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気になる映画 56

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空族全作品特別上映        「雲の上」「かたびら街」ほか 「サウダーヂ」「国道20号線」ほか
監督:富田克也、相澤虎之助     題名下線部は、記事にしています。クリックしてご覧ください。
アップリンク渋谷:5/13~26 (「バンコクナイツ」はアップリンク渋谷:4/29~、下高井戸シネマ:6/17~ほか全国順次)
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「夜空はいつでも              「ぼくらの亡命
    最高密度の青色だ」          監督:内田伸輝
監督・脚本:石井裕也             この映画は記事にしています。   
新宿ピカデリー、ユーロ:5/13~全国順次    題名をクリックしてご覧ください。
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「十年」 香港映画             「台北ストーリー」(旧タイトル:幼なじみ)
監督:5話構成で5監督が担当         監督:エドワード・ヤン ユーロスペース:5/6~
新宿K's cinema :7/22~            この映画は記事にしています。    
                        題名をクリックしてご覧ください。                          
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「午後8時の訪問者」             ロバート・クレイマー特集
監督:ダルデンヌ兄弟             監督:ロバート・クレイマー
シネマカリテ:5/13~             イメージ・フォーラム:5/6~26
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「約束の地、メンフィス」         「まるで いつもの夜みたいに」高田渡ラスト・ライブ
監督:マーティン・ショア          監督:代島治彦
新宿K's cinema :6/17~           アップリンク渋谷:4/29~
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「すべての政府は嘘をつく」
監督:フレッド・ピーボディ
アップリンク渋谷:3/18~

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美術展「ベルギー 奇想の系譜」 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで
文化村ザ・ミュージアム:7/15~9/24

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映画 「アナザー プラネット」  監督:マイク・ケイヒル

上

 過去か未来の自分を客観視するタイムトラベル。
 そうじゃないアイデアが、「もうひとつの地球」、原題がAnother Earthという、この映画。

 ある時から、空にもうひとつの地球が出現し、学者たちの見解がニュースとなって報道される。
 どうも、「あの」地球上には、我々とまったく同じ人類が、同じような自然環境、社会環境で生活しているらしい。
 どちらがコピーなのか、さえ言えぬくらいに、同じらしい。

1-0_20170522194049638.jpg そんなある日、主人公のローダが夜空を見上げて、よそ見運転したその直後、一台の車と正面衝突。
 ローダは命に別状はなかったが、相手の車の家族は即死であった。
 この事件でローダは刑務所入り。彼女は17歳でMITに合格した才女であったが、人生を棒に振った。

 出所したローダは、学校の清掃係として働き始めた。単純労働は彼女の心を慰めた。
 そしてある時彼女は、相手の車の父親ジョンが生存していることを知る。
 彼女はそのジョンの家をつきとめる。ジョンは一人住まいで、荒れた生活を送っていた。

 ローダは、家事代行サービス会社の派遣社員を装って、ジョンと接触を持ち始める。
 何回かの訪問の末、ジョンは徐々に派遣社員ローダに心を開くようになる。
 しかし、ローダは自分が加害者であることが言えない。そう言うがために、ジョンに近寄ったのに。

 ローダは宇宙のことが好きな少女であった。自分の部屋には天体写真がたくさん貼ってある。
 第二の地球への宇宙旅行、これに応募、当選した1名は民間人として、あの地球へ行ける。ローダはこれに応募し、彼女が書いた応募動機が称賛され、ロケットに乗れることになる。

 そんなある日、ローダとジョンはついに結ばれる。ふたりに愛が芽生えたのだった。
 ローダはジョンの家に赴き、宇宙旅行の事を言った。ジョンは、危険だから行かないでくれと言う。
 そしてそんな言い合いの中で、ついにローダはジョンに、自分が加害者だと言った。もちろん、ジョンはローダを追い出した。

 その数日後、ローダはジョンの家へ行き、宇宙旅行の当選資格のすべてをジョンに譲るべく、書類を置いて帰った。あの地球には、あなたの家族が生きているかもしれないと・・。
2-0_20170522194357f09.jpg なぜなら、あの事故の少し前から、この地球とあの地球が同じじゃなくなっているらしいと学者たちが述べている。あの事故も、あの地球ではなかったかもしれない。

 宇宙旅行を控えて、ジョンが宇宙飛行訓練を受けている映像がテレビで放映されている。
 それを学校の清掃員控室でローダは眺めている。

 ラスト。ローダが仕事を終え自宅に帰って来た。
 すると、玄関近くに、ひとりの女性が立っていて、ローダを見つめている。


 なんだ、SF映画か、と嫌う向きもいるかと思うが、つまらぬSF映画の棚に並べておくには、もったいない作。
 でも、謎がある。あちらの地球へ行ったジョンは、家族が生きている事が確認できれば、この地球へ戻る気は当初からなかったろう。
 しかし、そうなら、あちらの地球で、父親ジョンはふたりになる・・。

 そしてジョンは、帰りのロケットに、あちらのローダ、事故を起こさなかったローダを搭乗させたようだ。(ローダの家の玄関先にいた女性)
 あちらのローダは、これを望んだのだろう。なぜ?

オリジナルタイトル:Another Earth
監督・撮影:マイク・ケイヒル|アメリカ| 2011年|93分|
脚本:マイク・ケイヒル、ブリット・マーリング|
出演:ローダ(ブリット・マーリング)|ジョン(ウィリアム・メイポーザー)|ほか

【 SF映画 】
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ブラザー・フロム・アナザー・プラネット」  「宇宙人王(ワン)さんとの遭遇」  「宇宙人ポール

レポマン」  「南東から来た男」  「光の旅人 K-PAX 」  「ダフト・パンク エレクトロマ

12モンキーズ」   「ラ・ジュテ」  「ロスト・チルドレン

不思議惑星キン・ザ・ザ」  「ミュージアム・ヴィジター」  「マルコヴィッチの穴

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映画 「マイ・ファニー・レディ」  監督:ピーター・ボグダノヴィッチ  当初の題名「シーズ・ファニー・ザット・ウェイ」

上

 いやぁ、楽しい喜劇映画です。いいです、笑えます。
 これは、脚本の勝利! 手練れの技。
 気分を変えたい時、明るくなりたい時、娯楽にどうぞ。

 他人に言えない「秘密」がバレたら・・。
 登場人物それぞれが持つ秘密が、知り合いの繋がりの中で、思わぬ所から、次々にあからさまになって行きます。
 観客はたぶん、ドミノ倒しを見るような快感と、スピーディな話の展開を楽しめます。

1-0_20170519223540cc6.jpg 映画は基本、女優になりたい主人公イザベラ(イモージェン・プーツ)の「シンデレラ・ストーリー」という筋書きで話を進めますが、内容は登場人物各人のエピソードの集合体です。
 でも、そのエピソードのひとつひとつは、言っちゃなんですが、物語としては使い古された、よくある話です。でも、これが可笑しい!のです。
 それは脚本が、よくある話に、素敵な魔法をかけてるんですね。ここが見どころです。

 いきなり有名女優になった、シンデレラガールのイザベラが芸能インタビューを受け、過去を語る話が、映像化されてお話は展開されます。
 映画の冒頭は、ニューヨークで高級コールガールをしていたイザベラ(ビジネスネーム:イジ―)が、呼ばれてホテルの一室へ行く所から始まります。
 その客はアーノルドといって、実はブロードウェイの舞台監督だった。(もちろんその時、彼はイジ―に身分を明かさなかった)

 その数日後、アーノルド監督は、妻で女優のデルタ、アーノルドとは長い付き合いの男優・セス、そして脚本家のジョシュとともに、次期公開作品の主演女優を選び出すオーディション会場に集まります。(主演女優の役柄はコールガール)
 そして、あの客の男がオーディション会場にいる、そんな事とは知らず、女優になりたいイザベラは、オーディション会場に来た。
 そして彼女は迫真の演技をみせました。(それもそのはず、イザベラは本物のコールガールですから)

 ここら辺から話が、幾つものエピソードに枝分かれし出し、その枝々が各所で交わり、その時、誰かの秘密がばれていく。
 一見、話は複雑そうだが、観ている分には、まったく難しくない。ここが、この映画のミソ。手練れの技。
 さてさて、以下のあれやこれやを、映画はどう観せるのか!
 監督(兼脚本)の冴えた腕前を楽しみましょう。

 コールガールのイザベラとアーノルドの密会を、同じホテルにいたセスが目撃していた。それで、オーディション会場に現れたイザベラ、そして何やら慌てている様子のアーノルド、このふたりをセスはじっと見つめていた。
 オーディションでのイザベラの演技は素晴らしく、妻のデルタも脚本家のジョシュも、アーノルドがイザベラを採用することに、何故、躊躇しているのか不思議だった。
 一方、脚本家のジョシュには、セラピスト(心理療法)をしている彼女ジェーンがいるが、関係は冷え切っていた。
 このジェーンの施す心理療法を受けに通っているのが、イザベラと年配の判事。
 ジョシュは、女優の卵イザベラに一目惚れ、夢中になってしまう。
 それより以前から、年配の判事もコールガールのイザベラを愛してしまっている。ところが、イザベラは女優修行のためコールガールを辞めたがために、判事の片思いは燃え上がる。
 判事はイザベラを捜すため、私立探偵を雇うが、これがジョシュの父親。父親は、コールガールと付き合う息子に悩むと同時に、雇主と息子の三角関係の中に飛び込んだ形。
 あることでイザベラとの密会が発覚し、夫アーノルドの女遊びを知った妻デルタは、情緒不安定になり、昔の(秘密の)恋人セスに近づく。
 ジョシュとイザベラの恋を知った、ジョシュの彼女ジェーンも怒り狂う。

下 そしてそもそもアーノルドは、このお話以前から、各所で女の子をひっかけていて、そのうちの何人かに、「君はきっと成功する」と分かれ際に言って、お金を渡していた。
 女優になりたいと言っていたイザベラも、有名デザイナーになりたいと言った女性も、アパレルの仕事で成功したいと言った女性も、そののちそうなった。エピソードの中で、アーノルドはそういう女性から感謝されるシーンがある。アーノルドは人を見る目があるのだろう。

 ちなみに、ラストで登場人物のその後が語られる。(ジョシュの彼女ジェーンは、セスと結ばれる)
 もうひとつ、ラストのラストで、インタビューを終えたイザベラを迎えに、今の彼氏役でクエンティン・タランティーノが登場する。
 ついでに、もうひとつ。セス役のリス・エヴァンスは、映画「ノッティングヒルの恋人」に出てくる。本屋の店主ヒュー・グラントと一緒に住んでいる、あのパンツ男で悪趣味なTシャツ男。



オリジナルタイトル:SHE'S FUNNY THAT WAY|
監督・脚本:ピーター・ボグダノヴィッチ(1939 - )|アメリカ|2014年|93分|
撮影:ヤーロン・オーバック|
出演:イザベラ・パターソン、別名イジ―(イモージェン・プーツ)|舞台監督のアーノルド・アルバートソン(オーウェン・ウィルソン)|その妻で女優のデルタ・シモンズ(キャスリン・ハーン)|男優のセス・ギルバート(リス・エヴァンス)|脚本家のジョシュ・フリート(ウィル・フォーテ)|ジョシュの恋人でセラピストのジェーン・クレアモンド(ジェニファー・アニストン)|コールガールの元締め女将のビッキー(デビー・マザール)|クエンティン・タランティーノ(クエンティン・タランティーノ)|ほか

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映画 「君と歩こう」  監督:石井裕也

上
田舎を出るノリオと明美先生。2人の明るい駆け落ちが始まった。

 田舎に住む、34歳の独身女性教師と高校生男子との駆け落ち喜劇話。

 映画は、よくある話の人物設定を否定してみせる。
 つまり、34歳男性教師が若い女子高校生と駆け落ちするのではなく、だ。
 また、その愛は極端に淡い。
 キスさえなく男子は童貞のまま、よくある男女の愛には程遠く、とりあえず切羽つまった駆け落ちでもない。

 そして話の筋は、基本、喜劇だが、奇妙で突飛で写実的じゃない。
 しかし一方で、どうしようもなく現実的でもあり、このふたつの要素がまだらに入り混じるところが、監督の喜劇なんだろう。

 大きく欠けてしまった心を抱く者同士、ノリオと明美。ふたりは自身のそれを言わない。
 だからこそ、優しい。 これは愛?

1-0 教師の明美(目黒真希)は、高校生のノリオ(森岡龍)に対し、自分は駆け落ちのプロだという。
 その日、ノリオは明美にせかされ、住み慣れた田舎を後に、ふたりは東京へ出た。

 まずは、ふたりはそれぞれの携帯電話を渋谷川に捨てる。
 そして、日当たりのいい部屋を借りた。明美はノリオに言う。
 「私はお金持ちなの。前々から言ってるとおり、ノリオは勉強して弁護士になるの。勉強しなさい。」 「はい先生」
 
 明美:「How are you?」 明美はいつもノリオに、こう問いかけるが、
 ノリオ:「ア、アム、アム・・・」
 明美:「I'm fine thank you. and you? でしょう」
 ノリオは覚えが悪い。

 話が進むうちにわかること。
 ノリオの両親はそろって自殺した。
 ノリオと明美の出会いは、両親の自殺のその直後、後追い自殺しようと、ノリオが首つりしている、「その最中」に、明美先生が家庭訪問に訪れたのだった。
 その後、ノリオはひとりで自宅に住み続けるが、家はゴミ屋敷になっていた。

 さて、明美とノリオの話に、サブストーリーが3つ絡んで、明美とノリオの東京生活が明らかになって行く。
 サブの話のひとつは、高校生同士(吉谷彩子、前野朋哉)の恋愛で女子が妊娠。この女子がカラオケ屋でバイトをしていて、この店で明美先生もノリオに内緒でバイトを始めるが、ノリオの前では要領がいい先生は意外にも、役立たず・・。さらには、そんな様子をノリオが見てしまう。
 一方、この女子高生を気遣うノリオを遠目に目撃した明美先生は、ノリオが浮気していると嫉妬する。
 結局、駆け落ちのプロ・明美先生は、このカップルを駆け落ちさせようと奮闘することに。
 次ぎのサブストーリーは、ノリオが偶然出会った謎の女性・康代(勝俣幸子)に、ノリオは公園の多目的トイレで童貞を奪われる。
 三つ目は、両親がいない野球ファン少年・安太郎(渡部駿太)がノリオに出会う話。

 そして、こんな何やかにやがあった、3年後。
 田舎を出たはずのノリオは、田舎の自宅に戻っていた。
 そしてある日、ノリオは畑の中のバス停で、バスを降りたばかりの、明美先生を発見する。
 明美はノリオに、笑顔を返すのであった。

下2監督・脚本:石井裕也|2009年|90分|
撮影:高木風太|
出演:田中明美(目黒真希)|佐伯ノリオ(森岡龍)|女子高生・一瀬メグミ(吉谷彩子)|男子高生・竹友(前野朋哉)|野球好きな安太郎(渡部駿太)|謎な女・康代(勝俣幸子)|ノリオの同級生のひとり・康隆(中村無何有)|ほか

【「ちょっと変な映画」 特集  でも、どれも可笑しい話です】
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1年前・3年前・5年前の5月、一夜一話。 (2016年5月・2014年5月・2012年5月の掲載記事

  • Posted by: やまなか
  • 2017-05-16 Tue 06:00:00
  • 映画
1年前の5月に掲載した映画です。
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1ファンシイダンス      2ドキュ
「ファンシイダンス」        ドキュメンタリー映画特集
 監督:周防正行            ・・・これまでに記事にした映画です。
 本木雅弘
3カリガリ博士      4女はみんな生きている      5熱病
「カリガリ博士」(1920年)     「女はみんな生きている」      「熱病」
 監督:ロベルト・ウイーネ     監督:コリーヌ・セロー       監督:アグニエシュカ・ホラント
 ドイツ              フランス              ポーランド
6海に出た夏の旅      7火車 HELPLESS      8宇宙人王(ワン)さんとの遭遇
「海に出た夏の旅」        「火車 HELPLESS」        「宇宙人 王さんとの遭遇」
 監督:セミョーン・アラノヴィッチ  監督:ピョン・ヨンジュ 監督:アントニオ・マネッティ、マルコ・マネッティ
 ソ連               韓国               イタリア

3年前の5月に掲載した映画です。
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「森崎書店の日々」      「夜明けのうた」        「競輪上人行状記」
 監督:日向朝子        監督:蔵原惟繕         監督:西村昭五郎
 菊池亜希子          浅丘ルリ子              小沢昭一    
4_201505080926017de.jpg      5_2015050809260395d.jpg      6_20150508092604b2f.jpg    
「大阪物語」          「HARUKO ハルコ」      「月はどっちに出ている」
 監督:市川準         監督:野澤和之          監督:崔洋一
 池脇千鶴、田中裕子      ドキュメンタリー         岸谷五朗、ルビー・モレノ
7_20150508093302a3d.jpg      8_20150508093303fc9.jpg      9_20150508093305e88.png  
「パリ・エキスプレス」     「ウィズネイルと僕」      「アイス・カチャンは恋の味」
 監督:エルヴェ・ルノー    監督:ブルース・ロビンソン    監督:阿牛(アニュウ)
 フランス            イギリス            マレーシア    
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「雲が出るまで」        「シクロ」           「サニー 永遠の仲間たち」
 監督:イェシム・ウスタオウル  監督:トラン・アン・ユン   監督:カン・ヒョンチョル
 トルコ             ベトナム(仏)         韓国

5年前の5月に掲載した映画です。
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  5年前の5月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2012年5月 Archive
1嵐を呼ぶ十八人      2踊子2      3めぐりあい
「嵐を呼ぶ十八人」       「踊子」             「めぐりあい」
監督:吉田喜重         監督:清水宏           監督:恩地日出夫
                淡島千景、京マチ子         酒井和歌子
4アトムの足音が聞こえる      5けものがれ、俺らの猿と       6キッドナップ・ブルース
「アトムの足音が聞こえる」   「けものがれ、俺らの猿と」    「キッドナップ・ブルース」
 音響デザイナー:大野松雄    監督:須永秀明          監督:浅井慎平
7雲の上      8明日やること ゴミ出し 愛想笑い 恋愛      9修羅雪姫」・「修羅雪姫 怨み恋歌
「雲の上」          「明日やること ゴミ出し・・。」 「修羅雪姫」・「修羅雪姫 怨み恋歌」 
監督:富田克也(空族)     監督:上利竜太          監督:藤田敏八
                谷村美月             梶芽衣子
10新宿泥棒日記      2-0_20160529214840142.jpg
「新宿泥棒日記 」        6年前の5月の一夜一話は、こちらから
 監督:大島渚
11海と大陸      12フロスト×ニクソン      13記憶の棘
「海と大陸」          「フロスト×ニクソン」     「記憶の棘」
 監督:E・クリアレーゼ     監督: ロン・ハワード      監督:ジョナサン・グレイザー  
 イタリア映画祭2012                       ニコール・キッドマン
↑アフリカの難民が地中海を渡りイタリアへ密航する映画です

14コンフェッション      15ルイーサ
「コンフェッション」      「ルイーサ」
 監督:ジョージ・クルーニー   監督: ゴンサロ・カルサーダ

映画 「GO NOW」  監督:マイケル・ウィンターボトム

上


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カレンとニック


 スコットランドの、ある街に住み、地元で働く男女のラブ・ストーリー。
 苦難の壁をふたりして乗り越え、ようやっとハッピーエンドの結末を迎えます。
 スコットランドらしい雰囲気を味わえます。(行ったことはないですが)

 ニックは、歴史的な建築の外装修理の現場で、職人として働いています。
 休日は地元のアマチュア・サッカーチームで汗を流しています。
 チームのメンバーは、ニックの飲み友達であり悪友です。

 カレンは、小さなホテルのラウンジで働いています。
 ホテルの上司チャーリーは前々からカレンにお熱で、一方、カレンも上司が嫌いじゃないし、遅刻しても見逃してくれるとか融通を利かせてくれるのをいいことに、だらだら続く職場不倫。
 カレンの私生活は、ポーラという女性と部屋をシェアして住んでいます。

 そんなある日、ニックとカレンは出会います。
 ふたりは、すぐに好き同士になるのですが、ニックは、カレンが上司と付き合っていることを知っています。カレンはそれを認めるでもなく否定するでもなく、そんな態度でした。上司の男はニックよりもずっと高給取りです。

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 そして、それでもニックとカレンは部屋を借りて一緒に住み始めます。
 幸せな日々が続くように見えた、その矢先、ニックの身体に自覚症状のある異変が生じます。
 それは、手のしびれから始まり、徐々に異変は広がり、モノが二重に見える複視、排尿障害、ついに歩行障害に至り、車椅子生活を余儀なくされます。多発性硬化症という難病でした。
 生活の一部であったサッカーは諦めざるを得ません。

 もちろん、その間、専門医へ通い、入院、リハビリをしました。
 カレンは、ニックの闘病を懸命に助けます。診察や検査やリハビリに立ち会い励まし、多発性硬化症の専門書を密かに読み、病床に付っきり、退院後はリハビリのためのランニングでも伴走しました。食事療法も彼に提案します。
 また、ニックのサッカー仲間たちも彼を見舞い見守ります。
 しかし、一時の小康状態はあったものの、病は治りません。車椅子生活です。

 ニックはカレン以上に悩みます。誰でも、難病の診断が下されては、平常心ではいられません。
 ニックは言います。もし、私が難病にならなかったら、お前はとうに私から離れて行ったよね。お前が、今も上司チャーリーと会っていることは、街のうわさで知ってるよ。それに、お前が私のあれこれ全部を仕切っているのに、うんざりだ。

 確かに、カレンは上司とホテルで会っていました。
 また、元ルームメイトのポーラに会った時、ポーラに「もう別れたら」と言われ、「結婚の約束をしたわけじゃないし・・・」ともカレンは言っていました。
 ニックに対する憐れみ(憐憫)の呪縛の中に、カレンはいるのでしょうか。カレンはカレンで葛藤しています。


3-0_2017051214533586d.png ついに、ニックは決断します。この部屋から出て行け!
 ニックは、カレンの服やなにもかもをタンスから出して、すべて放り投げます。
 カレンはニックのアパートの外で、雨の中、じっと立ちすくんでいます。それを窓越しにちらりと見るニック。
 ニックは外に出て、去れと追い打ちを掛けます。
 そしてそれから、どのくらい経ったのでしょうか、カレンはまだアパートの前にいます。またニックは外へよろよろと出て行きました。
 そしてニックは、カレンへ歩みより、カレンに寄りかかるようにして、言った。
 「愛してる」と。そう言ってふたりは抱きしめ合うのでした。



 難病をテーマにした、よく有り勝ちなドラマとは、数段違います。(ことさらに難病を売りにする売り文句はやめましょう。)
 ニックのサッカー仲間のトニーは、以前から誰彼かまわず、きつい冗談を言います。難病になったニックにも、彼の心を理解しないかのような冗談をトニーは言います。
 一方、ニックが振るえる身体で、何とかビリヤードをしているのを見て、親しいサッカー仲間は押し黙り、じっと見詰めます。
 映画は、時折、ニックに同情しません。カレンの浮気もそういう観点から描かれています。
 こういう辛口さが、本作の味でもあります。

下 しかし、映画はギャグも忘れません。映画に何回か挿入されるモノクロシーンは、静止画の連写(フリーズフレーム)手法で、笑いを提供します。
 加えて、各シーンに流れる音楽は、元気の出るソウルミュージック。アメリカのソウルシンガー、ジョー・テックスが、時にボブ・マーリーのレゲエも流れます。重苦しいシーンであっても、明るい活力を呼び起こすスパイスとして、音楽が効果的に使われています。
 地味な映画と言っちゃ、それまでですが、マイケル・ウィンターボトム監督の映画、いいです。
 

オリジナルタイトル:Go Now
監督:マイケル・ウィンターボトム|イギリス|1995年|83分|
脚本:マイケル・ウィンターボトム、ポール・ヘンリー・パウエル、ジミー・マクガヴァーン|
撮影:ダフ・ホブソン|
出演:ニック(ロバート・カーライル)|カレン(ジュリエット・オーブリー)|トニー(ジェームズ・ネスビット)|カレンのルームメイトでトニーと付き合う様になる女性・ポーラ(ソフィー・オコネド)|サミー(バーウィック・ケイラー)|デル(ダレン・タイ)|ジョージ(ショーン・マッケンジー)|ほか

