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ポピュラー音楽 Archive

一夜一話の “今日はメンフィスソウルだよ” デニス・ラサール

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 今日の一枚は、ソウルシンガー、デニス・ラサールのデビュー・アルバム「Trapped By A Thing Called Love」。(1972年)
 こんなにも上質なソウル・ミュージックがあることに感謝したい。
 
 デニスの持ち味は、バラードやゆるいミディアムテンポの歌にある、何とも言えない良さ。
 もちろん、少しアップテンポの曲では、ドライブの効いたグルーブ感がある。気が付けば身体でリズムをとっている。

 総じて言えば、滋味があって音楽の角が丸い。
 先鋭的な派手さはないが、何か温かな余裕を感じる。悪く言えば地味。
 でも、ソウルミュージックがほんとに好きな人には、このデニスの音楽のノリは、たまらないだろう!ファン冥利に尽きる。

 デニスは与えられた曲を歌う単なる歌手ではない、ソングライターでもある。収録11曲中、8曲を手掛けている。どれもいい曲だ。 
 彼女は、メンフィス・ソウルミュージックの著名レコードレーベルHi Recordsの名プロデューサー、ウィリー・ミッチェルをパパ・ウィリーと呼んで慕っていた。
 そんなことでデニスは、デトロイトのWEATBOUND Recordsに所属しているにもかかわらず、パパのもとで、この1stアルバムを製作したらしい。

3_20170930214751498.jpg さて、WEATBOUNDで時を過ごしたのち、デニスはABC Recordsに移籍。
 移籍後の3枚目のアルバムが、この「Under The Influence」。(1978年)
 時はディスコ・ミュージックと呼ばれた耳障りの良いメロディにリズムを強調した音楽ブームのさなか。
 ジャケットデザインはオシャレになってデニスも別人の様。
 アルバムのプロデュースはデニス自身がやっている。しかし収録曲のほとんどに私は興味が持てない。
 辛うじてB面ラストの2曲だけが、デニスの持ち味らしい歌だ。
 このデニスに限らず、1970年代後半になって、ソウルミュージックの素晴らしさは、残念ながら終わってしまったようだ。

 ちなみに、ジム・ジャームッシュ監督の映画「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」(2013年)に、「Trapped By A Thing Called Love」の曲がシングル盤から流れるシーンがある。この映画については、こちらからお読みください。

Trapped By A Thing Called Love  Westbound Records ‎– WB 2012 (1972年)
A1 Trapped By A Thing Called Love  2:36
A2 Now Run And Tell That  3:19
A3 Heartbreaker Of The Year  2:48
A4 Good Goody Better  3:19
A5 Catch Me If You Can  3:03
B1 Hung Up, Strung Up  2:37
B2 Do Me Right  2:50
B3 The Deeper I Go (The Better It Gets)  2:23
B4 If You Should Loose Me  2:37
B5 Keep It Coming  2:32
B6 It's Too Late   3:10
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一夜一話の “今日はボサノバかな?” 三宅純とアート・リンゼイ

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 今日の一枚は、三宅純の「Innocent Bossa In The Mirror」というアルバム。(2000年)

 部屋にひとり、ぼんやりしている時
 遠くに聞こえる街のざわめきを聞いているのも悪くはないが
 自分だけのこんな時に、「静かな音楽」を聴くのも手だ。

 真夜中や早朝や夕暮れ、目の前の風景と、心の中の風景とが織りなす、切ない儚さ。
 こんな時に聴くといいかもしれない。


 このアルバム、読書を妨げないと感じるなら、イージーリスニングと思えなくはない。
 だが、作り手はリラクゼーションの立ち位置にいない。
 けだるい中にも、経験したことのない軽い緊張が持続する、前衛的なサウンドだ。
 三宅純という人はサウンド・クリエイター、あるいは作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、楽器演奏者。
 
 アルバムを通して印象的なのは、ボサノバの4曲。(下記曲目の1、2、7、9)
 ボサノバに不可欠なアコースティックギターと歌、これに吟味された大人しいパーカッションとベース。
 そして三宅純の涼しげなピアノの単音メロディ。
 くわえて、これらのサウンドの隙から聴こえて来る、三宅制作のサンプリングされた音(主にシンセサイザー系の各種凝った音色)。

