユーリー・ノルシュテインの作品群が次から総覧で覗けます。 
 ユーリー・ノルシュテイン監督特集「アニメーションの神様、その美しき世界」の予告編です。
 http://www.imagica-bs.com/norshteyn/
 最初に聴こえてくるアコーディオンの音楽は「話の話」で使われています。これもいいですね。

 この「話の話」を、ユーリー・ノルシュテインのアニメーションを初めて観たのは、確か、深夜の中央線沿線だった。
 仕事を終え、新宿の店で友人と何だったか、やけに意気投合、しこたま飲んで、終電が過ぎ、タクシーで東中野の彼のアパートへ行った。
 その部屋で、互いに目が冴えてしまい、友人は「これ知ってる?観る?」と言いながら、棚から取り出したのが「話の話」のレーザーディスクだった。
 ほどよい?酔いと深夜の静けさの中で観た、ユーリー・ノルシュテインのアニメは、詩的、幻想的で、ゆったりした奥行きと包容力ある世界が広がっていて、あまりに素晴らしく、すぐさま脳裏に焼き付いて、そののち爆睡した。
 その後、ずっとそのままだったが、何時だったかTV放映されたのを運よく録画し、今回改めて観たのです。
 今回観た印象は、その昔と変わらなかった。やはりいい。

オリジナルタイトル:Skazka skazok
監督:ユーリー・ノルシュテイン|ソ連|1979年|29分|
脚本:L・ペトルシェフスカヤ、ユーリー・ノルシュテイン|アニメーション:ユーリー・ノルシュテイン|撮影:I・スキダン=ボーシン|美術:F・ヤールブソワ|編集:N・アブラモバ|作曲:M・メエロビッチ|

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽

映画「10話」  監督:アッバス・キアロスタミ

上
アミンと母親


 この映画は、イランの首都テヘランに住む女性たちを登場させ、女性ならではの諸問題を、リアルに時にコミカルに描き出そうとする、素晴らしい作品です。
 特徴は、ドキュメンタリー風な、さらりとした描写と、斬新な映像表現です。
 特に、映画のすべてのシーンは、主人公が運転する自動車車内に限られ、かつ助手席に座る人との会話シーンだけで話は終始します。

【 登場人物と10の話 】 
 映画は、題名「10話」が示す通り、10章から成り立っています。

 主人公は、自家用車を運転する女性※。(※役名が無いので、演じている女優名マニア・アクバリを代用します)
 マニア・アクバリは全ての章で、運転席に座り、ドライバーを演じます。
 そのほかの登場人物は、この車の助手席に同乗する人々です。

0-1 その人たちとは、マニア・アクバリの息子アミン(小学生)、マニア・アクバリの妹、老女(敬虔なイスラム教徒)、売春婦(夜、客の車と間違えて乗車した女)、たまたまマニア・アクバリに拾われた女性(昔、信者ではなかった女)といった人たちです。(この5人はそれぞれの章に割り当てられ、一人で登場します)

 このうち映画は、マニア・アクバリの息子アミンのために、10章のうち4つの章を割いています。
 母親マニア・アクバリは、離婚して さほど時を経っていない様子です。
 今、息子アミンは母親の元で生活していますが、アミンの心は母親と父親の間を揺れ動いています。シーンの様子では、どうやらアミンは、父親の元に居たいらしいです。
 アミンは、運転する母親の隣りで、チョット大人びた物言いで母親を批判しながらも、母親にすねて、わめき、押し黙り、またわめきます。
 案外、的を得たアミンの物言いに、母親は真っ向から発言します。そして、ついにアミンはプイッと車を降りてしまいます。いつもこの繰り返しです。
 そしてアミンは父親の所へ泊まりに行くのですが、結局 最終章で母親の元に戻ってきます。
 こんな様子がとてもリアルです。それもそのはず、アミンはマニア・アクバリの実のお子さん。(離婚も実話でしょうね。この母子には申し訳ないが結構、可笑しいシーンです)

0-2.jpg 以上4つのアミンの章は、10章中に分散配置され、そのほかの章には、アミンに代わって助手席に座る大人の女性たち4人が交互に登場します。
 つまり、マニア・アクバリの妹と、たまたまマニア・アクバリに拾われた女性(それぞれ2つの章を割く)そして老女と売春婦です。
 映画はここで、マニア・アクバリと同乗女性との、ごく日常的な会話を通して、男女間の身近な難題や、宗教に関わる問題を語ります。(さらにはイランの現状をも考えさせます)

 これらの登場人物の演技は、マニア・アクバリと実の子アミンの「実際」と比べれば、演技なのですが、すべて素人俳優だそうです。そして台本は無く、全部アドリブだとか。よってセリフはごく自然で、ドキュメンタリー映画っぽく感じます。

 そしてマニア・アクバリの車は、登場人物を乗せテヘランの街中を走ります。
 登場人物の背後の、車窓から見える風景は、いろんな店やモスクやビル、行き交う車、それを縫って横断する人、舗道を行く人、クラクション、高速道路など、どれも今のテヘラン風景です。
 車窓からの風、街の匂いも感じ取れ、観客はテヘランにいる感じがしてきます。

【 斬新な映像表現 】
 映画を観ていて、一番に印象的なのは、カメラアングルです。

 撮影カメラは、運転席のマニア・アクバリだけを写すカメラ1台と、助手席だけ写す1台の、計2台のカメラだけで撮影されています。
 かつ、このカメラは、ボンネット上に据え付けられ、アングルが固定されています。
 つまり、全シーンにおいて、この2種類のアングルだけなのです。

 映画は、こうした2つの映像を、交互に淡々と見せることで、観客の気を、車内の会話に集中させようとします。
 一方でその淡々さは、車窓からの流れる風景、これに観客の目を向けさせようとします。
 ともすれば閉塞感を感じる車内映像ですが、車外が見えることで、広がり感解放感や街の生き生きとした様を、映像に呼び込むことができています。

 ちなみに可笑しいのは、アングル固定ですから、子供のアミンはいつも胸から上が映るのですが、大人は鼻から下しか映らないことも多い。これ結構、映画のお作法を逸脱していて、やってくれましたという感じがします。

オリジナルタイトル:Ten
監督・脚本・撮影:アッバス・キアロスタミ|フランス、イラン|2002年|94分|
出演:マニア・アクバリ|アミン・マヘル|ほか

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽



映画「ミツバチのささやき」  スペイン映画   監督:ビクトル・エリセ

上


0_201809031256086c7.jpg 主人公の少女、アナの愛くるしさと、1940年の静かな田園風景に浸るのもいいだろう。
 これが物語の土台であり、いにしえの良きスペインを表わそうとしているのだから。

 そのうえで、セリフ僅かなこの映画は、いくつかのシーンでいくつかの話をしようとします。
 例えば、まだ若いアナの母親が手紙を書いています。(老いた夫とは歳の開きがある)
 彼女が抱く密かな愛と、変わりゆく世の中への絶望感を、行方不明の愛しい人宛てへ、届くか分からぬ手紙に託します。

 村に映画「フランケンシュタイン」の巡業が来ます。
 上映されるフランケンシュタインの映像は我々観客に、内戦に勝利したファシズム陣営のフランシスコ・フランコを暗示させているのかもしれません。

 その一方で、映画「フランケンシュタイン」の1シーンにある、フランケンシュタインと少女との優しい出会い。
 これを観たアナは怖いながらも、このシーンに魅かれて行きます。(このテーマが映画後半の軸となっていきます)
 そしてある日、反ファシズム陣営に属す一人の男が、走る列車から飛び降り、この村の、畑の中の一軒家の廃屋に身を隠しました。
 巡業の映画を観てからというもの、この廃屋は、アナと姉のイザベルの姉妹にとって、フランケンシュタインのような姿の精霊の棲み家でありました。そして男とアナが出会うのでした。それからは・・。

 一番まっとうな予告編をあげておきます。(El espíritu de la colmena - Duch Roju - 1973 - trailer)
 https://www.youtube.com/watch?v=wR_mjiLGZkc

 「ミツバチのささやき」は、言葉少なに、映像で物語を語ろうとしています。
 よって一枚の絵画を見るように、静かにじっくり観てください。

 本作と同様の、静かな映画60作品を、「静かな映画 洋画編」で取り上げています。
  こちらから、見てみてください。
 本作のビクトル・エリセ監督の1983年作品「エル・スール」は既に記事にしました。
  こちらからお読みください。

オリジナルタイトル:El Espiritu de la Colmena
監督:ビクトル・エリセ|スペイン|1973年|99分|
原案:ビクトル・エリセ|脚本:アンヘル・フェルナンデス・サントス 、 ビクトル・エリセ|撮影:ルイス・カドラード|
出演:アナ(アナ・トレント)|姉イサベル(イサベル・テリェリア)|父親フェルナンド(フェルナンド・フェルナン・ゴメス)|母親テレサ(テレサ・ヒンペラ)|アナの家の家政婦ミラグロス(ケティ・デ・ラ・カマラ)|治安警察官(エスタニス・ゴンサレス)|精霊のフランケンシュタイン(ホセ・ビリャサンテ)|逃亡の男(ジュアン・マルガロ)|アナが通う学校の教師ドナ・ルシア(ラリー・ソルデビラ)|医者(ミゲル・ピカソ)|

22_201809031308258b2.jpg【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽





一夜一話の “今日はソウルだよ” アレサ・フランクリン (2)

1-1_201808300924384b3.jpg








 アレサが死んだ。
 亡くなったとか逝去とか、そんな言い方は何か、よそよそしい。
 76歳、今どき若いよ。まだまだ歌えたのに。


 アレサ・フランクリンのアルバム、良いのは色々あるけど、今日は1973年の「Hey Now Hey」。(当時アレサ31歳)

1-3_20180830093545218.jpg 選んだワケは、ふたつ。
 一つ目は、アレサがエンジェルになっているから。
 (アルバムを開くと、右のイラストが現れて、右端に白い翼のアレサがマイク持って立っている)
 それと、もうひとつのワケは、このアルバムのサウンドが、ソウルファンの評価が高い、60年代のアレサから逸脱してるから。

 たぶん、本人的には、1967年の大ヒット曲「リスペクト」などの、それまでのソウルサウンドを、いつまでも後生大事に歌っているわけにもいくまい。
 「リスペクト」の試聴 https://www.youtube.com/watch?v=6FOUqQt3Kg0
 新境地を求めていたと思う。

 アトランティックも模索してたんだろう。
 この「Hey Now Hey」というアルバムのプロデュースは、アレサとクインシー・ジョーンズ。
 次から試聴できる。(いつも思うが、パソコンで聴くと、どんな歌もウスッペラに聴こえて残念)
 https://www.amazon.co.jp/Hey-Now-Aretha-Franklin/dp/B0000033G0

 前知識や固定概念抜きで、じっくり聴くとね、アレサの歌・ピアノはもとより、バック演奏とアレンジも上出来で、総じてアルバムの完成度は高い。
 アレサの、メロディの崩し方、緊張と緩和、間のとり方入り方などなど、あまたのソウルシンガー達から抜きん出たその歌いっぷりは、さすがで、健在です。

 ただ、このアルバム、不人気だったらしい。
 アルバムに納められた曲は、スウィートなソウルを中心に、ビッグバンドジャズ風やニューオリンズ・ソウルもあって、まとまりが無いと言えば、その通り。
 また、(当時の)ナウいミュージシャンの演奏に乗ったスウィートさは、これはアレサが歌うソウルじゃないと思われたんだろう。
 でもアレサは、ちゃんと“アレサならでは”にソウルフルに歌ってんだけどね。例えばベースも、なかなかソウルなベースラインを弾いてんだけどね。
 しかし、そのトータルなサウンドから聴こえる印象が、どうも60年代好きソウルファンには嫌われたかもしれない。

 今から思えば「Hey Now Hey」は、翌年1974年のアルバム「Let Me in Your Life」へ至るまでの、道のり途中の作であった。
 (この「Let Me in Your Life」は以前、記事にしました。 こちらから、どうぞ) 

 ちなみに、ジャズテイストの曲でアレサが弾くピアノソロなんか、彼女、楽しんでるよ。

「Hey Now Hey (The Other Side of the Sky)」

【Track listing】
"Hey Now Hey (The Other Side of the Sky)"  (作曲Aretha Franklin)
"Somewhere"  (作曲Leonard Bernstein, Stephen Sondheim)
"So Swell When You're Well"  (作曲James Booker, Aretha Franklin)
   ★James BookerはニューオリンズのソウルR&Bの楽しい人。
"Angel"  (作曲Carolyn Franklin, Sonny Sanders)  ★Carolyn Franklinはアレサの妹。
"Sister from Texas"  (作曲Aretha Franklin)
"Mister Spain"  (作曲Carolyn Plummer)
"That's The Way I Feel About Cha"  (作曲Bobby Womack, Jim Grisby, Joe Hicks)
"Moody's Mood"  (作曲James Moody, Jimmy McHugh, Dorothy Fields)
"Just Right Tonight"  (作曲Aretha Franklin, Avery Parrish, Buddy Feyne, Quincy Jones, Robert Bruce)
"Master of Eyes (The Deepness of Your Eyes)"  (作曲Aretha Franklin, Bernice Hart) ★LPには無い曲

【Personnel】
Aretha Franklin – vocals (All tracks), piano (tracks 2-3)|Willie Bridges, Charles Chalmers – saxophone|Tommy Cogbill, Jerry Jemmott – bass guitar|Roger Hawkins, Richie Pratt – drums|Wayne Jackson – trumpet|Jimmy Johnson – guitar|Andrew Love, Floyd Newman – saxophone|Spooner Oldham – keyboards|Phil Woods – alto saxophone on "Somewhere"|Joe Farrell – tenor saxophone on "Angel", flute on "Mister Spain"|Billy Preston – piano on "Just Right Tonight"|

これまでに掲載したポピュラー音楽の記事は、こちらから

2年前・4年前・6年前の8月、一夜一話。(2016年8月・2014年8月・2012年8月の掲載記事です)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-08-31 Fri 06:00:00
  • 映画
2年前の8月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  2年前の8月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2016年8月 Archive

写真
「雷魚」
監督:瀬々敬久
佐倉萌
写真
「皆月」
監督:望月六郎  奥田瑛二、
吉本多香美、北村一輝
写真
「浅草四人姉妹」
監督:佐伯清
相馬千恵子,関千恵子,杉葉子
写真
「トワイライト ささらさや」
監督:深川栄洋
新垣結衣、大泉洋
写真
「トレインスポッティング」
監督:ダニー・ボイル
イギリス
写真
「ある子供」
監督:ダルデンヌ兄弟
ベルギー
写真
「ミリオンダラー・ホテル」
監督:ヴィム・ヴェンダース
ドイツ
写真
「フランシス・ハ」
監督:ノア・バームバック
アメリカ
写真
「カッコーの巣の上で」
監督:ミロス・フォアマン
アメリカ
写真
「死刑台のエレベーター」
~映画音楽に魅せられて
監督:ルイ・マル|フランス
写真
「バルタザールどこへ行く」
監督:ロベール・ブレッソン
フランス



4年前の8月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  4年前の8月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2014年8月 Archive

写真
「時代屋の女房」
監督:森崎東
夏目雅子、渡瀬恒彦
写真
「極道ペテン師」
監督:千野皓司
フランキー堺、伴淳三郎ほか
写真
「東京五人男」
監督:斎藤寅次郎
横山エンタツ、花菱アチャコ
写真
「幻影師アイゼンハイム」
監督:ニール・バーカー
アメリカ
写真
「博士の異常な愛情」
監督:スタンリー
 ・キューブリック|アメリカ
写真
「チャイニーズ・ゴースト
       ・ストーリー」

監督:チン・シウトン|香港
写真
「ソウルガールズ」
監督:ウェイン・ブレア
オーストラリア
写真
犯罪「幸運」
監督:ドリス・デリエ
ドイツ
写真
最近読んだ本。
「ナツコ 沖縄密貿易の女王」
文春文庫:2007年
写真
京都観光街歩き、
   そして貴船の川床
    
写真
箱根 姥子温泉
岩盤自然湧出泉 ~秀明館



6年前の8月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  6年前の8月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2012年8月 Archive

