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1年前・3年前・5年前の2月、一夜一話。(2017年2月・2015年2月・2013年2月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-02-15 Thu 06:00:00
  • 映画
1年前の2月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の2月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2017年2月 Archive>

写真
「変魚路」
監督:高嶺剛
平良進,北村三郎,大城美佐子
写真
「ディストラクション
      ・ベイビーズ」

監督:真利子哲也|柳楽優弥
写真
「パルコフィクション」
監督:矢口史靖、鈴木卓爾
田中要次,相馬剛三
写真
「どっこい生きてる」
監督:今井正
河原崎長十郎,河原崎しづ江

写真
「セッション」
監督:デイミアン・チャゼル
アメリカ
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「ガールフレンド・エクスペリエンス」
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
アメリカ
写真
「タクシードライバー」
監督:マーティン・スコセッシ
アメリカ

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今日はビッグバンドジャズだよ。
ボブ・フローレンスのビッグバンド

3年前の2月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  3年前の2月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2015年2月 Archive)

写真
「鬼火」
監督:望月六郎
原田芳雄,片岡礼子,哀川翔
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「偽れる盛装」
監督:吉村公三郎
京マチ子
写真
「花ちりぬ」
監督:石田民三
花井蘭子,三條利喜枝
写真
「OPEN HOUSE」
監督:行定勲
椎名英姫,南果歩
写真
「やわらかい生活」
監督:廣木隆一
寺島しのぶ,豊川悦司

写真
「薄氷の殺人」
監督:ディアオ・イーナン
中国
写真
「二重生活」
監督:ロウ・イエ
中国
写真
「非情の罠」
監督:スタンリー・キューブリック
アメリカ
写真
「メトロマニラ」
監督:ショーン・エリス
イギリス・フィリピン
写真
「キング・コング」(1933年)
監督:M・C・クーパー 、 A・B・シューザック
アメリカ

5年前の2月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  5年前の2月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2013年2月 Archive)

写真
「神様のカルテ」
監督:深川栄洋
櫻井翔、宮崎あおい
写真
「USB」
監督:奥秀太郎
渡辺一志,桃井かおり
写真
「のど自慢」
監督:井筒和幸
室井滋
写真
「こまどり姉妹がやって来る
    ヤァ!ヤァ!ヤァ!」

監督:片岡英子
写真
「暁の合唱」
監督:枝川弘
香川京子
写真
「空の穴」
監督:熊切和嘉
寺島進,菊地百合子
写真
「ゴジラ」
監督:本多猪四郎
河内桃子,志村喬,宝田明

写真
「冬冬の夏休み」
監督:ホウ・シャオシェン
台湾
写真
「別離」
監督:アスガー・ファルハディ
イラン
写真
「アルジェの戦い」
監督:ジロ・ポンテコルヴォ
イタリア
写真
「翼よ!あれが巴里の灯だ」
監督:ビリー・ワイルダー
アメリカ
写真
「ル・アーヴルの靴みがき」
監督:アキ・カウリスマキ
フィンランド

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映画「ふりむいた花嫁」 主演 : 倍賞千恵子, 淡島千景, 伴淳三郎  監督 : 番匠義彰

上2



 昭和36年(1961年)のカラー娯楽作品、喜劇です。
 映画が語るのは、江戸時代から続く老舗「隅田」という、どじょう料理店を営む一家の話です。
 しっかりした脚本・演出を味わいつつ、さりげなく巧い演技というものを知ってほしい。

1-1_20180212193513891.jpg コミカルな役回りは、伴淳三郎、桂小金治、千之赫子、大泉滉らが主に担い、ラブストーリーは倍賞千恵子と山本豊三、淡島千景と伴淳三郎が担います。

 よってこの映画、伴淳三郎が主役の作品と言っていい。
 伴淳は、憧れのスター俳優といった風な看板は無いがしかし、名脇役というジャンルには収まらない存在感ある巧い俳優だ。
 はしゃがず抑えた演技と、笑いを誘うちょっとした仕草のセンスに、あらためて注目したい。
 これにあわせてか、桂小金治も比較的抑えて演技しているところが好ましい。また千之赫子、大泉滉はともに、伴淳・小金治とは違う角度から笑いを誘う。
 淡島千景が色っぽいが、淡島に対してピチピチ20歳の倍賞千恵子が、この映画の売りなんだろうが、これら俳優に森繁久彌とフランキー堺が加わると、どこの何の映画か分からなくなってしまうな、などと詰まらぬ事を考えた。

 さて、お話です。
 老舗どじょう料理店「隅田」のあるじ・亀太郎(伴淳三郎)には、新一(小坂一也)、その妹の春江(倍賞千恵子)と二人の子はいるが、妻は亡くしている。
 店は有名店で、観光バスのコースにもなっている。由造(桂小金治)や光子(千之赫子)、ベテランのおふく(高橋とよ)といった店の者は毎日大忙しの大繁盛。
 春江も店を手伝い、父にかわって帳場も接客もこなしている。生まれた時から、どじょう屋の中で育った春江はこの店この商売が大好き。

 一方、長男・新一は家の商売にまったく関心がない。大学時代から演劇の道を目指し、卒業後は就職もせず民放テレビドラマのエキストラ(端役)をしている。
 だから、新一に店を継いでほしいと思う父と、長男との口論はいつものこと。中に入るのは春江だ。
 そしてある日、次期連続ドラマで、ついに新一に主役級の役がまわってきた。
 そんなことで父は、娘・春江に婿を迎えることを考え始めた。さて由緒あるどじょう屋に最適な婿とは・・。

 次に男と女の話。
 亀太郎が組合の会合に行くと言っていつも行く先は、実は蓮子(淡島千景)がマダムのバー。
 ここでは亀太郎はある会社の社長さんということになっていて、本当の社長さんで福原という男(三井弘次)と亀太郎とが、店に来てはマダムの取り合いになっている。

 父がそうなら娘の春江は、「隅田」に来た中島という近所に住む男(山本豊三)と親しくなって行く。がしかし、父親は以前から付き合いのある、若きどじょう研究家の南小路邦麿(大泉滉)を勧めるのであった。

 父娘がそうならば、調理場を任されている由造(桂小金治)は、店に雇われの光子(千之赫子)と前からいい仲。だが由造は、あるじ亀太郎から「この店はお前が頼り」と言われ、それを盗み聞きした光子は、あるじは由造と春江さんを一緒にさせようとしていると早合点し悶々とする次第。(亀太郎が調理場の頭から婿養子になったのを知ってのこと) 
 ところが由造も「可愛い春江さんと一緒になってこの店のあるじになれるのかも・・」と思う期待の気持ちも隠せない。
 というわけで、何やらそれぞれにひと悶着ありそうな。

1-2_201802121937276ab.jpg ここで話を混ぜっ返す役が、春江の恋人となった中島君。
 その日、中島は「隅田」の店の奥、春江の家の居間にいた。つまり春江さんと結婚します宣言をしに来たのだが、結果は散々なことになってしまう。
 亀太郎はどじょう研究家の男が念頭にあり、サラリーマンの中島なんて問題外、そのうえ(誰にも言えないが)一番頭に来たのは、なぜか、蓮子を狙うあの福原が社長の会社・福原商事に、中島が勤めていることであった。
 春江はとうとう家出する。兄の新一が家を飛び出て住んでいる下宿に、かくまってもらった。

 さらには、混ぜっ返された話をまとめに入ったのは、バーのマダム蓮子(淡島千景)でした。
 新一の演劇仲間にキリ子(芳村真理)という俳優の卵がいて、この子が偶然にも蓮子の姪だった。そんなことが切っ掛けで、蓮子は新一から、春江と中島の仲を裂こうとするのが、常連客の亀太郎だと知ったわけ。
 それからのその日、今度は蓮子が春江の家の居間にいる。
 亀太郎はドキリとした。あの時のあの事を思い出したのだ。
 それは蓮子の店で、亀太郎は蓮子から真面目な顔で「あなたがお客の中で一番信頼できる方、私のこれからのことを相談したい方」と聞いた忘れられぬ一言。だから亀太郎はドキリとしたのち、ニヤリとした。

 しかし、蓮子の話は春江と中島の結婚を認めなさいという申し出であった。さらには「私が母親役として式に出たい」とまで言われて、亀太郎はうんと言う以外に言うことはなかった。「こりゃ、蓮子が「隅田」の女将になるかも・・」

 式は無事済んだが、亀太郎の隣に座る蓮子、その仲睦まじい二人の様子に妬き通しの福原社長であった。
 それから、亀太郎と蓮子はご苦労様を言い、そのあと亀太郎は意を決して言った。「俺の嫁になってくれないか」
 「ごめんなさい。夫に死に別れて5年、亡くした夫が忘れられない女なんです」

 しょんぼり店に帰って来た亀太郎は由造(桂小金治)に「お冷だ」と言う。「水じゃない」「へい、かしこまりました、特級冷や」(終わり)

 あれっ、「隅田」の跡取りはどうなるんだ?って話は残されたままで終わります。老舗の家の結婚は難しいようですね。
 ちなみに聞いた話ですが、この「隅田」のモデルになったであろう浅草の名店のお嬢さんが、これまた江戸時代からの老舗和菓子屋に嫁いだとか。
 最後に1961年の映画をちょっと。(ひっくり返して見ても1961、という腕時計のTVコマーシャルがあった年)

 東京浅草を舞台にした話の「ふりむいた花嫁」の製作年、1961年(昭和36年)を軸に、日本を見渡してみると・・
 東京の郊外、私鉄沿線では「喜劇 駅前団地」で、とんだ騒動がありました。(監督:久松静児)
 もうひとつの郊外、新しく宅地開発された丘陵地では、社内結婚した若夫婦が大家の二階を間借りしています。「二階の他人」(監督:山田洋次)
 銀座四丁目交差点では、スリの女と若い男がすれ違っていました。「セクシー地帯」(監督:石井輝男)
 「隅田」がある浅草の夜の街の影には、身寄りのない少年もいるんです。「不良少年」(監督:羽仁進)
 横須賀、軍港の街じゃ、やくざの抗争が報じられています。「豚と軍艦」(監督:今村昌平)
 東京大阪間を走る特急列車の食堂車では、コックとウェイトレスとの恋が・・・。「特急にっぽん」(監督:川島雄三)
 その大阪駅の構内では詐欺を商売にする男たちに気を付けましょう。「猫と鰹節 ある詐話師の物語」(監督:堀川弘通)
 そして京都伏見では、老舗の造り酒屋の一家で、やはり、あれやこれやがありました。「小早川家の秋」(監督:小津安二郎)
 それぞれ映画のタイトル名をクリックして、記事をお読みください。
監督:番匠義彰|1961年|89分|
脚本:笠原良三|撮影:生方敏夫|
出演:伴淳三郎(三田亀太郎)|小坂一也(新一)|倍賞千恵子(春江)|三井弘次(福原康之助)|淡島千景(マダム蓮子)|山本豊三(中島和男)|大泉滉(南小路邦麿)|芳村真理(キリ子)|高橋とよ(女中頭おふく)|千之赫子(女中光子)|下村朱実(女中トミ子)|桂小金治(職人由造)|中村是好(鳶職寅吉)|ほか

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映画「強虫女と弱虫男」 主演:乙羽信子  監督:新藤兼人

1_20180209180846c34.jpg

 強い女が主人公の喜劇映画。
 女のバイタリティー(生活力)がスクリーンから溢れ出る迫力、力作です。

 時は昭和43年、映画の舞台となるのは京都祇園と、もうひとつは九州の筑豊。
 母フミ子(乙羽信子)と長女キミ子(山岸映子)は、ネグリジェ・キャバレー「平安母艦」のホステス。
 祇園の四条通から、(たぶん)「花見小路通上ル」あたりの夜の街で、母娘同じ店で働いている。

0 母フミ子と長女キミ子は、大勢いる店のホステス達を尻目に、客への積極的営業で店一番の成績。「はい、おビールいただきましょうネ」
 さらに母娘は、客たちの中から金づるになる「カモ」を探していた。
 母フミ子が見つけ出したのが西陣の織元のじいさん(若宮忠三郎)。店に内緒で小遣いをくれる。
 もう一人は長女キミ子についた客で、母フミ子は“本命のカモはこの男だ!”と言って策略を練って、娘がものにした男が権兵衛(観世栄夫)。権兵衛は「寿司食おう」といってキミ子を連れ出し、織元のじいさんより多額の小遣いをくれる。
 権兵衛は、京の街の外れに畑を持つ大地主(豪農)の一人息子。30歳代半ばの独身でバツ2。

 母フミ子には、長女キミ子の下に長男次女がいて、年上の夫・善造(殿山泰司)がいる。
 善造は筑豊の炭鉱の鉱夫で、これまで一家の生計を担ってきたが、炭鉱が閉鎖。その後は、年老いた善造の転職はままならず、一家5人は生活保護を受ける日々だった。
 善造一家らが住んでいた炭鉱の木造社宅は、閉山後、地元の代議士が買い上げ、この男が大家となる。
 善造ら家賃滞納の住人たちは、大家から嫌がらせを受けている。家の隣にわざと養鶏場を作り、鶏の騒音や悪臭で住人を追い出そうとする。
 善造の家では、生活保護の金で密かに買った白黒テレビや洗濯機があって、これについて大家はあれこれ言う。誰かの密告か。
 さらには、京都へ出稼ぎに行ったフミ子らの収入があるだろと、生活保護受給停止をちらつかせ善造を脅した。これに対し夫婦は形式上、離婚手続きをとって対抗する。
 それでも社宅住人達は立ち退かないので、大家は強硬手段に出た。

 さて、京都。権兵衛の屋敷。(歴史ある大屋敷)
 権兵衛の母(毛利菊枝)は権兵衛を叱っている。家の金を勝手に使って怒られている。
 しかもキャバレーの女・キミ子と結婚したいと言う権兵衛に、母は呆れてなすすべがない。
 最初の嫁は西陣のお嬢さんで家事ができなくて追い出され、二人目は姑に虐められて出て行ったらしい。そして親離れできない一人息子・権兵衛。

 一方、キミ子は、母フミ子の策略に従って、権兵衛に誘われるままにホテルで処女を与えていた。
 このことでキミ子は売春の罪で捕まった。(警察が知ったのは、権兵衛の母の指図で権兵衛の友人が動いた結果だった)
 キミ子もしたたかな女。(映画では言わないが、キミ子も家族を養う意気込みが凄い)
 権兵衛の母はフミ子を呼び出し直談判、10万円を差し出して、手を引いてくれと下手に出た。フミ子は金は受け取ったが、権兵衛の母が用意した証文にはサインしなかった。「私は字が書けません」と。

 さてさてキミ子に惚れ、どうしても結婚したい権兵衛は、フミ子キミ子が住む一間の貸間を訪ねる。
 だが母親フミ子はこの求婚の願い出を蹴った。
 蹴られて気持ちの行き場を失った権兵衛は、かっとなって思わず手元にあった果物ナイフでフミ子の腹を刺した。
 示談で済ませたい権兵衛の母であったが、フミ子はがんとして裁判を選んだ。そして勝つ。
 しかし、その後、家にやくざが押し入り、フミ子は殴られた。(この男が本作一番の強い男) 

 そののちフミ子は娘キミ子を連れて、筑豊の家に帰ってきた。
 帰ってみれば、夫・善造が大家の娘を妊娠させたという騒ぎ。(娘は飛び切り美人だが重度の知的障害がある)
 いや、善造だけじゃなく、社宅の男二人も交わったと言う。
 これをもって、大家は住人を追い出せると踏んでいた。
 だが実は濡れ衣、フミ子は大家を前にして、この一難をなんなくやり過ごす。(実は大家が3人を脅迫しての嘘の自白であった)

 それからまた日が過ぎて、フミ子と娘キミ子が列車に乗っている。
 駅弁を食べながら、「大阪にしようか、でもやっぱり京都よね」
 「あんた、権兵衛に惚れてたんじゃない?」
 ふたりの屈託ない笑い。(終)
 
 昭和40年代の「空気」を体現するネグリジェ・キャバレー「平安母艦」の店内シーンが圧巻。(経験ないが)
 くわえて、キャバレー店の海軍軍服姿の主任(戸浦六宏)が漫画チックさを添えている。
 総じて、新藤兼人作品のうちで好きな映画です。
 エネルギッシュないい映画なので、どこかの映画専門チャンネルで放映して欲しい。
監督・脚本:新藤兼人|1968年|107分|
撮影:黒田清巳
出演:フミ子(乙羽信子)|キミ子(山岸映子)|権兵衛(観世栄夫)|平安母艦の主任(戸浦六宏)|善造(殿山泰司)|フミ子の常連客(若宮忠三郎)|権兵衛の母親(毛利菊枝)|権兵衛の友人・川原(草野大悟)|炭鉱社宅住人・ステテコ(山村弘三)|炭鉱社宅住人・フンドシ(宮田勝)|権兵衛側の弁護士・熊谷(浜田寅彦)|フミ子の長男(中学生)の担任の先生・矢島教師(小川吉信)|キャバレーの歌手(佳川ヨコ)|大家の娘?竜(中村良子)|山野(武周鴨)|オミツ(川口敦子)|

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ドキュメンタリー映画「港町」
監督:想田和弘
イメージフォーラム 4月~
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ミステリ劇場へ、ようこそ。
石上三登志スクラップブック刊行記念
ラピュタ阿佐ヶ谷 2/18-4/21
上映映画のうち次の作品は記事にしています。
霧の旗」「事件記者
(題名をクリックしてお読みください)
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「LUCKY ラッキー」
監督:ジョン・キャロル・リンチ
新宿シネマカリテ,アップリンク 3/17~
    
    
    
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「女は二度決断する」
監督:ファティ・アキン 4/14~
ヒューマントラスト有楽町,武蔵野館
    
    
    
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ロシアン カルト2018
新宿K's cinema 3/3-16
上映映画のうち次の作品は記事にしています。
不思議惑星キン・ザザ
UFO少年アブドラジャン
フルスタリョフ、車を!
(題名をクリックしてお読みください)
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ブノワ・ジャコ特集
シネマテークvol.20
新文芸坐 2/16 2/23
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トーキョーノーザンライツ
フェスティバル2018

北欧映画の1週間
ユーロスペース 2/10-16
    
    
    
    
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「大いなる幻影」1937年
監督:ジャン・ルノワール
川崎市アートセンター 終了
    
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「苦い銭」2016年
監督:ワン・ビン
イメージjフォーラム 2/3~
本作品は記事にしています。こちらかお読みください。
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「メイド・イン・ホンコン 香港製造」1997年
監督:フルーツ・チャン
恵比寿ガーデンシネマほか 3/10~
本作品は記事にしています。こちらからお読みください。
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「欲望の翼」1990年
監督:ウォン・カーウァイ
文化村ル・シネマ 2月~

映画「ガッジョ・ディーロ」  監督:トニー・ガトリフ

上

 ルーマニアの辺境にあるロマ集落にたどり着いた一人のフランス人青年、ステファン(ロマン・デュリス)。
 ロマ語もルーマニア語も解さないステファンが、なぜここへ来たのか。

 ステファンの父親は世界を旅する男であった。ステファンは父親を慕っていたのだろう。父親が旅先で録音した、遺品のカセットテープをこれまで幾度も繰り返し聴いてきた。それは哀愁あるロマの女の歌声であった。
 ステファンはその歌声の向こうに、父親が抱いた旅路のロマンを夢想した。そして、いつしかステファンはロマ音楽の魅力に取り憑かれる。ステファンはテープレコーダーと幾本ものカセットテープを持ってルーマニアへ旅立った。

1-0_20180202124406cc2.png 映画のタイトル名「ガッジョ・ディーロ」とは、ロマ語で「愚かなよそ者」を意味する。
 地元のルーマニア人も近づかないロマ集落に、ある日突然、ステファンが現れる。集落は一斉に、にわとり泥棒だなどと、ざわめき始める。

2-0_20180202124549c25.jpg そんなロマ人のなかで、ステファンに好意を抱く老人がいた。イシドールだ。
 イシドールの一人息子が警察沙汰で遠くの刑務所へ連れ去られたその日に、ステファンが集落に現れた。イシドールはしばらく会えない息子への思いを、ステファンに投影することで気が安らぐのであった。
 そうしてイシドールはなにかとステファンの面倒をみてやった。ロマ語も教えた。

 もう一人、ステファンに好意を抱くロマが現れる。サビーナ(ローナ・ハートナー)だ。ローナ・ハートナーはルーマニアの女優、歌手、作曲家。(ウィキペディアによる)
 そのうち、ふたりに恋が芽生える。ステファンはイシドールやサビーナの助けで集落に受け入れられるようになる。
 そしてステファンは、ここへ来た目的だったロマ音楽の収録を始めた。

 映画は各シーンで、ロマの素晴らしい演奏をドキュメンタリー風に見せ、また人の心あたたかくも貧しい生活の様子を伝える。
 観客はいつしか、自身もこの集落に滞在するかのような気持ちになる。(そうなれば、本作が好きになるかもしれない)

 ラスト近くになって、映画はロマに対する差別を言う。
 刑期を終えてイシドールの息子が帰ってきた。父親はじめ集落の人々は彼の帰還を大いに喜んだが、息子は自分を警察に密告したルーマニア人を酒場で見つけ襲った。
 そののち、ロマの集落を多数のルーマニア人が襲撃し、あばら家のような家々を焼き払う。この時イシドールの息子は焼死した。

 ラストシーン。
 ステファンは車に乗り、集落をあとにした。だが何を思ったのか、荒野を走る一本道の途中で車を止めた。
 そしてステファンはそっとつぶやいた。「俺ってバカだな」
 車を降り立ったステファンは、おもむろに路肩に穴を掘り、録りためたカセットテープを次々に壊して埋めた。
 その壊す音で目を覚ました女が、後部座席からむっくりと起き上がった。サビーナであった。

 たぶんふたりは、ステファンの母が待つパリへ行くのだろう。
 ステファンは大人として目覚めたのだ。
 父親が抱いた旅路のロマンをなぞってロマの人々を慕う気持ちから、目の前にいるサビーナを一人の女として愛することへと。

 映画のなかで流れるロマ・ミュージックを楽しんでください。

 ※ご参考
 1991年にはブカレスト近郊のボランタン村でロマの家100軒が数百名の暴徒に襲われ、焼き討ちに遭う事件が起きている。
 伊藤千尋・著『「ジプシー」の幌馬車を追った』p.218、1999年発行(ウィキペディアによる)
オリジナルタイトル:Gadjo Dilo
監督・脚本・音楽:トニー・ガトリフ|フランス、ルーマニア|1997年|100分|
撮影:エリック・ギシャール|
出演:フランス人青年ステファン(ロマン・デュリス)|ロマの女性サビーナ(ローナ・ハートナー)|ロマの老人イシドール(イシドール・サーバン)|その他にイシドール・サーバンはじめ、多数のロマ人素人俳優が登場する。

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映画「スペースボール」 監督:メル・ブルックス

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1-0_20180131203116a7c.jpg 「スター・ウォーズ」のパロディ版です。
 とことん、おバカなSFコメディ。気分転換したい時にでもご覧ください。
 なにしろ徹底的に「スター・ウォーズ」をおちょくってます。さらにラスト近くで「エイリアン」も出てきます。

 ウィキペディアによると、パロディ版を作るにあたってジョージ・ルーカスが快諾したとのこと。だから、躊躇なく正面切って堂々と製作していて、それが本作をいい映画にしています。笑えます。