 そのほかの曲も良い。10曲中6曲がアート・リンゼイとの共作。(アート・リンゼイはギタリスト、歌手、プロデューサー、作曲家)
 2、7、8の曲はアートリンゼイがけだるく歌う。
 彼が奏でるエレキギターを使ったノイズも、いつもの通り、控えめに控えめに小さな音で入る。

 アルバムの全10曲、どれも静かな音楽です。(歌詞はすべてポルトガル語らしい)
 ただしラストは余計だった。たぶん好きな歌なんだろうけれど。

 以前ブログで取り上げた映画「プープーの物語」のオリジナル・サウンドトラック(1998年)は、三宅純の作だった。
 この映画の記事は、こちらからどうぞ。

「Innocent Bossa In The Mirror」 (2000年)
01. [Cai Nessa]  Jun Miyake/Arto Lindsay
    Vinicius Cantuaria (Vocal, Acoustic guitar, Percussion), Jun Miyake (Piano, Fender rhodes)
02. [Gaiato]  Jun Miyake/Arto Lindsay
    Arto Lindsay (Vocal), Jun Miyake (Piano), Vinicius Cantuaria (Acoustic guitar, Percussion)
    Masahiro Itami (Electric guitar scratch), Peter Scherer (Loops)
03. [Lista De Praias]  Jun Miyake/Arto Lindsay
    Jun Miyake (Piano, Fender rhodes, Samples), Vinicius Cantuaria (Acoustic guitar, Percussion)
    Arto Lindsay (Voice), Dairo Miyamoto (Bass clarinets, Wood blocks), Hitoshi Watanabe (Cello)
04. [Trejeitos]  Jun Miyake/Arto Lindsay
    Zeno Ishida (Vocal), Jun Miyake (Piano, Flugelhorns, Samples), Arto Lindsay (Chorus)
    Vinicius Cantuaria (Acoustic guitar, Percussion), Masahiro Itami (Steel strings guitar)
    Hitoshi Watanabe (Electric bass), Tomo Yamaguchi (Percussion)
05. [Titia Inocencia]  Jun Miyake
    Jun Miyake (Piano, Fender rhodes, Samples), Arto Lindsay (Electric guitar)
    Vinicius Cantuaria (Acoustic guitar, Percussion), Dairo Miyamoto (Alto flute)
    Hitoshi Watanabe (Acoustic bass), Tomo Yamaguchi (Percussion)
06. [Creamy Thighs]  Jun Miyake
    Jun Miyake (Flugelhorn, Samples), Vinicius Cantuaria (Percussion), Masahiro Itami (Acoustic guitar)
    Hitoshi Watanabe (Electric bass), Peter Scherer (Pads)
07. [A Lua Pela Grade]  Jun Miyake/Vinicius Cantuaria/Arto Lindsay
    Arto Lindsay (Vocal, Electric guitar), Vinicius Cantuaria (Acoustic guitar)
08. [Tres]  Jun Miyake/Arto Lindsay
    Arto Lindsay (Vocal, Electric guitar), Jun Miyake (Fender rhodes, Samples)
    Vinicius Cantuaria (Acoustic guitar, Percussion), Hitoshi Watanabe (Acoustic bass)
    Dairo Miyamoto (Cymbals)
09. [Giraffe In Green]  Jun Miyake
    Jun Miyake (Piano, Fender rhodes, Samples), Vinicius Cantuaria (Acoustic guitar, Percussion)
    Hitoshi Watanabe (Acoustic bass)
10. [As Tears Go By]  Mick Jagger/Keith Richards/Andrew Oldham
    Vinicius Cantuaria (Vocal, Acoustic guitar), Jun Miyake (Flumpet)

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映画「ザ・ローリング・ストーンズ  シャイン・ア・ライト」 監督:マーティン・スコセッシ

上

 ストーンズのライブを記録したドキュメンタリー映画です。
 ロックが20世紀の文化遺産(古典)になりつつある今、ストーンズがそうじゃないぜと、言っているようだ。

1-0_20170808121805d68.png 素敵なライブに行った気にさせてくれると同時に、ストーンズ最初期のインタビュー映像も楽しめる。
 若きミック・ジャガーに、「60歳になっても続けてると思う?」という問いに、「もちろん」と彼は答えている。
 また、最近のインタビュー映像もあって、キース・リチャーズ(65歳)とロニー・ウッド(61歳)に、「ギターはどっちが巧いの?」という質問に、ロニーが、「俺だな」と答えるが、すかさずキースは「二人とも下手だな」と答えた。(笑)