写真
「ひとりぼっちの二人だが」
監督:舛田利雄
吉永小百合
写真
「教祖誕生」
監督:天間敏広
北野武 萩原聖人 岸部一徳
写真
「居酒屋ゆうれい」
監督:渡邊孝好
室井滋 萩原健一 山口智子
写真
「誰も知らない」
監督:是枝裕和
柳楽優弥 YOU
写真
「夜の河」
監督:吉村公三郎
山本富士子
写真
「愛より強く」
監督:ファティ・アキン
ドイツ、トルコ
写真
「バグダッド・カフェ」
監督:パーシー・アドロン
西ドイツ
写真
「モーツァルトとクジラ」
監督:ピーター・ネス
アメリカ
写真
「動くな、死ね、甦れ!」
監督:ヴィターリー
  ・カネフスキー(ロシア)
写真
「光の旅人 K-PAX 」
監督:イアン・ソフトリー
アメリカ
写真
「青いパパイヤの香り 」
監督:トラン・アン・ユン
フランス ベトナム
写真
「父、帰る 」
監督:アンドレイ
    ・ズビャギンツェフ
写真
「勝手にしやがれ」
監督:ジャン=リュック
        ・ゴダール
写真
「家の鍵」
監督:ジャンニ・アメリオ
イタリア
写真
「にがい米」
監督:ジュゼッペ
     ・デ・サンティス


【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽

京都へ、今年も行ってきた。

  • Posted by: やまなか
  • 2018-08-29 Wed 06:00:00
  • 一話
上


 暑いけど、今夏も墓参り。
 京都駅を降り、東山五条の西大谷で、花買って、線香あげて、ハイ終わり。
 西大谷(大谷本廟)境内も、墓地も、炎暑で人影なし。

地図1 とりあえず、八坂神社近くの石塀小路の宿まで歩いて、バッグ置いて、いざ、嵐山。
 行き先は、京都の西端、嵐山の渡月橋を渡った向こう岸、松尾大社だ。(京都最古の神社)

 市営地下鉄「東西線」乗って「嵐電」に乗り継いで嵐山、のルートもいいが、なにせ、ここは東山四条。東西線まで歩くのは、ちと遠いし暑い!
 そこで、歩く距離が短くて済む、四条河原町に出て阪急に乗ることにした。阪急京都線を桂駅でVターンし、阪急嵐山線で松尾大社駅下車のルートだ。


御朱印帳 ルートが決まって、宿から河原町通へ出る途中、少しは涼しいだろう八坂神社境内を抜ける。
 でも実は、神社を通る別のワケがある。それは、松尾大社へ持っていく「御朱印帳」を家に置き忘れたんよ。
 そんなことで八坂神社で御朱印帳を買って、申し訳ないから、ついでに御朱印をいただく。(松尾大社は御朱印帳を売ってないかもしれないので念のためだった)
 これで私が持ってる御朱印帳は、都合3冊になるが、いただいた御朱印は3つだけ。
 (ちなみに御朱印を書いてもらった八坂社務所のおばちゃんに聞くと、多い時は一日に100回書くらしい)

 さて、そもそも、今回なぜ嵐山か。
 それは、元・京都市在住だったからかな、毎夏、墓参のついでに行きたいどこかが街中に無くなってきた。で、行ったことない周辺部郊外にしたんだ。
 でも、本当の理由は、従妹の行きつけの、嵐山の店で飲むことになったから、だった。


 そうならと、事前に嵐山付近の銭湯を探しておいた。湯につかれば、ビールはさらに美味くなるからだ。
 見つけたのは渡月橋のたもとにある「風風の湯」というスーパー銭湯。ここなら行く店に近い。それに夕方、渡月橋を湯上りで渡り、松風さっと吹くなか、粋に店まで歩いて行けるだろう。

地図2 小 で、だから松尾大社は、それまでの時間つぶし、なわけ。
 なんだけど、ウィキペディアによると、ここは、京都市西部、四条通西端に位置し、東端の八坂神社(祇園社)と対峙して鎮座する、とある。そうか!(これを書くにあたって初めて気付いた)
 それと、松尾大社は古代から渡来系氏族の秦氏(はたうじ)に奉斎されたことで知られる神社で、この秦氏は平安京遷都を推したらしい。京都繁栄の祖とも言える。なるほど。
 そんなことで、この神社で拝み、無事、御朱印をもらった。(松尾大社は酒の神様でもある)


 そんで次に、段取り通り、松尾大社駅から一駅で嵐山線終点の嵐山駅到着。
 駅すぐの桂川河岸の「風風の湯」は、静かな、宣伝過多じゃない、思いのほか良い風呂だった。お薦め。

 風呂を出て、前日の台風通過で増水気味の濁った桂川を見ながら、湿度高く蒸し暑い渡月橋を渡り、15分ほど歩いて、汗じわっとして店に着く。ここは地元客の店。
 私、弟、待ち合わせた従妹とその友達で、冷えたビールをグイッと、おお爽快!(これが毎夏の京都行の目的やねん)
 わいわいやって、気が付きゃ4時間もいた。


2-1_20180827114023085.jpg 翌朝、宿で弟と歯磨きしながら「兄貴、今日どこいこか?」 まったくあても計画もない兄弟。
 ま結局、あれこれさほど迷わず、上賀茂神社へ。
 たぶん、2人とも行ったことが無いような・・気がする。

 市バス4番に飛び乗って、四条河原町から上賀茂神社へ。
 途中、馴染みの街風景を見ながら、でも洛北高校過ぎた北大路あたりからは案外知らない街。
 そして上賀茂神社近くになると畑も見え始めてちょっとした郊外。意外に時間がかかった。少し旅気分。(京都市営バス路線の北辺)
 着いたら、上賀茂神社境内の青空は大きく広がっていました。(正式名:賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)

 生前、おふくろが時々買ってきた、上賀茂神社前の神馬堂のやきもち、今回、私も買おうとしたら、私の次の方で売り切れ。
 朝9時半ごろのことです。
 なんか、落ち着かない京都になりました。
 
下2















【 一夜一話の 歩き方 】

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)



映画「歌っているのはだれ?」 ユーゴスラビア映画   監督:スロボダン・シャン

上
ロマ音楽の辻芸人と、おんぼろバス。

男は歌を歌いアコーディオンを弾く。子供はサイドボーカルとマウスハープを担当。
映画冒頭や各章の頭に登場し、シーンに沿った歌詞を歌い、本作の狂言回しを担う。
バスの乗客でもある。

【バスに乗った、そのほかの10人】
 映画はこれらの人物を登場させて、当時のユーゴスラビア王国セルビア地方の多様性と運命を描くのです。

写真
バスのオーナーで車掌
乗客に対し高圧的。
子豚を数頭、バスに乗せベオグ
ラードの市場で売る。バス商売
より豚売買の方が儲かるらしい
写真
バスの運転手
左の男の息子。ちと頭がポン。
目隠し運転をしてみせる。
河岸で王国軍にリクルートされ
意気揚々とバスを離れる。
写真
第一次世界大戦の元兵士
息子に会いに行くらしい頑固、
短気で古風な老人。
財布に金をたんまり持っている
が財布を落とす。
写真
ドイツびいきの紳士
ナチス信奉かは不明だが周囲の
人間を見下している。河に落ち
流されるが誰も助けない。のち
に下流岸に泳ぎ着き皆に加わる。
写真
田舎の猟師
乗客中、一番の喜劇を演じる役。
荒野の中、バス停でない理由で
乗せてもらえなかったり、猟銃
暴発で下車させられたりの男。
写真
肺結核の男
咳が多くハンカチを手放さない
乗客中一番に影が薄い男。
無口な弱者の代表か。
  
写真
駆け出しの歌手
オーディションのためオグラー
ドへ行く。女好きで色男ぶる。
花嫁に露骨にアプローチする。
  
写真
途中乗車の新婚夫婦
式後、白いベールのまま乗り込
んでくる。バス停に向かって荒
野を走る姿はエミール・クスト
リッツァ監督の映画を思い出す。
写真
新婚夫婦に付き添う坊主
セルビア正教会の僧だろう。
セリフは無い。
当地の宗教を考えさせるトリガ
ー役か。


0_20180826084408e00.jpg その日、セルビアの田舎の始発バス停から、7人の人々が、首都ベオグラードへ向かう一台のバスに乗ったのでありました。(よって本作はロードムービーであります)
 時は1941年、映画の舞台はユーゴスラビア王国(1918年~1941年)のセルビア。

 バスの乗客の客層はさまざまで、互いに知り合いはいませんでした。
 また、バスは個人経営のおんぼろバス(木炭ガスを燃料にして走る木炭自動車)で、オグラードへの道筋は、荒涼としたむき出しの大地をのろのろと抜け、次に緑豊かな河岸を走り、そしてベオグラードに近づく所でやっと石畳の舗装道路を走るのでした。
 それは一泊二日の、夕食付のバスの旅。(木炭ガスを作るドラム缶の釜で焼いたステーキと、パンと生のニラの夕食でした)
 映画は、ゆったりとした喜劇を、のろのろ走るバスに乗せて、乗客それぞれの可笑しさを珍道中として描きます。

 しかし、時は第二次世界大戦(1939年~1945年)最中の、1941年4月5日。
 そして、翌日4月6日は、ドイツ、イタリアを中心とする枢軸国軍とユーゴスラビアとの間で行われた戦争(ユーゴスラビア侵攻)が始まります。
 旅の二日目(4月6日)、ベオグラードに近づくころ、バスは避難する一台の馬車とすれ違います。
 その後、バスは何事もなくベオグラードに到着しましたが、その直後、街は激しい空襲を受けます。
 不幸にもバスは銃撃を受け、横転し激しく炎上してしまいます。
 それでも辛うじてロマ音楽の辻芸人2人が這い出してきましたが、ほかはたぶん全員焼死。
 バスの誰もが、セルビアの誰もが、このユーゴスラビア侵攻など思いもよらないことでありました。

 ロマの歌う辻音楽は、こちらから聴けます。
 https://www.youtube.com/watch?v=-CoL3VzunAc

 このふたりは唯一の生存者でありましたが、バス車中で乗客から差別的な扱いを受けました。
 それは第一次世界大戦の元兵士が財布を失くしたのですが、このふたりが盗んだ掏ったと暴行を受けます。
 ですが財布はバス昇降口の地面に落ちていました。これを拾ったのは、猟師でした。

オリジナルタイトル:Ko to Tamopeva|Who's Singin' Over There?|
監督:スロボダン・シャン|ユーゴスラビア|1980年|87分|
脚本:ドゥシャン・コバチェビッチ|撮影:ボジダル・ニコリッチ|音楽:ボイスラブ・コスティッチ|
出演:バスのオーナー(Pavle Vuisić)|駆け出しの歌手(Dragan Nikolić)|ドイツびいきの紳士(Danilo Stojković)|バス運転手(Aleksandar Berček)|花嫁(Neda Arnerić)|第一次世界大戦の元兵士(Mića Tomić)|田舎の猟師(Taško Načić)|結核おじさん(Boro Stjepanović)|花婿(Slavko Štimac)|ほか


下
















【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽

映画「ソナチネ」(1984) カナダ映画   監督:ミシュリーヌ・ランクト

上2
地下鉄の座席に座るルイゼットとシャンタル。
2人の後ろに見える手作りボードには、「誰かが止めない限り、私達は死にます」と書いてある。
<カナダ、モントリオールの地下鉄車内にて>



 高校生の女の子ふたりの心情を、詩情あふれる映像に乗せて描く映画です。
 そのふたりとは、シャンタルとルイゼット。

0_20180821235424fce.jpg 映画は、まず、シャンタルのことから語り始めます。
 雨上がりの夜、赤いテールライトを、濡れた道路に映して走る路線バス。
 わずかな乗客、ガランとした車内にシャンタルがヘッドホーンで音楽を聴きながら座っている。
 そのバスは、いつもの時刻の通い慣れたバスだから、シャンタルは馴染みになった運転手の男と会話を少し。
 それは、ほんのわずかなことだが、思いのほか、孤独なシャンタルの心を慰めた。
 男は穏やかそうな中年の運転手だが、運転中に時々、ポケット瓶のウィスキーを飲む、いささかヤンチャな男。

 ルイゼットは、夜の港に停泊中の外国航路の船に忍び込んだ。密航しようとしている。
 だが、ひとりの船員に見つかってしまう。
 外国人の彼は、だんまりのルイゼットに何やら話すが話が通じない。(ちなみに本作はカナダの仏語圏の映画)
 しかし、互いにたどたどしい会話が進む中で、ルイゼットはこの中年の船員の、何とも言えぬ優しい包容力に触れる。
 結局、彼に促されルイゼットは下船。港には、潮風と夜のしじまを突いて、どこかの船の汽笛が響き渡っていた。


2-0_2018082208025001e.jpg シャンタル、ルイゼットは共に、ヘッドホーンを欠かさない女の子。
 それは、音楽好きというよりも、自身のまわりの現実を遮断するかのよう。
 その一方で、「自身のまわりの現実」以外(つまりアウトサイダー)から差し伸べられる、いわば救いの手を、彼女たちは待ち望んでいる。そして「ここではない何処かへ」を望むかのよう。映画はそう語る。

 さて、映画はここにエピソードとして、モントリオールのバス地下鉄乗務員のストライキを盛り込んでくる。
 そのことによる影響のひとつ。
 シャンタルと馴染みの運転手はストライキに加わらず、結果、シャンタルの前から姿を消した。シャンタルの、なんとか保っていた心の安定が崩れ始める。
 ストライキによる影響のもうひとつ。
 地下鉄ストライキの突入は、映画ラストで、シャンタルとルイゼットの運命に斧を振り下ろすことになるのでした。

 繊細な映画なので、取扱注意です。
 

オリジナルタイトル:Sonatine
監督・脚本:ミシュリーヌ・ランクト|カナダ|1984年|91分|
撮影:ギイ・デュフォー|
出演:シャンタル(パスカル・ブスィエール)|ルイゼット(マルシア・ピロト)|バス運転手(ピエール・フォトー)|船員(クリメント・デンチェヴ)|バス運転手の妻(ポウリーヌ・ラポワント)|ルイゼットの両親(ピエール・ジャール、テレーズ・モランジュ)|ほか

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽



映画「超高速!参勤交代 リターンズ」   監督:本木克英

上

 まさに時代劇娯楽映画。
 よく出来てます。楽しんでください。

 「超高速!参勤交代」の続編だけど、これだけでも十分楽しめる。

 予告編でも観てみますか?
 https://www.youtube.com/watch?v=fpH3KJZdwmY

監督:本木克英|2016年|119分|
原作・脚本:土橋章宏|撮影:江原祥二|
出演:佐々木蔵之介(内藤政醇)|深田恭子(お咲)|伊原剛志(雲隠段蔵)|寺脇康文(荒木源八郎)|上地雄輔(秋山平吾)|知念侑李(鈴木吉之丞)|柄本時生(増田弘忠)|六角精児(今村清右衛門)|古田新太(大岡忠相)|近藤公園(瀬川安右衛門)|渡辺裕之(諸坂三太夫)|中尾明慶(森極蔵)|宍戸開(柳生幻道)|橋本じゅん(福田弥之助)|富田靖子(荒木富江)|大鶴義丹(与作)|舞羽美海(琴姫)|宍戸美和(公)|神戸浩茂(吉)|市川猿之助(徳川吉宗)|石橋蓮司(松平輝貞)|陣内孝則(松平信祝)|西村雅彦(相馬兼嗣)|

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽



1年前・3年前・5年前の8月、一夜一話。(2017年8月・2015年8月・2013年8月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-08-16 Thu 06:00:00
  • 映画
1年前の8月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の8月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2017年8月 Archive>

写真
「泣虫小僧」
監督:豊田四郎
林文夫、栗島すみ子
写真
「無花果の顔」
監督:桃井かおり
桃井かおり、山田花子
写真
「石合戦」
監督:若杉光夫
浜田光夫、山田五十鈴

写真
「大統領の理髪師」
監督:イム・チャンサン
韓国
写真
「オンリー・ラヴァーズ・
      レフト・アライヴ」

監督:ジム・ジャームッシュ|アメリカ
写真
「ラブゴーゴー」
監督:チェン・ユーシュン
台湾
写真
「ザ・ローリング・ストーンズ
      シャイン・ア・ライト」

監督:マーティン・スコセッシ|アメリカ
写真
「ギャラリー 欲望の画廊」
監督:ダンカン・ウォード
イギリス
写真
「ナック」
監督:リチャード・レスター
イギリス
写真
「抵抗(レジスタンス)死刑囚の手記より」
監督:ロベール・ブレッソン
フランス