 話は、スペースボール星人が自身の星の大気を使い果たし、ドルイデア星から大気を奪おうとする。
 スペースボール星のスクルーブ大統領(メル・ブルックス監督)と、チビのダーク・ヘルメット(リック・モラニス)は、ドルイデア星の王女・ヴェスパ姫を拉致して、ヴェスパ姫の父親・ローランド王を脅し、大気を覆い囲むバリアを解除する「暗証番号」を聞き出そうとする。
2-0_20180131203252b79.jpg ローランド王から、100万宇宙ドルの賞金を出すから姫を取り返してくれと頼まれたローン・スターとバーフは、スペースボール星人と戦うのである。
 さらには、聖者ヨーグルト(メル・ブルックス監督が二役)は、ローン・スターに力シュワルツの力(フォース)を授ける。そしてローン・スターは、ダーク・ヘルメットとライトセイバーもどきで一戦を交える。
 さてさて、このあとは、観てのお楽しみ。
オリジナルタイトル:Spaceballs
監督:メル・ブルックス|アメリカ|1987年|96分|
脚本:メル・ブルックス、 トーマス・ミーハン 、ロニー・グラハム|
撮影:ニック・マクリーン|
出演:イーグル5号の船長ローン・スター(ビル・プルマン)|ローン・スターとタグを組む乗組員、人間と犬のミックスのバーフ(ジョン・キャンディ)|ドルイデア星のヴェスパ姫(ダフネ・ズニーガ)|スペースボール星のスクルーブ大統領/聖者ヨーグルト(メル・ブルックス)|ダーク・ヘルメット(リック・モラニス)|ヴェスパ姫の父親・ローランド王(ディック・バン・パテン)|ヴェスパ姫の結婚相手・アクビ王子(ジム・J・ブロック)|ヴェスパ姫の召使ロボットのドット(ロレーン・ヤーネル)|

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  • 2018-01-31 Wed 06:00:00
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6THCD5002.jpg
「非行少女ヨーコ」
監督:降旗康男
緑魔子,谷隼人,石橋蓮司
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「満員電車」
監督:市川崑
川口浩,笠智衆,川崎敬三
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「駆込み女と駆出し男」
監督:原田眞人
大泉洋,戸田恵梨香,満島ひかり
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池脇千鶴の出演映画
これまでに記事にした中から
池脇出演の映画を拾ってみた。

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「預言者」
監督:ジャック・オーディアール
フランス
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「王朝の陰謀 判事ディーと
人体発火怪奇事件」

香港
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「ジプシーのとき」
監督:エミール・クストリッツァ
旧・ユーゴスラビア
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「12モンキーズ」
監督:テリー・ギリアム
アメリカ
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「トロピカル・マラディ」
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
タイ
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日本三名泉のひとつの
草津温泉へ行ってきた。

4年前の1月に掲載した映画です。
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「女と三悪人」
監督:井上梅次
山本富士子、市川雷蔵
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「東京ゴッドファーザーズ」
監督:今敏
アニメ作品
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「百万円と苦虫女」
監督:タナダユキ
蒼井優、森山未來
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「HYSTERIC(ヒステリック)」
監督:瀬々敬久
小島聖、千原浩史
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「透明人間」
監督:小田基義
特技監督:円谷英二
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「ゴムデッポウ」
監督:伊丹一三(十三)
市村明、伊丹一三
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「潮騒」
監督:谷口千吉
青山京子
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「実話の映画 邦画編」
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「愛・アマチュア」
監督:ハル・ハートリー
アメリカ
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「プラットホーム」
監督:ジャ・ジャンクー
香港
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「コード・アンノウン」
監督:ミヒャエル・ハネケ
フランス
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「カジノ」
監督:マーティン・スコセッシ
アメリカ
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「ソウルメン」
監督:マルコム・D・リー
アメリカ
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「Uターン」
監督:オリヴァー・ストーン
アメリカ

6年前の1月に掲載した映画です。
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「四季・ユートピアノ」
監督:佐々木昭一郎
中尾幸世
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「初春狸御殿」
監督:木村恵吾
若尾文子、市川雷蔵
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「霧の旗」
監督:山田洋次
倍賞千恵子
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「歌女おぼえ書」
監督:清水宏
水谷八重子、藤野秀夫
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「ジョゼと虎と魚たち」
監督:犬童一心
妻夫木聡、池脇千鶴
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「萌の朱雀」
監督:河瀬直美
國村隼、神村泰代

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「ベルリン・天使の詩」
監督:ヴィム・ヴェンダース
西ドイツ
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「ブラック・ムーン」
監督:ルイ・マル
フランス
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「緑の光線」
監督:エリック・ロメール
フランス
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「バタフライ・キス」
監督:マイケル・ウィンターボトム
イギリス
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「ロゼッタ」
監督:ダルデンヌ兄弟
ベルギー
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「家族の庭」
監督:マイク・リー
イギリス
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「ストレンジャー・ザン・パラダイス」
監督:ジム・ジャームッシュ
アメリカ
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「散歩する惑星」
監督:ロイ・アンダーソン
スウェーデン
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「都会のアリス」
監督:ヴィム・ヴェンダース
ドイツ
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「ソフィアの夜明け」
監督:カメン・カレフ
ブルガリア


映画「歌行燈」(1943年)  監督:成瀬巳喜男

1_20180129125858dd6.jpg

 話は明治の30年頃。
1-0_201801291259301d7.png 将来を期待されていた観世流の能楽師、恩地喜多八(花柳章太郎)がある事でしくじり、父親で家元の恩地源三郎に「二度と謡を口にするな」と言われ、勘当(破門)される。

 その後、喜多八はあてもなく東京を離れ、地方の盛り場で三味線を弾き、当時はやりの博多節を、客の求めに応じて歌う「流し」稼業に落ちていった。(博多節とは花柳界のお座敷唄。喜多八の様な稼業を博多節の「門付け」と言う。街を流し歩き、待合茶屋や呑み屋の前に立って唄い、客や芸者からお金を頂く商売)

2-0_20180129130102072.png 喜多八のしくじりとは、伊勢に住み名古屋辺りじゃ著名な謡曲の師匠、宗山という盲目老人を自殺に追いやったことであった。
 事の発端は、喜多八はじめ家元総出の名古屋公演の折り、ある客が喜多八の芸は未熟だと批判し、ついては「宗山先生に教えを請え」と言われたことから始まった。

 さて、無事に名古屋公演を終えた家元・恩地源三郎と、喜多八の叔父・辺見雪叟は、喜多八を伴い、骨休みにと前から計画していた伊勢に逗留する。これは喜多八にとっては好都合であった。
 宿に着いてのその夜、喜多八は宿をそっと抜け、宗山の家を探し出し、その家に上がり込んだ。

 俺は観世流家元の倅、恩地喜多八だ、田舎者の宗山とやらに、観世流の芸の高さを思い知らせよう。
 一方、盲目の宗山は突然の客人・喜多八を、駆け出しの能楽師と思い、自信たっぷりに謡を披露し始める。
 喜多八は鼓を打つかわりに、その謡に合わせて腿を叩く。そして徐々に、宗山の拍子を先導し、謡の息の間合いを縮めていく。 
 追い詰められて宗山は、ついに息が切れ畳に打っ伏した。(このシーンはお侍で言えば道場破りだ)
 宗山は喜多八に頭を下げ教えを請うとしたが、喜多八は意気揚々とその場を去った。振り返れば若気の至りであった。

 翌早朝、宿に新聞記者が押し寄せていた。宗山の自殺だ。
 家元・恩地源三郎は、記者たちの前で倅の喜多八の非を謝罪し、その場で即座に喜多八を破門にした。

 こうして博多節の門付けとなった喜多八は、三重県辺りで毎日をうつろに漫然と過ごしていた。
 そんなある日、喜多八は同業の門付け芸人・次郎蔵と出会い意気投合する。
 そして奇遇にも、この次郎蔵を介して喜多八は、宗山の娘・お袖(山田五十鈴)を知ることになる。

 父を亡くしたお袖は、親戚に家を追い出されて芸者になっていた。だが、不幸にもお袖に音楽の才が無い。三味も弾けぬ芸者は芸者と言えぬ。身を売るしかない。
 これを不憫に思う喜多八はお袖に舞を教えた。お袖は喜び懸命に習った。それは喜多八の思う罪滅ぼしでもあった。そしていつしか、ふたりに恋が芽生え始める。

 さて、家元・恩地源三郎は、一門に喜多八に優る謡の担い手が育たず悶々としていたが、それでも名古屋興行を決行した。
 そののち、源三郎は弟の辺見雪叟と再び、伊勢の宿にいた。二人はあらためて時の巡りを感じ、その思いを打ち払うべく、芸者でも呼ぼうか、となった。

 街の芸者たちは他の大きなお座敷に呼ばれていたのだろう。芸者置屋にただ一人残ったお袖が源三郎の座敷に呼ばれる。
 そこで、芸の無いお袖は、おずおずと源三郎に舞をみせた。
 さすが家元たちである。その舞の動作に観世流を直観する。これはまぎれもなく喜多八が教えたに違いない!
 そこに、この様子を庭の隅から見ていた喜多八が登場し、お袖は宗山の娘であること、そしてお袖を救い罪滅ぼししたことを話す。
 これを聞いた源三郎は破門勘当を許し、喜多八お袖はじめ叔父も喜び涙ぐむのであった。めでたしめでたし。

 原作者は泉鏡花。
 泉鏡花のあの、装飾音符連射の、艶ある幻想的表現、あれを映画にするのはとても難題。
 そして山田五十鈴の演技だが、1935年溝口監督「マリアのお雪」に、当時18歳で主演した山田五十鈴のあの素晴らしい演技とは、比べようがない出来。(「マリアのお雪」の記事はこちらから、どうぞ)
 別な見方をすれば、本作製作は昭和18年、戦争のさ中によくこんな映画が作れたものだと思う。戦意高揚の影響はフィルム上、「一億で背負へ、誉の家と人」というスローガンと下記の写真だけだ。(東宝のマークの下に東南アジアの地図)

 ちなみに、喜多八が歌う博多節が実にいい。(街の人々がそれを惚れ惚れと聴くシーンがある)
 最後にどうでもいいことだが、喜多八が東京から姿を消したあと、父親が言うセリフ。「たぶん、京都大阪か、あるいは伊勢近江あたりにいるんだろう」の、伊勢近江が気になった。特に近江だ。明治の頃、近江は今よりずっと栄えていたんだと思った次第。
監督:成瀬巳喜男|1943年|93分|
原作:泉鏡花 『歌行燈』|脚本:久保田万太郎 |撮影:中井朝一|
出演:恩地喜多八(花柳章太郎)|お袖(山田五十鈴)|喜多八の父・恩地源三郎(大矢市次郎)|喜多八の叔父・辺見雪叟(伊志井寛)|お袖の父・宗山(村田正雄)|門付け芸人の次郎蔵(柳永二郎)|ほか

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映画「断絶」(1971年) 監督:モンテ・ヘルマン

上3

1-0_20180124161343139.jpg
 The Driver(ジェームズ・テイラー)とThe Mechanic(デニス・ウィルソン)、この二人の男がアメリカの各州を放浪するアメリカン・ニューシネマ。
 オリジナルタイトルは「Two-Lane Blacktop」(アスファルト舗装道路)。

 彼ら二人が乗る車は、レース仕様に改造した1955年型シボレー。モンスターなエンジンを積んでいる。兎に角、速い!
 改造車マニアやスピード狂がどの州にもいて、直線コースでスピードを競うドラッグレースが各地で日常的に行われている。
 The DriverとThe Mechanicの二人は、そんなドラッグレースを渡り歩き、レースに勝って賭け金を得ては又、次のレースを求めて各地を巡るのだ。
 二人はレースに対しとてもストイックで、その生きざまはアウトサイダー。

 この話に華を添えるがThe Girl(ローリー・バード)という家出娘。ヒッチハイクで気の向くままに放浪している。
 ストーリーは、The Girlが1955年型シボレーに拾われて進んでいく。

2-0_20180124162908edf.jpg さらにはGM製マッスルカー、ポンティアック・GTOの新車に乗る中年男、G.T.O(ウォーレン・オーツ)が登場する。
 G.T.Oは何やら孤独を背負う中年。ヒッチハイクの人を乗せては、を繰り返しながら、行く当てもなくこいつも放浪している変人。
 The Driver、The Mechanic、The Girlの若いの3人が無口なのに対して、このおっさんはヒッチハイカーにその都度、有ること無いこと口から出まかせ、よくしゃべる。

 映画は、1955年型シボレー組とポンティアック・GTOの、一般道長距離レースを軸にゆっくり展開するが、話に起承転結はない。カーアクションを求める向きは肩透かしを食らう。(ただし、ラストシーンは意味深長だ)

 おそらく映画は、語られる話(=近景)の向こうにある、1971年のアメリカを感じ取ってくれと言っている。
 つまり、映画で表現される様々な中に、作者が思う1971年のアメリカが比喩的に表現されている。それをくみ取って観てみましょう。

 ちなみに、The Driver役のジェームズ・テイラー、The Mechanic役のデニス・ウィルソンは、ともに著名なミュージシャン。
 ついでに言うと、漫画家、大友克洋の作品「ハイウェイスター」は、この「断絶」にインスパイアされたと思う。1955年型シボレーは、1950年代のトヨペット・クラウンになっている。
オリジナルタイトル:Two-Lane Blacktop|
監督:モンテ・ヘルマン|アメリカ|1971年|102分|
原作:ウィル・コリー|脚本:ルディ・ワーリッツァー、ウィル・コリー|
撮影:ジャック・デールソン|
出演:The Driver:ジェームズ・テイラー|G.T.O:ウォーレン・オーツ|The Girl:ローリー・バード|The Mechanic:デニス・ウィルソン|

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映画「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」(2016年) 主演:神木隆之介、長瀬智也  監督:宮藤官九郎

上

 奇想天外、波乱万丈なドタバタ喜劇でありながらも悲劇、かつ純情恋愛物語。
 そして、ロックバンドのお話でもあり、さらには輪廻転生、これがストーリーの要となります。
 125分、一気にみせます。

1-0_20180118102841587.jpg 高校生の大助(神木隆之介)の乗る修学旅行の観光バスが突然、断崖絶壁から真っ逆さまに転落。
 気が付きゃ、大助は地獄にいた。どうして、俺が地獄なんだ。それより、俺、死んだの?
 なぜに地獄なのか、それはあまりにも不条理、ほんに些細な罪とは言えぬ罪だった。
 バスに乗っていたほかのクラスメイトは、ここにいない。皆は天国なのか・・。俺だけかよ!

 そんな大助の前に、鬼のキラーK(長瀬智也)が現れる。
 キラーKは地獄のロックバンドのリーダーでギター&ボーカルであった。
 (バンドメンバーは、ドラムのCOZY(桐谷健太)、ベースの邪子(清野菜名))

 お話は、このキラーKと大助を軸に、地獄絵図の世界と生前の世界とを交互に描いていく。
 二つの世界を結ぶのは、大助の輪廻転生。大助はさまざまな動物となって何度も現世に現れる。そして現世で見たことを地獄以外には行けない鬼のキラーKに話す。
 (現世に比べて地獄の時間の歩みは遅く、地獄のちょっとした時間が現世では1年2年であったりする。結果、現世の未来へのタイムマシンの様相を呈する)

2-0_20180118103018cc6.jpg この舞台仕掛けの中、大助はあこがれの同級生ひろ美(森川葵)のその後を知り、またキラーKの彼女なおみ(尾野真千子)のその後も知ることとなる。それぞれの恋愛に共通するは純情恋愛物語。

 さて地獄では、ド派手なロックバンドの決戦が繰り広げられる。
 なぜか地獄にいる、大助の同級生・じゅんこ(皆川猿時)率いる地獄のガールズバンドは強敵であった。

 しかし、そんなことより、大助あこがれのひろ美ちゃん、キラーKのなおみちゃんのことが気にかかかるわけでありますが、映画はそれをちゃんと語ります。
 さらには、ついに大助は天国に行けたのですが・・・。(この天国の様子が可笑しいです。仏(荒川良々)、神(瑛蓮))

 兎に角、ひっちゃかめっちゃかなストーリーなのですが、宮沢りえ(20年後のひろ美)、烏丸せつこ(牛頭)、田口トモロヲ(馬頭)、みうらじゅんも出演しています。
 また、憂歌団の木村充輝(小鬼)や、ギタリストのChar(鬼)や、シシド・カフカ(地獄のガールズバンド・ドラマー)らも出ています。

 サウンドについて言えば、ハードロックな演奏が大半だが、キラーKがバンドを従えて大助に対して歌うファンキーな曲がいいし、大助の同級生で転落事故の生存者であったが40歳代になって不倫で地獄へ落ちた松浦(古舘寛治)が一人でキーボードを弾くシーンでのファンキーな演奏がいい。

監督・脚本:宮藤官九郎|2016年|125分|
撮影:相馬大輔|
下出演:関大助(神木隆之介)|キラーK、生前は近藤善和(長瀬智也)|近藤善和の彼女・なおみ、あだ名は死神(尾野真千子)|大助が想いを寄せる同級生・手塚ひろ美(森川葵)|COZY(桐谷健太)|邪子(清野菜名)|大助の同級生・じゅんこ(皆川猿時)|大助の同級生で生存者であったが不倫で地獄へ落ちた松浦(古舘寛治)キラーKからウェストバックと呼ばれる|閻魔大王のえんま校長(古田新太)|20年後のひろ美(宮沢りえ)|地獄のガールズバンド・ドラマー(シシド・カフカ)|地獄のガールズバンド・ベーシスト(清)|大助の母親(坂井真紀)|仏(荒川良々)|神(瑛蓮)|MOJA・MJ(みうらじゅん)|鬼ギタリスト(Char)|ジゴロック挑戦者(野村義男)|ジゴロック挑戦者(ゴンゾー)|地獄の軽音楽部(福田哲丸)|地獄の軽音楽部(一ノ瀬雄太)|地獄の軽音楽部(藤原一真)|地獄の軽音楽部(柳田将司)|歌うたいの小鬼(木村充輝)|鬼警備員(関本大介)|緑鬼(ジャスティス岩倉)|牛頭(烏丸せつこ)|馬頭(田口トモロヲ)|鬼野(片桐仁)|

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1年前・3年前・5年前の1月、一夜一話。(2017年1月・2015年1月・2013年1月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-01-16 Tue 06:00:00
  • 映画
1年前の1月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の1月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2017年1月 Archive>

写真
「幕末太陽傳」
監督:川島雄三
フランキー堺,左幸子,南田洋子
写真
「さらば愛しき大地」
監督:柳町光男
根津甚八、秋吉久美子
写真
「さくらん」
監督:蜷川実花
土屋アンナ、椎名桔平
写真
<さ行> の邦画
これまでに記事にした映画から
2017.1.5 現在
写真
「歌うつぐみがおりました」
監督:オタール・イオセリアーニ
ジョージア(旧名グルジア)
写真
「天使の涙」
監督:ウォン・カーウァイ
香港
写真
「パリ、テキサス」
監督:ヴィム・ヴェンダース
西ドイツ

写真
“今日はサンバの詩人だよ”
カルトーラ
CD紹介記事
写真
“ ひとつに括れない国、日本 ”
最近、読んだ本。
写真
“アメリカを、ちゃんと
知ろうとは思わなかった”

最近読んだ本。


3年前の1月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  3年前の1月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2015年1月 Archive)

写真
「鮫肌男と桃尻女」
監督:石井克人
浅野忠信、小日向しえ
写真
「おそいひと」
監督:柴田剛
住田雅清、とりいまり
写真
「病院へ行こう」
監督:滝田洋二郎
薬師丸ひろ子、真田広之
写真
「イロイロ ぬくもりの記憶」
監督:アンソニー・チェン
シンガポール
写真
「バンディッツ」
監督:カーチャ・V・ガルニエル
ドイツ
写真
「ミュージアム・ヴィジター」
監督:K・ロプシャンスキー
ソ連
写真
「パッツァーニ」
監督:ディナーラ・アサーノワ
ソ連
写真
「妻の愛人に会う」
監督:キム・テシク
韓国
写真
「孤独な声」
監督:A・ソクーロフ
ソ連
写真
「スーパー!」
監督:ジェームズ・ガン
アメリカ
写真
「ナショナル・ギャラリー
英国の至宝」

フランス
写真
「幸せのありか」
監督:マチェイ・ピェプシツァ
ポーランド
写真
「スクリーミング・マッド・
ジョージの BOY IN THE BOX」

アメリカ


5年前の1月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  5年前の1月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2013年1月 Archive)

写真
「恋や恋なすな恋 」
監督:内田吐夢
大川橋蔵、瑳峨三智子
写真
「ガラスの中の少女」
監督:若杉光夫
吉永小百合、浜田光夫
写真
「十九歳の地図」
監督:柳町光男
沖山秀子、白川和子
写真
「19 (ナインティーン)」
監督:渡辺一志
渡辺一志、川岡大次郎
写真
「毎日かあさん」
監督:小林聖太郎
小泉今日子、永瀬正敏
写真
「いつかギラギラする日」
監督:深作欣二
荻野目慶子、萩原健一
写真
「縮図」
監督:新藤兼人
乙羽信子、山田五十鈴

写真
「子猫をお願い」
監督:チョン・ジェウン
韓国
写真
「素粒子」
監督:オスカー・ロエラー
ドイツ
写真
「ふたりの人魚」
監督:ロウ・イエ
中国
写真
「パリ、恋人たちの2日間」
監督:ジュリー・デルピー
フランス
写真
「ジャンク・メール」
監督:ポール・シュネットアウネ
ノルウェー
写真
「桃さんのしあわせ」
監督:アン・ホイ
中国
写真
「殺人に関する短いフィルム」
監督:K・キェシロフスキ
ポーランド
写真
「風櫃の少年」
監督:ホウ・シャオシェン
台湾
写真
「ナイン・シガレッツ」
監督:ウーゴ・ロドリゲス
メキシコ


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映画「国際市場で逢いましょう」(2014年) 監督:ユン・ジェギュン

上1
上2
















 朝鮮半島に住む人々の親子親戚の強い絆と、生き抜くエネルギーを描く、結末はハッピーエンドなドラマ。
 コミカルなシーンもたくさんある娯楽映画ですが同時に、朝鮮民族が背負った苦難の歴史を通史として見せてくれます。

01-_20180112134526771.jpg 話は、南北の軍事境界線で半島が分断されることになる朝鮮戦争(1950-53)で、北側に住んでいた親子6人の一家が住む場所を追われ、無数の難民の波に飲まれるところから始まる。
 世界を二分する冷戦が朝鮮半島におよぼしたこの戦争は、たまたま北や南に住む庶民にとっては、外国が絡む、降ってわいたような内戦だったのかもしれません。

 とにかく、米軍の軍艦(難民引き揚げ救助船)に、間際で乗船できなかった父親と末の妹とに生き別れとなってしまった母親と子供3人は、釜山に住む父方の叔母の家に落ち着いた。(ここが国際市場と呼ばれる商店街)
02-.png そのころ、釜山の街は米軍兵士がたくさんいて、ちょうど日本の戦後直後の進駐軍によるギブミーチョコレートの様相そのものであった。そして、北から避難した人々は釜山の人々から「アカ」と呼ばれ始める。

 主人公となる、一家の幼い長男・ドクス(ファン・ジョンミン)は、生き別れとなる間際に、父親から「私にかわってお前が家長になるんだ。家長はどんな時でも自分よりも家族のことが優先だ」と、家族の団結と幸せを任されたのであった。