 キースは相変らず、エレキギターにカポタストをしている。(演奏曲によるが)
 それは解放弦をよく使うからだが、ラフでスローハンドであの短いフレーズの、気ままなリードギターは、今もストーンズがストーンズであり続けている重要な要。
 元フェイセズのロニー(ロン・ウッド)は、今はストーンズの正式メンバーだが、本作映像上では、少し影が薄い。
 そしてドラムのチャーリー・ワッツ(67歳)が素晴らしい。次から次へと繰り出すストーンズの持ち歌を、どれも的確にストーンズの曲にしていく職人芸。 
 さて、ミック・ジャガー(65歳)だが、やはり華がある。バンドをぐいぐいと引っ張って行く。コンサートをショーにしていく才能。
 とにかく、この四人が一生懸命にライブを進めていく姿は、ロックってなんだっけ?という問いに、真っ直ぐな答えを出している。

 ベースのダリル・ジョーンズは、元々ジャズ畑の人。ブルース・スプリングスティーンやマドンナのバックを経て、ストーンズのサポート・メンバー。チャーリー・ワッツとうまくやっている。
 そのほか、キーボード、ブラスセクション、バックコーラスの各メンバーも、控えめながらもステージを盛り上げている。

 ストーンズには、味と遊びとオリジナリティがある。加えて、たくさんの持ち歌という資産がある。
 そして一番大事なことだが、自ら作り出した音楽の「主人の地位」を、誰にも譲らなかったから、今に至った。

 歌や演奏がとびきり上手で、隙のない完璧な技術と分かりやすいキャラクターが求められる音楽業界。
 ミュージシャンにそれを求めるのは、拝金主義に走る業界のビジネスエリートたち。売れることが第一で、音楽の真髄に関心の無い人たちが、プロデュースと称してミュージシャンを繰る。そういうシステム。
 こんな環境じゃ、今後も創造的な音楽は生まれないだろう。
 ストーンズは、そんな環境にあらがい、あるいは、逆にうまく利用したからこそ、今がある。それだけ、力があると言える。

2-0_201708081221092bb.jpg ちなみに、バディ・ガイが登場し一曲やる。
 彼のギターのその一音だけで、彼のボーカルのその出だしだけで、ステージの場が、たちまちブルース一色になる。凄い。
 ロックが、ブルースやカントリーやR&Bから生まれたとは言え、ブルースはどこまでもブルース。
 
 私は当時も今もストーンズのファンじゃないですが、いい音楽だなと思います。
 最後に。このコンサートは元大統領ビル・クリントンの財団基金で行われたらしい。
 ヒラリー夫人はじめ、ビルの母親や友人や各国の大使館なんかも客としてぞろぞろ来ている。(もちろん一般客も大勢いる)
 そんな彼らが、コンサート直前のストーンズと交わっていました。
 なんか、日本社会とその構造があまりに違うわけです。
 
 
オリジナルタイトル:Shine A Light|
監督:マーティン・スコセッシ|アメリカ| 2008年|122分|
製作総指揮:ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、チャーリー・ワッツ、ロニー・ウッド(ロン・ウッド)|
撮影:ロバート・リチャードソン|
出演:ザ・ローリング・ストーンズ|クリスティーナ・アギレラ|バディ・ガイ|ジャック・ホワイト|ほか




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一夜一話の “今日はシカゴ・ブルースだよ” ココ・テイラー

ココ


 今日の一枚はシカゴ・ブルース。
 ココ・テイラーという女性ブルースシンガーのアルバム「I Got What It Takes」だよ。
 ベテランのココが、ここぞとばかりにシャウトする。そこらのシンガーをなぎ倒す。

 まずは、このアルバムの音の鳴りが気に入っている。
 録音スタジオで録音されているが、ココのボーカルにリバーブがかかってない、生音(声)だ。
 バックバンドの音にもエフェクトをかけてない。ギター・アンプから出る音もそのままを録音している。
 だからこれを聴くと、小さなライブハウスで、あたかも目の前で演奏している感じがする。これが良い。

 収録曲はもちろんすべてブルースだが、曲ごとにリズム/ノリに変化を持たせて飽きさせない。曲によってはソウルな雰囲気もみせる。
 特にA面4曲目「Voodoo Woman」が気に入っている。次には同じくA面3曲目や5曲目なんかもいい。B面にもいいのがある。
 ただしA面1曲目は頂けない。ドラムがもたってる。ベストテイクじゃないのをレコードにしちゃった?

