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映画 「故郷」(1972) 倍賞千恵子、井川比佐志、笠智衆、渥美清  監督:山田洋次

上
砕石を満載し、今にも沈みそうな木造運搬船が、小舟を曳いてゆっくり瀬戸内の海を行く。船は老朽化している。
写真
船長で一家のあるじ、精一。
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船の機関士でもある、妻の民子。子供が二人いる。

 

 どっしりと腰を据えた脚本、じっくり観るに値する、いい映画。

1-0_20170723141037d2f.png 話の舞台は、瀬戸内海に浮かぶ小島と、海上を行きかう木造の砕石運搬船という、日ごろ馴染みのないドラマ設定が、観る者に異色な印象を与えてくれる。
 くわえて、ドキュメンタリー映画の要素も加わり、1972年当時のライブな感覚が味わえる。

 広島県の倉橋島という島に住む、石崎一家の物語です。
 一家の稼業は、一抱えもある砕石を採石場で積み込み、沿岸の埋立て地造成現場の沖合まで航行し、そこで石を海に投棄する仕事。
 この砕石専用の運搬船は「石船」と呼ばれ、特に倉橋島の各家では、この石船を持ち稼業に励む家々が多かったのです。

 石崎の家は、精一(井川比佐志)、民子(倍賞千恵子)の夫婦に、子が二人、そして精一の父(笠智衆)の、五人家族。
 夫婦はそろって船に乗るので、子は専ら祖父が面倒をみている。
 海を見下ろす島の丘には、小さな畑があって民子はそこで野菜を作っているが、買い物に行く間がなく、毎日の食材に困ることがある。
 それを補ってくれているのが、軽トラ行商の魚屋の松下(渥美清)だ。家族同然で、「今日の余りモノだよ」と言って、気安く魚を分けてくれるのだ。

 倉橋島は今も、のどかな様相を見せるが、この島にも時代の波が押し寄せていた。
 石船の運搬単価は下落し、ダンプトラックの陸送に取って代わろうとしていた。これに対抗するには、船体を大きくした鋼鉄船に乗り換えるしかなかった。しかし、石崎に毛頭そんな金はない。
 そんなことより、石崎の早急の課題は、今の木造船のエンジンが寿命に来ていること。砕石運搬の仕事を差配してくれる親方に相談したが、金の融通は無理だった。

 かつて精一と一緒に船に乗っていた弟は、先のない石船の仕事に見切りをつけ、島を離れて今は勤め人になっていた。
 そして、ついに、精一も石船稼業を諦めた。
 人の紹介で、広島県尾道にある造船所に勤めることになったのだ。家族の移住である。精一の父は島に残ることになった。

 東京から来てこの島に移り住んだ魚屋の松下(渥美清)が、映画の中で独り言のように言っている。倉橋島というこんないい島に、どうして住み続けることが出来ないんだろうね。
 また精一は、零細な稼業に押し寄せる時代の波について、妻の民子にこう言っている。「なんで、わしらは大きなもんに勝てんのかいの・・・」と。


監督:山田洋次|1972年|96分|
原作:山田洋次|脚本:山田洋次、宮崎晃|撮影:高羽哲夫|
出演:石崎精一(井川比佐志)|精一の妻・民子(倍賞千恵子)|精一の実父・石崎仙造(笠智衆)|精一の弟・石崎健次(前田吟)|魚屋の松下松太郎(渥美清)|ほか

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映画 「初恋のアルバム 人魚姫のいた島」 韓国映画  監督:パク・フンシク

2_20170723103949f09.jpg




写真


写真

 甘口の映画だが、そう悪くはない。
 それは、若き日の母親とその娘ナヨンを、一人二役で演ずる、チョン・ドヨンが光っているからです。

 ナヨンは失踪した父親を探して、母親が生まれ育った島へ旅立ちました。
 ですが、島に着いた途端、ナヨンは、母親が娘であった頃へ、タイムスリップしてしまう。
 タイムスリップしたその先では、島も、そして周りの海も、まだまだ開発の手が及んでないのどかな風土、光りに満ち溢れた風景でした。

1-0_20170721103413879.jpg 若き日の母・ヨンスンは幼い弟と二人住まい。親はいません。ヨンスンは島の女たちと一緒に、海女をして生活しています。
 島には小さな郵便局があって、ヨンスンはそこの若い配達夫・ジングクと恋仲になっていました。
 学校へ通えず文盲のままに過ぎて来たヨンスンに、ジングクは優しく読み書きを教えています。

 映画はその大部分の時間を使って、このヨンスンとジングク、若い二人の、たどたどしい愛を瑞々しく描いて行きます。これが本作の見どころでしょう。

 さて、そののちジングクは転勤で島を離れることになりますが、結局、その後二人はめでたく結ばれました。
 そう、この郵便局の男ジングクがナヨンの父親になるのです。

 しかし、いつからなのでしょうか、両親の夫婦仲がうまく行かないようになってしまいました。(映画は、夫婦仲が悪い事や以下の事については、少ししか時間を割きません)

2-0_2017072110361922a.jpg 勝ち気な母親は、事あるごとに、がなり声で父親を容赦なく、なじる毎日。父親は言われるまま、ただ黙っている。
 ナヨンはそんな母親が嫌いだ。こんな、女尊男卑な家庭に生まれたくなかった。

 どうやら父親は借金を背負っているようです。人の好い父親は、誰かの連帯保証人になったらしく、返済義務が生じている。
 父親の郵便局勤めの稼ぎだけでは賄えない。その分、家計を補うためにも、母親は銭湯でマッサージ/垢すりをして働いています。(ナヨンも郵便局に勤めています)

 そのうえ、近年、父親は体調が悪い。病院の検査でも良くないらしい。だが父親は、このことを誰にも話していません。
 父親は妻に債務に病魔に疲れてしまい、失踪。
 そこで、娘ナヨンが、父親探しに島へ向かうのでした。

 そして映画冒頭。父親の葬儀の席で、借金を残したまま他界したことを、母親は大声でなじり、大泣きするのです。

 タイムスリップから帰ったナヨンは思います。
 あんなに、ねじ曲がってしまった母親の心に、夫にも見せない秘めた愛、若き日の愛が、あるのだろうと。
 そして、父親については、純粋に優しいということは、かえって周りを傷つけることになると・・・。

 残念なのは、若い頃の両親と現在の両親の、その様相の格差があまりにあまりなので、別の人の話に思えてしまいます。
 いやいや往往にして、こうなってしまうものですよ、と映画は言っているのでしょうか。


下
オリジナルタイトル:人魚姫|인어공주 |
監督:パク・フンシク|韓国|2004年|111分|
原案:キョン・ヒェウォン|脚本:パク・フンシク 、 ソン・ヒェジン|撮影:チェ・ヨンテク|
出演:娘のナヨン、若き日のナヨンの母・チョ・ヨンスン、一人二役(チョン・ドヨン)|現在の母・キム・ヨンスン(コ・ドゥシム)|若き日の父・キム・ジングク(パク・ヘイル)|現在の父・キム・ジングク(キム・ボングン)|ナヨンの彼氏・ドヒョン(イ・ソンギュン)|ほか

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映画 「ジヌよさらば かむろば村へ」  監督・脚本:松尾スズキ

上2


1-0_20170719110447be0.jpg 松尾スズキ監督2015年作のドタバタ喜劇です。こういう質のいい映画をつくる監督に拍手!
 くわえて阿部サダヲの芯のある演技が、この映画の柱になってます。
 なにしろ脚本がいい! (近年、他監督の新作邦画の多くが、その脚本がいかに駄作か・・・・)
 各所にみられる気の利いた可笑しいセリフも聞き逃しなく。

 東北のある村に、頼りなさげな若い男が一人ふらりと現れる。100万円で廃屋のような古い農家住宅を買ったらしい。
 この、かむろば村は限界集落一歩手前。村では、村長・天野与三郎(阿部サダヲ)は、まだ若い。

 天野村長は、この頼りなさげな男・高見武晴(松田龍平)を、まるで身内のように「タケ」と呼んで、親身に世話をする。
 タケは元銀行員。ムリな融資と回収不能の連鎖から、タケは精神的に参ってしまった。そして退職。病名はカネ恐怖症。カネを見るも触るもダメ。身体がガクガクしてきて、その場で気絶する。(本作の題にあるジヌとは銭ということらしい)
 だからカネを使わない生活を探して、タケはかむろば村にたどり着いた次第。

 カネを使わない生活。それは現物支給の生活。
 タケがはじめた便利屋の労働提供は野菜に換わる。村長の店、よろずやの「スーパーあまの」でのバイトも同様で、店の食料品に換わる。ただし、レジはできない。村長の妻・亜希子(松たか子)か、パート店員・いそ子(片桐はいり)がする。

 天野村長は、村に村人に真剣に尽くす。信頼も厚い。(見習え、全国の村長町長よ)
 だが、彼には秘めておきたい過去があった。そしてある日、村長の過去を知るやくざ・多治見(松尾スズキ)がやって来た。
 ひとモンチャク起きないわけがない。警察沙汰となった。

 隣り町の町議会議員が、かむろば村を吸収合併することを企んでいる。かむろば村に何やら処理場を作る計画だ。
 そして、かむろば村の村長選挙が始まる。隣り町の町議は、日頃から手なずけておいた村の助役に立候補させた。
 一方、天野村長は自分に替わって頼りなさげなタケを立候補させる。タケはカネにまみれていない。まみれようがない。ついにタケもその気になった。

 ところで、隣り町の町議会議員は、手なずけたい女がいる。村にある旅館の美人女将だ。
 女将は、かむろば村の老人で自称神様の、なかぬっさん(西田敏行)の娘だ。
 この、なかぬっさんは、いい神様で、(重要なシーンで目が不気味に光る)、この話で重要な役回り。天野村長やタケを助けるのだ。
 だが、神様とはいえ寄る年波には勝てぬ。なかぬっさんが他界。そして、どうやら、孫が村の神を引き継いだようだ。
 村長と村の神が代替わりし、かむろば村は次代へと歩み始める。
 

監督・脚本:松尾スズキ|2015年|121分|
原作:いがらしみきお|撮影:月永雄太|
出演:高見武晴、あだ名タケ(松田龍平)|かむろば村村長・天野与三郎(阿部サダヲ)|その妻・天野亜希子(松たか子)|女子高生・青葉(二階堂ふみ)|村長の店「スーパーあまの」のパート店員・いそ子(片桐はいり)|自称かむろば村の神様・なかぬっさん(西田敏行)|なかぬっさんの娘で伊佐旅館の女将・奈津(中村優子)|奈津の息子でなかぬっさんの孫、与三郎との子・進( 田中仁人)|かむろば村の助役・伊吉(村杉蝉之介)|伊吉の妻でや村役場の職員・トキ(伊勢志摩)|伊佐旅館の板前で元やくざ・勝男(オクイシュージ)|タケの農作業の面倒をみる何時も笑顔のみよんつぁん(モロ師岡)|村のやくざ青年で女子高生青葉が好きな青木(荒川良々)|隣の町の町会議員・伊佐旅館の女将・奈津に気がある・青舐(皆川猿時)|村長の過去を知るやくざ・多治見(松尾スズキ)|

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映画 「プープーの物語」  監督:渡邉謙作

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フウとスズ










写真
ブルーの色が好きなスズと、オープンカー


1-0_201707141055476be.png
 二人の女子、フウとスズの、大変大変なロードムービー。
 これは、ちょっとやっかいなキテレツ喜劇です。
 その上、軽くてユルくて、くだらない。Good!
 今のご時世じゃ、もうこういう映画はつくれない。

 フウは密かにスズが好き。スズはブルーの色が好き。
 フウはスズに寄りつく男をなぎ倒す。スズは赤ちゃんを抱えてる。
 スズは世のしがらみに頓着しない。その時の気まぐれで爽やかに生きてる、チョット足りない女の子。
 フウはスズが好きだから、そんなスズをいつもフォローする。

 大きく広がる田園風景の中、フウとスズと赤ちゃんのプープーはヒッチハイクの車を待っている。
 そこへ、スズが好きなブルー色のオープンカーがやって来る。はしゃぐスズ。
 着いた先で、オープンカーの男がスズに襲い掛かる、
 察したフウは生まれて初めての人殺しで、男をやっつけたはずが、どっこい生きていて逆襲を喰らう。
 だが次の瞬間、男は眉間に銃弾を受け、即死。
 間一髪のところ、二人を救ったのは、オープンカーの後部トランクから突如現れた、不思議な銀色少年、トランクマン。

1-0_2017071410592830c.png そんな頃、女装の妻とその夫は、自分たちの行方不明の赤ちゃんを探していた。
 この二人組に捕まったフウとスズ、計4人はオープンカーに乗って、彼らの赤ちゃん探しに付き合わされる。

 「きっと、ここよ」とフウは車を止めさせた。そこはスズが赤ちゃんをベビーカーごと、置き去りにした所。
 やっぱり!草原の茂みの中から赤ちゃんの泣き声。
 スズの赤ちゃんを奪おうとする二人組は、フウとスズに銃口を向けるが。どこからともなくドキューン。ここで例のトランクマンが再度ふたりを救った。

 そもそも、フウとスズのこの旅は、赤ちゃんのお父さんに会いに行く旅。
 一方、赤ちゃんのお父さん、木嶋(國村隼)は、スズからの手紙を、楽しい我が家で受け取っていた。

 手紙を読んで木嶋は唸った。たしか、依頼殺人でスズを殺したはずなのに…。
 木嶋はさっそく、あの時の殺人請負人ジョージ(原田芳雄)に会うことにした。結局木嶋は今度はジョージに頼まず、自らスズを狙うことにした。

 執拗な追跡の結果、木嶋がフウとスズの前に現れる。互いに拳銃の撃ち合いが始まり、次ぎの瞬間、木嶋が崩れた。
 そう、ここでもお助けトランクマン!

 そおして、フウとスズとプープーに、再び幸せな日々が始まるのでした。めでたしめでたし。なんぢゃ!このケッタイな話は・・。

 あの鈴木清順が脇役の老人で現れる。舞台セリフっぽい長セリフです。
 挿入のサウンド、いいセンス。
 軽く受け流して観ましょうね。
 

監督・脚本:渡邉謙作|1998年|73分|
原案:ミッキー・ケン・ケン・ブー|撮影:村石直人|音楽:三宅純|
出演:スズ(上原さくら)|フウ(松尾れい子)|木嶋(國村隼)|ジョージ(原田芳雄)|トランクマン(山中零)|老人(鈴木清順)|
オープンカーの男、職業ゴルファー(桜井大造)|イルカ(津田充昭)|ゲスオ(大森立嗣)|写真の男(ジョー山中)|ほか

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映画 「アデル、ブルーは熱い色」  監督:アブデラティフ・ケシシュ

上
 アデルとエマ
1-0_20170713094955213.jpg


 オリジナルの題名は「アデルの人生:第1章と第2章」。
 高校生のアデルが同じ学校の先輩男子より、街で見かけたブルーの髪の女性に魅かれていく話。
 主人公のアデル役のアデル・エグザルコプロスの自然体の熱演に脱帽だ、素晴らしい。

 宣伝では、衝撃の愛の7分間、史上最高のラブシーンにカンヌが大喝采!と、レスビアンの性描写をことさらに言うが、蓮っ葉な売り文句だな、それがこの映画の売りなのかい?

 ブルーの髪の女性エマは画家、その彼女が映画の中で、自身の作品に言及するキュレーター(美術評論家)に対して言っている。「作品に敬意を払うべきよ」と。このセリフをそのまま、本作の配給会社に言いたいね。
 観るほうも、エロいの観たけりゃ、他のにすれば。

 売りのラブシーンよりも、アデルがクラブで街頭デモでパーティで幼稚園で踊るダンスシーンの方が長い。映画の各所で出てくる。監督は愛と踊り両方のシーンをもって、作品のいしずえ(礎)と考えている風に思える。

 映画に使われる音楽の選定にセンスを感じる、いいね。

 あと、アデルの家庭は中の下か、労働者階級で、人生において特に職業選択は手堅くというに対して、エマの家庭は自由奔放な上流階級。お父さんは二人目で、著名なシェフ。エマの家庭はレスビアンを許容する。

 話のスジはいたって単純だが、「アデルの人生:第1章と第2章」を丁寧に描いて行く。179分の大作。
 演技輝くアデルに注目。じっくり観てみよう。

 ちなみに、アデルに対して恋愛感情なしに、親身になってくれる男子が登場する。
 2015年の韓国映画「恋物語」にも同様な男子が主人公のレスビアンな女子を慰める。(「恋物語」の記事はこちらから。)


オリジナルタイトル:La Vie d'Adèle : Chapitres 1 et 2|
英語タイトル:BLUE IS THE WARMEST COLOR|
監督:アブデラティフ・ケシシュ|フランス|2013年|179分|
原作:ジュリー・マロ|脚本:アブデラティフ・ケシシュ 、 ガリア・ラクロワ|
撮影監督:ソフィアン・エル・ファニ|音楽:ジャン=ポール・ユリエ|音楽監修:エリーゼ・ルーゲン|
出演:アデル(アデル・エグザルコプロス)|エマ(レア・セドゥー)|サミール(サリム・ケシュシュ)|リーズ(モナ・バルラベン)|トマ(ジェレミー・ラユルト)|ベアトリス(アルマ・ホドロフスキー)|アントワーヌ(バンジャマン・シクスー)|ほか

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1年前・3年前・5年前の7月、一夜一話。(2016年7月・2014年7月・2012年7月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-07-13 Thu 06:00:00
  • 映画
 ちょっと改良いたしました。
1年前の7月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の7月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2016年7月 Archive

写真
「ピース オブ ケイク」
監督:田口トモロヲ
多部未華子、綾野剛
写真
「愛と希望の街」
監督:大島渚
藤川弘志、富永ユキ
写真
「特急にっぽん」
監督:川島雄三
フランキー堺、団令子
写真
「スライ・ストーン」
音楽ドキュメンタリー映画
オランダ
写真
「100歳の華麗なる冒険」
監督:F・ハーングレン
スウェーデン
写真
「鯨とり ナドヤカンダ」
監督:ペ・チャンホ
韓国
写真
「ボーダー・レディオ」
監督:A・アンダースほか
アメリカ
写真
「自由はパラダイス」
監督:セルゲイ・ボドロフ
ソ連
写真
「マラヴィータ」
監督:リュック・ベッソン
アメリカ R・デ・ニーロ
写真
<ア行> の洋画
これまでに記事にした洋画から。

3年前の7月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  3年前の7月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2014年7月 Archive

写真
「渋滞」
監督:黒土三男
萩原健一、黒木瞳
写真
「濡れた赫い糸」
監督:望月六郎
北村一輝、高岡早紀
写真
「みれん」
監督:千葉泰樹
池内淳子、仲谷昇
写真
「NINIFUNI」(ににふに)
監督:真利子哲也
ももいろクローバー
写真
「雁の寺」(がんのてら)
監督:川島雄三
若尾文子
写真
「サーカス」
監督:G・アラヴィンダン
インド
写真
「リダクテッド 真実の価値」
監督:ブライアン・デ・パルマ
アメリカ
写真
「ポケットの中の握り拳」
監督:マルコ・ベロッキオ
イタリア
写真
「グランド・ブダペスト・ホテル」
監督:ウェス・アンダーソン
イギリス
写真
京都・非観光ぶらり街歩き
寺町通、本能寺とか
そして土塁(御土居)
写真
最近読んだ本3冊

5年前の7月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  5年前の7月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2012年7月 Archive

写真
「サマータイムマシン・
        ブルース」

監督:本広克行 上野樹里
写真
「ハラがコレなんで」
監督:石井裕也
仲里依紗
写真
「ドキュメント灰野敬二」
監督:白尾一博
音楽ドキュメンタリー
写真
「屋根の上の赤い女」
監督:岡太地
山中崇、神農幸
写真
「水の花」
監督:木下雄介
寺島咲
写真
「もう頬づえはつかない」
監督:東陽一
桃井かおり
写真
京都 先斗町の一夜
お盆で帰っての、夏。
写真
「シチリア!シチリア!」
監督:G・トルナトーレ
イタリア
写真
「みんなのしらない
        センダック」

アメリカ
写真
「ブラザー・フロム・
    アナザー・プラネット」

アメリカ
写真
「パンチドランク・ラブ」
監督:P・T・アンダーソン
アメリカ
写真
「ラスト・ホリデイ」
監督:A・カラクーロフ
カザフスタン
写真
「イグジット・スルー・ザ・
      ギフトショップ」

監督:バンクシー  アメリカ
写真
「少女の髪どめ」
監督:マジッド・マジディ
イラン
写真
「越境者」
監督:ピエトロ・ジェルミ
イタリア


映画 「チャップリンからの贈りもの」  監督:グザヴィエ・ボーヴォワ

上
左から、娘のサミラ、父親のオスマン、そして風来坊のエディ。
 

 話の舞台はスイス、レマン湖の辺り。
 生真面目なアルジェリア人と楽天家のベルギー人、この二人の男がトンデモナイことを仕出かす話。

1-0_20170708220906035.jpg 北アフリカはアルジェリアからの(不法?)移民の男オスマンは、テレビも無い粗末な小屋に妻子と住んでいる。
 最近、妻が重い腰痛で緊急入院し、オスマンは娘のサミラと二人っきり。  
 そこへ風来坊のベルギー人エディが訪ねて来た。エディはオスマンの命の恩人で、義理堅いオスマンはエディの居候を歓迎した。
 だが、病院でこのことを知ったオスマンの妻は、「エディはやっかい者」と渋い顔。以前に良くない事があった様子。

 オスマンは問題を抱えていた。
 妻の医療費が払えない。だから妻は手術が受けられない。
 病院からは、オスマンの妻であることを証明する家族証明を提示すれば、低所得者向けに、手術代などの医療費が割安になる。
 しかしオスマン夫婦は結婚の際、スイスの役所の手続きをしていない、だから証明するものが無い、よって高額医療費の全額負担となってしまう。
 そのうえ、妻が働けないでいるので、家族の収入はがた減り。銀行に金を借りる相談に行ったが相手にしてもらえない。
 手立てがないオスマンは頭を抱えている。おまけに娘のサミラは母親が家にいないので情緒不安定。

2-0_20170708215635248.jpg こんなオスマン一家の困った様子を見ていた居候のエディに、アイデアが浮かんだ。
 最近、他界したチャップリンの遺体を一時、盗んで、身代金を頂こう!
 晩年、レマン湖のほとりの別荘に住んでいたチャップリンは、近くの墓地に埋葬されていたのだ。

 エディの突飛な言動に慣れているオスマンだったが、これには呆れた。呆れたが魅力的でもあった。なにしろオスマンに打つ手がなかった。
 ついにある夜、二人は闇に紛れて、墓荒らしを決行し、人目につかない別の場所に棺を埋めた。
 次に、チャップリン家に対して、電話で犯行声明と身代金要求。電話はエディが担当、オスマンは英語が話せない。
 しかしエディの電話は、思うように話が進まず相手に怒鳴りだしたり、オスマンに相談なく身代金を半額にしたりと、横にいるオスマンはハラハラし通し。
 (シーンは喜劇とまでは行きませんが、ともに貧しい男の凸凹コンビの様相。)

 さてさて話は、このあと、どうなるのでしょう。でも映画は、一応、ハッピーエンドを迎えます。
 脚本は、スイスで1977年に実際にあった事件を基にしているようです。
 チャールズ・チャップリンは、1977年12月25日に死去、映画の日本語タイトル名は12月25日クリスマスの日にかけているのでしょうか。
 ちなみにですが、スイスでは、全住民の24.6%の外国人を抱えているらしい。(2015年現在)


オリジナルタイトル:La Rançon de la Gloire|
英語タイトル:THE PRICE OF FAME|
監督:グザヴィエ・ボーヴォワ|フランス|2014年|115分|
脚本:エティエンヌ・コメ 、 グザヴィエ・ボーヴォワ|撮影監督:カロリーヌ・シャンプティエ|
出演:エディ(ブノワ・ポールヴールド)|オスマン(ロシュディ・ゼム)|サーカスの女・ローサ(キアラ・マストロヤンニ)|チャップリンの秘書・ジョン・クルーカー(ピーター・コヨーテ)|オスマンの娘・サミラ(セリ・グマシュ)|オスマンの妻・ヌールNoor(ナディーン・ラバキー)|チャップリンの娘(ドロレス・チャップリン)|

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映画 「フローズン・リバー」  監督:コートニー・ハント

上


 お話は、アメリカ東北部、カナダとの国境近く。
 ニューヨーク州の北辺を流れるセントローレンス川、この川を国境線にして向こうはカナダだ。

 生活に窮する白人中年女性と、アメリカ先住民族の若い女性との、母親同士の思わぬ出会いと人種の壁と、凍った川を車で渡る密入国者輸送の共犯と、友情を描く。

1-0_20170703141232ab2.jpg この国境付近でトレーラーハウス※(下記)に住み、二人の息子を抱える白人女性レイには、もう小銭しかない。レンタルで借りてるテレビ(受像機)の支払いも滞っている。下の子はまだ4歳位、ディズニーのアニメが楽しみなのに。
 レイは1ドルショップで働くが非正規雇用、給料日はまだ先。
 ある日、コツコツ貯えた金を持って、夫は姿を消した。その金は、一家四人が暖かく楽しく住める新しいトレーラーハウスを買うための金だった。