 青年となったドクスはお金を稼ぐため、政府の試験に合格し、西ドイツの炭鉱に炭鉱労働者として2年間派遣される。
 その稼ぎは、家族の生活費はもちろんだが、次男のソウル大学の学費のためでもあった。
 たしかに稼ぎは良かったけれども、ドクスが落盤事故に会うといった危険な仕事でもあった。
 しかし西ドイツの地でドクスにとって見返りもあった。それは、看護師として派遣されていた、のちに妻となる韓国人女性・ヨンジャ(キム・ユンジン)と出会えたことであった。

 (このあたりの史実は下記のKBS WORLD Radio のサイトに掲載の「コリア70年 西ドイツへ向かった韓国の青年たち」に詳しいようです)
 http://world.kbs.co.kr/japanese/program/program_kpanorama_detail.htm?No=10037233

 帰国後ドクスはヨンジャと結婚したが、国際市場で商いをする叔母の店を手伝うも、ドクス一家を養う金は生まれない。
 ドクスはベトナム戦争最中のベトナムへ兵隊としてではなく出稼ぎに行く。(韓国軍のベトナム派兵は1964-72)
 がしかし、現地でドクスは片足を負傷し義足となった。

3-1_201801121349260c0.png それからまた時が経ち、弟妹も結婚し孫達も生まれ一家は大人数となった。
 そんなころ、南北分断の結果、離散してしまった家族との再会の場として、テレビ番組が放送されていた。
 これに出演したドクスは、父親には会えなかったものの、幸運にも末の妹と再会できた。
 妹はアメリカ人の養子となってアメリカにいたのであった。

 余生を生きる今、ドクスは回想する。 父親から「私にかわってお前が家長になるんだ。家長はどんな時でも自分よりも家族のことが優先だ」と、家族の団結と幸せを任されたことが、なんとか成し遂げられたと・・。


下

オリジナルタイトル:국제시장
監督・脚本:ユン・ジェギュン|韓国|2014年|127分|
撮影:チェ・ヨンファン|
出演:ドクス(ファン・ジョンミン)|その妻ヨンジャ(キム・ユンジン)|ドクスの親友で西ドイツ、ベトナムにも一緒に行ったダルグ(オ・ダルス)|ドクスの父親(チョン・ジニョン)|ドクスの母親(チャン・ヨンナム)|ドクスの叔母(ラ・ミラン)|ドクスの上の妹クッスン(キム・スルギ)|ほか

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映画「心に花の咲く日まで」 主演:淡島千景  監督:佐分利信

上

 いい映画を見つけました。よく出来た作品です。
 「昭和30年」を生きる、すず子(淡島千景)という女の日常を、あたたかく描く映画です。
 穏やかな喜劇でありますが、スパイスを効かせた突飛なエピソードが所々に仕掛けられています。

1-0_20180110122812af3.png 畑が続く武蔵野の郊外に住むすず子は、夫の笹山三吉(芥川比呂志)と赤ちゃんの三人暮らし。
 三吉は造船会社の技師でしたが、会社が倒産し今は無職。
 そんなことで夫にかわってすず子が、習い覚えた洋裁でわずかな稼ぎをしています。
 三吉はというと、好きな交響曲「田園」のレコードを聴きながら子守りや家事をし、時に造船の研究をしています。
 すず子は、呑気で優しいそんな三吉が好きですが、二人そろって銭湯にも行けない貧しさが、いつまでも続けられないと思っています。
 三吉はあれこれ職探しをしていますが、贅沢にも選り好みしています。それは、なにしろ、三吉は口下手で人との応対が上手くないため。すず子も仕方ないなと夫を見守っています。でも時々いら立ちます。

 さて、こんな一家を見守る人々がいます。
 すず子と同窓の原さん(丹阿弥谷津子)は、この家に少しのお金を貸したり時折、土産を持ってきます。原さんは、友達のすず子が心配ですし、いい旦那と暮らしているすず子を羨ましく思っています。実は原さんは妾の生活をしているのです。(そんな気持ちをすず子に吐露するシーンがあります)

 すず子の実家は都内にある大きな家です。父親は既に他界しているようで、いまは裕福ではありませんが、母親は健在です。弟も陰ながら姉を気遣います。
 そして、造船会社の元上司たちも三吉の行く末を心配しています。

2-0_20180110122932fd0.jpg 続いて、突飛なエピソードとなる喜劇的登場人物も、この一家を見守っています。
 いや、すず子と三吉が世話しているといった方がいいかもしれない二人が、すず子の家の隣に住む、森下さん(杉村春子)と、その愛人で森下さんよりずっと年下の志野君(仲谷昇・当時26歳)。(三吉が志野君と呼ぶのです) 
 森下さんと、美男子で小説家志望の変人で女たらしの志野君とのドタバタは、この映画に賑わいを添えます。

 そして、すず子の姉(文野朋子)。姉は出戻りで実家にいます。離婚がそうさせるのでしょうか、姉は独善的でガメツイ女です。すず子が盲腸で入院し、その入院費が払えないという時、姉は金を貸そうかと言います、銀行利子で。

 結局、入院費は三吉が家の家具や大切な蓄音機を売って払いました。
 退院後、家に帰ったすず子は、家ががらんとしているのに驚きます。
 三吉が売らずに残したものは、すず子のミシン、ベビーバスケット、三吉の造船研究模型、そしてテニスラケット。
 学生時代、三吉はテニスが上手で、すず子は三吉のその姿に惚れたのでした。


 話は、三吉の元上司が、三吉に研究所の職を世話するところで穏やかに終わります。
 この映画、ところどころでフォトジェニックなシーンを見せます。(お見逃しなく)
 そんなシーンも手伝って、この映画の中を吹く、ふくよかなそよ風が感じられれば、いいですね。これが本作の肝です。 
 小津映画などでの杉村春子の役回りに慣れ親しんだ向きには、この映画の森下さん役の演技が写実風に見えるかもしれませんが、そうではありません。

監督:佐分利信|1955年|109分|
原作:田中澄江|脚本:田中澄江、井手俊郎|撮影:藤井静|
出演:笹山三吉(芥川比呂志)|笹山すず子(淡島千景)|森下さん(杉村春子)|志野君(仲谷昇)|すず子の母親・山崎とき(長岡輝子)|すず子の姉・山崎たか子(文野朋子)|すず子の弟・山崎良(飯田紀美夫)|すず子と同窓の原さん(丹阿弥谷津子)|ほか

【 一夜一話の 歩き方 】3-0_20180110123053524.png

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映画「希望のかなた」(2017年) 監督:アキ・カウリスマキ

上

1-0_2018010321382586f.jpg アキ・カウリスマキ監督「節」が楽しめます。
 フィンランドにたどり着いたシリア難民青年の話ですが、深刻さは余り感じ無い軽い作りです。
 加えて、監督独特の、いつものトボケた可笑しさも織り込まれています。でも、難民流入問題を軽んじているわけではありません。
 また、監督の映画が好きな方は、常連俳優たちの登場や、監督好みの音楽が楽しめます。
 
 青年カーリドは、戦乱のシリア北部の都市アレッポを離れ、トルコ、ギリシャ、ハンガリー、ポーランドを経てフィンランドのヘルシンキの港にたどり着く。
 カーリドは早速、警察に出向き難民申請を願い出て、難民の一時滞在収容施設に落ち着いた。
 施設にはシリア、イランやアフリカ諸国からの多くの申請者がいる。

 さて話は変わって、フィンランド人のヴィクストロムという男は、アル中の妻を置いて家を出、賭博で大金を得て、その金でレストランを買った。
 その頃、カーリドは難民申請が却下され、シリアへの強制送還の決定が出る。
 帰国したくないカーリドは施設を抜け出し街をさ迷い、ヴィクストロムのレストランの前の物陰に潜んでいた。
 ヴィクストロムはカーリドを見つけ、この店で彼を雇い、倉庫に住まわすことになる。

 映画はさらに、レストランの従業員たちとの可笑しなシーン、ヘルシンキのネオナチがカーリドをつけ狙う話、シリアを出てから生き別れとなったカーリドの妹との再会などの話を語ります。 
 そしてラスト、ネオナチに襲われたカーリドの運命は・・。 

オリジナルタイトル:TOIVON TUOLLA PUOLEN
監督・脚本:アキ・カウリスマキ|フィンランド|2017年|98分|
撮影:ティモ・サルミネン
出演:カーリド(シェルワン・ハジ)|ヴィクストロム(サカリ・クオスマネン)|カラムニウス(イルッカ・コイヴラ)|ニルヒネン(ヤンネ・ヒューティアイネン)|ミルヤ(ヌップ・コイブ)|ヴィクストロムの妻(カイヤ・パカリネン)|ミリアム(ニロズ・ハジ)|マズダク(サイモン・フセイン・アルバズーン)|洋品店の女店主(カティ・オウティネン)|収容施設の女性(マリヤ・ヤルヴェンヘルミ)|

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明けまして おめでとうございます。

  • Posted by: やまなか
  • 2018-01-01 Mon 06:00:00
  • 映画

明けまして おめでとうございます。

一夜一話、早いもので、今春で9年目を迎えます。
これからも地道に続けてまいります。
今年も、御ひいきの程、よろしくお願い申し上げます。

掲載した映画本数、振り返って数えてみると、1000本越えました。
でも、まだ観ぬ映画は無数にあります。
今年も、いい映画に出会えることを楽しみにしています。

2_20180103071822ea4.jpg

2年前・4年前・6年前の12月、一夜一話。(2015年12月・2013年12月・2011年12月の掲載記事です)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-12-30 Sat 06:00:00
  • 映画
2年前の12月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
2年前の12月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2015年12月 Archive)

写真
「喜劇 にっぽんの
       お婆あちゃん」

監督:今井正  ミヤコ蝶々
写真
「どついたるねん」
監督:阪本順治
赤井英和、相楽晴子
写真
「しとやかな獣」
監督:川島雄三
若尾文子、伊藤雄之助
写真
「青春神話」
監督:ツァイ・ミンリャン
台湾
写真
「マッチ工場の少女」
監督:アキ・カウリスマキ
フィンランド
写真
「ミスター・ロンリー」
監督:ハーモニー・コリン
イギリス
写真
「袋小路」
監督:ロマン・ポランスキー
イギリス
写真
第16回東京フィルメックス、
<まとめ>
    
写真
「コインロッカーの女」
第16回東京フィルメックス上映
韓国
写真
「最愛の子」
第16回東京フィルメックス上映
中国
写真
「人生タクシー」
第16回東京フィルメックス上映
イラン
写真
「酔生夢死」
第16回東京フィルメックス上映
台湾

4年前の12月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
4年前の12月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2013年12月 Archive)

写真
「集金旅行」
監督:中村登
佐田啓二、岡田茉莉子
写真
「土砂降り」
監督:中村登
佐田啓二、岡田茉莉子
写真
「裸足のピクニック」
監督:矢口史靖
芹沢砂織
写真
「立候補」
監督:藤岡利充
ドキュメンタリー映画
写真
「セクシー地帯」
監督:石井輝男
三原葉子
写真
「阿修羅城の瞳」
監督:滝田洋二郎
宮沢りえ
写真
「天使の入江」
監督:ジャック・ドゥミ
フランス
写真
「我らの生活」
監督ダニエレ・ルケッティ
イタリア
写真
第14回東京フィルメックス
<まとめ> 計10本
    

写真
写真展「ジョセフ
      ・クーデルカ展」

東京国立近代美術館
写真
絵画展「生誕130年 川瀬巴水展」
~郷愁の日本風景
千葉市美術館
写真
箱根の「にごり湯」めぐり
芦の湯温泉「きのくにや」
仙石原温泉「パウエル」
写真
信州の「湯田中・渋温泉郷」めぐり
渋温泉と湯田中温泉

6年前の12月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
6年前の12月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2011年12月 Archive>

写真
「流れる」
監督:成瀬巳喜男
山田五十鈴、高峰秀子
写真
「恋の花咲く 伊豆の踊子」
監督:五所平之助
田中絹代
写真
「てなもんやコネクション」
監督:山本政志
新井令子、ツェ・ワイ・キット
写真
「生きてるうちが花なのよ
 死んだらそれまでよ党宣言」

倍賞美津子、原田芳雄
写真
「サウダーヂ」
監督:富田克也
鷹野毅、伊藤仁、田我流
写真
「われに撃つ用意あり」
監督:若松孝二
原田芳雄、桃井かおり
写真
「イン・ザ・スープ」
監督:A・ロックウェル
アメリカ
写真
「夢の旅路」
監督:マイケル・D・ジャコモ
アメリカ
写真
「サンタクロースの眼は青い」
監督:ジャン・ユスターシュ
フランス
写真
「ミリオンズ」
監督:ダニー・ボイル
イギリス
写真
「ベッドかざりとほうき」
監督:R・スティーヴンソン
アメリカ
写真
「つめたく冷えた月」
監督:パトリック・ブシテー
フランス
写真
「ロスト・チルドレン」
監督:ジャン=P・ジュネ
フランス
写真
「名前のない少年、
      脚のない少女」

ブラジル
写真
「無言歌」
監督:ワン・ビン
香港

気になる映画 63  《これから上映の映画》

写真
「南瓜とマヨネーズ」
監督:冨永昌敬
川崎市アートセンター 1/27~
写真
諏訪敦彦監督特集
アテネ・フランセ 1/15-19
    
写真
歳末&新春特選
コメディ天国 It's 笑 Time
ラピュタ阿佐ヶ谷 12/24~2018.2/17
写真
「そろそろ音楽をやめようと思う」
監督:千葉大輔
下北沢トリウッド 1/6-19
写真
ジャン=ピエール・メルヴィル監督特集
新宿K's cinema 1/20~26
    
写真
映画で見る昔の川崎
川崎市市民ミュージアム
1/13、14、20、21


映画特選:アナーキーにぶっ飛んでいくコメディに乾杯!(日本映画編)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-12-22 Fri 06:00:00
  • 映画
 荒唐無稽で波乱万丈なコメディ。
 一度はこんな映画を作りたい、遊んでみたい、そんなことを思う監督がいるんです。
 もちろん、そんな映画を自分の持ち味とする監督もいる。
 あるいは、若かった、だから、やれました的な監督もいた。

 どれも一夜一話の特選映画です。
 これまでに掲載してきた映画から厳選した33本
 そのうち、ここに9本並べます。
 いやいや、33本のすべてを見たい方は、こちらから

写真
「穴」
監督:市川崑 (1957)
京マチ子、船越英二、山村聡

アップテンポなコメディ。1957年製作
の映画だが、今も新鮮!
コメディなセリフは、よく吟味されて
いて、言葉の奥行きを感じさせつつも
軽く滑らか。時にズバリと言うが、決
して重くならない。セリフが飛び交う
シーンは、緊張と緩和を持ち前のリズ
ムに乗せて勢いよく語ってくる。
ストーリーは、波乱万丈な人間模様を
描きながら、アウトローで向こうっ気
の強いフリー女性ジャーナリストの冒
険物語。
写真
「イン・ザ・プール」
監督:三木聡 (2005)
オダギリジョー、松尾スズキ、田辺誠一

この馬鹿馬鹿しいコメディに、付いて
行けるかどうかが、いい映画と感じる
か、つまらんアホくさと感じるかの分
水嶺。
あるいは、オダギリジョーに、あんな
役させるの?が分水嶺かも。
あるいは、原作は原作、映画は映画と
して、別なものとして切り分けて楽し
めるかどうかが、分水嶺。そんな映画
です。
物語はメンタルヘルスケアが必要な人
が増えてますテナ話です。精神科医も。

写真
「ウルトラ ミラクル ラブストーリー」
監督:横浜聡子 (2009)
松山ケンイチ、麻生久美子

超・奇蹟的なラブストーリー。ただし、
この映画、結構、荒唐無稽ですので、
ご注意を。
生まれつき精神障がいを持つ青年と、
東京から流れて来て保育園に勤め始め
た町子先生。青年は町子先生と出会い、
いっぺんで一目ぼれ。
彼は、いつもの能天気さで、積極的に
町子先生に接する。
これに対し、一歩も二歩も引く先生で
あった。さてこのお話、どう展開する
のやら・・。

写真
「億万長者」
監督:市川崑 (1954)
久我美子、山田五十鈴、木村功

極上の喜劇映画です。
アナーキーでトンガってますが、しっ
かりとした娯楽映画です。
東京がまだ戦災から復興しきれていな
い頃の話。あばら家に住む一家に税務
署の若い職員が納税の催促に来るので
すが、とても催促できない状況。
加えて原爆を開発する女、賄賂の密談
を暴露する赤坂芸者の話が絡み合い、
話は思わぬ展開になります。
俳優たちが皆、喜々として演技してい
る。これが一番の見どころです。

写真
「音曲の乱」
監督:林海象 (1992)
佐野史郎、東京スカパラ、鰐淵晴子

時は現代だが、まだ徳川の天下。
そう、江戸幕府が390年続いているSF。
佐野城の城主はバカ殿で、その上、無
類の女好き。
城下町のあちこちにキャバレーやSM
クラブがあって、千両箱を小脇に抱え
た殿は毎日、こんな店で過ごしている。
そんな折、南蛮渡来の音曲が殿の耳に
聴こえ始めた。これは妖術だ!
さっそく音術の忍び七人衆が呼び集め
られた。それぞれ得意の楽器を武器と
する、手練れたちだ。そして世は乱に。

写真
「亀は意外と速く泳ぐ」
監督:三木聡 (2005)
上野樹里、蒼井優、伊武雅刀、嶋田久作

夫の海外単身赴任で1人ポツンと毎日
を送る主婦・片倉スズメ(上野樹里)
のお話。
これは実話なのか、それとも暇を持
て余す女の誇大妄想なのか。
話は、てんでばらばら無秩序に破天荒
に展開するおバカな話なので、アホら
しくて途中で投げ出す人もいるかも。
とにかく、スズメは募集広告を見てス
パイになった。
スズメは先輩のスパイ達と行動を共に
しだすのだが・・。

写真
「川下さんは何度もやってくる」
監督:いまおかしんじ (2014)
水澤紳吾、佐藤宏、櫻井拓也

生活は貧しく頼り甲斐いないが、仲間
に思いやりある、あったかい男たちの、
おバカで物悲しい喜劇映画です。
先輩の川下の通夜。なんと先輩が棺桶
から、むっくり起き上がった。
そんなことで始まるこの映画、30代後
半の男三人のショボさを愛情持って
描いている。
とりわけ、川下役の佐藤の怪演ぶりは
最高だ! この人の演技は、映画撮影
の枠に収まらない。そして、セリフの
数より豪快な笑いのほうが多い。

写真
「教祖誕生」
監督:天間敏広 (1993)
萩原聖人、北野武、岸部一徳

北野武原作の映画。ちょっとひねくれ
た喜劇です。
いかがわしい教団が徐々に大きくなる
過程で、新たな教祖が誕生する話。
信者獲得はビジネスで、収益がないと
教団の繁栄はない。街で拾った老人を
教祖に仕立てたが、図に乗ってきたの
でクビにした。
しかし教祖は必要不可欠だ。司馬(北
野武)は高山(萩原聖人)に「教祖」
をやれと命じる。まるで人事異動に近
い感覚だ。


写真
「空気の無くなる日」
監督:伊東寿恵男 (1949)
深見泰三、花沢徳衛、河崎竪男

ハレーすい星の接近で村中が大騒ぎ、
というお話です。舞台は富山の村。
空気がなくなる!
すい星が接近して来て、その引力で地
球の空気が吸い取られてしまう。
空気がなくなるのは5分間らしい。
ある人が考えた。タイヤチューブ内の
空気を吸えば、5分間は凌げる。
一方、校長は生徒を校庭に集め、さっ
そく始めたその訓練は、洗面器に水を
はって顔をつけ、できるだけ息を止め
る訓練だった。


どれも一夜一話の特選映画です。
 これまでに掲載してきた映画から厳選した33本のうち9本、ここに並べました。
 いやいや、33本のすべてを見たい方は、こちらから

映画「黄金のアデーレ 名画の帰還」 主演:ヘレン・ミレン 監督:サイモン・カーティス

上
「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I」

1-0_20171218161131722.jpg
 事実に基づいた映画ですが、ハラハラワクワクのエンターテイメントな仕上がりになっています。
 この有名な絵画の背景を知ることができる面白い映画です。
 映画は、絵画の所有権を巡って主人公が裁判で勝訴するストーリーですが、法廷内の論争シーンは多くなく簡潔。よって字幕を懸命に追わないと置いて行かれるという様なことはありません。

 オーストリアのユダヤ人実業家がクリムトに描かせた妻の肖像画(1907年完成)は、戦時中、ナチスドイツによって強奪され、戦後その絵は、オーストリア政府の美術館にて所有されていたました。(ウィーンのベルヴェデーレ宮殿内にあるオーストリア・ギャラリーという美術館)

2-0_201712181613257fe.jpg しかし、肖像画に描かれた女性アデーレの姪にあたるマリア・アルトマン(アメリカ在住)は、この肖像画の所有権をめぐってオーストリア政府を相手取り裁判を起こし、2006年にやっとオーストリア政府から取り戻しました。
 映画はこのマリア・アルトマンを主人公(ヘレン・ミレン)にして、ことの顛末を物語にしています。

 事実はこうでした。
 実業家のフェルディナント・ブロッホ=バウアーの妻アデーレ(1881- 1925)は、自分の肖像画をオーストリア・ギャラリーに寄贈するようにと遺言を残し、1925年に死去しました。
 しかしその後、夫のフェルディナント(1864- 1945)は、肖像画の所有権はもともと自分にあるとして、絵画をオーストリア政府へ寄贈せず、遺言で甥姪に相続するとして1945年に死去しました。(芸術愛好家フェルディナントはクリムトへの発注主でありクリムトのパトロンでした)

 つまりオーストリア政府はアデーレの遺言に基づき肖像画を所有してきました。
 一方、相続人の一人、マリア・アルトマンは弁護士とともに、叔父のフェルディナントの遺言書を資料館から発見し、オーストリア政府を相手取り訴訟を起こします。

 この有能な若き弁護士は、マリア・アルトマンの友人の息子ランディ・シェーンベルク(ライアン・レイノルズ)でした。
 ランディの祖父は、オーストリアの作曲家アルノルト・シェーンベルクというのも興味深い話です。
 
 肖像画は、138 x 138 cm 、油彩で描かれその上に金彩を施した絵画。
 勝訴までは「黄金のアデーレ」と呼ばれた肖像画は、その後「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I」という名に変わりました。
 マリア・アルトマンは勝訴したのち、絵は家に置かず、美術館で公開展示していました。
 そこへ、ナチスがユダヤ人から強奪した美術品を収集することを使命とする人※が、この絵を買い取りました。
 買取額は156億円(1億3500万ドル)で、現在ニューヨークのノイエ・ガレリエに展示されているそうです。

 ※ロナルド・ローダー
 ノイエ・ガレリエは、かつてナチスがユダヤ人から収奪した美術品を現代の所有者から取り戻し、所蔵。
 ローダーは自身が駐オーストリア米国大使だったころからこの問題に取り組んでおり、「ユダヤ人損害賠償世界機構(World Jewish Restitution Organization)」の一員であり、クリントン政権時代にはナチスの略奪事件の査問委員会にも属していた。
 ローダーは本作の獲得について「これは我々にとってのモナ・リザである」とコメントしている。(なるほど)
 (wikipediaの「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I」から引用)
 ノイエ・ガレリエの公式サイト:http://www.neuegalerie.org/