 時々はブルース聞かなきゃ、からだ悪くするよ、ということはないが、たまには聴いた方がよろしい。
 そして、こんなこと言うと、誰かに叱られるかもしれないが、ブルースは少し下手なプレーの方がいい。
 たとえばB.B.キングは完璧だ。これはこれでいいんだが ・・。
 でもブルース・バンドはね、ネイティブでローカルで、少し下手くそで、ラフなプレーの方がいい。そう思いません?

2_2017072508584892d.png「I Got What It Takes」 (1975) Alligator Records ‎– AL-4706

A1 Trying To Make A Living  2:46
A2 I Got What It Takes  3:42
A3 Mama, He Treats Your Daughter Mean  3:04
A4 Voodoo Woman  3:46
A5 Be What You Want To Be  3:53
A6 Honkey Tonkey  2:54
B1 Big Boss Man  3:57
B2 Blues Never Die  3:55
B3 Find A Fool  3:59
B4 Happy Home  3:15
B5 That's Why I'm Crying  4:28

Vocals – Koko Taylor|
Bass – Cornelius Boyson|Drums – Vince Chappelle|Guiitar – Mighty Joe Young, Sammy Lawhorn|Keyboards – Bill Held|Saxophone – Abb Locke|
Producer – Bruce Iglauer, Koko Taylor, Joe Young|

一夜一話の “今日はジャズピアノトリオだよ“ ユリ・ケイン

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 今日の一枚は、「BLUE WAIL」。ジャズピアニスト、ユリ・ケインがドラムとベースを従えたトリオのアルバムだよ。

 古今東西ありがちなジャズピアノトリオの演奏フォーマットを、ほどよく逸脱している鋭利なセンスが聴きどころ。
 定型的なジャズサウンドに飽いている輩には、グッと来るアルバムです。

 演奏内容は、緊張と緩和がうまくコントロールされていて、サウンドの表情が豊か。また、1曲の演奏時間が総じて短く、スカッと終わる。いさぎよい。


 ピアノトリオの伝統的様式を逸脱していると、まず感じるのは、ドラム。
 たぶんにユリ・ケインのピアノにインスパイアされている結果だ。
 やたら手数が多いドラムだが、不思議にうるさくない。それは太鼓の鳴りをデッドにチューニングしてあって、かつハイハット、シンバルも派手じゃなく繊細な鳴りのものを選んでいるから。
 一方、アコースティックベースは、奇をてらわずオーソドックスに4ビートを維持し、やんちゃなピアノとドラムの面倒をみながら、トリオの底辺を支えている。

 さて、ユリ・ケインのピアノは、意外に綺麗な音色を出す。
 よってスローなバラードでは耽美である。しかし、アバンギャルドなフレーズではエッジの効いた力強いピアノになる。
 また、ブルー・ノート・スケールも忘れてはいない。
 収録曲のいくつかに出てくるドラムやベースのソロ部分で、ユリ・ケインの控え目なバッキングが独特でかっこいい。
 つまり総じて、ユリ・ケインのピアノはとても独創的なスタイルだ。あたりまえだが、これがこのアルバムの肝である。
 
 本アルバムを聴くにあたっては、まずは1曲目の、ユリ・ケインのピアノソロでぶっ飛びたい。
 演奏曲は「ハニーサックル・ローズ」。ファッツ·ウォーラーの作曲(1929年)で、数々の女性ジャズシンガーが歌った曲。
 これを前衛的に気ままにプレイする。うう、GOOD! (アルバムのラストは別テイク)
 2曲目からはトリオの演奏が続く。以下、ご随意にどうぞ、お楽しみください。

「BLUE WAIL」  (Winter & Winter 910034-2)  1998年

1 Honeysuckle Rose (Written-By – Fats Waller)  4:03
2 Loose Trade  5:33
3 The Face Of Space  6:21
4 Digature Of The Line 4:55
5 Blue Wail  8:35
6 Stain  5:48
7 Sweet Potato  9:19
8 Bones Don't Cry  5:15
9 Poem For Shulamit  4:45
10 Fireball  3:37
11 Honeysuckle Rose (Written-By – Fats Waller) 4:14