【マイケル・ウィンターボトム監督の映画】
 これまでに記事にした作品から。以下のタイトル名をクリックしてお読みください。

バタフライ・キス」  「ひかりのまち」  「アイ ウォント ユー


5-0_20170512150916ebd.png【 一夜一話の 歩き方 】

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映画 「ブルース・ブラザース」  監督:ジョン・ランディス

上



上4













ツイン・ボーカルのブルース兄弟。弟分エルウッドと、兄貴のジェイク。


 ド派手なカー・アクション付きの喜劇映画です。
 音楽あふれる映画ですが、ミュージカルじゃありません。ミュージシャンが主人公の、ドタバタ・アクション・コメディです。
 さて、お話と音楽、これを分けて紹介して行きましょう。

1-0_201705112256109d5.jpg
 【お話】
 ジェイク・ブルース(ジョン・ベルーシ)と、エルウッド・ブルース(ダン・エイクロイド)、このブルース兄弟が主人公です。
 兄弟と言っても実の兄弟じゃない、ジェイクの弟分がエルウッド。ともに教会が運営する孤児院で育ったのです。

 ふたりは、かつて仲間と、“ブルース・ブラザース・バンド”という名のバンドを組んで、ファンキーなソウルナンバーを得意として酒場を回り、ライブ演奏して稼いでいました。
 しかしあることでジェイクは監獄へ。そして仮釈放の日、弟分エルウッドが刑務所に迎えに来た。ここから映画は始まります。

 兄弟は、兄ジェイクの出所を報告するため、まずは、孤児院の院長シスターに会いに行きます。
 そこで知った事。それは、教会が資金難で孤児院の税金が払えないでいること。そして数日以内に5000ドルを納税しないと、孤児院は閉院せざるを得ないという緊急事態。
 映画は、この数日間にブルース兄弟が、バンド仲間や、警察、ネオナチ団体、カントリー&ウェスタン・バンド、そして謎の女、果ては軍隊を巻き込んで展開する、慌ただしい波乱万丈を描きます。
 そして、ラスト。何台ものパトカーに追われる兄弟は、市中でのド派手なカーアクションの末、なんとか締切日ギリギリで、5000ドル耳をそろえて税務署へ納税します。え、どうやって5000ドルを? そして結末は?それは観てのお楽しみ。

2-0_201705112318587be.jpg
 【音楽】 
 幼い兄弟に音楽を教えたのは、孤児院の管理人の老人で、兄弟の養父といってもいい、カーティスじいさん(キャブ・キャロウェイ)でした。また、カーティスじいさんはジェイクの出所後も兄弟を心配し、陰で支えます。
 キャブ・キャロウェイ(1907 - 1994)は、1930~1940年代に活躍した著名なジャズのビッグバンド・リーダーで歌手でもありました。
3-0_20170511232211e7e.jpg 映画ラスト近くで、兄弟は5000ドルを一気に稼ぐため、大ホールでワンマンコンサートを開くのですが、二人は警察やらに追われて開演に遅れる。そこで時間稼ぎのため、カーティスじいさんは、ソウルバンドをバックに歌います。貴重なシーンです。
「ミニー・ザ・ムーチャー」という彼が登場し語る、ドキュメンタリー映画(1981年)があるので、気が向いたらそのうち掲載します。

 そのほかに、映画は3人のビッグスターのソウルシンガーを登場させます。
 その1人は、カーティスじいさんが「会って来い」と兄弟に言った、ジェームス牧師(ジェームス・ブラウン)。
 次は、散り散りになっていたバンド仲間を、兄弟が集めて向かった先の楽器店、そこの主人、 レイ・チャールズ。
 3人目は、バンド仲間のひとりが嫁の尻に敷かれて働いている食堂、その嫁で食堂の女主人のアレサ・フランクリン。
 ジェームス・ブラウンは教会内で牧師風ゴスペルを歌い、レイ・チャールズは楽器店内で楽しそうにエレクトリック・ピアノを弾きソウルを歌い、アレサ・フランクリンは食堂内で、旦那に向かって、「私をとるのかバンドをとるのか、どっち!」と怒りながらソウルを歌う。
 
 そしてバンド仲間に、ベースのドナルド・ダック・ダン、ギターのスティーヴ・クロッパーが実名で出演しています。
 このふたりは、かつてブッカー・T&ザ・MG'sというバンドのメンバーで、主にスタジオ・ミュージシャンとして、数多くの著名なソウルシンガーや名プロデューサーと共に、録音スタジオで名曲を作り上げました。
 
 ちなみに、ブルース兄弟のブルースとは、その名がジェイク・ブルースとエルウッド・ブルースだからの、ブルースです。
 確かに1曲、兄弟はステージでブルースを歌いますが、“ブルース・ブラザース・バンド”はソウルバンドです。
 正真正銘なブルースは、有名なブルース・ミュージシャンのジョン・リー・フッカーが登場し、路上で演奏するシーンがありますね。

オリジナルタイトル:The Blues Brothers
監督:ジョン・ランディス|アメリカ|1980年|133分|
脚本:ダン・エイクロイド、ジョン・ランディス|撮影:スティーブン・M・カッツ|
出演:ジェイク・ブルース(ジョン・ベルーシ)|エルウッド・ブルース(ダン・エイクロイド)|孤児院の管理人カーティスじいさん(キャブ・キャロウェイ)|ジェームス牧師(ジェームス・ブラウン)|レイ楽器店、盲目の店主(レイ・チャールズ)|バンドマンの嫁で食堂の女将(アレサ・フランクリン)|バンドのギター(スティーヴ・クロッパー)|同じくバンドのベース(ドナルド・ダック・ダン)|路上で歌うミュージシャン(ジョン・リー・フッカー)|イリノイ州カルメット市 聖ヘレン養護施設シスター(キャスリーン・フリーマン)|ジェイクを追う謎の女(キャリー・フィッシャー)|ナチ司令官(ヘンリー・ギブソン)|バートン刑事(ジョン・キャンディ)|エルウッドにGSでナンパされる女(ツイッギー)|納税課職員(スティーヴン・スピルバーグ)|聖歌隊メンバーのひとり(チャカ・カーン)?|そのほかのバンドのメンバー6人:マーフィ・ダン、ウィリー・ホール、トム・マローン、ルー・マリーニ、マット“ギター”マーフィ、アラン・ルービン|ほか

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映画 「憲兵とバラバラ死美人」  監督:並木鏡太郎

上2
殺された女、百合子(三重明子)

 時は昭和12年、仙台歩兵第四連隊の敷地内で発覚した猟奇殺人事件のお話。

1-0_20170506211933332.png 連隊内で飲料水として使っている井戸から、若い女性の胴体が引き上げられます。その女性は妊娠していました。
 さて、殺人犯は連隊兵士だとみて、地元警察ではなく、憲兵隊が捜査を開始します。

 この映画は60年前に製作された娯楽作品です。映画公開当時は「バラバラ死美人」というショッキングな内容を楽しめたのかも知れませんが、今の感覚で観ると、犯罪ミステリー映画です。衝撃度への期待は裏切られます。でも、悪くはないです。

2-0_20170506214044305.png
 映画の内容は、1950年代によく作られた、刑事事件ドラマや怪談もの映画の、典型的なスタイルをとりながらも、コミカルさも忘れない作りです。
 ただし本作では、犯人捜査をする主役の刑事を、憲兵隊の曹長(下士官)に置き換えています。
 当時の、典型的なドラマ・スタイルを楽しみましょう。
 
 遺体発見後、憲兵の小坂曹長(中山昭二)が、仙台連隊長の招きで東京からやってきます。彼は腕利きの捜査官です。
 一方、地元、仙台の憲兵隊も捜査を始めていて、小坂曹長と事件解明でつばぜり合いになります。

 殺された女性、百合子(三重明子)、犯人の君塚軍曹(江見俊太郎)、この二人の登場シーンは少ないのですが、共に存在感ある俳優で、とても印象に残ります。この映画の見どころです。

 主演の小坂曹長(中山昭二)は、憲兵にしては温和な性格。地道に証拠を探し推理し、また地元警察の老刑事をうまく活用します。
 その小坂曹長の部下、高山(鮎川浩)は、曹長を助けながらも、コミカルで軽妙な演技をしています。

 東京から来た小坂曹長と高山が宿とした家は、高山の幼なじみの、しの(江畑絢子)という女性の家でした。この、しのの快活さと、高山の可笑しさが楽しいです。高山は、しのが好きです。
 また、しのの姉、喜代子(若杉嘉津子)は、飲み屋を切り盛りする、色っぽい独身女性。彼女は小坂曹長に一目惚れ、曹長もまんざらでもない。

 こういうサイドストーリーを脇に従えながら、小坂曹長と高山による犯人捜査は続けられます。
 そして、犯人逮捕のため、小坂曹長は満洲へ渡ります。
 満洲へ移動した仙台歩兵第四連隊に犯人の君塚軍曹もいて、彼はさらに連隊を離れてハルピンに逃げていました。 
 
 ちなみに、地元憲兵隊によって誤認逮捕され、取り調べで拷問にあう恒吉軍曹(天知茂、この時26歳)。若いながらも既に、あの天知茂特有の薄暗い魅力たっぷりです。

監督:並木鏡太郎|1957年|73分|
原作:小坂慶助|脚色:杉本彰|撮影:山中晋|
出演:小坂徳助曹長(中山昭二)|小坂の部下でヒラの憲兵・高山忠吉(鮎川浩)|被害者・伊藤百合子(三重明子)|殺人犯の軍曹・君塚八太郎(江見俊太郎)|小坂が宿にした家のあるじ・加島喜代子(若杉嘉津子)|喜代子の妹で高山の幼なじみ・加島しの(江畑絢子)|萩山憲兵曹長(細川俊夫)|刈田憲兵伍長(小高まさる)|井部憲兵隊長(倉橋宏明)|坂本憲兵大尉(高松政雄)|金田(三村俊夫)|田所(明日香実)|恒吉軍曹(天知茂)|山本(西一樹)|細井(浅見比呂志)|酒井(築地博)|小俣軍曹(池月正)|内務班の古年兵A(山岡正義)|内務班の古年兵B(宇田勝哉)|西村衛生伍長(館正三郎)|高梨(加藤章)|田中(小浜幸夫)|守谷刑事部長(岬洋二)|馬渡老刑事(久保春二)|医師の石川博士(児玉一男)|石川博士の助手(千葉徹)|鴨下妙子(松浦浪路)|清の家の女将(津路清子)|文子(小野彰子)|老姿およし(五月藤江)|歯科医(武村新)|村井夫人(高岡久美子)|

下


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映画 「ションヤンの酒家 (みせ)」 中国映画 監督:フォ・ジェンチイ

上

1-0_2017050122192760c.jpg
 お話の舞台は、市街地再開発が盛んな頃の、中国の大都市、重慶市です。
 この重慶の片隅にある下町、吉慶街(チーチンジェ)という所は、10数年前に出来た小さな飲食街ですが、店内で調理して、道にテーブルと椅子を出して客をもてなす、昔ながらの雰囲気を残す飲食街です。
 独身で美人の女主人ションヤンは、長年、ここで鴨の首(鴨肉)を「売り」にする、酒家を営んでいます。
 ですが、この吉慶街の一画については、今まで幾度も再開発の噂がありました。そして、また、新たな計画の話が噂され始めました。

 映画は、ともに苦労人の男女のラブストーリーに、この再開発の一件を絡ませます。
 ただし、この映画、登場人物の説明が、いろんな場面のセリフの中でなされるため、字幕を見過ごすと、身分差がある単純な恋愛ものにしか見えないかもしれません。(過去を振り返るなど説明のために挿入するシーンはありません。)

 さて、主人公の女主人ションヤンについての話を始めましょう。
 長年、吉慶街で店を営んでいると言いましたが、それにしてはションヤンは若くみえます。でもたぶん、30代前半でしょう。
 ションヤンは10代の頃、切羽詰まってこの商売を始めたようです。
 彼女の母親は、彼女の弟を産んで他界し、そして父親は愛人が出来て、家を出て行きました。
 ションヤンは生きて行かねばなりませんでした。そのうえ弟のジュウジュウを母親代わりに育てなくてはなりません。彼女は、何ごとも自分のやり方で問題解決する、勝ち気さを身につけて行きました。
 実はこの映画、ションヤンの恋物語以外に、たくさんの事を語りかけます。以下、ションヤンという女性の背景です。

2-0_20170501223714464.png
 ションヤンの弟ジュウジュウが、この2年前から麻薬に手を出してしまいます。ミュージシャンになれなかったからでしょうか。
 中毒症状が激しくなって、ションヤンはジュウジュウを、重慶にある薬物中毒の更生施設に密かに入れました。
 
 ションヤンの店には、住込みの女の子が働いています。アメイといいます。働き者です。ションヤンも頼りにしています。
 アメイはジュウジュウが好きです。でも、この愛は一方通行のようです。まして施設内で禁断症状のジュウジュウは、それどころではありません。ですが、ションヤンはジュウジュウとアメイを一緒にさせようと思っています。
 また、田舎に住むアメイの親が、我が娘をションヤンに預ける時に、「都市の戸籍が欲しい」とションヤンに頼んだことも、彼女は忘れてはいませんでした。

 かつて、ションヤンの父親が家を出た後、父親は住んでいたアパートを人に貸したのですが、その後、今の住人(その甥)は、部屋を明け渡してくれません。ションヤンは、この部屋をジュウジュウとアメイが住む部屋にあてたいと前から考えていました。
 そこでションヤンは、実家のこの権利問題を何とか解決したいと、何度も役所(住宅管理所)に通っては、その所長に相談していました。

 その所長には、ウツ症状の大学生の息子がいることを、ある時ションヤンは知ります。
 実家を取り戻したいションヤンは、所長にうまく取り計らってもらいたいために、彼の息子とアメイを一緒にさせようと画策します。天秤に掛けたのです。
 アメイにジュウジュウをあきらめさせ、同時に実父にも働きかけて、実家はションヤンの名義となりました。
 のちにションヤンは、高層マンションに住まう裕福なアメイを訪問します。(重慶の戸籍を取得しました)

 そして、もうひとつのサイドストーリー。
 ションヤンには、影の薄い兄がいます。株に熱をあげる女房の尻に敷かれています。
 兄夫婦にはトアルという一人っ子がいます。出産時、この女房は母乳が出ず、流産したばかりのションヤンが母親代わり(乳母)をしました。そして今も、ションヤンは小学生のトアルを預かっています。
 これまで、恋多きションヤンですが、どれも長続きしませんでした。そして、まだ若きションヤンですが、弟のジュウジュウとトアルを我が子のように育ててきました。
 なのに、兄嫁はションヤンに辛く当たります。将来、トアルが住むべき部屋を、勝手に名義変更したと。

3-0_201705020846100cd.jpg
  さて、こうした面倒な事の真っ最中に、ションヤンは恋をしました。
 相手は中年の客、卓さん。当初、彼は足しげく店に通って来ては、いつも離れた席から遠目にションヤンを眺めていました。
 彼は高級車に乗っています。ふたりの噂は吉慶街で広まって行きます。
 しかし、実は彼は吉慶街地区の再開発プランを推進する民間側のボスだということが、郊外に出たデートの帰りに発覚します。ションヤンは怒りを抑えることができませんでした。
 さらには、彼はションヤンの今後については、十分面倒見ようと言いますが、結婚する気はありませんでした。
 ションヤンは激しく降る雨の中、卓さんの車を降りて、ひとり立ち去って行きました。
 
 この話、小説という方法ではうまく表現できても、映画にするには難しい題材です。
 映画は、込み入った多くの事を、ていねいに語るには向いてないかもしれません。
 でも、ションヤン役の女優・タオ・ホンを起用し、一点突破したようです。
 ただ、少し残念なのは、ションヤンに対する態度を急変させる卓さんの唐突さ、及びアメイのその後が、十分に描き切れていないこと。

オリジナルタイトル:生活秀
監督:フォ・ジェンチイ|中国|2002年|106分|
原作:チ・リ|脚本:チウ・シー|撮影:スン・ミン|
出演:ションヤン(タオ・ホン)|卓さん(タオ・ザール)|弟ジュウジュウ(パン・ユエミン)|兄(チャン・シーホン)|兄嫁(ウー・ルイシュエ)|兄の息子トアル(リー・ショウチェン)|アメイ(ヤン・イー)|住宅管理所所長(ロ・ドーユァン)|所長の息子(リュウ・ミン)|ションヤンの父(ジャン・ミンショウ)|ションヤンの義母(ズン・メイズウ)|

【 一夜一話の 歩き方 】下1

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2年前・4年前・6年前の4月、一夜一話。 (2015年4月・2013年4月・2011年4月の掲載記事です)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-04-30 Sun 06:00:00
  • 映画
2年前の4月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  2年前の4月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。   (2015年4月 Archive

1のんちゃんのり弁     2にっぽん泥棒物語     3イザイホウ
のんちゃんのり弁」     「にっぽん泥棒物語」     「イザイホウ - 神の島・久高島の祭祀
 監督:緒方明         監督:山本薩夫        監督:野村岳也
 小西真奈美           三國連太郎           沖縄のドキュメンタリー
4無宿     5atg.jpg
無宿」           「ATGの映画
 監督: 斉藤耕一        これまでに記事にした作品群です。
 勝新太郎、高倉健、梶芽衣子
11おみおくりの作法     12殺人の追憶     13わすれな草
おみおくりの作法」     「殺人の追憶」        「わすれな草
 監督:ウベルト・パゾリーニ   監督:ポン・ジュノ      監督:イップ・カムハン
 イギリス・イタリア合作    韓国             香港
14チョン・ウチ  時空道士     15アルファヴィル     16ストラッター
チョン・ウチ  時空道士」  「アルファヴィル」      「ストラッター
 監督:チェ・ドンフン   監督:ジャン=リュック・ゴダール 監督:カート・ボス、アリソン・アンダース
 韓国             フランスイタリア       アメリカ
17ソポトへの旅
ソポトへの旅
 監督:ナナ・ジョルジャーゼ
 グルジア

4年前の4月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  4年前の4月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  (2013年4月 Archive

1愚か者 傷だらけの天使    2もっとしなやかにもっとしたたかに        3母なれば女なれば
「愚か者 傷だらけの天使」 「もっとしなやかにもっとしたたかに」 「母なれば女なれば」
 監督:阪本順治       監督:藤田敏八            監督:亀井文夫  
               森下愛子                山田五十鈴
4赤い波止場     5純愛物語
「赤い波止場」        「純愛物語」
 監督:舛田利雄        監督:今井正
 石原裕次郎、北原三枝     中原ひとみ
11ルナ・パパ      12グッバイ・ファーストラブ     13スカイラブ
「ルナ・パパ」         「グッバイ・ファーストラブ」 「スカイラブ」
監督:バフティヤル・フドイナザーロフ 監督:ミア・ハンセン=ラブ 監督:ジュリー・デルピー
14カンバセーション…盗聴…     15まぼろし     16カラスの飼育  
「カンバセーション…盗聴…」  「まぼろし」         「カラスの飼育」
監督:フランシス・フォード・コッポラ 監督:フランソワ・オゾン 監督:カルロス・サウラ
                  シャーロット・ランプリング
17ブラウン・バニー     18ザ・フューチャー     19ベアスキン 都会の夜の一幕寓話  
「ブラウン・バニー」     「ザ・フューチャー」     「ベアスキン 都会の夜の一幕寓話」
 監督:ヴィンセント・ギャロ  監督:ミランダ・ジュライ   監督:アン・ゲディス、 エドワード・ゲディス
   
20ゆずれない事    
「ゆずれない事」
 監督:ペーター・フィッシュリ、ダヴィッド・ヴァイス

6年前の4月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  6年前の4月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2011年4月 Archive

1ひみつの花園      2亀虫      3約束
「ひみつの花園」        「亀虫」            「約束」
 監督:矢口史靖           監督:冨永昌敬          監督:斎藤耕一
 西田尚美                            岸 恵子,萩原健一
4宇宙快速船
「宇宙快速船 ~ アイアンシャープ」
 監督:太田浩児
10UFO少年アブドラジャン      11ピノイ・サンデー      12サラ・ムーンのミシシッピー・ワン
「UFO少年アブドラジャン」  「ピノイ・サンデー」      「サラ・ムーンのミシシッピー・ワン」
 監督:ズリフィカール・ムサコフ  監督:ウィ・ディン・ホー    監督:サラ・ムーン
 ウズベキスタン         台湾              フランス
13夏至      14アリスの出発      15クロッシング・ザ・ブリッジ
「夏至」            「アリスの出発」        「クロッシング・ザ・ブリッジ」
 監督:トラン・アン・ユン    監督:レティシア・マッソン   監督:ファティ・アキン
 フランス=ベトナム       フランス            トルコ=ドイツ(民俗音楽ドキュメンタリー)
16ほえる犬は噛まない      17一年の九日      18タクシー・ブルース
「ほえる犬は噛まない」     「一年の九日」         「タクシー・ブルース」
 監督: ポン・ジュノ       監督:ミハイル・ロンム     監督:パーヴェル・ルンギン
 韓国              ソ連              ソ連

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映画 「真夏の素肌」 ロシア映画 監督:ニギーナ・サイフルラーエワ

上
手前がセルゲイ、奥がサーシャ、右がオーリャ。オーリャの実父が、このセルゲイ。

 娘と父をテーマにする佳作。一見、青春映画らしい爽やかな表現をとっているが、少々トゲがある。

 モスクワに住むオーリャとサーシャは共に17歳で、卒業間近な女の子。
 このふたりの女の子が、真夏の黒海の海辺で過ごした、数日を描く物語。

1-0_20170428144553f3b.jpg オーリャは父親を知らず、母親と義父に育てられた。サーシャも父親が無くて育った。
 頭はいいがいつも控えめなオーリャ、一方サーシャは特に男性に対して奔放な子、ふたりは親友だが性格は正反対。

 黒海へ行く旅のプランは、実は、オーリャが実の父親に会ってみたい、と言い出したことが発端だった。
 しかし、行くことに決心したものの、初めて会う父親はどんな男なのか、会って何を話せばいいのか、そんなことに悩むオーリャに、サーシャは「ふたりが入れ替わろう」と提案する。つまり、オーリャがサーシャに、サーシャがまだ見ぬ父親の娘に、成りすます。

 そうして、ふたりはオーリャの父親セルゲイを訪ねた。彼は、黒海の海辺に建つ、粗末な一軒家にひとり住んでいた。
 事前に知らせはしたようだが、セルゲイはふたりを拒否するでもなく歓迎するでもなく、黙って家に招き入れ、そしてそれから、この三人の、数日の物語が始まる。

 セルゲイも、娘のオーリャを一度も見たことは無い。
 かつて、黒海のこの地に住むセルゲイと、モスクワから来たオーリャの母親はここで愛が芽生えた。
 しかし、何があったのか、彼女はその後ひとりモスクワへ帰ってしまった。それ以来、セルゲイはオーリャの母親に会っていない。そして母親はモスクワでオーリャを出産したのだった。

 “父と娘の初めての出会い”を演ずるサーシャを、そばで見守るオーリャは、恥ずかしさも不安も無く、父親を客観的に見ることができた。
 片や、父親がいないで育ったサーシャは、セルゲイに父親的な存在感を感じてうれしい、そして、ちょっといい男。
 でも、セルゲイは娘に対して、いい感情を抱けないでいる。露出度の多い蓮っ葉なファッション、村の男キリルに積極的に迫って行く娘。(実はサーシャだが) 

 だが、そんなセルゲイ自身も、若い女性とその一時を楽しんでいることがわかる。
 オーリャは思う。こんな粗野な男をなぜ母親は好きになったのか。おまけに、セルゲイの稼ぎは夜間の密漁のようだ。