 ちなみに、20世紀初頭、画家クリムトは上流階級の婦人たちの肖像画を多く手がけていたようです。

オリジナルタイトル:WOMAN IN GOLD
監督:サイモン・カーティス|アメリカ、イギリス|2015年|109分|
脚本 アレクシ・ケイ・キャンベル
出演:マリア・アルトマン(ヘレン・ミレン)|弁護士ランドル・シェーンベルク(ライアン・レイノルズ)|ほか

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クラシック音楽    ポピュラー音楽   

映画「川の底からこんにちは」 主演:満島ひかり  監督:石井裕也

上

 「どうせ、私は中の下」だしと言い、何事もはなから「しょうがない」と諦め、流されるままに生きて来た佐和子(満島ひかり)。
 しかし映画後半、佐和子の、開き直っての大進撃に、スカッとするお話。
1-0_20171215101247bdf.png
 佐和子は、家出のついでに、高校の先輩を引っかけて駆け落ち。
 東京へ出て、はや5年。
 この間、愛に恵まれず、先輩含め4人の男に次々に捨てられ、今は派遣でOL、独り住まい。
 5人目の男は職場の正社員、健一(遠藤雅)で、彼はバツイチ子供一人付。
 佐和子に結婚の意思はないのに、健一は娘に、佐和子のことを「新しいお母さん」と言っている。

 父親が入院したという知らせが佐和子に来た。良くないらしい。
 叔父は、見舞いを期に、実家に帰って来いと佐和子に言う。
 母親は既に他界していて、父親は一人でいる。
 
 佐和子の実家はシジミを販売している自営業。
 近くの湖から採れるシジミを漁師から買い上げ、パックに詰めて出荷する。
 出荷作業の工場には10数人のおばちゃんが働いていて、みな漁師の主婦。
 だけど実家の商売はまったくの右肩下がりの廃業寸前。

2-0_20171215102349ad9.png 健一は突然会社を辞めて、佐和子の実家へ子連れで行くと、ある日出し抜けに佐和子に言った。ハッ?私、聞いてないし!
 佐和子はこの5年、一度も実家に帰ってない。帰らない帰れない事情がある。
 それは父親に対する嫌悪感。工場の女を家に連れ込んだ現場を見てしまった。まだ多感の年ごろだった。

3-0_20171215102751d63.jpg しかし、ま、とにかく、佐和子と健一親子は実家に帰ってきた。見舞いもした。
 叔父だけは佐和子を気遣うが、周囲の視線、とりわけシジミ工場のおばちゃん達は、佐和子は父親を捨て駆け落ちした女だ言い、冷たい。

 そんななか、こともあろうに健一が工場の女と駆け落ちする。女は工場で唯一若い女、佐和子の同窓。

 このことが佐和子の心のスイッチをオンにした。ここから佐和子の人生、ヤケッパチの大進撃が始まった。
 私が商売を立て直す!
 思いもよらぬこの気迫に父親もおばちゃん達も、佐和子に惚れた。
 あとは観てのお楽しみ。

 いい映画です。娯楽作品に仕上がっています。

監督・脚本:石井裕也|2009年|112分|
撮影:沖村志宏|
出演:木村佐和子(満島ひかり)|新井健一(遠藤雅)|新井加代子(相原綺羅)|木村忠男(志賀廣太郎)|木村信夫(岩松了)|遠藤進(菅間勇)|塩田敏子(稲川実代子)|塩田淳三(猪俣俊明)|村岡友美(鈴木なつみ)|斎藤響子(牧野エミ)|月島さん(工藤時子)|杉山さん(安室満樹子)|中島さん(しのへけい子)|江口さん(よしのよしこ)|高木正樹(並樹史朗)|サユリ(山内ナヲ)|モトカ(丸山明恵)|腸内洗浄スタッフ(目黒真希)|川上良男(森岡龍)|ギャル(廣瀬友美)|医者(潮見諭)|保育園の先生(とんとろとん)|

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1年前・3年前・5年前の12月、一夜一話。(2016年12月・2014年12月・2012年12月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-12-14 Thu 06:00:00
  • 映画
1年前の12月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の12月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2016年12月 Archive>

写真
「仁光の受難」
監督:庭月野議啓
第17回東京フィルメックス上映
写真
「ぼくらの亡命」
監督:内田伸輝
第17回東京フィルメックス上映
写真
「ハワイアン・ドリーム」
監督:川島透
時任三郎、ジョニー大倉
写真
「あの手この手」
監督:市川崑
久我美子、森雅之
写真
「台北ストーリー」
(旧題名:幼なじみ)
監督:エドワード・ヤン|台湾
写真
「苦い銭」
監督:ワン・ビン
中国
写真
「ザーヤンデルードの夜」
監督:モフセン・マフマルバフ
イラン
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「大人は判ってくれない」
監督:F・トリュフォー
フランス
写真
第17回東京フィルメックス
上映作品の「まとめ」です。
  
写真
第17回東京フィルメックス上映
フィリピン映画 普通の家族
  
写真
第17回東京フィルメックス上映
カンボジア映画 エグジール
香港映画 大樹は風を招く
写真
第17回東京フィルメックス上映
イスラエル映画山のかなたに
ティクン ~ 世界の修復
写真
第17回東京フィルメックス上映
イスラエル映画 オリーブの山
中国映画 よみがえりの樹
写真
第17回東京フィルメックス上映
韓国映画 「恋物語」
  

写真
今日はソウルのライブだよ。
ダニー・ハサウェイ
写真
“ ジャズはどこから来たのか”
「上海オーケストラ物語」「日本のジャズ史」
「スウィング・ジャパン 」「昭和のバンスキングたち」


3年前の12月に掲載した映画です。
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  3年前の12月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2014年12月 Archive)

写真
「さよなら歌舞伎町」
監督:廣木隆一、脚本:荒井晴彦
染谷将太、前田敦子
写真
「やじきた道中 てれすこ」
監督:平山秀幸
中村勘三郎,柄本明,小泉今日子
写真
「弥次喜多道中記」
監督:マキノ正博
片岡千恵蔵,杉狂児,D・ミネ
写真
「ニッポンのみせものやさん」
監督:奥谷洋一郎
ドキュメンタリー映画
写真
「Rain レイン」
監督:マイケル・メレディス
アメリカ
写真
「花嫁と角砂糖」
監督:レザ・ミルキャリミ
イラン
写真
「過去のない男」
監督:アキ・カウリスマキ
フィンランド
写真
「不思議惑星キン・ザ・ザ」
監督:ゲオルギー・ダネリア
ソ連

写真
京都のはなし「銭湯」
銀閣寺や東寺や下鴨神社あたり
で3軒の銭湯に出会った。
写真
京都のはなし「亰料理」
京料理店 「陶然亭」料理旅館 「山名」
そして白川と四条大橋。


5年前の12月に掲載した映画です。
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  5年前の12月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2012年12月 Archive)

写真
「非行少女 」
監督:浦山桐郎
和泉雅子、浜田光夫
写真
「夫婦」
監督:成瀬巳喜男
杉葉子、上原謙
写真
「涙を、獅子のたて髪に」
監督:篠田正浩、脚本:寺山修司他
藤木孝、加賀まりこ
写真
「ココニイルコト」
監督:長澤雅彦
堺雅人、真中瞳
写真
「半分の月がのぼる空」
監督:深川栄洋
忽那汐里、池松壮亮
写真
「きみにしか聞こえない」
監督:荻島達也
成海璃子、小出恵介
写真
「猫と鰹節 ある詐話師の物語」
監督:堀川弘通
森繁久彌,三木のり平,伴淳三郎
写真
「按摩と女」
監督:清水宏
高峰三枝子、徳大寺伸
写真
「ギムリ・ホスピタル」
監督:ガイ・マディン
カナダ
写真
「精霊の島」
監督:F・T・フリドリクソン
アイスランド
写真
「ボーイ・ミーツ・ガール」
監督:レオス・カラックス
フランス
写真
「嘆きのテレーズ」
監督:マルセル・カルネ
フランス
写真
「夜の終りに」
監督:アンジェイ・ワイダ
ポーランド
写真
「この森で天使はバスを降りた」
監督:L・D・ズロートフ
アメリカ
写真
「パラダイスの夕暮れ」
監督:アキ・カウリスマキ
フィンランド





映画「影」(1956年) ポーランド  監督:イェジー・カワレロウィッチ

上2



1-0_20171209174005071.jpg
















 ポーランド人民共和国、時は1950年代、共産主義時代初期のころの話。
 (ポーランドの共産主義時代1945~1989年)

 炭坑労働者ミクラは、ビスクピックというボスに頼まれて、密かに男たちを坑内に入れたのであった。
 しかし男たちは、坑道内で爆薬を仕掛けたテロを実行し、多くの犠牲者が出る大事件となった。
 ミクラは驚いた。そして俺が疑われると感じたミクラは、実行犯の侵入を依頼した男を急いで探し、事の次第を問いただしたかった。

 男が乗ったという列車が、まさに駅を発車しようとしていた。
 ミクラは、その列車に飛び乗り、男を探して車内を巡った。男はいた。男はミクラを見て車内通路を逃げる。そして男はついに、走る列車から飛び降りた。だが即死であった。

 その飛び降り現場を若い男女が偶然に目撃し警察へ連絡した。
 男の死体はさっそく警察に運ばれ、医師クニシンによる検死が始まった。

 一方、男が飛び降りたそのあと、ミクラは次の駅で降りたところで、駅員に無賃乗車で捕まった。
 そののち警察はミクラの供述から、この列車飛び降り事故の真相を知ることとなった。

 映画はこの話を語る中で、2つの回想シーンを挿入する。
 その1つは、飛び降り死した男を検死する医師クニシンの語る話。

 回想は第二次世界大戦中の1943年にクニシンが体験した事件。
 当時、ポーランドはナチスドイツの占領下にあった。若きクニシンはレジスタンスとして活動していた。
 ある日、クニシンらレジスタンスは、活動資金を得るため、あるドイツ人高利貸しの店を襲い金を奪おうとしていた。
 そこへ別の男たちが店に来て銃撃戦となった。だが、相手はドイツ軍ではなかった。
 あとで分かった事だが、撃ち合った双方は組織こそ違え、ともにレジスタンスの男たちであった。
 これは明らかに意図的にレジスタンス組織間の争いを誘う誰かの企てであった。
 双方のレジスタンス組織に、店襲撃計画と襲撃時間を勧めたのは一体誰なのだろうか。だが当時、ことは謎に終わった。

 今にしてクニシンは振り返る。銃撃戦のあと、負傷した男を抱きかかえ、通りに出ると、ちょうどビスクピックが荷台付自転車に乗ってそこを通りかかった。クニシンは負傷した男をその荷台に乗せて現場を去ることができたのだ。
 それにしてもビスクピックの出現は偶然だったのか。ちなみに、ビスクピックという男は、クニシンらレジスタンスの活動拠点を提供していた男であった。

2-0_20171209175457979.jpg もう1つの回想は、列車飛び降り事件の捜査を総指揮する老刑事カルボウスキーが、ビスクピックという名を部下から聞いて思い出した話だった。
 それは終戦直後の混乱時期(1946年)に、カルボウスキーが政府軍兵士として体験した襲撃作戦であった。
 当時、「小隊」と呼ばれる武装集団がいて、村々で略奪を繰り返し、村人たちを虐待し恐れられていた。
 しかし、この「小隊」の戦闘能力は優れていて、政府軍はいまだ彼らを鎮圧できずにいた。
 そこでカルボウスキーら志願兵は、その身分を偽り、武装集団の本陣に入り込み、隠し持った手りゅう弾で首領ら幹部を亡き者にした。
 この襲撃作戦で判明したことは、「小隊」が政府軍兵士の中に、スパイたちを潜り込ませていたことだった。これを画策した人物は、ビスクピックという名の男だったと、当時、カルボウスキーは聞かされた、ということであった。

 以上、映画は、3つの出来事に謎の男を登場させる。
 これが「影」である。それぞれのビスクピックという名の男は同一人物なのか。

 映画は、謎の「影」を登場させたスリラー仕立ての作品である。
 だが、なぜ、「影」を悪者とするのだろうか。
 「影」とは、たぶん、1939年以来、ソ連に刃向かい続けたポーランド亡命政府なのだろう。

 映画のテーマは学ぶべき重要なことだが、映画の作りは、総じて巧くない。傑作とはとても言い難い。 

オリジナルタイトル:CIEN|The Shadow|
監督:イェジー・カワレロウィッチ|ポーランド|1956年|98分|
脚本:アレクサンドル・シチボル・リルスキ|撮影:イェジー・リップマン|
出演:医師クニシン(ズィグムント・ケンストウィッチ)|ビスクピック(イグナチー・マホフスキー)|ミクラ(タデウシュ・ユラシュ)|カルボウスキー(アドルフ・フロニッキー)|ヤシチカ(エミール・カレウィッチ)|ほか

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映画「天の茶助」 主演:松山ケンイチ  監督:SABU

上

 あなたの現在過去そのすべては、天界の、大勢いる人生脚本家のひとりが執筆した脚本に書かれている。
 あなた担当のその人生脚本家は、今このときも書き続けている。あなたのすぐの未来を、先の未来を。

0_201712051850155e3.jpg このユニークなドラマ設定がなかなか良い。
 挿入される有名映画のパロディ(下記)や、コミカルなシーンもいい。アクションシーンも悪くない。
 また、時系列の中で、その間の推移を語る説明シーン、これをヒョイと省略ジャンプする場面切り返しに、スピード感があって荒削りで斬新だ。
 沖縄の伝統芸能エイサーの踊り、あの衣装、太鼓の響きの中に、天界から降りた主人公・茶助らを放り込んだのもGood。
 松山ケンイチを選んだキャスティングもいい、こんなお話には、たぶん彼が一番最適だ。
 白塗り顔の、狂気警官の鋭い笑いはスクリーンを突きぬけて行く。テント芝居の役者のよう。

 だが、良いのは、ここまで。
 情に訴えるシーンが、とても冗長。ゆったり見せて堪能してもらおうとの顧客サービスが見え見えで、観ていてしんどい。
 そのほか、各所に、分かりやすさの配慮が散りばめられていて、ここまでしなきゃいけないんだ。
 茶助の念力で不治の病人を直すシーンで、茶助の念力疲れを、目の下のクマのメイクで表現させるところは、遊びかな。
 とにかく、良い/良くないが、マダラ模様を呈して展開して行く。
 売れなきゃが第一なんだろうけれども、プロデューサー・市山尚三のお考えか。着想が良いだけに、踏ん張ればもっといい作品になったのに、残念。

 ストーリーはこんな感じ。
 天界でお茶くみをしている茶助(松山ケンイチ)は、ある人生脚本家が担当する脚本中の女性ユリ(大野いと)に惚れていた。
 しかし、脚本を盗み見するとユリは、この先、交通事故死するようだ。
 そうなるのは、他の人生脚本家が書いている脚本の中で、ある男が自暴自棄になって車を暴走させるからである。人生脚本家は他の脚本家が書く内容を曲げられない。

 ユリの人生を書く脚本家は茶助に言った。「ユリを救えるのはお前だけだ。下界へ行け。私は脚本でお前を支援するから。」
 このあとは観てのお楽しみ、かな。

監督・原作・脚本:SABU|2015年|105分|
プロデューサー:市山尚三|撮影:相馬大輔|
出演:早乙女茶助(松山ケンイチ)|新城ユリ(大野いと)|骨董店の種田潤一(大杉漣)|ラーメン屋の彦村ジョー(伊勢谷友介)|チャーリー・ポン(田口浩正)|早乙女茶子(玉城ティナ)|白塗警官(オラキヲ)|康夫(今野浩喜)|根岸一輝(RYO)|加賀謙一(DJ KEIN)|ヒットマン(山田親太朗)|黒竜会:黒木(寺島進)|ほか

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 映画「タイタニック」や「ゴースト/ニューヨークの幻」のほかに、ウォン・カーウァイの香港映画「恋する惑星」のサングラス女性や、アニメ「有頂天家族」に出くるような商店街アーケード屋根上シーンもあった。
 また、ラーメン屋の彦村(伊勢谷友介)が女優の女性と出会い頭にぶつかるシーンは、「ノッティングヒルの恋人」ですね。
 そのほかに私が連想した映画。
 天界から降りてきた男の背に羽があるのはヴィム・ヴェンダース監督の「ベルリン・天使の詩」、狂気じみた白塗り顔の男は、岩井俊二監督の「スワロウテイル」に出てくる男を思い出す。
 アーケード街で格闘する強い男は、真利子哲也監督の「ディストラクション・ベイビーズ」をイメージした。天界の人生脚本家たちの白装束は韓国映画の「祝祭」を連想した。
 それと病気を治す茶助の不思議な念力は「ブラザー・フロム・アナザー・プラネット」あたりかな。
 (画像をクリックしてお読みください)

写真
「恋する惑星」
写真
「ベルリン・天使の詩」
写真
「スワロウテイル」
写真
「ディストラクション・ベイビーズ」
写真
「祝祭」





映画「雁」(がん) 1953年 主演:高峰秀子 監督:豊田四郎

上





0_201712031104205da.jpg















 明治13年(1880年)ころのお話です。
 明治になったとは言え、人々の心は、まだまだ江戸時代のままだったでしょう。そんなことを念頭に観てみましょう。
 舞台は、下谷練塀町(秋葉原駅周辺)と、上野不忍池あたり。

 練塀町の裏店(裏通りの貧乏長屋)に住む父娘、名は老父の善吉と、その一人娘のお玉(高峰秀子)。
 老父は飴細工をして売り歩く飴屋だが、もう歳で商売ができないようでした。また、お玉に稼ぎはなかった。

 高利貸しの末造(東野英治郎)は、ちょいと金が貯まって妾が欲しい。そこで、おさん(飯田蝶子)という女が動いて、未造にお玉を勧めた。この話がうまくいけば、おさんは未造からの借金が帳消しになるのだった。
 おさんは出戻りのお玉に言った、これで父親も楽ができるんだよ。また、おさんは未造のことを呉服屋の旦那だと言って嘘をつき、事をすんなりすすめようとした。

 未造がお玉のために用意した小さな妾宅 は、不忍池の池端から坂を登ったその道沿いにあった。
 未造は家に妻子を置いて、妾宅に頻繁に通った。だが、浮気はばれる。人の口に戸は立てられぬ。
 早くも未造の妻(浦辺粂子)は、お玉という女と、この妾宅の場所を密かに突き止めていた。お玉は未造の妻の影に怯えた。
 
 妾にならざるを得なかったお玉だったが、まだ二十歳を過ぎたかくらいの若さ。
 ある日、妾宅の前を行く東大生の岡田(芥川比呂志)に、お玉は恋心を抱くようになる。岡田の方もまんざらでもない。
 しかし、これは悲恋に終わるのであった。


 観終えて思うのは、高峰秀子の演技が妙に硬い。どうしたんだろう。
 それに演出手法が古典的。例えば、同監督の「泣虫小僧」は1938年製作だが、そんな古さはないのに。(「泣虫小僧」の記事は下線部をクリックしてご覧ください)

監督:豊田四郎|1953年|104分|
原作:森鴎外|脚色:成澤昌茂|撮影:三浦光雄|
出演:お玉(高峰秀子)|その父親・善吉(田中栄三)|高利貸しの末造(東野英治郎)|その妻・お常(浦辺粂子)|岡田(芥川比呂志)|木村(宇野重吉)|お玉の住む妾宅の隣家に住む和裁のお師匠・お貞(三宅邦子)|ほか

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【 豊田四郎監督の映画 】

 これまでに記事にした作品です。(画像をクリックしてお読みください)


写真
「泣虫小僧」
写真
「夫婦善哉」
写真
「猫と庄造と二人のをんな」
写真
「雪国」
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「珍品堂主人」
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「新・夫婦善哉」
写真
「台所太平記」
写真
「波影」


映画「西陣の姉妹」 監督:吉村公三郎

1_20171130084141042.jpg
長女・芳江(三浦光子)、次女・久子(宮城野由美子)、三女・富子(津村悠子)


 生活の糧を失う弱者たちを、新藤兼人が「京都」を舞台に脚本化、これに「偽れる盛装」「夜の河」と京都を描くを得意とする監督、吉村公三郎が腕を振るう。(下線部から当該記事をご覧ください)
 物語は昭和27年ごろ、西陣の織元の老舗「大森屋」の三姉妹を描く。

 振り返れば戦前から、和装のニーズは減っていた(と、セリフにある)。
 くわえて、手工業から機械化工業化へと進む中、京都西陣は手工業の伝統を守り、かつ高級品を生産するがゆえに沈滞、衰勢の状況であった。

 日本中の呉服屋に名の通った老舗大森屋、ここのあるじ大森孫三郎がある日、ピストル自殺。
 しかるべき各方面に借金を重ねても資金繰りがうまく行かずのことであった。
 残されたのは、妻のお豊(東山千栄子)と、長女・芳江(三浦光子)、次女・久子(宮城野由美子)、三女・富子(津村悠子)の三姉妹に、番頭の幸吉(宇野重吉)や大森屋の機(はた)を織る織り子たちと、西陣にある下請け工場(こうば)の織り子たち。そして莫大な借金。

2_201711300845125bc.jpg もとより、妻のお豊と三姉妹の女四人の誰もが、大森屋の今後を考えることはできなかった。
 そこで番頭の幸吉が、再建に向けての手はずを整えた。幸吉の申し出にお豊が承諾したのだ。幸吉は番頭でありながら心底、大森屋の人間であった。
 しかし、結果これがうまくいかなかった。肝心の問屋が破産し納品できなかったのだ。

 織り子たちがざわめき始める。
 わけても、高利貸しの男・高村(菅井一郎)が一気に高圧的な態度に出る。
 高村は既に、大森屋のあるじに金を貸していた。そして番頭・幸吉の手はずには、高村からの新たな借金も含まれていたのだ。
 高村は大森屋所蔵の掛け軸、器など道具類を持っていく。
 一方、下請けの織り子達が、何かしらの金を求めて談判にくる。
 これらに対応したのは、唯一気丈な次女・久子(宮城野由美子)であった。

 また、高村の高圧的な態度に刃向かったのは、日ごろ従順でおとなしい番頭の幸吉であった。
 事件の発端は偶然の出来事だった。
 高村に差し出す大森家の道具類の中に、袋に納めた日本刀があった。その日本刀を高村が、幸吉の手から強引に奪い取ろうとしたその時、高村は袋ごと刀の鞘(さや)の部分を握って引っ張ったため、結果、抜き身の刀を幸吉が持つ格好になり、そのままに幸吉は高村をじっと見た。

 そして幸吉は日本刀片手に高村に歩み寄る。恐れをなした高村は後ずさりし玄関へ。ここで幸吉が高村に切りつける。
 傷を負った高村は、あわてふためいて大森家を飛び出し、大通りへ。
 刀を持って追いかける高村。この沙汰を見守る通り沿いの人々。
 ついに警察が駆け付け、野次馬が取り囲む中、幸吉は現行犯逮捕。