Piano, Producer – Uri Caine|Bass – James Genus|Drums – Ralph Peterson Jr.|

Producer – Joe Ferla, Stefan Winter

一夜一話の “今日はスタンダード・ナンバーの名曲だよ“  小野リサ

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 今日の一枚は、小野リサのアルバム「DREAM」。ご機嫌な極上アルバムだよ。

 小野リサといえばボサノヴァだけど、このアルバムは趣きが違う。
 「ムーンライト・セレナーデ」、「二人でお茶を」、「センチメンタル・ジャーニー」、「チャタヌガ・チュー・チュー」など、アメリカ1925~1944年の珠玉のスタンダードナンバーが並んでいる。

 小野リサのハスキーでロマンティックなささやき系のボーカルに、現代的で緻密な名曲アレンジに加えた演奏、スピード感ある元気な演奏が、とてもマッチしている。それと、何と言っても曲がいい!
 ちなみにスタンダードの中に一曲、小野リサ作曲の「天使の瞳」があるが名曲に負けてない。

 プロデュースとアレンジとボーカルとギターとピアノを担当した59歳のオスカー・カストロ・ネビス(1940-2013)という人は、ボサノヴァ黎明期からの著名なブラジルのミュージシャン、アレンジャー、作曲家。
 オスカーのかすれた歌声が、小野リサの声と、これもマッチしている。

 小野リサのソロアルバムというより、ふたりのアルバムと言っていい。いや、わたしゃ、小野リサをフィーチャーした、オスカー・カストロ・ネビスのアルバムとみる。
 演奏は、ドラム、ベース、ピアノ、ぐっと来るコーラス、管楽器、各種打楽器。どのミュージシャンも皆、うまい!皆、楽しんでる。

 たまに、こんなアメリカンな名曲を聴きたくなるが、グレンミラーオーケストラや往年の歌手とかのレコードじゃ、単なるなつかしのサウンドぢゃ。
 名曲を今によみがえらせて、いい曲だなと聴けるこのアルバムは素晴らしい。下記リストの作曲家たちに感謝したい。
 元気出したい時、ボリューム上げて聴いてほしい。


「DREAM」(1999年)

1 明るい表通りで - On the sunny side of the street  (1930 Jimmy McHugh - Dorothy Fields)
2 ムーンライト・セレナーデ - Moonlight serenade  (1939 Glenn Miller - Mitchell Parish)
3 アンディサイデッド - Undecided  (1938 Charlie Shavers - Sid Robin)
4 二人でお茶を - Tea for two  (1925 Irving Caesar - Vincent Youmans)
5 ナイト・アンド・デイ - Night and day  (1932 Cole Porter)
6 時の過ぎゆくまま - As time goes by  (1931 Herman Hupfeld)
7 サヴォイでストンプ - Stompin' at the savoy  (1934 Edgar Sampson - Chick Webb - Andy Razaf - Benny Goodman)
8 ボーイ・ネクスト・ドア - The boy next door  (1944 Ralph Blane - Hugh Martin)
9 イン・ザ・ムード - In the mood  (1939 Joe Garland)
10 ドリーム - Dream  (1944 Johnny Mercer)
11 天使の瞳 - Angel's eyes  (小野リサ作曲 Monday Michiru - Lisa Ono)
12 センチメンタル・ジャーニー - Sentimental journey  (1944 Bud Green - Les Brown - Bem Homer)
13 チャタヌガ・チュー・チュー - Chattanooga choo-choo  (1941 Harry Warren - Mack Gordon)

一夜一話の “今日はシンガーソングライターだよ“  リッキー・リー・ジョーンズ

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 今日の一枚は、リッキー・リー・ジョーンズのファーストアルバム「浪漫」だよ。(原題 Rickie Lee Jones )
 1979年にリリースされたこの一枚は、今も新鮮な輝きを放っている。
 その輝きは、ファーストアルバムならではの魅力。(もちろん、その後のアルバムにもいいものはありますが。)
 彼女がそれまで生きてきた、聴いてきた、25年間分の蓄積が、この一枚に凝縮されている。

 こんな優れたオリジナリティを持った歌い手が素敵な曲を携えて現れたなら、誰もがバック演奏に加わりたいもの。
 下記のバックミュージシャンのリストを見てください。まったくもって凄いメンバーが集まっています。