2-0_20170428145316252.png そんなこんなを見たオーリャは、実父に嫌悪感を抱き始める。
 「私が実の娘です」と言う気も無くなり、行き詰ったオーリャは自暴自棄に陥る。オーリャはその夜、サーシャが付き合いだしたキリルとドラッグパーティで一夜を明かした。
 そしてまた、その夜は、サーシャがセルゲイや密漁仲間と一緒に漁へ出かけた夜だった。このことがきっかけで、サーシャとセルゲイの距離は縮まった。

 オールナイトのドラッグパーティが終わったその朝、砂浜で下着姿で目を覚ましたオーリャは、実父に(嫌悪感を抱きつつも)涙ながらに、私が娘だと告白の電話をした。
 セルゲイはこれを聞いて、漁から帰ったサーシャを家から追い出した。しかし、サーシャは夜になって密かにセルゲイの納屋に入り込むのであった。

 ラストシーン。オーリャとサーシャが、海の見えるバス停でバスを待っている。
 オーリャは二つ目の告白をサーシャにする。「私、あなたの彼キリルと寝たわ。」
 それを聞いたサーシャは、「そう」と言いながらオーリャに背を向け、海の方を見ながら、ひとりそっと微笑んだ。そう、それは言わぬ方がいい。

 さて、ふたりがやってきた黒海のこの海辺は、ウクライナの東、黒海に突き出たクリミア半島です。
 この映画製作の2014年、この地域はクリミア自治共和国としてロシア連邦に編入されました。ただし、ウクライナ政府およびアメリカ、欧州連合(EU)、そして日本などは、ロシアへの編入を認めていません。

オリジナルタイトル:Kak menya zovut|
英語タイトル:NAME ME
監督:ニギーナ・サイフルラーエワ|ロシア|2014年|91分|
脚本:リュボーフィ・ムリメンコ|ニギーナ・サイフルラーエワ|
出演:サーシャ(アレクサンドラ・ボルティチ)|オーリャ(マリーナ・ヴァシリエヴァ)|セルゲイ(コンスタンチン・ラヴロネンコ)|キリル(キリル・カガノヴィッチ)|スヴェタ(アンナ・コトヴァ)|

【 一夜一話の 歩き方 】下4
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映画 「戦国奇譚 気まぐれ冠者」(1935年) 監督:伊丹万作 (せんごくきたん きまぐれかじゃ)

上
「ヒゲの勘十」と「気まぐれ冠者」(片岡千恵蔵)

 この映画は、映画監督で俳優だった伊丹十三の父、伊丹万作(1900 - 1946)が、昭和10年に作ったコミカルな時代劇映画です。(トーキー作品)

1-0_20170423103831cee.jpg 表看板の主役は片岡千恵蔵で、浪人の「気まぐれ冠者」を演じていますが、この気まぐれ冠者に連れ添う、太っちょでちょっとヌケてる「髯(ヒゲ)の勘十」、この役を演ずる田村邦男という俳優が、とても素晴らしい。味があります。
 この人を主役として観るほうが、たぶん、この映画を楽しめると思います。(彼は日本大学相撲部出身だったそうです)
 (※冠者とは「若者」の意。ここでは、気まぐれ野郎ってな感じか)

 話の展開はゆったり進みます。
 旅する浪人の二人、気まぐれ冠者と髯(ヒゲ)の勘十は、山賊一味ともつながりがある、風来坊です。
 この二人は、ある藩が主催する御前試合の会場前を通りかかりました。(※殿さまの面前で行う武術試合)
 槍が得意な勘十が、これは面白そうだと、御前試合に飛び入り参加したことがきっかけで、二人は殿さまに家来として雇われることとなります。
 (どうでもいい事ですが……気まぐれ冠者は、のんきな殿さまから、「給与(禄)はいくら欲しいか」と出し抜けに聞かれ、たじろぎながらも抜け目なく希望金額を言います。勘十は、その額の多さに驚きます。
 しかし、すぐさま、殿の側近から予算的余裕は無いからねと耳打ちされた殿は、結局、気まぐれ冠者の希望金額を値切ります。でも一軒家が与えられます。厚遇ですよね。)


 さて、二人が仕官したこの国(藩)は、隣りの国が攻めてくることを恐れています。
 そこで、隣国が「攻めて来ないように」する、何か良い方法は無いものかと、殿さまはじめ家来たちは、これまでにも幾度も思案したのですが、良いアイデアは出てきません。
 まあ、この国はとても平和主義の国で、戦争は避けたいし、家来の武術レベルも低いようです。そして家来はみんな、間が抜けたのんびり屋です。おまけに殿さまは、はっきり言って阿呆です。
    ……………………………………
 そんななか、気まぐれ冠者は、隣国を偵察してみようと考えて、殿さまの許可を得ます。
 気まぐれ冠者は勘十を連れて、隣国に入りますが、不覚にも二人は捕まってしまい、城の牢屋に入れられてしまいます。
 しかし、牢屋の床の、ある敷石を持ち上げると、その下には地下へ降りて行ける抜け穴があることを発見し、二人は迷路のような抜け穴をたどって行きました。
 そして、行き止まりまで来ると、抜け道に天井がありました。気まぐれ冠者は勘十を踏み台にして、その天井を押し上げ、上の様子を見て、あっと驚きます。次に、どれどれと勘十も上の様子を見て驚きます。
 天井ように見えたのは、実は城内の部屋の床で、二人はその部屋の畳を持ち上げていたのです。そして、その部屋は、なんと、この国のお姫様、椿姫(市川春代)の部屋でありました。

 ひとり、この部屋にいた姫は、突然、床下から現れた二人を怖がっていましたが、気まぐれ冠者は絶妙に姫におべっかを使い、姫を懐柔することに成功します。
 そして、二人は、殿さまの前(お白州)に引き出されますが、殿の脇にいる姫の計らいで、殿さまは二人を釈放します。この国の殿さまも、バカ殿のようです。

 さて、ここから、気まぐれ冠者が考え出した、敵国攪乱(かくらん)作戦が始まります。
 その作戦の秘密兵器は、金の卵です。まずは金の卵を国中に知らしめます。
 そして、気まぐれ冠者と勘十、そして彼らの手下数名(知り合いの山賊)が、忍者姿となって行動し始めます。
 この国の、あちこちの農家のニワトリ小屋に、金の卵をそっと置いて行きます。そのうち、この国の人々は、そして殿さまも家来も、金の卵を産むニワトリを巡って、我を忘れ夢中になって行きます。国中が翻弄されます。隣国侵略どころではありません。作戦大成功。

 そんなわけで、気まぐれ冠者と勘十は馬にまたがり、この国で新たに手下にした人々を従えて、意気揚々と凱旋の途に就くのでした。めでたし。(馬にまたがって凱旋するシーンは、中国大陸を感じますね)

 本来、88分の尺の作品だそうですが、現存は75分なので、観れないシーンがあります。
 また、古い映画なので、音声が聞き取りにくい。よって、元は分かりやすい大衆向け仕立ての映画なのですが、話がイマイチ分からない。
 そのうえ、気まぐれ冠者と勘十が仕官した国の殿さま(伊藤隆世)と、隣国の殿さま(ジョウ・オハラ)の様子が似ているので、コンガラガル。(仕官した国の殿さまには、長いあごヒゲがある)
 それでも、ホンワリした、いい喜劇映画と言えるでしょう。

 本作の制作は1935年。この頃の時代背景。
 1931年、柳条湖事件に端を発して満洲事変が勃発、関東軍により満洲全土が占領される。その後、関東軍主導の下に同地域は中華民国からの独立を宣言し、1932年、満洲国建国に至った。
 こんな世情になかで、当時の人々は、この映画を観ていました。
 
 
この映画は、トーキーです。つまり無声映画じゃないです。
日本初のトーキーは1927年。
1938年当時でも、日本では映画製作の3分の1は、まだ無声映画だったそうです。

監督・原作・脚本:伊丹万作|1935年|88分 (現存75分)|トーキー、モノクロ|
製作:片岡千恵蔵プロダクション|撮影:石本秀雄|
出演:片岡千恵蔵(気まぐれ冠者)|田村邦男(髯の勘十)|伊藤隆世(殿様)|ジョウ・オハラ(敵国の殿様)|市川春代( 椿姫 敵国のお姫様)|尾上華丈(木曽猿)|瀬川路三郎( 関羽左衛門)|香川良介(隠密横目氏)|林誠之助(金神)|駒井燿(百足)|ほか

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映画 「夢のバスにのって」 ペルー映画  監督:フェルナンド・エスピノーサ、アレハンドロ・レガスピ

上
 3人の右端が、フリアナ。(男の子に成り済ましている)
 路線バスの車中で、歌って、空缶のパーカッションをたたいて、
 乗客から小銭をもらい稼ぐ。


 南アメリカの、ブラジルの西、太平洋に面する国、ペルー共和国の映画です。
 その首都リマの街で、明るく、たくましく、貧しくも、親に頼らず「自立して生きる」子供たちが、主役です。

1-0_20170419150549297.jpg 映画製作の1988年当時、ペルーは大変な経済危機とインフレにさらされていて失業率は60%以上、国は国家破産状態に陥る、1990年を目前にしていました。

 マリの街のスラム街に住む、12歳の女の子フリアナが主人公です。気立てのいい子です。
 彼女の母親は優しいですが、働きもしない継父はフリアナに乱暴です。
 母親は屋台の店を出して稼ぎますが、生活は苦しい。だからフリアナも、近くの大きな墓地で墓の清掃をして稼いでいます。

 フリアナの弟のクラビートは、すでに家を出ていて、近所の建物で暮らしています。
 そこには、クラビートのほかに8人の少年たちが同居しています。リマの街の子もいれば、ジャングルの奥地から来た子もいる。肌の色の黒い子も白い子もその中間の子もいます。

 彼らはリマの街でストリートチルドレンだったところを、ドン・ペドロという男が彼らを救い、そこは窓のない倉庫のような大部屋ですが、子たちに寝る場所と食事を与えています。
 そして、ドン・ペドロは子たちを使って金儲けをしています。街を走る路線バスの車内で、彼らに楽しい歌を歌わせ、乗客から投げ銭をもらう、そんな商売です。
 
 もちろん、ドン・ペドロは胴元としてピンハネをしますが、墓の清掃よりも、いい稼ぎになるのです。
 フリアナは、クラビートを頼って、ドン・ペドロの元で働き始めます。ただし、ここは男の子だけしか雇いません。
 そこでフリアナは髪を短く切って、男の子のような話しぶりで、働きました。
 もちろん、母親と離れて生活しなければならないのは辛かったようです。

 映画はストリートチルドレンすれすれの彼らの様子を、例えば少年たちの団結や仲間割れ、ドン・ペドロに対する反抗などを、明るく描いて行きます。

 ラスト近く、フリアナや弟クラビートをはじめ、ドン・ペドロに反抗したグループの少年たちは、胴元の家を出て、海岸の廃船に住み始めます。フリアナは、女の子の姿に戻っていて、女友達もいて、少年たちの世話役をしています。

 そして、ラスト。
 リマの夜、街を行くバスには、少年たちが乗っています。
 乗客の姿は無く、彼らだけです。車内では、みな歌い踊り、空缶をたたいてリズムをとっています。
 あれは「夢のバス」です。

下オリジナルタイトル:Juliana
監督:フェルナンド・エスピノーサ、アレハンドロ・レガスピ|ペルー共和国|1988年|98分|
脚本:レネ・ウェーバー|撮影:ダニー・ガヴィディア|
出演:フリアナ(ロサ・イザベル・モルフィーノ)|その弟クラビート(エドバル・センテーノ)|ドン・ペドロ(フリオ・ヴェガ)|他
【 ペルーの映画 】
 一夜一話で、これまでにとりあげた作品から。

 「悲しみのミルク」(2009年)
 映画タイトル名をクリックしてお読みください。

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映画 「エリン・ブロコビッチ」  監督:スティーヴン・ソダーバーグ

上


1-0_20170416161214c86.jpg
 この映画は、エリン・ブロコビッチという名の実在の女性の活躍を、実話を基に脚色したドラマです。
 基本、公害訴訟をまじめに扱ったストーリーですが、話は決して重くはありません。巧い作りです。

 エリン役を演ずるジュリア・ロバーツと、老弁護士エド(アルバート・フィニー)との絡みはコミカルですし、隣りに引っ越してきたジョージとエリンとのラブストーリーも楽しめます。かつ、訴訟の推移もラブストーリーもハッピーエンドで終わります。
 そのうえ、当初、八方ふさがりの境遇であったエリン、その彼女の、胸のすくサクセス・ストーリーでもあります。

 さらには、こうした事柄と、片や、6価クロム公害で健康被害に苦しむ多くの原告団をかかえることになった公害訴訟、この両方を巧みにバランスをとって映画化されていて、違和感なく、とてもいい娯楽映画に仕上げています。

 高卒のエリンは美人ですが、2回の離婚、3人の子持ちのシングルマザー、おまけに職が見つからない。(実在のエリンは大卒)
 職探しに奔走している最中に、エリンは交通事故にあい、弁護士エドと出会う。
 被害者であるエリンですが、彼女の蓮っ葉な身なり、品の無い言動(しかし直言!)が、陪審員たちには印象悪く作用して、エリンは賠償金をもらい損ねます。

 その後も職が見つからず生活に窮したエリンは、強引にもエドの弁護士事務所に入り込んで居座り、勝手に事務の仕事を始めます。人の好いエドは、ついにエリンを許し、彼女を雇うこととなる。物語は、ここから始まります。

 ある日、事務所で書類整理をしていたエリンは、公害の実態を知るきっかけをつかみます。そして、彼女独自の現地調査を経て、エドと共に実態解明に奔走することになります。

 こうしてエリンとエドは、1993年にカリフォルニア州の大手企業PG&Eを相手取って訴訟を起こし、3億3300万ドルの和解金を勝ち取ることになります。この金額は、アメリカ史上最高額の和解金でした。
 その後も、エリンはエドの弁護士事務所で働くこととなり、破格の金額のボーナスももらえることになります。そして、ジョージとの関係も回復してハッピーエンドでお話は終わります。

オリジナルタイトル:Erin Brockovich
監督:スティーヴン・ソダーバーグ|アメリカ|2000年|131分|
脚本:スザンナ・グラント|撮影:エド・ラッハマン|
出演:エリン・ブロコビッチ(ジュリア・ロバーツ)|エドワード・L・マスリー(アルバート・フィニー)|ジョージ(アーロン・エッカート)|ドナ・ジェンセン(マージ・ヘルゲンバーカー)|チャールズ・エンブリー(トレイシー・ウォルター)|カート・ポッター(ピーター・コヨーテ)|パメラ・ダンカン(チェリー・ジョーンズ)|

【スティーヴン・ソダーバーグ監督の映画】
 一夜一話でこれまでに取り上げた作品から。(タイトル名をクリックしてお読みください)
 「Bubble/バブル」  「フル・フロンタル」  「ガールフレンド・エクスペリエンス

下
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1年前・3年前・5年前の4月、一夜一話。 (2016年4月・2014年4月・2012年4月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-04-16 Sun 06:00:00
  • 映画
1年前の4月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の4月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2016年4月 Archive
1風と樹と空と      2女経      3グッド・ストライプス
風と樹と空と」        「女経」            「グッド・ストライプス
 監督:松尾昭典      監督:増村保造、市川崑、吉村公三郎  監督:岨手由貴子
吉永小百合,浜田光夫      若尾文子,山本富士子,京マチ子     菊池亜希子,中島歩

4熱海ブルース
熱海ブルース
 監督:ドナルド・リチー

5アメリ      6光りの墓      7あの娘と自転車に乗って
アメリ」           「光りの墓」          「あの娘と自転車に乗って
監督:ジャン=ピエール・ジュネ 監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン 監督:アクタン・アリム・クバト
 オドレイ・トトゥ        タイ映画            キルギス共和国の映画 

3年前の4月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  3年前の4月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2014年4月 Archive
1_20150412205535a9c.jpg      2_20150412205537e61.png      3_20150412205538c04.png
「ナイン・ソウルズ」      「残菊物語」          「世界はときどき美しい」  
監督:豊田利晃          監督:溝口健二         監督:御法川修
原田芳雄、松田龍平                       市川実日子、松田美由紀 

4_20150412210009e02.png      5_201504122100120e2.png    
「2/デュオ」         「ゲンと不動明王」  
監督:諏訪敦彦          監督:稲垣浩  
柳愛里、西島秀俊

6_201504122107171e9.jpg      7_20150412210719c55.jpg      8_201504122107201d5.jpg  
「はなしかわって」       「聖者の午後」         「バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち」  
監督:ハル・ハートリー      監督:フランシスコ・ガルシア  監督:モーガン・ネビル
                 ブラジル映画          ドキュメンタリー映画
    
8_201504122112149f1.png      9_20150412211215f25.jpg      10_201504122112178c0.jpg     
「反撥 (反発)」       「童年往事 時の流れ」     「二郎は鮨の夢を見る」  
監督:ロマン・ポランスキー    監督:ホウ・シャオシェン    監督:デビッド・ゲルブ  
カトリーヌ・ドヌーヴ       台湾映画            ドキュメンタリー映画

11_20150412211559916.jpg      
「17歳のカルテ」  
監督:ジェームズ・マンゴールド

5年前の4月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  5年前の4月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2012年4月 Archive
100にごりえ      200くちづけ      300二階の他人
「にごりえ」          「くちづけ」          「二階の他人」
監督:今井正           監督:増村保造         監督:山田洋次
淡島千景             野添ひとみ           葵京子

1100シテール島への船出      1200 4:30      1300ハリウッドホンコン
「シテール島への船出」     「4:30 (フォーサーティ)」  「ハリウッドホンコン」
監督:テオ・アンゲロプロス    監督:ロイストン・タン     監督:フルーツ・チャン
   
1400ヒューゴの不思議な発明      1500水の中のナイフ      1600コントロール  
「ヒューゴの不思議な発明」   「水の中のナイフ」       「コントロール」
監督:マーティン・スコセッシ   監督:ロマン・ポランスキー   監督:アントン・コービン
  
1700パイ      1800行きずりの二人      1900百年の夢 
「π (パイ)」        「行きずりの二人」        「百年の夢」
監督:ダーレン・アロノフスキー  監督:クロード・ルルーシュ    監督:ドゥシャン・ハナック
  
2000メリエス’88       2100ひかりのまち  
「メリエス’88 」        「ひかりのまち」
フランス国営映像研究所制作   監督:マイケル・ウィンターボトム

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映画 「あの子を探して」  監督:チャン・イーモウ

上

1-0_20170413152946032.jpg

 中国河北省の田舎、チェンニンパという村にある、先生ひとり教室ひとつの小さな小さな小学校がお話の舞台。
 起承転結がしっかりしていて、結はハッピーエンドで、良く出来たお話です。

 ですが、シーンを感動的印象的にするため、話を少々誇張しています。よって、写実的(リアル)なお話というよりも、現代のおとぎ話として観ると、ちょうどいいでしょう。
 とは言え、素人の子たちを生徒に仕立てた教室のシーンは、自然で、とてもいきいきとしていて、リアルで、この映画の要であり、見どころです。

 そして、主役の、13歳の代理先生役のウェイ・ミンジも、素人俳優。
 大胆な起用ですね。演技や表情の起伏がみてとれないウェイ・ミンジ、観てのとおりですが、話が進むにつれて徐々に、代理先生という役柄に魂が入り、物語の中でいきいきと立ち現れる。観終わったころには、ウェイ・ミンジは素晴らしい主人公だと思うことでしょう。これが、この映画、一番の見どころです。

 村の学校には、大ベテランのカオ先生がいましたが、家庭の事情で一カ月間、村を離れることとなった。
 そこでチャン村長は、その間、先生の代理になれる人を探して、村や近隣のあちこちを巡った末に、やっと、13歳のウェイ・ミンジを見つけ出した。(教職免許など気にしていない)
 カオ先生は、こんな子供のウェイ・ミンジに教室を任せられないと、村長に言うが、村長は無理と思いながらもウェイ・ミンジを推した。なぜなら、このところ、学校から生徒が退学して生徒数が減っているのだ。村長はこの流れを止めたい。先生が不在になれば、さらに生徒が辞めていくかもしれない。カオ先生は仕方なく、ウェイ・ミンジに教室を任せることにした。

 とは言え、ウェイ・ミンジに何を教えられるのだろう。カオ先生はウェイ・ミンジにこう言った。この教科書のこのページを黒板に板書しなさい、そして、それをノート(紙の束)に写させなさい。
 ウェイ・ミンジは、この仕事を50元で請け負っていた。そしてもし、一カ月の間に、生徒が減らなかったなら、さらに10元だそうと言われた。
 ところが、学校一のわんぱくホエクーがある日から姿を消した。ウェイ・ミンジが彼の家を訪ねると、家は母子家庭で母親は病になっていた。ホエクーは町へ出稼ぎに行ったのだった。
 さて、ここから物語は大きく動き出す。13歳のウェイ・ミンジは、どう行動するのだろうか ・・・。それは観てのお楽しみ。
 「あの子を探して」のあの子は、ホエクーです。

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オリジナルタイトル:一個都不能少 Not One Less
監督:チャン・イーモウ|中国|1999年|106分|
原作・脚本:シー・シアンション|撮影:ホウ・ヨン|
出演:代理の先生ウェイ・ミンジ:魏敏芝(ウェイ・ミンジ)|カオ先生:高恩満(カオ・エンマン)|生徒ホエクー:張慧科(チャン・ホエクー)|チャン村長:田正達(チャン・ジェンダ)|ほか

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映画 「羅生門」  監督:黒澤明

上2

 女優、京マチ子を愛でる映画です。
1-0_20170409235658056.jpg
 時は平安時代のある日。人けのない山間の道を、平安京の中央官庁に勤務する官人の金沢(森雅之)は、妻の真砂(京マチ子)を乗せた馬の手綱を引き、亰へと向かっていた。
 偶然、その道端に居た盗賊の多襄丸(三船敏郎)は、通り過ぎる馬上の真砂の美しさに一目惚れ。
 この女を奪いたい、その一心で多襄丸は、ふたりの行く手に立ちはだかった。そうして格闘の末、多襄丸は金沢を縛り上げ、彼の目前で妻の真砂を犯した。その後、金沢は死体で発見される。

 どうも、そこまでは確か、らしい。
 と言うのは、それは検非違使庁(けびいちしちょう)のお白洲に呼び出された、この事件の関係者らの供述から、推測される。
 被疑者は、縄で縛られた盗賊・多襄丸。証人は、金沢の妻・真砂と、巫女(霊能者)の降霊術によって呼び出された金沢の霊。加えて、死体の第一発見者の杣売の男(志村喬)、生前の金沢を見かけた旅法師(千秋実)、弱っていた多襄丸を捉えた男(加東大介)。
 しかし、多襄丸、真砂、金沢の霊、それぞれの供述が大きく食い違う。誰が金沢を、真砂の短刀で殺したのか。

 さて、お白州の後日、土砂降りの雨の中、羅生門の下で雨宿りする、死体の発見者の杣売の男が、下人の男(上田吉二郎)と旅法師に、お白州で言えなかった真実を語り出す。杣売の男は、事件に関わりたくなかったのだ。

 多襄丸、真砂、金沢の霊、この3名の供述は、カメラに向かってなされる。つまり、検非違使庁の役人(裁判官)は観客となる。
 そして、この3名の供述と杣売の男が見た真実が、それぞれ映像として再現され、映画は進む。
 京マチ子が、4名の供述でまったく異なる真砂を演じ分ける。これが見事。(観てのお楽しみ)
 少し残念なのは、多襄丸の供述時のセリフが硬いこと。

  「羅生門」(らしょうもん)とは、平安京の中央を南北に貫く朱雀大路の南端にあった都の正門、羅城門(らじょうもん)のこと。のちに、平安京の西側半分および七条以南の地は、荒廃してしまう。羅城門が見る影も無い本作は、その頃の話と思われる。


英語表記:Rashomon
監督:黒澤明|1950年|88分|
原作:芥川龍之介|脚本:黒澤明 、橋本忍|撮影:宮川一夫|
出演:多襄丸(三船敏郎)|金沢武弘(森雅之)|金沢の妻・真砂(京マチ子)|杣売(志村喬)|旅法師(千秋実)|下人(上田吉二郎)|旅免(加東大介)|巫女(本間文子)|

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映画 「チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢」 監督:マルジャン・サトラピ , バンサン・パロノー