 結局、人が中に入り情状酌量の末、幸吉は大森家に戻って来る。
 戻った幸吉の胸に次女・久子が顔を埋める。これまでの久子の緊張が解けて行く瞬間であった。

 しかし、大森家に金を貸した人々、高村はじめ、大森屋あるじと幼なじみの佐藤(進藤英太郎)などは、ついに土地家屋の引き渡しを迫る。
 そんな中、久子は幸吉に頼みごとを言う。戦争で夫を亡くした姉の芳江(三浦光子)と結婚してくれと。
 これを聞いて幸吉は静かに驚く。私はあなたが好きだった、そしてそれをご存知ですよね。久子は承知とうなずいた。
 そののち、大森屋の人々は散り散りに去り、家屋が取り壊され、敷地が露わになったころ、久子は西陣を去っていくのであった。

 菅井一郎演ずる悪役・高村の悪行に観客が打ちのめされる中、大通りを逃げ走る高村を、幸吉が日本刀を片手に追いかけるシーンで、観るものみな、幸吉アッパレと溜飲を下げることになるのでしょう。

 大森屋のあるじは、祇園の芸者・染香(田中絹代)を囲っていた。あるじの死後、この染香は、あるじが彼女のために建てた家を売って金に換え、妻のお豊に差し出した。また、再びお座敷に出ることにした染香は、お茶屋で高村に会うが皆の前で彼を罵倒する。ここでも観客は喜ぶだろう。

 大森屋が自殺した現場は、先斗町の鴨川に面したお茶屋の座敷であった。彼は幼なじみの佐藤(進藤英太郎)をこのお茶屋に呼んで再度の借金を頼んだが素気無く断られてしまう。そのあとの自殺であった。
 映画冒頭、このお茶屋の外観をカメラは鴨川から構える。二階でどんちゃん騒ぎをする景気のいい人々を撮影し、そして一階の大森屋がいる部屋を映し出す。

 番頭の幸吉が、兄に会うシーン。このシーンは堀川にかかる橋の上。2人が立つ背景に路面電車(京電)が堀川の鉄橋を渡っていくのが見える。ここは、堀川中立売。
 京電とは私鉄・京都電気鉄道でのちに京都市電に併合された。堀川を走るこの京電は北野天満宮から京都駅間を走った。
 吉村公三郎監督の1956年製作の「夜の河」では、京電が堀川の橋を渡って川の東を走るシーンが出てくる。
 ついでに言えば、1952年の本作「西陣の姉妹」では街の道は舗装されていない。「夜の河」ではアスファルト舗装はされてないが、奇麗に地固めされているのが見える。

監督:吉村公三郎|1952年|110分|
脚本:新藤兼人|撮影:宮川一夫|
出演:長女・芳江(三浦光子)|次女・久子(宮城野由美子)|三女・富子(津村悠子)|西陣の織元「大森屋」の主人・大森孫三郎(柳永二郎)|その妻・お豊(東山千栄子)|番頭の横山幸吉(宇野重吉)|大森屋の主人の二号さんで祇園の元芸者・染香(田中絹代)|大森屋の主人と幼なじみで西陣出の男・佐藤義右衛門(進藤英太郎)|高利貸しの男・高村義雄(菅井一郎)|三女・富子の婚約者・安井浩(三橋達也)|大森屋の直雇いの織り子(織工)の長・次郎爺(殿山泰司)|番頭の幸吉の兄、名古屋で工場を経営・横山岩次(近衛敏明)|ほか

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クラシック音楽    ポピュラー音楽   

2年前・4年前・6年前の11月、一夜一話。(2015年11月・2013年11月・2011年11月の掲載記事です)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-11-30 Thu 06:00:00
  • 映画
2年前の11月に掲載した映画です。
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2年前の11月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2015年11月 Archive)

写真
「下町の太陽」
監督:山田洋次
倍賞千恵子
写真
「誓いの休暇」
監督:グリゴーリ・チュフライ
ソ連
写真
「神々のたそがれ」
監督:アレクセイ・ゲルマン
ロシア
写真
「世紀の光」
監督:アピチャッポン
  ・ウィーラセタクン|タイ
写真
「アッカトーネ」
監督:ピエル・パオロ
  ・パゾリーニ|イタリア
写真
「白い光の闇」|スリランカ、
「消失点」 |タイ
第16回東京フィルメックス上映
7-0.jpg
「タルロ」|中国
「ベヒモス」 |中国
第16回東京フィルメックス上映


4年前の11月に掲載した映画です。
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4年前の11月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2013年11月 Archive)

写真
「スチャラカ社員」
監督:前田陽一
ミヤコ蝶々、新藤恵美
写真
「日本列島」
監督:熊井啓
宇野重吉、芦川いづみ
写真
「ビューティフルサンデー」
監督:中島哲也
永瀬正敏、尾藤桃子
写真
「豚と軍艦」
監督:今村昌平
長門裕之、吉村実子
写真
「サーカス五人組」
監督:成瀬巳喜男
大川平八郎、梅園龍子
写真
「八日目の蝉」
監督:成島出
永作博美、井上真央
写真
「M/OTHER」
監督:諏訪敦彦
三浦友和、渡辺真起子
写真
「土」
監督:内田吐夢
小杉勇、風見章子
写真
「僕は天使ぢゃないよ」
監督:あがた森魚
あがた森魚、斉藤沙稚子
写真
「ジェリーフィッシュ」
監督:E・ケレット,S・ゲフェン
イスラエル
写真
「デタッチメント
      優しい無関心」

監督:トニー・ケイ|アメリカ
写真
「わが友イワン・ラプシン」
監督:アレクセイ・ゲルマン
ソ連
写真
「M」
監督:フリッツ・ラング
ドイツ


6年前の11月に掲載した映画です。
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6年前の11月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2011年11月 Archive>

写真
「夫婦善哉」
監督:豊田四郎
森繁久彌、淡島千景
写真
「喜劇 夫婦善哉」
監督:土居通芳
藤山寛美、野川由美子
写真
「魚影の群れ」
監督:相米慎二
夏目雅子、緒形拳
写真
「洗濯機は俺にまかせろ」
監督:篠原哲雄
富田靖子、筒井道隆
写真
「春子とヒデヨシ」
パイナップルツアーズより
監督:中江裕司
写真
「新・夫婦善哉」
監督:豊田四郎
森繁久彌、淡島千景
写真
「喜劇 駅前団地」
監督:久松静児
森繁久彌、フランキー堺
写真
「ビリケン」
監督:阪本順治
杉本哲太、山口智子
写真
「君とボクの虹色の世界」
監督:ミランダ・ジュライ
アメリカ
写真
「石炭、金」
監督:ワン・ビン
中国
写真
「常緑樹」
監督:シン・サンオク
韓国
写真
「ブック・オブ・デイズ」 
監督:メレディス・モンク
アメリカ
写真
「南京の基督」
監督:トニー・オウ
日本・香港
写真
「ゼロシティ」
監督:カレン・シャフナザーロフ
ソ連
写真
「ゴールキーパーの不安」
監督:ヴィム・ヴェンダース
西ドイツ
写真
「ミスター・ツリー」
中国
(第12回東京フィルメックス)

写真
「食う。 百姓のエコロジー」
田中 佳宏 著



気になる映画 62  《これから上映の映画》

写真
「馬を放つ」|キルギス
監督:アクタン・アリム・クバト
3/17~ 岩波ホール
写真
「長江 愛の詩」|中国
監督:ヤン・チャオ
2/17~ シネマート新宿ほか
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「希望のかなた」|フィンランド
監督:アキ・カウリスマキ
12/2~ ユーロスペースほか
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「BPM」|フランス
監督:ロバン・カンピヨ
3/24~ ヒューマントラスト有楽町ほか
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「サーミの血」|スウェーデン
監督:アマンダ・ケンネル
(9/16~)
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「永遠のジャンゴ」|フランス
監督:エチエンヌ・コマール
(11/25~)
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アキ・カウリスマキが愛する
      フィンランドの映画

(11/25-12/1)
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「ニッポン国VS泉南石綿村」
監督:原一男
3月~ ユーロスペース
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「米軍が最も恐れた男
    その名は、カメジロー」

監督:佐古忠彦 (8/26~)
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チェコ映画の全貌
日本におけるチェコ文化年2017
11/28~ 京橋フィルムセンター
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色彩の探究
映画のさまざまな色を体験する
(10/11~) 京橋フィルムセンター



台湾映画「ジョニーは行方不明」,ワン・ビン監督香港映画「ファンさん」,インドネシア映画「見えるもの、見えざるもの」 ~第18回東京フィルメックス上映作品

この3作品の中では、冒頭の「ジョニーは行方不明」が抜きんでて良い。

『ジョニーは行方不明』   Missing Johnny|強尼・凱克|【コンペティション対象作品】
台湾|2017|105分|監督:ホァン・シー(HUANG Xi)|
1_201711250859498e8.jpg
 いい映画です。
 インコを飼う女と、知的障害が少しある少年、そして建物修理便利屋の男が登場する。舞台は台北の街。

 女がひとり住むアパートに少年の家族も住んでいる。だからこの2人は見知らぬ関係ではない。
 便利屋の男が働く現場に少年も下働きとして働いているが、男が少年を雇っているわけではない。
 女の部屋はアパート屋上にあるペントハウスで、その屋根に登って、ある日、男が雨漏り修繕をする。

 映画はこのように、3人は互いに浅い関係にあることを示していく。
 観客の方は、ここから次に何か物語が紡ぎだされるのではと期待しつつ待つことになるが、この導入部的なものが、物語の前奏曲的なものが、実は後半まで続いていく。
 その前奏曲に描き込まれるのは、台北の都会の中で、3人それぞれが抱える孤独の事情だ。
 この前奏曲はとても静かで繊細で美しい。

 そして映画はラストに向かう。
 同郷の男がアパートに現れる。女はこの男に長年囲われて来たのだが、その夜、もう耐えきれずに女は部屋を出て逃げる。
 出たところに偶然、便利屋の車が駐車していた。
 買い物を終えた便利屋が車に乗ろうとして、車内の女に気付く。ふたりの無言が続く。
 そしておもむろに便利屋は車を走らせる。

 ラストシーン。一番の見せ場である。
 夕暮れの台北市街を背景に、高速道路インターチェンジの遠景映像。
 その遠景の中、女を乗せた車が突然、インターチェンジ入口へ向かう登り坂で止まってしまう。エンジン故障で道をふさいでしまった。
 すぐに渋滞発生。車を降りて慌てる男と女。女は車を懸命に押す、後ろの車の運転手も手伝い始める。
 やがて、後続車が動き出す。
 陽が落ちるのは早い。映像は夜景となり、幾重にも交差する高速道にたくさんのヘッドライトが行き交う。
 それは台北に住む幾多の人生が行き交う夜景。その中に男と女もいる。 
 そして、どこかから舞い降りた安堵が観客を包む。

 本監督のデビュー作。
 あのホウ・シャオシェン監督に教えを受けて来たとのこと。
 作柄は、ホウ・シャオシェンに通ずるところもあるが、より繊細で21世紀的。
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便利屋の男
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知的障害が少しある少年

『ファンさん』   Mrs. Fang|方繡英|【特別招待作品】
香港、フランス、ドイツ |2017| 87分|監督:ワン・ビン (WANG Bing)|
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 認知症の老婆が自宅で衰弱死していく。
 その様子を凝視する監督独特のスタイルで映画はすすむ。

 老婆はもう話はできない、表情は無く意識はもうろうとしている。娘や息子や孫、親せきが集まって来る。
 彼らはベッドサイドで老婆を見守りながらも、静かではない。

 彼らの間で会話が絶えない。大きな声の話。
 それは、親族の集まり具合が悪いの、誰それがどうのこうのといった話。向こうの人はよく言い合いよくしゃべる。
 こういうシーンが長回しで続く。
 そおして、このごく普通の田舎の人々それぞれの生活意識が少し見えてくる。

 今回の作品は定点観測だ。撮影場所は屋外もあるが、多くはこの家のベッドサイド。
 一点を掘り下げる。がしかし、展開に乏しく飽きる。字幕に現れない情報を我々が取れないからかもしれない。

 安らかな死とは言えなくとも、事故死や突然の死ではない限り、見送る時、当事者は意外に冷静なものだ。
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『見えるもの、見えざるもの』   The Seen and Unseen|【コンペティション対象作品】
インドネシア、オランダ、オーストラリア、カタール|2017|86分|監督:カミラ・アンディニ(Kamila ANDINI)|
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 仲の良い双子の姉弟の話。
 弟がある日突然に倒れ入院した。脳腫瘍だった。
 病室で姉が弟に寄り添う。
 弟に寄せる姉のその思いを、バリの民話になぞらえて映画は幻想的に表現していく。

 こういう表現はアニメに向いている。
 実写だと、どうしても、大人が振り付けをした子供の芝居にしか見えない。
 そうは言っても、白い服の精霊(?)役の子供たちが、身体を丸くして病室の床や草原をマリのようにゆっくり転がる振り付けは、実写でも幻想的だった。舞踏派の舞台のようであれは悪くない。

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中国映画「相愛相親」,「天使は白をまとう」,「氷の下」 ~第18回東京フィルメックス上映作品

これら3作品の中では、「相愛相親」がいい出来です。

『相愛相親』   Love Education|相愛相親|【特別招待作品】
中国、台湾|2017|120分|監督・主演:シルヴィア・チャン(Sylvia CHANG)|
10_2017112210015589f.jpg
 女性監督(兼主演)によるホームドラマ、女性目線の映画です。
 喜劇的な場面があり、女性観客の間から時折クスクス笑いが聞こえました。
 また、シーンの切り返しに独特のリズムがあって、これが心地良い印象を与えています。 

 中年の主人公が母親の遺骨を、父親が眠る故郷の墓に埋葬しようとするが、故郷に住む父親の先妻に断固反対される話です。

 父親はその昔、先妻を故郷に残し出稼ぎに出た切り、故郷へ帰らず、都会で知り合った女性と結婚。この女性が主人公の母親でした。
 この間永い間、先妻は夫が帰って来るのを辛抱強く待ちました。そして遺骨となって帰って来てからは墓守をして来たわけです。だから故郷の村人たちは先妻の肩を持ちます。

 こんな筋書きを飾るエピソードが三つ。
 ひとつが、埋葬騒動を番組ネタにしようとするテレビ局。
 ふたつめは、主人公の娘。娘は当初、この内輪もめを客観視していましたが、そのうちに、孤独に生きる先妻に興味を持ち始め彼女に近づいていきます。
 もうひとつは、主人公の夫。尻に敷かれても、おっとりした夫。この俳優、いい味を出していますが俳優ではない。
 (本業は映画監督で名はティエン・チュアンチュアン。「青い凧」「ジャスミンの花開く」「ルアンの歌」「五月の恋」などで知られる人物)
 もちろん主人公を演ずる監督のシルヴィア・チャンもいいですね。

 ちなみに映画に出てくるシーンですが。
 TSUTAYAがやっている書店を中心にした生活提案型の店舗のような店、あちらの新幹線、モダンなマンションの部屋などなど、どれも日本と変わらない。いわゆる中国っぽいと思えるシーンは、先妻の住む古風な家屋くらいでしょうか。
 映画は、現代の中国の都会に住む家族の様子がよくわかります。
写真
娘は彼氏と家出し先妻の家へ。
彼氏はミュージシャン。
写真
その昔は夫が好きだった。
そんなことさえ忘れていた妻。

『天使は白をまとう』   Angels Wear White|嘉年華|【特別招待作品】
中国|2017|107分|監督:ヴィヴィアン・チュウ(Vivian QU)|
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 ふたりの少女が主人公のお話です。
 家出をし各地を転々としたのち、この海辺のリゾート地へ流れ着いた16歳の少女(左写真)。
 彼女は小さな(ラブ)ホテルで住み込みの従業員をしている。

 もうひとりは、私立名門校の小学生の女の子。母親と二人住まいだが、母は娘の面倒を見ない女。
 この子は同級生と一緒に、地元の名士に誘われホテルで一泊し援助交際をしたが、16歳の従業員が従業員としてこのことを目撃する。

 のちにこれが発覚し事件となり、地元警察が動き出して、小学生の少女二人は親同伴で病院にて検査を受けることになる。
 名士関係者やホテルのオーナーはもみ消しを図るが、噂は広がる。
 名士は少女の親に金で働きかける。今後の教育費の面倒をみると。
 ついに警察も名士の味方をする。事件は無かったことになってしまう。そして少女たちは・・。

 脚本が練れていない。物語を巧く物語れていないのだ。
 また、二人の少女の心の様子が描き切れていない。俳優のだんまりだけでは伝わらない。ただし、小学生役の少女の目つきは、多部未華子のように鋭い。
 根底にある社会批判がぬるいのは、致し方ないか。 
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『氷の下』   The Conformist|氷之下|【コンペティション対象作品】
中国|2017|126分|監督:ツァイ・シャンジュン(CAI Shangjun)|
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 う~ん辛い。

 コワモテ風を狙っているようだが、脚本が空中分解している。
 それを知ってか、126分間、客を飽きさせないようにと、あるいは驚かそうと、次から次へと肩に力が入った映像が出てくる。
 カメラは頑張っていたが、私は映画の終わるのが待ち遠しかった。









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気になる映画 61  《これから上映の映画》

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「泳ぎすぎた夜」
監督:五十嵐耕平、D・マニヴェル
2018春 イメージフォーラム
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大映女優祭 48作品上映
大映創立75年記念企画
12/9-1/12 角川シネマ新宿
写真
市川準監督 傑作選ベスト5
ベスト1 大阪物語、ベスト2 BU・SU
12/2-8 目黒シネマ
写真
追悼 松本俊夫
ロゴスとカオスのはざまで
12/9-22 イメージフォーラム
写真
「花咲くころ」|2013年グルジア
岩波ホール創立50周年記念
来年2/3-3/16 岩波ホール
写真
「皆殺しの天使」ほか
ルイス・ブニュエル監督特集
12月 イメージフォーラム
写真
「デヴィッド・リンチ:アートライフ」
出演:デヴィッド・リンチ
来年1/27-シネマカリテ・アップリンク他
写真
東南アジアの都市生活
短編ドキュメンタリー作品上映&トーク
12/9 国際交流基金ホール
12/7 京大東南アジア地域研究研究所
稲盛財団記念館
写真
東南アジア映画特集
12/9,16,23 2018/1/6 
東京外大 アゴラグローバルプロメテウスホール



映画「スワロウテイル」 映画音楽に魅せられて 主演:CHARA 監督:岩井俊二

上

 日本のどこか、海沿いの都市、その市街の外れにある、円都(イェンタウン)と呼ばれる無法のバラック集落地区に、中国系不法移民たちが住んでいる。

1-0_201711171315104b1.png 映画冒頭で私たちはたちまち、この移民たちの日常世界に引き込まれる。
 それは、中国語をベースに片言の日本語・英語が混じる無国籍風のセリフ、かつシーンの様子も、いかにも無法地域らしく怪しげで素晴らしいからだ。ロケ地選択と美術の仕事の勝利だろう。

2-0_201711171316336f7.png 映画は、この円都(イェンタウン)での物語を第一章にして、次に円都の暮らしから離脱する主人公らの新たな展開を第二章にする二部構成。
 映画全体を通して思うに、正直言って脚本が弱い。
 弱いが、これを補って余りあるものにしているのは、なんと言ってもCHARA自身の魅力と彼女の歌。
 加えてやはり、映像イメージが牽引する無法の街のシーンの作りだ。

 ミュージシャンで女優のCHARAの魅力とは、少女っぽい舌足らずな中国語のセリフかも知れない。
 歌は、恥ずかし気に歌いだす「マイウェイ」もいいが、映画ラストに流れる「Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜」がいいですね。
 当時、この歌はヒットしてよく流れていました。曲の冒頭の、哀愁のある儚げなシンセサイザーの音色がいいし、もちろんCHARAのウィスパーボイスが魅力的です。
 映画製作の1996年はバブル崩壊の直後。そんな厭世的な気分が映画の背景にあるような気がします。 

 
監督・原作・脚本:岩井俊二|1996年|149分|
撮影:篠田昇|音楽:小林武史|主題歌:YEN TOWN BAND|美術:種田陽平|
出演:ヒオ・フェイホン(三上博史)|グリコ(CHARA)|アゲハ(伊藤歩)|リョウ・リャンキ(江口洋介)|マオフウ(アンディ・ホイ)|ラン(渡部篤郎)|鈴木野(桃井かおり)|シェンメイ(山口智子)|レイコ(大塚寧々)|星野(洞口依子)|医者(ミッキー・カーチス)|葛飾(渡辺哲)|須藤(塩見三省)|浅川(武発太郎)|アーロウ(シーク・マハメッド・ベイ)|ホァン(小橋賢児)|ワン(翁華栄)|アゲハの母・ユリコ(藤井かほり)|デイブ(ケント・フリック)|金髪男(ローリー寺西)|本田(田口トモロヲ)|楠木(鈴木慶一)|監査官(山崎一)|亀和田(北見敏之)|パンク男(光石研)|ロリータ店長(酒井敏也)|インタビュアー(クリス・ペプラー)|藤田(陰山泰)|ツェン(顧暁東)|ニハット(アブラハム・レビン)|チュンオン(楊錠宇)|クラブの客(浅野忠信)|少女アゲハ(鴨川寿枝)|YEN TOWN BAND(ブライアン・バートン―ルイス、カーク・D・ハバード、カレブ・ジェイムズ、アリ・モリズミ・MTV、 C.J.、ダニエル・グルーンバウム)|

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1年前・3年前・5年前の11月、一夜一話。(2016年11月・2014年11月・2012年11月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-11-15 Wed 06:00:00
  • 映画
1年前の11月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の11月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2016年11月 Archive>

写真
「あん」
監督:河瀬直美
樹木希林
写真
<カ行> の洋画
これまでに記事にした洋画
2016.11.15 現在
写真
「エル・スール」
監督:ビクトル・エリセ
スペイン
写真
「橋の上の娘」
監督:パトリス・ルコント
フランス
写真
第17回東京FILMeX上映作品
3作品:スリランカ、韓国、中国
       
写真
第17回東京FILMeX上映作品
「マンダレーへの道」
台湾/ミャンマー
写真
今日はジャズ・ボーカルだよ。
ダイアナ・クラールと
ナット・キング・コール
写真
最近、読んだ本、3冊。


3年前の11月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  3年前の11月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2014年11 Archive)

写真
「鴛鴦歌合戦」
監督:マキノ正博
片岡千恵蔵、市川春代
写真
「箱入り息子の恋」
監督:市井昌秀
星野源、夏帆
写真
「穴」
監督:市川崑
京マチ子,船越英二,山村聡
写真
「顔役」
監督:勝新太郎
勝新太郎,山崎努,藤岡琢也
写真
「タラデガ・ナイト
      オーバルの狼」

アメリカ
写真
「記憶が私を見る」
監督:ソン・ファン
製作:ジャ・ジャンクー|中国
写真
「グロリア」
監督:ジョン・カサヴェテス
アメリカ
写真
「バニシング・ポイント」
監督:R・C・サラフィアン
アメリカ
写真
「呼吸」
監督:K・マルコヴィックス
オーストリア
写真
東京フィルメックス2014
「扉の少女」
韓国
写真
東京フィルメックス2014
「生きる」
韓国
写真
美術展「楽園としての芸術」
障害ある人たちによる作品展
(東京都美術館)
写真
美術展「オープン・スペース
          - 2014」

( 東京オペラシティ内 ICC)
写真
京都のはなし
うどん


5年前の11月に掲載した映画です。
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  5年前の11月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2012年11月 Archive)