3年前の8月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  3年前の8月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2015年8月 Archive)

写真
「雪国」
監督:豊田四郎
岸惠子、池部良
写真
「0.5ミリ」
監督:安藤桃子
安藤サクラ
写真
「草を刈る娘」 (思春の泉)
監督:中川信夫
左幸子、宇津井健
写真
「ベンヤメンタ学院」
監督:クエイ兄弟
イギリス
写真
「カー・ウォッシュ」
監督:マイケル・シュルツ
アメリカ
写真
「雪の轍」
監督:ヌリ・B・ジェイラン
トルコ
写真
「三文オペラ」
~映画音楽に魅せられて
ドイツ
写真
東南アジアの映画・特選
アジアに吹く風、アジアの匂い
    
写真
京都に行ってきた。
毎日最高気温37度の京都へ
    
写真
武満 徹・作曲「波の盆」
指揮:尾高忠明
東京フィルハーモニー交響楽団
写真
1970年代の日本の
ロック、フォークを振り返る。



5年前の8月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  5年前の8月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2013年8月 Archive)

写真
「火まつり」
監督:柳町光男
太地喜和子、北大路欣也
写真
「楽園」
監督:萩生田宏治
松尾れい子
写真
事件記者シリーズ
「真昼の恐怖」「仮面の脅威」
「姿なき狙撃者」
写真
「何が彼女をそうさせたか」
監督:鈴木重吉
高津慶子
写真
「しあわせのかおり」
監督:三原光尋
中谷美紀 、藤竜也
写真
「ソレイユのこどもたち」
監督:奥谷洋一郎
ドキュメンタリー映画
写真
「音曲の乱」
監督:林海象
佐野史郎、スカパラ、鰐淵晴子
写真
「チキン・ハート」
監督:清水浩   池内博之、
忌野清志郎、松尾スズキ
写真
「真夜中の虹」
監督:アキ・カウリスマキ
フィンランド
写真
「犬と女と刑老人」
監督:シェ・チン
中国
写真
「SUCK サック」
監督:ロブ・ステファニューク
カナダ
写真
「ダフト・パンク
     エレクトロマ」

イギリス
写真
「青の稲妻」
監督:ジャ・ジャンクー
中国
比叡山「山頂のひみつ」
その夏、京都の夜景を
独り占めしたことがある。


【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽


映画「譜めくりの女」   監督:ドゥニ・デルクール

下
譜めくりの女メラニーと、ピアニストのアリアーヌ   (デボラ・フランソワ、カトリーヌ・フロ)


 女が女に、10年経って仕掛け始めた復讐。ドラマは、じわじわ進む。

1-0_2018081410432895a.jpg 10年ほど前、2人は、ピアノコンクールに参加した「少女」と、大勢を審査する審査員の筆頭、「著名ピアニスト」というかたちで出会った。
 その時、著名ピアニストのアリアーヌが犯した罪は、少女メラニーの演奏中に、その演奏を真摯に聴こうとしなかったこと。(審査中にも関わらず審査室に、付き人がアリアーヌのブロマイドを持って入って来て、それにアリアーヌはファンから頼まれたサインをした)
 それを見てしまったメラニーは演奏を中断してしまう。集中力と緊張の糸が切れてしまった。幼いながらも音楽家としての自尊心を傷つけられた。
 しかし、アリアーヌはまったくの無意識であり、なぜメラニーが演奏を中断したのかの疑問もなく、ましてや自身が加害者であることを微塵にも思いよることはなかった。
 よって、アリアーヌはメラニー個人を認識することはなく、このことはその後、忘却の彼方に消えていった。
 しかし、精肉店の娘メラニーはコンクールに向けて、どれだけ懸命であったことか。メラニーの落胆は激しかった。この日をもってメラニーは自宅の小さなアップライト・ピアノに鍵をかけ、ピアニストへの道を封印してしまった。
 これが、復讐の起点であった。

2-0_201808141048106c2.jpg そして10年後、メラニーは就職できる歳になった。
 アリアーヌは今もピアニストだが、ある時、交通事故が発端で精神的に病み始め、一時引退したのち、最近復帰したてであった。
 精神的な病みとは不安症、安心できる付き添いがないと落ち着かない。これがメラニーとアリアーヌをふたたび出合わせた。

3-0_20180814105533635.jpg メラニーは、アリアーヌが夫と共に過ごすバカンスの間、住み込みで、その息子のお守り役(兼家政婦)として雇われた。(アリアーヌの住む家は貴族の館の豪邸だ)
 その後アリアーヌは、言葉にうまく表現できないが、何とも言えぬ相性の良さをメラニーに感じ始める。
 何が好感を誘うのか、それはメラニーのキリリとした清楚な風貌と、仕事を任せられるしっかりした安定感。これがアリアーヌの心のよりどころとなりはじめる。
 そんな折、アリアーヌはメラニーが譜面を読めることを知り、(館に住み込みで)練習時も含め、専属の「譜めくり」になってくれと頼んだ。(譜めくりは演奏家との相性があり、それ如何によって演奏の出来が変わってしまうらしい)
 これを聞いてメラニーは、心の奥底で、ほくそ笑む!
 ここへ至るために、メラニーが計画的に行動してきたことは、アリアーヌの夫が営む著名法律事務所に一般事務として就職し、アリアーヌの夫から信頼を得る働きをしてきたのであった。その結果、息子のお守り役となれたのだった。
 

4-0_20180814110435935.jpg いわゆるサスペンス的緊張感は薄いが、この映画の売りは、別なテイストで引き込まれていくところ。
 それは、メラニーの際立つ清楚さと時に見せる優しさ、その一方で、終始保つ無表情と復讐へのゆるがぬ意志。この混在が観る者を惑わせる。
 かつ映画のその語り口が、復讐の手法を、話が進む前に明かしている様でいて、そうでもないところ。
 さらには、ふたりの女の間に生まれる「信頼と愛」をていねいに描いていく。
 だから観る者は、ドラマが進むにつれ、一体どうするんだ?、復讐するの?と、いろいろ想像させられる。エンターテインメント!


 結局、その信頼と愛こそが、実は復讐の武器だった。
 メラニーは信頼を得るように振る舞い、その先で想定外だったが、アリアーヌのメラニーに対する愛の芽生えに出会い、これも利用する。
 そしてアリアーヌへの復讐のため、アリアーヌの夫もその息子も、そしてアリアーヌが属すピアノトリオのチェリストの男も利用され、みな犠牲となる。 
 陰湿と言えば陰湿だが、観ればわかるが意外とあっさりしている。エンターテインメント!
 その、あっさりさは、メラニー演ずる女優、デボラ・フランソワの起用によるのかもしれない。
 あとは観てのお楽しみ。

オリジナルタイトル:La Tourneuse De Pages
監督・脚本:ドゥニ・デルクール|フランス|2006年|85分|
撮影:ジェローム・ペイルブリュンヌ|
5-0_201808141108209b3.jpg出演:メラニー・プルヴォスト(デボラ・フランソワ)|アリアーヌ・フシェクール(カトリーヌ・フロ)|その夫ジャン・フシェクール(パスカル・グレゴリー)|トリオのバイオリニストの女性ヴィルジニー(クロティルド・モレ)|チェリストの男性ローラン(グザヴィエ・ドゥ・ギユボン)|メラニーの一人息子トリスタン・フシェクール(アントワーヌ・マルティンシウ)|メラニーの父(ジャック・ボナフェ)|メラニーの母(クリスティーヌ・シティ)|メラニーの少女時代(ジュリー・リシャレ)|ほか

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽



映画「リフ・ラフ」   監督:ケン・ローチ

上
スーザンとスティーヴ


1-0_20180810110304e21.jpg 題名の「リフ・ラフ」とは、「くずのようなヤツ」「ろくでなし」という意味で、底辺生活者を見くだし、さげすむ言葉。
 話は、工事現場でわずかな稼ぎを得る男と、歌の下手な歌手希望の女との、リフ・ラフな愛の物語。

 舞台はロンドン。
 主たるシーンのひとつは、古風な病院ビルを、超高級マンションに再生しようとする工事現場。(マンションのモデルルーム訪問客は運転手付きリムジンで乗りつけたアラブの富豪。工事現場の人間たちとはあまりに済む世界が違う)

 リフ・ラフな連中の仕事は、窓枠の取り外し、配管など病院設備の撤去という単純な力作業だ。
 彼らは、実にリフ・ラフでいい加減な働きだが、陽気。アフリカからの出稼ぎもいる。
 その中で、スティーヴという男は寡黙で真面目。これが主人公。以前、刑務所に入っていたらしい。ゆくゆくは店を持ちたい。
 スティーヴはこの現場で女物のバッグを見つけ、これが縁で持ち主のスーザンと出会うことになる。

 映画は恋愛話を進める一方で、この工事現場のシーンに重きを置く。リフ・ラフな労働者の墜落事故死を含め、結構ドキュメンタリー的な意味合いが強い。
 その様子は、工事下請け会社は現場の安全や雇用を配慮しないし、現場監督は終始彼らを見下し、その作業指示は誠にいい加減。

2-0_20180810110306314.jpg さて、二つ目の主たるシーンは、スティーヴが住む、といっても、不法に立ち入って勝手に住むアパートの空き室。家具など無い。
 スティーヴはここにスーザンを呼んでふたりの生活が始まる。
 スーザンはそれまで殺風景だった部屋をきれいに飾った。それは貧しいながらも幸せな毎日であった。
 ところが、スーザンは歌手への道が開けず精神的に追い詰められ、アパートにたむろする連中からヤクを買う。
 これを知ったスティーヴはスーザンに改心させようとするが受け入れられず別れる。スティーヴはかつて兄がヤクで人生と健康をふいにしたことを知っていた。

 話の顛末とラストシーンは観てのお楽しみですが、起承転結の結が尻切れトンボに感じるかも知れないが、これは手法。小説や漫画の物語や、音楽にもある表現方法。
 それと、英語が苦手な私には、下記のETC英会話の『映画「リフ・ラフ」でイギリス英語』の記述が気に入りました。
 http://aoki.com/etc/recommend/post_11953.html
 これによると、主人公スティーヴの話す英語はスコットランド英語やリバプール英語、そしてロンドン下町英語らしい。(映画はその違いを物語のメッセージとして送って来るのですが、字幕じゃ分からない)
 また当時のイギリスの事情も分かるんで、物語の理解に厚みができるかもしれない。

下
オリジナルタイトル:Riff Raff
監督:ケン・ローチ|イギリス|1991年|94分|
脚本:ビル・ジェシー|撮影:バリー・アクロイド|
出演:スティーヴ(ロバート・カーライル)|スーザン(エマー・マッコート)|コジョ(リチャード・ベルグレイヴ)|ラリー(リッキー・トムリンソン)|ジェイク(ピーター・マラン)|ほか

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽

映画「ふきげんな過去」  主演:二階堂ふみ、小泉今日子   監督:前田司郎

写真
左手前が果子、右の窓辺が未来子、奥が小学生のカナ  
店の二階の、果子の部屋にて











写真
高校生の果子

 青春期真っただ中にありがちな、ここ以外のどこかに憧れる、普通に不機嫌な女子高生、果子(二階堂ふみ)。
 映画は、この果子の家族を中心に、とりわけ「女達」について語ります。

0-1-0.jpg その語り口は、彼女たちの日々繰り返しの日常を縦糸に、またその日常の裏に隠し持つ、過去の非日常を横糸にして、まるでタペストリーを織りなす感じです。
 そして、そこから浮かび上がる模様、つまり、乾いた悲しみとでも言うべき宿命と、その不思議を映画は語ります。ですが、物語の根っこは喜劇と言っていいでしょう。

 果子のうちは、東京都品川区の端、運河や海近くの古い街にあって、向こうの先には再開発のオシャレな街、天王洲アイルの高層ビルが見える。
 家の稼業は「蓮月庵」という元蕎麦屋。店の名と店の造りそのままに、今はエジプト風の豆料理を売りにする呑み屋をしている。(レストランとは言えぬ古風な店内)
 店は、果子の祖母サチ(梅沢昌代)が女将で、果子の母親サトエ(兵藤公美)が手伝い、野村サンという外国人のおじさんが厨房を任されている。
 果子の父親タイチ(板尾創路)は毎日何もせず、夜は店の客に交じって飲んでいる。
 小学生女子のカナは、まるで果子の妹の様に、いつも果子のうちにいる。預かっているのだ。母親は近所の運河沿いのビルでスナックバーをやっている。

 ところで、この街には、運河にワニがいるという都市伝説がある。
 現に、運河に係留する船上で、銛(もり、漁具)を持ち、ワニの出現を待ち構える女の姿が見える。
 果子も、運河の岸にぼんやり立ち、この都市伝説を確認しようとしている。エレキギターを背負う男友達はそれを冷やかす。

0-2-0.jpg そんなこんなのある日突然、ひとりの女が店に現れた。
 それは、死んだはずだよの、果子の伯母の未来子(小泉今日子)、母親サトエの姉だった。
 祖母のサチもサトエも、びっくり!あんた、生きてたの! しかし果子は初対面。
 そしてその日から、未来子は家族同然に果子の部屋に居座ることになった。(その部屋は元は未来子の部屋だった)

 なぜ、死んだはずの未来子なのか。
 今からさかのぼること10数年前、未来子は北海道で爆破事件を起こし死亡が確認される、警察沙汰であった、のだ。
 その後、未来子はどうも、各地にて潜伏し今に至ったらしい。(政治運動の過激派じゃなく、何か謎の組織の一員らしいが映画は説明しません)

 未来子について、果子が知った事々。
 近所に住む義足のおじさんから聞いた話はこうだ。昔、未来子は地元のやくざの事務所を爆破しようとしたらしい、と。
 さらには、その事件のあと、当時の若き父親は未来子を追って北海道へ行ったとか・・。(近所の年配者らはみな知っている噂)
 そんなことを聞いた後、果子は、両親の寝室に父親と未来子がいるのを見てしまう。
 また、果子がよく行く喫茶店にいつもいる若い男(高良健吾)が、未来子と謎の行動を共にしているらしい。これは果子が男に会い、突き止めた事実。男はある組織の人間だと言う。

0-3-0.jpg こんな風に、果子は未来子の出現後、未来子についての切れ端を集めつなぎ合わせようとする。そして思う、未来子って何者?
 なぜか気になるが、果子は未来子とそりが合わない。同じ部屋にいること自体も嫌。
 ついに部屋で、果子と未来子は取っ組み合いの喧嘩になる。
 そして未来子が言った。「あんたはお父さんとアタシの子だよ」。そして果子がつぶやく。「そんな気がしてた・・」
 (映画はこの母子を、未来子と果子(かこ)と名付け、観客に話の解釈を投げてよこしているのです)

 さて、話のその先は観てのお楽しみですが・・、
 果子の母サトエは姉の未来子に「アタシの勝ちよ」と言い放ち、未来子は「そうよね」と言い返す。
 かたや、果子の祖母サチは煙草をふかしながら、娘の未来子に「出て行っておくれよ」と言い、そう言われて祖母の背に寄りかかり甘える未来子に、「アンタは昔から甘えるのが上手だね」。
 
 そうそう、運河にワニがいるという都市伝説は?、これも観てのお楽しみ。

監督・脚本:前田司郎|2016年|120分|
撮影:佐々木靖之|
出演:果子(二階堂ふみ)|果子の実母の未来子(小泉今日子)|果子の父親タイチ(板尾創路)|タイチの妻で、未来子の妹、かつ果子の養母のサトエ(兵藤公美)|未来子・サトエの母のサチ(梅沢昌代)|カナの母親レイ(黒川芽以)|レイの娘カナ(山田望叶)|謎の組織の男・康則(高良健吾)|野村さんと呼ばれる料理人(AHMAD ALI)|ほか
下
【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)

洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す

洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽










2年前・4年前・6年前の7月、一夜一話。(2016年7月・2014年7月・2012年7月の掲載記事です)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-07-31 Tue 06:00:00
  • 映画
2年前の7月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  2年前の7月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2016年7月 Archive