 夫はギャンブルに溺れていた。それを激しく責めるレイだったらしい。そんな両親をこれまで見て来た15歳の長男は父親を擁護する。
 レイは夫を探しに、いや、持って逃げた金を取り返すべく、夫がよく行くモホーク・ビンゴ・パレスへ車で出かけた。
 そこはインディアン・カジノのビンゴ会場、北アメリカ先住民族のモホーク族の保留地のなかにある。

 夫の姿はなかった。車は駐車場にあった。夫はここからバスで行方をくらましたようだ。
 モホーク族の女ライラが会場から飛び出してきて、夫が乗って来た車で走り去る。何! あとを追うレイ。
 たどりついたところは、保留地の中のライラの家、レイのハウスより小さくて、キャンピング用のトレーラーの様。一人住まいだ。
 ライラはレイに言う、「この車を売らない?」 (トランクルームが大きいこの車は、人を入れて運ぶのに役に立つのだ。)

 ライラはこんな車が欲しかった。車があれば、兄の商売を手伝って金が入る。その金を貧しい義母に渡せる。
 出産直後に赤ちゃんを義母に奪われたままのライラは、赤ちゃんのために金を渡したい。(ライラの夫はすでに世を去っていた)

 ライラの兄たちの商売は、カナダからアメリカへの密入国斡旋だった。
 冬はセントローレンス川が凍り、車で川を渡れる。(フローズン・リバー)
 そして、川の両岸つまりカナダ側もモホーク族の保留地。保留地の中にはアメリカ・カナダの国境はない。このことを逆手に取った密入国。
 車のトランクルームに密入国者を入れて密かに川を渡るのだ。部族の闇収入源なのか。

 結局、ライラの話を聞いてレイも密入国者輸送を手伝うことになる。稼いだ金は折半だ。
 レイはレイでまとまった金が近々に欲しかった。あと数日以内にトレーラーハウスの残金を納めないと、頭金が消えてしまう。

 さて、レイの無謀な冒険、ライラの土地勘、そして意外にも沈着冷静なレイの判断。
 カナダ側から川を渡りアメリカ側の保留地を出ると、州警察の目が光るが、白人のレイは怪しまれないし、警官とは見知った間柄でもあった。

 3回目の密入国ほう助のある夜、レイとライラは窮地に追い込まれる。
 州警察と彼女らの間に、モホーク族の部族議会が入って事を丸く収めることになる。要するにトカゲのシッポ切り。
 会議の結論はレイかライラのどちらかが自首する。
 はじめ、ライラが自首すると言った。なぜならレイには帰りを待つ二人の息子がいる。レイは一瞬躊躇しながらも、家へ帰ろうとしたが、引き返した。
 そしてレイはライラに言った。あなたは赤ちゃんを義母から奪い返して、そして私の家に住み、息子二人の面倒をみて。刑期は4か月らしいから。


※トレーラーハウスとは
  キャンピング・トレーラーの形態だが、特定の場所に定住するを目的とした移動可能住宅。タイヤがついたプレハブ住宅。トラックで牽引する。
※インディアン・カジノとは
  保留地内でインディアン部族が経営する各種カジノ。アメリカ連邦政府との連邦条約規定に基づくインディアン部族の権利となっている。
 参考サイト https://ja.wikipedia.org/wiki/イロコイ連邦のインディアン・カジノの項。保留地についても解説あり。
※モホーク族とは
  https://ja.wikipedia.org/wiki/モホーク族
 
下
オリジナルタイトル:Frozen River|
監督・脚本:コートニー・ハント|アメリカ|2008年|97分|
撮影監督:リード・モラノ|
出演:レイ(メリッサ・レオ)|ライラ(ミスティ・アップハム)|レイの長男ティー・ジェイ(チャーリー・マクダーモット)|ジャック・ブルーノ(マーク・ブーン・Jr)|フィナーティ警官(マイケル・オキーフ)|ジミー(ディラン・カルソナ)|リッキー(ジェイムズ・ライリー)|ビリー・スリー・リヴァーズ(マイケル・スカイ)|チェン・リー (ナンシー・ウー)|ガイ・ベルサイユ(ジェイ・クレイツ)|






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映画 「飢餓海峡」 監督:内田吐夢

上
函館警察の元刑事弓坂(右)は、当時追っていた男・犬飼に10年の時を経て、
このとき初めて会った。(東舞鶴警察留置場にて)


 「飢餓海峡」の飢餓とは、直截的には、主人公ふたりの貧しい出自を、海峡とは津軽海峡を指すが、題名の意味合いは、あまりに貧しい生まれであったが故に、どちらの人生も、(対岸の)幸せに至れなかったことの不幸を表わしている。(原作:水上勉)

 物語は、北海道を放浪していた犬飼(三國連太郎)という極貧の生まれの男と、青森県下北半島にある恐山のふもとに住む、やはり貧しい家の娘・八重(左幸子)、このふたりそれぞれの顛末を描く大作。(182分)

1-0_2017062915305344e.png 時は昭和22年、北海道にいた犬飼が、網走刑務所を出所した二人組に出会ったことから、話は始まる。
 当時、放浪中の身であった犬飼は、彼らの仲間になった訳ではなかったが、旅の道連れとなっていた。
 列車に乗った3人。その車内で犬飼は、この二人組が北海道岩内町の質屋を狙って強盗を働き大金を手にした事、その時、質屋の家族を殺し家に火を放った事を、それとなく薄々知る。逃亡する二人組と、この時点でも旅の道連れの犬飼であった。

 列車を降りた3人は海岸へと向かう。警察の目を避けて、津軽海峡を舟で渡ろうと言うのである。
 時はちょうど、青函連絡船が台風で転覆事故を起こしたその直後であった。
 遭難者救助のため地元消防団ら大勢が、次々に小舟で沖合に出て行こうとする、その騒動の最中であった。
 犬飼は二人組に言われるままに消防団員を装い、小舟一艘を借りた。

 日が暮れた荒海の沖合での出来事だった。
 二人組が仲間割れの喧嘩を始め、一人が海に落ちる。ついで片割れが犬飼に襲い掛かった。犬飼は身を守った結果その男は海に落ちた。深夜の出来事であった。(これは10年後、犬飼が東舞鶴警察の刑事の尋問に答えた発言であり虚偽かもしれないが、犬飼の真の告白かもしれない)

 結局早朝、犬飼一人が下北半島の海岸に、辛うじてたどり着いた。そうして犬飼はここで初めて、二人組が持っていた大金を確認した。大きな幸せを感じた瞬間であった。この金でこれからの人生が開ける!
 同時に、貧しく過ぎた自分の過去が、心の中で走馬灯のように駆け巡った。何をやってもうまく行かない人生だった。
 そして次に彼はおびえ始めた。自分が強盗殺人放火の犯人と疑われる、二人組を殺したと疑われる。当然であった。彼は乗って来た小舟を壊し、燃やしてしまう。

 食うものも無く、行く宛も無く、山林をさ迷った犬飼は、トロッコのような森林鉄道列車を見て飛び乗った。
 彼が八重に会ったのはこの時だった。
 ひどく汚れた身なりだがいい男の犬飼を見て、八重は食べていたおにぎりを二つ、犬飼にやった。
 そのあと、八重が仲居兼娼婦をする小さな旅館で、八重は犬飼に風呂をすすめ爪を切ってやったりの世話を丁寧にしてやった。
 八重は困った人を前にしての親切心だったのかもしれないが、見知らぬこの男に心が揺れたのは確かであった。
 一方、犬飼は、たぶん、生まれて初めての、真っ直ぐな親切に、やはり心が揺れていたのかもしれない。ふたりは交わった。

 犬飼は、「なんも悪い事した銭や無いから、好きにつこうたらええ」と手に入れた金から、八重にとっては大金の額を、そこにあった新聞紙に包んで、お礼として八重に渡した。そして犬飼は急ぎ旅館を後にした。(このふたりが再会するのは10年後であった)

 八重の家は貧しい上に借金を抱えていた。
 母親は死に、年老いた父親(加藤嘉)は林業で働くが稼ぎは少ない。仕方なく旅館で働く八重であったが、この金で貧しい暮らしから抜け出せる。借金を返済できる、父親の生活の足しにもできるから、自分は東京へ行きたい。東京に出て心機一転、堅気の働きがしたい。そう考えた八重は迷わず、同郷の知り合いを頼りに上京する。
 始め、間口一間の呑み屋に雇われ、次に娼婦となり、やがて芸者となって10年の時が過ぎた。生活は安定し、貯金を貯め、八重はそれなりに満足であった。

 一方、この10年の間に、犬飼多吉は樽見京一郎と名に変え、 京都府北部、日本海に面する舞鶴で会社経営をする実業家になっていた。
 大きな屋敷に住み、大陸引上げの女と結婚し、地元に、また故郷の小さな村に多額の寄付をする篤志家としても名をはせていた。

 ある日、八重はふと見た新聞記事の顔写真に、釘付けになった。犬飼さんだ!女の直感であった。記事には樽見京一郎の多額の寄付のことを礼賛していた。
 八重は居ても立っても居られない、住所が掲載されているその記事の切り抜きを持って、その日に舞鶴へ向かった。八重はただ犬飼に会って一言、10年前の礼を言いたかったのである。

2-0_2017062915392876c.jpg しかし八重を前にして、恰幅のいい樽見京一郎は、何の事やらと知らぬ存ぜぬを押し通そうとする。だが、間近に見る男は犬塚である。八重は懸命に話しかけた。ついに犬塚は白状する、そして犬塚の心がまたしても大きく揺れ、八重の首を絞めてしまう。
 そのあと犬塚は八重に茶を出した書生も殺し、深夜、二人の死体を心中に見せかけ海に投げた。

 八重には、この10年間ずっと後生大事にしていた物があった。それは、親切のお礼だと犬塚が言って、札束を新聞紙に包んだ、その古新聞紙と、犬塚の爪を切った時のその爪であった。(この古新聞の一面記事は青函連絡船転覆事故)
 八重は、犬塚が津軽海峡を渡って来た事も、二人組の大金を得ていた事も何も知らなかった。
 八重が知っているのは、弓坂という刑事が八重を訪ねて来て、「見知らぬ大男を見なかったか」と聞かれ、嘘をついた事だけだった。

 東舞鶴警察の刑事たち(高倉健ほか)が動き出す。
 調べが進むうちに樽見の犯行という線が濃厚になる。八重の遺体から例の多額寄付の新聞記事切り抜きが発見されたのだ。さらに見つかったのは、彼女が持っていた青函連絡船転覆事故を報じる古新聞。
 刑事たちは、樽見と八重の関係を探りはじめる。

 八重の父親が娘の遺体を引き取りに来た時、東舞鶴警察は、10年前に函館警察の刑事が八重を捜していたことを知る。
 そして、函館警察の元刑事弓坂(伴淳三郎)が呼び出される。 
 10年前、弓坂は北海道岩内町の質屋強盗殺人放火事件を追っていた。加えて青函連絡船転覆事故による遭難水死の遺体のうち、身元不明の2体が、網走刑務所を出所した二人組である事までは突きとめていた。そして、この二人の死体の額には、ともに妙な打撲の傷があった。小舟のオールによるものか。
 さらには当時、小舟を借りに来た男がその舟を燃やしたであろう灰も確認し、男が下北半島にたどり着いた事は明らかである事も突きとめていた。
 加えて東舞鶴警察は、10年目の宿帳から樽見の筆跡を確認した。
 ついに、樽見京一郎が東舞鶴警察に呼び出された。さて、このあと結末はいかに!!


監督:内田吐夢|1964年|182分|
原作:水上勉|脚色:鈴木尚之|撮影:仲沢半次郎|
出演:犬飼多吉/樽見京一郎(三國連太郎)|杉戸八重(左幸子)|樽見の妻・敏子(風見章子)|八重の父・長左衛門(加藤嘉)|函館警察の刑事・弓坂吉太郎(伴淳三郎)|弓坂の妻・織江(進藤幸)|網走刑務所を出所した二人組の一人・沼田八郎(最上逸馬)|網走刑務所を出所した二人組の一人・木島忠吉(安藤三男)|戸波刑事(岡野耕作)|佐藤刑事(菅原正)|岩内署長(志摩栄)|朝日館主人(曽根秀介)|朝日館女中(牧野内とみ子)|札幌の警部補(北山達也)|和尚(山本麟一)|漁師辰次(大久保正信)|下北の漁師(矢野昭)|下北の巡査(西村淳二)|巫子(遠藤慎子)|大湊の巡査(田村錦人)|富貴屋のおかみ(荒木玉枝)|煙草屋のおかみ(河村久子)|記者A(室田日出男)|池袋の警官(久保一)|警視庁の係官(北峰有二)|唐木刑事(鈴木昭夫)|堀口刑事(関山耕司)|嘱託医(斎藤三男)|味村時雄(高倉健)|ほか
下

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2年前・4年前・6年前の6月、一夜一話。(2015年6月・2013年6月・2011年6月の掲載記事です)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-06-29 Thu 06:00:00
  • 映画
2年前の6月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  2年前の6月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2015年6月 Archive

1祭りの準備     2隣の八重ちゃん     3夫婦フーフー日記
祭りの準備」        「隣の八重ちゃん」      「夫婦フーフー日記」 お薦め!
 監督:黒木和雄        監督:島津保次郎       監督:前田弘二
 江藤潤、竹下景子                      永作博美、佐々木蔵之介
4浮草     5喜劇 駅前温泉     6沖縄 うりずんの雨
浮草」           「喜劇 駅前温泉」      「沖縄 うりずんの雨
 監督:小津安二郎       監督:久松静児        監督:ジャン・ユンカーマン
 京マチ子、若尾文子      森繁久彌、伴淳三郎      ドキュメンタリー映画
7きみはいい子
きみはいい子
 監督:呉美保
 高良健吾、尾野真千子
11みなさん、さようなら     12バーバー     13台湾の暇人
みなさん、さようなら」   「バーバー」         「台湾の暇人
 監督:ドゥニ・アルカン    監督:ジョエル・コーエン   監督:アーサー・チュー
 カナダ            アメリカ           台湾
14図     15天使     16モスクワ・天使のいない夜
中央アジア・西アジア     「天使」・「海辺にて」    「モスクワ・天使のいない夜
・南アジアの映画        監督:パトリック・ボカノウスキー  監督:セルゲイ・ボドロフ
                フランス              ロシア

4年前の6月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  4年前の6月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2013年6月 Archive

1大地の子守歌     2愛怨峡     3下町
大地の子守歌」       「愛怨峡」          「下町(ダウンタウン)」
 監督:増村保造        監督:溝口健二        監督:千葉泰樹
 原田美枝子                         山田五十鈴、三船敏郎
4ハッピーフライト     5古都
ハッピーフライト」     「古都」        
 監督:矢口史靖        監督:中村登       
 綾瀬はるか           岩下志麻     
11理髪店の娘     12闇からの声なき声     13出発
理髪店の娘いい映画    「闇からの声なき声」     「出発
 監督:シャーロット・リム   製作:ナタリー・ブールトン他 監督:イエジー・スコリモフスキ
 マレーシア          イギリス           ベルギー
14マイ・ブルーベリー・ナイツ     15mare-sia.jpg     16ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア
マイ・ブルーベリー・ナイツ」 マレーシア映画祭のまとめ  「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア
 監督:ウォン・カーウァイ   「マレーシア映画の現在」   監督:トーマス・ヤーン
 香港                            ドイツ
17メイク・イット・ファンキー     無題123
メイク・イット・ファンキー」 映画ピックアップ  ~これまでに記事にした映画
音楽ドキュメンタリー     「人生なんて、そうそう うまく行かないワケよ。
 アメリカ           邦画/洋画

6年前の6月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  6年前の6月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2011年6月 Archive

1殺人狂時代   2死の十字路   3帰って来た若旦那
「殺人狂時代」        「死の十字路」        「帰って来た若旦那」   
 監督:岡本喜八        監督:井上梅次        監督:青柳信雄
 仲代達矢、団令子       三國連太郎、新珠三千代    司葉子、鶴田浩二
4街の灯   5愛妻記   6ロックンロールミシン
「街の灯」          「愛妻記」           「ロックンロールミシン」
 監督:森崎東         監督:久松静児         監督:行定勲
 栗田ひろみ、堺正章      司葉子、フランキー堺      池内博之、りょう
11レネットとミラベル四つの冒険   12太陽に恋して   13日陽はしづかに発酵し・・・ 
「レネットとミラベル四つの冒険」 「太陽に恋して」      「日陽はしづかに発酵し・・・」
 監督:エリック・ロメール     監督:ファティ・アキン   監督:アレクサンドル・ソクーロフ
 フランス             ドイツ           ソ連
14踊れトスカーナ!   15ミルクのお値段   16テルマ&ルイーズ
「踊れトスカーナ!」     「ミルクのお値段」       「テルマ&ルイーズ」
 監督:レオナルド・ピエラッチョーニ 監督:ハリー・シンクレア 監督:リドリー・スコット
 イタリア           ニュージーランド        アメリカ
17Celine et Julie vont en bateau   18 100,000年後の安全   19風吹く良き日
「セリーヌとジュリーは舟でゆく」「100,000年後の安全」     「風吹く良き日」
 監督:ジャック・リヴェット   監督:マイケル・マドセン   監督:イ・チャンホ
 フランス            ドキュメンタリー       韓国
 
  


映画 「ウィスキー」 ウルグアイ映画  監督:フアン・パブロ・レベージャ、パブロ・ストール

上
事業主のハコボと従業員のマルタ、ともに独身だ。


01- 人生を十分味わって来た年配者たち3人の機微を描く映画です。
 
 南米ウルグアイの街中にある、朴訥な事業主と無口な女性従業員3人の、靴下製造の小さな町工場。
 古い製造機械を相手に黙々と、決まりきった単純労働をこなす日々。
 明るい期待は無いが、月々決まった生活の糧は得る。
 出社退社時の判で押したような毎日の挨拶、朝夕の表のシャッターの開閉、機械の騒音と蛍光灯の光、就業中最低限の会話、沈み込む感受性。

 その一方で映画は、真面目な市井の人が時に見せる、作られていない、じんわりとした可笑しさを提供する。
 しかし、これを喜劇と言い切るには、いささか重苦しい。

 心を閉じてしまった年配者たちの、思ってもみなかった恩返し。それは彼らの誠実さが擦り切れていなかった証。
 映画は喜劇を求めず、無口な人の実直さをすなおに描いている。

2-0 靴下工場の事業主ハコボと、長年従業員頭を務める独身女性マルタの二人は、わずかな会話で意志が通じ合う。
 そんなある日、ハコボの母親の墓石建立式に出席するために、ブラジルに住むハコボの弟エルマンがやって来た。(兄弟はユダヤ人)

 この兄弟は仲が悪く長年会っていない。面と向かっても、話す話題もない。
 それは独身のハコボが、介護も含め母親の世話を最後まで面倒みたからだった。実母でありながら弟エルマンはまったく兄任せであった。

 そのエルマンは昔、父親が始めた靴下製造の、稼業の古臭さを嫌がり、家を飛び出してブラジルで新式の靴下工場を始め、商売はうまく成功した。兄弟の造る靴下の品質やデザインの違いは鮮明だ。兄より弟に才覚があったと言える。
 ちなみに、エルマンの家族は幸せそうで、娘のひとりは近く医者になると言う。

 弟の、兄と母に対する不義理。兄の、弟に対する漠然とした嫉妬。
 そんな中で、ハコボは弟に対するメンツか、自分は結婚したと嘘を伝えていた。
 映画はここから始まる。
 ハコボはマルタに、弟が滞在している間だけ(仮の)妻になってくれと頼みこんだ。意外にもマルタはすなおに受け入れた。長年雇ってもらえている日ごろの恩を返すつもりだったのか。
 さっそくマルタはハコボの家に行き、シングルベッドをくっ付けてダブルベッドに見立てたり室内を小ぎれいにして、なんとか夫婦の家に見えるようにした。しかしハコボはこれを嫌がり、ベッドを離し、自身はソファで寝た。

 また、エルマンは不機嫌な兄と話ができないために、マルタに語りかけることが多くなる。マルタはマルタで、日ごろ、男性と話す機会がないためか、いつになく笑顔と饒舌さを世慣れたエルマンに見せる。そしてそんな二人を見て、ハコボはうっすら焼きもちを焼く。

 この三人が一泊旅行をする。
 ホテルのクラブで三人がショウを見ている時、マルタは出し抜けに、紙に包んだ札束をテーブルに乗せてハコボに差し出す。
 不義理を金で埋め合わせしようとするのかという気持ちでそれを一旦押し返したハコボだが、結局紙包みを懐に仕舞い込んだ。
 次に映画はふたつを語る。
 ホテルの夜、マルタは約束の時間に密かにエルマンの部屋へ行きベッドを共にした。
 同じころ、ハコボはホテルのカジノへ行き、紙包みの全額を両替しルーレットに賭けた。

 翌朝、ホテルのチェックアウト前に、ハコボはマルタに、綺麗な包装紙に包んだ「モノ」をプレゼントした。
 そして次の日、これまで一度も遅刻すらしなかったマルタは、ついに工場に現れなかった。

下


オリジナルタイトル:Whisky|
監督:フアン・パブロ・レベージャ、パブロ・ストール|ウルグアイ・アルゼンチン・ドイツ・スペイン| 2004年|94分|
脚本フアン・パブロ・レベージャ、パブロ・ストール、ゴンサロ・デルガド・ガリアーナ|
撮影バルバラ・アルバレス|
出演:ハコボ・コレル(アンドレス・パソス)|マルタ・アクーニャ(ミレージャ・パスクアル)|エルマン・コレル(ホルヘ・ボラーニ)|マーティン(ダニエル・エンドレール)|グラシェラ(アナ・カッツ)|カルロス(アルフォンソ・トール)|

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映画 「ブーベの恋人」  監督:ルイジ・コメンチーニ

上

 マーラ役の女優クラウディア・カルディナーレ当時25歳を愛でる映画です。

 時は第二次世界大戦末期、舞台はイタリア北部。
 当時、イタリア北部はナチスドイツの占領下にあって、ナチスドイツは、ムッソリーニが率いたファシズム体制の残党を傀儡にし、共和国を建国していた。
 お話は、これに抵抗するパルチザン(レジスタンス)の父と兄を持つ娘マーラと、そしてその二人を知る、やはりパルチザンの男ブーベ(ジョージ・チャキリス)との恋物語。

1-0_201706231114141a2.png 出会いは、1944年のある日、ブーベがマーラの父親を訪ねて来たことに始まる。
 ふたりは互いに、会ったその時から意識し合うことになる。
 しかしブーベは、イタリア人ファシストである憲兵とその息子を殺害し逃走中の身であった。
 片やマーラは普通の田舎の娘であった。父親や兄が彼女にパルチザンについて語ることもなく、彼女にはブーベの活動は遠い世界であった。

 その後、時を置いてブーベはマーラを訪ね、幾度かの短い逢瀬があり、そしていつしか、二人は行動を共にすることになる。身を隠しての日々であった。
 しかし、ブーベに危機が迫り、パルチザン幹部の計らいで彼は単身、国外に逃れることとなった。
 
 1945年、イタリア北部がパルチザン勢力によって奪還される。
 そののち、しばらくしてブーベが帰国。時代はもう、レジスタンス闘争の時を終え、イタリア全土は共和制の時代になっていた。
 ブーベは今や、ファシスト体制下で反体制分子として追われる身ではなく、殺人犯として裁判にかけられることになった。

 映画ラスト近く。マーラは列車に乗って、ブーベのいる刑務所へ面会に向かおうとしている。彼が収監されて7年の月日が経つ。
 出所までは、この先さらに7年。マーラはひたすらブーベの出所を待っている。

 時代背景。
 ムッソリーニ率いるファシズム政権崩壊の1943年以降、イタリア北部は、ナチスドイツとファシズム体制時の残党(傀儡)の支配下となり、一方、連合軍が侵攻したイタリア南部は、連合軍と国王政府との支配地域となって、イタリアは大きく二分されてしまう。
 この時から、北部各地でレジスタンス運動が起こり、ドイツ軍およびイタリア人ファシストを相手に、パルチザン勢力による国土解放に向けた戦いの時代に突入することになった。
 そして1945年4月にようやく北部地域の解放を果たし、イタリアは同年12月に共和制の時代になった。

 ブーベの苦難。
 北部が解放されてのち、ファシスト体制下で罪人となった人々に恩赦が出た。しかし、ブーベの帰国はそのあとであったために恩赦を受けることは出来なかった。ブーベはパルチザン幹部の命令に従ったために恩赦のチャンスを逃してしまった。