上

1-0_20170408213910a4a.jpg

 ノスタルジックな大人のおとぎ話。たまにはこういう映画もいいでしょう。
 原作がコミックなので、ところどころアニメーションが入るが、違和感なし。ほんわかした雰囲気を盛り上げます。
 また、時々、コミカルになります。お楽しみください。

 1958年のテヘランから、お話は始まる。
 ヴァイオリニストを目指すナセル・アリ(マチュー・アマルリック)は、テクニックはあるが、演奏する音楽に魂が込められず、大きな壁に突き当たっていた。
 そんなある日、ナセル・アリは素晴らしい女性イラーヌを知った。いつしか、ふたりは愛を誓い合うようになり、イラーヌの父親に結婚の許しを乞うこととなった。しかし、父親はがんとして結婚を許さなかった。生活が不安定な芸術家に娘はやれないと。仕方なく、ふたりは別れた。

2-0_201704082204333bb.jpg
 しかし、皮肉なことにイラーヌへの思いが、ナセル・アリの演奏を素晴らしいものに仕立て上げた。ヴァイオリンの師匠は彼を完璧だとほめた。そして師匠の師匠から伝授されて来たヴァイオリンの名器を、ナセル・アリは譲り受けた。

 その後、ナセル・アリは世に認められるヴァイオリニストとなり、コンサートで世界中を駆け巡った。40歳過ぎても彼は独身であった。イラーヌを忘れることができなかったのだ。

 だがついに、ナセル・アリの独身にピリオドが打たれることになった。、母親の強い勧めで、ナセル・アリは仕方なく、ファランギースという数学の教師と結婚することとなった。愛無き結婚であった。子どもは二人生まれたが、夫婦に愛は育たなかった。
 その日、夫婦げんかのさ中、妻は激怒して名器のヴァイオリンを床にたたきつけた。名器は修復不可能なくらいに哀れな姿となってしまう。

 自身の分身であった名器を失ったナセル・アリは、これと替わる優れたヴァイオリンを探し求めたが、分身となり得る楽器は見つからなかった。そして、彼は緩慢な自殺を試みる。8日目には、死の天使アズラエルが彼のベッドサイドに現れる。
 その一日目から死までの8日間、ベッドに横たわるナセル・アリのこれまでを、彼の走馬灯のような回想で綴るのが、実はこの映画のストーリー。

 よって現在のシーンと、様々な時点での過去シーンが「語りにあわせて」入れ替りに立ち現れる。このことや、アニメの挿入や、時々ファンタジックな味付けがあったり、時にコミカルであったり、と、総じて何か一貫性を、もし感じえなかったとしたら、本作は散漫な作品と思うでしょう。
 フランス映画「アメリ」に出てくる八百屋のあるじに虐められる、知的障害のある小僧役であった俳優ジャメル・ドゥブーズが、本作で骨董屋と物乞いの二役で登場し、味のある演技を見せます。

オリジナルタイトル:Poulet aux prunes|
監督:マルジャン・サトラピ、バンサン・パロノー|フランス・ドイツ・ベルギー|2011年|92分|
原作:マルジャン・サトラピ - コミック作品『鶏のプラム煮』|脚本:マルジャン・サトラピ,バンサン・パロノー|
撮影:クリストフ・ボーカルヌ|
出演:ナセル・アリ(マチュー・アマルリック)|死の天使アズラエル/ナレーション(エドゥアール・ベール)|ナセル・アリの妻ファランギース( マリア・デ・メデイロス)|ナセル・アリのかつての恋人イラーヌ(ゴルシフテ・ファラハニ)|ナセル・アリの弟アブディ(エリック・カラヴァカ)|ナセル・アリの娘リリ(キアラ・マストロヤンニ)|バイオリンの師匠(ディディエ・フラマン)|イラーヌの父・時計屋(セルジュ・アヴェディキアン)|弟アブディの妻(ローナ・ハートナー)|古物商フーシャング/物乞い(ジャメル・ドゥブーズ)|ナセル・アリの母親パルヴィーン(イザベラ・ロッセリーニ)|

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映画 「甘い生活」  監督:フェデリコ・フェリーニ

上

上2


 この映画は「フェデリコ・フェリーニの代表作なんだから」なんて思って、固く構えて観てはいけません。
 何しろ、素晴らしい映像です。これを楽しみましょう。

 ただし、話の筋はほとんど無く、様々なシーンが取っ散らかった状態です。つまり、ストーリー展開で物語ることを放棄しています。
 映画でこういうことをやること自体が、60年近く前の当時、とても斬新でかっこ良かったのでしょう。
 よって、映画が与えてくれる物語に、心地良く揺られることを期待するなら、この映画は難解な作品と言っていいでしょう。

 映像が素晴らしいと思うのは、シーンのある一瞬を切り取ると、それがそのまま、一枚の優れた写真作品になる位のクオリティが、映画のあちこちにあるからなのです。(これって案外、そうあることでは無いです)

1-0_201704011428535ce.png
 つまり具体的には、俳優たちのそれぞれの向き・身振り・人物群配置の計算や、会員制キャバレー・地下室・トレヴィの泉・病院・古城など映画の舞台装置のバリエーションある選択や、郊外の新築アパート群・道路・海辺などの野外ロケ地選択の、そうした演出の総体と、それらの画面の構図の組み立てが、何でもないようでいて、実は緻密になされている。

 加えて例えば、カメラを構えてばらばらと走るパパラッチ軍団の荒っぽい突撃や、トレヴィの泉に入っちゃうシーンや、ものすごい数のエキストラの登場や、聖母マリア出現の地の広く開けたシーン、そして極めつけが突然の豪雨が、ともすれば、緻密に組み上げたからこそ、静的になりがちな映像に、動きと驚きのドラマ効果を与えている。

3-0_201704011434076d2.png
 そしてさらに観ると、その演出・構図に、二通りある。
 そのひとつは例えば、多くの人物がいるキャバレー店内シーンなどの屋内シーンや、トレヴィの泉の周りのパーティなど比較的狭い範囲で撮影するシーンに注目してみると、俳優たちはてんでに動いているようだが、その動きが前もって計算されていて、なるほど、いい構図(絵)になっている。(そう見える)
 もうひとつは、病院ロビーや聖母マリア出現の地やラストの海辺など、開けた画角と遠近のあるシーンでは、大きなステージ上で展開される「舞台演劇演出」の手法が駆使されて、俳優達の、うまい具合な構図配置がなされている。
 素晴らしい映像です。楽しみましょう。

 あと、登場人物にも注目したい。
 過去の栄光にすがる年配の貴族たち、その空気に反発するも退廃的にしか振る舞えない若い貴族。
 そんな貴族だけれども、彼らの特権・財産である「上流階級」、そこへ加わった新興ビジネスの富裕層。
 そんなイタリアに来て、売れっ子美人女優という華やかな風を送り込む米国映画芸能界。
 そんな上流階級や映画女優のスキャンダルを狙う、芸能記者とパパラッチ軍団という庶民。
 そんな騒がしいローマとはまったく無縁の庶民が、ローマの娼婦であり、郊外に住む貧しい庶民は救いを求めて聖母マリア出現の地に集う。
 
 これまでに記事にしたフェリーニの作品は、1963年製作の「8 1/2」です。こちらから、お読みください。

オリジナルタイトル:La Dolce Vita
監督:フェデリコ・フェリーニ|イタリア|1960年|174分|
原案:フェデリコ・フェリーニ、トゥリオ・ピネリ、エンニオ・フライアーノ|
脚色:フェデリコ・フェリーニ、エンニオ・フライアーノ、トゥリオ・ピネリ、ブルネロ・ロンディ|
撮影:オテロ・マルテリ|音楽:ニーノ・ロータ|
出演:マルチェロ・マストロヤンニ(マルチェロ)|アニタ・エクバーグ(シルヴィア)|アヌーク・エーメ(マダレーナ)|アラン・キュニー(ステイナー)|イヴォンヌ・フルノー(エマ)|マガリ・ノエル(ファニー)|レックス・バーカー(ロバート)|ジャック・セルナス(セルナス)|ウォルター・サンテッソ(パパラッツォ)|ニコ(ニコ)|


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映画 「トレヴィの泉で二度目の恋を」  監督:マイケル・ラドフォード

上2



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 老人の恋というテーマのこの映画は、お若い方には敬遠されるだろうけど、1934年生まれの女優シャーリー・マクレーン演ずるエルサの恋は、瑞々しい。
 一方、 エルサのお相手、1929年生まれの俳優クリストファー・プラマー演ずるフレッドは、最近妻を亡くし、住み慣れた家からエルサが住むアパートの隣室に越してきた。この喜劇は、ここらへんから始まります。

 仮に、同じ脚本を日本の俳優が演じたら、たぶん、誰が演じても、観てられないかもしれない。

 エルサとフレッドの二人だけで、話は推し進められるのですが、二人の息子・娘や孫を登場させて、エルサとフレッドの人柄を描きます。
 また映画は、エルサの長男と、フレッドの娘の旦那を対比させて、ほんの少し、2014年のアメリカ社会を描きます。
 なお、女優シャーリー・マクレーン26歳の時の主演映画「アパートの鍵貸します」(監督:ビリー・ワイルダー)の記事はこちらから、どうぞ。

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オリジナルタイトル:ELSA&FRED
監督:マイケル・ラドフォード|アメリカ、フランス|2014年|97分|
脚本:マイケル・ラドフォード、アンナ・パヴィニャーノ|撮影:マイケル・マクドノー|
出演:エルサ・ヘイズ(シャーリー・マクレーン)|フレッド・バークロフト(クリストファー・プラマー)|フレッドの娘リディア・バークロフト(マーシャ・ゲイ・ハーデン)|ジャック(クリス・ノス)|フレッドの孫Michael(ジャレッド・ギルマン)|レイモンド・ヘイズ(スコット・バクラ)|ジョン(ジョージ・シーガル)|マックス・ヘイズ(ジェームズ・ブローリン)|アレック・ヘイズ(レグ・ロジャース)|水道修理位の男アルマンド(ウェンデル・ピアース)|


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2年前・4年前・6年前の3月、一夜一話。 (2015年3月・2013年3月・2011年3月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-03-30 Thu 06:00:00
  • 映画
◆2年前の3月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  2年前の3月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。(2015年3月 Archive
1荒野のダッチワイフ      2波影      3川下さんは何度もやってくる
荒野のダッチワイフ」     「波影」            「川下さんは何度もやってくる
 監督:大和屋竺         監督:豊田四郎         監督:いまおかしんじ
 主演              若尾文子

4午前中の時間割り 
午前中の時間割り
 監督:羽仁進

11アパートの鍵貸します      12ラブ・ジョーンズ      13彼女を見ればわかること
アパートの鍵貸します」    「ラブ・ジョーンズ」      「彼女を見ればわかること
 監督:ビリー・ワイルダー    監督:セオドア・ウィッチャー  監督:ロドリゴ・ガルシア
 アメリカ            アメリカ            アメリカ

14ヴィクとフロ、熊に会う      15フェスティバル・エクスプレ
ヴィクとフロ、熊に会う」   「フェスティバル・エクスプレス
 監督:ドゥニ・コテ       1970年のロックコンサート・ドキュメンタリー
 カナダ             イギリス

21金沢1      22金沢2
金沢に行ってきた。 (その1)  金沢に行ってきた。 (その2)

◆4年前の3月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  4年前の3月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。(2013年3月 Archive
1億万長者      2任侠外伝 玄海灘      3荒川アンダー ザ ブリッジ
「億万長者」          「任侠外伝 玄海灘」      「荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE」
 監督:市川崑          監督:唐十郎          監督:飯塚健     
 久我美子、山田五十鈴      李礼仙、根津甚八        林遣都、桐谷美玲
    
4絶唱      5河内カルメン      6白い息」/「ファの豆腐  
「絶唱」            「河内カルメン」        白い息 「ファの豆腐」,「冬の日」
 監督:滝沢英輔         監督:鈴木清順        監督:久万真路、黒崎博  
 浅丘ルリ子、小林旭       野川由美子          菊池亜希子、長澤まさみ

11Bubble/バブル      12道中の点検      13エイプリルの七面鳥
「Bubble/バブル」       「道中の点検」         「エイプリルの七面鳥」
監督:スティーヴン・ソダーバーグ 監督:アレクセイ・ゲルマン   監督:ピーター・ヘッジス
  
14GO!GO!L.A.      15アンジェラ      16ゲンスブールと女たち   
「GO!GO!L.A.」    「アンジェラ / Angela」     「ゲンスブールと女たち」
 監督:ミカ・カウリスマキ    監督:レベッカ・ミラー      監督:ジョアン・スファール
  
17セカンド・サークル      18ブルーバレンタイン  
「セカンド・サークル」      「ブルーバレンタイン」
 監督:アレクサンドル・ソクーロフ  監督:デレク・シアンフランス

◆6年前の3月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  6年前の3月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2011年3月 Archive

1洲崎パラダイス 赤信号      2ホテル・ハイビスカス
「洲崎パラダイス 赤信号」   「ホテル・ハイビスカス」
 監督:川島雄三         監督:中江裕司
 新珠三千代           蔵下穂波,余貴美子

3やさしい嘘       4ウェディング・ベルを鳴らせ!      5猫が行方不明
「やさしい嘘」         「ウェディング・ベルを鳴らせ!」 「猫が行方不明」
 監督:ジュリー・ベルトゥチェリ 監督:エミール・クストリッツァ  監督:セドリック・クラピッシュ
 フランス            セルビア             フランス

6西ドイツ      7ピロスマニ      8ドゥーニャとデイジー
「左利きの女」         「ピロスマニ」          「ドゥーニャとデイジー」
 監督:ペーター・ハントケ    監督:ゲオルギー・シェンゲラーヤ 監督:ダナ・ネクスタン
 西ドイツ            グルジア             オランダ

9僕の大事なコレクション      10エルミタージュ幻想      11ブンミおじさんの森
「僕の大事なコレクション」   「エルミタージュ幻想」      「ブンミおじさんの森」
 監督:リーブ・シュライバー   監督:アレクサンドル・ソクーロフ 監督:アピチャートポン・ウィーラセータクン
 アメリカロシアタイ

12Orzボーイズ!      13ゲート・トゥ・ヘヴン      14うつくしい人生
「Orzボーイズ!」      「ゲート・トゥ・ヘヴン」    「うつくしい人生」
 監督:ヤン・ヤーチェ      監督:ファイト・ヘルマー    監督:フランソワ・デュペイロン
 台湾              ドイツ             フランス

<さ行> の洋画  これまでに記事にした映画から。 2017.3.19 現在

  • Posted by: やまなか
  • 2017-03-27 Mon 06:00:00
  • 映画
 これまでに記事にした洋画から、<さ行> の映画を並べてみました。

 下記リストにあるタイトル名をクリックして、その映画記事をご覧ください。
 五十音順に並べています。
 
 <さ行>以外の洋画は、こちらからどうぞ。 (洋画の五十音順リストです)

 製作国別の全リストは、こちらから
   
サーカスインド監督:G・アラヴィンダン1978
ザーヤンデルードの夜イラン監督:モフセン・マフマルバフ1990
最愛の子中国監督:ピーター・チャン2014
最愛の夏台湾監督:チャン・ツォーチ1999
再会の食卓中国監督:ワン・チュアンアン2010
The Collectorマレーシア監督:ジェームス・リー2012
さすらいドイツ監督:ヴィム・ヴェンダース1975
さすらいイタリア監督:ミケランジェロ・アントニオーニ1957
さすらいの女神(ディーバ)たちフランス監督:マチュー・アマルリック2010
SUCK サックカナダ監督:ロブ・ステファニューク2009
殺人に関する短いフィルムポーランド監督:クシシュトフ・キェシロフスキ1987
殺人の追憶韓国監督:ポン・ジュノ2003
サニー 永遠の仲間たち韓国監督:カン・ヒョンチョル2011
THE NET 網に囚われた男韓国監督:キム・ギドク2016
ザ・フューチャードイツ監督:ミランダ・ジュライ2011
さよならSフランス監督:エリック・ゾンカ1998
さよなら、人類スウェーデン監督:ロイ・アンダーソン2014
サラ・ムーンのミシシッピー・ワンフランス監督:サラ・ムーン1991
懺悔 (ざんげ)グルジア (ジョージア)監督:テンギズ・アブラゼ 1984
サン・ジャックへの道フランス監督:コリーヌ・セロー 2005
サンタクロースの眼は青いフランス監督:ジャン・ユスターシュ1963
365日のシンプルライフフィンランド監督:ペトリ・ルーッカイネン2013
散歩する惑星スウェーデン監督:ロイ・アンダーソン2000
森浦(サンポ)への道韓国監督:イ・マニ1975
三文オペラドイツ監督:ゲオルク・ヴィルヘルム・パープスト1931
幸せのありかポーランド監督:マチェイ・ピェプシツァ2013
幸せのレシピ (マーサの幸せレシピに併載)アメリカ監督:スコット・ヒックス2007
ジェリーフィッシュイスラエル監督:エトガー・ケレット、シーラ・ゲフェン2007
シクロベトナム監督:トラン・アン・ユン1995
死刑台のエレベーターフランス監督:ルイ・マル1957
シチリア!シチリア!イタリア監督:ジュゼッペ・トルナトーレ2009
シテール島への船出ギリシャ監督:テオ・アンゲロプロス1984
死の教室ポーランド監督:アンジェイ・ワイダ1976
ジプシーのときユーゴスラビア(旧)監督:エミール・クストリッツァ1989
Jazz Seen/カメラが聴いたジャズドイツ監督:ジュリアン・ベネディクト2001
シャロウ・グレイブイギリス監督:ダニー・ボイル1994
ジャンク・メールノルウェー監督:ポール・シュネットアウネ1996
17歳のカルテアメリカ監督:ジェームズ・マンゴールド2000
自由はパラダイスロシア監督:セルゲイ・ボドロフ1989
100,000年後の安全デンマーク監督:マイケル・マドセン2009
祝祭韓国監督:イム・グォンテク1996
出発ベルギー監督:イエジー・スコリモフスキ1967
シュトロツェクの不思議な旅ドイツ監督:ヴェルナー・ヘルツォーク1977
ジュリー&ジュリアアメリカ監督:ノーラ・エフロン 2009
情事イタリア監督:ミケランジェロ・アントニオーニ1960
消失点タイ監督:ジャッカワーン・ニンタムロン2015
少女の髪どめイラン監督:マジッド・マジディ2001
情熱のピアニズムフランス監督:マイケル・ラドフォード2011
少年、機関車に乗るタジキスタン監督:バフティヤル・フドイナザーロフ1991
少年と砂漠のカフェイラン監督:アボルファズル・ジャリリ2001
小便小僧の恋物語ベルギー監督:フランク・ヴァン・パッセル1996
常緑樹韓国監督:シン・サンオク1961
ショーシャンクの空にアメリカ監督:フランク・ダラボン1994
白い光の闇スリランカ監督:ヴィムクティ・ジャヤスンダラ2015
二郎は鮨の夢を見るアメリカ監督:デビッド・ゲルブ2011
仁義フランス監督:ジャン=ピエール・メルヴィル1970
神水の中のナイフ中国監督:ワン・シュエボー2016
人生、ここにあり!イタリア監督:ジュリオ・マンフレドニア2008
人生スイッチアルゼンチン監督:ダミアン・ジフロン2014
人生タクシー (旧題:タクシー)イラン監督:ジャファル・パナヒ2015
新世界の夜明けマレーシア監督:リム・カーワイ2011
新装開店韓国監督:キム・ソンホン 1999
シンプル・シモンスウェーデン監督:アンドレアス・エーマン2010
スイート・スイート・ビレッジチェコスロバキア監督:イジー・メンツェル1985
酔生夢死台湾監督:チャン・ツォーチ2015
SWEET SIXTEENイギリス監督:ケン・ローチ2002
スウィート・スウィートバックアメリカ監督:メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ1971
スーパー!アメリカ監督:ジェームズ・ガン2010
スーパーフライアメリカ監督:ゴードン・パークス・ジュニア1972
スカイラブフランス監督:ジュリー・デルピー2011
スクリーミング・マッド・ジョージの BOY IN THE BOXアメリカ監督:スクリーミング・マッド・ジョージ2005
スタンリーのお弁当箱インド監督:アモール・グプテ2011
素敵な歌と舟はゆくフランス監督:オタール・イオセリアーニ 1999
ストラッターアメリカ監督:カート・ボス、アリソン・アンダース2012
ストレンジャー・ザン・パラダイスアメリカ監督:ジム・ジャームッシュ1984
スナッチイギリス監督:ガイ・リッチー2000
スライ・ストーンオランダ監督:ウィレム・アルケマ2015
スリフランス監督:ロベール・ブレッソン1960
世紀の光タイ監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン2006
聖者の午後ブラジル監督:フランシスコ・ガルシア2012
青春神話台湾監督:ツァイ・ミンリャン1992
精霊の島アイスランド監督:フレドリック・トール・フリドリクソン1996
世界中国監督:ジャ・ジャンクー2004
セカンド・サークルロシア監督:アレクサンドル・ソクーロフ1990
石炭、金中国監督:ワン・ビン2009
セッションアメリカ監督:デイミアン・チャゼル2014
セリーヌとジュリーは舟でゆくフランス監督:ジャック・リヴェット1974
ゼロシティロシア監督:カレン・シャフナザーロフ1990
潜水服は蝶の夢を見るフランス監督:ジュリアン・シュナーベル 2007
戦争のない20日間ロシア監督:アレクセイ・ゲルマン1976
セントラル・ステーションブラジル監督:ウォルター・サレス1998
ソウルガールズオーストラリア監督:ウェイン・ブレア2012
ソウル・キッチンドイツ監督:ファティ・アキン2009
ソウルメンアメリカ監督:マルコム・D・リー2008
そして、私たちは愛に帰るドイツ監督:ファティ・アキン 2007
その怪物韓国監督:ファン・イノ2014
ソフィアの夜明けブルガリア監督:カメン・カレフ2009
ソポトへの旅グルジア監督:ナナ・ジョルジャーゼ1980
素粒子ドイツ監督:オスカー・ロエラー2006

映画 「やくたたず」   監督:三宅唱

上

 いい映画です。
1-0_20170324165718a12.jpg どこにでもいるような男子高校生三人の、極々日常的な時間の流れが、カメラによって切り取られ、映画に映し出される。ストーリーというほどの物語性は無い。
 大筋の台本はあるんだろうが、たぶんセリフや演技は俳優に任せている。演技の巧さは求めてはいない、カメラの前で構えなく、極、自然に振る舞えることが大事であった。
 本作をつまらないと思うのは自由だが、映像そのものが、言外に何やら静かに語っているのが分かると、この映画、気に入ると思う。
 
 話の舞台は、雪降る札幌郊外のそのまた外れ。車は通るが人影は見当たらない、殺風景な雪景色。
 枯草茂る小さな丘陵を越えれば、海。モノクロ映像が、白い雪原と冷たい空気を強調する。

 防犯機器の取付施工をする小さな会社に伊丹という従業員がいて、彼を慕って高校3年生の三人が、バイト気分で仕事を手伝いしはじめる。「やくたたず」です。
 高校3年生とはいっても、まだまだ幼い、三人はじゃれ合うように日々を過ごす。
 彼らの先輩、伊丹が勤めるこの会社は、年配のオーナー社長と若い女性従業員一人だけ(この映画の紅一点)。 そして、小さな事務所小屋と機材倉庫に古ぼけた日産サニートラック1台。
 それに、伊丹の友人で刑事の、おとなしい次郎が登場人物に加わり、そして物語と言えることは、日産サニートラックが盗難にあうことぐらい。それも事件と言うほどもない事件。
 これで76分間、最後まで飽きずに観てしまえる。いい映画です。それとカメラワークがイカしてる。お試しあれ。
 

監督・脚本・撮影:三宅唱|2010年|76分|
出演:柴田貴哉|玉井英棋|山段智昭|櫛野剛一|足立智充|南利雄|片方一予|須田紗妃|


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映画 「いなべ」   監督:深田晃司

上
直子と智広のふたりが行く。

 38分の短編映画です。短編ならではの、さらりとした良さがある静かな映画です。
 起承転結の、起・承が穏やかに推移し、ラスト近くで一気に、転と結が用意されているお話です。