写真
「ピース オブ ケイク」
監督:田口トモロヲ
多部未華子、綾野剛
写真
「愛と希望の街」
監督:大島渚
藤川弘志、富永ユキ
写真
「特急にっぽん」
監督:川島雄三
フランキー堺、団令子
写真
「スライ・ストーン」
音楽ドキュメンタリー映画
オランダ
写真
「100歳の華麗なる冒険」
監督:F・ハーングレン
スウェーデン
写真
「鯨とり ナドヤカンダ」
監督:ペ・チャンホ
韓国
写真
「ボーダー・レディオ」
監督:A・アンダースほか
アメリカ
写真
「自由はパラダイス」
監督:セルゲイ・ボドロフ
ソ連
写真
「マラヴィータ」
監督:リュック・ベッソン
アメリカ R・デ・ニーロ
写真
<ア行> の洋画
これまでに記事にした洋画から。

4年前の7月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  4年前の7月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2014年7月 Archive

写真
「渋滞」
監督:黒土三男
萩原健一、黒木瞳
写真
「濡れた赫い糸」
監督:望月六郎
北村一輝、高岡早紀
写真
「みれん」
監督:千葉泰樹
池内淳子、仲谷昇
写真
「NINIFUNI」(ににふに)
監督:真利子哲也
ももいろクローバー
写真
「雁の寺」(がんのてら)
監督:川島雄三
若尾文子
写真
「サーカス」
監督:G・アラヴィンダン
インド
写真
「リダクテッド 真実の価値」
監督:ブライアン・デ・パルマ
アメリカ
写真
「ポケットの中の握り拳」
監督:マルコ・ベロッキオ
イタリア
写真
「グランド・ブダペスト・ホテル」
監督:ウェス・アンダーソン
イギリス
写真
京都・非観光ぶらり街歩き
寺町通、本能寺とか
そして土塁(御土居)
写真
最近読んだ本3冊

6年前の7月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  6年前の7月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2012年7月 Archive

写真
「サマータイムマシン・
        ブルース」

監督:本広克行 上野樹里
写真
「ハラがコレなんで」
監督:石井裕也
仲里依紗
写真
「ドキュメント灰野敬二」
監督:白尾一博
音楽ドキュメンタリー
写真
「屋根の上の赤い女」
監督:岡太地
山中崇、神農幸
写真
「水の花」
監督:木下雄介
寺島咲
写真
「もう頬づえはつかない」
監督:東陽一
桃井かおり
写真
京都 先斗町の一夜
お盆で帰っての、夏。
写真
「シチリア!シチリア!」
監督:G・トルナトーレ
イタリア
写真
「みんなのしらない
        センダック」

アメリカ
写真
「ブラザー・フロム・
    アナザー・プラネット」

アメリカ
写真
「パンチドランク・ラブ」
監督:P・T・アンダーソン
アメリカ
写真
「ラスト・ホリデイ」
監督:A・カラクーロフ
カザフスタン
写真
「イグジット・スルー・ザ・
      ギフトショップ」

監督:バンクシー  アメリカ
写真
「少女の髪どめ」
監督:マジッド・マジディ
イラン
写真
「越境者」
監督:ピエトロ・ジェルミ
イタリア


【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽


映画「浮草物語」 (1934) サイレント映画   監督:小津安二郎

上
信吉、おとき

1-0_201807281140526fe.jpg 各地を巡業する、旅の一座の座長・喜八と、20年前、興行先のこの町で生まれた喜八との愛を今も守り続ける おつね、そしてふたりの一粒種の信吉。
 だから、4年ぶりのこの夏、一座の面々と、この町の駅に降り立った喜八の心は、2人に会える喜びに満ちていた。
 
 芝居小屋(兼宿舎)に落ち着いた一行をあとにして、喜八(坂本武)は早速おつね(飯田蝶子)の家へ出かけようとする。 
 「よそ行きの着物を出してくれ」と喜八に言われた、一座の役者で喜八の今の女房のおたか(八雲理恵子)は、少し首をかしげるが、「土地の御ひいきさん方へ一寸ご挨拶に行ってくるんだ」

 さて、おつねは喜八を、4年の歳月が無かったかのように温かく迎える。学校から帰って来た信吉(三井秀男)はもう青年に成長していた。 (喜八はおつねを「かあやん」と親しみをこめて呼び、信吉には喜八を「おじさん」と呼ばせている。そう、父親は死んだことになっているのだ。だが喜八は仕送りを欠かさなかった。)

2-0_20180728114637d49.jpg ところで、興行のほうは順調ではなかった。
 長雨で公演が中止になるさ中、ことは一座のベテランがふと漏らした一言を、おたかが聞いてしまったことに始まる。
 それはこうだった。
 ある若い役者が言った「雨に降り籠められて俺たちは金も無く、ここでごろごろしているのに、座長は毎日飲みに出ている」
 これを受けてベテラン役者がつい口をすべらせた「そりゃ、この地に来たら仕方がねえよ」
 「お前さん、いま妙なこと言ったね。何かわけがありそうじゃないか」と、おたかが突っ込んだ。
 おたかは、おつねのことを知らなかったのだ。 

 話はここから急変する。
 おたかは嫉妬から、おつねの家へ押し掛けた。二階から降りてきた喜八は おたかと対面し、おたかを打って追い出し、二度とこの家の敷居をまたぐんじゃねぇ、お前とは金輪際、縁切りだと言い放つ。
 恨んだ おたかは、ことの次第をまったく知らない一座の役者、可愛い おとき(坪内美子)を説き伏せ、おときの色気で喜八の実子・信吉を口説くよう、金を握らせ言い聞かせた。
 
 だが、結果は思わぬことに。
 おときと信吉は、相思相愛になってしまう。
 これに気付いた喜八は、おとき、おたかを呼びつけ打った。おたかは言う、これでお互い様さ。

 喜八に不幸が続く。降り続く長雨は喜八一座を打ちのめし、一座は解散となった。舞台衣装をすべて売ったが、その金額は役者たちのそれぞれの旅費にしかならなかった。
 喜八はおつねの家へ行く。おつねはこの家で家族三人過ごそうと言う。口にこそ出さないが喜八もそういう思いでここへ来たのだ。
 そこへ、信吉と おときがどこかから一緒に帰って来た。
 これを見て喜八はおときを打つ。何様と思ってるんだと。
 だが、おときを殴る喜八の手を信吉が止めた。お前はおっかさんの心配がわからないのかと、喜八はこんどは信吉を打った。もみ合う2人の間に入った おつねが、ついに言った。この人がお前の本当の父さんだよ。
 そして信吉が言った。父親なら、20年も妻子をほったらかしにして置くわけがない、と。

 この一言が喜八の心を決めた。また、旅に出るよ。
 そして家を出る間際に、喜八は おつねに言った。骨折りついでに、この おときの面倒もみてくれ。うなずく、おつね。

3-1_20180728115123d56.jpg 夜、駅舎に着いた喜八は、ひとりポツンといる、どこ行くあてもない おたかに出会う。
 そおして、ふたりは無言のまま、夜汽車に乗ったのでした。
 
             
 
 喜八一座が4年ぶりに来た町、おつねが喜八を待つ町は、中山道は奈良井の宿です。
 一座を駅で迎え待つ芝居小屋の男に、駅員は言います。「また何かかかるのかい」「芝居だよ 市川喜八一座だよ」
 芝居だよ、と言ったのはたぶん、芝居小屋に映画もかかる1930年代の時代になったからでしょうか。
 床屋のシーンがあります。店の女将は「喜八は若い時、いい男だったよ」これを聴く床屋の主人は、いまだにやきもちを妬くのです。20年前の当時のそんな中で、おつねは喜八をものにしたのでしょう。
 人種が違うと、喜八は旅芸人の おたかや おときに言います。これから偉い人になる信吉と比べてのことです。
 喜八は おつねと暮らしたいのですが、人種が違う自分が父として信吉と一緒にいては信吉がダメになってしまうと思っています。
 ですが、信吉は おときと一緒になるという。これを許したのは、幼いころから おときを見てきた喜八が、おときの人柄を認めたからでしょう。そして自分はこの町を去ります。
4-1_20180728115250761.jpg 「かまわないから もっと大きいのをすえておやりよ」と、喜八に灸をすえてやっている おときに おたかが言います。奈良井の芝居小屋についてすぐのことでした。このシーンは、あとの展開を暗示させています。
 同じく暗示させるシーンに、長雨で公演が中止になる中で、「こりゃ、高崎の二の舞だ」という一座の役者が言うセリフがありました。ここでは観客は何のことだかわかりませんが、あとで分かります。
 おたかと縁を切ると言った喜八に、おたかが恩を忘れたのかと言い返すシーンで、分かるのですが、高崎で雨で興行ができなくて金に窮した一座のために、おたかが高崎の地場の旦那衆に頭を下げて、金の工面をしたようです。
 これらのように、本作はサイレント(無声)映画でありながら、内容はとても豊かで緻密に出来上がっているようです。また時に喜劇的な味も添えています。

下0
監督:小津安二郎|1934年|118分|
原作:ジェームス・槇(小津のペンネーム)|脚本:池田忠雄|撮影:茂原英朗|
出演:喜八(坂本武)|おつね(飯田蝶子)|信吉(三井秀男)|おたか(八雲理恵子)|おとき(坪内美子)|とっさん(谷麗光)|その子富坊(突貫小僧)|吉ちゃん(西村青児)|マア公(山田長正)|下廻り(油井宗信)|古道具屋(懸秀介)|床屋のかみさん(青山万里子)|ほか

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽

映画「雨上がりの駅で」  監督:ピーター・デルモンテ

上












 ローマに住む、人よりとても多感な女の子コラが、ある老人の気ままな外出(認知症による徘徊)を見守ることになり、これが2人の小旅行となったロードムービーな、お話。

 老人の名は、コジモ(ミシェル・ピコリ)といって元大学教授。とても真面目で無口な人。
 19歳のコラ(アーシア・アルジェント)は、以前からコジモの娘のアダ夫人に雇われて、犬の散歩のアルバイトをしていたが、ある日夫人から「父コジモの外出に付いて行って、そっと後ろから見守ってくれ」と頼まれ、携帯電話を渡された。(アダ夫妻は共稼ぎで父の面倒が見切れない)

 コラは夜は大きなバーでバイトをしていたが、多分バイト料がバーより良かったんだろう、次第にコラはアダ夫人からのバイトに専念しだし、ローマの街を歩き回るコジモ老人の後を追うことが日課となっていった。

1-0_201807252021574f8.jpg そんなある日の朝、コジモ老人は駅に向かい切符を買い列車に乗った。慌てたコラは無賃乗車。(手元に金がない)
 ここから、コラとコジモ老人との、付かず離れずの道中が始まる。
 コジモ老人は途中駅で列車を乗り換えローカル線へと進む。コラはアダ夫人へ携帯電話で連絡をとりつつ後を追う。
 今度は列車を降りて歩き出す。ホテルに宿泊するかと思ったら、その夜に出て行ってしまう。コラは振り回される。 

2-0_20180725202344ceb.jpg コジモ老人はある目的を持って行き先を決めているようだが、何かのタイミングでそれを忘れてしまい、また別の行動をとる。
 時をみてコラは無口な老人に少し話しかけ始めるが、老人はコラを忘れてしまう。
 それでも少しずつ、2人の間にあうんとでも言うべき意が通じ合い、そろって歩き始めるのだった。

 映画は老人とコラを対象的に描く。
 認知症のこの老人は、常識を逸脱はするが、何物にもとらわれない自由人。
 一方のコラは世間との関係を煩わしく思い、周りとの関係をぎすぎすさせている女の子。傷つきたくないと自分の心に厚いガードをかけている。
 だがコラは次第に、ほんの少しだがコジモ老人が発するオーラとでもいうべきものに影響されてか、心が穏やかになっていくようでありました。
 
 エピソードには、コラの突発的な入水自殺(未遂)や、何かの精神的ダメージから立ち直ろうとする田舎住まいのコラの兄(兄もコジモ老人に会い彼を見捨てておけなくなる)、それとアダ夫人の夫の浮気、この3つの話題が挿入されています。
 これまでに何回か観てますが、今回も最後まで観てしまいました。そういう映画です。

オリジナルタイトル:Compagna di Viaggio
監督:ピーター・デルモンテ|イタリア|1996年|104分|
原案:ピーター・デルモンテ、マリオ・フルツナート|脚本:ピーター・デルモンテ、グローリア・マラテスタ、クラウディア・スバリジャ|撮影:ジュゼッペ・ランチ|
出演:コラ(アーシア・アルジェント)|コジモ老人(ミシェル・ピッコリ)|アダ夫人(シルヴィア・コーエン)|ほか

【 一夜一話の 歩き方 】
下2
最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)

洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽



一夜一話の “今日は1946年のジャズボーカルだよ”  サラ・ヴォーン

1




 今日は何か、シットリしたのが聴きたくて、若きサラ・ヴォーンの「The Divine Sarah ~the early years」というアルバムを取り上げた。(1946~47年録音)

 さっそくに、おすすめの「I Can Make You Love Me If You'll Let Me」を聴いてみよう。
 https://www.youtube.com/watch?v=QkjCDmnd5W4
 どうです、ラグジュアリーなムード満点。落ち着きます。

 この歌くらいのテンポの曲が、このレコードの大半ですが、次の「My Kinda Love」は少しリズミカル。
 https://www.youtube.com/watch?v=A215A5ypvSs

 そして「I Am Through With Love 」も、いい曲です。
 https://www.youtube.com/watch?v=oMfPIsYZBrE
 ビリー・ホリデー?、なんて間違っても言わないでね。

 おすすめのラストは「Body&Soul」、これもいい曲だな!
 https://www.youtube.com/watch?v=vUCo1kS7SrA

 古いのは聴かないって、損するよ。


「The Divine Sarah ~the early years」  MUSICRAFT RECORDS 1980
 <A面>If You Could See Me Now|I Can Make You Love Me If You'll Let Me|You're Not The Kind |My Kinda Love |I've Got A Crush On You |I Am Through With Love |Everything I Have Is Yours|
 <B面>Body And Soul|I Cover The Waterfront|I Don't Stand A Ghost Of A Chance With You|Tenderly|Don't Blame Me|The Lord's Prayer|Motherless Child|

これまでに掲載したポピュラー音楽の記事は、こちらから



映画「アメリカン・ビューティー」  監督:サム・メンデス

上2
バーナム一家の朝の出勤通学。高校生の娘ジェーン、父親バーナム、母親キャロリン。


 アメリカの中流の人々の不幸せと、わずかな希望を描く映画。
 高校生の一人娘がいるバーナム家の家庭内不和を題材に、娘の女友達アンジェラと、バーナム家の隣に越して来た、さらに家族バラバラの一家とが、引き金になって始まる「愛と悲劇」を、喜劇風に描きます。

1-0_20180720135558bc5.jpg 主人公は、高校生の娘がいる中年夫婦の夫、レスター・バーナム。
 このレスターのモノローグで映画は始まる。

 僕はレスター、今年42歳。1年経たぬうちに僕は死ぬ。
 だが、今はそんなことを知らない。
 しかし、ある意味で僕はもう死んでいた。見てくれ、僕は朝からバスルームで(息子を)シゴいてる。これが一日で最高の時、あとは地獄へ一直線だ。
 庭でバラの花を切っている、あれが妻のキャロリン。彼女を見てるだけで疲れてくる。昔は幸せな夫婦だった
 これが一人娘のジェーン。典型的なティーンエージャー(高校生)。怒りに満ち情緒的不安と混乱の青春。(親と口をきかない)
 2人とも僕を人生の敗残者だと思っている。
 それは正しい。僕は何かを失った。何を?と聞かれると困るが、昔はこんなじゃなかった。
 とにかく、この脱力感から抜け出せないでいる。しかし今からでも元に戻れる・・。

2-0_20180720141847b86.jpg 家庭内不和がマンネリ化している、言い換えればそれぞれの不幸が均衡状態にあるバーナム家に、次々に出来事が起こる。

 レスターがクビになる。人員整理だ。開き直ったレスターは、幹部の不倫スキャンダルなどを盾に会社からまとまった金を手にした。
 同時進行で、レスターは娘の女友達アンジェラに一目惚れ。これを激しく嫌がる娘のジェーン。しかし、当のアンジェラはそうでもない。
 レスターの妻キャロリンは、勤め先の不動産販売の競合会社社長バディと恋仲に。バディは妻と離婚訴訟中。
 このふたりのデートの現場に、偶然にレスターは遭遇する。レスターがバイトを始めたハンバーガーショップ(ドライブイン店)に客としてきたのだった。