 マーラのふたつの愛。
 ブーベが国外逃亡した後、彼女はステファーノとの恋に落ちる。しかし、彼女は彼に「でも私はブーベの恋人よ、わかって。」と言いマーラを待つ身であることを告げた。そして、裁判時にマーラはブーベへの愛を、改めて強く感じたのであった。
 ブーベはマーラに言った。今までもこれからもお前が支えだ。もしお前がいなかったなら、俺は自殺していたかもしれない、と。


オリジナルタイトル;La Ragazza di Bube|
監督:ルイジ・コメンチーニ|イタリア・フランス|1963年|112分|
原作:カルロ・カッソーラ|脚色:ルイジ・コメンチーニ 、 マルチェロ・フォンダート|
撮影:ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ|
出演:マーラ(クラウディア・カルディナーレ)|ブーベ(ジョージ・チャキリス)|マーラの彼氏ステファーノ(マルク・ミシェル)|リリアーナ(ダニー・パリス)|イネス(モニク・ヴィータ)|マーラの母(カルラ・カーロ)|マーラの父(エミリオ・エスポジート)|

下

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映画 「夜叉」  監督:降旗康男

上


 田中裕子を愛でる映画です。

1-0_2017061914235620d.png 任侠映画は今も好まないが、高倉健主演の「夜叉」を、前世紀に観たような気がしたので、今回あらためて観てみたら・・。
 高倉健のおはこ、無口で無表情な演技よりも、田中裕子の無言と微かに移ろう田中の表情の方が、ずっと雄弁だった。

2-0_20170619142734972.png 修治(高倉健)は、人斬り夜叉と言われた大阪ミナミのやくざであったが、覚醒剤で金を稼ぐな、という彼の主張が、組の中で通らず彼は干された。加えて、かたぎの女である冬子(いしだあゆみ)との結婚を機に、修治は足を洗い冬子の実家、福井県敦賀で漁師となった。

 修治の妻、冬子はこの漁師町で生まれた。15年前、冬子は大阪に働きに出て、やくざ者とは知らず修治と出会ったのであった。
 螢子(田中裕子)はミナミから流れて来て、この漁師町で「蛍」という名の呑み屋をはじめた女。螢子は子連れであり、彼氏はミナミのヤクザ、失島(北野武)であった。

 螢子と冬子の、それぞれの修治への愛。それは、ミナミのやくざな世界の中の愛、敦賀湾の漁師町の愛。

 脚本は練りが不足している。説明のためのモノクロ回想シーンは、どれも安っぽくて頂けない。
 ただし、秀逸なシーンが三つ。本作の全体を支える要です。
 ・螢子の店で、修治と冬子が客として酒を飲むシーン。修治をめぐって、螢子と冬子との間でスパークする激しく静かな火花。
 ・ある夜、修治宅を訪れた螢子が、二人だけの話がしたくて彼を海際に呼び出すシーン。螢子が修治に、ぼそっと言う。「冬子さん、嫌いや」
 ・夫に献身的で日ごろ大人しい冬子が、修治と螢子の関係を知ったその夜、冬子は修治に向かって、苦しい胸のうちから絞り出すように言う凄んだセリフ、「私はあなたの妻です!」 この一瞬、女優いしだあゆみが光る。
  かつて人斬り夜叉と言われた男も、この一言には敵わなかったというお話でした。

 
監督:降旗康男|1985年|128分|
脚本:中村努|撮影:木村大作|
出演:修治(高倉健)|螢子(田中裕子)|冬子(いしだあゆみ)|冬子の母親うめ(乙羽信子)|失島(北野武)|啓太(田中邦衛)|啓太の妻とら(あき竹城)|修治が属した組の組長の妻塙松子(奈良岡朋子)|修治の舎弟トシオ(小林稔侍)|親爺(大滝秀治)|修治が若い頃の女夏子(檀ふみ)|組員(寺田農)|ミナミの組長(下條正巳)|

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映画 「フェリーニのアマルコルド」  監督:フェデリコ・フェリーニ

上
少年チッタの家族。

 フェリーニ監督(1920-1993)が少年時代のある年、特別に印象深く彼の心に残る、その1年を題材にしたといわれる喜劇&ファンタジー映画です。

2-0_20170616122321fff.jpg 時は1935年の春。
 映画のバックグラウンドは、ファシスト党のムッソリーニが首相となり、一党独裁政治をはじめて13年経った頃。
 そしてファシスト党指揮下の秘密警察が設立されてから5年経った春。圧政の時代。
 少年チッタは15歳。異性に目覚める頃、大人として世間に出て行く準備の時。

1-0_20170616121821de5.jpg
 映画の舞台は、イタリア北部の小都市。
 1930年代とはいえ、まだまだ19世紀のおおらかさと、男尊女卑と、泥臭い人の営みが残る街。

 お話は、分かりやすく起承転結を語るものではなく、映画は映像を体感させようとする。
 たくさんのアイデアを詰め込んだ押しの強いシーンの連射と、突拍子な切り返し、おふざけも紛れ込む。
 監督の創る喜びが伝わってくる。


 「フェリーニのアマルコルド」の路線を、よりストーリー性を重んじ楽しくドタバタにすると、エミール・クストリッツァ監督の、例えば奇人変人続出の「黒猫・白猫」(1998)に行き当る。

 そのドタバタを抑えて、悲しく屈折した喜劇性とアイロニーに重心を置くとすると、ロイ・アンダーソン監督の例えば「愛おしき隣人」(2007)が思い浮かぶ。
 また、多数の人物を登場させるだけで、その場面に可笑しみが加わる技法もフェリーニ由来のように思う。

 「永遠と一日」(1998)のテオ・アンゲロプロス監督も映像で語って行く監督で、フェリーニの映像力のうちの、大人数の登場と大舞台の演劇性、そして人生における祝祭の喜びを取り込んでいるように思える。

 これらの監督は、本作の様々なシーンを観ていて、「あッ、あの監督は、このシーンに影響されたんじゃないか」と思ったので書いてみた。 

 文中の下線部をクリックして当該記事をお読みください。


オリジナルタイトル:Federico Fellini Amarcord|
監督:フェデリコ・フェリーニ|イタリア、フランス|1974年|124分|
脚本:フェデリコ・フェリーニ 、 トニーノ・グエッラ|
撮影:ジュゼッペ・ロトゥンノ|
出演:チッタ(ブルーノ・ザニン)|チッタの父(アルマンド・ブランチャ)|チッタの母(プペラ・マッジオ)|グラディスカ(マガリ・ノエル)|ほか

◆これまでに記事にしたフェデリコ・フェリーニ監督の映画
 
 「8 1/2」(1963年)  「甘い生活」(1960年)


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1年前・3年前・5年前の6月、一夜一話。(2016年6月・2014年6月・2012年6月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-06-16 Fri 06:00:00
  • 映画
1年前の6月に掲載した映画です。
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  1年前の6月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2016年6月 Archive

1煉瓦女工   2喜劇 女は度胸   3贅沢な骨
「煉瓦女工」         「喜劇 女は度胸」        「贅沢な骨」
監督:千葉泰樹         監督:森崎東          監督:行定勲
                倍賞美津子、沖山秀子、渥美清  麻生久美子、つぐみ  
4貸間あり   5亀は意外と速く泳ぐ   8あ
「貸間あり」         「亀は意外と速く泳ぐ」     <あ行> の邦画
監督:川島雄三         監督:三木聡         これまでに記事にした邦画から
フランキー堺、淡島千景     上野樹里  
10ボンボン   11のるかそるか   12ママと娼婦
「ボンボン」         「のるかそるか」        「ママと娼婦」
監督:カルロス・ソリン     監督:ジョー・ピトカ      監督:ジャン・ユスターシュ
アルゼンチン          アメリカ            フランス
13ハッピー・クリスマス   18無題
「ハッピー・クリスマス」   「映画の特集」
監督:ジョー・スワンバーグ   テーマに沿って、一夜一話の中から厳選しました。
アメリカ

3年前の6月に掲載した映画です。
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  3年前の6月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2014年6月 Archive

1こだまは呼んでいる     2孤独なツバメたち  デカセギの子どもに生まれて     3BU・SU
「こだまは呼んでいる」    「孤独なツバメたち      「BU・SU」
監督:本多猪四郎       デカセギの子どもに生まれて」  監督:市川準
池部良、雪村いづみ      ドキュメンタリー映画      富田靖子

4雨月物語     5地獄     6凶気の桜
「雨月物語」         「地獄」           「凶気の桜」
監督:溝口健二         監督:中川信夫        監督:薗田賢次
京マチ子、田中絹代

11罪の手ざわり     12闇のあとの光     13新装開店
「罪の手ざわり」       「闇のあとの光」       「新装開店」
監督:ジャ・ジャンクー     監督:カルロス・レイガダス  監督:キム・ソンホン
中国              メキシコ           韓国

14_20150611155158afd.jpg     15ハーダー・ゼイ・カム     16レイチェルの結婚
「時計じかけのオレンジ」   「ハーダー・ゼイ・カム」   「レイチェルの結婚」 お薦め!
監督:スタンリー・キューブリック  主演:ジミー・クリフ   監督:ジョナサン・デミ
アメリカ              ジャマイカ        アメリカ

5年前の6月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  5年前の6月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2012年6月 Archive


1ガス人間第一号     2東京物語     3ゴーヤーちゃんぷるー
ガス人間第一号」      「東京物語」         「ゴーヤーちゃんぷるー
監督:本多猪四郎        監督:小津安二郎       監督:松島哲也
八千草薫            原節子            多部未華子、武田航平

4祇園の姉妹     5今宵ひと夜を     6海ほおずき
祇園の姉妹」        「今宵ひと夜を」       「海ほおずき The Breath
監督:溝口健二         監督:千葉泰樹        監督:林海象
山田五十鈴           八千草薫           唐十郎、原田芳雄

11アーニー     12PARIS (パリ) 2     13時から7時までのクレオ
アニー・ホール」      「PARIS (パリ)」       「5時から7時までのクレオ」 
監督:ウディ・アレン      監督:セドリック・クラピッシュ  監督:アニエス・ヴァルダ
アメリカ            フランス            フランス

14中国娘     15ロードキル     16恋する惑星
中国娘」          「ロードキル」        「恋する惑星
監督:グオ・シャオルー     監督:ブルース・マクドナルド 監督:ウォン・カーウァイ
イギリス            カナダ            香港

17ボルベール     18レポマン
ボルベール<帰郷>」    「レポマン
監督:ペドロ・アルモドバル   監督:アレックス・コックス
スペイン            アメリカ

映画 「ミニー&モスコウィッツ」  監督:ジョン・カサヴェテス

上

 1970年代、特にその前半に製作された映画のなかに、独特の風合いのリアリティを持つ映画がある。

1-0_201706091309353ff.png 本作もそうだ。
 登場人物はみな、臆面も無く自我丸出しで、愚かで、そして圧倒的に、人として強い。
 そして同時に弱い。
 その、人の弱み、つたなさを表わすにあたって映画は、飾らず盛らず、ためらいなくありのままに弱みを表わそうとする。
 愚直に生きようとする人々を、映画は応援する。
 加えて、観る者が感じる、映画のざらついた手触り感は、1970年代はモノに重さがある、アナログ全盛の時代だからだ。

 話はミニー(ジーナ・ローランズ)と、モスコウィッツ(シーモア・カッセル)のラブストーリー。
 ロサンゼルス郡立美術館に勤めるミニー(ジーナ・ローランズ)は、独身で一人住まい。
 人付き合いが下手で、何でも話せる話し相手は、職場の年配女性。彼女も独身だ。
 ミニーはひとりでいると心が乱れる。愛が欲しい。
 不倫相手の彼はいるが、愛はもう終わっている。

 モスコウィッツはレストランの駐車場付きのサービス係り。
 最低限の収入だが、そんなことを気にしない気楽に生きる男。
 そんな彼が、ミニーに一目惚れ。
 だが、ふたりの愛は、そう簡単には進まない。住む世界が違い過ぎる。

 ふたりの愚直さが、喜劇になって行く。
 監督自身の結婚経験を盛り込んだ作品とのこと。
 
オリジナルタイトル:Minnie and Moskowitz|
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス|アメリカ|1971年|114分|
撮影 アーサー・J・オニッツ、アルリック・エデンス、マイケル・ディー・マルグリーズ|
出演:ミニー(ジーナ・ローランズ)|モスコウィッツ(シーモア・カッセル)|ヴァル・エイヴァリー|キャサリン・カサヴェテス|エルジー・エイムス|レディ・ローランズ|ジョン・カサヴェテス|

◆これまでに記事にした映画から。

【ジーナ・ローランズ出演の映画】
グロリア」(監督:ジョン・カサヴェテス)、「ナイト・オン・ザ・プラネット」(監督:ジム・ジャームッシュ)

【シーモア・カッセル出演の映画】
イン・ザ・スープ」(監督:アレクサンダー・ロックウェル)


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映画 「紅の翼」1954年 主演:ジョン・ウェイン 監督:ウィリアム・A・ウェルマン

上
ホノルルを発った旅客機(プロペラ4発機)、搭乗数総勢21名。 

 1954年製作の旅客機パニックもの。

1-0_20170528124954547.png ジョン・ウェイン演じる副操縦士ダンは、1917年からの超ベテラン飛行機乗り。(職歴37年)
 彼は、長年民間航空の機長として活躍し、また二回の世界大戦と朝鮮戦争で空軍パイロットを勤めた男。
 今は別の、この航空会社で、機長を若手に譲り、自身は副操縦士の座にいる。しかしながら若手からは煙たがられている様子。

 さて、ダンが副操縦士として乗り込んだホノルル発サンフランシスコ行きの便が、晴天の中、空港を飛び立った。予定所要時間12時間16分。
 ハワイ、サンフランシスコ間は、どこまで行っても太平洋上である。
 夜になり、帰還不能点(ホノルルへ引き返す燃料がなくなる限界点)を過ぎたあたりで、旅客機の第1エンジンが突如、火を噴いた。
 さらにはこの爆発で、燃料タンクから燃料が漏れだした。機は揺れ出す。

 慌てる機長、第3操縦士、ステュワーデスの3名は、みな若い。もちろん搭乗客たちも騒ぎ出す。
 これを冷静に見るダンも、本当は怖い。だが、彼は状況を判断し的確な行動をとる。
 ダンは自ら進んで、若い機長に代わり、客たちに状況説明をした。
 「事実を過不足なく、正確に伝えることに徹します」と冒頭に述べ、まずは客の信頼感を得る努力をし、次に客の心を和らげながら、水面着陸への対処を説明した。

 しかし結局、旅客機はダンの機転のきいた操縦で、水面着陸せずに、何とか夜更けのサンフランシスコ空港にたどりつけた。(着陸後の燃料残量は、わずか114リットルだった)

 映画は、乗客それぞれの人物背景や心理描写を描くが、いささか喜劇的である。これはパニックドラマの怖さをやわらげるためだろう。(1954年当時の観客は怖かったと思う) 搭乗客の人物像は下記

 ちなみに、ダンには辛い過去があった。ダンが機長として搭乗した便が、南米コロンビアで墜落。ダンは墜落の衝撃で操縦席の窓から投げ出され、ひとり奇跡的に助かったが、ほかの搭乗者は全員が死亡した。そして悲しいことに、この搭乗者の中に、ダンの妻子がいたのだった。


下 さて、この映画を取りあげたのは、先に書いたジョン・ウェイン演じる副操縦士ダンの次のセリフ、「事実を過不足なく、正確に伝えることに徹します」が印象に残ったからだ。
 そのセリフは、「説明責任ある人の説明責任」を副操縦士ダンが、ちゃんと認識している証だ。これがかっこいい。見識ある男。

 昨今、世界中で、物事を、責任ある説明をせずに、ただ、「まったく問題ない」と言い切る人が多いと感じている。
 こういう人こそ、一番、「問題がある」し、信頼感を失う言動だ。


オリジナルタイトル:The High and the Mighty|
監督:ウィリアム・A・ウェルマン|アメリカ|1954年|147分|
原作・脚本:アーネスト・K・ガン|撮影:アーチー・スタウト|
出演:搭乗員5名:副操縦士ダン・ローマン(ジョン・ウェイン)|機長のサリヴァン(ロバート・スタック)|第3操縦士ホビー(ウィリアム・キャンベル)|ステュワーデスのスポールディング(ドー・アヴドン)|航空士ウィルビー(ウォーリー・ブラウン)|
搭乗客16名:ハワイにある核ミサイル開発プロジェクトにいた世界的な原子科学者フラハティ(ポール・ケリー)|文通相手とサンフランシスコで初めて会う予定の元・美人コンクール受賞者サリー(ジャン・スターリング)|富裕層の勝ち気な女性リディア・ライス(ラレイン・デイ)|その夫で尻に敷かれているハワード・ライス(ジョン・ハワード)|サンフランシスコの母親の許へひとりで搭乗した5歳の少年トビー(マイケル・ウエルマン)|サンフランシスコの漁師ホセ・ロコタ(ジョン・クォーレン)|満洲生まれの朝鮮人女性ドロシー・チェン(ジョイ・キム)|ブロードウェイのプロデューサ―のギュスターヴ・パーディ(ロバート・ニュートン)|その妻で人気女優リリアン(ジュリー・ビショップ)|ハワイ旅行帰りの夫エド・ジョゼフ(フィル・ハリス)|その妻(アン・ドーラン)|新婚旅行帰りの夫婦(カレン・シャープ、ジョン・スミス)|搭乗客メイ・ホルト(クレア・トレヴァ)|搭乗客ケン・チャイルド(デイヴィッド・ブライアン)|搭乗客ハムフリー・アグニュー(シドニー・ブラックマー)|その他、船員、航空会社地上職ほか

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2年前・4年前・6年前の5月、一夜一話。 (2015年5月・2013年5月・2011年5月の掲載記事です)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-05-31 Wed 06:00:00
  • 映画
2年前の5月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  2年前の5月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。   (2015年5月 Archive
1空気の無くなる日     2てなもんや東海道     3ペタル ダンス
空気の無くなる日」     「てなもんや東海道」     「ペタル ダンス
監督:伊東寿恵男        監督:松林宗惠        監督:石川寛
                藤田まこと、白木みのる    宮崎あおい、忽那汐里、安藤サクラ
4嵐     5花とアリス     6共喰い
」            「花とアリス」        「共喰い
監督:稲垣浩          監督:岩井俊二        監督:青山真治
笠智衆             鈴木杏、蒼井優        菅田将暉、田中裕子
11ナポレオン・ダイナマイト     12大統領の料理人     13オズの魔法使
ナポレオン・ダイナマイト(バス男)」 「大統領の料理人」  「オズの魔法使」 ~映画音楽に魅せられて
監督:ジャレッド・ヘス    監督:クリスチャン・ヴァンサン  監督:ヴィクター・フレミング
アメリカ           主演:カトリーヌ・フロ      主演:ジュディ・ガーランド
14ビートニク     15ラ・ジュテ
ビートニク」        「ラ・ジュテ
監督:チャック・ワークマン   監督:クリス・マルケル
アメリカ            フランス

4年前の5月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  4年前の5月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  (2013年5月 Archive
1あにいもうと     2同じ星の下、それぞれの夜     3パーク アンド ラブホテル
「あにいもうと」        「同じ星の下、それぞれの夜」 「パーク アンド ラブホテル」 いち押し
監督:成瀬巳喜男         監督:富田克也ほか      監督:熊坂出
京マチ子、久我美子
  
4現代インチキ物語 騙し屋     5世にも面白い男の一生 桂春団治     6大阪の女   
「現代インチキ物語 騙し屋」  「世にも面白い男の一生 桂春団治」    「大阪の女」
監督:増村保造         監督:木村恵吾          監督:衣笠貞之助
                 淡島千景、八千草薫        京マチ子

11タッチ・オブ・スパイス     12トランシルヴァニア     13ケス    
「タッチ・オブ・スパイス」  「トランシルヴァニア」     「ケス」
監督:タソス・ブルメティス   監督:トニー・ガトリフ     監督:ケン・ローチ
    
14情熱のピアニズム     15卵     16黒猫・白猫   
「情熱のピアニズム」     「卵」             「黒猫・白猫」
ジャズピアニスト        監督:セミフ・カプランオール  監督:エミール・クストリッツァ
ミシェル・ペトルチアーニ
  
17一瞬の夢     18水辺の物語  
「一瞬の夢」        「水辺の物語」
監督:ジャ・ジャンクー    監督:ウー・ミンジン
                マレーシア映画

6年前の5月に掲載した映画です。
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  6年前の5月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2011年5月 Archive
1サイドカーに犬     2パーマネント野ばら     3不灯港
「サイドカーに犬」       「パーマネント野ばら」     「不灯港」
 監督:根岸吉太郎        監督:吉田大八         監督:内藤隆嗣
 竹内結子            菅野美穂、小池栄子、池脇千鶴  宮本裕子小手伸也
4ディア・ドクター     5タイムレスメロディ     6あらかじめ失われた恋人たちよ
「ディア・ドクター」      「タイムレスメロディ」     「あらかじめ失われた恋人たちよ」
 監督:西川美和         監督:奥原浩志         監督:清水邦夫/田原総一朗
 笑福亭鶴瓶           青柳拓次、市川実日子      石橋蓮司桃井かおり
7カケラ     8ヴァイブレータ     9見上げてごらん 夜の星を 
「カケラ」           「ヴァイブレータ」       「見上げてごらん 夜の星を」
 監督:安藤モモ子        監督:廣木隆一         監督:番匠義彰
 満島ひかり           寺島しのぶ|大森南朋      坂本 九
11バッファロー66     12森の中の淑女たち     13ミックマック
「バッファロー'66」       「森の中の淑女たち」      「ミックマック」
 監督:ヴィンセント・ギャロ   監督:シンシア・スコット    監督:ジャン=ピエール・ジュネ
 アメリカ            カナダ             フランス
14ヴェルクマイスター・ハーモニー     15女人、四十。SUMMER SNOW     16Manneken Pis
「ヴェルクマイスター・ハーモニー」「女人、四十。」       「小便小僧の恋物語」
 監督:タル・ベーラ        監督:アン・ホイ       監督:フランク・ヴァン・パッセル
 ハンガリー            香港             ベルギー

17細路祥 Little Cheung
「リトル・チュン」
 監督:フルーツ・チャン
 香港

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   フランス映画、1960年代。いい映画。
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映画 「ゴモラ」  イタリア映画 監督:マッテオ・ガローネ

上4

 ナポリを拠点とする犯罪組織の素顔を描く群像ドラマ。
 映画は、この犯罪組織の実態を暴露した原作「死都ゴモラ」をしっかり把握しながら、出色の脚本と演出で見事な仕上がりをみせます。
 実に、よくできた映画です。

1-0_20170525142457506.jpg
 映画は5つの話を語ります。
 犯罪組織の街に住むトトという子供が、ごく自然に組織の一員となって行く話。
 やはり同じ街に育った不良少年マルコとチーロの無知で向こう見ずな行動と悲しい結末の話。 
 組織からファミリーに支給される手当金の、会計と訪問支給を担う男ドン・チーロの話。
 組織が一般社会から資金を調達するために経営する、産業廃棄物処理会社の不法投棄の話。
 同じく、組織が経営する高級オートクチュールの縫製工場のベテラン職人パスクワーレの話。

 この5つの話の展開は、シーンを切り替えながら、徐々にかつ、ほぼ同時進行的な描き方で進んで行きます。
 しかしながら観客は、思うほど複雑な映画には感じないでしょう。これもこの映画の魅力のひとつです。

 ただ、ドン・チーロとパスクワーレの様相が、ちょっと似てるため、紛らわしいのが注意点。

 この犯罪組織はカモッラといい、イタリア4大マフィアのひとつ。
 著者は、この作品を執筆したことにより2006年からマフィアに殺害を予告されており、常に警察の保護下での生活を余儀なくされている。また2008年10月には度重なる脅迫により遂にイタリアを出国、海外移住せざるを得ない状況に追い込まれている。(らしい)ウィキペディアにより。


オリジナル・タイトル:GOMORRA|
監督:マッテオ・ガローネ|イタリア|2008年|135分|
原作:ロベルト・サヴィアーノ『死都ゴモラ』|
脚本:マルリツィオ・ブラウッチ 、 ウーゴ・キーティ 、 ジャンニ・ディ・グレゴリオ 、 マッテオ・ガローネ 、 マッシモ・ガウディオーゾ 、 ロベルト・サヴィアーノ|
撮影:マルコ・オノラート|
出演:少年トト(サルヴァトーレ・アブルツェーゼ)|少年シモーネ(シモーネ・サケッティーノ)|ドン・チーロ(ジャンフェリーチェ・インパラート)|少年シモーネの母親マリア(マリア・ナツィオナーレ)|産業廃棄物処理会社社長フランコ(トニ・セルヴィッロ)|フランコに雇われたロベルト(カルミネ・パテルノステ)ル|高級オートクチュールの腕のいい仕立て職人パスクワーレ(サルヴァトーレ・カンタルーポ)|高級オートクチュールの縫製工場社長ヤヴァローネ(ジージョ・モッラ)|不良少年マルコ(マルコ・マコール)|不良少年チーロ(チーロ・ペトローネ)|