写真
「宇宙大戦争」
監督:本多猪四郎
特撮: 円谷英二
写真
「野良犬」
監督:黒澤明
三船敏郎、志村喬
写真
「暁の追跡 」
監督:市川崑
池部良、杉葉子
写真
「Love Letter」
監督:岩井俊二
中山美穂
写真
「ヒポクラテスたち」
監督:大森一樹
古尾谷雅人、伊藤蘭
写真
「ドント・ルック・バック」
ドキュメンタリー映画
アメリカ、イギリス
写真
「トニ」
監督:ジャン・ルノワール
フランス
写真
「ヘンリー・フール」
監督:ハル・ハートリー
アメリカ
写真
「ウェルカム・トゥ
       ・コリンウッド」

アメリカ
写真
「鬼火」
監督:ルイ・マル
フランス
写真
「恋の邪魔者」
監督:パトリス・ルコント
フランス
写真
「おばあちゃんの家」
監督:イ・ジョンヒャン
韓国
写真
「天使の眼、野獣の街」
監督:ヤウ・ナイホイ
香港
写真
「灯台守の恋」
監督:フィリップ・リオレ
フランス



映画「あらくれ」(1957) 主演:高峰秀子 監督:成瀬巳喜男

上

 明治に生まれ、大正の時代を生きる女、お島(高峰秀子)の話。

1-0_20171112165819fbe.jpg お島は「あらくれ」な女、世間・風習に逆らって荒々しく振る舞い生きる女だと映画は言う。
 夫に盾突き、取っ組み合いの夫婦喧嘩をしたり、夫の浮気相手の女と組んずほぐれつの格闘をする。そして大抵、お島は勝つ。
 たしかに時として、お島は乱暴を働く女だが、果たして「あらくれ」な女だろうか。
  
 お島は、養女として育てられた。
 年ごろになった頃、養子先の家が一方的に決めた縁談を嫌い、祝言当日にお島はその家を飛び出した。
 そののち東京に出て、病で妻を亡くした缶詰屋の鶴さん(上原謙)と結婚。だが鶴さんの浮気が続き、夫婦仲は破綻、ついに離婚。

 離婚したはいいが、世間にお島の居場所はない。
 実家を出たきりの実兄を頼って、お島は見知らぬその地へ行くが、そこの旅館の女将に金を借りた兄が行方不明になる。お島は、仕方なく、その旅館の女中として働き始めた。

 旅館の若旦那、浜屋(森雅之)の妻は病弱で、静養のため実家にいた。そんなことで若旦那はお島に恋してしまう。
 やがて妻の身体が回復し実家から妻が帰って来る。板挟みになった若旦那は、お島を妾にして関係を続けようとするが、お島はこれを嫌い、再び東京へ出た。

2-0 縫製の店で働き始めたお島は、職場の男、小野田(加東大介)と所帯を持ち、洋服仕立て屋を始める。
 しかし、一緒になってお島は小野田に商才が無いことに気付き始める。そのうえ小野田は、女(三浦光子)とねんごろになり、家まで持たせる始末。
 業を煮やしたお島は、店の若い職人(仲代達矢)と小僧を連れて温泉地へ出かけた。それは、3人で新しく店を開こうという相談のためであった。

 
 たしかに、お島は男勝りで才覚がある。
 一方、登場する男たちは皆、器が小さく、お島が抵抗しようとすると、世間体を持ち出し、女を見くだす態度をとる。
 映画は、そんな男尊女卑がまかり通る時代に生きる女の自活を描こうとしている。

 がしかし、観終わってみれば、高峰秀子の演技は印象に残るが、男たちの人物像がどれも紋切り型で、結果、相対するお島の人物像も平板になってみえる。よって作品としてはいささか凡庸な印象だ。
 本作は原作と趣が少々違うかも知れない。

監督:成瀬巳喜男|1957年|121分|
原作:徳田秋声『あらくれ』1915年(大正4年)|脚色:水木洋子|撮影:玉井正夫|
出演:お島(高峰秀子)|缶詰屋の主・鶴さん(上原謙)|田舎の旅館の若旦那・浜屋(森雅之)|洋服の仕立て職人・小野田(加東大介)|お島の実父(東野英治郎)|お島の実母(岸輝子)|お島の兄・壮太郎(宮口精二)|お島の姉・おすず(中北千枝子)|お島の養父・喜助(坂本武)|お島の養母・おとら(本間文子)|作太郎(谷晃)|植源の隠居(林幹)|植源の隠居の息子・房吉(田中春男)|鶴さんの幼なじみで小野田の女になった女・おゆう(三浦光子)|浜屋の妻・お君(千石規子)|精米所の主人(志村喬)|お島の伯母(沢村貞子)|お島の店の職人・木村(仲代達矢)|ほか

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人気の映画記事 ベスト10

  • Posted by: やまなか
  • 2017-11-08 Wed 06:00:00
  • 映画
 よく訪問いただいている人気の映画記事、ベストテンを更新しました。
 日本映画ベスト10、外国映画ベスト10、それぞれに、こちらからご覧ください。



映画「喜劇 駅前旅館」 監督:豊田四郎

上






 本作は1958年の製作。このころの日本映画は良く出来ている。
 脚本も演出も、俳優の技量も、娯楽性も、文句なしにハイレベル。
 ベテラン俳優の、さりげない一挙手一投足に、感情表現の絶妙な味があることにも注目してほしい。

 東京の「東玄関」上野駅の駅前旅館150軒や飲食店街は、多くの旅行客に親しまれ繁盛して来た。
 そして昨今、修学旅行の団体客が、毎日のように旅館街にどっと押し寄せてくる!

1-0_201711041139566da.png 戦後、修学旅行が再開され、さらに本格化したのが、この映画の時代、1950年代。
 戦前は、修学旅行は「国家神道教育」に通じる神社を目的地としていたが、戦後、これが自由化され、さらには修学旅行は誰もが行くものとして一般化された。
 よって修学旅行の行き先は、交通の利便性や社会見学先を考えると日本の「首都」東京になり、かつ団体客の受け入れ可能な宿泊旅館を考慮すると、自ずと上野であった。

 このことで、焼野原から復興してきた上野の駅前旅館街は一変した。
 大型の旅館は、黙っていても、各地の学校から予約が入るという、ウハウハ極楽状態。もう上野駅前で客引きする必要は無くなっていた。
 
 こんなことを背景に「喜劇 駅前旅館」は始まる。
 大型旅館の柊元(くきもと)旅館、ここのベテラン番頭の次平(森繁久彌)は、玄関で騒ぐ修学旅行生たちを目の前にして嘆く。「これは旅館じゃない、流れ作業の工場だ」
 40歳代の次平は客引きのプロ。次平を頼って来るリピーター一般客も多い。旅館一同の、宿泊客に対する丁寧なおもてなし。
 しかし、修学旅行生の団体客を相手にすると、旅館は、彼らの一日のスケジュールに沿って流れ作業のように動く。次平はこれを、もはや旅館業の工場化だという。

2-0_20171104114124f04.png 本作公開時の宣伝文句は、「舌三寸で客を引き、胸三寸で恋のせる、番頭家業の裏おもて」。
 旅館街のそばにある飲み屋の女将、お辰(淡島千景)の店に、次平や他の旅館の番頭たち(伴淳三郎、多々良純ら)の口達者な常連が集まる。お辰は前々から次平に気があるが、次平にその気があるのや無いのやら。

 くわえて、恋物語がもう二つ。
 はとバスの添乗員の小山欣一(フランキー堺)は、柊元旅館の可愛い女中、お京(三井美奈)が好き。ふたりのその先はいかに。
 もうひとつの話は、次平の昔の女、於菊(淡路恵子)が柊元旅館に客として現れる。さてこちらの展開は・・。

 そして、団体客の物語。
 関西女子高の修学旅行生を引率する老先生(左卜全)、同じく四国男子高の先生(藤村有弘)、同じく東北女子高の先生(若水ヤエ子)に、山田紡績の社員旅行を引率するおばさん社員(浪花千栄子)が、話に騒ぎを持ち込む。

 さらには、上野界隈のやくざの頭(山茶花究)が率いる一団が、客引きを巡って、あるいは旅館の女中の引き抜きや麻薬売買で騒ぎを起こす。
 さてさて、このあと、すったもんだのお話はどうなりますでしょうか、それは観てのお楽しみ。
 ちなみに、柊元旅館主人(森川信)、その妻(草笛光子)も話に味を添えています。
 
監督:豊田四郎|1958年|109分|
原作:井伏鱒二|脚色:八住利雄|撮影:安本淳|
出演:生野次平(柊元旅館番頭):森繁久彌|柊元三治(柊元旅館主人):森川信|柊元お浜(柊元旅館内儀):草笛光子|柊元梅吉(柊元旅館中番):藤木悠|柊元お京(柊元旅館女中):三井美奈|柊元お松(柊元旅館女中):都家かつ江|高沢(水無瀬ホテル番頭):伴淳三郎|春木屋番頭:多々良純|杉田屋番頭:若宮忠三郎|小山欣一(添乗員):フランキー堺|お辰(辰巳屋女主人):淡島千景|於菊:淡路恵子|相田(関西女子高校先生):左卜全|広見(四国男子高校先生):藤村有弘|保健の先生(山田紡績):浪花千栄子|女の先生(東北女高):若水ヤエ子|カッパのボス株:山茶花究|カッパA:大村千吉|カッパB:西条悦朗|カッパC:堺左千夫|カッパD:水島直哉|辰巳屋小女:小桜京子|山田(紡績所長):谷晃|芸者:三田照子|女学生:市原悦子|

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気になる映画 60  《これから上映の映画》

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「最低。」
監督:瀬々敬久
11/25~角川シネマ新宿ほか
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「二十六夜待ち」
監督:越川道夫
12/23~テアトル新宿
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「ニッポンの、みせものやさん」
監督:奥谷洋一郎
11/25-12/1 新宿K’cinema
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シネマヴェーラ的大映女優祭
11/4-12/1
シネマヴェーラ渋谷
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女優で観る
<大映>文芸映画の世界
11/25-12/22 神保町シアター
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女優 倍賞千恵子特集
11/4-12/1 横浜シネマリン






2年前・4年前・6年前の10月、一夜一話。(2015年10月・2013年10月・2011年10月の掲載記事です)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-10-31 Tue 06:00:00
  • 映画
2年前の10月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
2年前の10月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2015年10月 Archive)

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「風切羽」
監督:小澤雅人
秋月三佳
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「その夜の侍」
監督:赤堀雅秋
堺雅人
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「喧嘩犬」
監督:村山三男
田宮二郎
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「下妻物語」
監督:中島哲也
深田恭子、土屋アンナ
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「ヴィヴィアン・マイヤーを
          探して」

(ドキュメンタリー映画)
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「イゴールの約束」
監督:ダルデンヌ兄弟
ベルギー
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「ハネムーン・キラーズ」
監督:レナード・カッスル
アメリカ
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「ヘルシンキ・ナポリ
    オールナイトロング」

監督:ミカ・カウリスマキ
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「憂鬱な楽園」
監督:ホウ・シャオシェン
台湾
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“1970年代の日本のロック、フォークを
振り返る”をテーマにして読んだ本。


4年前の10月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
4年前の10月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2013年10月 Archive)

写真
「PicNic ピクニック」
監督:岩井俊二
チャラ、浅野忠信
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「ヘヴンズ ストーリー」
監督:瀬々敬久
寉岡萌希、長谷川朝晴
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「燃えつきた地図」
監督:勅使河原宏
勝新太郎、市原悦子、渥美清
写真
「狂った野獣」
監督:中島貞夫
渡瀬恒彦、川谷拓三
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「密航0ライン」
監督:鈴木清順
長門裕之,清水まゆみ,中原早苗
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「タナカヒロシのすべて」
監督:田中誠
鳥肌実、ユンソナ
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「さゞなみ」
監督:長尾直樹
唯野未歩子,豊川悦司,松坂慶子
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「妹」
監督:藤田敏八
秋吉久美子、林隆三
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「ヘッドライト」
監督:アンリ・ベルヌイユ
フランス
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「フィッシュ・タンク」
監督:アンドレア・アーノルド
イギリス
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「トゥルー・ヌーン」
監督:ノシール・サイードフ
タジキスタン
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「カリフォルニア・ドールズ」
監督:ロバート・アルドリッチ
アメリカ
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「第七天国」
監督:フランク・ボーゼージ
アメリカ
写真
「母と娘」
監督:ロリー・ビー・キントス
フィリピン


6年前の10月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
6年前の10月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2011年10月 Archive>

写真
「ツィゴイネルワイゼン」
監督:鈴木清順
原田芳雄、大谷直子
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「白昼堂々」
監督:野村芳太郎
渥美清、倍賞千恵子
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「雨の中の二人」
監督:桜井秀雄
田村正和、中村晃子
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「台所太平記」
監督:豊田四郎
森繁久彌,淡島千景,ほか女優多数
写真
「ある日、突然。」
監督:ディエゴ・レルマン
アルゼンチン
写真
「キャラメル」
監督:ナディーン・ラバキー
レバノン
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「旅立ちの汽笛」
監督:A・アブディカリコフ
フランス・キルギス
「戦争のない20日間」
監督:アレクセイ・ゲルマン
ソ連
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「テハンノで売春していて
バラバラ殺人にあった女子高生
まだテハンノにいる」
|韓国
写真
「都市の夏」
監督:ヴィム・ヴェンダース
西ドイツ
写真
「ワンダーランド駅で」
監督:B・アンダーソン
アメリカ
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「クリチバ 0℃」
監督:エロイ・P・フェへイラ
ブラジル
写真
「明りを灯す人」
監督:アクタン・A・クバト
キルギス
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「再会の食卓」
監督:ワン・チュアンアン
中国
写真
「アイ・ラブ・北京」
監督:ニン・イン
中国
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「仁義」|フランス
監督:ジャン=ピエール
        ・メルヴィル
写真
「いぬ」|フランス
監督:ジャン=ピエール
        ・メルヴィル




映画「ブロンクス物語 愛につつまれた街」 監督:ロバート・デ・ニーロ

写真
「犯人は誰だ」 幼いカロジェロが目撃証人となった。みな、街のギャングだ。
犯人である組のボス、ソニーは目の前にいる。横で父親はハラハラする。



写真
カロジェロ9歳














写真
この金は誰から貰った?と父は問う
     
写真
カロジェロはボスから目をかけられ、
賭博場のサイコロ振りで小遣いをもらう。

 ニューヨークはマンハッタン北辺の、ハーレム川の向こう、そこはブロンクス。
 時は1960年代。ブロンクスの、その一区画は当時イタリア系暴力団が支配する街だった。
 これは、この街に生まれ育った少年の成長を綴るお話。そして、人種差別の偏見を越えたラブストーリー。

 少年・カロジェロと両親が暮らす家は、通りに面した3階建ての3階。
 そして隣りの店は、街のギャングの溜まり場だ。地下室は賭博の場になっていた。
 こんな環境は、自ずと9歳のカロジェロに「街のスター」である、組のボスや組員たちへの好奇心や憧れをすり込んだ。

1-0_201710281144562a0.jpg 組のボス、ソニー(チャズ・パルミンテリ、本作の脚本を書いている)は、街の住人から表向き尊敬されつつも、人々を恐怖心で支配していた。
 一方、ソニーは気に入った人間には気配りする男。教養は無いものの、人生哲学を持っていて、刑務所では難しい本を読んでいたらしい。

 ある日、カロジェロは家の前にいて、ソニーが男を射殺する現場を目撃する。
 その直後、その現場で、駆け付けた刑事は容疑者たちを集め、幼いカロジェロを目撃証人にして犯人識別を始めた。

 通りに幾人かの人の目があったはずなのに、警察に対しカロジェロを目撃証人とした、街の人々。それでいて、事の行方は面白そうだと様子をうかがう街の野次馬。

 そんな人だかりの中、息子から事件の様子を既に聞いていた父親・ロレンツォ(ロバート・デ・ニーロ)は、息子がソニーを犯人と言わないかと気を揉んだ。だが、カロジェロは「ここに犯人はいない」と言った。
2-00_201710281202044d9.jpg この時からカロジェロが17歳になるまで、ソニーとは親子のような関係が続いた。(映画は主に、このふたりの様子を描いていく)

 ソニーは何かとカロジェロに便宜を払い可愛がった。だがカロジェロは悪の道へは行かなかった。
 それはソニーがカロジェロを、自分のような道に行かせたくなかったこと(つまりソニーのカロジェロへの恩返し)、くわえて正義感ある父親・ロレンツォの存在があったからこそだった。

 黒人女性ジェーン(タラル・ヒックス)との出会い。人種を越えた愛。
 ロレンツォは、ブロンクスを巡るスクールバスの運転手だ。
 高校生になったカロジェロ17歳は、父親が運転するバスに乗っていた時、同じ高校に通うジェーンに一目惚れしてしまう。ジェーンの方もそうだった。

 だが同じブロンクスでも、カロジェロが住む一画はイタリア人の街、ジェーンが住む街は黒人街。ふたつの街はいつもいがみ合っていた。ふたりの間に壁は無くても、ふたりの周囲はそうではなかった。
 イタリア人地区を通り過ぎようとする黒人たちが襲われることもしばしばであった。しかしカロジェロはこれには加わらない。どうして彼らを虐めるのかと。
 そんな街の雰囲気のなか、カロジェロが黒人女性と付き合うことは非難の的だった。
 悩んだカロジェロは父親に話すが、正義感ある父親ではあったが、反対した。
 ソニーにも話した。彼は反対しなかった上に、付き合うに値する女性かを判断する方法を教えてくれた。

 カロジェロの幼なじみの連中は、街の不良になっていた。ソニーはカロジェロに、あんな奴らに近づくなといつも言われるが、長年の付き合いもある。カロジェロは、彼らとつるむ時はつるんでいた。

 ある夜、彼らは車に乗って黒人街へ行き、拳銃と火炎瓶で一軒の店を襲撃した。
 彼らの襲撃は成功したかにみえたが、投げた火炎瓶を1人の黒人が投げ返し、彼らの車は炎上、彼ら全員が焼死した。
 
 実は、この事件の直前、彼らに誘われたカロジェロも、これから襲撃しようとする車に悶々としながらも乗っていた。
 その様子を見かけたのか、走る車にソニーの車が近づき、ソニーはカロジェロに降りろと命令した。
 そしていつもの小言、こいつらに近づくな。そしてカロジェロはソニーの車に乗せられ、その場を去ったのだ。結果、カロジェロはソニーのおかげで命拾いをした。

3-1_201710281215259e6.jpg ソニーが死んだ。
 かつて父親をソニーに殺された男が、ソニーを撃ったのだ。即死であった。
 葬儀に加わったカロジェロは、ソニーの手下たちの誰もが悲しまずにいることを、冷めた目で眺めていた。
 カロジェロは、葬儀が終わっても、棺の前にひとりいた。そして、眠るソニーに言った。「これからもジェーンと付き合っていくよ」 

 警察に嘘をつき悪者ソニーを救ったカロジェロの心の迷いに注目してください。
 父親はカロジェロに「大人になれば分かる」と言うが、これじゃ子供には分からないですね。それと脚本上、父親の存在が薄い。
 カロジェロがサイコロを振って、もらった多額の金をソニーに返すと父親が妻に言うシーン、稼ぎのいい仕事を紹介するとソニーから言われたが断ったと妻に言うシーン、この時、妻は残念がります。妻は正義より現実主義者のようで、可笑しいです。

 ちなみに映画では、40曲ほどの1960年代のポップスが流れています。シナトラやビートルズやボブ・ディランも聴こえてきます。
 曲は、場面に合わせて白人ポップスと黒人ポップスを使い分けています。例えば黒人街のシーンでは例えばジェームズ・ブラウンのソウルが流れます。
 カロジェロの父はスクールバスを運転しながらジャズを聴いてます。でも17歳のカロジェロはジャズが嫌いです。
 カロジェロの幼なじみは、黒人ポップスのドゥーワップを嫌っています。

 映画のサウンドトラック曲目リスト:http://www.imdb.com/title/tt0106489/soundtrack

下 12 左端オリジナルタイトル:A Bronx Tale|
監督:ロバート・デ・ニーロ|アメリカ|1994年|121分|
脚本:チャズ・パルミンテリ|撮影:レイナルド・ヴィラロボス|
出演:カロジェロ・アネロ(リロ・ブランカート・ジュニア)|ロレンツォ・アネロ(ロバート・デ・ニーロ)|ソニー(チャズ・パルミンテリ)|
カーマイン(ジョー・ペシ)|9歳のカロジェロ(フランシス・キャプラ)|ジェーン・ウィリアムズ(タラル・ヒックス)|ロジーナ・アネロ(キャスリン・ナルドゥッチ)|ジミー(クレム・カセルタ)|エディ(エディ・モンタナーロ)|ジョジョ(フレッド・フィッシャー)|

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映画「青空娘」 主演:若尾文子  監督:増村保造

下






1-00_201710260754521ec.png





















 いい映画ですね。
 娯楽映画の喜劇をベースにした、継子(ままこ)いじめと、まだ見ぬ実母を探す話。
 そして、

 この物語の中、主人公・小野有子18歳(若尾文子)は、苦境をはねのけ、青空の下、爽やかに駆け抜けて行きます。


 喜劇的な役回りは、有子が卒業した女子高の恩師で独身の二見先生(菅原謙二)、有子に一目惚れするお坊ちゃん青年の広岡(川崎敬三)、有子の実父小野栄一の大邸宅の女中・八重(ミヤコ蝶々)、そしてちょい役ですが、穏やかな広岡の母親(東山千栄子)や、気っぷのいいキャバレーの女支配人(清川玉枝)。
 これに対し、有子を虐める悪役は、小野の正妻・達子(沢村貞子)にその長女照子。

 そもそも、有子の不幸のもとは、父親の小野栄一(信欣三)だ。
 栄一は今は大手町にある会社の社長だが、若いころ、職場の女性と恋愛し、有子が生まれた。しかし、これは不倫であった。
 それまでに栄一は、上司の役員に押し切られて、その娘・達子(沢村貞子)と結婚していた。だが結婚当初から栄一は、達子に愛を感じることはなかった。

2-0_20171025103255905.png 有子は生まれてすぐに、伊豆の海近い、母親の実家に預けられた。そして母・三村町子(三宅邦子)は姿を消す。
 それから18年後、祖母に育てられ高校を卒業した有子は、父親の招きで、東京にある父親の自宅で暮らすことになっていた。
 その直前、祖母が他界。祖母は死に際に、東京の母は実の母ではないと有子に告げた。
 次女の有子はこれまで、兄姉そして弟の4人のうち、自分だけが伊豆にいることに疑問を持ってはいたが、誰もそのわけを言う者はいなかったし、有子も深くは考えて来なかった。

 そして、高校を卒業した有子は東京へ。
 しかし、大邸宅で有子を待っていたのは正妻・達子の冷たい仕打ちだった。
 つまり、次の女中が見つかるまでは(というレトリックで)、その日から、有子は女中としてこの家に住むことになった。なんと彼女にあてがわれた一室は階段下の納戸であった。(まるでハリー・ポッターのようだ)
 有子を不憫に思うのは、この家の古女中の八重(ミヤコ蝶々)、八重は有子を暖かく、面白おかしく励ます。

 そこへ父親が出張先から帰宅。有子との再会を喜ぶ間もなく、父親は、妻・達子の有子に対する待遇に驚き、冷たく短い夫婦喧嘩。
 そして父親が折れた。それから達子へ愚痴。有子を呼ぶことについて、あんなに何度も、頭を下げて頼んだのに、この様か。
 しかし、有子は歳に似合わず大人の対応であった。つまり、女中として同居することに異を唱えなかった。八重は有子に、女中仕事を教え始め、有子は積極的に女中であろうとした。