3-0_2018072014314654e.jpg 隣家に越して来たフィッツ家の主は、元海兵大佐の硬派。息子を愛するあまり虐待をしてきた。
 この息子のリッキーはジェーンを盗撮している。彼はジェーンやアンジェラが通う同じ高校の高校生。そして裏で麻薬・マリファナの売人をして稼いでいる。
 アンジェラは変人リッキーを毛嫌いするが、ジェーンはそうでもない。
 レスターは、リッキーが提供した最高級のマリファナが縁でお友達となった。

 この一見散らかったエピソードが徐々に一点に収束し始める。
 その一点を作ったのがフィッツ大佐だった。
 我が息子リッキーが、レスターの家でレスターと和んでいるのを窓越しに盗み見したフィッツ大佐は、ふたりがゲイの関係だと勘違いしてしまった。
 そこまではそれでよかった。がしかし、フィッツ大佐は長年隠し通して来た、その一線を越えてしまう。
 雨降る夜、フィッツ大佐はガレージにいるレスターにやおら近づき、不意にキスをした。驚くレスター。
 フィッツ大佐も驚きを隠せずに家に戻った。(レスターはゲイじゃなかった)
 そしてフィッツ大佐は自身の秘密を消すべく、即、行動に出た・・。

 銃声を聞いたレスターの妻キャロリンが駆け付けた。不倫をしてしまったキャロリンは悔いて、家に戻れず家の前に駐車した車の中にいたのだった。
 同時にジェーンとリッキーが駆け付けた。ふたりはジェーンの部屋にいた。この夜、ふたりは駆け落ちを決めていたのだった。

オリジナルタイトル:American Beauty
監督:サム・メンデス|アメリカ|1999年|122分|
脚本:アラン・ポール|撮影:コンラッド・L・ホール|
出演:レスター(ケヴィン・スペイシー)|その妻キャロリン(アネット・ベニング )|娘ジェーン(ゾーラ・バーチ)|娘の友達アンジェラ(ミーナ・スヴァーリ)| 隣りに越して来たフィッツ大佐(クリス・クーパー)|その息子リッキー(ウェス・ベントリー)|不動産会社社長バディ(ピーター・ギャラガー)|ほか

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽




一夜一話の “今日はロックのライブだよ”  オールマン・ブラザーズ・バンド

1_20180718101609836.jpg




 今日選んだのは、オールマン・ブラザーズ・バンドの1971年のライブアルバム、「フィルモア・イースト・ライヴ」(原題:At Fillmore East)。
 なかでも、アルバム1曲目の「Statesboro Blues」を聴いとくれ。
 https://www.youtube.com/watch?v=dWy3Q30Cn2A

 この曲、当時から聴いてるが、やはりガツンと来るこの、わくわく感・爽快感が抜群。
 のびのび縦横無尽のスライドギター、ガッツあるボーカル、よろし。
 もし、内にモヤモヤしたのを抱えてるなら、吹き飛ばしてくれる。
 とにかくライブコンサートの臨場感が満喫できるアルバムです。

 この曲のライブ録音は、例えば「American University 12/13/70」や「Live at the Atlanta International Pop Festival」(1970)なんかでも聴けるが、出来は「フィルモア・イースト・ライヴ」の方に軍配は上がる。
 でも、ライブにしちゃ演奏がちょっとまとまりすぎるかな、と思う向きには、この2枚がいいかも。

 「フィルモア・イースト・ライヴ」には7曲収録されている。
 試聴は下記からできます。
 https://www.bol.com/nl/p/the-allman-brothers-band-at-fillmore-east/1000004000061065/
 元気あるブルース、ムーディーなブルースから、ちょいと浮遊感ある曲まで曲想は豊か。
 デュアン・オールマンのスライドギターが表看板だが、グレッグ・オールマンのオルガンが持ち歌の多彩さを作り出している。


「The Allman Brothers at Fillmore East」
1. Statesboro Blues| 2. Done Somebody Wrong| 3. Storm Monday| 4. You Don't Love Me| 5. Hot 'Lanta| 6. In Memory Of Elizabeth Reed| 7. Whipping Post|

これまでに掲載したポピュラー音楽の記事は、こちらから


映画「幸福(しあわせ)」   監督:アニエス・ヴァルダ

上2










 夫婦の幸せ、我が子がいる幸せ、そして、めぐりあわせが良い幸せを描く映画です。
 
 万が一、不幸に見舞われても、その悲しみの深みに沈みこまぬうちに、新たな幸せが向こうからやって来るという運の人がいる。
 言い換えれば、悲痛に生きる人がいる一方で、楽しくうまく生きる人がいる、そんな人の明るい幸せを描いていきます。
 あわせて、相手の幸せを壊さない寛大な心の持ちようが話をつなぎます。

1-0_20180715113543228.jpg




 フランソワとテレーズの若夫婦には可愛い子がふたりいる。
 町の木工所に務めるフランソワ、自宅でドレス縫製の注文を受けるテレーズ。
 豊かではないが何の不自由もない、絵に描いたような、幸せな家庭。

2-0_20180715142010a40.jpg


 そんななのに、フランソワはエミリーと出会い、この2人は一瞬にして互いに一目惚れ、デートを重ねる。
 この愛人エミリーを前にしてフランソワは、愛妻テレーズとの幸せを語り、エミリーはそれを恨まず離婚してとも言わず、フランソワの家庭の今の幸せを十分承知している。



3-0_20180715142348044.jpg そんなある日、フランソワとテレーズは我が子を連れて、大きな池のある緑地にピクニックに出かけた。
 そこでフランソワは、愛人の事を打ち明けた。
 フランソワは妻の反撃を身構えたが、意外にも、「あなたが幸せならそれでいい」と、テレーズは言った。安心した“幸せフランソワ”は、妻の膝枕でちょっと昼寝をした。
 しばらくして目覚めたフランソワは妻の姿がないのを知る。子たちを連れて緑地のあちこちを探すが妻を見つけられない。

 そして池から妻の水死体が上がる。自殺だろうか、映画は池の水面に垂れ下がる木の枝にしがみつこうとする溺れるテレーズの映像を一瞬みせる。事故かもしれない。

 葬儀が終り、フランソワは残された幼い娘・息子との寂しい生活が始まる。
 しかし、親戚がこの父子を温かく見守り助けてくれる。

 そんな折、フランソワは子供を連れてのピクニックに、エミリーを誘った。
 そしていつしかエミリーは、フランソワの家の、一つ屋根の下で妻として母として暮らし始めるのであった。

 この映画は、まるで何事もなかったかのように「幸福」を享受する“幸せフランソワ”についての、寓話なのかもしれない。

オリジナルタイトル:Le Bonheur
監督・脚本・台詞:アニエス・ヴァルダ|フランス|1964年|80分|
撮影:ジャン・ラビエ、クロード・ボーソレイユ|挿入音楽作曲:モーツァルト|
出演:フランソワ(ジャン=クロード・ドルオー)|その妻テレーズ(クレール・ドルオー)|息子ピエロ(オリヴィエ・ドルオー)|娘ジズー(サンドリーヌ・ドルオー)|愛人エミリー(マリー=フランス・ボワイエ)|ポール(ポール・ヴェキアリ)|ほか

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽

1年前・3年前・5年前の7月、一夜一話。(2017年7月・2015年7月・2013年7月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-07-15 Sun 06:00:00
  • 映画
1年前の7月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の7月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2017年7月 Archive>

写真
「飢餓海峡」
監督:内田吐夢
三國連太郎,伴淳三郎,左幸子
写真
「プープーの物語」
監督:渡邉謙作
上原さくら、松尾れい子
写真
「ジヌよさらば かむろば村へ」
監督:松尾スズキ
松田龍平,阿部サダヲ,松たか子
写真
「故郷」
監督:山田洋次
倍賞千恵子,井川比佐志,笠智衆

写真
「フローズン・リバー」
監督:コートニー・ハント
アメリカ
写真
「チャップリンからの贈りもの」
監督:グザヴィエ・ボーヴォワ
フランス
写真
「アデル、ブルーは熱い色」
監督:アブデラティフ・ケシシュ
フランス
写真
「初恋のアルバム 人魚姫のいた島」
監督:パク・フンシク
韓国

写真
CD紹介
“今日はスタンダード・ナンバー
の名曲だよ“ 小野リサ
写真
CD紹介
“今日はジャズピアノトリオだよ“
ユリ・ケイン
写真
CD紹介
“今日はシカゴ・ブルースだよ”
ココ・テイラー



3年前の7月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  3年前の7月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。(2015年7月 Archive)

写真
「心中天網島」
監督:篠田正浩
岩下志麻、中村吉右衛門
写真
「クレージーの大爆発」
監督:古澤憲吾
植木等、ハナ肇、谷啓
写真
「百円の恋」
監督:武正晴
安藤サクラ
写真
「ジ、エクストリーム、
        スキヤキ」
監督:前田司郎
写真
岸部一徳の出演映画
教祖誕生、Beautiful Sunday
いつか読書する日、他
写真
「8 1/2」
監督:フェデリコ・
     フェリーニ
写真
「キャデラック・レコード
音楽でアメリカを変えた人々
         の物語」
写真
フランス映画、1960年代。
      いい映画14本。
小さな兵隊、ラ・ジュテ、他
写真
「ドイツ零年」
監督:ロベルト・
     ロッセリーニ
写真
「宇宙人ポール」
監督:グレッグ・モットーラ
アメリカ
写真
最近読んだ本、3冊
写真
福島 高湯温泉に行ってきた


5年前の7月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  5年前の7月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。(2013年7月 Archive)

写真
「珍品堂主人」
監督:豊田四郎
淡島千景、森繁久彌
写真
「兄貴の恋人」
監督:森谷司郎
内藤洋子、酒井和歌子
写真
「ロボジー」
監督:矢口史靖
ミッキー・カーチス
写真
「狐と狸」
監督:千葉泰樹
加東大介、小林桂樹ほか
写真
「大阪ストーリー」
大阪の在日韓国人一家の
ドキュメンタリー映画
写真
「乙女ごころ三人姉妹」
監督:成瀬巳喜男
細川ちか子、堤真佐子
写真
「あの夏、いちばん
       静かな海」

監督:北野武
写真
「ツレがうつになりまして」
監督:佐々部清
宮崎あおい、堺雅人
写真
「事件記者」
監督:山崎徳次郎
シリーズ映画10本の第一作
写真
映画ピックアップ
「女が、自分の道を歩む時」
邦画/洋画18本
写真
「マーサの幸せレシピ」
監督:S・ネットルベック
ドイツ
写真
「夜霧の恋人たち」
監督:F・トリュフォー
フランス
写真
「スタンリーのお弁当箱」
監督:アモール・グプテ
インド
写真
「愛おしき隣人」
監督:ロイ・アンダーソン
スウェーデン

一夜一話の “今日はネオ・クラシック・ソウルだよ”  レデシー (Ledisi)

1_20180710111522f18.jpg





 レデシーの1stアルバム(だと思う)
 すごくかっこいいのです。アルバムタイトルは「Soulsinger」(2001年)。
 ネオ・クラシック・ソウルというまわりくどい売り文句ですが、21世紀のソウルサウンドだよ!
 
 バックはドラムとベースにキーボードにギターに女性バックコーラス。
 曲によってはサックスが入る。
 まずは聴いてみて。(曲は「Soulsinger」)
 https://www.youtube.com/watch?v=9H1DB-v6gtU
 どうです、キビキビした歌声がいいでしょ。
 続けて聴けるのが、「Get Outta My Kitchen」、「Take Time」、「You Are My Friend」。(ただし「Soulsinger」以外は、URLクリックのたびに流れる曲が変わります、2nd以降の他のアルバム曲も流れるので要注意。)

 のちのレデシーと比べると、本アルバムでは声が若いですが、これがサラッとしていて、初々しくていい。ソウル的発声がまだまだとも言えるけど、これがいい。
 それと、ベースとドラムのセンスが抜群に良い。ベースはアコースティックベースもやる。(リズムセクションがちゃんと聴こえるワイドレンジな環境で聴いて欲しい)

 そしてキーボードに注目。こいつ、歌伴(歌の伴奏)の才能が最高密度で素晴らしい!
 エレクトリックピアノ(フェンダーローズ)に、押し潰したようなクラビネット・サウンドが、レデシーを支えてます。
 そのプレーは控えめだが、ココっ!というタイミングで短いフレーズが繰り出される。そのうえ、そのフレーズは強弱が効いていて、その一音が強、これがグッと来るのです。
 またmajor 7thのコードを奏でるフェンダーローズでは、ストリングスサウンドの世界を作り出す。
 女性コーラスのアレンジも巧い。レデシーのボーカルと絶妙に絡んでくる。

 ただ、残念なのは、このアルバムは再発されてないこと。掛け値なしに名盤なのにね。
 なお、4曲目、9曲目は下のリンクから聴けますが、上記のトラックに比べてちょっと劣る。


「Soulsinger」
1. Get Outta My Kitchen| 2. Soulsinger| 3. Take Time|
4. Stop Livin'In Ya Head (https://www.youtube.com/watch?v=yWcR0i1AuSo)|
5. Coffee| 6. You Are My Friend| 7. Hotel| 8. Dreaming Interlude|
9. Free Again (https://www.youtube.com/watch?v=IQs32QoDOQo)|
10. Groove On| 11. I Want'cha Babe| 12. I Want'cha Babe - Interlude| 13. Papa Loved To Love Me| 14. In My Life| 15. My Prayers| 16. Good Lovin'| 17. Snoring|

これまでに掲載したポピュラー音楽の記事は、こちらから


映画「我が家は楽し」(1951)  監督:中村登  出演:高峰秀子、笠智衆、山田五十鈴

上2
(左から)次女信子18歳(岸恵子)、長女朋子(高峰秀子)、三女光子、長男和男、
父・植村孝作(笠智衆)、母・なみ子(山田五十鈴)



 日本は、まだ連合国軍占領下(1945-1952)。
 戦後の混乱期をなんとか抜け出し、経済復興の糸口をつかもうとする1951年(昭和26年)のお話。
 人々はみな、一応に貧しかった。

 それでも植村の一家6人は幸せだ。
1_20180706171057b87.jpg 父親の植村孝作(笠智衆)は森永製菓の工場勤務の課長。仕事の出来るほうの人物ではないが実直で人当たりはいい。
 忘れ物の多い父さんだが、その穏やかな性格は一家のムードメーカーであり大黒柱。
 母親のなみ子(山田五十鈴)は良妻賢母、17歳で結婚し今年が結婚25周年。
 子供の病気や修学旅行費用などの出費で家計は赤字、母親はミシン仕事で家計を助けている。
 それでも家族の服も靴も雨傘も新調できずだが、家族はみな明るく我慢している。
 だが、お米が足りない。夕食の一家団らんの時、母親は、夫と子たちにはご飯をすすめ、自分はパンを食べてしのいでいる。(戦後の食糧不足は緩和されつつはあったが・・)
 そして、母親の奥の手は質屋であった。

 子供は4人一男三女。みな親思い、姉弟仲良し。
 次女の信子(岸恵子デビュー作)は18歳、高3で修学旅行目前。(戦時中途絶えていた修学旅行の再開まもなくの頃)
 長男は野球好きな小学生、三女はまだ幼子。
 さて、長女の朋子(高峰秀子)は無職、画家を目指している。
 朋子自身も就職を考え、叔母からも就職をすすめられているが、母親は絵の勉強をしなさいと言う。実は母親は若いころ画家を志していた。その叶わなかった夢を娘に託したい。(そして実際のところ、女性の勤め先はなかなか無い時代)

4_2018070619251916f.jpg 映画はこうして当時の、貧しいながらも、こうあれ、こうあってほしい理想の家族像を描くが、不幸も交える。
 朋子の絵の絵画展落選。朋子の彼氏内田三郎(佐田啓二)の結核による死亡(当時、疾患別死亡者数の順位で、結核は1位か2位と高い)
 父親の勤続25年の、永年勤続報奨金を、表彰の日の帰りにすられる。(ただし子たちへのプレゼントを買った残金だった。三女の玩具のピアノ、次女の旅行バッグ、長男のグローブ、長女へは敬愛する著名画家の画集)

 そして一番の困難は、この一家が住んでいる借家を追い出されることになったこと。(当時、手ごろな借家物件はとても少ない)
 だが、日ごろ行いの良い者は救われる。(のかも知れない)
3_201807061949200ed.jpg 叔母(なみ子の妹)の家に同居を許され一家が引っ越しする前日、一家と手伝いに来ていた叔母が、最後の夕食をとっていた時に、その朗報が届いた。