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気になる映画 56

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空族全作品特別上映        「雲の上」「かたびら街」ほか 「サウダーヂ」「国道20号線」ほか
監督:富田克也、相澤虎之助     題名下線部は、記事にしています。クリックしてご覧ください。
アップリンク渋谷:5/13~26 (「バンコクナイツ」はアップリンク渋谷:4/29~、下高井戸シネマ:6/17~ほか全国順次)
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「夜空はいつでも              「ぼくらの亡命」 ユーロスペース:6/24~
    最高密度の青色だ」          監督:内田伸輝
監督・脚本:石井裕也             この映画は記事にしています。   
新宿ピカデリー、ユーロ:5/13~全国順次    題名をクリックしてご覧ください。
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「十年」 香港映画             「台北ストーリー」(旧タイトル:幼なじみ)
監督:5話構成で5監督が担当         監督:エドワード・ヤン ユーロスペース:5/6~
新宿K's cinema :7/22~            この映画は記事にしています。    
                        題名をクリックしてご覧ください。                          
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「午後8時の訪問者」             ロバート・クレイマー特集
監督:ダルデンヌ兄弟             監督:ロバート・クレイマー
シネマカリテ:5/13~             イメージ・フォーラム:5/6~26
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「約束の地、メンフィス」         「まるで いつもの夜みたいに」高田渡ラスト・ライブ
監督:マーティン・ショア          監督:代島治彦
新宿K's cinema :6/17~           アップリンク渋谷:4/29~
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「すべての政府は嘘をつく」
監督:フレッド・ピーボディ
アップリンク渋谷:3/18~

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美術展「ベルギー 奇想の系譜」 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで
文化村ザ・ミュージアム:7/15~9/24

映画 「アナザー プラネット」  監督:マイク・ケイヒル

上

 過去か未来の自分を客観視するタイムトラベル。
 そうじゃないアイデアが、「もうひとつの地球」、原題がAnother Earthという、この映画。

 ある時から、空にもうひとつの地球が出現し、学者たちの見解がニュースとなって報道される。
 どうも、「あの」地球上には、我々とまったく同じ人類が、同じような自然環境、社会環境で生活しているらしい。
 どちらがコピーなのか、さえ言えぬくらいに、同じらしい。

1-0_20170522194049638.jpg そんなある日、主人公のローダが夜空を見上げて、よそ見運転したその直後、一台の車と正面衝突。
 ローダは命に別状はなかったが、相手の車の家族は即死であった。
 この事件でローダは刑務所入り。彼女は17歳でMITに合格した才女であったが、人生を棒に振った。

 出所したローダは、学校の清掃係として働き始めた。単純労働は彼女の心を慰めた。
 そしてある時彼女は、相手の車の父親ジョンが生存していることを知る。
 彼女はそのジョンの家をつきとめる。ジョンは一人住まいで、荒れた生活を送っていた。

 ローダは、家事代行サービス会社の派遣社員を装って、ジョンと接触を持ち始める。
 何回かの訪問の末、ジョンは徐々に派遣社員ローダに心を開くようになる。
 しかし、ローダは自分が加害者であることが言えない。そう言うがために、ジョンに近寄ったのに。

 ローダは宇宙のことが好きな少女であった。自分の部屋には天体写真がたくさん貼ってある。
 第二の地球への宇宙旅行、これに応募、当選した1名は民間人として、あの地球へ行ける。ローダはこれに応募し、彼女が書いた応募動機が称賛され、ロケットに乗れることになる。

 そんなある日、ローダとジョンはついに結ばれる。ふたりに愛が芽生えたのだった。
 ローダはジョンの家に赴き、宇宙旅行の事を言った。ジョンは、危険だから行かないでくれと言う。
 そしてそんな言い合いの中で、ついにローダはジョンに、自分が加害者だと言った。もちろん、ジョンはローダを追い出した。

 その数日後、ローダはジョンの家へ行き、宇宙旅行の当選資格のすべてをジョンに譲るべく、書類を置いて帰った。あの地球には、あなたの家族が生きているかもしれないと・・。
2-0_20170522194357f09.jpg なぜなら、あの事故の少し前から、この地球とあの地球が同じじゃなくなっているらしいと学者たちが述べている。あの事故も、あの地球ではなかったかもしれない。

 宇宙旅行を控えて、ジョンが宇宙飛行訓練を受けている映像がテレビで放映されている。
 それを学校の清掃員控室でローダは眺めている。

 ラスト。ローダが仕事を終え自宅に帰って来た。
 すると、玄関近くに、ひとりの女性が立っていて、ローダを見つめている。


 なんだ、SF映画か、と嫌う向きもいるかと思うが、つまらぬSF映画の棚に並べておくには、もったいない作。
 でも、謎がある。あちらの地球へ行ったジョンは、家族が生きている事が確認できれば、この地球へ戻る気は当初からなかったろう。
 しかし、そうなら、あちらの地球で、父親ジョンはふたりになる・・。

 そしてジョンは、帰りのロケットに、あちらのローダ、事故を起こさなかったローダを搭乗させたようだ。(ローダの家の玄関先にいた女性)
 あちらのローダは、これを望んだのだろう。なぜ?

オリジナルタイトル:Another Earth
監督・撮影:マイク・ケイヒル|アメリカ| 2011年|93分|
脚本:マイク・ケイヒル、ブリット・マーリング|
出演:ローダ(ブリット・マーリング)|ジョン(ウィリアム・メイポーザー)|ほか

【 SF映画 】
 これまでに取り上げたSF映画です。題名をクリックしてお読みください。

ブラザー・フロム・アナザー・プラネット」  「宇宙人王(ワン)さんとの遭遇」  「宇宙人ポール

レポマン」  「南東から来た男」  「光の旅人 K-PAX 」  「ダフト・パンク エレクトロマ

12モンキーズ」   「ラ・ジュテ」  「ロスト・チルドレン

不思議惑星キン・ザ・ザ」  「ミュージアム・ヴィジター」  「マルコヴィッチの穴

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映画 「マイ・ファニー・レディ」  監督:ピーター・ボグダノヴィッチ  当初の題名「シーズ・ファニー・ザット・ウェイ」

上

 いやぁ、楽しい喜劇映画です。いいです、笑えます。
 これは、脚本の勝利! 手練れの技。
 気分を変えたい時、明るくなりたい時、娯楽にどうぞ。

 他人に言えない「秘密」がバレたら・・。
 登場人物それぞれが持つ秘密が、知り合いの繋がりの中で、思わぬ所から、次々にあからさまになって行きます。
 観客はたぶん、ドミノ倒しを見るような快感と、スピーディな話の展開を楽しめます。

1-0_20170519223540cc6.jpg 映画は基本、女優になりたい主人公イザベラ(イモージェン・プーツ)の「シンデレラ・ストーリー」という筋書きで話を進めますが、内容は登場人物各人のエピソードの集合体です。
 でも、そのエピソードのひとつひとつは、言っちゃなんですが、物語としては使い古された、よくある話です。でも、これが可笑しい!のです。
 それは脚本が、よくある話に、素敵な魔法をかけてるんですね。ここが見どころです。

 いきなり有名女優になった、シンデレラガールのイザベラが芸能インタビューを受け、過去を語る話が、映像化されてお話は展開されます。
 映画の冒頭は、ニューヨークで高級コールガールをしていたイザベラ(ビジネスネーム:イジ―)が、呼ばれてホテルの一室へ行く所から始まります。
 その客はアーノルドといって、実はブロードウェイの舞台監督だった。(もちろんその時、彼はイジ―に身分を明かさなかった)

 その数日後、アーノルド監督は、妻で女優のデルタ、アーノルドとは長い付き合いの男優・セス、そして脚本家のジョシュとともに、次期公開作品の主演女優を選び出すオーディション会場に集まります。(主演女優の役柄はコールガール)
 そして、あの客の男がオーディション会場にいる、そんな事とは知らず、女優になりたいイザベラは、オーディション会場に来た。
 そして彼女は迫真の演技をみせました。(それもそのはず、イザベラは本物のコールガールですから)

 ここら辺から話が、幾つものエピソードに枝分かれし出し、その枝々が各所で交わり、その時、誰かの秘密がばれていく。
 一見、話は複雑そうだが、観ている分には、まったく難しくない。ここが、この映画のミソ。手練れの技。
 さてさて、以下のあれやこれやを、映画はどう観せるのか!
 監督(兼脚本)の冴えた腕前を楽しみましょう。

 コールガールのイザベラとアーノルドの密会を、同じホテルにいたセスが目撃していた。それで、オーディション会場に現れたイザベラ、そして何やら慌てている様子のアーノルド、このふたりをセスはじっと見つめていた。
 オーディションでのイザベラの演技は素晴らしく、妻のデルタも脚本家のジョシュも、アーノルドがイザベラを採用することに、何故、躊躇しているのか不思議だった。
 一方、脚本家のジョシュには、セラピスト(心理療法)をしている彼女ジェーンがいるが、関係は冷え切っていた。
 このジェーンの施す心理療法を受けに通っているのが、イザベラと年配の判事。
 ジョシュは、女優の卵イザベラに一目惚れ、夢中になってしまう。
 それより以前から、年配の判事もコールガールのイザベラを愛してしまっている。ところが、イザベラは女優修行のためコールガールを辞めたがために、判事の片思いは燃え上がる。
 判事はイザベラを捜すため、私立探偵を雇うが、これがジョシュの父親。父親は、コールガールと付き合う息子に悩むと同時に、雇主と息子の三角関係の中に飛び込んだ形。
 あることでイザベラとの密会が発覚し、夫アーノルドの女遊びを知った妻デルタは、情緒不安定になり、昔の(秘密の)恋人セスに近づく。
 ジョシュとイザベラの恋を知った、ジョシュの彼女ジェーンも怒り狂う。

下 そしてそもそもアーノルドは、このお話以前から、各所で女の子をひっかけていて、そのうちの何人かに、「君はきっと成功する」と分かれ際に言って、お金を渡していた。
 女優になりたいと言っていたイザベラも、有名デザイナーになりたいと言った女性も、アパレルの仕事で成功したいと言った女性も、そののちそうなった。エピソードの中で、アーノルドはそういう女性から感謝されるシーンがある。アーノルドは人を見る目があるのだろう。

 ちなみに、ラストで登場人物のその後が語られる。(ジョシュの彼女ジェーンは、セスと結ばれる)
 もうひとつ、ラストのラストで、インタビューを終えたイザベラを迎えに、今の彼氏役でクエンティン・タランティーノが登場する。
 ついでに、もうひとつ。セス役のリス・エヴァンスは、映画「ノッティングヒルの恋人」に出てくる。本屋の店主ヒュー・グラントと一緒に住んでいる、あのパンツ男で悪趣味なTシャツ男。



オリジナルタイトル:SHE'S FUNNY THAT WAY|
監督・脚本:ピーター・ボグダノヴィッチ(1939 - )|アメリカ|2014年|93分|
撮影:ヤーロン・オーバック|
出演:イザベラ・パターソン、別名イジ―(イモージェン・プーツ)|舞台監督のアーノルド・アルバートソン(オーウェン・ウィルソン)|その妻で女優のデルタ・シモンズ(キャスリン・ハーン)|男優のセス・ギルバート(リス・エヴァンス)|脚本家のジョシュ・フリート(ウィル・フォーテ)|ジョシュの恋人でセラピストのジェーン・クレアモンド(ジェニファー・アニストン)|コールガールの元締め女将のビッキー(デビー・マザール)|クエンティン・タランティーノ(クエンティン・タランティーノ)|ほか

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映画 「君と歩こう」  監督:石井裕也

上
田舎を出るノリオと明美先生。2人の明るい駆け落ちが始まった。

 田舎に住む、34歳の独身女性教師と高校生男子との駆け落ち喜劇話。

 映画は、よくある話の人物設定を否定してみせる。
 つまり、34歳男性教師が若い女子高校生と駆け落ちするのではなく、だ。
 また、その愛は極端に淡い。
 キスさえなく男子は童貞のまま、よくある男女の愛には程遠く、とりあえず切羽つまった駆け落ちでもない。

 そして話の筋は、基本、喜劇だが、奇妙で突飛で写実的じゃない。
 しかし一方で、どうしようもなく現実的でもあり、このふたつの要素がまだらに入り混じるところが、監督の喜劇なんだろう。

 大きく欠けてしまった心を抱く者同士、ノリオと明美。ふたりは自身のそれを言わない。
 だからこそ、優しい。 これは愛?

1-0 教師の明美(目黒真希)は、高校生のノリオ(森岡龍)に対し、自分は駆け落ちのプロだという。
 その日、ノリオは明美にせかされ、住み慣れた田舎を後に、ふたりは東京へ出た。

 まずは、ふたりはそれぞれの携帯電話を渋谷川に捨てる。
 そして、日当たりのいい部屋を借りた。明美はノリオに言う。
 「私はお金持ちなの。前々から言ってるとおり、ノリオは勉強して弁護士になるの。勉強しなさい。」 「はい先生」
 
 明美:「How are you?」 明美はいつもノリオに、こう問いかけるが、
 ノリオ:「ア、アム、アム・・・」
 明美:「I'm fine thank you. and you? でしょう」
 ノリオは覚えが悪い。

 話が進むうちにわかること。
 ノリオの両親はそろって自殺した。
 ノリオと明美の出会いは、両親の自殺のその直後、後追い自殺しようと、ノリオが首つりしている、「その最中」に、明美先生が家庭訪問に訪れたのだった。
 その後、ノリオはひとりで自宅に住み続けるが、家はゴミ屋敷になっていた。

 さて、明美とノリオの話に、サブストーリーが3つ絡んで、明美とノリオの東京生活が明らかになって行く。
 サブの話のひとつは、高校生同士(吉谷彩子、前野朋哉)の恋愛で女子が妊娠。この女子がカラオケ屋でバイトをしていて、この店で明美先生もノリオに内緒でバイトを始めるが、ノリオの前では要領がいい先生は意外にも、役立たず・・。さらには、そんな様子をノリオが見てしまう。
 一方、この女子高生を気遣うノリオを遠目に目撃した明美先生は、ノリオが浮気していると嫉妬する。
 結局、駆け落ちのプロ・明美先生は、このカップルを駆け落ちさせようと奮闘することに。
 次ぎのサブストーリーは、ノリオが偶然出会った謎の女性・康代(勝俣幸子)に、ノリオは公園の多目的トイレで童貞を奪われる。
 三つ目は、両親がいない野球ファン少年・安太郎(渡部駿太)がノリオに出会う話。

 そして、こんな何やかにやがあった、3年後。
 田舎を出たはずのノリオは、田舎の自宅に戻っていた。
 そしてある日、ノリオは畑の中のバス停で、バスを降りたばかりの、明美先生を発見する。
 明美はノリオに、笑顔を返すのであった。

下2監督・脚本:石井裕也|2009年|90分|
撮影:高木風太|
出演:田中明美(目黒真希)|佐伯ノリオ(森岡龍)|女子高生・一瀬メグミ(吉谷彩子)|男子高生・竹友(前野朋哉)|野球好きな安太郎(渡部駿太)|謎な女・康代(勝俣幸子)|ノリオの同級生のひとり・康隆(中村無何有)|ほか

【「ちょっと変な映画」 特集  でも、どれも可笑しい話です】
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1年前・3年前・5年前の5月、一夜一話。 (2016年5月・2014年5月・2012年5月の掲載記事

  • Posted by: やまなか
  • 2017-05-16 Tue 06:00:00
  • 映画
1年前の5月に掲載した映画です。
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1ファンシイダンス      2ドキュ
「ファンシイダンス」        ドキュメンタリー映画特集
 監督:周防正行            ・・・これまでに記事にした映画です。
 本木雅弘
3カリガリ博士      4女はみんな生きている      5熱病
「カリガリ博士」(1920年)     「女はみんな生きている」      「熱病」
 監督:ロベルト・ウイーネ     監督:コリーヌ・セロー       監督:アグニエシュカ・ホラント
 ドイツ              フランス              ポーランド
6海に出た夏の旅      7火車 HELPLESS      8宇宙人王(ワン)さんとの遭遇
「海に出た夏の旅」        「火車 HELPLESS」        「宇宙人 王さんとの遭遇」
 監督:セミョーン・アラノヴィッチ  監督:ピョン・ヨンジュ 監督:アントニオ・マネッティ、マルコ・マネッティ
 ソ連               韓国               イタリア

3年前の5月に掲載した映画です。
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「森崎書店の日々」      「夜明けのうた」        「競輪上人行状記」
 監督:日向朝子        監督:蔵原惟繕         監督:西村昭五郎
 菊池亜希子          浅丘ルリ子              小沢昭一    
4_201505080926017de.jpg      5_2015050809260395d.jpg      6_20150508092604b2f.jpg    
「大阪物語」          「HARUKO ハルコ」      「月はどっちに出ている」
 監督:市川準         監督:野澤和之          監督:崔洋一
 池脇千鶴、田中裕子      ドキュメンタリー         岸谷五朗、ルビー・モレノ
7_20150508093302a3d.jpg      8_20150508093303fc9.jpg      9_20150508093305e88.png  
「パリ・エキスプレス」     「ウィズネイルと僕」      「アイス・カチャンは恋の味」
 監督:エルヴェ・ルノー    監督:ブルース・ロビンソン    監督:阿牛(アニュウ)
 フランス            イギリス            マレーシア    
10_20150508094315fb6.jpg      11_20150508094316e48.jpg      12_20150508094318222.png    
「雲が出るまで」        「シクロ」           「サニー 永遠の仲間たち」
 監督:イェシム・ウスタオウル  監督:トラン・アン・ユン   監督:カン・ヒョンチョル
 トルコ             ベトナム(仏)         韓国

5年前の5月に掲載した映画です。
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  5年前の5月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2012年5月 Archive
1嵐を呼ぶ十八人      2踊子2      3めぐりあい
「嵐を呼ぶ十八人」       「踊子」             「めぐりあい」
監督:吉田喜重         監督:清水宏           監督:恩地日出夫
                淡島千景、京マチ子         酒井和歌子
4アトムの足音が聞こえる      5けものがれ、俺らの猿と       6キッドナップ・ブルース
「アトムの足音が聞こえる」   「けものがれ、俺らの猿と」    「キッドナップ・ブルース」
 音響デザイナー:大野松雄    監督:須永秀明          監督:浅井慎平
7雲の上      8明日やること ゴミ出し 愛想笑い 恋愛      9修羅雪姫」・「修羅雪姫 怨み恋歌
「雲の上」          「明日やること ゴミ出し・・。」 「修羅雪姫」・「修羅雪姫 怨み恋歌」 
監督:富田克也(空族)     監督:上利竜太          監督:藤田敏八
                谷村美月             梶芽衣子
10新宿泥棒日記      2-0_20160529214840142.jpg
「新宿泥棒日記 」        6年前の5月の一夜一話は、こちらから
 監督:大島渚
11海と大陸      12フロスト×ニクソン      13記憶の棘
「海と大陸」          「フロスト×ニクソン」     「記憶の棘」
 監督:E・クリアレーゼ     監督: ロン・ハワード      監督:ジョナサン・グレイザー  
 イタリア映画祭2012                       ニコール・キッドマン
↑アフリカの難民が地中海を渡りイタリアへ密航する映画です

14コンフェッション      15ルイーサ
「コンフェッション」      「ルイーサ」
 監督:ジョージ・クルーニー   監督: ゴンサロ・カルサーダ

映画 「GO NOW」  監督:マイケル・ウィンターボトム

上


1-0_20170512142734ff2.png








カレンとニック


 スコットランドの、ある街に住み、地元で働く男女のラブ・ストーリー。
 苦難の壁をふたりして乗り越え、ようやっとハッピーエンドの結末を迎えます。
 スコットランドらしい雰囲気を味わえます。(行ったことはないですが)

 ニックは、歴史的な建築の外装修理の現場で、職人として働いています。
 休日は地元のアマチュア・サッカーチームで汗を流しています。
 チームのメンバーは、ニックの飲み友達であり悪友です。

 カレンは、小さなホテルのラウンジで働いています。
 ホテルの上司チャーリーは前々からカレンにお熱で、一方、カレンも上司が嫌いじゃないし、遅刻しても見逃してくれるとか融通を利かせてくれるのをいいことに、だらだら続く職場不倫。
 カレンの私生活は、ポーラという女性と部屋をシェアして住んでいます。

 そんなある日、ニックとカレンは出会います。
 ふたりは、すぐに好き同士になるのですが、ニックは、カレンが上司と付き合っていることを知っています。カレンはそれを認めるでもなく否定するでもなく、そんな態度でした。上司の男はニックよりもずっと高給取りです。

2-0_201705121441112e9.jpg
 そして、それでもニックとカレンは部屋を借りて一緒に住み始めます。
 幸せな日々が続くように見えた、その矢先、ニックの身体に自覚症状のある異変が生じます。
 それは、手のしびれから始まり、徐々に異変は広がり、モノが二重に見える複視、排尿障害、ついに歩行障害に至り、車椅子生活を余儀なくされます。多発性硬化症という難病でした。
 生活の一部であったサッカーは諦めざるを得ません。

 もちろん、その間、専門医へ通い、入院、リハビリをしました。
 カレンは、ニックの闘病を懸命に助けます。診察や検査やリハビリに立ち会い励まし、多発性硬化症の専門書を密かに読み、病床に付っきり、退院後はリハビリのためのランニングでも伴走しました。食事療法も彼に提案します。
 また、ニックのサッカー仲間たちも彼を見舞い見守ります。
 しかし、一時の小康状態はあったものの、病は治りません。車椅子生活です。

 ニックはカレン以上に悩みます。誰でも、難病の診断が下されては、平常心ではいられません。
 ニックは言います。もし、私が難病にならなかったら、お前はとうに私から離れて行ったよね。お前が、今も上司チャーリーと会っていることは、街のうわさで知ってるよ。それに、お前が私のあれこれ全部を仕切っているのに、うんざりだ。

 確かに、カレンは上司とホテルで会っていました。
 また、元ルームメイトのポーラに会った時、ポーラに「もう別れたら」と言われ、「結婚の約束をしたわけじゃないし・・・」ともカレンは言っていました。
 ニックに対する憐れみ(憐憫)の呪縛の中に、カレンはいるのでしょうか。カレンはカレンで葛藤しています。


3-0_2017051214533586d.png ついに、ニックは決断します。この部屋から出て行け!
 ニックは、カレンの服やなにもかもをタンスから出して、すべて放り投げます。
 カレンはニックのアパートの外で、雨の中、じっと立ちすくんでいます。それを窓越しにちらりと見るニック。
 ニックは外に出て、去れと追い打ちを掛けます。
 そしてそれから、どのくらい経ったのでしょうか、カレンはまだアパートの前にいます。またニックは外へよろよろと出て行きました。
 そしてニックは、カレンへ歩みより、カレンに寄りかかるようにして、言った。
 「愛してる」と。そう言ってふたりは抱きしめ合うのでした。



 難病をテーマにした、よく有り勝ちなドラマとは、数段違います。(ことさらに難病を売りにする売り文句はやめましょう。)
 ニックのサッカー仲間のトニーは、以前から誰彼かまわず、きつい冗談を言います。難病になったニックにも、彼の心を理解しないかのような冗談をトニーは言います。
 一方、ニックが振るえる身体で、何とかビリヤードをしているのを見て、親しいサッカー仲間は押し黙り、じっと見詰めます。
 映画は、時折、ニックに同情しません。カレンの浮気もそういう観点から描かれています。
 こういう辛口さが、本作の味でもあります。

下 しかし、映画はギャグも忘れません。映画に何回か挿入されるモノクロシーンは、静止画の連写(フリーズフレーム)手法で、笑いを提供します。
 加えて、各シーンに流れる音楽は、元気の出るソウルミュージック。アメリカのソウルシンガー、ジョー・テックスが、時にボブ・マーリーのレゲエも流れます。重苦しいシーンであっても、明るい活力を呼び起こすスパイスとして、音楽が効果的に使われています。
 地味な映画と言っちゃ、それまでですが、マイケル・ウィンターボトム監督の映画、いいです。
 

オリジナルタイトル:Go Now
監督:マイケル・ウィンターボトム|イギリス|1995年|83分|
脚本:マイケル・ウィンターボトム、ポール・ヘンリー・パウエル、ジミー・マクガヴァーン|
撮影:ダフ・ホブソン|
出演:ニック(ロバート・カーライル)|カレン(ジュリエット・オーブリー)|トニー(ジェームズ・ネスビット)|カレンのルームメイトでトニーと付き合う様になる女性・ポーラ(ソフィー・オコネド)|サミー(バーウィック・ケイラー)|デル(ダレン・タイ)|ジョージ(ショーン・マッケンジー)|ほか

【マイケル・ウィンターボトム監督の映画】
 これまでに記事にした作品から。以下のタイトル名をクリックしてお読みください。

バタフライ・キス」  「ひかりのまち」  「アイ ウォント ユー


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映画 「ブルース・ブラザース」  監督:ジョン・ランディス