1-0_201703182041556fb.jpg 三重県いなべ市の郊外、田園地帯に、長男の智広(松田洋昌)と、歳の離れた高校生の妹、そして母親と祖母の一家4人が住んでいる。その妹は母親が再婚して生まれた娘らしい。
 そこへ智広の姉の直子(倉田あみ)がひょっこり、17年ぶりに帰って来た。幼児を抱えている。高齢出産は大変だったのよと言う。夫はあとから来るらしい。母親は仕事で夜にならないと帰って来ない。この話は、母親が帰宅するまでの数時間の物語。

 妹は直子を知らない。それほどに、直子はこれまで家に近づかなかったし、まったく音信不通だった。兄の智広から話を聞いた妹は、この人があの幻の姉なのねとつぶやく。
 直子は若い頃、家出をした。わけは、直子の英語の家庭教師をしていた男性だった。直子はこの年上の男を慕っていた。将来、この人と結婚してもいいと思うほどだった。ところが、この男は母親と一緒になった。そして直子は家を出た。その後、その男は世を去る。そんな17年を経て、直子が今日、帰って来たのだ。

 直子は智広を連れて、幼い頃を懐かしむように家の近所を歩く。そして直子は林に入って、昔、密かに土に埋めて隠したものを探し出す。それに付き合う、久しぶりの弟気分の智広。
 この姉弟がそんな散歩をするうちに夕暮れが近づく。五重塔のような展望台にふたりは登った。
 展望台からの見晴らしは素晴らしく、夕闇に浮かぶ街の灯りが遠くに綺麗に輝きだす頃。展望台に吹く風が、何か座りの悪いふたりの気持ちを揺らせて、ここよりも、どこか、ずっと向こうのどこかへ、ふたりの心を、ふっと奪い去って行くような、なぜかそんな心もとなさを智広は感じていた。

 直子は智広に、「会えて良かった」と言った。そののち、直子と智広はふたりして家へ帰るはずだったが、家に帰って来たのは智広ひとりだった。
 智広が玄関を開けると、母親が智広の帰りを待ちあぐねていた。母親は言った。「直子の夫だと言う男の人が来てるのよ...。」(あとは映画を観てね)

 滝のシーンはGoodだし、智広の妹がその友人と自転車に乗るシーンは、直子のこれまでを説明する為のシーンだが、自然で良い。だが、直子と智広が散歩するシーンが全体にやや冗長。広場で男4人がサッカーボールをけり合うシーンは、もうヒトヒネリしないとなんのこっちゃになってしまう。

下




監督・脚本:深田晃司|2013年|38分|
撮影 根岸憲一
出演:智広(松田洋昌)|直子(倉田あみ)|伊藤優衣|井上みなみ|望月皇希|康光岐|鈴木Q太郎|西田幸治|哲夫|桂三輝|ほんこん|

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1年前・3年前・5年前の3月、一夜一話。 (2016年3月・2014年3月・2012年3月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-03-17 Fri 06:00:00
  • 映画
1年前の3月に掲載した映画です。
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1牡蠣工場     2みんなわが子     3旅するパオジャンフー
「牡蠣工場」         「みんなわが子」       「旅するパオジャンフー」
 監督:想田和弘        監督:家城巳代治       監督:柳町光男
 ドキュメンタリー映画     中原ひとみ          台湾のドキュメンタリー   

4かぞくのくに     5おゆきさん    
「かぞくのくに」       「おゆきさん」 
 監督:ヤン・ヨンヒ      監督:鍛冶昇
 安藤サクラ、井浦新      和泉雅子、笠智衆   

6昔々、アナトリアで     7情事     8アイ ウォント ユー
「昔々、アナトリアで」     「情事」           「アイ ウォント ユー」
 監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ  監督:マイケル・ウィンターボトム
 トルコ映画           イタリア映画          イギリス映画


3年前の3月に掲載した映画です。
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1老人の恋 紙の力士     2日本の裸族     3FM893MHz.jpg
「老人の恋 紙の力士」    「日本の裸族」        「FM89.3MHz」
 監督:石川均         監督:奥秀太郎        監督:仰木豊

4「33号車応答なし」     5幻の光
「33号車応答なし」      「幻の光」
 監督:谷口千吉         監督:是枝裕和
 池部良、司葉子        江角マキコ、浅野忠信、内藤剛志

2013061119521223f_20150310154208005.jpg              20131112121758ff8_201503101543448ed.png
特集 「やはり、大人の映画ってある。」      特集 「静かな映画  邦画編」
 
10マルコヴィッチの穴     11キッチン・ストーリー     12エバースマイル、ニュージャージー
「マルコヴィッチの穴」    「キッチン・ストーリー」   「エバースマイル、ニュージャージー」
 監督:スパイク・ジョーンズ  監督:ベント・ハーメル    監督:カルロス・ソリン  
 アメリカ           ノルウェー          アルゼンチン

13「インポート、エクスポート」     14「コーヒーをめぐる冒険」     15パラダイス 神
「インポート、エクスポート」 「コーヒーをめぐる冒険」   「パラダイス 神」
 監督:ウルリッヒ・ザイドル  監督:ヤン・オーレ・ゲルスター  監督:ウルリッヒ・ザイドル
 オーストリア         ドイツ           「パラダイス3部作(愛/神/希望)」より

16「アンビリーバブル・トゥルース」       17パラダイス 愛、希望
「アンビリーバブル・トゥルース」 「パラダイス 愛、希望」
 監督:ハル・ハートリー      監督:ウルリッヒ・ザイドル 
 アメリカ            「パラダイス3部作(愛/神/希望)」より


5年前の3月に掲載した映画です。
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1ロビンソンの庭     2腑抜けども、悲しみの愛を見せろ2     3芝居道
ロビンソンの庭」    「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」「芝居道
 監督:山本政志      監督:吉田大八          監督:成瀬巳喜男

4ボクと空と麦畑     5さすらい     6女と女と井戸の中2
ボクと空と麦畑」      「さすらい」         「女と女と井戸の中
 監督:リン・ラムジー  監督:ミケランジェロ・アントニオーニ 監督:サマンサ・ラング
 イギリス           イタリア           オーストラリア

7旅芸人の記録     8ハッピー・ゴー・ラッキー     9ちいさな哲学者たち
旅芸人の記録」       「ハッピー・ゴー・ラッキー」 「ちいさな哲学者たち
 監督:テオ・アンゲロプロス  監督:マイク・リー   監督:ジャン=ピエール・ポッジ、ピエール・バルシェ
 ギリシャ           イギリス           フランス

10ヤンヤン 夏の想い出     11アメリカン・スプレンダー     12ローズ・イン・タイドランド
ヤンヤン 夏の想い出」   「アメリカン・スプレンダー」 「ローズ・イン・タイドランド
 監督:エドワード・ヤン  監督:シャリ・スプリンガー・バーマン 監督:テリー・ギリアム
 台湾             アメリカ           イギリス

13BIUTIFUL ビューティフル      14レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語     15昼間から呑む 
ビューティフル」「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」「昼間から呑む
 監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ 監督:ブラッド・シルバーリング 監督:ノ・ヨンソク
 スペイン           アメリカ            韓国

16ANOTHER DAY IN PARADISE2
アナザー・デイ・イン・パラダイス
 監督:ラリー・クラーク
 アメリカ


映画 「第三の男」  映画音楽に魅せられて  監督:キャロル・リード

上

 ご存じ、有名な英国サスペンスドラマ「第三の男」。舞台となるのは、1949年のオーストリアの都市ウィーン。

1-0_20170312161622d88.jpg 映画は観る者を焦らせます。話が進む中、事態は少しずつ見えては来るのですが、依然としてその先が謎に包まれたままの、モドカシイ前半。
 そして後半、その見えてきたはずの事態が、死んだはずのハリー(オーソン・ウェルズ)の出現によって、一気に崩れ去り、話が大きく展開する、その面白さが見どころです。
 かつ、注目のシーンは、ハリーを探す親友ホリー(ジョゼフ・コットン)の前に、闇の中から忽然と浮かび上がる、ハリーの何とも言えぬ不敵な表情。これがこの映画の要ですね。
 そして、ウィーンの街の下にある巨大な大下水渠のシーンは、観る者の心をとりこにして、物語後半の展開を加速させています。

 さて、アントン・カラス作曲・演奏のテーマ曲。いいですね。
 物悲しいようでダンサブルな曲です。

オリジナルタイトル:The Third Man
監督:キャロル・リード|イギリス|1949年|104分|
原作・脚色 グレアム・グリーン|撮影:ロバート・クラスカー|作曲・演奏:アントン・カラス|
出演:ホリー・マーチンス(ジョゼフ・コットン)|アンナ・シュミット(アリダ・ヴァリ)|“第三の男”ハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)|キャロウェイ少佐(トレヴァー・ハワード)|ペイン軍曹(バーナード・リー)|門衛(パウル・ヘルビガー)|クルツ男爵(エルンスト・ドイッチュ)|ポペスク(ジークフリート・ブロイアー )|ビンケル医師(エリッヒ・ポント)|クラビン(ウィルフリッド・ハイド=ホワイト)|

【 映画音楽に魅せられて 】
 これまでに取り上げた映画です。
 タイトルをクリックして過去記事をお読みください。

 「オズの魔法使」 「三文オペラ」 

 「死刑台のエレベーター」 「風の又三郎

 「リオ、アイラブユー」 「110番街交差点


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映画 「卵の番人」  ノルウェー映画  監督:ベント・ハーメル

上1

 とてもゆっくりしたテンポの話です。ほのぼのしていて、しかし、奥深い所に苦く鋭いトゲがある。

 ノルウェーの片田舎に、仲睦まじく住む、年老いた兄弟、ファーとモーのふたりがおりました。
1-0_201703101408215a8.png 人里離れた彼らの一軒家は、なだらかな丘を背にぽつんと建っています。近所に人家は見当たりません。雪が積もれば、辺りはは白一色の静寂の世界です。
 ただ、人里離れたとはいえ、地域の幹線道路が家の近くを通っていて、冬には除雪トラックが走りますし、疎らに住む住民たちは、このトラックをまるで乗り合いバスのように利用しています。

 ファーとモーは一年中、家から外出しません。車も持っていませんし町に出ようとも思いません。
 孤独な生活のようにみえますが、彼らは不自由とも思ってませんし不満もありません。
 ふたりの日々は簡素です。自分たちがつくる簡単な食事とコーヒー、石炭ストーブとラジオ、カード遊びとパイプとクロスワードパズル、それだけです。それで十分幸せと思っています。
 外部との接点は、電話、食料配達の男達、ハウスクリーニングの若い女性くらい。

 ある日、珍しく電話が鳴りました。それは兄のファー宛の電話でした。
 電話で連絡してきた事は、ファーがかつて、隣国スウェーデンにいた時に結ばれた女性が重病になったという知らせでした。そして、ついては息子のコンラードの世話をして欲しいということでした。
 ファーに子供がいたのです。このことは弟のモーも知っていたことなので、ふたりはコンラードを受け入れます。

 この時から、ファーとモーのふたりだけの生活リズムに、変化が見え始めるのでした。
 コンラードは車椅子の生活です。年は二十歳代でしょうか。一日中、押し黙っていて話しません。時折、クーとかカーとか鳥のような声を出すだけです。何か障害があるようにも見えます。食事はバナナミルクセーキしか受け付けません。世話は父親であるファーがやります。

 そんな日々が続くある日、モーは旅支度をし、納屋からバイクを静かに押して、密かに寝静まった家を抜け出しました。
 街道に出たところで運よく、除雪トラックが来て、モーはトラックの運転席に乗り込みます。
 除雪トラックは、夜明け前の、わずかに明るい一本道をスピードを上げて走り去って行きました。

 モーが家を出て行く様子を家からじっと見ている人影が見えました。それはコンラードでした。
 映画はコンラードをカッコウのヒナに例えています。カッコウは他種の鳥の巣に卵を産み付けますね。(托卵)
 産み付けられた鳥の親は、カッコウの卵と自分の卵と一緒に育てますが、孵化すると、カッコウのヒナは他のヒナを巣から蹴落とします。モーはコンラードによって追い出されたのです。
 ただし、モーは遅まきながら、自分の青春を始めたのかもしれません。
 それは兄の(スウェーデンでの)青春を目の当たりにして、触発されたのかもしれませんね。

下3オリジナルタイトル:Eggs
監督・脚本:ベント・ハーメル|ノルウェー|1995年|86分|
撮影 エリック・ポッペ|
出演:弟モー(スヴェレ・ハンセン)|兄ファー(ヒュルストルモーン)|ファーの息子コンラード(レイフ・アンドレ)|ほか
【 ベント・ハーメル監督の映画 】
これまでに一夜一話で取り上げた作品から。
タイトルをクリックして記事をお読みください。

キッチン・ストーリー」  「ホルテンさんのはじめての冒険


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映画 「GUMMO ガンモ」  監督:ハーモニー・コリン

上

  巨大な竜巻被害にあった地域に住む子供たちを、ドキュメンタリータッチで描く映画。刺激的です。
 場所はアメリカのオハイオ州にある小さな町。 
 なにしろ被害は甚大で、竜巻に巻き上げられた人間や家や地上にあるモノすべては、ものすごい速度で上空高く舞いあがり落下した。
1-0_20170304192143903.jpg 人々は、身体がちぎれた家族の遺体に直面し、家屋や車は壊され、犬は電柱の上で死んでいた。(映画の冒頭で示される)
 加えて竜巻で破壊されたのは、人の精神と善悪の感覚と向上心だった。徹底的に崩れた。
 まるで第三次世界大戦が起きたあとの、荒廃した世界を描くSF映画のような世界だ。
 ただし、竜巻被害の範囲はハリケーンのように広範囲ではなく局地的。竜巻が通過した所だけだ。よって、まわりの世間一般は、何の被害も無く、世の中は平常だ。それだけに、被災地域は妙に孤立している。(映画はここを舞台とする)

 さらに追い打ちをかけたのは、ここに住む住人の生活レベルがもともと低いことから、金銭的な立ち直りが出来ない事、また水道などライフラインの復旧も十分には進んでいないようだ。
 人々は壊れた家に住んでいる。家の中は、片づけをする意欲もなく、ゴミ屋敷のようになった家もある。大人は働くことをせず、怠惰な日々、子供は通学もせず毎日遊んでいる。被災者たちに明日は見えない。

 映画は、これらの状況(物語の設定)によって、健全な社会通念、つまり「良い子ちゃん」市民と言う束縛から、人々の精神が「もし」解放されたとしたら、人はどんな行動をとるのだろうか、それを子供達の行動を中心にして描いて見せている。
 社会通念的に言っちゃいけない事、やっちゃいけない事が、これでもかと出てくる。それがどんなことかは、観てください。

 これに加えて映画は、身体障害や精神障害の人も登場させている。つまり本作は、映画製作にあたっての、言っちゃいけない事、やっちゃいけない事を、気にしないで製作すると、どんな映画になるかに、敢えて挑戦しているとも言える。

 本作を観てすぐ思い浮かべたのは、アレクセイ・ゲルマン監督のロシア映画「神々のたそがれ」。本作と通底している。
 物語に身を任せる映画の対極にある映画です。

オリジナルタイトル:Gummo
監督・脚本:ハーモニー・コリン|アメリカ|1997年|89分|
撮影:ジャン・イヴ・エスコフィエ|
出演:ソロモン(ジェイコブ・レイノルズ)|タムラー(ニック・サットン)|バニーボーイ(ジェイコブ・シーウェル)|ドット(クロエ・セヴィニー)|ソロモンの母(リンダ・マンズ)|Helen(キャリサ・グラックスマン)|Darby(ダービー・ドグハーティー)|Cole(マックス・パーリッチ)|

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映画 「ブロンドの恋」   監督:ミロス・フォアマン

上0

 地味ですが、なかなかいい喜劇映画です。
 とは言え、ストーリーというほどのストーリーは無いですし、喜劇というほどの喜劇性もあまり無く、あっさりしたドラマです。
 でも、いいのです。映画全体からじんわりと、何とも言えぬ可笑しさが伝わってきます。監督の魔術でしょう。
1-0_201702282100569dc.jpg 中年兵士3人の、何ともモドカシイ、若い女性3人への「誘い」の駆け引きと、その女の子達のひとり、アンドゥラの恋の冒険という2話構成の話。アンドゥラは右のこの娘 。

 たくさんの人が集う広いダンスパーティ会場。ステージには楽団もいて華やか。 
 ただし会場にいる人々は、工場の女性従業員と軍隊の予備兵の、このふたつの団体だけ。
 実はこれ、軍の協力を得て、製靴工場が考え出した苦肉の作のダンスパーティーだったのです。

 田舎の小さな町にある、この製靴工場には2000人もの女性従業員が勤めている。多くは寮生活をしている。
 町は小さく店もなく、かつこの地に住む男性はほんの少し、だから女性従業員の日常は味気ない。
 工場側は、これでは従業員の元気も出ない、工場を辞めてプラハなどの都会へ行ってしまう、なんとかしなきゃと悩んでいた。

 そこで工場は軍と相談して、予備兵を一時この地に駐屯させて、町の男性人口を増やすことにしたわけ。
 予備兵は、おおかた中年で妻帯者、だから兵士と愛が芽生えて工場を辞めると言い出す女性従業員も少ないだろう。

2-0_20170228211056d5f.jpg さて、その夜、開催されたダンスパーティでは、多くの男女が楽しげに踊っている。工場側の作戦は大成功。
 しかし、女性従業員アンドゥラとその友人の3人は、3人とも、「中年男ばっかりジャン」と、むっつりしてテーブルにいた。

 一方、そこから離れたテーブルには、中年兵士3人が、アンドゥラ達に目星をつけている。(ここからのシーンが笑える面白い見どころ)
 兵士たちはまず、彼女たちのテーブルへワインのボトル1本をウェイターに届けさせ、そのあと、誰が彼女たちの所へ行き、突破口を開くかの相談をしている。そして、呑みが終われば近くの森へ誘おう。
 おじさん兵士3人は、基本、乗り気なのだが、ぎこちなく腰が引けていて話がまとまらない。帰ると言い出すのもいる。

 やっとひとりが彼女達の所へ行って話をつけ、おじさん達と女の子達との輪ができる。そして、パーティーが終わる頃、今度は女の子達が女子トイレへ行ってヒソヒソ相談。
 結局、おじさん達は待ちぼうけを食ったに終わる。彼女達は女子寮へ引き上げる。

3-0_2017022822010950a.jpg ただし、アンドゥラだけはホールの2階へ。(ここから第2話が始まる)
 3人そろってトイレへ相談しに行く途中、アンドゥラは楽団の若いピアノ弾きと出会ったのだ。彼女は、彼の誘いに乗って、彼が宿泊している部屋へ行く。
 数日経って、アンドゥラはスーツケースにいっぱい詰め込んで、ピアノ弾きが住むプラハへ旅立った。
 その夜、アンドゥラは彼の実家に到着したが、彼はいない。彼はプラハのどこかで、女の子とデート中。まさかアンドゥラが訪ねて来るとは彼はまったく予期していない。
 結局、アンドゥラは彼の両親に招かれ家に入るが、親はアンドゥラのことなど何も聞いていない。(ここからが第2の見どころ)
 この娘は何?、大きなカバンを抱えてと、彼女をいぶかる母親と、寛容的な態度の父親。そのうち、一人息子をめぐって親同士の言い争いになる。
 夜更け、口紅の跡を拭きながら彼が帰って来て、驚く。アンドゥラが自分のベッドに寝ている。そのベッドに潜り込もうとする彼を制するのは母親。こっちで寝なさいと、親子3人川の字になって朝となる。
 アンドゥラは寮へ帰り、相部屋の同僚たちに、プラハの恋の冒険を、創作交えてちょっと自慢げに話するのでした。
 

オリジナルタイトル:LASKY JEDNE PLAVOVLASKY
英語タイトル:THE LOVES OF A BLONDE
監督:ミロス・フォアマン|チェコスロヴァキア|1965年|88分|
脚本:ミロス・フォアマン、ヤロスラフ・パプーシェク、イヴァン・パッサー、ヴァツラフ・シャシェク|
撮影:ミロスラフ・オンドリチェク|
出演:アンドゥラ Andula(ハナ・ブレイショーヴァ)|Milda(ウラジミール・プショルト)|Vacovský(ウラジミール・メンシーク)|ほか

4-0【 ミロス・フォアマン監督の映画 】
一夜一話で、これまでに記事にした映画から2作です。
タイトル名をクリックして、お読みください。

 「カッコーの巣の上で

 「火事だよ!カワイ子ちゃん


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映画 「安珍と清姫」 若尾文子,市川雷蔵  監督:島耕二

上

 安珍・清姫伝説をもとにした、大人の日本昔話といった内容の映画。
 自由奔放なな姫、若尾文子(清姫)と、まじめ一徹な僧侶、市川雷蔵(安珍)、このふたりの魅力につきる映画です。
 1960年の映画ですが、今でも十分に鑑賞に堪えます。
 話はとても古く、平安時代から伝承され、紀州(和歌山県日高郡)道成寺という寺に伝わる話です。

1-0_20170226142424cf0.png おてんばで勝ち気な清姫が狩猟の途中、姫が射た矢が流れ矢となって安珍の腕に当たってしまいます。これがふたりの運命の出会いでありました。
 安珍と連れの僧は、奥州白河より熊野に参詣に来た旅の僧であり、修行中の身でした。
 だから信心一途の安珍は、僧の戒律を守るため、傷の手当をしようと近づく清姫を避けます。清姫を美しいと思うが故に、なおさら避けます。そして安珍は己の煩悩と戦うこととなります。

 かたや清姫は、自身の過失を詫びつつも、自分を避ける、無視しようとする安珍に腹が立ちます。そのうえ、清姫は里の荘官(庄司)の美しい娘、プライドを傷つけられた思い。だから清姫はなんとか、安珍の僧の仮面をはがして、安珍の気を無理にでも自分へ引き付けたい。
 実はそれは安珍への恋だったのですが、清姫は自分のうぬぼれの方が勝り、恋とは気付きませんでした。
 ある夜、安珍が傷を癒やすため、里のいで湯にひとり入っていると、そこへ清姫が現れ、一糸まとわず湯に入ってきます。何やら妖しい色気さえ漂う姫は、安珍を誘います。そうして勝ち気な清姫は、安珍の心が自分に向いていることを安珍に白状させ、あたかも勝ったがごとく高らかに笑うのでした。

 しかしそののち、清姫は安珍への愛に気付きます。清姫は、煩悩に苦しみながら里を去り道成寺へ向かう安珍を追います。
 道成寺への途中、安珍は滝に入っての修行(滝行)のため、仮小屋に滞在します。そこへ清姫が追い付きました。
 そしてふたりは、ついに結ばれます。しかし悲しいかな、このふたりの愛は何処まで行っても悲恋なのです。僧の戒律を破った安珍は、煩悩の苦しみに加えて、自戒の念に苛まれていきます。

 安珍は姫から逃げるように道成寺へひた走ります。そして、彼を追う清姫は、とうとう川に身を投げてしまうのでした。
 その夜、道成寺の境内に異変が起きます。雷鳴と嵐のなか、大蛇に化身した清姫が・・・。

 余計なことですが、仮小屋でのシーンは、なかなか色っぽいです。ご注目。
 本作を観て思い出すのが、2016年の映画「仁光の受難」。これ、安珍・清姫伝説を下敷きにしています。ですが清姫ではなく、村の女達や山女。やたらモテる修行僧の女難の話、喜劇です。
 本作 「安珍と清姫」と同じく、平安時代の話として、女狐の化身との愛の話、内田吐夢の「恋や恋なすな恋」は、大川橋蔵と瑳峨三智子の競演。これもファンタジー作品です。
 若尾文子つながりで言うと、「初春狸御殿」。これはミュージカル。本作 「安珍と清姫」と同じく、若尾文子と市川雷蔵の競演。  
 ちなみに、本木雅弘主演の修行僧の映画「ファンシイダンス」は、僧自ら禁を破りまくるお話でした。
 以上、文中の下線部をクリックして、当該4作の過去記事をお読みください。