3-0_2017102510491822e.jpg そんなある日、さる会社社長の御曹司である広岡(川崎敬三)が、この家に現れる。広岡は、長女の照子が招いた遊び仲間のひとりで、照子は彼を好いていた。(照子も社長令嬢だ)
 しかし、広岡は女中の有子に一目ぼれしてしまう。このことから、照子はそれまで以上に有子を憎むようになるし、母・達子も同様だった。

 そんなこんなで、自宅で有子とゆっくり話せない父親は、彼女を会社に呼んだ。
 有子は父親から、実母とのいきさつを初めて聞き、母の写真を見せられた。初めて見る、私のお母さん。

 女中であろうとした有子だったが、正妻・達子と照子の虐めに耐えかねて、ついに伊豆へ帰ってしまう。
 煮え切らぬ父親と、有子を愛する広岡、そして不憫に思う女中・八重は、有子を案じる以外に手の打ちようはなかった。

 
 ここから話は急展開。
 帰郷した有子に、叔母が言った。つい先日、お前の母親が訪ねてきたと。私のお母さんは生きている。東京にいるらしいことが分かる。
 東京に戻った有子は、恩師・二見先生(菅原謙二)に会う。(有子の卒業後、先生は教師を辞め、東京の広告制作プロダクションのデザイナーになっていたのだ)

5_2017102511323909e.png 教え子恩師の一線を越えて密かに有子を愛する二見先生と、結婚を前提に付き合いたいと公言する広岡の二人は、有子の母親探しに協力する。
 そして、有子は母親の三村町子(三宅邦子)に会えたのであった。

 
 喜劇と悲劇で挟んだ「王子様との恋」サンドイッチをお楽しみください。 
 くわえて、映画が語る物語の展開に沿って、映像が実に的確で分かりやすい表現をしていることに注目してほしい。
 有子を実家に預けた母は悲しみを抱き満州へ、そして現地で結婚。これは、戦前、たぶん昭和14、15年ごろ。中国東北部に満州国という日本の傀儡政権があったころ。母は戦後、帰国し二見先生の勤務先の雑居ビルの掃除婦をしていた。

監督:増村保造|1957年|88分|
原作:源氏鶏太|脚色:白坂依志夫|撮影:高橋通夫|
出演:小野有子(若尾文子)|有子が通った高校の恩師・二見桂吉(菅原謙二)|有子に一目惚れした広岡良輔(川崎敬三)|その母親・広岡静江(東山千栄子)|有子の実父・小野栄一(信欣三)|その正妻・小野達子(沢村貞子)|その長女・小野照子(穂高のり子)|同じくその長男・小野正治(品川隆二)|同じくその次男・小野弘志(岩垂幸彦)|有子の実母・三村町子(三宅邦子)|小野家の女中・八重(ミヤコ蝶々)|小野家に出入りする魚屋・哲五郎(南都雄二)|有子のお婆さん(滝花久子)|有子の友人・信子の叔母でキャバレーの支配人(清川玉枝)|
6-2.png
有子の部屋は、階段下の納戸
写真
女中であろうとする有子
6-3.png
ブルジョアは鯛、私らはイカ
     
6-4.png
有子を諦める二見先生
写真
失恋乾杯に付き合う女支配人
6-6.jpg
広岡と始まる新しい人生


【 一夜一話の 歩き方 】
上2
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映画「シークレット・サンシャイン」 監督:イ・チャンドン

上2

 
 とても良く出来た、いい映画です。
 脚本も演出も女優チョン・ドヨンの演技も、どれもが素晴らしい出来。

1-0_2017102214411826c.jpg ですが、テーマは実に重いです。(ここで引いても結構)
 家族愛、夫との死別、誘拐犯による息子の死、神の愛・救い(信仰の喜び)と癒えぬ心、救われぬ信仰、自殺未遂、救いのないその先。

 映画は、総じては安易な表現(例えば劇画的な)にならず、リアルでていねいな描写に徹しています。
 もう少し言えば、登場人物のその場の様を、セリフに頼らず上手に感情表現し、映像表現しています。 
 主人公のみならず脇役たちについても、いるいるそんな人がというように活き活きと描かれ、映画の中で息づいています。
 
 未亡人シネ(チョン・ドヨン)は一人息子のジュンを連れ、ソウルから密陽(ミリャン)に引っ越してきた。
 港町プサンから北へ入ったこの小さな街は、亡夫の故郷であった。シネは、母子の人生の再出発を、夫が愛したこの街に託したのだった。

 シネは、ものをストレートに言う女で勝気。夫の親・親戚と、またシネの唯一の肉親である実弟とも疎遠なのは、彼女のそういう性格がそうしているのかもしれない。

 シネは商店街にある住宅付き店舗でピアノ教室を始めた。
 ソウルという大都会から来たそんな未亡人シネに、田舎街の人々の視線が集まるのは当然だった。

 シネは、同じ商店街で自動車修理店を開くキムという独身男性(ソン・ガンホ)と知り合いになる。キムは下心を抑えながら、新参者のシネの面倒を親切にみてやり始める。
 そんな中、シネは、郊外の土地を買う不動産投資の姿勢をキムに見せ始める。キムはさっそく彼の人脈で不動産屋を紹介した。
 しかし実は、シネにそんな金はない。街の人々の、未亡人母子へ向けての好奇心や哀れみを強く感じるシネは、持ち前の勝気さから、こんな虚勢を張ったのだ。

2-0_201710221443474a5.png だが、未亡人が金を持っているという噂は、男の心に悪を呼び込む。(これが息子ジュンの誘拐、身代金要求につながってしまう)

 シネは身代金を指定場所に置き、警察が動き出し、そして無情にも、シネは息子ジュンの死に遭遇する。(誘拐犯がジュンを殺してしまった)

 一方、シネに哀れみを感じた信者たちは、彼女にクリスチャン信仰を勧めた。
 その時、シネは言った、「なぜ神はジュンの命を奪ったの」

 子を失ったシネの悲しみは、絶望の域を超え耐えがたきものだった。
 張り裂ける心を抱えるシネは、すがるように救いを求めて、ついに教会の扉を開けた。

 従順な信者になったシネは、神のあふれる愛を感じ始める。教会での礼拝、布教活動、地域集会に加わることで、語り合える友もでき、シネはやっと心の安定を得られるようになる。心は癒され幸せであった。
 しかし、家でひとりポツンといる時、シネはジュンの気配を感じ、聞こえるはずのないジュンの声を聞くのであった。

 シネの信仰が深まるなか、彼女は、「汝(なんじ)の敵を愛し許せ」という神の言葉通りに、誘拐殺人犯の男を許そうと思うと信者仲間に打ち明ける。
 自動車修理店のキムは、シネが刑務所で男と面会しようとするのを止める。牧師は「あなたが刑務所に行くとき、神はともにいます」と言った。信者に付き添われ、キムの運転で、シネは刑務所へ向かい、男と面会する。

03-.png 「神の恩寵と愛を伝えるために、私はここへ来ました」
 これに対し男は言った。
 「神は、この罪深き罪人にも訪れました。私の罪を許したのです」
 「えっ、神が・・・罪を許したですって?」
 「そして、心の平安が訪れました、あなたのためにも私は祈ります」

 なんというすっきりした男の笑顔!男は刑務所内で信者になっていたのだった。
 シネの動揺はあまりに強烈であった。刑務所の駐車場で彼女は気を失い倒れてしまった。
 家に戻ったシネは狂気のさた、信者集会所のガラス窓に石を投げつけ、そのあと家で手首を切って自殺を図り、血まみれで前の道にさ迷い出て、精神病棟に入院。
 
 なぜにシネは・・・。
 退院後、信者の集まりでシネは吐くように言う。
 「汝の敵を愛し許せと神は言うが、許したくても、私は許せない。
  男は、もう神に許されて、心やすらかだって言った。
  私が男を許す前に、なぜ神は許したの?
  私が苦しんでいる時に、あの男はすでに許され、救われていたわ。
  なぜ、そんなことが!」

 その後のシネは、まるで抜け殻の様だった。

 韓国の人口の約3割がキリスト教徒で、キリスト教が最大勢力の宗教らしい。
 シネとの出会いから、ここまで、キムはずっとシネを案じている。このキムという男にも注目してください。
 ちなみに、タイトル名「シークレット・サンシャイン」は、シネが住み始めた街・「密陽」の「密」をシークレット、「陽」をサンシャインと読んで名付けたと、トークショーで監督が言っていた。


オリジナルタイトル:밀양(ミリャン)|密陽 Secret Sunshine|
監督:イ・チャンドン|韓国|2007年|142分|
原作:イ・チョンジュン|脚本:イ・チャンドン|
出演:イ・シネ(チョン・ドヨン)|キム・ジョンチャン(ソン・ガンホ)|ジュンが通う塾の教師・誘拐殺人犯(チョ・ヨンジン)|シネの弟・ミンギ(キム・ヨンジェ)|シネの一人息子ジュン(ソン・ジョンヨプ)|犯人の娘チョンア(ソン・ミリム)|薬局の女性キム執事(キム・ミヒャン)|カン長老(イ・ユンヒ)|シン社長(キム・ジョンス)|洋品店の女主人(キム・ミギョン)|牧師(オ・マンソク)|

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映画「ピンク・キャデラック」(1989年) 監督:バディ・ヴァン・ホーン

下


下4

 ご存知、ハリウッド映画俳優クリント・イーストウッド主演の映画。
 ですが、相手役の女性ルーを演じる女優バーナデット・ピータースが光ります。

1-0_20171020151830618.jpg この小柄な女優は、特にミュージカル女優として有名だそうですが、この映画で演ずるルーという女は、見るからに貧相。そしてノータリンで弱弱しい。
 しかし、そのルーのおバカさ、行てまえ(やっちまえ)的無謀さが、映画をコメディーにしています。そして、ルーに振り回される、クリント・イーストウッド演ずるトム。

 トムは離婚して独身。仕事は、保釈金が払えない人間に代わって保釈金を立替負担する会社の下請け。
 つまり、この会社が立替えた金を「払わない」踏み倒し人間を見つけ出して、身柄を拘束する仕事で、トムはフリーでやっている。

 ルーは偽札所持で逮捕の女。立替金を返済しない人物リストの一人。トムがこの案件を請け負った。
 しかし偽札は実は、家庭内暴力をするルーの夫が、ある組織に属していて、組織がらみの犯罪であることが分かってくる。
 この組織は武装し、白人至上主義を唱えるネオナチ集団。(これがアクションシーンのネタになっている)

 ルーが所持していた偽札以外に、組織は大量の偽札を持っていた。
 夫は組織に言われて、その大量の偽札を自分の車に隠している。この車が夫愛用のピンク・キャデラック。

 一方、ルーは夫に愛想も尽きて顔見りゃ憎らしい状態で家出。赤ん坊を乗せ、このキャデラックで姉の家へ行こうとした。
 でも、なんとしたことか、走るキャデラックから、お札が舞い散っていく! 組織はルーを追う。
 しかし実は、車に積んであった札は・・・。

 あとは観てのお楽しみ。
  
オリジナルタイトル:PINK CADILLAC|
監督:バディ・ヴァン・ホーン|アメリカ|1989年|122分|
脚本:ジョン・エスコウ|撮影:ジャック・N・グリーン|
出演:クリント・イーストウッド(トム・ノワック)|バーナデット・ピータース(ルー・アン・マクグィン)|マイケル・デ・バレス(アレックス)|ジェフリー・ルイス(リッキー・Z)|ティモシー・カーハート(ロイ・マクグィン)|ほか

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2-1_20171020153255d1b.jpg    2-2_20171020153257e4e.png









映画「偉大なるマルグリット」 監督:グザヴィエ・ジャノリ

上

 話は悲劇なのですが、それ以上に喜劇的であります。
 夫の冷めた愛を取り戻したいがために歌う主人公の音痴がとても印象に残りますが、映画が語る本質は悲しい愛の物語なのです。

1-0_20171013211911588.png 時は1920年、フランスの郊外。
 大邸宅に住む貴族の女性マルグリット・デュモン(カトリーヌ・フロ)は裕福な資産家です。
 夫のジョルジュ・デュモンの爵位は、マルグリットが買いました。
 夫は大きなビジネスをしていますが、その資金はやはり夫人が提供しています。

 ですがマルグリットは、夫に対して金のことで恩着せがましい物言いをすることはありません。
 彼女はまったくの天然の気質で、夫を純粋に愛しています。
 かたや夫は、マルグリットに対し負い目を感じ続けていて、もはや夫の心はマルグリットから離れて久しいのです。
 しかし妻と離婚すれば金は消え失せます。夫は女と不倫をして憂さを晴らしています。

 夫婦に子はなく、夫は仕事で、あるいは浮気で家を空けることも多いようです。
 ですから、マルグリットは大邸宅にひとりいて、寂しいのです。

 マルグリットはクラシック音楽の愛好家です。音楽が彼女の心を慰めます。
 邸宅には彼女のための音楽室があり、ピアノと蓄音機があって多数のSPレコードを集めています。
 マルグリットは歌うことも趣味にしています。歌曲の譜面をたくさん持っています。
2-0_201710132120243e0.jpg インド人の執事マデルボスは彼女の歌にあわせてピアノ伴奏をします。オペラの歌曲を歌うときは、舞台衣装を着て歌います。
 そうです、マルグリットはオペラの舞台衣装や小道具も集めているのです。
 執事のマデルボスはオペラ歌手になり切ったマルグリットを写真撮影します。撮った写真はまるで有名なオペラ歌手のようです。執事はマルグリットの秘め事遊びのお相手をしています。

 でもマルグリットの本当は、歌を歌う妖艶な姿を夫に見てほしいのです。彼女は夫の愛の復活を求めているのでした。
 しかし、そんなマルグリットを、夫は陰でバケモノだと言います。

 なぜなら、マルグリットは大の音痴でした。そのうえ、自分が音痴であることを認識できないのです。彼女は先天的に歌唱能力が欠けている障害を持っているのでした。(詳細下記) 
 ですが、マルグリットは戦災孤児救済などのために、邸宅内でオーケストラ付の慈善コンサートを幾度も催します。
 観客は親しい貴族たちです。彼らはマルグリットの奇声に未だに慣れていません。ですが演奏が終わると誰もが笑顔で彼女を褒め称えます。
 夫の気遣いは計り知れません。邸宅内でひとり歌うのであれば、その時どんな舞台衣装を着ようが、夫は黙認しています。
 しかしコンサートを催す度に、夫の心は悲しいことに、ますますマルグリットから離れていくのです。

2-1_201710132122023ff.png そんなある日の邸宅内コンサートに、新聞記者と前衛的な挿絵画家、この二人の若者が密かに忍び込みます。
 そして彼らはマルグリットの圧倒的奇声に遭遇しぶったまげるわけです。特に画家は彼女を絶賛します。そして新聞記事になりました。
 つまり、夫が関係者に口外禁止にしていたマルグリットの奇声が、世間にばれてしまいました。

 さて、このシーンを導入に、映画はマルグリットの奔放さを語り始めます。
 挿絵画家はモンパルナスあたりの芸術家たち自由人の一人なのでしょうか、前衛急進的な反体制派の男です。
 この画家に誘われるままに、彼女は夜の街でジャズが流れる当時最先端のとんがった店で踊ります。(マルグリットの音楽的感性 下記)
 1人で夜の街にいること自体が初体験のマルグリットは、大いに開放感を味わいます。一人遊びに飽いたもう一人のマルグリットなのでしょうか。

2-2_20171013212350e40.png 画家が主催するアバンギャルドな催しに、マルグリットが出演し店は大騒動になり、その内容が反体制的であったことから、画家もマルグリットも警察に連行されてしまいます。世間は彼女のことをますます知ることになりました。
 画家はマルグリットに歌の先生を紹介します。そして、マルグリットは大劇場でリサイタルを開くことになります・・。

 話は飛んで、物語の結末は精神病棟でした。そこで何が行われようとするのか・・・これも観てのお楽しみ、いや悲しみましょう。 
 マルグリットを本当に思いやるのは、マルグリットの生きざまをフィルムに収めることに執心する執事と、皮肉なことに夫の不倫相手の女だけでした。

 観終わって残念なことは、脚本上、マルグリットの夫の人物描写が弱いこと。
 音痴の歌手というヒントは実話から得たようです。その人物とはアメリカのソプラノ歌手、フローレンス・フォスター・ジェンキンス(1868-1944)という女性。歌唱能力が完全に欠落していたそうです。現在でもこの歌手のCDがあります。
 参考wikipediaサイト https://ja.wikipedia.org/wiki/フローレンス・フォスター・ジェンキンス
 なお、メリル・ストリープ主演映画「マダム・フローレンス!夢見るふたり」(2016年)は未見。

 ★先天性失音楽症による歌唱能力の欠如とは 参考サイト 「脳の活動によって音から音楽になる」 
  http://music-specialty.com/musicology/brain-activity.html

 ★マルグリットの音楽的感性について
  歌唱能力欠如のマルグリットですが、音楽を聴く感性は鋭いようです。
  画家に紹介されて彼女はひとりで前衛オペラ「道化師」を見に行き、いたく感銘を受けます。
  ちなみにこの音楽会会場にはプロのサクラ手配師がいて10人のサクラが拍手やブラボーを叫んでいます。
  「現代歌曲は人気がないので」と言う小人症の手配師の言が印象的です。
 
オリジナルタイトル:MARGUERITE|
監督:グザヴィエ・ジャノリ|フランス|2015年|129分|
脚本・脚色:グザヴィエ・ジャノリ|脚本協力:マルシア・ロマーノ|撮影:グリン・スピーカート|
出演:マルグリット・デュモン(カトリーヌ・フロ)|ジョルジュ・デュモン(アンドレ・マルコン)|アトスペッジーニ(ミシェル・フォー)|アゼル(クリスタ・テレ)|マデルボス(デニス・ムプンガ)|リュシアンボーモン(シルヴァン・デュエード)|キルフォンプリースト(オベール・フェノワ)|フェリシテ(ソフィア・ルブット)|ディエゴ(テオ・チョルビ)|ほか

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1年前・3年前・5年前の10月、一夜一話。(2016年10月・2014年10月・2012年10月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-10-15 Sun 06:00:00
  • 映画
1年前の10月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の10月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2016年10月 Archive>

写真
「パラダイスビュー」
監督:高嶺剛
小林薫、戸川純
写真
「鶴八鶴次郎」
監督:成瀬巳喜男
山田五十鈴、長谷川一夫
写真
「ベニスで恋して」
監督:シルビオ・ソルディーニ
イタリア、スイス
写真
「森浦への道」
監督:イ・マニ
韓国
写真
「フル・フロンタル」
監督:スティーヴン
  ・ソダーバーグ|アメリカ
写真
「リオ、アイラブユー」
~映画音楽に魅せられて
ブラジル
写真
「セントラル・ステーション」
監督:ウォルター・サレス
ブラジル
写真
「110番街交差点」
~映画音楽に魅せられて
アメリカ
     
写真
「ある過去の行方」
監督:アスガー・ファルハディ
フランス、イタリア、イラン

3年前の10月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  3年前の10月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2014年10月 Archive)

写真
「パンドラの匣」
監督:冨永昌敬 |仲里依紗、
川上未映子、染谷将太
写真
「ヌードの夜」 監督:石井隆
余貴美子、竹中直人、
椎名桔平、根津甚八
写真
「足にさわった女」
監督:市川崑
越路吹雪、池部良
写真
「揮発性の女」
監督:熊切和嘉
石井苗子、澤田俊輔
写真
「怪異談 生きてゐる小平次」
監督:中川信夫
宮下順子
写真
「さすらいの女神たち」
監督:マチュー・アマルリック
フランス
写真
「南東から来た男」
監督:エリセオ・スビエラ
アルゼンチン
写真
「ネブラスカ
   ふたつの心をつなぐ旅」

アメリカ
写真
「ショーシャンクの空に」
監督:フランク・ダラボン
アメリカ
写真
「グッド・ウィル
  ・ハンティング 旅立ち」

アメリカ
「キムチを売る女」
監督:チャン・リュル
韓国・中国

5年前の10月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  5年前の10月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2012年10月 Archive)

写真
「クワイエットルームに
        ようこそ」

内田有紀,宮藤官九郎,蒼井優
写真
「水の女」
監督:杉森秀則
UA、浅野忠信
写真
「オキナワの少年」
監督:新城卓
藤川一歩、内藤剛志
写真
「スリー☆ポイント」
監督:山本政志
村上淳、蒼井そら
写真
「ポストマン・ブルース」
監督:SABU
堤真一、遠山景織子
写真
「夏の妹」
監督:大島渚
栗田ひろみ、りりィ
写真
「パプリカ」
監督:今敏
アニメ
写真
「ディナーラッシュ」
監督:ボブ・ジラルディ
アメリカ
写真
「父の初七日」
監督:ワン・ユーリンほか
台湾
写真
「アンナ」
監督:ピエール・コラルニック
フランス
写真
「潜水服は蝶の夢を見る」
監督:ジュリアン
  ・シュナーベル|フランス
写真
「きらめきの季節 美麗時光」
監督:チャン・ツォーチ
台湾
写真
「ラスベガスをやっつけろ」
監督:テリー・ギリアム
アメリカ
写真
「銀河」
監督:ルイス・ブニュエル
フランス


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映画「女と男のいる舗道」 監督:ジャン=リュック・ゴダール

上


1-0_20171010213421399.jpg ナナを演じる女優アンナ・カリーナが、映画全編84分間、ずっと出ずっぱりの映画です。
 総じてセリフの少ない中、加えてあっさりした演出のもと、アンナ・カリーナの存在の味が、この映画のイメージを決定しています。
 カメラは、いつもアンナ・カリーナに寄り添いながらも、彼女の存在感に頼ることなく、素晴らしい撮影を実現しています。
 スチールカメラ撮影での、しっかりした構図力が基本にないと、こういう映像は撮れないように思います。(他にあるようで、なかなか無いものです)

 舞台はパリ。子持ちのナナは子を置いて離婚し、女優を目指すが現実はレコードショップの店員をして、しがない独り身人生を送っている。しかし、パリでの生活には薄給のナナ。結局、娼婦の道を歩むことになります。

 映画は12の章で成り立っています。
 ストーリーは12章を通して展開されますが、各章はそれぞれに異なるモチーフを持って語ります。
 全編を終始一本の話で描く映画では、時に、どこかに冗長なシーンが入りがちですが、本作の作りはそういうことが入る隙はなく、緻密さが印象に残ります。
 
 2階のビリヤード場で、ジュークボックスから流れるロックンロールで、ひとり踊るナナのシーンがいいです。
 話は悲しい話ですが、重く暗くならずドライ。映像はとてもスタイリッシュ。
 ゴダールの作だからと、かたく構えず肩の力を抜いて自分の目で楽しく観ましょう。
 

オリジナル・タイトル:Vivre sa vie: Film en douze tableaux|自分の人生を生きる、12のタブローに描かれた映画|
監督:ジャン=リュック・ゴダール|フランス|1962年|84分|
原作:マルセル・サコット|脚本:ジャン=リュック・ゴダール|撮影:ラウール・クタール|音楽:ミシェル・ルグラン|
出演:ナナ(アンナ・カリーナ)|ラウール(サディ・レボ)|ポール(アンドレ・ラバルト)|イヴェット(ギレーヌ・シュランベルジェ)|ほか