上



上4













ツイン・ボーカルのブルース兄弟。弟分エルウッドと、兄貴のジェイク。


 ド派手なカー・アクション付きの喜劇映画です。
 音楽あふれる映画ですが、ミュージカルじゃありません。ミュージシャンが主人公の、ドタバタ・アクション・コメディです。
 さて、お話と音楽、これを分けて紹介して行きましょう。

1-0_201705112256109d5.jpg
 【お話】
 ジェイク・ブルース(ジョン・ベルーシ)と、エルウッド・ブルース(ダン・エイクロイド)、このブルース兄弟が主人公です。
 兄弟と言っても実の兄弟じゃない、ジェイクの弟分がエルウッド。ともに教会が運営する孤児院で育ったのです。

 ふたりは、かつて仲間と、“ブルース・ブラザース・バンド”という名のバンドを組んで、ファンキーなソウルナンバーを得意として酒場を回り、ライブ演奏して稼いでいました。
 しかしあることでジェイクは監獄へ。そして仮釈放の日、弟分エルウッドが刑務所に迎えに来た。ここから映画は始まります。

 兄弟は、兄ジェイクの出所を報告するため、まずは、孤児院の院長シスターに会いに行きます。
 そこで知った事。それは、教会が資金難で孤児院の税金が払えないでいること。そして数日以内に5000ドルを納税しないと、孤児院は閉院せざるを得ないという緊急事態。
 映画は、この数日間にブルース兄弟が、バンド仲間や、警察、ネオナチ団体、カントリー&ウェスタン・バンド、そして謎の女、果ては軍隊を巻き込んで展開する、慌ただしい波乱万丈を描きます。
 そして、ラスト。何台ものパトカーに追われる兄弟は、市中でのド派手なカーアクションの末、なんとか締切日ギリギリで、5000ドル耳をそろえて税務署へ納税します。え、どうやって5000ドルを? そして結末は?それは観てのお楽しみ。

2-0_201705112318587be.jpg
 【音楽】 
 幼い兄弟に音楽を教えたのは、孤児院の管理人の老人で、兄弟の養父といってもいい、カーティスじいさん(キャブ・キャロウェイ)でした。また、カーティスじいさんはジェイクの出所後も兄弟を心配し、陰で支えます。
 キャブ・キャロウェイ(1907 - 1994)は、1930~1940年代に活躍した著名なジャズのビッグバンド・リーダーで歌手でもありました。
3-0_20170511232211e7e.jpg 映画ラスト近くで、兄弟は5000ドルを一気に稼ぐため、大ホールでワンマンコンサートを開くのですが、二人は警察やらに追われて開演に遅れる。そこで時間稼ぎのため、カーティスじいさんは、ソウルバンドをバックに歌います。貴重なシーンです。
「ミニー・ザ・ムーチャー」という彼が登場し語る、ドキュメンタリー映画(1981年)があるので、気が向いたらそのうち掲載します。

 そのほかに、映画は3人のビッグスターのソウルシンガーを登場させます。
 その1人は、カーティスじいさんが「会って来い」と兄弟に言った、ジェームス牧師(ジェームス・ブラウン)。
 次は、散り散りになっていたバンド仲間を、兄弟が集めて向かった先の楽器店、そこの主人、 レイ・チャールズ。
 3人目は、バンド仲間のひとりが嫁の尻に敷かれて働いている食堂、その嫁で食堂の女主人のアレサ・フランクリン。
 ジェームス・ブラウンは教会内で牧師風ゴスペルを歌い、レイ・チャールズは楽器店内で楽しそうにエレクトリック・ピアノを弾きソウルを歌い、アレサ・フランクリンは食堂内で、旦那に向かって、「私をとるのかバンドをとるのか、どっち!」と怒りながらソウルを歌う。
 
 そしてバンド仲間に、ベースのドナルド・ダック・ダン、ギターのスティーヴ・クロッパーが実名で出演しています。
 このふたりは、かつてブッカー・T&ザ・MG'sというバンドのメンバーで、主にスタジオ・ミュージシャンとして、数多くの著名なソウルシンガーや名プロデューサーと共に、録音スタジオで名曲を作り上げました。
 
 ちなみに、ブルース兄弟のブルースとは、その名がジェイク・ブルースとエルウッド・ブルースだからの、ブルースです。
 確かに1曲、兄弟はステージでブルースを歌いますが、“ブルース・ブラザース・バンド”はソウルバンドです。
 正真正銘なブルースは、有名なブルース・ミュージシャンのジョン・リー・フッカーが登場し、路上で演奏するシーンがありますね。

オリジナルタイトル:The Blues Brothers
監督:ジョン・ランディス|アメリカ|1980年|133分|
脚本:ダン・エイクロイド、ジョン・ランディス|撮影:スティーブン・M・カッツ|
出演:ジェイク・ブルース(ジョン・ベルーシ)|エルウッド・ブルース(ダン・エイクロイド)|孤児院の管理人カーティスじいさん(キャブ・キャロウェイ)|ジェームス牧師(ジェームス・ブラウン)|レイ楽器店、盲目の店主(レイ・チャールズ)|バンドマンの嫁で食堂の女将(アレサ・フランクリン)|バンドのギター(スティーヴ・クロッパー)|同じくバンドのベース(ドナルド・ダック・ダン)|路上で歌うミュージシャン(ジョン・リー・フッカー)|イリノイ州カルメット市 聖ヘレン養護施設シスター(キャスリーン・フリーマン)|ジェイクを追う謎の女(キャリー・フィッシャー)|ナチ司令官(ヘンリー・ギブソン)|バートン刑事(ジョン・キャンディ)|エルウッドにGSでナンパされる女(ツイッギー)|納税課職員(スティーヴン・スピルバーグ)|聖歌隊メンバーのひとり(チャカ・カーン)?|そのほかのバンドのメンバー6人:マーフィ・ダン、ウィリー・ホール、トム・マローン、ルー・マリーニ、マット“ギター”マーフィ、アラン・ルービン|ほか

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映画 「憲兵とバラバラ死美人」  監督:並木鏡太郎

上2
殺された女、百合子(三重明子)

 時は昭和12年、仙台歩兵第四連隊の敷地内で発覚した猟奇殺人事件のお話。

1-0_20170506211933332.png 連隊内で飲料水として使っている井戸から、若い女性の胴体が引き上げられます。その女性は妊娠していました。
 さて、殺人犯は連隊兵士だとみて、地元警察ではなく、憲兵隊が捜査を開始します。

 この映画は60年前に製作された娯楽作品です。映画公開当時は「バラバラ死美人」というショッキングな内容を楽しめたのかも知れませんが、今の感覚で観ると、犯罪ミステリー映画です。衝撃度への期待は裏切られます。でも、悪くはないです。

2-0_20170506214044305.png
 映画の内容は、1950年代によく作られた、刑事事件ドラマや怪談もの映画の、典型的なスタイルをとりながらも、コミカルさも忘れない作りです。
 ただし本作では、犯人捜査をする主役の刑事を、憲兵隊の曹長(下士官)に置き換えています。
 当時の、典型的なドラマ・スタイルを楽しみましょう。
 
 遺体発見後、憲兵の小坂曹長(中山昭二)が、仙台連隊長の招きで東京からやってきます。彼は腕利きの捜査官です。
 一方、地元、仙台の憲兵隊も捜査を始めていて、小坂曹長と事件解明でつばぜり合いになります。

 殺された女性、百合子(三重明子)、犯人の君塚軍曹(江見俊太郎)、この二人の登場シーンは少ないのですが、共に存在感ある俳優で、とても印象に残ります。この映画の見どころです。

 主演の小坂曹長(中山昭二)は、憲兵にしては温和な性格。地道に証拠を探し推理し、また地元警察の老刑事をうまく活用します。
 その小坂曹長の部下、高山(鮎川浩)は、曹長を助けながらも、コミカルで軽妙な演技をしています。

 東京から来た小坂曹長と高山が宿とした家は、高山の幼なじみの、しの(江畑絢子)という女性の家でした。この、しのの快活さと、高山の可笑しさが楽しいです。高山は、しのが好きです。
 また、しのの姉、喜代子(若杉嘉津子)は、飲み屋を切り盛りする、色っぽい独身女性。彼女は小坂曹長に一目惚れ、曹長もまんざらでもない。

 こういうサイドストーリーを脇に従えながら、小坂曹長と高山による犯人捜査は続けられます。
 そして、犯人逮捕のため、小坂曹長は満洲へ渡ります。
 満洲へ移動した仙台歩兵第四連隊に犯人の君塚軍曹もいて、彼はさらに連隊を離れてハルピンに逃げていました。 
 
 ちなみに、地元憲兵隊によって誤認逮捕され、取り調べで拷問にあう恒吉軍曹(天知茂、この時26歳)。若いながらも既に、あの天知茂特有の薄暗い魅力たっぷりです。

監督:並木鏡太郎|1957年|73分|
原作:小坂慶助|脚色:杉本彰|撮影:山中晋|
出演:小坂徳助曹長(中山昭二)|小坂の部下でヒラの憲兵・高山忠吉(鮎川浩)|被害者・伊藤百合子(三重明子)|殺人犯の軍曹・君塚八太郎(江見俊太郎)|小坂が宿にした家のあるじ・加島喜代子(若杉嘉津子)|喜代子の妹で高山の幼なじみ・加島しの(江畑絢子)|萩山憲兵曹長(細川俊夫)|刈田憲兵伍長(小高まさる)|井部憲兵隊長(倉橋宏明)|坂本憲兵大尉(高松政雄)|金田(三村俊夫)|田所(明日香実)|恒吉軍曹(天知茂)|山本(西一樹)|細井(浅見比呂志)|酒井(築地博)|小俣軍曹(池月正)|内務班の古年兵A(山岡正義)|内務班の古年兵B(宇田勝哉)|西村衛生伍長(館正三郎)|高梨(加藤章)|田中(小浜幸夫)|守谷刑事部長(岬洋二)|馬渡老刑事(久保春二)|医師の石川博士(児玉一男)|石川博士の助手(千葉徹)|鴨下妙子(松浦浪路)|清の家の女将(津路清子)|文子(小野彰子)|老姿およし(五月藤江)|歯科医(武村新)|村井夫人(高岡久美子)|

下


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映画 「ションヤンの酒家 (みせ)」 中国映画 監督:フォ・ジェンチイ

上

1-0_2017050122192760c.jpg
 お話の舞台は、市街地再開発が盛んな頃の、中国の大都市、重慶市です。
 この重慶の片隅にある下町、吉慶街(チーチンジェ)という所は、10数年前に出来た小さな飲食街ですが、店内で調理して、道にテーブルと椅子を出して客をもてなす、昔ながらの雰囲気を残す飲食街です。
 独身で美人の女主人ションヤンは、長年、ここで鴨の首(鴨肉)を「売り」にする、酒家を営んでいます。
 ですが、この吉慶街の一画については、今まで幾度も再開発の噂がありました。そして、また、新たな計画の話が噂され始めました。

 映画は、ともに苦労人の男女のラブストーリーに、この再開発の一件を絡ませます。
 ただし、この映画、登場人物の説明が、いろんな場面のセリフの中でなされるため、字幕を見過ごすと、身分差がある単純な恋愛ものにしか見えないかもしれません。(過去を振り返るなど説明のために挿入するシーンはありません。)

 さて、主人公の女主人ションヤンについての話を始めましょう。
 長年、吉慶街で店を営んでいると言いましたが、それにしてはションヤンは若くみえます。でもたぶん、30代前半でしょう。
 ションヤンは10代の頃、切羽詰まってこの商売を始めたようです。
 彼女の母親は、彼女の弟を産んで他界し、そして父親は愛人が出来て、家を出て行きました。
 ションヤンは生きて行かねばなりませんでした。そのうえ弟のジュウジュウを母親代わりに育てなくてはなりません。彼女は、何ごとも自分のやり方で問題解決する、勝ち気さを身につけて行きました。
 実はこの映画、ションヤンの恋物語以外に、たくさんの事を語りかけます。以下、ションヤンという女性の背景です。

2-0_20170501223714464.png
 ションヤンの弟ジュウジュウが、この2年前から麻薬に手を出してしまいます。ミュージシャンになれなかったからでしょうか。
 中毒症状が激しくなって、ションヤンはジュウジュウを、重慶にある薬物中毒の更生施設に密かに入れました。
 
 ションヤンの店には、住込みの女の子が働いています。アメイといいます。働き者です。ションヤンも頼りにしています。
 アメイはジュウジュウが好きです。でも、この愛は一方通行のようです。まして施設内で禁断症状のジュウジュウは、それどころではありません。ですが、ションヤンはジュウジュウとアメイを一緒にさせようと思っています。
 また、田舎に住むアメイの親が、我が娘をションヤンに預ける時に、「都市の戸籍が欲しい」とションヤンに頼んだことも、彼女は忘れてはいませんでした。

 かつて、ションヤンの父親が家を出た後、父親は住んでいたアパートを人に貸したのですが、その後、今の住人(その甥)は、部屋を明け渡してくれません。ションヤンは、この部屋をジュウジュウとアメイが住む部屋にあてたいと前から考えていました。
 そこでションヤンは、実家のこの権利問題を何とか解決したいと、何度も役所(住宅管理所)に通っては、その所長に相談していました。

 その所長には、ウツ症状の大学生の息子がいることを、ある時ションヤンは知ります。
 実家を取り戻したいションヤンは、所長にうまく取り計らってもらいたいために、彼の息子とアメイを一緒にさせようと画策します。天秤に掛けたのです。
 アメイにジュウジュウをあきらめさせ、同時に実父にも働きかけて、実家はションヤンの名義となりました。
 のちにションヤンは、高層マンションに住まう裕福なアメイを訪問します。(重慶の戸籍を取得しました)

 そして、もうひとつのサイドストーリー。
 ションヤンには、影の薄い兄がいます。株に熱をあげる女房の尻に敷かれています。
 兄夫婦にはトアルという一人っ子がいます。出産時、この女房は母乳が出ず、流産したばかりのションヤンが母親代わり(乳母)をしました。そして今も、ションヤンは小学生のトアルを預かっています。
 これまで、恋多きションヤンですが、どれも長続きしませんでした。そして、まだ若きションヤンですが、弟のジュウジュウとトアルを我が子のように育ててきました。
 なのに、兄嫁はションヤンに辛く当たります。将来、トアルが住むべき部屋を、勝手に名義変更したと。

3-0_201705020846100cd.jpg
  さて、こうした面倒な事の真っ最中に、ションヤンは恋をしました。
 相手は中年の客、卓さん。当初、彼は足しげく店に通って来ては、いつも離れた席から遠目にションヤンを眺めていました。
 彼は高級車に乗っています。ふたりの噂は吉慶街で広まって行きます。
 しかし、実は彼は吉慶街地区の再開発プランを推進する民間側のボスだということが、郊外に出たデートの帰りに発覚します。ションヤンは怒りを抑えることができませんでした。
 さらには、彼はションヤンの今後については、十分面倒見ようと言いますが、結婚する気はありませんでした。
 ションヤンは激しく降る雨の中、卓さんの車を降りて、ひとり立ち去って行きました。
 
 この話、小説という方法ではうまく表現できても、映画にするには難しい題材です。
 映画は、込み入った多くの事を、ていねいに語るには向いてないかもしれません。
 でも、ションヤン役の女優・タオ・ホンを起用し、一点突破したようです。
 ただ、少し残念なのは、ションヤンに対する態度を急変させる卓さんの唐突さ、及びアメイのその後が、十分に描き切れていないこと。

オリジナルタイトル:生活秀
監督:フォ・ジェンチイ|中国|2002年|106分|
原作:チ・リ|脚本:チウ・シー|撮影:スン・ミン|
出演:ションヤン(タオ・ホン)|卓さん(タオ・ザール)|弟ジュウジュウ(パン・ユエミン)|兄(チャン・シーホン)|兄嫁(ウー・ルイシュエ)|兄の息子トアル(リー・ショウチェン)|アメイ(ヤン・イー)|住宅管理所所長(ロ・ドーユァン)|所長の息子(リュウ・ミン)|ションヤンの父(ジャン・ミンショウ)|ションヤンの義母(ズン・メイズウ)|

【 一夜一話の 歩き方 】下1

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2年前・4年前・6年前の4月、一夜一話。 (2015年4月・2013年4月・2011年4月の掲載記事です)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-04-30 Sun 06:00:00
  • 映画
2年前の4月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  2年前の4月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。   (2015年4月 Archive

1のんちゃんのり弁     2にっぽん泥棒物語     3イザイホウ
のんちゃんのり弁」     「にっぽん泥棒物語」     「イザイホウ - 神の島・久高島の祭祀
 監督:緒方明         監督:山本薩夫        監督:野村岳也
 小西真奈美           三國連太郎           沖縄のドキュメンタリー
4無宿     5atg.jpg
無宿」           「ATGの映画
 監督: 斉藤耕一        これまでに記事にした作品群です。
 勝新太郎、高倉健、梶芽衣子
11おみおくりの作法     12殺人の追憶     13わすれな草
おみおくりの作法」     「殺人の追憶」        「わすれな草
 監督:ウベルト・パゾリーニ   監督:ポン・ジュノ      監督:イップ・カムハン
 イギリス・イタリア合作    韓国             香港
14チョン・ウチ  時空道士     15アルファヴィル     16ストラッター
チョン・ウチ  時空道士」  「アルファヴィル」      「ストラッター
 監督:チェ・ドンフン   監督:ジャン=リュック・ゴダール 監督:カート・ボス、アリソン・アンダース
 韓国             フランスイタリア       アメリカ
17ソポトへの旅
ソポトへの旅
 監督:ナナ・ジョルジャーゼ
 グルジア

4年前の4月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  4年前の4月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  (2013年4月 Archive

1愚か者 傷だらけの天使    2もっとしなやかにもっとしたたかに        3母なれば女なれば
「愚か者 傷だらけの天使」 「もっとしなやかにもっとしたたかに」 「母なれば女なれば」
 監督:阪本順治       監督:藤田敏八            監督:亀井文夫  
               森下愛子                山田五十鈴
4赤い波止場     5純愛物語
「赤い波止場」        「純愛物語」
 監督:舛田利雄        監督:今井正
 石原裕次郎、北原三枝     中原ひとみ
11ルナ・パパ      12グッバイ・ファーストラブ     13スカイラブ
「ルナ・パパ」         「グッバイ・ファーストラブ」 「スカイラブ」
監督:バフティヤル・フドイナザーロフ 監督:ミア・ハンセン=ラブ 監督:ジュリー・デルピー
14カンバセーション…盗聴…     15まぼろし     16カラスの飼育  
「カンバセーション…盗聴…」  「まぼろし」         「カラスの飼育」
監督:フランシス・フォード・コッポラ 監督:フランソワ・オゾン 監督:カルロス・サウラ
                  シャーロット・ランプリング
17ブラウン・バニー     18ザ・フューチャー     19ベアスキン 都会の夜の一幕寓話  
「ブラウン・バニー」     「ザ・フューチャー」     「ベアスキン 都会の夜の一幕寓話」
 監督:ヴィンセント・ギャロ  監督:ミランダ・ジュライ   監督:アン・ゲディス、 エドワード・ゲディス
   
20ゆずれない事    
「ゆずれない事」
 監督:ペーター・フィッシュリ、ダヴィッド・ヴァイス

6年前の4月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  6年前の4月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2011年4月 Archive

1ひみつの花園      2亀虫      3約束
「ひみつの花園」        「亀虫」            「約束」
 監督:矢口史靖           監督:冨永昌敬          監督:斎藤耕一
 西田尚美                            岸 恵子,萩原健一
4宇宙快速船
「宇宙快速船 ~ アイアンシャープ」
 監督:太田浩児
10UFO少年アブドラジャン      11ピノイ・サンデー      12サラ・ムーンのミシシッピー・ワン
「UFO少年アブドラジャン」  「ピノイ・サンデー」      「サラ・ムーンのミシシッピー・ワン」
 監督:ズリフィカール・ムサコフ  監督:ウィ・ディン・ホー    監督:サラ・ムーン
 ウズベキスタン         台湾              フランス
13夏至      14アリスの出発      15クロッシング・ザ・ブリッジ
「夏至」            「アリスの出発」        「クロッシング・ザ・ブリッジ」
 監督:トラン・アン・ユン    監督:レティシア・マッソン   監督:ファティ・アキン
 フランス=ベトナム       フランス            トルコ=ドイツ(民俗音楽ドキュメンタリー)
16ほえる犬は噛まない      17一年の九日      18タクシー・ブルース
「ほえる犬は噛まない」     「一年の九日」         「タクシー・ブルース」
 監督: ポン・ジュノ       監督:ミハイル・ロンム     監督:パーヴェル・ルンギン
 韓国              ソ連              ソ連

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映画 「真夏の素肌」 ロシア映画 監督:ニギーナ・サイフルラーエワ

上
手前がセルゲイ、奥がサーシャ、右がオーリャ。オーリャの実父が、このセルゲイ。

 娘と父をテーマにする佳作。一見、青春映画らしい爽やかな表現をとっているが、少々トゲがある。

 モスクワに住むオーリャとサーシャは共に17歳で、卒業間近な女の子。
 このふたりの女の子が、真夏の黒海の海辺で過ごした、数日を描く物語。

1-0_20170428144553f3b.jpg オーリャは父親を知らず、母親と義父に育てられた。サーシャも父親が無くて育った。
 頭はいいがいつも控えめなオーリャ、一方サーシャは特に男性に対して奔放な子、ふたりは親友だが性格は正反対。

 黒海へ行く旅のプランは、実は、オーリャが実の父親に会ってみたい、と言い出したことが発端だった。
 しかし、行くことに決心したものの、初めて会う父親はどんな男なのか、会って何を話せばいいのか、そんなことに悩むオーリャに、サーシャは「ふたりが入れ替わろう」と提案する。つまり、オーリャがサーシャに、サーシャがまだ見ぬ父親の娘に、成りすます。

 そうして、ふたりはオーリャの父親セルゲイを訪ねた。彼は、黒海の海辺に建つ、粗末な一軒家にひとり住んでいた。
 事前に知らせはしたようだが、セルゲイはふたりを拒否するでもなく歓迎するでもなく、黙って家に招き入れ、そしてそれから、この三人の、数日の物語が始まる。

 セルゲイも、娘のオーリャを一度も見たことは無い。
 かつて、黒海のこの地に住むセルゲイと、モスクワから来たオーリャの母親はここで愛が芽生えた。
 しかし、何があったのか、彼女はその後ひとりモスクワへ帰ってしまった。それ以来、セルゲイはオーリャの母親に会っていない。そして母親はモスクワでオーリャを出産したのだった。

 “父と娘の初めての出会い”を演ずるサーシャを、そばで見守るオーリャは、恥ずかしさも不安も無く、父親を客観的に見ることができた。
 片や、父親がいないで育ったサーシャは、セルゲイに父親的な存在感を感じてうれしい、そして、ちょっといい男。
 でも、セルゲイは娘に対して、いい感情を抱けないでいる。露出度の多い蓮っ葉なファッション、村の男キリルに積極的に迫って行く娘。(実はサーシャだが) 

 だが、そんなセルゲイ自身も、若い女性とその一時を楽しんでいることがわかる。
 オーリャは思う。こんな粗野な男をなぜ母親は好きになったのか。おまけに、セルゲイの稼ぎは夜間の密漁のようだ。

2-0_20170428145316252.png そんなこんなを見たオーリャは、実父に嫌悪感を抱き始める。
 「私が実の娘です」と言う気も無くなり、行き詰ったオーリャは自暴自棄に陥る。オーリャはその夜、サーシャが付き合いだしたキリルとドラッグパーティで一夜を明かした。
 そしてまた、その夜は、サーシャがセルゲイや密漁仲間と一緒に漁へ出かけた夜だった。このことがきっかけで、サーシャとセルゲイの距離は縮まった。

 オールナイトのドラッグパーティが終わったその朝、砂浜で下着姿で目を覚ましたオーリャは、実父に(嫌悪感を抱きつつも)涙ながらに、私が娘だと告白の電話をした。
 セルゲイはこれを聞いて、漁から帰ったサーシャを家から追い出した。しかし、サーシャは夜になって密かにセルゲイの納屋に入り込むのであった。

 ラストシーン。オーリャとサーシャが、海の見えるバス停でバスを待っている。
 オーリャは二つ目の告白をサーシャにする。「私、あなたの彼キリルと寝たわ。」
 それを聞いたサーシャは、「そう」と言いながらオーリャに背を向け、海の方を見ながら、ひとりそっと微笑んだ。そう、それは言わぬ方がいい。

 さて、ふたりがやってきた黒海のこの海辺は、ウクライナの東、黒海に突き出たクリミア半島です。
 この映画製作の2014年、この地域はクリミア自治共和国としてロシア連邦に編入されました。ただし、ウクライナ政府およびアメリカ、欧州連合(EU)、そして日本などは、ロシアへの編入を認めていません。