英語タイトル:The Priest and the Beauty
監督:島耕二|1960年|85分|
脚本:小国英雄|撮影:小原譲治|
出演:安珍(市川雷蔵)|清姫(若尾文子)|清姫の父で里の荘官・清継(見明凡太朗)|清姫と結婚したい里の長者・友綱(片山明彦)|連れの僧・道覚(小堀阿吉雄)|桜姫(浦路洋子)|早苗(毛利郁子)|増全(荒木忍)|義円(南部彰三)|佐助(花布辰男)|渚(毛利菊枝)|ほか

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2年前・4年前・6年前の2月、一夜一話。 (2015年2月・2013年2月・2011年2月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-02-27 Mon 06:00:00
  • 映画
2年前の2月に掲載した映画です。
  映画の画像かタイトル名をクリックしてお読みください。
  2年前の2月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2015年2月 Archive
1鬼火     2偽れる盛装     3花ちりぬ
鬼火」           「偽れる盛装」        「花ちりぬ」 いち押し
 監督:望月六郎        監督:吉村公三郎       監督:石田民三
 原田芳雄、哀川翔       京マチ子

4OPEN HOUSE (オープンハウス)     5やわらかい生活     
OPEN HOUSE」       「やわらかい生活」       
 監督:行定勲         監督:廣木隆一
 椎名英姫、南果歩       寺島しのぶ

11薄氷の殺人     12二重生活     13非情の罠
薄氷の殺人」        「二重生活」         「非情の罠
 監督:ディアオ・イーナン   監督:ロウ・イエ       監督:スタンリー・キューブリック
 中国             中国             アメリカ

14メトロマニラ 世界で最も危険な街     15キング・コング      201202 40
メトロマニラ        「キング・コング (1933年)」  2012年2月の記事です
  世界で最も危険な街」     監督:メリアン・C・クーパー、
 監督:ショーン・エリス    アーネスト・B・シューザック
 イギリス           アメリカ

4年前の2月に掲載した映画です。
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  4年前の2月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2013年2月 Archive
1神様のカルテ     2USB.jpg     3のど自慢
「神様のカルテ」      「USB」            「のど自慢」
 監督:深川栄洋       監督:奥秀太郎         監督:井筒和幸  
 櫻井翔、宮崎あおい                     室井滋 
   
4こまどり姉妹     5暁の合唱    6空の穴   
「こまどり姉妹がやって来る   「暁の合唱」        「空の穴」
    ヤァ!ヤァ!ヤァ!」   監督:枝川弘        監督:熊切和嘉 
 監督:片岡英子         香川京子 
   
7ゴジラ    
「ゴジラ」          
 監督:本多猪四郎 

10冬冬の夏休み     11別離     12アルジェの戦い
「冬冬の夏休み (トントン)」  「別離」           「アルジェの戦い」
 監督:ホウ・シャオシェン    監督:アスガー・ファルハディ 監督:ジロ・ポンテコルヴォ
 台湾映画            イラン映画          イタリア映画  

13翼よ!あれが巴里の灯だ     14ル・アーヴルの靴みがき    
「翼よ!あれが巴里の灯だ」    「ル・アーヴルの靴みがき」
 監督:ビリー・ワイルダー     監督:アキ・カウリスマキ フィンランド

6年前の2月に掲載した映画です。
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  6年前の2月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2011年2月 Archive
1天国の駅     2顔     3四万温泉旅館
天国の駅」         「」             四万温泉旅館 積善館(群馬県)
 監督:出目昌伸        監督:阪本順治              に行ってきた。
 吉永小百合          藤山直美

4ルアンの歌     5-0そして、私たちは愛に帰る     6牯嶺街少年殺人事件
ルアンの歌」        「そして、私たちは愛に帰る」 「牯嶺街少年殺人事件
 監督:ワン・シャオシュアイ  監督:ファティ・アキン    監督:エドワード・ヤン
 中国             ドイツ            台湾

7_20170224164548092.jpg     7-0ダック・シーズン     8クレールの刺繍
ソウル・キッチン」     「ダック・シーズン」      「クレールの刺繍
 監督:ファティ・アキン   監督:フェルナンド・エインビッケ 監督:エレオノール・フォーシェ
 ドイツ           メキシコ             フランス


映画 「タクシードライバー」   監督:マーティン・スコセッシ

上

 話の舞台はニューヨーク、マンハッタン。
1-00_20170224184413844.jpg 1973年に海兵隊を除隊して3年が経つ、トラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)という26歳の孤独な男の話。

 重度の不眠症に悩む、無職のトラヴィスは部屋にいても仕方がなくて、夜間夜通し、街を歩いたり地下鉄やバスに乗って、ひたすら時間をつぶしていた。そうしてトラヴィスは、深夜の街、ニューヨークの裏側の醜さを、いらだたしく感じ取っていた。
 「夜の街は、売春婦、街娼、ヤクザ、ホモ、オカマ、麻薬売人といった人間のクズが歩き回っている。奴らを根こそぎ洗い流す雨は、いつ降るんだ。」トラヴィスはそう思い続けている。

 ある日トラヴィスは、食うためにタクシー運転手になった。勤務は夕方6時から朝の6時まで、休日は週一。
 タクシーのフロントガラス越しのネオンや、窓からの風や街の匂いに、トラヴィスの塞ぐ心は、少しは癒やされ静かに開放されるようだ。
 一方、深夜、街を流していれば、否が応にも売春婦やらが目に付くし、男が売春婦を同伴し騒ぎながらタクシーに乗り込んでくる。
 そんな毎日のなかで、トラヴィスの妄想は膨らんで行く。この先いつまでもタクシー運転手じゃだめだ、何かしてみたい。   

 ある夜、次期大統領候補の議員が偶然にも彼のタクシーに乗って来た。その時トラヴィスが知ったことは、社会階層の高みで世直ししようとする特権階級がいること、そしてその大統領候補はトラヴィスが考えるニューヨークの夜の街の浄化に無関心であったこと。
 つぎに、トラヴィスの心のどこかを動かすことになったもうひとつのことは、その大統領候補の選挙事務所にいる女性に恋したことだった。しかし、彼女はトラヴィスが住む世界とは違い過ぎた。

2-0_20170224184746e21.jpg それからのトラヴィスは、より深く考え始める。
 「俺の人生に必要なのは、きっかけだ。自分の殻だけに閉じこもり一生過ごすのはバカげている。」
 トラヴィスの妄想は、社会に対しての正義、世直しへと進んで行く。

 だが、彼に社会的地位も力もない、また世に認められる正義の思想や活動も持たないトラヴィスにとって、自身の正義をひとり貫くには、世間より、クズの相手より、優位な高みにいなければならない。
 トラヴィスは銃を手にし射撃訓練をはじめる。肉体も鍛えた。いつしか、トラヴィスは鏡の前で英雄になって行く。
 その結果、手ごたえがあった。行きつけの店が強盗にあっている場に居合せたトラヴィスは、その黒人青年を射殺。店のあるじは喜んだ。頭をモヒカン刈りにして大統領候補の街頭演説に出向いたが、ボディーガードに疑われてうまく行かなかった。

 そして、「俺の人生に必要なのは、きっかけだ。」と言う、そのきっかけになったのが、ひとりの娼婦だった。
 その娘はアイリス、まだ少女だ。それを知ったトラヴィスは、アイリスと話し、その稼業から救うと誓った。
 そののちトラヴィスは売春婦宿に押し入り、撃たれはしたが、ポン引きの男(ハーヴェイ・カイテル)やボスら3名を射殺した。

 後日、この事件はマスコミにとりあげられ、トラヴィスの正義と、アイリスの両親の感謝の言葉は、広く知れ渡ることとなった。
3-0_2017022418525549a.png しかし当のトラヴィスは、舞い上がることもなく、また淡々と、無数の無名のタクシードライバー達の中に戻って行った。
 ただし、ひとつ、トラヴィスは夢想した。それは、彼が一度は恋した選挙事務所の女性を、タクシーに乗せ彼女の家まで送る情景だった。

 公開から40年以上経ったこの映画をいま観て思うこと。
 ニューヨークの怖さや荒みを、当時、我々は今日思う以上に感じていて、この映画が描く世界をとてもすさんだ世界と思っていた。
 だから、トラヴィスをアクション映画のヒーローとして観る人がいたのかもしれない。
 でもいま観て思うに、この映画、案外、繊細な映画ですね。

オリジナルタイトル:Taxi Driver
監督:マーティン・スコセッシ|アメリカ|1976年|114分|
脚本:ポール・シュレイダー|台詞:ケイ・チャピン|撮影:マイケル・チャップマン|
出演:トラヴィス・ビックル(ロバート・デ・ニーロ)|選挙事務所の女ベッツィー(シビル・シェパード)|娼婦のアイリス(ジョディ・フォスター)|ポン引きのスポーツ(ハーヴェイ・カイテル)|ウィザード(ピーター・ボイル)|トム(アルバート・ブルックス)|大統領候補のパランタイン上院議員(レナード・ハリス)|タクシー会社の受付(ジョー・スピネル)|ポルノ映画館の売店の女(ダイアン・アボット)|銃のセールスマン(スティーヴン・プリンス)|ほか

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映画 「ガールフレンド・エクスペリエンス」   監督:スティーヴン・ソダーバーグ

上




1-0_20170222115445fa4.jpg








 話の舞台は、ニューヨーク、マンハッタン。
 二十歳そこそこの若い女性チェルシーは、マンハッタンで一二を争う最高級のデリヘル嬢。
 電話で依頼主の自宅や宿泊先ホテルへ呼び出されて売春に応じる出張ヘルス。

 何が最高級かと言えば、1時間2,000ドル。(20万~22万円くらい)
 レストランやバーで、あたかも彼女と、のようにデートする時間や、そのあとの一晩、朝までの時間、その合計が8時間とすれば、16,000ドル、ざっと160~180万円くらい。現金決済。封筒の中には、いつも分厚い札束。
 客層は、当然、ウォール街のビジネスエリートや、個人でなにやら金儲けしている連中。映画では30~40代くらいの男が多い。
 自宅に呼ばれる場合、その自宅とはマンハッタンの高級マンション、客は一人住まいだ。

 チェルシーは、客の居る場所へ運転手つきの高級車で出かける。
 売春斡旋組織に属さず、フリーでやっている。ウェブ上に自身のサイトを公開し、宣伝に抜かりはない。彼女はビジネスをしている。
 空いた時間は、高級ブティックで服や靴や下着を買う。隙のないファッションに身を包む。 
 そんなチェルシーが気を許せる相手は、一緒に暮らして2年足らずの彼氏クリスと、一人の女友達。

 この映画、チェルシーとその行動に注目しがちだが、実はもうひとつの側面も描いている。
 それは、マンハッタンのビジネスエリートな男たちの、ありのままの生態だ。チェルシーという鏡に映しだされる男たち。
 なかには疲れた風の男がいる、仕事の話を一方的に語る男がいる。そんな彼らはチェルシーと会って精神的な安定を得る。映画は、彼らに対して、少々、憐れみや愚かさを感じている。

 本作の語り口はドキュメンタリーっぽい。物語性はあまりない。5日間のチェルシーの行動を追うかたち。
 あるシーンの途中に他のシーンが挿入される、交互にシーンが入れ替わる、そんなシーン操作(インターカット)も多い。だから、余計にお話に入り込めないかもしれない。だが、監督は意識的にそうしている。ただし、実験映画じゃない。そこんところが本作の見どころです。
 お話、つまり、いかにもの「作り話」に付き合うのに飽いた観客にとっては、さらりとしたいい映画。
 例えだが、スルメは舐めたくらいじゃ味はしないが、噛んでるうちに美味を感じる。本作も、観たあとに、ジワーッとクールな味を感じ得はじめたなら、しめたもの。

 時は、リーマン・ショック直後、大統領選でオバマ氏が一般投票勝利の頃。あの時代を描写した映画でもあります。

オリジナルタイトル:The Girlfriend Experience
監督:スティーヴン・ソダーバーグ|アメリカ|2009年|77分|
脚本 ブライアン・コペルマン 、 デイヴィッド・レヴィーン|撮影 スティーヴン・ソダーバーグ|
出演:チェルシー (サーシャ・グレイ)|クリス(クリス・サントス)|インタビュアー(マーク・ジェイコブソン)|エロティック鑑定家(グレン・ケニー)|ティム(ティモシー・デイヴィス)|デヴィッド (デイヴィッド・レヴィーン)|フィリップ(フィリップ・アイタン)|

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映画 「どっこい生きてる」   監督:今井正

上
 早朝、日雇いの仕事を求めて、木造の臨時職安前に押し寄せる人々 (これは実写だろう)


0 非戦闘員を無差別に殺傷した東京大空襲から6年経った1951年、占領下の東京の街中の様子とは、どうだったのか、を知る映画。
 観たいと思う方は多くないと思われる映画だが、機会があれば観ておくことをお勧めします。

 進駐軍こそ映画に出てこないが、空爆で破壊されたビルの残骸や、焼け跡のもろもろの瓦礫がまだ街のあちこちにあるのです。
 その瓦礫の撤去や河川改修の作業(日雇い仕事)を職安が提供している。
 多くの人々に職がないのだ。職安が斡旋を開始する早朝、人々は急ごしらえの木造の臨時職安前に、押し合いへし合い、ひしめく。
 多くの人々に金がない。その日、家族が食うものが買えないのだ。
 しかし日雇いで得た金は僅か、数日の食費も賄えない。
 運よく、なんとか勤め先が見つかっても、給料日までを食いつなぐ生活費がないために、その職を諦めざるをえない、そしてまた日雇い生活に戻ってしまう悪循環。(前借りはできない)

 主人公の毛利(河原崎長十郎)は妻と二人の子を抱えている。毛利は毎朝職安に出かけるが、日雇いの職にありつけないこともある。
 家族はみな、着の身着のままだ。粗末な掘っ建て小屋の貸家に住んでいるが、家賃が滞っている。さらには、家主が土地を売ったために立ち退きを余儀なくされる。
 毛利は妻子を、東北にある妻の実家へ帰した。定職に就けて金が出来たら、東京に呼び戻す予定だった。

 うな垂れる毛利は簡易宿泊所にころがりこんだ。日雇いで知り合った顔があちこちに見受けられた。(宿泊所は大部屋雑魚寝)
 日雇い仲間で毛利と気の合う水野(木村功)は、毛利より若いが明るくしっかり者。水野は、その外観が、小学校の二階建て木造校舎のような戦災者共同住宅に住んでいる。(炊事洗濯便所は共同) 一家一間の部屋に、じいさんと妻子ほか、なんと計7人が住んでいる。
 毎朝、職安に出かけては、日雇いをする日々が続く。

 そのうち毛利は旋盤の職を見つけたが、給料日まで食っていく金が、手元に無いがために、悶々としていた。
 それを聞いた水野の計らいで、共同住宅の住人の秋山婆さん(飯田蝶子)が動いた。共同住宅の住人に毛利のために募金を訴え、毛利が食いつなげる金が集まった。

 だが、その夜、簡易宿泊所内で毛利はその金を盗まれる。
 翌朝、旋盤の工場に初出勤したが、工場主から、受注予定の仕事がキャンセルになったので、雇えないと言われる。(実は、工場主の妻が毛利の貧しい風采を見て信頼がおけない怪しい輩と判断したのだった)
 行き詰った毛利は、簡易宿泊所の男に誘われ盗みを働く。警官に追われ逃げる毛利は、ふと気づくと、追い出された家の前にいた。そして、毛利の姿を見かけた大家は言った。上野警察から呼び出しがかかっているよと。

 毛利は観念して出頭したが、話の要件は毛利の妻子の引取りであった。無賃乗車で上野に帰って来たのだ。
 田舎の実家では、六畳に何人もが寝起きする状態だったらしい。田舎とて包容力がなくなっていた。

 上野駅近くで、毛利一家は途方に暮れる。もう、一家心中しかない。
 その前に、子たちに楽しい思いをさせようと遊園地へ。
 だが、ちょっと目を離した隙に息子が池に落ち溺れる。毛利は池に飛び込み息子を救った。
 そして夫婦は思った。生きよう。
 
下監督:今井正|1951年|102分|
脚本 岩佐氏寿 、 平田兼三 、 今井正|撮影 宮島義勇中尾駿一郎、植松永吉|
出演:毛利修三(河原崎長十郎)|妻さと(河原崎しづ江)|子供雄一(河原崎労作)|子供民代(町田よし子)|簡易宿泊所に住む男・花村(中村翫右衛門)|水野(木村功)|水野の妻(岸旗江)|水野の父(市川笑太郎)|水野の妹(今村いづみ)|水野良(寺田勝之)|水野健(寺田健)|秋山婆さん(飯田蝶子)|藤木(四代目中村梅之助)|班長野田(中村公三郎)|現場の男(坂東秀弥)|吉田製作所主(瀬川菊之丞)|妻きみ(川路夏子)|大家山川(河原崎国太郎)|トラックの男(花沢徳衛)|簡易宿泊所亭主(松本染升)|



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映画 「パルコフィクション」   監督:矢口史靖、鈴木卓爾

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 矢口史靖監督の「裸足のピクニック」(1993)、「ひみつの花園」(1997)、「アドレナリンドライブ」(1999)を、面白い映画として観て来た者にとって 、本作「パルコフィクション」(2002)は、前三作の延長線上にある映画として観れる。
 奇天烈な展開、作り手のひねくれた遊び心が嬉しい喜劇映画。(文中の下線部をクリックすると、その映画記事が読めます)

 でも矢口映画ヒット作「ウォーターボーイズ」(2001)を気に入った人は 「パルコフィクション」を多分、受け入れないだろう。作風が違う。

 これは監督の二面性とも言えるが、しかし残念ながら、「ウォーターボーイズ」は、その後の「スウィングガールズ」 (2004)や「WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常」(2014)と同様に、凡庸な映画。
 認められて、予算がつく映画製作を任されるようになり、監督として箔がついたのでしょうが・・・、惜しいです。
 ただし「ロボジー」 (2012)はいい映画。「ハッピーフライト」 (2008)はなんとか観れる。

 本作 「パルコフィクション」は、あのパルコを舞台に6話の構成になっている。
 「パルコ誕生」、「入社試験」、「バーゲン」を矢口史靖が監督・脚本を担当し、「はるこ」、「見上げてごらん」、「ポップコーンサンバ」を鈴木卓爾が監督・脚本を担当している。どれも面白い。
 第三話「バーゲン」は、行定勲監督の映画「きょうのできごと」を思い出す。

監督・脚本:矢口史靖、鈴木卓爾 |2002年|65分|
発案:安田裕子|撮影監督:白尾一博|
出演:パルコ役員(田中要次)|老人(相馬剛三)|鈴木徹(小島大輝)|徹の父(寺十吾)|徹の担任教師(椎名令恵)|老人の息子(森下能幸)|コンビニ店員(山中聡)|医師(伊藤智之)|看護婦(元木千早)|花子(真野きりな)|東大男(近藤公園)|面接官(福田勝洋)|新入社員(大高敏宏)|新入社員(古澤弘年)|新入社員(出雲勝麿)|新入社員(小松玲子)|新入社員(池崎真理)|木下イズミ(村上東奈)|ムラチュー(高橋健太)|木下はるこ(進藤幸)|屋上の作業員(田邊年秋)|バーはるこの客(佐藤佐吉)|5歳のはるこ(森田季砂)|斧(鈴木卓爾)|極悪トリオ・甲(宇野孝信)|極悪トリオ・乙(山口大輔)|極悪トリオ・丙(野田幸祐)|バーはるこの子ママ (松村奈緒)|イズミの母(吉野晶)|パルコの店員(唯野未歩子)|パルコの店員(中村靖日)|パルコの店員(紫とも)|パルコのCM(真野きりな)|パルコのCM(近藤公園)|原井鈴子(猫田直)|塩野谷恵子(塩野谷恵子)|店長(紫とも)|パルコの客(坂井三恵)|店員(稲田千花)|警備員(荒川良々)|山谷美都子(唯野未歩子)|大須観三(荒川良々)|荒間素敵子 (田村たがめ)|司(徳井優)|セラピス( 緒方明)|渡部(松永大司)|ジコディ(ジェニファー・ホルメス)|美都子の少女時代(松村奈緒)|美都子の同僚(吉野晶)|

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1年前・3年前・5年前の2月、一夜一話。 (2016年2月・2014年2月・2012年2月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-02-13 Mon 06:00:00
  • 映画
1年前の2月に掲載した映画です。
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1_20170211215638220.jpg     2_20170211215639e0e.jpg     3_20170211215641d1c.jpg
白河夜船」         「味園ユニバース」       「有りがたうさん
監督:若木信吾         監督:山下敦弘         監督:清水宏
安藤サクラ、井浦新       渋谷すばる、二階堂ふみ

4_201702112157173cc.jpg
「ちょっと変な映画」 特集(邦画編)
でも、どれも可笑しい話です。

5_20170211215742683.jpg     6_201702112157448a1.jpg     7_20170211215745134.jpg
エレナの惑い」       「ブリスフリー・ユアーズ」   「少年、機関車に乗る
監督:アンドレイ・       監督:アピチャッポン・     監督:バフティヤル・
    ズビャギンツェフ        ウィーラセタクン        フドイナザーロフ
ロシア             タイ              タジキスタン

4_201702112157173cc.jpg
「ちょっと変な映画」 特集(洋画編)
でも、どれも可笑しい話です。

8_20170211215911b08.jpg     10_20170211215914fe3.jpg     9_20170211215912b55.jpg
最近読んだ本。         リュート・リサイタル     ダニエル・バレンボイム指揮
「闇に消える美術品」・     トーマス・ダンフォード    シュターツカペレ・ベルリン
「美術品はなぜ盗まれるのか」  武蔵野市民文化会館にて     ~ ベルリン国立歌劇場管弦楽団

3年前の2月に掲載した映画です。
  映画の画像かタイトル名をクリックしてお読みください。
  3年前の2月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  (2014年2月 Archive

1怪談海女幽霊     2悪の階段   3屋根裏の散歩者
「怪談海女幽霊」      「悪の階段」       「江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者」
監督:加戸野五郎       監督:鈴木英夫      監督:田中登  宮下順子、石橋蓮司

4アドレナリンドライブ  5緋ざくら大名  6馬鹿が戦車でやって来る
「アドレナリンドライブ」  「緋ざくら大名」       「馬鹿が戦車でやって来る」
監督:矢口史靖        監督:加藤泰         監督:山田洋次

7ウンタマギルー    8ウルトラ ミラクル ラブストーリー
「ウンタマギルー」     「ウルトラ ミラクル ラブストーリー」
監督:高嶺剛         監督:横浜聡子  松山ケンイチ、麻生久美子

10デス・プルーフ in グラインドハウス   11シャロウ・グレイブ   12クワイエット・ファミリー
「デス・プルーフ      「シャロウ・グレイブ」   「クワイエット・ファミリー」 
   in グラインドハウス」  監督:ダニー・ボイル    監督:キム・ジウン
監督:クエンティン・タランティーノ      

13ハックル        140.jpg
「ハックル」 ハンガリーサスペンス  特集 「娯楽な映画 洋画編」  
監督:パールフィ・ジョルジ       掲載記事から、映画をピックアップ

15イメージの力
「イメージの力 ~国立民族学博物館コレクションにさぐる」  
国立新美術館

5年前の2月に掲載した映画です。
  映画の画像かタイトル名をクリックしてお読みください。
  5年前の2月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2012年2月 Archive

1_201702121047204fa.jpg     2_20170212104721f76.jpg     3_201702121047233e8.jpg
猫と庄造と二人のをんな」  「初恋・地獄篇」        「マリアのお雪
監督:豊田四郎         監督:羽仁進          監督:溝口健二
山田五十鈴、森繁久彌                      山田五十鈴

4_2017021210480374a.jpg     5_20170212104805d21.jpg     6_20170212104806a1f.jpg
深呼吸の必要」       「音符と昆布」         「幸福のスイッチ
監督:篠原哲雄         監督:井上春生         監督:安田真奈
                市川由衣、池脇千鶴       上野樹里、沢田研二