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【 ゴダールの映画 】

いままでに取り上げた作品です。画像をクリックしてお読みください。
写真
「アルファヴィル」
写真
「勝手にしやがれ」
写真
「小さな兵隊」

映画「ラスト・ショー」  監督:ピーター・ボグダノヴィッチ

上
ソニー、デュアンとジェイシー


 1951年、アメリカはテキサス、白人だけのさびれた小さな田舎町。
 映画は、この町に住む高校生たちの恋、友情を描くとともに、高校を卒業し社会へ出ていく道筋の、それぞれの選択を見守って描いています。

1-0_20171009135756d7d.jpg その町は、町と言えるほどの町じゃない。
 広い道路の両側にところどころに店があるだけ。
 ハンバーガーにコーヒー等わずかなメニューしかないレストラン、いや食堂、小さなビリヤードの店、そのほかに開いている店舗はガソリンスタンドに薬局くらい。閉館を迎えそうな映画館はある。

 この町で、高校生ソニーが相当にくたびれたボロ車に乗り込んで映画は始まる。
 町の広い道路の真ん中で、無心にホウキで道を掃くビリーは、知的障害のある少年で、ソニーは何かと彼の面倒を見てやっている。
 中年の男サムは食堂とビリヤード場のあるじ、この辺りじゃ皆から一目置かれる男で、気が合うのか、ソニーとビリーの世話を親代わりのようにしている。
 食堂を一人で切り盛りする中年女性は、後で分かるがサムの昔の恋人、彼女に町の情報が集まる。

2-0_20171009135925594.jpg 映画館は、唯一の娯楽の場で、高校生たちは友達同士やデートに使っている。ビリーも常連だ。
 そして、この地域には油田があって掘り当てた人間は金持ちだ。人々の間に貧富の差がある。

 映画はこんな設定を背景に、ソニーとその同級生たちの様子を語ります。
 ソニーの友達デュアンは高校一の美人ジェイシーと付き合っている。
 ジェイシーの家は油田で裕福。母親は娘の彼氏が誰かを気にする。貧乏な家のデュアンじゃなく、油田開発で当てた家の、金持ちの彼氏にしなさいと言う。
 この母親は結構さばけた女で、あからさまに娘に注意忠告する内容が、娘の行動を左右し、結果、物語の先行きを変えていく。そして、デュアンの未練は後を引く。

 ジェイシーに突然ふられたデュアンは、高校卒業後、町を離れ油田の現場で働く。貯めた金で車を買う。それはジェイシーの気を引こうとするかのようだった。

3-0 ソニーは高校時代の彼女と別れ、サムのビリヤード場で働いている。町を離れたデュアンは、ジェイシーがソニーと付き合いださないか気にしているようだ。
 だが、ソニーはふとした切っ掛けで中年の女と関係を持つようになる。
 そんな頃、気まぐれなジェイシーはソニーに近づき始めるが・・。

 小さな町の男女の関係を映画は見せていくが、どこかうら悲しい。
 そして、サムの突然の死。彼の遺言でソニーはビリヤード店をもらうことになる。
 ジェイシーは朝鮮戦争の戦線へ。ビリーは交通事故死。


 印象に残るのは、高校生の青春よりも、ジェイシーの気まぐれを繰るかのようなジェイシーの母親、ソニーが付き合う年上の女、サムの昔の恋人で食堂の女の3人かもしれない。
 
4-0






オリジナルタイトル:The Last Picture Show|
監督:ピーター・ボグダノヴィッチ|アメリカ|1971年|118分|
原作:ラリー・マクマートリー|脚色:ラリー・マクマートリー 、 ピーター・ボグダノヴィッチ|撮影:ロバート・サーティース|
出演:ソニー(ティモシー・ボトムズ)|デュアン(ジェフ・ブリッジス)|ジェイシー(シビル・シェパード)|サム(ベン・ジョンソン)|ルース(クロリス・リーチマン)|ビリー(サム・ボトムズ)|ジェイシーの母・ロイス(エレン・バースティン)|ほか




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映画「薔薇大名」 監督:池広一夫

下
月太郎の婚約者・お小夜と、横恋慕のスリ師・お京。
だが、この男、月太郎じゃなく、実は奥州棚倉藩の若君・小笠原左馬之助であった。


 時代劇です。陽気でおバカな喜劇話です。
 大名行列など冗長なシーンは早回しで観せますし、悲しいシーンも含め音楽はユーモラスなジャズ風。
 でも、ストーリーは凝っています。

 「薔薇大名」の「薔薇」の意は、若君の腕に薔薇のようなアザがあるからで、他意はない。
 私は池広一夫というこの監督の映画が好きで、本作は監督の第一作目らしい。
 1シーンだけの特別出演で市川雷蔵が突然出てくるが、ほかは主役も含め、一般的には余り知名度がない俳優ばかり。
 でも今となっては、これがかえって新鮮でいい! 

1-1_20171006115730085.png 話は、ある藩の若君・左馬之助と、曲芸一座の芸人・月太郎の、その姿かたちがソックリであったことから始まる。
 そして、月太郎に恋する、同じ一座の芸人娘・お小夜と、月太郎に横恋慕のスリ稼業の女、この2人の女が話に花を添える。
 さらには、若君/月太郎、この瓜二つの2人の立場が入れ替わった事が、つまり偽・若君が、結局は、若君の藩の内紛を解決することになるという、藩をあげての大騒動に発展する。
 では、若君と町人の月太郎がなぜ入れ替わったのか?

2-1_201710061159044fc.png

 密かに江戸市中に滞在する小笠原左馬之助(小林勝彦)は、実は奥州棚倉藩(福島県)の若君。
 その棚倉藩では、城主の跡目争いという陰湿な内紛が起きていた。
 現城主(左馬之助の父親)は、悪者家老の指図で長期間に渡り藩医から毒を盛られ衰弱していた。
 家老は城主と若君を暗殺し、家老派の新たな城主をうちたてようと企んでいるのだ。
 これに気づいた左馬之助はひとり江戸に出て急ぎ毒薬の勉強をし、藩医が薬と称する毒薬の証拠を握ろうとしていた。
 しかし、左馬之助が国元から突然姿を消した事とそのわけは極秘であり、父親はじめ藩の誰もが知らぬことであった。
 だが、家老は若君が江戸にいることを嗅ぎつけ、暗殺団を江戸へ送り、若君は切られて大川に落ちた。

3-0_20171006120128172.png 一方、そんなことなど知る由もない城主派の侍たちも、若君を探しに江戸に来ていた。
 城主の寿命があとわずか、一刻も早く若君を見つけ出し、国元へ帰ってもらわないと、家老派の思うがままになってしまう。わが藩、存亡の危機。
 そんなある日の江戸市中、城主派の侍が月太郎(小林勝彦)を見かける、あ!若君だ! いや、人違いだ!俺は月太郎だ! 
 結局、月太郎は城主派に拘束されるが、彼の腕に若君の証拠の「薔薇」のアザがないことが分かり、今度は若君に化けて身代わりで国元へ行ってくれと懇願される。
 このお礼は100両という多額で、月太郎は婚約者の病父の薬代を思い、大役を引き受け、大名駕籠に乗せられて、侍たちと国元の奥州棚倉藩(福島県)へ。

 さらに一方、そんなことなど知る由もない、月太郎の婚約者・お小夜(浦路洋子)。
 突如姿を消した月太郎から奥州棚倉へ行くとだけ知らされたお小夜は、一座の座長を説き伏せ、一座の面々とともに棚倉へ巡業の旅に出る手はずとなった。
 そんな時に、月太郎がお小夜の前に現れた。ずぶ濡れで傷を負っていた。どうしたの!
 優しく介抱された左馬之助だが、知らぬ町人に自分が誰かも言えず、なりゆきで月太郎を演ずることとなる。
 お小夜は左馬之助を月太郎だと疑いすらしない。(左馬之助は侍言葉で話すんだけどね) お小夜は「いつまで芝居の真似をしてるのよ」てな感じ。(喜劇ですから)

5 -0 しかし、一座の棚倉への巡業スケジュールはもう変更できず、お小夜と左馬之助と一座全員は旅に出た。
 旅の途中、左馬之助は、本陣(大名専用の宿)の準備の様子や、街道を駆け抜ける早馬から、胸騒ぎを覚える。
 その夜、旅籠の一室で左馬之助はお小夜に抱いてと迫られ、左馬之助はおおいに戸惑う。

 そこへ、市川雷蔵扮する町人が「いちゃいちゃする声がうるせぇ、宿は貸し切りじゃねぇんだ」と、部屋に飛び込んで来る。
 そして市川雷蔵は左馬之助に向かって、本心をこの女に打ち明けろと言い残して去る。(無理やりの筋書きで可笑しい)
 そこでついに左馬之助はお小夜に、自分は月太郎じゃない、それに月太郎が藩騒動に巻き込まれているらしく、危険だと告げる。
 これを聞いて心配するお小夜に、「この小笠原左馬之助が彼を救える」と言う。お小夜はお願いいたしますと頭を下げた。

 さて、ラスト近く。
 月太郎こと偽若君と城主派一行が、城内に入る。
 また、曲芸一座は城主の招きと偽って、これも城内へ。(若君の計らいだろう) 
 そのうち、偽若君の腕にアザがないことが家老派にばれて一大事。だがそこへ一座が現れる。

7-0.png そおして、時代劇のお約束事、家老一派と城主派のチャンチャンバラバラ。
 若君の武道達人の技、月太郎とお小夜らの曲芸の技が敵をやっつけます。
 加えて、一座の出し物、中に入った人を消す魔法の箪笥や、一座巡業に付いて来た、月太郎に横恋慕のスリ師・お京が大活躍します。めでたしめでたし。


監督:池広一夫(池廣一夫)|1960年|68分|
原作:陣出達朗|脚色:淀川新八|撮影:本田平三|
出演:月太郎、小笠原左馬之助(小林勝彦)|月太郎の婚約者・お小夜(浦路洋子)|スリ稼業の女・お京(宮川和子)|ほか多数

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映画「ひつじ村の兄弟」 アイスランド映画 監督:グリームル・ハゥコーナルソン

上


 アイスランドの草原でヒツジを飼育する、仲の悪い兄弟の話。
 映画は、この兄弟の生きざまを、雄大な風景と寒冷地の気候で包み込む。

1-0_20171002092727d46.jpg 兄弟はともに独身で、親から譲り受けた広大な土地に建つ、二軒の家に別れて住んでいる。
 ヒツジ小屋も牧草地も牧羊犬も車も、そのすべてが別々。牧草地の境界線には有刺鉄線の柵がある。

 映画はこの兄弟の弟を中心に話をすすめる。
 それにしても、なぜ40年も、互いにまともな会話をしないで過ごしてきたのか。
 それはどうも相続問題のようだ。
 親は、ヒツジと所有地のすべてを弟に譲ったらしい。そこで優しい弟は、兄のための牧草地とヒツジ、そして古いほうの家を、兄に無償で貸すことにした。
 だが、こういうことのすべてが兄を怒らせ、弟を憎むようになり、よって弟も兄を憎むことになった。


 そんなある日、重大事件が起きる。
 ヒツジの疫病が発覚し、兄弟のヒツジ含め近隣の牧畜農家のヒツジの全部が殺処分の対象となった。
 この地域の人々はみなヒツジの飼育で生活しているのだ。みな困惑した。悩みに悩んで土地を離れる一家も現れる。この先のローンの返済ができないからだ。
 
 強情っ張りの性格は、兄だけでなく大人しそうな弟にも、その血を引いているようだ。
 弟は100頭以上の殺処分を当局に任さず自ら行った。
 なぜなら、殺処分しなかった9頭のヒツジを、獣医当局の監視の目をくぐって家の地下室に隠したのだ。先祖代々のヒツジの血統を守りたいのだ。(このヒツジたちには疫病の様子はないようだ)

 これに気づいた兄は弟に近づいた。兄も、血統を守りたいのだった。
 しかし全頭殺処分の方針を決めた当局がこれを嗅ぎつけた。
 兄弟は9頭のヒツジと牧羊犬を連れて、誰も近づかない冬の山へと向かった。兄弟は初めて力を合わすことになった。
 だが、吹雪のなか、二人はヒツジを見失う。吹雪は容赦なく激しさを増す。
 兄弟は雪穴を掘って中に横たわり、互いに身体を暖め合い、吹雪をやり過ごそうとするのであった。

下

オリジナルタイトル:HRÚTAR|
監督・脚本:グリームル・ハゥコーナルソン|アイスランド、デンマーク|2015年|93分|
撮影:ストゥルラ・ブラント・グロヴレン
出演:グミー(シグルヅル・シグルヨンソン)|キディー(テオドル・ユーリウソン)|当局の獣医カトリン(シャーロッテ・ボーヴィング)|ほか

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映画「お父さんと伊藤さん」 上野樹里、リリー・フランキー、藤竜也 監督:タナダユキ

上
さすが年の功、伊藤さんは、お父さんのあしらいが上手。

1-0_20170930124809c6c.png
 拍手!脚本が良く出来ていて、演出に抜け目がない。
 息子娘の世代も、父親の世代も楽しめるビターな喜劇。

 話は、妻を亡くした頑固な父親の、たらい回し。
 そんな意固地な父親を持つ息子娘であれば、あるいは、あんな息子娘を持つ父親であれば、こうなる事もある、というこわい話。

 その、あんな息子娘とは。
 長男の潔(長谷川朝晴)と嫁・理々子(安藤聖)の夫婦のところに父親(藤竜也)が同居している。
 夫婦は父親との生活に辟易している。そのうえ、夫婦は中学受験の双子を抱えている。
 特に理々子は義父との関係がもう破綻状態。義父の姿を見るだけで吐き気を催すくらいに精神的に追い詰められている。

 そこで潔は逡巡しながらも、妹の彩(上野樹里)に父親を引き受けてもらいたいと乞うた。
 「未来永劫ってわけじゃない。子供の受験が終わる来年春までの半年でいいんだ」
 切羽詰まった潔は、父親というものは娘と相性がいいという神話にすがったのかもしれない。
 しばらくぶりに会った兄妹だったが、しかし、彩は「ごめん、ほんとにごめん」と断った。
 潔は知らなかった。彩は独り住まいではなかった。伊藤(リリー・フランキー)という男と同居しているのだった。(兄妹はこんな程度に疎遠であった)

 彩は34歳、本屋でアルバイトをしている。会社を辞めてからはバイトの仕事しか見つからない。
 伊藤は54歳。彩とはコンビニのバイト先で知り合った。今は学校給食のバイトをしている。
 彩は伊藤の過去をよく知らない。知る必要もないと思っている。20の歳の差はあるが、本人たちに違和感はない。

 さて、兄と会ってのち帰宅した彩は、玄関に見慣れぬ靴を発見。
 おお、伊藤さんがお父さんと話してる!

 話はここから、父親の秘密も絡んで、てんやわんやの展開になります。あとは観てのお楽しみ。

下2監督:タナダユキ|2016年|119分|
原作:中澤日菜子|脚本:黒沢久子|撮影:大塚亮|
出演:山中彩(上野樹里)|伊藤康昭(リリー・フランキー)|山中潔(長谷川朝晴)|山中理々子(安藤聖)|叔母の小枝子(渡辺えり)|お父さん(藤竜也)|ほか

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2年前・4年前・6年前の9月、一夜一話。(2015年9月・2013年9月・2011年9月の掲載記事です)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-09-30 Sat 06:00:00
  • 映画
2年前の9月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
2年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2015年9月 Archive)

写真
「運命じゃない人」
監督:内田けんじ
中村靖日、霧島れいか
写真
「花よりもなほ」
監督:是枝裕和
岡田准一、宮沢りえ
写真
「白線秘密地帯」
監督:石井輝男
三原葉子、宇津井健
写真
「風の子」
監督:山本嘉次郎
渡辺篤、夏川静江
写真
「メイド・イン・ホンコン」
監督:フルーツ・チャン
香港
写真
「さよなら、人類」
監督:ロイ・アンダーソン
スウェーデン
写真
「ヤクザガール 二代目は10歳」
監督:セルゲイ・ボドロフ
ロシア
写真
「ロスト・イン
     ・トランスレーション」

アメリカ
写真
「フォー・ルームス」
監督:クエンティン・タランティーノ他
アメリカ


4年前の9月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
4年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2013年9月 Archive)

写真
「旅籠屋騒動」
監督:森一生
ミスワカナ、玉松一郎
写真
「モル」
監督:タナダユキ
タナダユキ、石川貴子
写真
「少年」
監督:大島渚
渡辺文雄、小山明子
写真
「にあんちゃん」
監督:今村昌平
長門裕之、松尾嘉代
写真
「いつか読書する日」
監督:緒方明
田中裕子、岸部一徳
写真
「指輪をはめたい」
監督:岩田ユキ  山田孝之、
小西真奈美、真木よう子
写真
「寝ずの番」
監督:マキノ雅彦  長門裕之、
中井貴一、木村佳乃
写真
「裸の十九才」
監督:新藤兼人
原田大二郎、乙羽信子|
写真
「天使が見た夢」
監督:エリック・ゾンカ
フランス
写真
「さすらい」
監督:ヴィム・ヴェンダース
ドイツ
写真
「SWEET SIXTEEN」
監督:ケン・ローチ
イギリス

写真
「自分を探す旅
   (邦画編 その1)」

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写真
「女が、自分の道を歩む時。」
過去記事からピックアップ
写真
「人生なんて、そうそう
   うまく行かないワケよ。」

過去記事からピックアップ
写真
「やはり、
  大人の映画ってある。」

過去記事からピックアップ
写真
「子供が主演の映画は、
     視点がピュア。」

過去記事からピックアップ


6年前の9月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
6年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2011年9月 Archive>

写真
「二人が喋ってる。」
監督:犬童一心
新屋鳴美、宇野志津香
写真
「風の歌を聴け」
監督:大森一樹
小林薫、真行寺君枝
写真
「米」
監督:今井正
江原真二郎、中村雅子
写真
「NOVEM ノヴェム」
監督:ブラッド・キンメル
アメリカ
写真
「旅人は休まない」
監督:イ・チャンホ
韓国
写真
「ようこそ、羊さま。」
監督:リウ・ハオ
中国
写真
「胡同の理髪師(フートン)」
監督:ハスチョロー
中国
写真
「死の教室」
監督:アンジェイ・ワイダ
ポーランド
写真
「パレルモ・シューティング」
監督:ヴィム・ヴェンダース
ドイツ
写真
「モンド」
監督:トニー・ガトリフ
フランス
写真
「少年と砂漠のカフェ」
監督:A・ジャリリ
イラン
写真
「Jazz Seen
   /カメラが聴いたジャズ」

ドイツ
「ブラックブレッド」
監督:A・ビリャロンガ
スペイン・フランス
写真
「ラストサーカス」
監督:A・デ・ラ・イグレシア
スペイン
写真
「ロビンソナーダ」
監督:ナナ・ジョルジャーゼ
グルジア
写真
「誤発弾」
監督:ユ・ヒョンモク
韓国 1961年
写真
近世文学研究
「江戸滑稽化物尽くし」
アダム・カバット (著)

映画「マダム・マロリーと魔法のスパイス」 監督:ラッセ・ハルストレム

上2
開店の夜


 気楽に観れる娯楽映画です。
 インド料理を生業とする移民の一家が、フランスの片田舎でレストランを開業する話。二つの愛が芽生えます。

1-0_20170925200941f73.jpg インドで一家は料理屋を営んでいた。
 店は母親が料理し、父親がマネジメントする繁盛店だったが、地元の選挙陣営対立の中、反対陣営を支援する人々によって店が焼き打ちに合い、不幸なことにこの時、一家は母親を亡くし、その地を追われた。
 故国を捨てた一家(父と息子、娘夫婦に2人の子供)は、旧宗主国イギリスへ渡ったが商売がうまく行かず、またイギリスでは良い食材が手に入らずこの地を諦めた。そののちレストラン開業の新たな場所を求めて、一家は今度はヨーロッパ大陸へと向かった。
 
 祖国を離れ西欧のどこかの国でインド料理レストランを開業したいという父親の思いは、父親が息子のハッサンの料理に一目も二目も置いているからこそであった。
 なぜなら、ハッサンは母親の血を受け継いで味覚が鋭く、子供のころから母親に料理を教わっていた。ハッサンも母の教えのすべてを吸収していたのだった。

 一家六人を乗せて車は開業する適地を求め諸国を走った。そしてある日、フランスのある片田舎の町を通りかかる。
 ここで父親は、廃屋に近い一軒の家の前でひらめいた。ここで始めよう。そこは元レストランであった。

 開店の準備が進む中、発覚したことは、道向かいのフランス料理レストランがミシュラン一つ星の店であること。(お話は都合よくできています)
 このレストランのあるじは、マダム・マロリー(ヘレン・ミレン)といい、夫を亡くし自らが女将となって、毎年一つ星を勝ち取っている女性。

2-0_20170925201118f82.jpg さていよいよ開店。100フィートしかはなれていない、道のこっちと向こうだから、一つ星の店にカレーの匂いが流れていく。
 (原題はTHE HUNDRED-FOOT JOURNEY(100フィートの旅))

 マダム・マロリーは勝気のうえにイケズな女。向かいの店の邪魔をする。ハッサンの父も対抗意識を燃やす。
 そんなうちに、インド料理レストランにやっと客が付き始める。
 美味しいのだ!

 ハッサンはマダム・マロリーの店の女性マルグリットと仲良くなっていた。ともに料理人だ。
 ハッサンに貸したフランス料理本をもとに、ハッサンが初めて作ったソースにマルグリットは唸った。そして愛は深まる。

 マダム・マロリーの店のシェフが、深夜、ハッサンの店の石垣に大きな落書きをした。このシェフは移民を蔑視する男であった。
 これにマダム・マロリーが怒り、即座に彼を首にした。
 そして、後釜になんとハッサンを起用する。実はハッサンが素晴らしい料理人であることをマダムは見抜いていたのだ。

 もちろん、短いが修行(下働き)期間を経て、ハッサンは正式にシェフとなる。そうしてその年、店はミシュラン二つ星を獲得するに至る。 
 このころになって、マダムとハッサンの父親の距離が縮まっていった。

 さて、フランスの飲食業界で名をはせたハッサンは、パリの三ツ星高級レストランに引き抜かれる。
 ハッサンは、新進気鋭の若手シェフとしてパリで最新のメニューを次々に編み出し、有名人となった。
 しかし時が経つうちに、ハッサンの心に空洞ができていく。私はインド人、母から教えられたインド料理のその先を極めたい。
 ハッサンは父親の店に帰り、マルグリットとよりを戻し、ふたりで新たなレストランを開業することにした。
 私はここで三ツ星を狙うと・・。
 
オリジナルタイトル:THE HUNDRED-FOOT JOURNEY(100フィートの旅)|
監督:ラッセ・ハルストレム|アメリカ|2014年|122分|
原作:リチャード・C.モライス|脚本:スティーヴン・ナイト|撮影:リヌス・サンドグレン|
出演:マダム・マロリー(ヘレン・ミレン)|パパ(オム・プリ)|ハッサン(マニッシュ・ダヤル)|マルグリット(シャルロット・ルボン)|市長(ミシェル・ブラン)|マンスール(アミット・シャー)|ジャン=ピエール(クレマン・シボニー)|ポール(ヴァンサン・エルバズ)|トーマス(アントワン・ブランクエフォート)|

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プロフィール

やまなか

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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