オリジナルタイトル:Kak menya zovut|
英語タイトル:NAME ME
監督:ニギーナ・サイフルラーエワ|ロシア|2014年|91分|
脚本:リュボーフィ・ムリメンコ|ニギーナ・サイフルラーエワ|
出演:サーシャ(アレクサンドラ・ボルティチ)|オーリャ(マリーナ・ヴァシリエヴァ)|セルゲイ(コンスタンチン・ラヴロネンコ)|キリル(キリル・カガノヴィッチ)|スヴェタ(アンナ・コトヴァ)|

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映画 「戦国奇譚 気まぐれ冠者」(1935年) 監督:伊丹万作 (せんごくきたん きまぐれかじゃ)

上
「ヒゲの勘十」と「気まぐれ冠者」(片岡千恵蔵)

 この映画は、映画監督で俳優だった伊丹十三の父、伊丹万作(1900 - 1946)が、昭和10年に作ったコミカルな時代劇映画です。(トーキー作品)

1-0_20170423103831cee.jpg 表看板の主役は片岡千恵蔵で、浪人の「気まぐれ冠者」を演じていますが、この気まぐれ冠者に連れ添う、太っちょでちょっとヌケてる「髯(ヒゲ)の勘十」、この役を演ずる田村邦男という俳優が、とても素晴らしい。味があります。
 この人を主役として観るほうが、たぶん、この映画を楽しめると思います。(彼は日本大学相撲部出身だったそうです)
 (※冠者とは「若者」の意。ここでは、気まぐれ野郎ってな感じか)

 話の展開はゆったり進みます。
 旅する浪人の二人、気まぐれ冠者と髯(ヒゲ)の勘十は、山賊一味ともつながりがある、風来坊です。
 この二人は、ある藩が主催する御前試合の会場前を通りかかりました。(※殿さまの面前で行う武術試合)
 槍が得意な勘十が、これは面白そうだと、御前試合に飛び入り参加したことがきっかけで、二人は殿さまに家来として雇われることとなります。
 (どうでもいい事ですが……気まぐれ冠者は、のんきな殿さまから、「給与(禄)はいくら欲しいか」と出し抜けに聞かれ、たじろぎながらも抜け目なく希望金額を言います。勘十は、その額の多さに驚きます。
 しかし、すぐさま、殿の側近から予算的余裕は無いからねと耳打ちされた殿は、結局、気まぐれ冠者の希望金額を値切ります。でも一軒家が与えられます。厚遇ですよね。)


 さて、二人が仕官したこの国(藩)は、隣りの国が攻めてくることを恐れています。
 そこで、隣国が「攻めて来ないように」する、何か良い方法は無いものかと、殿さまはじめ家来たちは、これまでにも幾度も思案したのですが、良いアイデアは出てきません。
 まあ、この国はとても平和主義の国で、戦争は避けたいし、家来の武術レベルも低いようです。そして家来はみんな、間が抜けたのんびり屋です。おまけに殿さまは、はっきり言って阿呆です。
    ……………………………………
 そんななか、気まぐれ冠者は、隣国を偵察してみようと考えて、殿さまの許可を得ます。
 気まぐれ冠者は勘十を連れて、隣国に入りますが、不覚にも二人は捕まってしまい、城の牢屋に入れられてしまいます。
 しかし、牢屋の床の、ある敷石を持ち上げると、その下には地下へ降りて行ける抜け穴があることを発見し、二人は迷路のような抜け穴をたどって行きました。
 そして、行き止まりまで来ると、抜け道に天井がありました。気まぐれ冠者は勘十を踏み台にして、その天井を押し上げ、上の様子を見て、あっと驚きます。次に、どれどれと勘十も上の様子を見て驚きます。
 天井ように見えたのは、実は城内の部屋の床で、二人はその部屋の畳を持ち上げていたのです。そして、その部屋は、なんと、この国のお姫様、椿姫(市川春代)の部屋でありました。

 ひとり、この部屋にいた姫は、突然、床下から現れた二人を怖がっていましたが、気まぐれ冠者は絶妙に姫におべっかを使い、姫を懐柔することに成功します。
 そして、二人は、殿さまの前(お白州)に引き出されますが、殿の脇にいる姫の計らいで、殿さまは二人を釈放します。この国の殿さまも、バカ殿のようです。

 さて、ここから、気まぐれ冠者が考え出した、敵国攪乱(かくらん)作戦が始まります。
 その作戦の秘密兵器は、金の卵です。まずは金の卵を国中に知らしめます。
 そして、気まぐれ冠者と勘十、そして彼らの手下数名(知り合いの山賊)が、忍者姿となって行動し始めます。
 この国の、あちこちの農家のニワトリ小屋に、金の卵をそっと置いて行きます。そのうち、この国の人々は、そして殿さまも家来も、金の卵を産むニワトリを巡って、我を忘れ夢中になって行きます。国中が翻弄されます。隣国侵略どころではありません。作戦大成功。

 そんなわけで、気まぐれ冠者と勘十は馬にまたがり、この国で新たに手下にした人々を従えて、意気揚々と凱旋の途に就くのでした。めでたし。(馬にまたがって凱旋するシーンは、中国大陸を感じますね)

 本来、88分の尺の作品だそうですが、現存は75分なので、観れないシーンがあります。
 また、古い映画なので、音声が聞き取りにくい。よって、元は分かりやすい大衆向け仕立ての映画なのですが、話がイマイチ分からない。
 そのうえ、気まぐれ冠者と勘十が仕官した国の殿さま(伊藤隆世)と、隣国の殿さま(ジョウ・オハラ)の様子が似ているので、コンガラガル。(仕官した国の殿さまには、長いあごヒゲがある)
 それでも、ホンワリした、いい喜劇映画と言えるでしょう。

 本作の制作は1935年。この頃の時代背景。
 1931年、柳条湖事件に端を発して満洲事変が勃発、関東軍により満洲全土が占領される。その後、関東軍主導の下に同地域は中華民国からの独立を宣言し、1932年、満洲国建国に至った。
 こんな世情になかで、当時の人々は、この映画を観ていました。
 
 
この映画は、トーキーです。つまり無声映画じゃないです。
日本初のトーキーは1927年。
1938年当時でも、日本では映画製作の3分の1は、まだ無声映画だったそうです。

監督・原作・脚本:伊丹万作|1935年|88分 (現存75分)|トーキー、モノクロ|
製作:片岡千恵蔵プロダクション|撮影:石本秀雄|
出演:片岡千恵蔵(気まぐれ冠者)|田村邦男(髯の勘十)|伊藤隆世(殿様)|ジョウ・オハラ(敵国の殿様)|市川春代( 椿姫 敵国のお姫様)|尾上華丈(木曽猿)|瀬川路三郎( 関羽左衛門)|香川良介(隠密横目氏)|林誠之助(金神)|駒井燿(百足)|ほか

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映画 「夢のバスにのって」 ペルー映画  監督:フェルナンド・エスピノーサ、アレハンドロ・レガスピ

上
 3人の右端が、フリアナ。(男の子に成り済ましている)
 路線バスの車中で、歌って、空缶のパーカッションをたたいて、
 乗客から小銭をもらい稼ぐ。


 南アメリカの、ブラジルの西、太平洋に面する国、ペルー共和国の映画です。
 その首都リマの街で、明るく、たくましく、貧しくも、親に頼らず「自立して生きる」子供たちが、主役です。

1-0_20170419150549297.jpg 映画製作の1988年当時、ペルーは大変な経済危機とインフレにさらされていて失業率は60%以上、国は国家破産状態に陥る、1990年を目前にしていました。

 マリの街のスラム街に住む、12歳の女の子フリアナが主人公です。気立てのいい子です。
 彼女の母親は優しいですが、働きもしない継父はフリアナに乱暴です。
 母親は屋台の店を出して稼ぎますが、生活は苦しい。だからフリアナも、近くの大きな墓地で墓の清掃をして稼いでいます。

 フリアナの弟のクラビートは、すでに家を出ていて、近所の建物で暮らしています。
 そこには、クラビートのほかに8人の少年たちが同居しています。リマの街の子もいれば、ジャングルの奥地から来た子もいる。肌の色の黒い子も白い子もその中間の子もいます。

 彼らはリマの街でストリートチルドレンだったところを、ドン・ペドロという男が彼らを救い、そこは窓のない倉庫のような大部屋ですが、子たちに寝る場所と食事を与えています。
 そして、ドン・ペドロは子たちを使って金儲けをしています。街を走る路線バスの車内で、彼らに楽しい歌を歌わせ、乗客から投げ銭をもらう、そんな商売です。
 
 もちろん、ドン・ペドロは胴元としてピンハネをしますが、墓の清掃よりも、いい稼ぎになるのです。
 フリアナは、クラビートを頼って、ドン・ペドロの元で働き始めます。ただし、ここは男の子だけしか雇いません。
 そこでフリアナは髪を短く切って、男の子のような話しぶりで、働きました。
 もちろん、母親と離れて生活しなければならないのは辛かったようです。

 映画はストリートチルドレンすれすれの彼らの様子を、例えば少年たちの団結や仲間割れ、ドン・ペドロに対する反抗などを、明るく描いて行きます。

 ラスト近く、フリアナや弟クラビートをはじめ、ドン・ペドロに反抗したグループの少年たちは、胴元の家を出て、海岸の廃船に住み始めます。フリアナは、女の子の姿に戻っていて、女友達もいて、少年たちの世話役をしています。

 そして、ラスト。
 リマの夜、街を行くバスには、少年たちが乗っています。
 乗客の姿は無く、彼らだけです。車内では、みな歌い踊り、空缶をたたいてリズムをとっています。
 あれは「夢のバス」です。

下オリジナルタイトル:Juliana
監督:フェルナンド・エスピノーサ、アレハンドロ・レガスピ|ペルー共和国|1988年|98分|
脚本:レネ・ウェーバー|撮影:ダニー・ガヴィディア|
出演:フリアナ(ロサ・イザベル・モルフィーノ)|その弟クラビート(エドバル・センテーノ)|ドン・ペドロ(フリオ・ヴェガ)|他
【 ペルーの映画 】
 一夜一話で、これまでにとりあげた作品から。

 「悲しみのミルク」(2009年)
 映画タイトル名をクリックしてお読みください。

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映画 「エリン・ブロコビッチ」  監督:スティーヴン・ソダーバーグ

上


1-0_20170416161214c86.jpg
 この映画は、エリン・ブロコビッチという名の実在の女性の活躍を、実話を基に脚色したドラマです。
 基本、公害訴訟をまじめに扱ったストーリーですが、話は決して重くはありません。巧い作りです。

 エリン役を演ずるジュリア・ロバーツと、老弁護士エド(アルバート・フィニー)との絡みはコミカルですし、隣りに引っ越してきたジョージとエリンとのラブストーリーも楽しめます。かつ、訴訟の推移もラブストーリーもハッピーエンドで終わります。
 そのうえ、当初、八方ふさがりの境遇であったエリン、その彼女の、胸のすくサクセス・ストーリーでもあります。

 さらには、こうした事柄と、片や、6価クロム公害で健康被害に苦しむ多くの原告団をかかえることになった公害訴訟、この両方を巧みにバランスをとって映画化されていて、違和感なく、とてもいい娯楽映画に仕上げています。

 高卒のエリンは美人ですが、2回の離婚、3人の子持ちのシングルマザー、おまけに職が見つからない。(実在のエリンは大卒)
 職探しに奔走している最中に、エリンは交通事故にあい、弁護士エドと出会う。
 被害者であるエリンですが、彼女の蓮っ葉な身なり、品の無い言動(しかし直言!)が、陪審員たちには印象悪く作用して、エリンは賠償金をもらい損ねます。

 その後も職が見つからず生活に窮したエリンは、強引にもエドの弁護士事務所に入り込んで居座り、勝手に事務の仕事を始めます。人の好いエドは、ついにエリンを許し、彼女を雇うこととなる。物語は、ここから始まります。

 ある日、事務所で書類整理をしていたエリンは、公害の実態を知るきっかけをつかみます。そして、彼女独自の現地調査を経て、エドと共に実態解明に奔走することになります。

 こうしてエリンとエドは、1993年にカリフォルニア州の大手企業PG&Eを相手取って訴訟を起こし、3億3300万ドルの和解金を勝ち取ることになります。この金額は、アメリカ史上最高額の和解金でした。
 その後も、エリンはエドの弁護士事務所で働くこととなり、破格の金額のボーナスももらえることになります。そして、ジョージとの関係も回復してハッピーエンドでお話は終わります。

オリジナルタイトル:Erin Brockovich
監督:スティーヴン・ソダーバーグ|アメリカ|2000年|131分|
脚本:スザンナ・グラント|撮影:エド・ラッハマン|
出演:エリン・ブロコビッチ(ジュリア・ロバーツ)|エドワード・L・マスリー(アルバート・フィニー)|ジョージ(アーロン・エッカート)|ドナ・ジェンセン(マージ・ヘルゲンバーカー)|チャールズ・エンブリー(トレイシー・ウォルター)|カート・ポッター(ピーター・コヨーテ)|パメラ・ダンカン(チェリー・ジョーンズ)|

【スティーヴン・ソダーバーグ監督の映画】
 一夜一話でこれまでに取り上げた作品から。(タイトル名をクリックしてお読みください)
 「Bubble/バブル」  「フル・フロンタル」  「ガールフレンド・エクスペリエンス

下
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1年前・3年前・5年前の4月、一夜一話。 (2016年4月・2014年4月・2012年4月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-04-16 Sun 06:00:00
  • 映画
1年前の4月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の4月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2016年4月 Archive
1風と樹と空と      2女経      3グッド・ストライプス
風と樹と空と」        「女経」            「グッド・ストライプス
 監督:松尾昭典      監督:増村保造、市川崑、吉村公三郎  監督:岨手由貴子
吉永小百合,浜田光夫      若尾文子,山本富士子,京マチ子     菊池亜希子,中島歩

4熱海ブルース
熱海ブルース
 監督:ドナルド・リチー

5アメリ      6光りの墓      7あの娘と自転車に乗って
アメリ」           「光りの墓」          「あの娘と自転車に乗って
監督:ジャン=ピエール・ジュネ 監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン 監督:アクタン・アリム・クバト
 オドレイ・トトゥ        タイ映画            キルギス共和国の映画 

3年前の4月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  3年前の4月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2014年4月 Archive
1_20150412205535a9c.jpg      2_20150412205537e61.png      3_20150412205538c04.png
「ナイン・ソウルズ」      「残菊物語」          「世界はときどき美しい」  
監督:豊田利晃          監督:溝口健二         監督:御法川修
原田芳雄、松田龍平                       市川実日子、松田美由紀 

4_20150412210009e02.png      5_201504122100120e2.png    
「2/デュオ」         「ゲンと不動明王」  
監督:諏訪敦彦          監督:稲垣浩  
柳愛里、西島秀俊

6_201504122107171e9.jpg      7_20150412210719c55.jpg      8_201504122107201d5.jpg  
「はなしかわって」       「聖者の午後」         「バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち」  
監督:ハル・ハートリー      監督:フランシスコ・ガルシア  監督:モーガン・ネビル
                 ブラジル映画          ドキュメンタリー映画
    
8_201504122112149f1.png      9_20150412211215f25.jpg      10_201504122112178c0.jpg     
「反撥 (反発)」       「童年往事 時の流れ」     「二郎は鮨の夢を見る」  
監督:ロマン・ポランスキー    監督:ホウ・シャオシェン    監督:デビッド・ゲルブ  
カトリーヌ・ドヌーヴ       台湾映画            ドキュメンタリー映画

11_20150412211559916.jpg      
「17歳のカルテ」  
監督:ジェームズ・マンゴールド

5年前の4月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  5年前の4月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2012年4月 Archive
100にごりえ      200くちづけ      300二階の他人
「にごりえ」          「くちづけ」          「二階の他人」
監督:今井正           監督:増村保造         監督:山田洋次
淡島千景             野添ひとみ           葵京子

1100シテール島への船出      1200 4:30      1300ハリウッドホンコン
「シテール島への船出」     「4:30 (フォーサーティ)」  「ハリウッドホンコン」
監督:テオ・アンゲロプロス    監督:ロイストン・タン     監督:フルーツ・チャン
   
1400ヒューゴの不思議な発明      1500水の中のナイフ      1600コントロール  
「ヒューゴの不思議な発明」   「水の中のナイフ」       「コントロール」
監督:マーティン・スコセッシ   監督:ロマン・ポランスキー   監督:アントン・コービン
  
1700パイ      1800行きずりの二人      1900百年の夢 
「π (パイ)」        「行きずりの二人」        「百年の夢」
監督:ダーレン・アロノフスキー  監督:クロード・ルルーシュ    監督:ドゥシャン・ハナック
  
2000メリエス’88       2100ひかりのまち  
「メリエス’88 」        「ひかりのまち」
フランス国営映像研究所制作   監督:マイケル・ウィンターボトム

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映画 「あの子を探して」  監督:チャン・イーモウ

上

1-0_20170413152946032.jpg

 中国河北省の田舎、チェンニンパという村にある、先生ひとり教室ひとつの小さな小さな小学校がお話の舞台。
 起承転結がしっかりしていて、結はハッピーエンドで、良く出来たお話です。

 ですが、シーンを感動的印象的にするため、話を少々誇張しています。よって、写実的(リアル)なお話というよりも、現代のおとぎ話として観ると、ちょうどいいでしょう。
 とは言え、素人の子たちを生徒に仕立てた教室のシーンは、自然で、とてもいきいきとしていて、リアルで、この映画の要であり、見どころです。

 そして、主役の、13歳の代理先生役のウェイ・ミンジも、素人俳優。
 大胆な起用ですね。演技や表情の起伏がみてとれないウェイ・ミンジ、観てのとおりですが、話が進むにつれて徐々に、代理先生という役柄に魂が入り、物語の中でいきいきと立ち現れる。観終わったころには、ウェイ・ミンジは素晴らしい主人公だと思うことでしょう。これが、この映画、一番の見どころです。

 村の学校には、大ベテランのカオ先生がいましたが、家庭の事情で一カ月間、村を離れることとなった。
 そこでチャン村長は、その間、先生の代理になれる人を探して、村や近隣のあちこちを巡った末に、やっと、13歳のウェイ・ミンジを見つけ出した。(教職免許など気にしていない)
 カオ先生は、こんな子供のウェイ・ミンジに教室を任せられないと、村長に言うが、村長は無理と思いながらもウェイ・ミンジを推した。なぜなら、このところ、学校から生徒が退学して生徒数が減っているのだ。村長はこの流れを止めたい。先生が不在になれば、さらに生徒が辞めていくかもしれない。カオ先生は仕方なく、ウェイ・ミンジに教室を任せることにした。

 とは言え、ウェイ・ミンジに何を教えられるのだろう。カオ先生はウェイ・ミンジにこう言った。この教科書のこのページを黒板に板書しなさい、そして、それをノート(紙の束)に写させなさい。
 ウェイ・ミンジは、この仕事を50元で請け負っていた。そしてもし、一カ月の間に、生徒が減らなかったなら、さらに10元だそうと言われた。
 ところが、学校一のわんぱくホエクーがある日から姿を消した。ウェイ・ミンジが彼の家を訪ねると、家は母子家庭で母親は病になっていた。ホエクーは町へ出稼ぎに行ったのだった。
 さて、ここから物語は大きく動き出す。13歳のウェイ・ミンジは、どう行動するのだろうか ・・・。それは観てのお楽しみ。
 「あの子を探して」のあの子は、ホエクーです。

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オリジナルタイトル:一個都不能少 Not One Less
監督:チャン・イーモウ|中国|1999年|106分|
原作・脚本:シー・シアンション|撮影:ホウ・ヨン|
出演:代理の先生ウェイ・ミンジ:魏敏芝(ウェイ・ミンジ)|カオ先生:高恩満(カオ・エンマン)|生徒ホエクー:張慧科(チャン・ホエクー)|チャン村長:田正達(チャン・ジェンダ)|ほか

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映画 「羅生門」  監督:黒澤明

上2

 女優、京マチ子を愛でる映画です。
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 時は平安時代のある日。人けのない山間の道を、平安京の中央官庁に勤務する官人の金沢(森雅之)は、妻の真砂(京マチ子)を乗せた馬の手綱を引き、亰へと向かっていた。
 偶然、その道端に居た盗賊の多襄丸(三船敏郎)は、通り過ぎる馬上の真砂の美しさに一目惚れ。
 この女を奪いたい、その一心で多襄丸は、ふたりの行く手に立ちはだかった。そうして格闘の末、多襄丸は金沢を縛り上げ、彼の目前で妻の真砂を犯した。その後、金沢は死体で発見される。

 どうも、そこまでは確か、らしい。
 と言うのは、それは検非違使庁(けびいちしちょう)のお白洲に呼び出された、この事件の関係者らの供述から、推測される。
 被疑者は、縄で縛られた盗賊・多襄丸。証人は、金沢の妻・真砂と、巫女(霊能者)の降霊術によって呼び出された金沢の霊。加えて、死体の第一発見者の杣売の男(志村喬)、生前の金沢を見かけた旅法師(千秋実)、弱っていた多襄丸を捉えた男(加東大介)。
 しかし、多襄丸、真砂、金沢の霊、それぞれの供述が大きく食い違う。誰が金沢を、真砂の短刀で殺したのか。

 さて、お白州の後日、土砂降りの雨の中、羅生門の下で雨宿りする、死体の発見者の杣売の男が、下人の男(上田吉二郎)と旅法師に、お白州で言えなかった真実を語り出す。杣売の男は、事件に関わりたくなかったのだ。

 多襄丸、真砂、金沢の霊、この3名の供述は、カメラに向かってなされる。つまり、検非違使庁の役人(裁判官)は観客となる。
 そして、この3名の供述と杣売の男が見た真実が、それぞれ映像として再現され、映画は進む。
 京マチ子が、4名の供述でまったく異なる真砂を演じ分ける。これが見事。(観てのお楽しみ)
 少し残念なのは、多襄丸の供述時のセリフが硬いこと。

  「羅生門」(らしょうもん)とは、平安京の中央を南北に貫く朱雀大路の南端にあった都の正門、羅城門(らじょうもん)のこと。のちに、平安京の西側半分および七条以南の地は、荒廃してしまう。羅城門が見る影も無い本作は、その頃の話と思われる。


英語表記:Rashomon
監督:黒澤明|1950年|88分|
原作:芥川龍之介|脚本:黒澤明 、橋本忍|撮影:宮川一夫|
出演:多襄丸(三船敏郎)|金沢武弘(森雅之)|金沢の妻・真砂(京マチ子)|杣売(志村喬)|旅法師(千秋実)|下人(上田吉二郎)|旅免(加東大介)|巫女(本間文子)|

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映画 「チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢」 監督:マルジャン・サトラピ , バンサン・パロノー

上

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 ノスタルジックな大人のおとぎ話。たまにはこういう映画もいいでしょう。
 原作がコミックなので、ところどころアニメーションが入るが、違和感なし。ほんわかした雰囲気を盛り上げます。
 また、時々、コミカルになります。お楽しみください。

 1958年のテヘランから、お話は始まる。
 ヴァイオリニストを目指すナセル・アリ(マチュー・アマルリック)は、テクニックはあるが、演奏する音楽に魂が込められず、大きな壁に突き当たっていた。
 そんなある日、ナセル・アリは素晴らしい女性イラーヌを知った。いつしか、ふたりは愛を誓い合うようになり、イラーヌの父親に結婚の許しを乞うこととなった。しかし、父親はがんとして結婚を許さなかった。生活が不安定な芸術家に娘はやれないと。仕方なく、ふたりは別れた。

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 しかし、皮肉なことにイラーヌへの思いが、ナセル・アリの演奏を素晴らしいものに仕立て上げた。ヴァイオリンの師匠は彼を完璧だとほめた。そして師匠の師匠から伝授されて来たヴァイオリンの名器を、ナセル・アリは譲り受けた。

 その後、ナセル・アリは世に認められるヴァイオリニストとなり、コンサートで世界中を駆け巡った。40歳過ぎても彼は独身であった。イラーヌを忘れることができなかったのだ。

 だがついに、ナセル・アリの独身にピリオドが打たれることになった。、母親の強い勧めで、ナセル・アリは仕方なく、ファランギースという数学の教師と結婚することとなった。愛無き結婚であった。子どもは二人生まれたが、夫婦に愛は育たなかった。
 その日、夫婦げんかのさ中、妻は激怒して名器のヴァイオリンを床にたたきつけた。名器は修復不可能なくらいに哀れな姿となってしまう。

 自身の分身であった名器を失ったナセル・アリは、これと替わる優れたヴァイオリンを探し求めたが、分身となり得る楽器は見つからなかった。そして、彼は緩慢な自殺を試みる。8日目には、死の天使アズラエルが彼のベッドサイドに現れる。
 その一日目から死までの8日間、ベッドに横たわるナセル・アリのこれまでを、彼の走馬灯のような回想で綴るのが、実はこの映画のストーリー。