             

 この植村家は世田谷区か大田区辺りの私鉄沿線に住む、貧しいとはいえ、当時の中流層だろう。(植村家の家の向かいの洋館邸宅のレンガ塀が壊れているのは空襲によるだろうから、東京郊外ではなくて近郊と見た)
 一方、当時の都内の底辺の人々の戦後生活はどうだったろうか?
 それは、今井正監督の「どっこい生きてる」を観るのがいいかもしれない。映画「どっこい生きてる」の記事はこちらからどうぞ。

監督:中村登|1951年|91分|
原案:田中澄江|脚本:柳井隆雄、田中澄江|撮影:厚田雄春|
出演:植村孝作(笠智衆)|その妻なみ子(山田五十鈴)|朋子(高峰秀子)|信子(岸恵子)|和男(岡本克政)|光子(福井和子)|朋子の彼氏・内田三郎(佐田啓二)|なみ子の妹・福田かよ子(桜むつ子)|洋館邸宅に一人住む金沢老人(高堂国典)|朋子の画家仲間・小泉千代(楠田薫)|朋子が敬愛する大宮画伯(青山杉作)|勤め人で家主の馬場信太郎(増田順二)|その妻・夏子(水上令子)|叔母の紹介で朋子が務めた土建屋の社長(南進一郎)|永年表彰する森永製菓の社長(奈良真養)|ほか

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

ポピュラー音楽!!  クラシック音楽





映画「ケンとカズ」  監督:小路紘史

上
ケン(左)とカズ。


01-_20180701130306c6d.jpg ケンとカズの友情を描く、リアルで硬派な映画。
 べたべたした仲間付き合いではない2人は、いつも互いに、最低限の事しか言わない。

 2人は町工場のしがない自動車修理工だ。
 そんな日常の裏で、通りの陰で待つ男達に、2人は覚せい剤を売りに行く。
 ケン(カトウシンスケ)の先輩・藤堂は小さな組の組長で、この藤堂の誘いでケンはいつしか覚せい剤を売るようになった。

 カズ(毎熊克哉)はケンより、切れやすい。
 ケンの誘いでカズはここで修理工になったが、時折、工場長の胸ぐらつかんで脅すほどの剣幕。
 覚せい剤の客がカズに、カズの気に障ることを言おうものなら、客はぼこぼこにされる。やりすぎだと言ってそれを止めるのがケン。
 ケンとカズが、藤堂の島をうろつくヤクザを襲撃する時も、カズは抑えがきかない。

2-0_201807011304265b4.jpg 今じゃ、覚せい剤商売に付いちゃ、カズの方が主導権を握っている。(カズはもはや修理工の仕事に興味がない)
 カズは考える。藤堂との商売じゃ、せこせこ働いてもタカが知れてる。(藤堂に対して売上げ金をごまかしているようだ)
 カズは一歩踏み込む。極秘に、藤堂と争う、藤堂より大きな組から覚せい剤を仕入れようとする。

 ケンはそんなカズの行動に一応は付き合うものの、「やりすぎだ、俺はやらない、ひとりでやれ」とケンはカズに言う。
 カズは本気だ。互いに、いつもの口数の少なさが、沈黙に変わる。
 裏の世界は狭い。藤堂も敵対組も、カズとケンの行動を見ている。

 ある日、2人は殴り合いになる、口より先に手が出る。殴り殴ったあと、また互いに無口になり、ケンはその場から去って行った。


3-0_20180701130954a56.jpg ケンは早紀(飯島珠奈)と住んでいる。早紀は妊娠している。
 ケンの様子の変化を敏感に察した早紀は、我が子を思い心配だ。
 そして、ケンがカズについて行けなくなったのは、ケンが家庭を思うようになったからだ。

 カズは母親(神保明子)と住んでいる。
 その昔、母親は、幼いカズを虐待し続けた。
 しかし、「カズ、お前、マザコンだろ」そうケンは言った。図星だった。カズは母親をばばあと罵るが、心の底ではマザコンらしい。
 母親は育児放棄(ネグレクト)ではなかった。
 幼いカズを虐待したあと、母親はいつもカズを抱きしめ、私が悪かったと泣く日々だった。
 その母親が今じゃ認知症の症状。ばばあと罵るカズに、母親を施設に入れる金は無い。

 そしてその日、カズは藤堂に呼び出される。人気のない高架下。カズは既に痛めつけられている。
 追って、ケンも高架下に来た。やはり呼び出されたんだろう。そしてラストの見せ場・・・。

             

 修理工場には、ケン、カズの下に見習い工のテル(藤原季節)がいる。
 テルはケン、カズのあとについていくが、そのうち藤堂の息がかかる。

 このテルと、カズの母親の2人の役柄が、ドラマに奥行きを作っている。
 ラストの、ある1シーンがいささか冗長なのが残念。でも、辛口のいい映画です。

監督・脚本:小路紘史|2016年|96分|
撮影:山本周平
出演:ケン(カトウシンスケ)|カズ(毎熊克哉)|工場の後輩・テル(藤原季節)|ケンの彼女・早紀(飯島珠奈)|組長の藤堂(髙野春樹)|藤堂の子分の田上(江原大介)|カズの母親(神保明子)|ほか

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

2年前・4年前・6年前の6月、一夜一話。(2016年6月・2014年6月・2012年6月の掲載記事です)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-06-29 Fri 06:00:00
  • 映画
2年前の6月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
2年前の6月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2016年6月 Archive)

写真
「煉瓦女工」
監督:千葉泰樹
矢口陽子、三島雅夫
写真
「喜劇 女は度胸」
監督:森崎東
倍賞美津子,沖山秀子,渥美清
写真
「贅沢な骨」
監督:行定勲
麻生久美子、つぐみ
写真
「貸間あり」
監督:川島雄三
フランキー堺、淡島千景
写真
「亀は意外と速く泳ぐ」
監督:三木聡
上野樹里  
写真
<あ行> の邦画
これまでに記事にした邦画から。
2016.6.14現在

写真
「ボンボン」
監督:カルロス・ソリン
アルゼンチン
写真
「のるかそるか」
監督:ジョー・ピトカ
アメリカ
写真
「ママと娼婦」
監督:ジャン・ユスターシュ
フランス
写真
「ハッピー・クリスマス」
監督:ジョー・スワンバーグ
アメリカ

写真
「映画の特集の特集
テーマに沿って、一夜一話の中から厳選しました。



4年前の6月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
4年前の6月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2014年6月 Archive)

写真
「こだまは呼んでいる」
監督:本多猪四郎
池部良、雪村いづみ
写真
「孤独なツバメたち
デカセギの子どもに生まれて」

ドキュメンタリー映画
写真
「BU・SU」
監督:市川準
富田靖子
写真
「雨月物語」
監督:溝口健二
京マチ子,田中絹代,森雅之
写真
「地獄」
監督:中川信夫
天知茂、沼田曜一 .
写真
「凶気の桜」
監督:薗田賢次
窪塚洋介、RIKIYA

写真
「罪の手ざわり」
監督:ジャ・ジャンクー
中国
写真
「闇のあとの光」
監督:カルロス・レイガダス
メキシコ
写真
「新装開店」
監督:キム・ソンホン
韓国
写真
「時計じかけのオレンジ」
監督:スタンリー・キューブリック
アメリカ
写真
「ハーダー・ゼイ・カム」
監督:ペリー・ヘンゼル
ジミー・クリフ|ジャマイカ.
写真
「レイチェルの結婚」
監督:ジョナサン・デミ
アメリカ



6年前の5月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
6年前の5月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2012年5月 Archive>

写真
「ガス人間第一号」
監督:本多猪四郎
八千草薫
写真
「東京物語」
監督:小津安二郎
原節子,笠智衆,東山千栄子
写真
「ゴーヤーちゃんぷるー」
監督:松島哲也
多部未華子、武田航平
写真
「祇園の姉妹」
監督:溝口健二
山田五十鈴、梅村蓉子
写真
「今宵ひと夜を」
監督:千葉泰樹
八千草薫、三浦光子
写真
「海ほおずき The Breath」
監督:林海象
唐十郎、原田芳雄

写真
「アニー・ホール」
監督:ウディ・アレン
アメリカ
写真
「PARIS (パリ)」
監督:セドリック・クラピッシュ
フランス
写真
「5時から7時までのクレオ」
監督:アニエス・ヴァルダ
フランス
写真
「中国娘」
監督:グオ・シャオルー
イギリス
写真
「ロードキル」
監督:ブルース・マクドナルド
カナダ
写真
「恋する惑星」
監督:ウォン・カーウァイ
香港
写真
「ボルベール<帰郷>」
監督:ペドロ・アルモドバル
スペイン
写真
「レポマン」
監督:アレックス・コックス
アメリカ


【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

映画「合葬」  監督:小林達夫

上

 将軍徳川慶喜が政権返上を明治天皇に奏上した大政奉還1867年から翌年1868年までのお話。

 世の中の土台が瓦解する幕末に、武士に生まれたからこその、生き方選択の迷路に迷い込んだ、幼なじみの3人の男たちがいた。
 しかし、この先世の中どうなる、という大きな不安が押し迫るさなかでも、武士にも、また武家の女や町人・農民といった人々にも、彼らの日常はそれぞれにあった。もちろん恋もあった。

1-0_20180627112225bd2.jpg 秋津極(柳楽優弥)は彰義隊に入隊するため、砂世(門脇麦)との婚約を一方的に解消した。(秋津は死を覚悟していた)
 砂世は、秋津の幼なじみの福原悌二郎の妹で、砂世は幼いころから秋津に淡い恋心を抱いていたのだった。
 秋津のもう一人の幼なじみ吉森柾之助は、養子先の武家から前触れなく、ていよく追い出される。(養子先の武家の女達は武士の世は終わったと、時代の変わり目を読んでいる)

 吉森に何処へと行くあてはない。秋津はこの迷える吉森を彰義隊に引き入れた。
 その吉森にもうひとつの迷いがあった。それは、茶屋で働く かなという女に恋をどう打ち明けようかという迷い。だが、そのかなは秋津に猛烈に一目惚れしてしまう。
 
 こうして秋津は妻になる女を捨て、吉森は女への思いを抱きながら彰義隊に入隊する。
 この事態におよんで、徳川将軍の身辺警護と江戸の秩序守護を目的とした彰義隊なんて、大政奉還した今、もう意味ないじゃんと思う福原は秋津に、改めて妹との婚約解消を考え直してくれ、いや少なくとも妹にもう一度会ってやってくれ、と頼み込んだ。
 そしてさらには福原は、秋津と吉森の、彰義隊に対する考えを覆そうと、彰義隊の客分となって彼らの宿舎(寺)に出入りするようになった。

 その寺には、森篤之進(オダギリジョー)という、彰義隊の武闘派(抗戦派)に懐疑的な男もいたが、その日、彰義隊と新政府軍との戦争が上野(パンダがいる上野)や谷根千あたりで始まってしまう。
 結局、福原は秋津、吉森と共に戦争に加わるが、福原は戦死。
 (彰義隊は、上野の寛永寺(上野公園)に結集するがほぼ全滅、生き残ったわずかの隊員は散り散りに谷根千あたりに四散。上野戦争)
 農家の小屋に身を隠す、負傷した秋津とそれを見守る吉森。翌朝、秋津はこの小屋で自害。

 福原の妹、砂世は、年上の穏やかな男と結婚した。
 砂世は、夫の前で胸の内を打ち明ける。
 あなたとの縁談の話が持ち上がった時、私は兄にウソをつきました。これから一生悔やむことになるから、一目秋津に会っておきたいと。

2-1_201806271123553c7.jpg でも、私はある夜、秋津と一夜を共にしていました。何処から聴こえる笛の調べに魅了されたらしい秋津が、突然に我が家の縁側に現れたのです。
 これを聞く夫は穏やかにほほ笑むばかりでありました。

 いわゆる歴史小説で描かれる幕末ではありませんね。
 話の底にある、ある種の「静寂さ」を感じ得れば、よりいい映画に思えるかもしれません。 
 何かで読んだ記憶ですが、谷根千あたりの武家屋敷の庭に上野戦争で敗れた彰義隊隊員が隠れていたという話を思い出しました。

監督:小林達夫|2015年|87分|
原作:杉浦日向子|脚本:渡辺あや|撮影:渡辺伸二|
出演:秋津極(柳楽優弥)|吉森柾之助(瀬戸康史)|福原悌二郎(岡山天音)|福原砂世(門脇麦)|かな(桜井美南)|森篤之進(オダギリジョー)|ほか

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術



映画「軽蔑」(1963) 監督:ジャン=リュック・ゴダール

上
イタリアの南、カプリ島にあるプロコシュの別荘にて。
左から、米国人映画プロデューサーのプロコシュ(ジャック・パランス)、通訳兼秘書嬢、カミーユ(ブリジット・バルドー)、その夫・劇作家のポール(ミシェル・ピッコリ)、名映画監督フリッツ・ラング(本人役で出演)。

             

1-0_20180623104949979.jpg ある日突然に妻から軽蔑され始めた夫の話。
 夫は劇作家のポール(ミシェル・ピッコリ)、妻のカミーユ(ブリジット・バルドー)は元タイピスト。

 ポールが劇作家として売れない頃に、ポールはカミーユと出会ったのだろう、貧しいながらも楽しい生活であった。(と思われる)
 その後、劇作家として飯が食えるようになる。何部屋もある高級マンションを買った。
 カミーユ曰く、「ホテル住まいより、ずっと豪華なマンション」に移り住むことができた。
 しかし、マンション購入にあたって一部の支払いは済ませたものの、残り全額支払うためには、荒稼ぎが必要だった。

 そこへ舞い込んだ美味しい話にポールは乗った。
 それは、アメリカ人の映画プロデューサー、プロコシュ(ジャック・パランス)が手掛ける映画「オデュッセイア」の脚本を、一般受けするように手直しする案件。監督フリッツ・ラング(本人役)が書いた脚本が硬く、プロコシュは気に入らない。撮影は一部すでに始まっているにもかかわらず、だ。
 プロコシュに呼び出されて、ポールはカミーユを連れて撮影所へ出向いた。
 そしてポールは撮影所の試写室に入り、テスト撮影を観る。監督が書いた脚本も渡される。
 映画の脚本は初めてだし、プロコシュのワンマン振りもいかがなものかと思ったが、ポールはやると返事した。プロコシュはその場でポールにギャラの小切手を切った。

02-_2018062310510525b.jpg そう、この日から、カミーユのポールに対する態度が一変する。
 そういえば、撮影所でのミーティングが終わってのち、プロコシュが自宅にポール夫妻を誘ったとき、プロコシュは赤いスポーツカーにカミーユだけ乗せようとした。あの時、カミーユは、これでいいの?という視線をポールへ送ったが、ポールはプロコシュに、どうぞ、自分はタクシーで行くと行った。あれがカミーユの気に障ったか・・とポールはそう軽く思っていた。

 そんなことだから、妻から軽蔑され始めたという事にポールはまったく気づかない。
 その後何日経っても、ポールはカミーユの態度が一変したわけがわからない。ポールには、さしたる心当たりがない。カミーユの心模様を探ろうと、カミーユに何度もわけを聞いたが何も言わない、話を逸らす。夫婦の、男と女の、ボタンの掛け違いの果てしない無限ループが続く。

 そして夫婦のそんな事情は、映画プロデューサーのプロコシュの別荘に持ち込まれる。
 結局、ポールはプロコシュからの誘いを辞退し、別荘をひとりあとにする。
 一方、この先タイピストとして働くと言うカミーユは、プロコシュの車に同乗し・・。
 そして結果的に、映画監督フリッツ・ラングは自作の脚本で映画を撮り続ける。


 たぶん、カミーユには、ポールに対する思いに、以前から徐々に変化があったに違いない。
 その身近な変容に気付かなかったポール。妻へのいとおしみ、観察力が何か欠けていたポール。

 映画は、製作当時の西欧映画業界の斜陽と、資金力あるハリウッドとの対比を物語に埋め込んでいる。
 また、男の思う成功と、女の思う幸せも対比してみせているように思う。

オリジナルタイトル:Le mepris
監督:ジャン=リュック・ゴダール|フランス・イタリア|1963年|102分|
原作:アルベルト・モラビア|脚本:ジャン=リュック・ゴダール|撮影:ラウール・クタール|
出演:カミーユ(ブリジット・バルドー)|ポール(ミシェル・ピコリ)|映画プロデューサーのジェレミー・プロコシュ(ジャック・パランス)|通訳のフランチェスカ・ヴァニーニ(ジョルジア・モル)|映画監督、本人役(フリッツ・ラング)|撮影監督(ラウール・クタール)|ラングの助監督(ジャン=リュック・ゴダール)|