7_20170212104837d2e.jpg
愛と死の記録
監督:蔵原惟繕
吉永小百合、渡哲也

8_20170212104903156.jpg     9_20170212104905c7f.jpg     10_20170212104906887.jpg
アンダーグラウンド」    「アリゾナ・ドリーム」     「真昼の不思議な物体
監督:エミール・クストリッツァ                 監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
フランス            フランス            タイ

11_20170212104941901.jpg     12_201702121049429d5.jpg     13_20170212104944b4f.jpg
小さな兵隊」        「北の橋」           「ふたつの時、ふたりの時間
監督:ジャン=リュック・ゴダール 監督:ジャック・リヴェット  監督:ツァイ・ミンリャン
フランス             フランス           台湾

14_201702121050209ce.jpg     15_201702121050221f5.jpg     16_20170212105023bca.png
祝祭」           「シンプル・シモン」      「ぼくとママとおまわりさん
監督:イム・グォンテク     監督:アンドレアス・エーマン  監督:エラ・レムハーゲン
韓国              スウェーデン          スウェーデン

映画 「セッション」   監督:デイミアン・チャゼル

上

 ジャズを教える音楽学校を舞台にする、鬼教師と学生たちとの学園ドラマ。
 そのスパルタ教育は教師のパワハラとも受け取れるが、しかし、鬼教師のテレンス・フレッチャー(J・K・シモンズ)が指導する学生ビッグバンドは抜群のジャズ演奏をする。

1-0_201702082152121b8.jpg アンドリューは幼い頃からドラムを叩いてきた。そして名門のシェイファー音楽学校に入学。
 この学校の授業(ゼミ、演習)は、ビッグバンド演奏の実習という形態をとっている。ゼミ毎にビッグバンドが組織され、担当教師それぞれが指導・指揮する。

 テレンス・フレッチャーは、シェイファー音楽学校きっての教師でスパルタ鬼先生だが、彼の授業(演奏実習)は学生の誰もが憧れる授業であった。そして、彼に認められて彼が指揮するビッグバンドの演奏メンバーになれれば、次に誰もが思うのは、レギュラーメンバーになりたい。
  ある日、アンドリューはテレンス・フレッチャーのバンド実習に呼ばれる。(つまりアンドリューの才能が「一応」認められたことになる。)

 アンドリューは呼ばれた初日から鬼教師のパワハラ洗礼を受ける。
 悔しいアンドリューはその日から、文字通り血の出る練習をする。そして、先輩を押しのけてドラムのレギュラーになれたかに思えた矢先、テレンス・フレッチャーはアンドリューのクラスメイトのライアンも授業に呼び出した。レギュラーの地位に向けてアンドリュー含めドラム演奏者3人の熾烈な競争となった。そして、ついにアンドリューはレギュラーを勝ち取った。
 しかし、これから先、まだいろんなことが起きますが・・・あとは観てください。

 そしてラスト。学校を追放されたテレンス・フレッチャーは、プロのメンバーを率いてカーネギーホールのコンサートに出演しますが、そのドラマーはアンドリューです。
 アンドリューはテレンス・フレッチャー教師のパワハラによって、ドラマーの道を諦めていましたが、彼の誘いで再度スティックを握ることになります。
 しかし、テレンス・フレッチャーの誘いには「裏」があったのです。それはアンドリューへの仕返しでした、しかし・・・・。
 
 シーンの多くは、学内の練習スタジオか、コンサートの演奏シーンです。
 ビッグバンドが演奏する音楽は、シャープな現代的なモダンジャズ。これが楽しめます。

 アンドリュー役のマイルズ・テラーという俳優は、ジャズドラムを本当に叩きます。ピアノやギターなら、俳優が演奏できなくても、映像で騙せるかもしれませんが、ドラムはそうはいかない。マイルズ・テラーは、ジャズをやって来た人なんでしょう。私なら、鬼教師役のJ・K・シモンズよりも、彼を褒めたい。
 パワハラのシーンは、ときに劇画的で興ざめですが、ビッグバンドのサウンドが良いので帳消しというところでしょうか。

2-0_20170208220321516.png 鬼教師が言うこのセリフが気に入りました。
 世の中、甘くなった。ジャズが死ぬわけだ。
 カフェあたりで売ってるジャズのCDが(それを)証明してる。
 (ジャズの世界で)もっとも危険な言葉は、「上出来だ(グッド・ジョブ)」という安易な言葉だよ。

オリジナル・タイトル:WHIPLASH
監督・脚本:デイミアン・チャゼル|アメリカ| 2014年|106分|
撮影:シャロン・メール|
出演:アンドリュー・ニーマン(マイルズ・テラー)|テレンス・フレッチャー(J・K・シモンズ)|アンドリューの父親のジム・ニーマン(ポール・ライザー)|アンドリューの彼女のニコル(メリッサ・ブノワ)|ドラム専攻でクラスメイトのライアン・コノリー(オースティン・ストウェル)|ドラム専攻の先輩のカール・タナー(ネイト・ラング)|ほか

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映画 「ディストラクション・ベイビーズ」   監督:真利子哲也

上

1-0_2017020209333779e.jpg

 世間から、「はみ出た」者たちへの哀歌。そして、覚醒し始めるモンスターの物語。あるいは、痛そうな映画。
 
 ある日、何の前触れもなく、やがて駆出し、そして、その一瞬、暴発する怒り。仕掛けるケンカとその痛みと血の味は、覚醒し始める暗黒の悪の予感と快感を誘い、男はなかば陶酔の中。

 愛媛県の松山から、さほど遠くない小さな漁村で、その男、泰良(柳楽優弥)は養父(でんでん)のもとに育った。
 高校生の泰良はいつもケンカ沙汰。ある日、ふいっとふらり無一文で松山の街に出る。あては何もない。
 泰良は行き当たりばったりに、通りすがりの男や街のヤクザ相手に、ケンカをいきなり仕掛ける。打ちのめされるが、再度は勝つ。この繰り返しで泰良は徐々に、そして確信的に、バイオレンスの奥にある甘い味に目覚め、心の闇の中で陶酔していく。

 泰良に出会った裕也(菅田将暉)は、臆病な男だったが、泰良の腕力を利用し、泰良を従え、通行人に乱暴を働きながら、松山の街を我が物顔で歩き出す。裕也の心の奥に潜んでいた、こんな悪の衝動が路上に転がり出たのだ。
 そんな裕也を、いささか小馬鹿にした目で見る泰良。泰良は裕也に従っているとは、まったく思ってない。

 裕也が強奪したベンツに、偶然、キャバクラ嬢の那奈(小松菜奈)がいた。
 那奈は身柄を拘束されながら、裕也と泰良の3人は、このベンツで深夜の松山市街を離れた。
 翌日、山の中の道で、泰良は車を降りる。しばらくして戻って来た泰良の服に血が着いている。どこかでまた、乱暴したらしい。泰良を追って来た男が、泰良に叩きのめされ路面に倒れた。 

 それまでトランクに入れられていた那奈が運転をさせられる。と、走りだそうとするその時、車は何かに乗り上げる。倒れていた男だった。裕也は那奈にその男をトランクに入れさせる。
 あっ、那奈は慌てた。その男が意識を取り戻したのだ。那奈はなぜか反射的に、男の首を渾身の力で絞めた。それを見た泰良と裕也は、少しの驚きを感じながらも、ニヤリとするのだった。

 警察に追われていた泰良が、祭りの夜、松山に現れた。泰良の人相はがらりと変わっていたのだった。

 全体的に、セリフの聞きやすさを嫌い、わざと低めの音量になっている。とりわけ泰良のセリフの数は僅か。その中で立ち上がってくる「異様さ」を表現するのが、泰良・役の柳楽優弥の仕事。だが、その顔に幼さが残るせいか迫力に欠ける感じ。高校生という設定だからか? 少し残念。(もっとも、映画によくある安っぽいヤサグレ男ではないが。)
 バイオレンス・モンスターで思い出すのが、2014年の韓国映画「その怪物」だが、この映画は優男で迫力がなかった。 (下線部をクリックして「その怪物」の記事をご覧ください)

1-5_20170202101351566.jpg【 真利子哲也監督の映画 】
これまでに記事にした作品です。
以下のタイトル名をクリックしてお読みください。
イエローキッド」 2009、「NINIFUNI」 2011、
同じ星の下、それぞれの夜  FUN FAIR」 2012
【 柳楽優弥出演の映画 】
誰も知らない」 2004  監督:是枝裕和 お薦め

監督:真利子哲也|2016年|108分|
脚本:真利子哲也、喜安浩平|撮影:佐々木靖之|
出演:柳楽優弥(芦原泰良)|菅田将暉(北原裕也)|小松菜奈(那奈)|村上虹郎(芦原将太)|池松壮亮(三浦慎吾)|北村匠海(健児)|三浦誠己(河野淳平)|でんでん(近藤和雄)|ほか

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映画 「変魚路」   監督:高嶺剛

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2-0








ミサイラーと、白髪の山の神と、イフェ―パタイジョーのオブジェ(守り神?)


 唐の世が大和の世になって、大和の世がアメリカ世に、アメリカ世が大和の世に・・・
 という歌が、三線一本で歌われて映画が始まります。

 高嶺剛監督の映画は、これまでに、「パラダイスビュー」(1985)と「ウンタマギルー」(1989)を取りあげてきました。(下線部をクリックして過去記事をお読みください)
 どちらの映画も、沖縄の地と文化にしっかりと根差す映画で、沖縄のいにしえをモチーフに取り入れ、かつウチナーグチのセリフでした。
 この「変魚路」も、その路線は変わりありません。しかし、お話の様相は変わった風に思えます。
 ひとつは、現在未来よりも、しきりに過去を振り返るようなシーンがあります。それは、沖縄の良きいにしえを今も継承すると言う風じゃなく、主人公たちの少年時代の古い写真(敗戦直後の頃か)が何度も映し出されます。回顧の念でしょうか。
 もうひとつは、登場人物の多くが年配者たち(出演者たちが老いました)で、若い人の愛といったことは出てきません。
 一方、そうした事と釣り合いを取ろうとするかのように、映画表現は過激になっています。
 沖縄芝居(大衆演劇)や沖縄の民話のイメージを背景にしながらも、突拍子もない調子はずれなシーンが前後の脈略なく現れ、かつ、それらをコラージュした表現が多く出てきます。もちろん可笑しなユルいシーンもあります。


3_201701311231263fc.jpg 監督(1948- )が老いたのでしょうか? 総じて映画の角が丸くなりました。怒りが遠のいた。もっとはっきり言えば、何やら、世に対する「あきらめ」とでもいうようなものが感じ取れます。
 映画表現はハチャメチャではありますが、穏やかなお話でした。
 「パラダイスビュー」や「ウンタマギルー」が良かったと思う方は、「変魚路」を難解な映画と思わず観てください。


監督・脚本:高嶺剛|2016年|82分|
撮影:高木駿一、平田守|
音楽:坂田明|ヨハン・バットリング|ポール・ニルセン・ラブ|大城美佐子|大工哲弘|嘉手苅林昌|CONDITION GREEN|北村三郎|
出演:平良進(タルガニ)|北村三郎(パパジョー)|大城美佐子(カメ)|川満勝弘(ミサイラー)|ほか


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気になる映画 55

1_20170129184515a52.png          2_20170129184516094.png
「ドント・ルック・バック」            「タレンタイム ~優しい歌」
ボブ・ディランのドキュメンタリー          監督:ヤスミン・アフマド (マレーシア映画)
新宿K's cinema 2017年夏              イメージ・フォーラム3月下旬 シネマート心斎橋4月
観ました。記事はこちらから。            観ました。記事はこちらから

3_2017012918451922f.png「バンコクナイツ」
 監督:富田克也(空族) 
 2.25~テアトル新宿ほか

 【富田克也(空族)の映画】
 これまでに記事にした映画です。
 タイトル名をクリックして記事をお読みください。

 「雲の上」 2003
 「サウダーヂ」 2010
 「同じ星の下、それぞれの夜  チェンライの娘」 2012







4_2017012918452074e.png          5_20170129184521eef.png
ユーリー・ノルシュテイン監督特集         「アメリカンズ ~ロバート・フランクの写した時代」
「アニメーションの神様、その美しき世界」      ドキュメンタリー映画
イメージ・フォーラム'16.12.10~順次公開       文化村・ル・シネマほか4月~

2年前・4年前・6年前の1月、一夜一話。 (2015年1月・2013年1月・2011年1月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-01-31 Tue 06:00:00
  • 映画
2年前の1月掲載記事の全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2015年1月 Archive
【掲載映画リスト】
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1鮫肌男と桃尻女      2おそいひと      3病院へ行こう
鮫肌男と桃尻女」       「おそいひと」          「病院へ行こう
監督:石井克人          監督:柴田剛           監督:滝田洋二郎
浅野忠信                              薬師丸ひろ子

11イロイロ ぬくもりの記憶      12バンディッツ      13ミュージアム・ヴィジター
イロイロ ぬくもりの記憶」  「バンディッツ」         「ミュージアム・ヴィジター
監督:アンソニー・チェン    監督:カーチャ・フォン・ガルニエル 監督:コンスタンチン・ロプシャンスキー
シンガポール           ドイツ               ソ連

14パッツァーニ      15妻の愛人に会う      16孤独な声
パッツァーニ」        「妻の愛人に会う」         「孤独な声
監督:ディナーラ・アサーノワ   監督:キム・テシク       監督:アレクサンドル・ソクーロフ
ソ連               韓国              ソ連

17スクリーミング・マッド・ジョージの BOY IN THE BOX      18スーパー!      19ナショナル・ギャラリー 英国の至宝
スクリーミング・マッド・ジョージの  「スーパー!」      「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝
       BOY IN THE BOX」  監督:ジェームズ・ガン     監督:フレデリック・ワイズマン
監督:スクリーミング・マッド・ジョージ   アメリカ        フランス
アメリカ

20幸せのあり
幸せのありか
監督:マチェイ・ピェプシツァ
ポーランド

4年前の1月掲載記事の全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2013年1月 Archive
【掲載映画リスト】
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1恋や恋なすな恋     2ガラスの中の少女     3十九歳の地図
恋や恋なすな恋」      「ガラスの中の少女」      「十九歳の地図
監督:内田吐夢         監督:若杉光夫         監督:柳町光男
大川橋蔵、瑳峨三智子      吉永小百合、浜田光夫      沖山秀子、白川和子

4ナインティーン     5毎日かあさん     6いつかギラギラする日
19 」           「毎日かあさん」        「いつかギラギラする日
監督:渡辺一志         監督:小林聖太郎        監督:深作欣二
 あ              小泉今日子           荻野目慶子、萩原健一

7縮図
縮図
監督:新藤兼人
乙羽信子、山田五十鈴

11子猫をお願い     12素粒子     13ふたりの人魚
子猫をお願い」       「素粒子」           「ふたりの人魚
監督:チョン・ジェウン     監督:オスカー・ロエラー    監督:ロウ・イエ
韓国              ドイツ             中国

14パリ、恋人たちの2日間     15ジャンク・メール     16桃さんのしあわせ
パリ、恋人たちの2日間」     「ジャンク・メール」        「桃さんのしあわせ
監督:ジュリー・デルピー      監督:ポール・シュネットアウネ   監督:アン・ホイ
フランス             ノルウェー           中国

17殺人に関する短いフィルム     18風櫃の少年     19ナイン・シガレッツ
殺人に関する短いフィルム」 「風櫃の少年」         「ナイン・シガレッツ
監督:クシシュトフ・キェシロフスキ 監督:ホウ・シャオシェン  監督:ウーゴ・ロドリゲス
ポーランド             台湾            メキシコ

6年前の1月の1ヶ月間の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2011年1月 Archive
【掲載映画リスト】
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1バウンティフルへの旅     3パンドラの箱     2春にして君を想う     
バウンティフルへの旅」   「パンドラの箱」        「春にして君を想う
監督:ピーター・マスターソン  監督:イェシム・ウスタオウル  監督:フリドリック・トール・フリドリクソン
アメリカ            トルコ             アイスランド

4マイ・ディア・チルドレン     5サン・ジャックへの道     6ジュリー&ジュリア3
マイ・ディア・チルドレン」 「サン・ジャックへの道」    「ジュリー&ジュリア
監督:ジャナ・イサバエヴァ   監督:コリーヌ・セロー     監督:ノーラ・エフロン
カザフスタン          フランス            アメリカ

7靴に恋して     8母なる証明     9素敵な歌と舟はゆく
靴に恋して」        「母なる証明」         「素敵な歌と舟はゆく
監督:ラモン・サラサール    監督:ポン・ジュノ       監督:オタール・イオセリアーニ
スペイン            韓国              フランス

10_20170129121059b42.jpg     12アナーキー・インじゃぱんすけ     11コシュ・バ・コシュ     
幽霊列車」 「アナーキー・インじゃぱんすけ 見られてイク女」 「コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って
監督:野淵昶          監督:瀬々敬久          監督:バフティヤル・フドイナザーロフ
日本              日本               タジキスタン

映画 「さくらん」   監督:蜷川実花  脚本:タナダユキ

上

 この映画は安野モヨコの漫画をもとにし、(だから基本、女性向けで)、そして、やたら極彩色な写真家・蜷川実花と、「モル」「百万円と苦虫女」の映画監督・脚本家のタナダユキと、椎名林檎との、3人による共作の映画。
 江戸時代や時代劇や遊郭モノが好きな人は敬遠するかもしれないけれど、たまにはこういう映画もそれなりに悪くない。

1-0_201701251405554b3.jpg これでもかという濃厚な色使いで埋め尽くされる映像は、結果、その色彩に酔う感覚で心地良く思う人や、外国人を狙っているんだろう。
 でも映像を観てると、室内インテリアや着物が、残念ながら安っぽい。いま出来上がりました的で、衣装や大道具に、まだ味(色味)がしみ込んでない感じがする。色に深みが無く、なぜか色紙を思い浮かべてしまう。
 色彩じゃない方の「色」は、女優3人の白い背中を拝めるくらい。そもそも、この映画に粘っこい男性目線はない。

 男性と言えば、店の使用人・倉之助(椎名桔平)。倉之助は、吉原遊廓の遊女で主人公の日暮(土屋アンナ)の相手役。
 この倉之助はイケメンで、イケメンの役どころだからこその、いつもの宿命で、なにやら「場」から浮いているのが可笑しい。
 でも、だからこそ、遊郭の中庭にいる倉之助は、店の2階にいる日暮と、「ロミオとジュリエット」ができるし、ラストでは満開の桜の中を、ふたりして走れるのである。こういうところが、倉之助が映える活躍の場なのだ。

 さて主役の土屋アンナは女優として「見せる」が、あの一本調子の演技は変わらない。
 あとふたりの花魁、高尾(木村佳乃)、粧ひ(菅野美穂)も、極彩色に埋もれて、演技はかすれ気味。
 ま、しかし、時代劇に挑戦するのは良い。

 この映画を作った人は、製作にあたって参考に、川島雄三の映画 「幕末太陽傳」を観てるだろう。
 また、遊郭を扱った破天荒なインディーズ映画、林海象の「音曲の乱」は、もし予算がたっぷりあったなら、「さくらん」に近い極彩色を得たかもしれない。
 男性目線が多い中、周防正行の映画「舞妓はレディ」は、遊郭じゃなく祇園だが、かわいい舞妓目線の映画だった。
 (上記文中、下線部は当該映画の記事へのリンクです。クリックして、当ブログの記事をお読みください)
 

監督:蜷川実花|2007年|111分|
原作:安野モヨコ|脚本:タナダユキ|撮影:石坂拓郎|音楽:椎名林檎|
出演:きよ葉/日暮(土屋アンナ)|倉之助(椎名桔平)|惣次郎(成宮寛貴)|高尾(木村佳乃)|粧ひ(菅野美穂)|光信(永瀬正敏)|若菊(美波)|大工(山本浩司)|坂口(遠藤憲一)|幼いきよ葉(小池彩夢)|しげじ(山口愛)|お蘭(小泉今日子)|楼主(石橋蓮司)|女将(夏木マリ)|ご隠居(四代目市川左團次)|清次(安藤政信)|桃花(蜷川みほ)|花屋(小栗旬)|

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映画 「さらば愛しき大地」   監督:柳町光男

上

 映画の舞台は茨城県鹿嶋市、海と霞ヶ浦に挟まれた平たい地域。
 そこは田んぼが一面に広がる田園風景、そして疎らに点在する農家。
1-0_20170123155834c4f.jpg その一軒が主人公、幸雄(根津甚八)の家だ。幸雄は代々農家のこの家の長男。

 映画は、男女の愛と、衰退していく農業になすすべもない農家の、悲哀を描きながらも、その地に根ざす風土へのこみ上げる郷愁を伝えようとしている。

 幸雄の家は、米作と僅かな養豚じゃ今や食えなくて、(それは、老いた両親と嫁・文江(山口美也子)に任せ)、幸雄自身はダンプトラックを買って、生コン用川砂のピストン運搬を請け負っている。現金収入が入る。この家は俺が支えていると、幸雄は殿様気分。家族を見下して、いい気分。文江との関係は、もとより良くない。

 だが、幸雄はすぐカッとなる、つまらぬことで酒で荒れる。自尊心が強い一方、劣等感が強い。
 特に弟に対してだ。子供のころから頭が良く、品行方正な弟の明彦(矢吹二朗)には、いまも母親から多くの愛情が注がれている。その明彦は、独身で東京で働き東京に住んでいる。

 ある日、幸雄と文江の息子二人が、不幸にも、近所の水辺で遊んでいて水死してしまう。
 さすがの幸雄も、身重の文江も両親も、嘆いても嘆ききれない毎日であった。
 このことは幸雄、文江を精神的に不安定にさせ、二人の関係は疎遠の一途をたどる。

 母と二人暮らしの順子(秋吉久美子)。その母親が若い男と駆け落ちした。順子が知る限り、母親の駆け落ちはこれで3回目。
2-0_20170123160222583.png ひとり残された順子を、通りかかった幸雄がトラックに乗せたことが発端で、幸雄は順子と住む家を借り、嫁・文江と順子との、二重生活が始まる。
 互いの悲しみを舐めあう関係であった。
 それは、川砂運搬がそれなりに高収入だったから成り立った。とは言え、幸雄は文江のいる実家に帰ろうとはしなかった。

 やがて順子との間にも子供が出来、そこだけ見れば、幸せな一家に見えた。実家では、文江は第三子を出産し、幸雄の両親と農作業に相変らず追われていた。
 そこへ、東京にいた明彦が実家に帰って来た。明彦も川砂の運搬業を始め、瞬く間まに小さな事務所を構え事務員も置くに至る。

 そのうち、幸雄は覚醒剤に手を出すようになった。
 幸雄は川砂運搬の発注元の生コン会社の部長とうまくやって、仕事を多く回してもらっていたが、先方からは幸雄に運搬の手配管理も任されるようになるが、幸雄にそういう才はなく、また組織的な行動や指示に馴染めなかった。
 明彦と比べて幸雄は、という劣等感がまた頭をもたげる。荒れ始める。順子にもつらく当たるようになる。幸雄はひとり捨て鉢になり、自暴自棄、自滅への道を歩み出す。
 一方、明彦は結婚が決まった。相手は事務所の女の子だ。

 ついに、幸雄は包丁で順子を刺し殺す。覚醒剤による幻覚が順子の命を奪った。
 映画のラスト。実家の庭先では、明彦夫婦、文江とその子、両親が、ワイワイやっている。子ブタが集団で豚舎から脱走したのだ。
 そこには、やりきれないほどに繰り返しの何ごともない日々と、一時の幸せ、そして覚醒剤と殺人が、大した違和感なく同居している妙な風景であった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 地元社会を浮遊する幸雄と順子に対し、対称的な位置づけで描かれる家族や友人など地元に根付く人々。彼らはいわば古い慣習伝統に生きる人々だ。しかし、そんな彼らの中にも、生きにくい地元に(ささやかだが)あらがう者もいた。
 映画は幸雄と順子を主人公にするが、ふたりを取り巻く人々の生きざまも見つめたい。なぜなら、この映画は取り巻く人々あっての物語なのだ。 
 作品としては、幸雄の妻役の山口美也子、幸雄の母親役・日高澄子、父親役・奥村公延および幸雄の同僚役・蟹江敬三たちの、しっかりした脇役が素晴らしく、彼らによる勝利とみるべきだ。