 よって現在のシーンと、様々な時点での過去シーンが「語りにあわせて」入れ替りに立ち現れる。このことや、アニメの挿入や、時々ファンタジックな味付けがあったり、時にコミカルであったり、と、総じて何か一貫性を、もし感じえなかったとしたら、本作は散漫な作品と思うでしょう。
 フランス映画「アメリ」に出てくる八百屋のあるじに虐められる、知的障害のある小僧役であった俳優ジャメル・ドゥブーズが、本作で骨董屋と物乞いの二役で登場し、味のある演技を見せます。

オリジナルタイトル:Poulet aux prunes|
監督:マルジャン・サトラピ、バンサン・パロノー|フランス・ドイツ・ベルギー|2011年|92分|
原作:マルジャン・サトラピ - コミック作品『鶏のプラム煮』|脚本:マルジャン・サトラピ,バンサン・パロノー|
撮影:クリストフ・ボーカルヌ|
出演:ナセル・アリ(マチュー・アマルリック)|死の天使アズラエル/ナレーション(エドゥアール・ベール)|ナセル・アリの妻ファランギース( マリア・デ・メデイロス)|ナセル・アリのかつての恋人イラーヌ(ゴルシフテ・ファラハニ)|ナセル・アリの弟アブディ(エリック・カラヴァカ)|ナセル・アリの娘リリ(キアラ・マストロヤンニ)|バイオリンの師匠(ディディエ・フラマン)|イラーヌの父・時計屋(セルジュ・アヴェディキアン)|弟アブディの妻(ローナ・ハートナー)|古物商フーシャング/物乞い(ジャメル・ドゥブーズ)|ナセル・アリの母親パルヴィーン(イザベラ・ロッセリーニ)|

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映画 「甘い生活」  監督:フェデリコ・フェリーニ

上

上2


 この映画は「フェデリコ・フェリーニの代表作なんだから」なんて思って、固く構えて観てはいけません。
 何しろ、素晴らしい映像です。これを楽しみましょう。

 ただし、話の筋はほとんど無く、様々なシーンが取っ散らかった状態です。つまり、ストーリー展開で物語ることを放棄しています。
 映画でこういうことをやること自体が、60年近く前の当時、とても斬新でかっこ良かったのでしょう。
 よって、映画が与えてくれる物語に、心地良く揺られることを期待するなら、この映画は難解な作品と言っていいでしょう。

 映像が素晴らしいと思うのは、シーンのある一瞬を切り取ると、それがそのまま、一枚の優れた写真作品になる位のクオリティが、映画のあちこちにあるからなのです。(これって案外、そうあることでは無いです)

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 つまり具体的には、俳優たちのそれぞれの向き・身振り・人物群配置の計算や、会員制キャバレー・地下室・トレヴィの泉・病院・古城など映画の舞台装置のバリエーションある選択や、郊外の新築アパート群・道路・海辺などの野外ロケ地選択の、そうした演出の総体と、それらの画面の構図の組み立てが、何でもないようでいて、実は緻密になされている。

 加えて例えば、カメラを構えてばらばらと走るパパラッチ軍団の荒っぽい突撃や、トレヴィの泉に入っちゃうシーンや、ものすごい数のエキストラの登場や、聖母マリア出現の地の広く開けたシーン、そして極めつけが突然の豪雨が、ともすれば、緻密に組み上げたからこそ、静的になりがちな映像に、動きと驚きのドラマ効果を与えている。

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 そしてさらに観ると、その演出・構図に、二通りある。
 そのひとつは例えば、多くの人物がいるキャバレー店内シーンなどの屋内シーンや、トレヴィの泉の周りのパーティなど比較的狭い範囲で撮影するシーンに注目してみると、俳優たちはてんでに動いているようだが、その動きが前もって計算されていて、なるほど、いい構図(絵)になっている。(そう見える)
 もうひとつは、病院ロビーや聖母マリア出現の地やラストの海辺など、開けた画角と遠近のあるシーンでは、大きなステージ上で展開される「舞台演劇演出」の手法が駆使されて、俳優達の、うまい具合な構図配置がなされている。
 素晴らしい映像です。楽しみましょう。

 あと、登場人物にも注目したい。
 過去の栄光にすがる年配の貴族たち、その空気に反発するも退廃的にしか振る舞えない若い貴族。
 そんな貴族だけれども、彼らの特権・財産である「上流階級」、そこへ加わった新興ビジネスの富裕層。
 そんなイタリアに来て、売れっ子美人女優という華やかな風を送り込む米国映画芸能界。
 そんな上流階級や映画女優のスキャンダルを狙う、芸能記者とパパラッチ軍団という庶民。
 そんな騒がしいローマとはまったく無縁の庶民が、ローマの娼婦であり、郊外に住む貧しい庶民は救いを求めて聖母マリア出現の地に集う。
 
 これまでに記事にしたフェリーニの作品は、1963年製作の「8 1/2」です。こちらから、お読みください。

オリジナルタイトル:La Dolce Vita
監督:フェデリコ・フェリーニ|イタリア|1960年|174分|
原案:フェデリコ・フェリーニ、トゥリオ・ピネリ、エンニオ・フライアーノ|
脚色:フェデリコ・フェリーニ、エンニオ・フライアーノ、トゥリオ・ピネリ、ブルネロ・ロンディ|
撮影:オテロ・マルテリ|音楽:ニーノ・ロータ|
出演:マルチェロ・マストロヤンニ(マルチェロ)|アニタ・エクバーグ(シルヴィア)|アヌーク・エーメ(マダレーナ)|アラン・キュニー(ステイナー)|イヴォンヌ・フルノー(エマ)|マガリ・ノエル(ファニー)|レックス・バーカー(ロバート)|ジャック・セルナス(セルナス)|ウォルター・サンテッソ(パパラッツォ)|ニコ(ニコ)|


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映画 「トレヴィの泉で二度目の恋を」  監督:マイケル・ラドフォード

上2



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 老人の恋というテーマのこの映画は、お若い方には敬遠されるだろうけど、1934年生まれの女優シャーリー・マクレーン演ずるエルサの恋は、瑞々しい。
 一方、 エルサのお相手、1929年生まれの俳優クリストファー・プラマー演ずるフレッドは、最近妻を亡くし、住み慣れた家からエルサが住むアパートの隣室に越してきた。この喜劇は、ここらへんから始まります。

 仮に、同じ脚本を日本の俳優が演じたら、たぶん、誰が演じても、観てられないかもしれない。

 エルサとフレッドの二人だけで、話は推し進められるのですが、二人の息子・娘や孫を登場させて、エルサとフレッドの人柄を描きます。
 また映画は、エルサの長男と、フレッドの娘の旦那を対比させて、ほんの少し、2014年のアメリカ社会を描きます。
 なお、女優シャーリー・マクレーン26歳の時の主演映画「アパートの鍵貸します」(監督:ビリー・ワイルダー)の記事はこちらから、どうぞ。

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オリジナルタイトル:ELSA&FRED
監督:マイケル・ラドフォード|アメリカ、フランス|2014年|97分|
脚本:マイケル・ラドフォード、アンナ・パヴィニャーノ|撮影:マイケル・マクドノー|
出演:エルサ・ヘイズ(シャーリー・マクレーン)|フレッド・バークロフト(クリストファー・プラマー)|フレッドの娘リディア・バークロフト(マーシャ・ゲイ・ハーデン)|ジャック(クリス・ノス)|フレッドの孫Michael(ジャレッド・ギルマン)|レイモンド・ヘイズ(スコット・バクラ)|ジョン(ジョージ・シーガル)|マックス・ヘイズ(ジェームズ・ブローリン)|アレック・ヘイズ(レグ・ロジャース)|水道修理位の男アルマンド(ウェンデル・ピアース)|


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2年前・4年前・6年前の3月、一夜一話。 (2015年3月・2013年3月・2011年3月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-03-30 Thu 06:00:00
  • 映画
◆2年前の3月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  2年前の3月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。(2015年3月 Archive
1荒野のダッチワイフ      2波影      3川下さんは何度もやってくる
荒野のダッチワイフ」     「波影」            「川下さんは何度もやってくる
 監督:大和屋竺         監督:豊田四郎         監督:いまおかしんじ
 主演              若尾文子

4午前中の時間割り 
午前中の時間割り
 監督:羽仁進

11アパートの鍵貸します      12ラブ・ジョーンズ      13彼女を見ればわかること
アパートの鍵貸します」    「ラブ・ジョーンズ」      「彼女を見ればわかること
 監督:ビリー・ワイルダー    監督:セオドア・ウィッチャー  監督:ロドリゴ・ガルシア
 アメリカ            アメリカ            アメリカ

14ヴィクとフロ、熊に会う      15フェスティバル・エクスプレ
ヴィクとフロ、熊に会う」   「フェスティバル・エクスプレス
 監督:ドゥニ・コテ       1970年のロックコンサート・ドキュメンタリー
 カナダ             イギリス

21金沢1      22金沢2
金沢に行ってきた。 (その1)  金沢に行ってきた。 (その2)

◆4年前の3月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  4年前の3月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。(2013年3月 Archive
1億万長者      2任侠外伝 玄海灘      3荒川アンダー ザ ブリッジ
「億万長者」          「任侠外伝 玄海灘」      「荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE」
 監督:市川崑          監督:唐十郎          監督:飯塚健     
 久我美子、山田五十鈴      李礼仙、根津甚八        林遣都、桐谷美玲
    
4絶唱      5河内カルメン      6白い息」/「ファの豆腐  
「絶唱」            「河内カルメン」        白い息 「ファの豆腐」,「冬の日」
 監督:滝沢英輔         監督:鈴木清順        監督:久万真路、黒崎博  
 浅丘ルリ子、小林旭       野川由美子          菊池亜希子、長澤まさみ

11Bubble/バブル      12道中の点検      13エイプリルの七面鳥
「Bubble/バブル」       「道中の点検」         「エイプリルの七面鳥」
監督:スティーヴン・ソダーバーグ 監督:アレクセイ・ゲルマン   監督:ピーター・ヘッジス
  
14GO!GO!L.A.      15アンジェラ      16ゲンスブールと女たち   
「GO!GO!L.A.」    「アンジェラ / Angela」     「ゲンスブールと女たち」
 監督:ミカ・カウリスマキ    監督:レベッカ・ミラー      監督:ジョアン・スファール
  
17セカンド・サークル      18ブルーバレンタイン  
「セカンド・サークル」      「ブルーバレンタイン」
 監督:アレクサンドル・ソクーロフ  監督:デレク・シアンフランス

◆6年前の3月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  6年前の3月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2011年3月 Archive

1洲崎パラダイス 赤信号      2ホテル・ハイビスカス
「洲崎パラダイス 赤信号」   「ホテル・ハイビスカス」
 監督:川島雄三         監督:中江裕司
 新珠三千代           蔵下穂波,余貴美子

3やさしい嘘       4ウェディング・ベルを鳴らせ!      5猫が行方不明
「やさしい嘘」         「ウェディング・ベルを鳴らせ!」 「猫が行方不明」
 監督:ジュリー・ベルトゥチェリ 監督:エミール・クストリッツァ  監督:セドリック・クラピッシュ
 フランス            セルビア             フランス

6西ドイツ      7ピロスマニ      8ドゥーニャとデイジー
「左利きの女」         「ピロスマニ」          「ドゥーニャとデイジー」
 監督:ペーター・ハントケ    監督:ゲオルギー・シェンゲラーヤ 監督:ダナ・ネクスタン
 西ドイツ            グルジア             オランダ

9僕の大事なコレクション      10エルミタージュ幻想      11ブンミおじさんの森
「僕の大事なコレクション」   「エルミタージュ幻想」      「ブンミおじさんの森」
 監督:リーブ・シュライバー   監督:アレクサンドル・ソクーロフ 監督:アピチャートポン・ウィーラセータクン
 アメリカロシアタイ

12Orzボーイズ!      13ゲート・トゥ・ヘヴン      14うつくしい人生
「Orzボーイズ!」      「ゲート・トゥ・ヘヴン」    「うつくしい人生」
 監督:ヤン・ヤーチェ      監督:ファイト・ヘルマー    監督:フランソワ・デュペイロン
 台湾              ドイツ             フランス

<さ行> の洋画  これまでに記事にした映画から。 2017.3.19 現在

  • Posted by: やまなか
  • 2017-03-27 Mon 06:00:00
  • 映画
 これまでに記事にした洋画から、<さ行> の映画を並べてみました。

 下記リストにあるタイトル名をクリックして、その映画記事をご覧ください。
 五十音順に並べています。
 
 <さ行>以外の洋画は、こちらからどうぞ。 (洋画の五十音順リストです)

 製作国別の全リストは、こちらから
   
サーカスインド監督:G・アラヴィンダン1978
ザーヤンデルードの夜イラン監督:モフセン・マフマルバフ1990
最愛の子中国監督:ピーター・チャン2014
最愛の夏台湾監督:チャン・ツォーチ1999
再会の食卓中国監督:ワン・チュアンアン2010
The Collectorマレーシア監督:ジェームス・リー2012
さすらいドイツ監督:ヴィム・ヴェンダース1975
さすらいイタリア監督:ミケランジェロ・アントニオーニ1957
さすらいの女神(ディーバ)たちフランス監督:マチュー・アマルリック2010
SUCK サックカナダ監督:ロブ・ステファニューク2009
殺人に関する短いフィルムポーランド監督:クシシュトフ・キェシロフスキ1987
殺人の追憶韓国監督:ポン・ジュノ2003
サニー 永遠の仲間たち韓国監督:カン・ヒョンチョル2011
THE NET 網に囚われた男韓国監督:キム・ギドク2016
ザ・フューチャードイツ監督:ミランダ・ジュライ2011
さよならSフランス監督:エリック・ゾンカ1998
さよなら、人類スウェーデン監督:ロイ・アンダーソン2014
サラ・ムーンのミシシッピー・ワンフランス監督:サラ・ムーン1991
懺悔 (ざんげ)グルジア (ジョージア)監督:テンギズ・アブラゼ 1984
サン・ジャックへの道フランス監督:コリーヌ・セロー 2005
サンタクロースの眼は青いフランス監督:ジャン・ユスターシュ1963
365日のシンプルライフフィンランド監督:ペトリ・ルーッカイネン2013
散歩する惑星スウェーデン監督:ロイ・アンダーソン2000
森浦(サンポ)への道韓国監督:イ・マニ1975
三文オペラドイツ監督:ゲオルク・ヴィルヘルム・パープスト1931
幸せのありかポーランド監督:マチェイ・ピェプシツァ2013
幸せのレシピ (マーサの幸せレシピに併載)アメリカ監督:スコット・ヒックス2007
ジェリーフィッシュイスラエル監督:エトガー・ケレット、シーラ・ゲフェン2007
シクロベトナム監督:トラン・アン・ユン1995
死刑台のエレベーターフランス監督:ルイ・マル1957
シチリア!シチリア!イタリア監督:ジュゼッペ・トルナトーレ2009
シテール島への船出ギリシャ監督:テオ・アンゲロプロス1984
死の教室ポーランド監督:アンジェイ・ワイダ1976
ジプシーのときユーゴスラビア(旧)監督:エミール・クストリッツァ1989
Jazz Seen/カメラが聴いたジャズドイツ監督:ジュリアン・ベネディクト2001
シャロウ・グレイブイギリス監督:ダニー・ボイル1994
ジャンク・メールノルウェー監督:ポール・シュネットアウネ1996
17歳のカルテアメリカ監督:ジェームズ・マンゴールド2000
自由はパラダイスロシア監督:セルゲイ・ボドロフ1989
100,000年後の安全デンマーク監督:マイケル・マドセン2009
祝祭韓国監督:イム・グォンテク1996
出発ベルギー監督:イエジー・スコリモフスキ1967
シュトロツェクの不思議な旅ドイツ監督:ヴェルナー・ヘルツォーク1977
ジュリー&ジュリアアメリカ監督:ノーラ・エフロン 2009
情事イタリア監督:ミケランジェロ・アントニオーニ1960
消失点タイ監督:ジャッカワーン・ニンタムロン2015
少女の髪どめイラン監督:マジッド・マジディ2001
情熱のピアニズムフランス監督:マイケル・ラドフォード2011
少年、機関車に乗るタジキスタン監督:バフティヤル・フドイナザーロフ1991
少年と砂漠のカフェイラン監督:アボルファズル・ジャリリ2001
小便小僧の恋物語ベルギー監督:フランク・ヴァン・パッセル1996
常緑樹韓国監督:シン・サンオク1961
ショーシャンクの空にアメリカ監督:フランク・ダラボン1994
白い光の闇スリランカ監督:ヴィムクティ・ジャヤスンダラ2015
二郎は鮨の夢を見るアメリカ監督:デビッド・ゲルブ2011
仁義フランス監督:ジャン=ピエール・メルヴィル1970
神水の中のナイフ中国監督:ワン・シュエボー2016
人生、ここにあり!イタリア監督:ジュリオ・マンフレドニア2008
人生スイッチアルゼンチン監督:ダミアン・ジフロン2014
人生タクシー (旧題:タクシー)イラン監督:ジャファル・パナヒ2015
新世界の夜明けマレーシア監督:リム・カーワイ2011
新装開店韓国監督:キム・ソンホン 1999
シンプル・シモンスウェーデン監督:アンドレアス・エーマン2010
スイート・スイート・ビレッジチェコスロバキア監督:イジー・メンツェル1985
酔生夢死台湾監督:チャン・ツォーチ2015
SWEET SIXTEENイギリス監督:ケン・ローチ2002
スウィート・スウィートバックアメリカ監督:メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ1971
スーパー!アメリカ監督:ジェームズ・ガン2010
スーパーフライアメリカ監督:ゴードン・パークス・ジュニア1972
スカイラブフランス監督:ジュリー・デルピー2011
スクリーミング・マッド・ジョージの BOY IN THE BOXアメリカ監督:スクリーミング・マッド・ジョージ2005
スタンリーのお弁当箱インド監督:アモール・グプテ2011
素敵な歌と舟はゆくフランス監督:オタール・イオセリアーニ 1999
ストラッターアメリカ監督:カート・ボス、アリソン・アンダース2012
ストレンジャー・ザン・パラダイスアメリカ監督:ジム・ジャームッシュ1984
スナッチイギリス監督:ガイ・リッチー2000
スライ・ストーンオランダ監督:ウィレム・アルケマ2015
スリフランス監督:ロベール・ブレッソン1960
世紀の光タイ監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン2006
聖者の午後ブラジル監督:フランシスコ・ガルシア2012
青春神話台湾監督:ツァイ・ミンリャン1992
精霊の島アイスランド監督:フレドリック・トール・フリドリクソン1996
世界中国監督:ジャ・ジャンクー2004
セカンド・サークルロシア監督:アレクサンドル・ソクーロフ1990
石炭、金中国監督:ワン・ビン2009
セッションアメリカ監督:デイミアン・チャゼル2014
セリーヌとジュリーは舟でゆくフランス監督:ジャック・リヴェット1974
ゼロシティロシア監督:カレン・シャフナザーロフ1990
潜水服は蝶の夢を見るフランス監督:ジュリアン・シュナーベル 2007
戦争のない20日間ロシア監督:アレクセイ・ゲルマン1976
セントラル・ステーションブラジル監督:ウォルター・サレス1998
ソウルガールズオーストラリア監督:ウェイン・ブレア2012
ソウル・キッチンドイツ監督:ファティ・アキン2009
ソウルメンアメリカ監督:マルコム・D・リー2008
そして、私たちは愛に帰るドイツ監督:ファティ・アキン 2007
その怪物韓国監督:ファン・イノ2014
ソフィアの夜明けブルガリア監督:カメン・カレフ2009
ソポトへの旅グルジア監督:ナナ・ジョルジャーゼ1980
素粒子ドイツ監督:オスカー・ロエラー2006

映画 「やくたたず」   監督:三宅唱

上

 いい映画です。
1-0_20170324165718a12.jpg どこにでもいるような男子高校生三人の、極々日常的な時間の流れが、カメラによって切り取られ、映画に映し出される。ストーリーというほどの物語性は無い。
 大筋の台本はあるんだろうが、たぶんセリフや演技は俳優に任せている。演技の巧さは求めてはいない、カメラの前で構えなく、極、自然に振る舞えることが大事であった。
 本作をつまらないと思うのは自由だが、映像そのものが、言外に何やら静かに語っているのが分かると、この映画、気に入ると思う。
 
 話の舞台は、雪降る札幌郊外のそのまた外れ。車は通るが人影は見当たらない、殺風景な雪景色。
 枯草茂る小さな丘陵を越えれば、海。モノクロ映像が、白い雪原と冷たい空気を強調する。

 防犯機器の取付施工をする小さな会社に伊丹という従業員がいて、彼を慕って高校3年生の三人が、バイト気分で仕事を手伝いしはじめる。「やくたたず」です。
 高校3年生とはいっても、まだまだ幼い、三人はじゃれ合うように日々を過ごす。
 彼らの先輩、伊丹が勤めるこの会社は、年配のオーナー社長と若い女性従業員一人だけ(この映画の紅一点)。 そして、小さな事務所小屋と機材倉庫に古ぼけた日産サニートラック1台。
 それに、伊丹の友人で刑事の、おとなしい次郎が登場人物に加わり、そして物語と言えることは、日産サニートラックが盗難にあうことぐらい。それも事件と言うほどもない事件。
 これで76分間、最後まで飽きずに観てしまえる。いい映画です。それとカメラワークがイカしてる。お試しあれ。
 

監督・脚本・撮影:三宅唱|2010年|76分|
出演:柴田貴哉|玉井英棋|山段智昭|櫛野剛一|足立智充|南利雄|片方一予|須田紗妃|


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映画 「いなべ」   監督:深田晃司

上
直子と智広のふたりが行く。

 38分の短編映画です。短編ならではの、さらりとした良さがある静かな映画です。
 起承転結の、起・承が穏やかに推移し、ラスト近くで一気に、転と結が用意されているお話です。

1-0_201703182041556fb.jpg 三重県いなべ市の郊外、田園地帯に、長男の智広(松田洋昌)と、歳の離れた高校生の妹、そして母親と祖母の一家4人が住んでいる。その妹は母親が再婚して生まれた娘らしい。
 そこへ智広の姉の直子(倉田あみ)がひょっこり、17年ぶりに帰って来た。幼児を抱えている。高齢出産は大変だったのよと言う。夫はあとから来るらしい。母親は仕事で夜にならないと帰って来ない。この話は、母親が帰宅するまでの数時間の物語。

 妹は直子を知らない。それほどに、直子はこれまで家に近づかなかったし、まったく音信不通だった。兄の智広から話を聞いた妹は、この人があの幻の姉なのねとつぶやく。
 直子は若い頃、家出をした。わけは、直子の英語の家庭教師をしていた男性だった。直子はこの年上の男を慕っていた。将来、この人と結婚してもいいと思うほどだった。ところが、この男は母親と一緒になった。そして直子は家を出た。その後、その男は世を去る。そんな17年を経て、直子が今日、帰って来たのだ。

 直子は智広を連れて、幼い頃を懐かしむように家の近所を歩く。そして直子は林に入って、昔、密かに土に埋めて隠したものを探し出す。それに付き合う、久しぶりの弟気分の智広。
 この姉弟がそんな散歩をするうちに夕暮れが近づく。五重塔のような展望台にふたりは登った。
 展望台からの見晴らしは素晴らしく、夕闇に浮かぶ街の灯りが遠くに綺麗に輝きだす頃。展望台に吹く風が、何か座りの悪いふたりの気持ちを揺らせて、ここよりも、どこか、ずっと向こうのどこかへ、ふたりの心を、ふっと奪い去って行くような、なぜかそんな心もとなさを智広は感じていた。

 直子は智広に、「会えて良かった」と言った。そののち、直子と智広はふたりして家へ帰るはずだったが、家に帰って来たのは智広ひとりだった。
 智広が玄関を開けると、母親が智広の帰りを待ちあぐねていた。母親は言った。「直子の夫だと言う男の人が来てるのよ...。」(あとは映画を観てね)

 滝のシーンはGoodだし、智広の妹がその友人と自転車に乗るシーンは、直子のこれまでを説明する為のシーンだが、自然で良い。だが、直子と智広が散歩するシーンが全体にやや冗長。広場で男4人がサッカーボールをけり合うシーンは、もうヒトヒネリしないとなんのこっちゃになってしまう。

下




監督・脚本:深田晃司|2013年|38分|
撮影 根岸憲一
出演:智広(松田洋昌)|直子(倉田あみ)|伊藤優衣|井上みなみ|望月皇希|康光岐|鈴木Q太郎|西田幸治|哲夫|桂三輝|ほんこん|

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1年前・3年前・5年前の3月、一夜一話。 (2016年3月・2014年3月・2012年3月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-03-17 Fri 06:00:00
  • 映画
1年前の3月に掲載した映画です。
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1牡蠣工場     2みんなわが子     3旅するパオジャンフー
「牡蠣工場」         「みんなわが子」       「旅するパオジャンフー」
 監督:想田和弘        監督:家城巳代治       監督:柳町光男
 ドキュメンタリー映画     中原ひとみ          台湾のドキュメンタリー   