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

映画「北京好日」  監督:ニン・イン

上

 現在進行形の(1992年当時の)、北京の街中の人々をドキュメンタリー風に活写する映画。
 登場人物はみな、京劇が三度の飯より好きなおじいちゃん達。
 塀沿いの通りの傍らに集まって、京胡(胡弓のような擦弦楽器)や太鼓、月琴など楽器を奏でる人達、代わるがわる自慢の喉を聴かせる人達。
 文革の世を生きてきたじいちゃん達はみな様々な労働者だったが、今は隠居の身。時間だけはある。

2-0_20180621140001726.png こんな一群に登場するのが主人公の韓(ハン)じいさん65歳。
 韓さんは京劇の劇場で長年、守衛をしてきた。
 とは言っても守衛・宿直業務以外に、劇場の事務方雑用や、出番前の(端役の)役者へ注意をしたり、舞台で虎のぬいぐるみに入ることもあった。つまり劇場と劇団の、陰ながらではあるが世話役といった立ち位置。そのすべてが韓さんの生きがいであった。
 そして定年。本人はまだまだ仕事を続けたいが、代わりの人も既に採用された。すなおに辞めるしかない。

 韓さんは独り住まい。連れ合いは先に逝った。否応なく定年後の日々が始まったが、さて、することがない。
 毎日出勤時間に家を出て、街をあてもなくうろつく。そしてある日、京劇好きな一群に出会った。

 韓さん、正直なところ、京劇の真似をして楽しむ事にさほど興味がわかない、それよりも、京劇好きな男たちの一群に対して世話役を名乗り出たい。これができれば、韓さんの生きがいの継続になる。
 韓さんは洋風ダンス教室をやっている会館を偶然見つけ、役所に京劇教室の申請をし許可が降りる。

 京劇好きのじいちゃん達は、韓さんのおかげで、寒風吹きすさぶ寒空の下で集まることもなくなると、みな大喜び。
 韓さんは韓さんで、歌う順序や運営ルールを決めたり、茶を用意したりと楽しそう。

 街の京劇コンクールにも出た。おじいちゃん達の数も増え、仲も深まり、そして一年が経とうとしていた。
 そんなある日に、歌う順序にルール無視で割り込むといった些細なことから、その場にいたおじいちゃん達も巻き込んで、大人げない喧嘩沙汰になる。韓さんは世話役を辞めると出ていった。
 その夜、会館ではおじいちゃん達が集まっていた。これまでやって来れたのは韓さんのおかげだ、喧嘩をはじめたお前は韓さんに詫びを入れろなどと話している。これを外から盗み聞きしている韓さんの表情は悲しそう。

 会館の利用は、もとから一年限りであった。みな、決まりが悪い別れとなってしまった。
 ラストシーン。塀沿いの通りに以前のように集まって、おじいちゃん達数人が京劇の演奏と歌を楽しんでいる。
 韓さんが通りの角からそおっと、その様子をうかがっている。そして、意を決した韓さんが皆の方へ向かって歩みだす。

 地味な映画ですが、こういうの好きです。
 出演者の大かたは素人だそうです。おじいちゃん仲間の中で唯一の若者(練炭町工場の雇われ役)は、ダウン症の障害のある方ですが、この人の存在が映画になごみを添えています。
 それと、製作当時の1992年から26年経った中国の急速な経済発展にあらためて驚く。
 この映画に登場したじいさん達も、きっとあの世で目を丸くしているだろう。

オリジナルタイトル:For Fun 找楽
監督:ニン・イン|中国、香港|1992年|93分|
原作:チェン・チェンコン|脚本: ニン・イン、ニン・タイ|撮影:シアオ・フォン、ウー・テイー、ヤン・シアオウェン|
出演:韓(ハン)じいさん:ホワン・ツォンルオ|喬万有(チアオ・ワンヨウ):ホワン・ウェンチェ|何明(ハー・ミン):何明|楊(ヤン)先生:ヤン・ヨウタン|董(トン)じいさん:ハン・シャンシュイ|王(ワン)じいさん:ワン・シューマン|

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

1年前・3年前・5年前の6月、一夜一話。(2017年6月・2015年6月・2013年6月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-06-16 Sat 06:00:00
  • 映画
1年前の6月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の6月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2017年6月 Archive>

写真
「夜叉」
監督:降旗康男
高倉健、田中裕子、いしだあゆみ

写真
「紅の翼」
監督:ウィリアム・A・ウェルマン
アメリカ
写真
「ミニー&モスコウィッツ」
監督:ジョン・カサヴェテス
アメリカ
写真
「フェリーニのアマルコルド」
監督:フェデリコ・フェリーニ
イタリア
写真
「ブーベの恋人」
監督:ルイジ・コメンチーニ
イタリア
写真
「ウィスキー」
監督:フアン・パブロ・レベージャ、パブロ・ストール
ウルグアイ

写真
CD紹介
“今日はシンガーソングライターだよ“
リッキー・リー・ジョーンズ
写真
親戚の集まりで京都へ行ってきた。
そのついでに、ちょっと京都観光。
錦市場近くの銭湯がいい!
写真
京都へ行ったついでに、琵琶湖東岸の近江八幡へ行った。
水郷めぐり、秀吉の甥・豊臣秀次の八幡山城跡、近江商人の城下町、
そして織田信長の安土城跡。


3年前の6月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  3年前の6月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。(2015年6月 Archive)

写真
「祭りの準備」
監督:黒木和雄
江藤潤、原田芳雄
写真
「隣の八重ちゃん」
監督:島津保次郎
逢初夢子
写真
「夫婦フーフー日記」
監督:前田弘二
永作博美、佐々木蔵之介
写真
「浮草」
監督:小津安二郎
若尾文子,川口浩,京マチ子
写真
「喜劇 駅前温泉」
監督:久松静児
森繁久彌,フランキー堺,伴淳三郎
写真
「沖縄 うりずんの雨」
監督:ジャン・ユンカーマン
ドキュメンタリー映画
写真
「きみはいい子」
監督:呉美保
高良健吾、尾野真千子

写真
「みなさん、さようなら」
監督:ドゥニ・アルカン
カナダ
写真
「バーバー」
監督:ジョエル・コーエン
アメリカ
写真
「台湾の暇人」
監督:アーサー・チュー
台湾
写真
これまでに一夜一話で取りあげた
アジアの映画です。
2017.01.14現在
写真
「天使」・「海辺にて」
監督:パトリック・ボカノウスキー
フランス
写真
「モスクワ・天使のいない夜」
監督:セルゲイ・ボドロフ
ロシア


5年前の6月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  5年前の6月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。(2013年6月 Archive)

写真
「大地の子守歌」
監督:増村保造
原田美枝子
写真
「愛怨峡」
監督:溝口健二
山路ふみ子、清水将夫
写真
「下町(ダウンタウン)」
監督:千葉泰樹
山田五十鈴、三船敏郎
写真
「ハッピーフライト」
監督:矢口史靖
綾瀬はるか
写真
「古都」
監督:中村登
岩下志麻(一人二役)

写真
「理髪店の娘」
監督:シャーロット・リム
マレーシア
写真
「新世界の夜明け」・「The Collector」・「Bunohan」
「シネ・マレーシア2013
  マレーシア映画の現在」
写真
「 闇からの声なき声」
筋痛性脳脊髄炎 (ME)という
難病のドキュメンタリー映画
写真
「出発」
監督:イエジー・スコリモフスキ
ベルギー
写真
「マイ・ブルーベリー・ナイツ」
監督:ウォン・カーウァイ
香港
写真
「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」
監督:トーマス・ヤーン
ドイツ
写真
「メイク・イット・ファンキー」
ニューオリンズの音楽ドキュメンタリー映画
アメリカ

写真
映画ピックアップ
「人生なんて、そうそう
  うまく行かないワケよ。」


【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術

映画「モンディアリート」  監督:ニコラ・バディモフ

上
少年アブドゥを背負うアーメッドと、ルイザ。

 ストーリーはハッピーエンドで終わる心温まる話です。
 この映画、ユーモアがあってコミカルな映画ですが、これを喜劇映画と言ってしまうと、喜劇俳優やお笑い芸人が出てくる映画だと、誤解を生じるかもしれません。
 一方、話は、フランスの児童養護施設にいたサッカー大好きなアラブ人少年が、フランス人の里親のもとで生活していましたが、マルセイユで行われるワールドカップ・フランス大会に、何とかして行きたい!と、無一文で家出したことから始まります。(里親とは、うまくいっていなかったようです)
 よって、話の筋の方はまじめ(シリアス)なお話です。でもユーモアあるコミカルな映画です。甘辛と言いますか、塩あんの味。

0_20180614213714765.jpg アラブ人少年アブドゥは、アーメッドに出会います。アーメッドもアラブ人です。
 アーメッドは、少年がブラジルチームの大ファンであること、マルセイユのワールドカップ・フランス大会を是非観戦したいことを知ります。
 これが、子供好きでもないアーメッドが、少年アブドゥを連れてマルセイユへ行こうとしたきっかけでした。

 そして実は、アーメッドはマルセイユの地元チームのサッカー選手でした。黄金の腕と呼ばれた名ゴールキーパーでした。
 しかし、あることでチームオーナーの怒りを買い、リンチされチームから追い出されました。
 その後、10年間、アーメッドは母親や兄弟たちがいるマルセイユを離れ今日まで過ごしてきました。しかし、もうオーナーに対する罪滅ぼしはこの10年で終えた、終えたい、帰りたいと思い始めていた矢先に、アブドゥに出会ったのでした。
 だから、アーメッドが、少年アブドゥを連れてマルセイユへ行こうとした、本当のわけはアーメッドの方にありました。

 そしてマルセイユへの珍道中が始まります。
 道中いろんなことがありますが、アーメッドと少年アブドゥにとって、ルイザという若い女性に会ったっことは幸いでした。
 そしてお金のない三人は、アブドゥのためにワールドカップ・フランス大会のチケットを買わなければならないために四苦八苦するのですがうまくいかない。
 そんなうちにマルセイユに着いてしまう。
 そこで、アーメッドは決心し彼の古巣、あのチームオーナーに会いに行くのでした。
 結末は、オーナーからチケットを奪いアブドゥは観戦できました。そしてアーメッドとルイザは結ばれます。

 たわい無い話と言ってしまえばそれまでですが、いい映画です。
 ただし残念ながら今ではもう観られない映画です。(昔、NHKBSで放映された時に録画したのを観て書いています)

 はじめに、まじめ(シリアス)なお話ですが、ユーモアあるコミカルな映画です。甘辛と言いますか、塩あんの味、と言いました。
 シリアスな映画だと思いこんで、その視点だけから本作を観てしまうと、ユーモアあるシーンに、とても違和感を感じてしまうかも知れません。本作に限らず、こういった甘辛な映画を観る時には、柔軟な読解力で楽しみましょう。

オリジナルタイトル:MONDIALITO|CARTE D'IDENTITE|
監督:ニコラ・バディモフ|スイス/フランス|2000年|90分|
脚本: ニコラ・バディモフ、ムサ・マースクリ|撮影: トマ・ハードマイヤー|
出演: ムサ・マースクリ(アーメッド、別名ジョルジュ|エマ・ドゥ・コーヌ(ルイザ)|アントワーヌ・モリーニ(アブドゥ)|アントン・クズネゾフ(ロシア人行商・オレグ)

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術


映画「クラッシュ」  監督:ポール・ハギス

上

 白人と黒人の二項対立だけでなく、アメリカの様々な人種間のギクシャクを群像劇で観せる映画。
 ストーリーは、数多くのエピソードがパッチワークされ、それぞれに関連を持たせている。
 そこには、拳銃による殺人が3件、交通事故が3件、ハッピーエンドが2件、盛り込まれています。
 貧富による分断、車社会、銃社会のアメリカも映し出します。
 2時間足らずのこの映画で、いわばアメリカの縮図を観せようとするのだから大変。話は複雑を極める。またメッセージは細部に宿っています。

 そんな複雑なエピソード群の中から、4つの話を取り上げてみます。(エピソード間の関連性は、あとで述べるとしよう)
1_20180609143517838.jpg【エピソード1】・・リック地方検事とその妻ジーンの白人夫妻
 夫妻は、映画に出てくる登場人物中、一番の上流階級の人。
1-2_201806091447463f5.jpg 検事は黒人層からの支持をとても意識している。上から目線の妻は、いつもツンツンしていて、家政婦がいつかない。
 そんな夫婦がある日、街中で黒人の二人組に拳銃で脅され、目の前で自家用車を強奪される。
 車を強奪された事は、検事のメンツにかかわる事。それも黒人にだ、心境複雑。
 妻は恐怖心から自宅の玄関ドアのカギを丈夫なものに取り換えようとするが、修理に来たカギ屋のダニエルが黒人だったために、このカギ屋が、車を盗んだ二人組に合いカギを渡すのではと猜疑心に苛まれる。それを聞いていたカギ屋はスペアキーのすべてを夫人の前に置いて帰った。


2_20180609143644157.jpg【エピソード2】・・キャメロンとその妻クリスティンの黒人夫妻
 夫妻は、映画に出てくる登場人物中、二番目に上流の人。
 夫はTVディレクター。TV業界で黒人が生き抜くには、周りの白人たちとそれなりに同調しなければならないらしい。夫は周囲に目配りしながら穏やかに実を取る男。
 妻はそれを理解はするが、心の底では白人にオベッカ使ってと思っているようだ。
2-2_201806091451514e8.jpg そんな夫妻がある日、夫が何かの賞を受賞した夜、車で帰宅のところ、街中で白人のライアン巡査が乗るパトカーに停車させられる。
 夫妻が乗る車は、検事の盗まれた車と同車種、同じ色。
 パトカーに同乗する若い白人巡査ハンセンは、車のナンバーが違いますよと注意するが、ライアン巡査は停車させた。
 夫は妻に車外に出るなと制したが、妻は巡査の理由なき行動に怒りを抑え切れないで車外に出る。
 ライアン巡査は出てきた妻の身体を、身体検査よろしく、まさぐり始める。この屈辱に耐えられない妻は夫の方を見るが結局、夫は巡査に歯向かわなかった。
 それから、この夫婦の仲は崩れ始めた。


3-3_20180609143956208.jpg【エピソード3】・・ファハドとその娘のペルシャ人父娘、カギ屋のダニエルとその幼い娘の黒人の父娘
 ファハド父娘は中間層の下位、ダニエル父娘は下層の上位といった人たち。
3-6.jpg ペルシャ人店主のファハドは、店のドアを修理したくて、カギ屋のダニエルを呼んでカギを交換させたが、カギ屋は、ドアの扉も替えないと防犯にならないと言う。がしかし、ファハドは承知しない。互いに言い争った。
 翌日、誰かによって店はメチャメチャに荒らされた。店はファハドが長年にわたり丹精込めてきた店である。怒り心頭のファハドはダニエルの仕業と決めつけ、ダニエルの自宅前で拳銃を忍ばせ待ち伏せする。
 帰宅したダニエルに、ファハドは拳銃を突きつけ撃とうとしたその時、ダニエルにその娘が飛びついた。
 結果、ファハドはその幼い女の子の背中を至近距離で撃ってしまった。しかし、娘は怪我もなく生きていた。なぜなら空砲であった。
 以前、ファハドが銃砲店で銃弾を購入しようとした時、その店主の白人と揉め、結局、同伴したファハドの娘が、当てずっぽで指し示し買った銃弾が空砲弾だったのが、この奇跡を生んだ。



4_20180609144054954.jpg【エピソード4】・・アンソニーとピーターの黒人二人組
 職に就かず、盗みを働く黒人の男たち。しかしアンソニー曰く、俺たちは黒人からは盗まないと言っている。
 アンソニーとピーターは、【エピソード1】の車の強奪犯だ。
 そしてその夜、ふたりはこの盗んだ車で、前方不注意、アジア系の中年を轢いてしまう。処置に困った二人はある病院の玄関先にこの男を置いて逃げる。ひき逃げだ。