 さて、このアルバム、これまでに一体、何回聴いたんだろう。心の底から、いい、ロック・ミュージックのアルバムだよ。

 1曲目の「Chuck E's In Love」、一度聞けば彼女の魅力にはまる、いい曲。イントロからしびれる。
 2曲目はバラード。彼女はピアノの弾き語りもする。たぶんピアノを弾いて生まれた曲だろう。
 3曲目もバラード。バック演奏はさりげないようで、よく聴くと繊細で凝っている。いいな。
 4曲目はミディアムでリズミックな1曲。イントロのベースとパーカッションが1小節目から聴く人をひきつける。 
 5曲目、ウッドベースではじまる可愛らしいバラード曲。これもバック演奏のセンスが光る。
 6曲目もバラード。ギター弾き語りで作った曲だと思う。
 7曲目はブギだぜ。彼女の歌の特徴である抑揚(緊張と緩和)がいきている。楽しい歌。ブラスが盛り上げる。
 8曲目、これは彼女の幾つかある歌の世界のひとつで、スローで悲しく幻想的。これもピアノを弾いて生まれた曲だろう。サブ
 9曲目はギター弾き語りにバックがつく。彼女のライブアルバム「ネイキッド・ソングス」でも歌っている。(6曲目も)
 10曲目「Company」、ピアノ弾き語りバラード。深夜にひとり聴くとジーンと心に染み入る。なんて美しい!陽射しが陰りまた陽が射すようにコードがマイナー/メジャーと移ろっていく。メジャーコードになったところで何か救われた感じがする。
 11曲目、これも美しいピアノとバラード。

「浪漫」 (Rickie Lee Jones) released:March 1979
1. Chuck E's In Love
2. On Saturday Afternoons In 1963
3. Night Train
4. Young Blood
5. Easy Money
6. The Last Chance Texaco
7. Danny's All-Star Joint
8. Coolsville
9. Weasel And The White Boys Cool
10. Company
11. After Hours

producer: Lenny Waronker; Russ Titelman.
Rickie Lee Jones performed vocals and background vocals, guitars, keyboards, and percussion. She also arranged the horn sections.
バック・ミュージシャン
Michael "Bobby" Boddicker - Synthesizer
Red Callender - Bass
Nick DeCaro - Accordion/Orchestral Arrangements
Buzzy Feiten - Guitars
Victor Feldman - Drums/Keyboards/Percussion
Chuck Findley - Horns
Steve Gadd - Drums
Ralph Grierson - Keyboards
Randy Kerber - Keyboards
Neil Larsen - Keyboards
Arno Lucas - Background Vocals
Johnny Mandel - Orchestral Arrangements
Michael McDonald - Background Vocals
Randy Newman - Synthesizer
Andy Newmark - Drums
Jeffrey Porcaro - Drums
Mac Rebennack - Keyboards
Tom Scott - Horns
Leslie Smith - Background Vocals
Mark Stevens - Drums/Percussion
Fred Tackett - Guitars/Mandolin
Joe Turano - Background Vocals
Ernie Watts - Horns
Willie Weeks - Fender Bass
Matthew Wiener - Background Vocals

一夜一話の “今日はメンフィス・ソウルだよ。“  ソウル・チルドレン

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 今日の一枚は、ソウル・チルドレンの「ジェネシス」 というアルバム。(1972年)

 これは、もう、ソウルの中のソウル!、ソウル・ミュージックの核心を楽しめる、極めつけの一枚。
 ソウル・チルドレンというこのヴォーカルグループは、男2人女2人の4人グループです。ただし、コーラスグループじゃなく、ソロシンガーが4人いる、といった感じです。みな実力者。このアルバムでも、曲ごとに交代でソロをとっています。

 1曲目は、いきなり重心の低いベースに導かれるバラード曲、2曲目は少し軽めのイントロで始まるやはりバラード。3曲目はアップテンポでリズミック、ソウルなホーンが嬉しい。4曲目は熱いバラード、聴かせます。5曲目は少し軽い、やはりバラード。
 B面に入って、1曲目はゴスペルなバラード。2曲目3曲目は軽いがいいですね。4曲目はミディアムなリズム感。5曲目はこのアルバムでは少し異色な、ファンクなミディアムテンポ。
 要するに捨て曲はまったく無い。至福の充実感。