4かぞくのくに     5おゆきさん    
「かぞくのくに」       「おゆきさん」 
 監督:ヤン・ヨンヒ      監督:鍛冶昇
 安藤サクラ、井浦新      和泉雅子、笠智衆   

6昔々、アナトリアで     7情事     8アイ ウォント ユー
「昔々、アナトリアで」     「情事」           「アイ ウォント ユー」
 監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ  監督:マイケル・ウィンターボトム
 トルコ映画           イタリア映画          イギリス映画


3年前の3月に掲載した映画です。
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1老人の恋 紙の力士     2日本の裸族     3FM893MHz.jpg
「老人の恋 紙の力士」    「日本の裸族」        「FM89.3MHz」
 監督:石川均         監督:奥秀太郎        監督:仰木豊

4「33号車応答なし」     5幻の光
「33号車応答なし」      「幻の光」
 監督:谷口千吉         監督:是枝裕和
 池部良、司葉子        江角マキコ、浅野忠信、内藤剛志

2013061119521223f_20150310154208005.jpg              20131112121758ff8_201503101543448ed.png
特集 「やはり、大人の映画ってある。」      特集 「静かな映画  邦画編」
 
10マルコヴィッチの穴     11キッチン・ストーリー     12エバースマイル、ニュージャージー
「マルコヴィッチの穴」    「キッチン・ストーリー」   「エバースマイル、ニュージャージー」
 監督:スパイク・ジョーンズ  監督:ベント・ハーメル    監督:カルロス・ソリン  
 アメリカ           ノルウェー          アルゼンチン

13「インポート、エクスポート」     14「コーヒーをめぐる冒険」     15パラダイス 神
「インポート、エクスポート」 「コーヒーをめぐる冒険」   「パラダイス 神」
 監督:ウルリッヒ・ザイドル  監督:ヤン・オーレ・ゲルスター  監督:ウルリッヒ・ザイドル
 オーストリア         ドイツ           「パラダイス3部作(愛/神/希望)」より

16「アンビリーバブル・トゥルース」       17パラダイス 愛、希望
「アンビリーバブル・トゥルース」 「パラダイス 愛、希望」
 監督:ハル・ハートリー      監督:ウルリッヒ・ザイドル 
 アメリカ            「パラダイス3部作(愛/神/希望)」より


5年前の3月に掲載した映画です。
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  5年前の3月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2012年3月 Archive
1ロビンソンの庭     2腑抜けども、悲しみの愛を見せろ2     3芝居道
ロビンソンの庭」    「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」「芝居道
 監督:山本政志      監督:吉田大八          監督:成瀬巳喜男

4ボクと空と麦畑     5さすらい     6女と女と井戸の中2
ボクと空と麦畑」      「さすらい」         「女と女と井戸の中
 監督:リン・ラムジー  監督:ミケランジェロ・アントニオーニ 監督:サマンサ・ラング
 イギリス           イタリア           オーストラリア

7旅芸人の記録     8ハッピー・ゴー・ラッキー     9ちいさな哲学者たち
旅芸人の記録」       「ハッピー・ゴー・ラッキー」 「ちいさな哲学者たち
 監督:テオ・アンゲロプロス  監督:マイク・リー   監督:ジャン=ピエール・ポッジ、ピエール・バルシェ
 ギリシャ           イギリス           フランス

10ヤンヤン 夏の想い出     11アメリカン・スプレンダー     12ローズ・イン・タイドランド
ヤンヤン 夏の想い出」   「アメリカン・スプレンダー」 「ローズ・イン・タイドランド
 監督:エドワード・ヤン  監督:シャリ・スプリンガー・バーマン 監督:テリー・ギリアム
 台湾             アメリカ           イギリス

13BIUTIFUL ビューティフル      14レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語     15昼間から呑む 
ビューティフル」「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」「昼間から呑む
 監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ 監督:ブラッド・シルバーリング 監督:ノ・ヨンソク
 スペイン           アメリカ            韓国

16ANOTHER DAY IN PARADISE2
アナザー・デイ・イン・パラダイス
 監督:ラリー・クラーク
 アメリカ


映画 「第三の男」  映画音楽に魅せられて  監督:キャロル・リード

上

 ご存じ、有名な英国サスペンスドラマ「第三の男」。舞台となるのは、1949年のオーストリアの都市ウィーン。

1-0_20170312161622d88.jpg 映画は観る者を焦らせます。話が進む中、事態は少しずつ見えては来るのですが、依然としてその先が謎に包まれたままの、モドカシイ前半。
 そして後半、その見えてきたはずの事態が、死んだはずのハリー(オーソン・ウェルズ)の出現によって、一気に崩れ去り、話が大きく展開する、その面白さが見どころです。
 かつ、注目のシーンは、ハリーを探す親友ホリー(ジョゼフ・コットン)の前に、闇の中から忽然と浮かび上がる、ハリーの何とも言えぬ不敵な表情。これがこの映画の要ですね。
 そして、ウィーンの街の下にある巨大な大下水渠のシーンは、観る者の心をとりこにして、物語後半の展開を加速させています。

 さて、アントン・カラス作曲・演奏のテーマ曲。いいですね。
 物悲しいようでダンサブルな曲です。

オリジナルタイトル:The Third Man
監督:キャロル・リード|イギリス|1949年|104分|
原作・脚色 グレアム・グリーン|撮影:ロバート・クラスカー|作曲・演奏:アントン・カラス|
出演:ホリー・マーチンス(ジョゼフ・コットン)|アンナ・シュミット(アリダ・ヴァリ)|“第三の男”ハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)|キャロウェイ少佐(トレヴァー・ハワード)|ペイン軍曹(バーナード・リー)|門衛(パウル・ヘルビガー)|クルツ男爵(エルンスト・ドイッチュ)|ポペスク(ジークフリート・ブロイアー )|ビンケル医師(エリッヒ・ポント)|クラビン(ウィルフリッド・ハイド=ホワイト)|

【 映画音楽に魅せられて 】
 これまでに取り上げた映画です。
 タイトルをクリックして過去記事をお読みください。

 「オズの魔法使」 「三文オペラ」 

 「死刑台のエレベーター」 「風の又三郎

 「リオ、アイラブユー」 「110番街交差点


2-0_201703121623582a4.png

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映画 「卵の番人」  ノルウェー映画  監督:ベント・ハーメル

上1

 とてもゆっくりしたテンポの話です。ほのぼのしていて、しかし、奥深い所に苦く鋭いトゲがある。

 ノルウェーの片田舎に、仲睦まじく住む、年老いた兄弟、ファーとモーのふたりがおりました。
1-0_201703101408215a8.png 人里離れた彼らの一軒家は、なだらかな丘を背にぽつんと建っています。近所に人家は見当たりません。雪が積もれば、辺りはは白一色の静寂の世界です。
 ただ、人里離れたとはいえ、地域の幹線道路が家の近くを通っていて、冬には除雪トラックが走りますし、疎らに住む住民たちは、このトラックをまるで乗り合いバスのように利用しています。

 ファーとモーは一年中、家から外出しません。車も持っていませんし町に出ようとも思いません。
 孤独な生活のようにみえますが、彼らは不自由とも思ってませんし不満もありません。
 ふたりの日々は簡素です。自分たちがつくる簡単な食事とコーヒー、石炭ストーブとラジオ、カード遊びとパイプとクロスワードパズル、それだけです。それで十分幸せと思っています。
 外部との接点は、電話、食料配達の男達、ハウスクリーニングの若い女性くらい。

 ある日、珍しく電話が鳴りました。それは兄のファー宛の電話でした。
 電話で連絡してきた事は、ファーがかつて、隣国スウェーデンにいた時に結ばれた女性が重病になったという知らせでした。そして、ついては息子のコンラードの世話をして欲しいということでした。
 ファーに子供がいたのです。このことは弟のモーも知っていたことなので、ふたりはコンラードを受け入れます。

 この時から、ファーとモーのふたりだけの生活リズムに、変化が見え始めるのでした。
 コンラードは車椅子の生活です。年は二十歳代でしょうか。一日中、押し黙っていて話しません。時折、クーとかカーとか鳥のような声を出すだけです。何か障害があるようにも見えます。食事はバナナミルクセーキしか受け付けません。世話は父親であるファーがやります。

 そんな日々が続くある日、モーは旅支度をし、納屋からバイクを静かに押して、密かに寝静まった家を抜け出しました。
 街道に出たところで運よく、除雪トラックが来て、モーはトラックの運転席に乗り込みます。
 除雪トラックは、夜明け前の、わずかに明るい一本道をスピードを上げて走り去って行きました。

 モーが家を出て行く様子を家からじっと見ている人影が見えました。それはコンラードでした。
 映画はコンラードをカッコウのヒナに例えています。カッコウは他種の鳥の巣に卵を産み付けますね。(托卵)
 産み付けられた鳥の親は、カッコウの卵と自分の卵と一緒に育てますが、孵化すると、カッコウのヒナは他のヒナを巣から蹴落とします。モーはコンラードによって追い出されたのです。
 ただし、モーは遅まきながら、自分の青春を始めたのかもしれません。
 それは兄の(スウェーデンでの)青春を目の当たりにして、触発されたのかもしれませんね。

下3オリジナルタイトル:Eggs
監督・脚本:ベント・ハーメル|ノルウェー|1995年|86分|
撮影 エリック・ポッペ|
出演:弟モー(スヴェレ・ハンセン)|兄ファー(ヒュルストルモーン)|ファーの息子コンラード(レイフ・アンドレ)|ほか
【 ベント・ハーメル監督の映画 】
これまでに一夜一話で取り上げた作品から。
タイトルをクリックして記事をお読みください。

キッチン・ストーリー」  「ホルテンさんのはじめての冒険


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映画 「GUMMO ガンモ」  監督:ハーモニー・コリン

上

  巨大な竜巻被害にあった地域に住む子供たちを、ドキュメンタリータッチで描く映画。刺激的です。
 場所はアメリカのオハイオ州にある小さな町。 
 なにしろ被害は甚大で、竜巻に巻き上げられた人間や家や地上にあるモノすべては、ものすごい速度で上空高く舞いあがり落下した。
1-0_20170304192143903.jpg 人々は、身体がちぎれた家族の遺体に直面し、家屋や車は壊され、犬は電柱の上で死んでいた。(映画の冒頭で示される)
 加えて竜巻で破壊されたのは、人の精神と善悪の感覚と向上心だった。徹底的に崩れた。
 まるで第三次世界大戦が起きたあとの、荒廃した世界を描くSF映画のような世界だ。
 ただし、竜巻被害の範囲はハリケーンのように広範囲ではなく局地的。竜巻が通過した所だけだ。よって、まわりの世間一般は、何の被害も無く、世の中は平常だ。それだけに、被災地域は妙に孤立している。(映画はここを舞台とする)

 さらに追い打ちをかけたのは、ここに住む住人の生活レベルがもともと低いことから、金銭的な立ち直りが出来ない事、また水道などライフラインの復旧も十分には進んでいないようだ。
 人々は壊れた家に住んでいる。家の中は、片づけをする意欲もなく、ゴミ屋敷のようになった家もある。大人は働くことをせず、怠惰な日々、子供は通学もせず毎日遊んでいる。被災者たちに明日は見えない。

 映画は、これらの状況(物語の設定)によって、健全な社会通念、つまり「良い子ちゃん」市民と言う束縛から、人々の精神が「もし」解放されたとしたら、人はどんな行動をとるのだろうか、それを子供達の行動を中心にして描いて見せている。
 社会通念的に言っちゃいけない事、やっちゃいけない事が、これでもかと出てくる。それがどんなことかは、観てください。

 これに加えて映画は、身体障害や精神障害の人も登場させている。つまり本作は、映画製作にあたっての、言っちゃいけない事、やっちゃいけない事を、気にしないで製作すると、どんな映画になるかに、敢えて挑戦しているとも言える。

 本作を観てすぐ思い浮かべたのは、アレクセイ・ゲルマン監督のロシア映画「神々のたそがれ」。本作と通底している。
 物語に身を任せる映画の対極にある映画です。

オリジナルタイトル:Gummo
監督・脚本:ハーモニー・コリン|アメリカ|1997年|89分|
撮影:ジャン・イヴ・エスコフィエ|
出演:ソロモン(ジェイコブ・レイノルズ)|タムラー(ニック・サットン)|バニーボーイ(ジェイコブ・シーウェル)|ドット(クロエ・セヴィニー)|ソロモンの母(リンダ・マンズ)|Helen(キャリサ・グラックスマン)|Darby(ダービー・ドグハーティー)|Cole(マックス・パーリッチ)|

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映画 「ブロンドの恋」   監督:ミロス・フォアマン

上0

 地味ですが、なかなかいい喜劇映画です。
 とは言え、ストーリーというほどのストーリーは無いですし、喜劇というほどの喜劇性もあまり無く、あっさりしたドラマです。
 でも、いいのです。映画全体からじんわりと、何とも言えぬ可笑しさが伝わってきます。監督の魔術でしょう。
1-0_201702282100569dc.jpg 中年兵士3人の、何ともモドカシイ、若い女性3人への「誘い」の駆け引きと、その女の子達のひとり、アンドゥラの恋の冒険という2話構成の話。アンドゥラは右のこの娘 。

 たくさんの人が集う広いダンスパーティ会場。ステージには楽団もいて華やか。 
 ただし会場にいる人々は、工場の女性従業員と軍隊の予備兵の、このふたつの団体だけ。
 実はこれ、軍の協力を得て、製靴工場が考え出した苦肉の作のダンスパーティーだったのです。

 田舎の小さな町にある、この製靴工場には2000人もの女性従業員が勤めている。多くは寮生活をしている。
 町は小さく店もなく、かつこの地に住む男性はほんの少し、だから女性従業員の日常は味気ない。
 工場側は、これでは従業員の元気も出ない、工場を辞めてプラハなどの都会へ行ってしまう、なんとかしなきゃと悩んでいた。

 そこで工場は軍と相談して、予備兵を一時この地に駐屯させて、町の男性人口を増やすことにしたわけ。
 予備兵は、おおかた中年で妻帯者、だから兵士と愛が芽生えて工場を辞めると言い出す女性従業員も少ないだろう。

2-0_20170228211056d5f.jpg さて、その夜、開催されたダンスパーティでは、多くの男女が楽しげに踊っている。工場側の作戦は大成功。
 しかし、女性従業員アンドゥラとその友人の3人は、3人とも、「中年男ばっかりジャン」と、むっつりしてテーブルにいた。

 一方、そこから離れたテーブルには、中年兵士3人が、アンドゥラ達に目星をつけている。(ここからのシーンが笑える面白い見どころ)
 兵士たちはまず、彼女たちのテーブルへワインのボトル1本をウェイターに届けさせ、そのあと、誰が彼女たちの所へ行き、突破口を開くかの相談をしている。そして、呑みが終われば近くの森へ誘おう。
 おじさん兵士3人は、基本、乗り気なのだが、ぎこちなく腰が引けていて話がまとまらない。帰ると言い出すのもいる。

 やっとひとりが彼女達の所へ行って話をつけ、おじさん達と女の子達との輪ができる。そして、パーティーが終わる頃、今度は女の子達が女子トイレへ行ってヒソヒソ相談。
 結局、おじさん達は待ちぼうけを食ったに終わる。彼女達は女子寮へ引き上げる。

3-0_2017022822010950a.jpg ただし、アンドゥラだけはホールの2階へ。(ここから第2話が始まる)
 3人そろってトイレへ相談しに行く途中、アンドゥラは楽団の若いピアノ弾きと出会ったのだ。彼女は、彼の誘いに乗って、彼が宿泊している部屋へ行く。
 数日経って、アンドゥラはスーツケースにいっぱい詰め込んで、ピアノ弾きが住むプラハへ旅立った。
 その夜、アンドゥラは彼の実家に到着したが、彼はいない。彼はプラハのどこかで、女の子とデート中。まさかアンドゥラが訪ねて来るとは彼はまったく予期していない。
 結局、アンドゥラは彼の両親に招かれ家に入るが、親はアンドゥラのことなど何も聞いていない。(ここからが第2の見どころ)
 この娘は何?、大きなカバンを抱えてと、彼女をいぶかる母親と、寛容的な態度の父親。そのうち、一人息子をめぐって親同士の言い争いになる。
 夜更け、口紅の跡を拭きながら彼が帰って来て、驚く。アンドゥラが自分のベッドに寝ている。そのベッドに潜り込もうとする彼を制するのは母親。こっちで寝なさいと、親子3人川の字になって朝となる。
 アンドゥラは寮へ帰り、相部屋の同僚たちに、プラハの恋の冒険を、創作交えてちょっと自慢げに話するのでした。
 

オリジナルタイトル:LASKY JEDNE PLAVOVLASKY
英語タイトル:THE LOVES OF A BLONDE
監督:ミロス・フォアマン|チェコスロヴァキア|1965年|88分|
脚本:ミロス・フォアマン、ヤロスラフ・パプーシェク、イヴァン・パッサー、ヴァツラフ・シャシェク|
撮影:ミロスラフ・オンドリチェク|
出演:アンドゥラ Andula(ハナ・ブレイショーヴァ)|Milda(ウラジミール・プショルト)|Vacovský(ウラジミール・メンシーク)|ほか

4-0【 ミロス・フォアマン監督の映画 】
一夜一話で、これまでに記事にした映画から2作です。
タイトル名をクリックして、お読みください。

 「カッコーの巣の上で

 「火事だよ!カワイ子ちゃん


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映画 「安珍と清姫」 若尾文子,市川雷蔵  監督:島耕二

上

 安珍・清姫伝説をもとにした、大人の日本昔話といった内容の映画。
 自由奔放なな姫、若尾文子(清姫)と、まじめ一徹な僧侶、市川雷蔵(安珍)、このふたりの魅力につきる映画です。
 1960年の映画ですが、今でも十分に鑑賞に堪えます。
 話はとても古く、平安時代から伝承され、紀州(和歌山県日高郡)道成寺という寺に伝わる話です。

1-0_20170226142424cf0.png おてんばで勝ち気な清姫が狩猟の途中、姫が射た矢が流れ矢となって安珍の腕に当たってしまいます。これがふたりの運命の出会いでありました。
 安珍と連れの僧は、奥州白河より熊野に参詣に来た旅の僧であり、修行中の身でした。
 だから信心一途の安珍は、僧の戒律を守るため、傷の手当をしようと近づく清姫を避けます。清姫を美しいと思うが故に、なおさら避けます。そして安珍は己の煩悩と戦うこととなります。

 かたや清姫は、自身の過失を詫びつつも、自分を避ける、無視しようとする安珍に腹が立ちます。そのうえ、清姫は里の荘官(庄司)の美しい娘、プライドを傷つけられた思い。だから清姫はなんとか、安珍の僧の仮面をはがして、安珍の気を無理にでも自分へ引き付けたい。
 実はそれは安珍への恋だったのですが、清姫は自分のうぬぼれの方が勝り、恋とは気付きませんでした。
 ある夜、安珍が傷を癒やすため、里のいで湯にひとり入っていると、そこへ清姫が現れ、一糸まとわず湯に入ってきます。何やら妖しい色気さえ漂う姫は、安珍を誘います。そうして勝ち気な清姫は、安珍の心が自分に向いていることを安珍に白状させ、あたかも勝ったがごとく高らかに笑うのでした。

 しかしそののち、清姫は安珍への愛に気付きます。清姫は、煩悩に苦しみながら里を去り道成寺へ向かう安珍を追います。
 道成寺への途中、安珍は滝に入っての修行(滝行)のため、仮小屋に滞在します。そこへ清姫が追い付きました。
 そしてふたりは、ついに結ばれます。しかし悲しいかな、このふたりの愛は何処まで行っても悲恋なのです。僧の戒律を破った安珍は、煩悩の苦しみに加えて、自戒の念に苛まれていきます。

 安珍は姫から逃げるように道成寺へひた走ります。そして、彼を追う清姫は、とうとう川に身を投げてしまうのでした。
 その夜、道成寺の境内に異変が起きます。雷鳴と嵐のなか、大蛇に化身した清姫が・・・。

 余計なことですが、仮小屋でのシーンは、なかなか色っぽいです。ご注目。
 本作を観て思い出すのが、2016年の映画「仁光の受難」。これ、安珍・清姫伝説を下敷きにしています。ですが清姫ではなく、村の女達や山女。やたらモテる修行僧の女難の話、喜劇です。
 本作 「安珍と清姫」と同じく、平安時代の話として、女狐の化身との愛の話、内田吐夢の「恋や恋なすな恋」は、大川橋蔵と瑳峨三智子の競演。これもファンタジー作品です。
 若尾文子つながりで言うと、「初春狸御殿」。これはミュージカル。本作 「安珍と清姫」と同じく、若尾文子と市川雷蔵の競演。  
 ちなみに、本木雅弘主演の修行僧の映画「ファンシイダンス」は、僧自ら禁を破りまくるお話でした。
 以上、文中の下線部をクリックして、当該4作の過去記事をお読みください。

英語タイトル:The Priest and the Beauty
監督:島耕二|1960年|85分|
脚本:小国英雄|撮影:小原譲治|
出演:安珍(市川雷蔵)|清姫(若尾文子)|清姫の父で里の荘官・清継(見明凡太朗)|清姫と結婚したい里の長者・友綱(片山明彦)|連れの僧・道覚(小堀阿吉雄)|桜姫(浦路洋子)|早苗(毛利郁子)|増全(荒木忍)|義円(南部彰三)|佐助(花布辰男)|渚(毛利菊枝)|ほか

下


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2年前・4年前・6年前の2月、一夜一話。 (2015年2月・2013年2月・2011年2月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-02-27 Mon 06:00:00
  • 映画
2年前の2月に掲載した映画です。
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1鬼火     2偽れる盛装     3花ちりぬ
鬼火」           「偽れる盛装」        「花ちりぬ」 いち押し
 監督:望月六郎        監督:吉村公三郎       監督:石田民三
 原田芳雄、哀川翔       京マチ子

4OPEN HOUSE (オープンハウス)     5やわらかい生活     
OPEN HOUSE」       「やわらかい生活」       
 監督:行定勲         監督:廣木隆一
 椎名英姫、南果歩       寺島しのぶ

11薄氷の殺人     12二重生活     13非情の罠
薄氷の殺人」        「二重生活」         「非情の罠
 監督:ディアオ・イーナン   監督:ロウ・イエ       監督:スタンリー・キューブリック
 中国             中国             アメリカ

14メトロマニラ 世界で最も危険な街     15キング・コング      201202 40
メトロマニラ        「キング・コング (1933年)」  2012年2月の記事です
  世界で最も危険な街」     監督:メリアン・C・クーパー、
 監督:ショーン・エリス    アーネスト・B・シューザック
 イギリス           アメリカ

4年前の2月に掲載した映画です。
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1神様のカルテ     2USB.jpg     3のど自慢
「神様のカルテ」      「USB」            「のど自慢」
 監督:深川栄洋       監督:奥秀太郎         監督:井筒和幸  
 櫻井翔、宮崎あおい                     室井滋 
   
4こまどり姉妹     5暁の合唱    6空の穴   
「こまどり姉妹がやって来る   「暁の合唱」        「空の穴」
    ヤァ!ヤァ!ヤァ!」   監督:枝川弘        監督:熊切和嘉 
 監督:片岡英子         香川京子 
   
7ゴジラ    
「ゴジラ」          
 監督:本多猪四郎 

10冬冬の夏休み     11別離     12アルジェの戦い
「冬冬の夏休み (トントン)」  「別離」           「アルジェの戦い」
 監督:ホウ・シャオシェン    監督:アスガー・ファルハディ 監督:ジロ・ポンテコルヴォ
 台湾映画            イラン映画          イタリア映画  

13翼よ!あれが巴里の灯だ     14ル・アーヴルの靴みがき    
「翼よ!あれが巴里の灯だ」    「ル・アーヴルの靴みがき」
 監督:ビリー・ワイルダー     監督:アキ・カウリスマキ フィンランド

6年前の2月に掲載した映画です。
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1天国の駅     2顔     3四万温泉旅館
天国の駅」         「」             四万温泉旅館 積善館(群馬県)
 監督:出目昌伸        監督:阪本順治              に行ってきた。
 吉永小百合          藤山直美

4ルアンの歌     5-0そして、私たちは愛に帰る     6牯嶺街少年殺人事件
ルアンの歌」        「そして、私たちは愛に帰る」 「牯嶺街少年殺人事件
 監督:ワン・シャオシュアイ  監督:ファティ・アキン    監督:エドワード・ヤン
 中国             ドイツ            台湾

7_20170224164548092.jpg     7-0ダック・シーズン     8クレールの刺繍
ソウル・キッチン」     「ダック・シーズン」      「クレールの刺繍
 監督:ファティ・アキン   監督:フェルナンド・エインビッケ 監督:エレオノール・フォーシェ
 ドイツ           メキシコ             フランス


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やまなか

Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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