 さてさて、エピソードは相互に関連を持って、ますます広がっていく。
 アンソニーが、停車中の高級車に拳銃を突きつけて乗り込んだが、それは【エピソード2】のTVディレクターの黒人キャメロンの車だった。キャメロンは車を発車させながら、黒人同士2人は揉める。これを外から見ると車は変な運転をするように見える不審車。(かつ【エピソード1】の盗難車と同種同じ色)
 一台のパトカーがこれを追う。【エピソード2】に出てきた若い白人巡査ハンセンが運転するパトカーもあとを追う。追い詰められたキャメロンとアンソニーは銃を構えた巡査に包囲される。
8-0.jpg そこへ割り込んだのが、若い巡査ハンセン。「俺はこのキャメロンを知っている、悪い奴じゃない、大丈夫だ」と言いながら、他の巡査を制し、怒るキャメロンをなだめて、その場は事なきを得た。
 しかしキャメロンはアンソニーの銃を隠し持っていた。一触即発だった。

 一方、キャメロンの妻クリスティンは、夫婦仲が最悪になったことに傷心して精神不安定でいたためだろうか、交通事故で他車と接触し横転、車はひっくり返る。
 だが事態は差し迫る。相手の車からガソリンが漏れ出し、こちらに流れ来る。だが逆さになった車からクリスティンは出られない。シートベルトで宙づりになっている。
 そこへ駆けつけたのが、クリスティンを弄んだ巡査ライアン。初めクリスティンはライアンの救助を拒んだが、車に火が付く。結局彼女はライアンに助けられた。

 そして、若き白人巡査ハンセン。
 疲れての仕事の帰り道、車に乗るハンセンは、夜道でヒッチハイクする1人の黒人青年を拾います。街を出たいと言うその青年は、アンソニーの相棒のピーター。
 車内でのちょっとしたやり取りに、気分を害したハンセンは、降りろとピーターに言う。その時、ピーターがズボンのポケットに手を入れ出そうとしたモノが拳銃かと即断したハンセンは即座に、ピーターを射殺してしまう。そして道端の草むらに置いて逃げてしまった。

 さらには以上に書かなかった男、黒人刑事のグラハム。
 映画冒頭、夜のシーン。グラハムとその妻の乗る車が接触事故を起こす。グラハム刑事が安全運転だったとしたら、相手のアジア系の女が悪いんだろう。この女、やたら悪口雑言、グラハムの妻、ヒスパニック系(メキシコ)の妻に向かって罵っている。
 あとでわかるが、このアジア系の女は夫が緊急入院した病院へ向かう途中。【エピソード4】で、アンソニーとピーターの黒人二人組にひき逃げされた男の妻が、この女。
 そんな騒ぎを横に見て、グラハム刑事は見知った巡査たちに挨拶しながら、道端にいる同僚の刑事に近づいた。「どうした、事件発生か?」「そう、若い黒人の射殺死体だ」。(映画の観客はわかる、これはハンセン巡査が射殺したピーターだ)
 そして死体を確認したグラハム刑事は驚きを押し殺した。その男はグラハム刑事の弟だった。

 最後に言い残したエピソードふたつ。
 グラハム刑事の交通事故の日のその昼、グラハム刑事は【エピソード1】のリック地方検事の息がかかった刑事フラナガンに呼び出される。その呼び出しは、グラハム刑事が担当する事件についてだった。
 担当の事件とは、白人刑事による黒人刑事射殺事件。黒人刑事が乗る車を制しようとした白人刑事は、その黒人刑事から発砲を幾度も受ける。そして白人刑事が撃った一発が黒人刑事の致命傷になった事件。互いに刑事だと知っていたのか?
 翌日、黒人刑事の車から多量の札束が発見される。黒人刑事の汚職事件に発展する。
 これにリック地方検事がストップをかけた。黒人を悪者にしては支持者が減る。汚職の件は握りつぶして、白人刑事に罪を着せるようにしたい。そこでフラナガン刑事がグラハム刑事を呼び出したのだ。グラハムは実直な刑事、フラナガンが言う地方検事の意向を嫌う。だがフラナガンはここで、グラハムの弟ピーターの犯罪歴をほのめかす。ピーターの件を見逃す代わりに、地方検事の意向を飲めという。グラハムは承知した。

 しかし、折角の弟への思いが結果的にはグラハム刑事にとってみじめなことになった。
 まずは、その夜に弟の死体と対面したこと。そして死体の身元確認のために来院したグラハムの母がグラハムに対して示した態度。「お前より私は死んだ弟に寄り添うよ!」
 もとよりグラハムと母との関係は疎遠だった。多忙なグラハムは時々は母の部屋を訪ねたが母は終始無口だった。
 観客は思う。この黒人家庭の母子の間にも、出世した息子との貧富と正義による分断の思いがあることを。

 
 ちなみに、【エピソード4】のアンソニーとピーターの黒人二人組のひとりアンソニーは、ひき逃げしたアジア系男の乗っていたバンを盗むのだが、バンの後部ドアを開けると、アジア系男女難民の一団が閉じ込められていた。
 アンソニーは盗難車を売り買いする男にバンを売ろうとするが、店の男は難民たちだけを高額で買うぞと言われる。しかし、アンソニーはこれを無視して、中華街に車を走らせ、路上で彼らを解放した。(これはとってつけた話だ※)

 私たちはペルシャ人とアラブ人の区別がつくだろうか?
 【エピソード3】でファハドが銃砲店の店員と揉めたのは、店員が彼をアラブ人だと思い毛嫌いしたからだった。
 アンソニーは、ひき逃げした男を、難民の人々を一応に中国人と言う。人を理解することは難しい。
 観ごたえある映画でした。

 ※ライアン巡査は父親思いの息子で父子だけの家ではいい息子。父親の会社では黒人従業員に良い待遇で接していたとのこと。これも付けたり的というかこだわるねぇ。

オリジナルタイトル:Crash
監督:ポール・ハギス|アメリカ|2004年|112分|
原案:ポール・ハギス|脚本:ポール・ハギス、ボビー・モレスコ|撮影監督:マイケル・ミューロー|
出演:地方検事リック(ブレンダン・フレイザー)|その妻ジーン(サンドラ・ブロック)|TVディレクターのキャメロン(テレンス・ハワード)|その妻クリスティン(サンディ・ニュートン)|ライアン巡査(マット・ディロン)|ハンセン巡査(ライアン・フィリップ)|ペルシャ人店主ファハド(ショーン・トーブ)|カギ屋ダニエル(マイケル・ペーニャ)|アンソニー(クリス・“リュダクリス”ブリッジス)|ピーター(ラレンツ・テイル)|グラハム刑事(ドン・チードル)|グラハムの母(ビバリー・トッド)|フラナガン刑事(ウィリアム・フィクナー)|ほか

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術



映画「日本の悪霊」  監督:黒木和雄

2_201806060938547fd.jpg

 双子のように瓜二つのヤクザと刑事が入れ替わり、終いには同質化して行くお話。
 映画はふたりの登場人物の違いを、徐々に曖昧にしていきます。
 殺伐とした風景のロケ地に、ドキュメンタリー映画風のリアリティを持ち込んだ本作は、今新たな魅力を放っているようにも思えます。
 本作をヤクザ映画だと決めつけず、また、原作は脚本化の素材である位の気持ちで受けて、原作や1960-70年の政治闘争にこだわらずに観ることも一興でしょう。
 
 群馬県のある街での出来事です。地元で古くからあるが弱体化したヤクザ・鬼頭組を、この地に勢力を伸ばす新興勢力の天地組がなきものにしようとしていた。

5_20180606120805fa0.png そんな中、ふたりの男がこの街に現れる。
 そのひとりは、村瀬(佐藤慶)という男。
 村瀬は鬼頭組を傘下に置く組のナンバー2の知的な男で、鬼頭組の偵察に来た。
 鬼頭組は村瀬という大物が助っ人に来てくれると大喜び。

 もうひとりは、落合刑事(佐藤慶・一人二役)。
 県警から派遣されてきた暴力団取り締まりを専任とする刑事だが、県警本部では、いまいちウダツの上がらぬ男であった。
 街に着いた落合刑事は、案の定、鬼頭組から村瀬と間違われる。

 実はその村瀬、この街に過去を持っている。
 そんなことで村瀬は、昔のなじみの女を訪ねるが、女の部屋には先客がいた。落合刑事だ。
 女は落合刑事を村瀬だと思い誘い入れたのだった。

 先客が刑事だと分かった村瀬は、他人とは思えぬ落合刑事に強要した。やくざと刑事、入れ替わろうと。
 落合にとって、これは刑事になりすまして、鬼頭組周辺状況の情報把握もさることながら、実は、この街の過去の真相を探り出そうという思いがあった。
 一方、落合刑事がこれを拒まなかったのは、やくざの世界に以前から魅力を感じていたからであった。
 村瀬は警察署へ、落合刑事は鬼頭組へと潜り込む。そうして、なりすましの男ふたりの、それぞれの物語が街の女たちも交えて、始まる。

 さて、先ほど言った、村瀬はこの街に過去を持っている、の話。
 1955年まで日本共産党は中国共産党の影響を受けていた。例えば農村の地主に対しての武装闘争。(しかし日本共産党は1955年にこの方針の放棄を宣言)
 村瀬の過去とは、若いころ、この群馬の街で仲間とこの闘争に加わり地主を襲い、結果時には村瀬は逃げ来る地主を迎えうち刺し殺し、村瀬はじめ仲間は四散した。
 だがこの事件には謎が残り、ヤクザになった村瀬は今も当事者として、過去の真相を究明したかったのだ。
 かたや、地元警察の署長は、この事件当時からこの事件にかかわっていた。実は謎を作ったのはこの男であった。この署長の一存でこの街でのこの事件は、街の世間体よくうやむやに処理された。
 鬼頭組の組長・鬼頭正之助は、署長の意向で当時、村瀬が犯した殺人の犯人としてムショに入った。当然、見返りは鬼頭組の安泰確保であった。しかし、組長と署長との間に亀裂が生じ始める。

 話が進むうちに、真相はより明らかになっていく。そして、村瀬と落合刑事の意気はいつしか投合していくのであった。

監督:黒木和雄|1970年|96分|ATG|
原作:高橋和巳|脚本:福田善之|撮影:堀田泰寛|音楽:岡林信康 、 早川義夫|
出演:村瀬勝/落合刑事(佐藤慶)|鬼頭正之助(高橋辰夫)|後藤署長(観世栄夫)|川田部長(榎本陽介)|子分甲(蔦森皓祐)|子分乙(深尾諠)|子分丙(鈴木両全)|子分J(土井通肇)|子分戊(倉沢周平)|子分T(坂本長利)|子分A(関口瑛)|県警本部・山口(林昭夫)|天地組・馬場(渡辺文雄)|東(丸茂光紀)|伊三次膳内(成瀬昌彦)|地主襲撃のリーダー(土方巽)|警官(岡村春彦)|パチンコ屋親父(殿山泰司)|少女(高橋美智子)|夏子(堀井永子)|歌手(岡林信康)|鬼頭竜子(奈良あけみ)|

【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら

直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)      洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す     洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)  書評  美術


一夜一話の “今日はソングライターだよ” ボビー・チャールズ

1_20180601140042f5e.jpg

 今日の一枚は、ボビー・チャールズの「BOBBY CHARLES」(1972年) 。
 今も大好きなアルバムです。(CD販売区分では、ロックのジャンルです)
 
 このアルバム、一言でいえば、ソングライターが自作を歌いました的なもので、実は彼はいわゆるシンガーソングライターを売りにしていない。
 んだけど、ほのぼのとしたボーカルとゆるりとしたサウンドは一度聴いたらヤミツキ。
 なぜかと言うと、彼が作り出す曲がすごく素晴らしいのです。

 彼はミュージシャンズ・ミュージシャンと言われ、必ずしも一般受けするとは限らないが、ミュージシャンから支持されているミュージシャン。
 と、こう言われるのが凄くわかる。つまり、こいつの曲を歌ってみたい!と思わせる魔力が彼の曲にあるのです。(彼のトリコになったミュージシャンのアルバムを下に紹介しています)

 どんなジャンルのサウンドかは、R&Bを基調にしブルースやカントリーをブレンドしたサウンドです。
 こう言うとありふれたよくあるサウンドじゃと、思われるかもしれないが、ほかの人間が真似できない作風なのです、と言い切れる。
 言い換えれば、誰かのアルバムを聴いていて、「あ、この曲、ボビー・チャールズが作った曲だ」とすぐわかる。
 
 まず試聴してみて。(試聴サイト)
 https://www.amazon.co.jp/ボビー・チャールズ/dp/B000034CJN

 いいでしょ。
 バック演奏のミュージシャンは下の通り。
 ザ・バンドのメンバーやエイモス・ギャレットやマリア・マルダーの夫ジェフ・マルダーなど、ウッドストックのミュージシャンたち仲間で、ベアズヴィルというレーベルでの録音です。
 ボビー・チャールズがお遊びで来日時に、ステージに呼ばれて歌ったのが懐かしい。

 ボビー・チャールズって、どういう人?
 https://ja.wikipedia.org/wiki/ボビー・チャールズ 
 ベアズヴィルってどんなレコードレーベルなの?
 http://recordcorrecterrors.music.coocan.jp/bearsville.html
 べアズヴィル・ボックス・セットなんていうCDが出てるらしい。

「BOBBY CHARLES」(1972年) (Bearsville)
クレジット
Musician – Amos Garrett, Ben Keith, Billy Mundi, Bob Neuwirth, Bobby Charles, Buggsy Maugh*, David Sanborn, Garth Hudson, Geoff Muldaur, Harry Lookofsky, Herman Shertzer*, Jim Colegrove, Joe Newman, John Simon, John Till, Levon Helm, Mac Rebbenack*, N. D. Smart II*, Richard Manuel, Rick Danko
Producer – Bobby Charles, John Simon, Rick Danko
収録曲
A1 Street People|A2 Long Face|A3 I Must Be In A Good Place Now|A4 Save Me Jesus|A5 He's Got All The Whiskey|B1 Small Town Talk|B2 Let Yourself Go|B3 Grow Too Old|B4 I'm That Way|B5 Tennessee Blues|

 そんなわけで、ボビー・チャールズの曲を取り上げているミュージシャンと、気に入ってるアルバムを下に紹介します。
 下の4枚のうち、はじめの1枚以外は、ボビー・チャールズの仲間たちが加わっています。
 そのほかにもwikipediaによると、ファッツ・ドミノ、ビル・ヘイリー、ドクター・ジョン、レイ・チャールズなど数多くのアーティストに取り上げられているそうです。 

2_201806011444551d0.jpegゲイトマウス・ブラウン
「Back To Bogalusa 」(2001年)
 ブルースの人のアルバム。2曲目6曲目がボビー・チャールズの作品。
 かっこいいよ!ブラスも女性コーラスも!
 試聴サイト
 https://www.amazon.co.jp/ゲイトマウス・ブラウン /dp/B00005LANH


3.jpegマディ・ウォーターズ
「ウッドストックアルバム」(1975年)
 いきなりの1曲目がボビー・チャールズの作品。
 マディ・ウォーターズもまさしくブルースの人。
 このアルバムのサウンドは、ロック寄りのブルースサウンド。
でも上のゲイトマウスよりずっとアーシー、文句なし。
別の機会にこのコーナーでとりあげたい。
 試聴サイト:https://www.amazon.co.jp/マディ・ウォーターズ/dp/B00F64TT1Q


 ◆次の2枚は白人ミュージシャンのアルバムです。

4_20180601144905947.jpgポール・バターフィールド・ベター・デイズ
「ポール・バターフィールズ・ベター・デイズ」(1973年)
 4曲目がボビー・チャールズの作品。
 試聴サイト
 https://www.amazon.co.jp/ポール・バターフィールズ/dp/B00E8LU8X6


5_201806011450461f2.jpg
ジェフ・マルダー&エイモス・ギャレット
「LIVE IN JAPAN」(1979年)
5曲目がボビー・チャールズの作品。 
このコンサート行きました。エイモスのチョーキングと手の大きさがすごかった。
エレキギターの3弦を6弦あたりまでチョーキングする。
1フレットポジションと5フレットポジションを同時に押さえることができる大きな手。
試聴サイト:http://www.neowing.co.jp/product/UPCH-20119


これまでに掲載したポピュラー音楽の記事は、こちらから




Index of all entries

Home

タグクラウド
プロフィール

やまなか

Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めてはや9年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

RSSリンクの表示
Tree-CATEGORY

Return to page top