3-0_20170123162335d49.png監督・脚本:柳町光男|1982年|130分|
撮影:田村正毅
出演:山沢幸雄(根津甚八)|順子(秋吉久美子)|幸雄の弟・山沢明彦(矢吹二朗)|幸雄の正妻・山沢文江(山口美也子)|幸雄の母・山沢イネ(日高澄子)|幸雄の父・山沢幸一郎(奥村公延)|幸雄の同僚・大尽(蟹江敬三)|その妻・フミ子(中島葵)|順子の母(佐々木すみ江)|実家に呼んだ霊媒師(白川和子)|ほか

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映画 「パリ、テキサス」   監督:ヴィム・ヴェンダース

上2

 
 この映画は、お話がサンドイッチのように三つの階層から成っていて、相互に関連します。
 加えて、3つの舞台装置(仕掛け)が、つまり、テキサスの荒野にあるパリという所「パリ、テキサス」と、過去の幸せな日々を映した8ミリフィルム映像、そしてマジックミラー越しのテレフォンクラブが、現在過去を繫ぐ回廊として、象徴的に印象的に機能している映画です。

1-0_201701191435397cf.jpg お話の第1の層(幻視の世界)では、主人公トラヴィスがまるで夢遊病者のようにテキサスの荒れた大地を徘徊しています。この荒野や、あとで出てくる荒野の中にあるパリは、どうしようもない悲しみを抱えるトラヴィスの心象風景と言っていいでしょう。

 第2のお話の層(トラヴィスを取り巻く現実世界)への移行は、トラヴィスがぶっ倒れて荒野の中にある診療所に担ぎ込まれるところです。これがきっかけでトラヴィスは、弟ウォルトと再会し、現実の世界へと舞い戻ります。つまり、ウォルトは嫌がるトラヴィスをロサンゼルス郊外の自分の家に連れて帰り保護します。

 ウォルトの家には、トラヴィスとその妻ジェーンとの間にできた一人息子ハンターがいました。これまでウォルト夫妻は、幼かったハンターを養子のように育てていました。
 それはつまり、かつて、トラヴィスとジェーンの夫婦関係が破たんし、トラヴィスが家を出、続いてジェーンもハンターを置いて失踪した結果、ウォルト夫妻がハンターの世話をしなくてはならなくなったのでした。

 ハンターは7歳になりますが、両親のことは憶えていません。まだ赤ちゃんだった頃の8ミリフィルム映像で、自分の両親を知っているだけでした。
 徘徊の世界にいたトラヴィスは、徐々に我が子ハンターを認識し出し、父親として振る舞うようになります。同時にハンターは、8ミリ映像の中の父親と、目の前にいる男とを結びつけることが出来るようになります。

 そんなある日、トラヴィスは妻ジェーンを探しに行こうと決心します。ハンターも望んで父親に同行します。
 妻を探す見込みは、わずかですがありました。ジェーンはハンターの養育費として、毎月決まった日に、5ドル、10ドル、あるいは50ドルとその都度まちまちな金額でしたが、ウォルト家の口座に金を振り込んでいます。つまり、振込銀行の支店が分かっていました。トラヴィスとハンターは、振り込みするその日に、テキサスにあるその支店を目指して、車で向かいます。

2-0_201701191446193f5.png 第3のお話の層(トラヴィスの心の核心の世界)へのきっかけは、ハンターが母親を「直感」で見つけた事でした。
 トラヴィスとハンターは、銀行支店の前で母親が來るのを待ち伏せしていたのです。母親が運転しているとハンターが言う、赤い車はどんどん去って行きます。父子はその車を追います。高速道路に乗り、そして降りてあるビルで赤い車は止まりました。トラヴィスはハンターを車に置いて、そのビルに入ります。

 そこはテレフォンクラブで、店内の個室にあるマジックミラー越しに、店の女と電話でデートできる所でした。
 トラヴィスは、店でジェーン(ナスターシャ・キンスキー)らしき女を遠目に発見し、さっそく客を装ってその女を指名します。やがて個室内のマジックミラーの向こうに女が現れます。すぐにジェーンだと確認できました。(ただしジェーンの方からは彼の姿は見えません)

 翌日再度、来店し、ふたりはマジックミラー越しに対面します。
 トラヴィスは、当時言えなかった、言う機会が無かった自身の心境を、ジェーンに包み隠さず一方的に語りかけます。そして最後に、ハンターと一緒に泊っているホテルのルームナンバーを言って、トラヴィスはその場を去って行きます。トラヴィスは直に、妻とは会いませんでした。
 その夜、ジェーンはホテルの部屋で、我が子ハンターを抱きしめました。しかし、そこにはトラヴィスはいません。再び失踪したのです。つまり、彼はまた、第1のお話の世界へ帰って行ったのです。

 なぜ、ふたりの関係は破たんしたのでしょう。なぜ、トラヴィスはまた放浪の人生を歩むのでしょう。
 結婚した当時、トラヴィスは仕事探しに悩んでいました。地元に良い職がなく、家を出て出稼ぎしないと、一家を養えませんでした。しかし、トラヴィスは溺愛するジェーンと、一時でも離れていることは心的な苦痛でした。朴訥なトラヴィスと、歳の差が大きくある二十歳前のジェーンでした。

 出稼ぎ先のトラヴィスは、ジェーンが浮気しているという妄想を次第に抱き始めます。そして妄想は日を追うごとに大きくなって行きました。自身で自分を追い詰めているのに気付かぬトラヴィスは、家に戻り妄想を元にジェーンを罵ります。
 そんな中、ジェーンが妊娠。辛い思いをするジェーンも彼を罵ります。夫婦の関係は、どんどん、ささくれ立って行きました。
 しかし、それでも、トラヴィスは苦しみながらもジェーンをこよなく愛していたのでした。
 (このトラヴィスの心の核心は、テレフォンクラブでトラヴィスがジェーンに、電話でつぶやくように語るそのシーンで明らかになります。これを見逃すと話が分からなくなる重要場面です) 
 トラヴィス自身のこの、愛と憎の合い入れぬ感情は、彼の精神を蝕みました。そして失踪。残された若いジェーンは、まともに相談する相手もなく、やはり心を病み、幼いハンターを置いて、続いてその行方をくらましました。(映画はここら辺りの事情を、映像にしていないので、難解に感じるかも知れません) 

 トラヴィスとジェーンとの関係はすさみ切っていて、ふたりはまるで荒野の中にいるようでした。ですが、愛はあったのです。それはテキサスの荒野の中にある、はかない場所「パリ」が象徴しています。そこはフランスのパリではないが、彼にとっては甘い香りの愛の街のように思える所。トラヴィスは、今もそう思っています。

 さて折角3人が一緒になれるはずだったのに、なぜトラヴィスは妻子を置いて、また放浪の人生を歩むのか。
 すべて俺が悪いのだ。トラヴィスはちゃんと理解しています。つまりは、愛と一家の生計とが両立しないのです。
 下層の一家がひとつ屋根の下に住みながら、地元で働いて妻子を養うに足る仕事が、今も地元には無い。よって、やはりかつてのように家を出て出稼ぎせざるを得ない。そうなれば、トラヴィスはまた荒れます。だから下層の男トラヴィスは、ジェーンへの愛と、一緒に住むことの両方を諦めざるを得ないのです。(この頃からアメリカ国内は、低所得労働者にとって、とても厳しい時代になって行きました)

3-0_20170119151503bd1.jpg トラヴィスは几帳面な男でした。荒野での映画冒頭シーンで、飲料水を飲み干した空のポリタンクを捨てる時、ポリタンクのキャップをきちんと閉めてから捨てる男。弟の家に居候して、弟夫婦やハンターの靴をすべて磨き、家の外できちんと並べて日干しする男。
 妻との日常も、毎日、互いの歯車がきちんとかみ合うことが、トラヴィスの心の安らぎとなっていたのだろう。それがトラヴィスが感じたい愛の実感だったのかもしれない。

 余談だが、弟ウォルトの人生も気になるところ。この兄弟は貧しい一家に生まれたらしい。
 兄は良い仕事にありつけない低所得者層のままだったが、ウォルトは妻と共に広告看板制作会社を営み、それなりの収益があるらしく、借金をして、ロサンゼルス郊外に、空港の傍とは言え、小さな一軒家を新築している。ウォルトは中流に這い上がったようだった。
 今、この映画を観て感じるのは、その後、アメリカがさらなる格差社会となって、中流階級が消滅して行ったこと。
 ウォルトの家は、丘を切り開いた新しい住宅造成地の端にあって、丘の上。そこから空港を見下ろすシーンは、何か心にきりきりと来るようで、印象的でした。

オリジナルタイトル:Paris, Texas
監督:ヴィム・ヴェンダース|西ドイツ フランス|1984年|147分|
脚本:サム・シェパード|脚色:L・M・キット・カーソン|撮影:ロビー・ミュラー|
出演: トラヴィス・ヘンダースン(ハリー・ディーン・スタントン)|その妻ジェーン・ヘンダースン(ナスターシャ・キンスキー)|その子ハンター・ヘンダースン(ハンター・カーソン)|トラヴィスの実弟ウォルト・ヘンダースン(ディーン・ストックウェル)|その妻アン・ヘンダースン(オーロール・クレマン)|

【ヴィム・ヴェンダースの映画】
これまでに記事にした作品です。それぞれの題名をクリックしてお読みください。
都市の夏」(1970)     「ゴールキーパーの不安」(1972)
都会のアリス」(1973)     「さすらい」(1975) ←お薦め
ベルリン・天使の詩」(1987)     「ミリオンダラー・ホテル」(2000)     「パレルモ・シューティング」(2008)

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映画 「天使の涙」   監督:ウォン・カーウァイ(王家衛)

上0

 二人の男と、三人の女の話。舞台は、夜の香港です。
 このお話は、実は、話の底に、たっぷりのコミカルさをたたえながらも、それをシャープな映像で覆い隠して、ニヒルに冷たく自虐的に、明日に希望ない人々を描こうとしています。
 久々に観ましたが、今もって新鮮。賞味期限は、まだまだ先。

1-0_201701131244473d4.png 殺しのエージェント(ミシェール・リー)と、殺し屋(レオン・ライ)の二人は、タッグを組んで完璧な仕事をして来た。
 仕事をする上で、二人は決して顔を合わさない。エージェントの女は現場を下見しお膳立てして、ドライに指示を出す。殺し屋も女の指示通りドライに仕事をこなす。しかし、エージェントの女は密かに、殺し屋の男に気がある。片や殺し屋は、そろそろこの商売から足を洗おうとしている。

2-0_20170113124630322.jpg 口がきけないモウ(金城武)は、真夜中にあちこちのいろんな店で商売をしている。
 例えば、ある日は散髪屋、ある時はアイスクリーム移動販売車、次の日は屋台の豚肉屋、そして、ある夜はハンバーガーショップ。
 つまり、夜中に勝手に他人の店舗をこじ開けて、その店に入り込み、通りがかりの人間に、無理やり押し売りしている。時に腕力も使う。だが、モウはいたって善人だ。もっと言えば、幼い心のままに大人になってしまった男。

 その女(チャーリー・ヤン)は、愛する彼に電話していたが、その電話で彼が結婚することを知り、突如失恋した。そして、偶然その場にモウがいた。
 その後、なりゆきでモウは、逆上する失恋娘が彼の結婚相手に殴り込みをかけるのに付き合うことになる。でもなぜ?、それはモウの一方的な初恋だった。

3-0_2017011312594148c.jpg 殺し屋商売から足を洗おうとしているロンリーな殺し屋は、雨降る夜のマクドナルドで、いつになく人恋しかった。
 人けのない夜のマクドナルドに、もうひとりの客がいた。客の女は、殺し屋に近づき彼の気を引こうとする。その客は、金髪の女(カレン・モク)。結局、金髪の女は自分の部屋に殺し屋を引き入れて、夜が明ける。

 密かに殺し屋の男に気がある例のエージェントの女は、情緒不安定だった。
 ある夜、それは偶然だった。エージェントの女が金髪の女とすれ違った。そして互いにハッとする。互いに殺し屋の男との関係を嗅ぎ取ったのだ。
 その後エージェントの女は、引き際を探っている殺し屋に最後の仕事を出すが・・・。

 その夜、モウは勝手にこじ開けたハンバーガーショップにいた。
 ふと気付くと店の前に、あの失恋娘がキャビンアテンダントの制服で立っている。人待ちの様子。口のきけないモウは、女の気を引こうとするが、彼氏が現れ二人は去って行った。


4-0_2017011313204129c.jpg エージェント役のミシェール・リー、失恋娘役のチャーリー・ヤン、金髪の女役のカレン・モク、この三女優の演技の競い合い、これが見どころです。
 この映画、台詞は少ない。エージェントの女とモウの、独り言のようなナレーションが、それぞれの登場シーンに入る。これがうるさく感じないところが良い。

 登場人物五人のそれぞれの様子にも注目したい。
 ベストマッチングであった、エージェントの女と殺し屋の関係はご破算となり、完璧だった殺し屋は相手に撃たれてしまう。
 これに比べ失恋娘は、初恋するモウの助けを借りて、自身の失恋を克服し、新しい彼氏をさっさと見つけ、かつ航空会社に就職する。この現実的な失恋娘の、明日への行動力は素晴らしい。
 一方、金髪の女は、あいかわらず成り行き任せに、ひとり気ままに世間を浮遊する。
 残るモウは、いつまで経っても、子供の心。お人好しで失恋娘にいいようにされ、これまた、たまたまだったが、エージェントの女の面倒もみることになる。
 そうしてモウ自身は、焼き鳥屋でやっとまともな仕事を得るが店が閉店となり、また夜中の勝手な商売に逆戻り。おまけに、二人暮らしだった父親が他界し、モウはひとりになる。

 製作時の1995年当時、とうとう二年後に迫った香港返還は、香港の誰もが考えざるを得ないことだった。そう思うと、(映画は香港返還を語らないが)、この登場人物五人それぞれの生きざまは、不安を抱えて返還を迎える人びとの、対応の比喩だとみると、意味深長に思えて来る。

 最後になるが、同じくウォン・カーウァイ監督の映画「恋する惑星」(1994年)と本作、混同しないように。
 なお、本作の美しいビジュアル表現は、イギリス映画「ひかりのまち」(1999年、監督:マイケル・ウィンターボトム)に受け継がれているとも思える。(この二つの映画の記事は、題名をクリックしてお読みください)

5-0_20170113134827646.pngオリジナルタイトル:堕落天使
監督・脚本:ウォン・カーウァイ(王家衛)|香港|1995年|96分|
撮影 クリストファー・ドイル
出演:殺し屋(レオン・ライ)|エージェント(ミシェール・リー)|モウ(金城武)|失恋娘(チャーリー・ヤン)|金髪の女(カレン・モク)|

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お知らせ。 「映画題名リスト」のリンク接続改善

  • Posted by: やまなか
  • 2017-01-16 Mon 10:50:58
  • 映画
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。

 さて、お知らせです。
 当ブログ内にあります、下記の4種類の「映画題名リスト」から各記事へのリンク接続を、よりスムーズにする改善をしました。
 これまでよりも、円滑にリンク先の記事へ行けるかと思います。ご利用くださいませ。

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1年前・3年前・5年前の1月、一夜一話。 (2016年1月・2014年1月・2012年1月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-01-15 Sun 06:00:00
  • 映画
1年前の1月の1ヶ月間の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2016年1月 Archive

【掲載映画リスト】
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1満員電車     2非行少女ヨーコ     3池脇千鶴
満員電車」         「非行少女ヨーコ」       池脇千鶴の出演映画
監督:市川崑          監督:降旗康男
川口浩、笠智衆            緑魔子

4駆込み女と駆出し男     5預言者     6王朝の陰謀 判事ディー
駆込み女と駆出し男」    「預言者」          「王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件
監督:原田眞人         監督:ジャック・オーディアール 監督:ツイ・ハーク
大泉洋、満島ひかり       フランス映画           香港映画  

7ジプシーのとき     812モンキーズ     9トロピカル・マラディ    
ジプシーのとき」      「12モンキーズ」      「トロピカル・マラディ
監督:エミール・クストリッツァ  監督:テリー・ギリアム   監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
ユーゴスラビア映画          アメリカ映画        タイ映画

10草津温泉           アジア0
草津温泉に行ってきた。                     中央アジア・西アジア・南アジアの映画
                                ( これまでに記事にした映画から )

3年前の1月の1ヶ月間の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2014年1月 Archive

【掲載映画リスト】
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1女と三悪人     2東京ゴッドファーザーズ     3百万円と苦虫女
「女と三悪人」 監督:井上梅次  「東京ゴッドファーザーズ」   「百万円と苦虫女」 監督:タナダユキ
山本富士子、市川雷蔵        監督:今 敏          蒼井優、森山未來

4HYSTERIC.jpg       5透明人間       6ゴムデッポウ
「ヒステリック」          「透明人間」             「ゴムデッポウ」
監督:瀬々敬久          監督:小田基義 特撮:円谷英二    監督:伊丹十三

7実話の映画 邦画編       8潮騒       atg-0.jpg
「実話の映画 邦画編」      「潮騒」             「ATGの映画
これまでに記事にした映画から    監督:谷口千吉 主演:青山京子  これまでに記事にした映画から

9愛・アマチュア       10プラットホーム      12コード・アンノウン
「愛・アマチュア」         「プラットホーム」        「コード・アンノウン」
監督:ハル・ハートリー      監督:ジャ・ジャンクー      監督:ミヒャエル・ハネケ

13カジノ     14ソウルメン     15Uターン
「カジノ」          「ソウルメン」           「Uターン」
監督:マーティン・スコセッシ  監督:マルコム・D・リー      監督:オリヴァー・ストーン

5年前の1月の1ヶ月間の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2012年1月 Archive

【掲載映画リスト】
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1四季・ユートピアノ     2初春狸御殿     3霧の旗
四季・ユートピアノ」    「初春狸御殿」         「霧の旗
監督:佐々木昭一郎       監督:木村恵吾         監督:山田洋次
中尾幸世              若尾文子             倍賞千恵子

4歌女おぼえ書      5ジョゼと虎と魚たち     6萌の朱雀
歌女おぼえ書」       「ジョゼと虎と魚たち」    「萌の朱雀
監督:清水宏           監督:犬童一心         監督:河瀬直美
               池脇千鶴、妻夫木聡

11ベルリン・天使の詩     12ブラック・ムーン     13緑の光線
ベルリン・天使の詩」    「ブラック・ムーン」     「緑の光線
監督:ヴィム・ヴェンダース   監督:ルイ・マル       監督:エリック・ロメール
西ドイツ              フランス            フランス

14バタフライ・キス     15ロゼッタ     16家族の庭
バタフライ・キス」     「ロゼッタ」         「家族の庭
監督:マイケル・ウィンターボトム  監督:リュック・ダルデンヌ  監督:マイク・リー
イギリス             ベルギー           イギリス

17ストレンジャー・ザン・パラダイス     18散歩する惑星     19都会のアリス
ストレンジャー・ザン・パラダイス」  「散歩する惑星」   「都会のアリス
監督:ジム・ジャームッシュ    監督:ロイ・アンダーソン  監督:ヴィム・ヴェンダース
アメリカ             スウェーデン          ドイツ

20ソフィアの夜明け     フランス     ちょっと0
ソフィアの夜明け」     「フランス映画、1960年代。  「ちょっと変な映画」 特集 (洋画編)
監督:カメン・カレフ              いい映画。」  でも、どれも可笑しい話です。
ブルガリア

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映画 「歌うつぐみがおりました」   監督:オタール・イオセリアーニ

上

1-0_20170108204603078.jpg 南コーカサスにある国、ジョージア(旧名グルジア)の首都トビリシでの、可笑しなお話です。
 主人公のギア・アグラゼという男は、劇場専属オーケストラの打楽器奏者。
 舞台の幕が開き演奏が始まると、ヴァイオリンや管楽器の奏者は忙しいが、ティンパニーという楽器は概して暇。下手すると、曲の最初と最後の数小節しかティンパニーは登場しない。そうするとその間、ずっと座っているだけ、なのだが、ギア・アグラゼの場合は違う。

 とにかく、ギア・アグラゼは忙しい。
 幸い、ティンパニーの位置は、舞台下のオーケストラボックスの出入り口付近にある。それをいいことにギアは、オーケストラが演奏中に劇場を抜け出して外出し、最後の数小節を迎える直前に、危機一髪のタイミングでティンパニーの前に帰ってくる。

 その間、ギアが何をしているかと言えば、ある所へ行きある約束を済ませ、次に女の子に会いに行き、その後またちょっとした用を済ませに出かけ、その次に別の女の子に会いに行く。かつ、その移動中の路上で、ワル仲間から儲け話に誘われたり、出会う女の子に挨拶したり。そして、あわてて劇場に向かうのだ。

 何しろ、彼は顔が広く人気者でお調子者。そしていつもせわしない。絶えず、何か(複数の事を)していないと落ち着かない性分らしい。
 つまり、あらゆる案件がギアの中で同時並行に推移しつつあり、それらをつまみ食いする格好で、事をさばいて行こうとする。ポジティブシンキングだが、勝手に楽観過ぎて詰めが甘い。結局、何もかもが中途半端で、その場限りになりがち。
 かつ、約束をすっぽかしたり規則を破るものだから、ギアをよく思わない女の子や、彼を辞めさせたい劇場のお偉いサンがいる。しかし、それは一部の人で、おおかたの人々にとっては、ギアは憎めない存在の人気者なのだ。

 そんなギアを客観的に眺める人々が、映画の中に登場する。それは、ある女の子や図書館にいるメガネのおじさんや、とりわけ、ギアの友人の外科医である。その外科医は、ギアの精神的な面を心配する。しかし、その後ギアは呆気なく死んでしまうのだ。

 この映画を観て思うこと。
 人をひとつの歯車に例えるならば、世間は多くの歯車が互いに噛み合って動いている。この映画が言いたい事のひとつは、そんな事のような気がする。
 ただし歯車と言ったそれは、組織の一歯車といった負のイメージじゃなく、プラスのイメージ、協働あるいは恩義の貸し借りという意味合いだ。
 加えて、歯車にはいろんな種類がある。特にギアみたいな人間は、「遊び歯車」かもしれない。世の中、役にたたないようで役にたつギアみたいな人が必要なんだ。
 なぜ、ここで歯車を持ち出したかと言えば、ギアが交通事故で死亡した直後、映画の最後のシーンで、ギアの友人の時計修理職人が、動かなくなった懐中時計を修理する。修理が終わると時計のメカニズムがたくさんの歯車が一斉に動き出すところを、カメラはアップで見せるのだ。監督のメッセージだよね。

 もうひとつ、思うこと。ギアが絶えずふらふら浮遊しているように見えるのは、実はギアを取り巻く状況や関係性を「早回し」して見せているからだ、という見方。アレクセイ・ゲルマン監督のロシア映画「フルスタリョフ、車を!」と通底する感じがする。

 さらに思うこと。映画冒頭で、ギアは丘の上から、自分の住む街を見下ろしている。これは、ギア自身やギアに関わる全てを客観視するもう一人のギアを表わしているのだと思います。オタール・イオセリアーニ監督の「月曜日に乾杯!」にも同様なシーンがありました。
 (「フルスタリョフ、車を!」、「月曜日に乾杯!」の記事は、それぞれ題名をクリックしてお読みください)

下

オリジナルタイトル:Iko shashvi mgalobeli
英語タイトル:LIVED ONCE A SONG-THRUSH
監督:オタール・イオセリアーニ|ジョージア(グルジア)|1970年|82分|
脚本:オタール・イオセリアーニ、ディミトリ・エリスタービ、オタール・メフリシビリ、イリヤ・ヌシノフ、シェルマザン・カキチャシビリ、シモン・ルンギン|
撮影:アベサロム・マイスラーゼ|
出演:ゲラ・カンデラキ(ギア・アグラゼ)|ジャンスグ・カヒーゼ(指揮者)|マリーナ・カルツィヴァーゼ(マリナ)|ほか


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  • Posted by: やまなか
  • 2017-01-05 Thu 13:55:33
  • 映画
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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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