3_20170507153204a15.jpg このアルバムのレーベル(レコード会社)は、テネシー州メンフィスにあった、「スタックス」(Stax Records, Inc.)という、著名なソウル専門のレーベルです。
 このスタックスが作り出したサウンドは、メンフィス・ソウル、あるいはサザン・ソウルと呼ばれています。
 ソウルは、レーベルによって、サウンドの作りや味が違います。それはちょうど、ワインやクラフトビール(地ビール)の味が、それぞれの地域や醸造所によって異なるのと似ています。
 醸造所=レーベルの専属プロデューサーは、独自のサウンドレシピを持っていて、でも、実際に料理をするのはスタジオミュージシャン達です。
 だから、本格的なソウルサウンドには、歌だけじゃなく、バック演奏も含め、その全体を味わう楽しみがあります。

 映画「ブルース・ブラザース」に、バンドマンとして出演していた、ベースのドナルド・ダック・ダンは、このアルバムの2曲目~9曲目を演奏しています。この人は、スタックスサウンドのリズムセクションの要です。
 (映画「ブルース・ブラザース」の記事を掲載しました。こちらから、お読みください)
 そして、もう一人の重要な要は、ドラムのアル・ジャクソン(Al Jackson, Jr. )です。ドラムとベースが作りだすタイトなリズムは、何とも言えません。素晴らしい!ぞくぞくします。

 ただし、1曲目だけは、ドラムがハワード・グライムスが担当しています。アル・ジャクソンより少し重いドラムですね。
 この人、スタックスと同じメンフィスにあった、これもメンフィス・ソウルに属する有名なレーベル、「ハイ・レコード」のスタジオミュージシャンとして有名です。ハイ・レコードの、例えばソウルシンガーのアル・グリーンのアルバムクレジットに必ず名が出ています。
 もうひとつ、ただし。アルバムの1曲目と10曲目のバック演奏には、メンフィスのファンクバンド、バーケイズ(The Bar-Kays)のメンバーが加わっているようです。
 確かに、この2曲だけは、他の曲と風合いが違います。私は、ドナルド・ダック・ダンとアル・ジャクソンの組み合わせが大好きです。(ブッカー・T&ザ・MG'sの一員)
 ちなみに、「ブルース・ブラザース」で、同じくバンドマンとして出演していたギターのスティーヴ・クロッパー(ブッカー・T&ザ・MG'sの一員)は、7曲目の歌を作曲しています。

 ソウルは、教会で歌われるゴスペルを商業化した音楽です。コード進行もリズムもホーンアレンジも、ゴスペルよりも一工夫も二工夫もしてあって洒落た作りです。
 ゴスペルが、もともと、きれいなメロディの聖歌(讃美歌)を土台にしているように、ソウルでも、特にバラードでは、美しいメロディをモチーフに作曲したナンバーが、往々にしていい曲になっています。ちょっとそれますが、日本の唱歌「浜辺の歌」なんか、ソウルフルなアレンジで編曲すれば、いい曲になるかも知れません。

 ソウルメン」という映画で、このスタックスからレコードを出す、という話がありました。
 この映画の記事はこちらから、お読みください。
 
 このアルバムを聴いていて思うことは、1980年代以降のソウル・ミュージックは、このアルバムで聴けるサウンド含め、1970年代以前の音楽の真似かコピーです。言い換えれば、過去の音楽資産を食いつぶして、今に至っているということです。
 たまには、元祖なソウル・ミュージックを聴いてみてね。

The Soul Children 「GENESIS」  Stax 3003 
01 – I Want To Be Loved (Sam D. Bell) 8:24
02 – Don’t Take My Sunshine (Bobby Newsome) 3:59
03 – Hearsay (John Colbert, Norman West) 3:38
04 – All That Shines Ain’t Gold (John Gary Williams, Tommy Tate) 3:55
05 – It Hurts Me To My Heart (Bettye Crutcher) 3:00
(LPではB面)
06 – I’m Loving You More Everyday (James Mitchell) 4:52
07 – Just The One (I’ve Been Looking For) (A. Isbell, E. Floyd, S. Cropper) 3:20
08 – Never Get Enough Of Your Love (Eddie Floyd) 4:22
09 – All Day Preachin’ (Bettye Crutcher, Bobby Manuel) 3:55
10 – Get Up About Yourself (Carl Hampton, Homer Banks, Raymond Jackson) 4:12

【スタジオ・ミュージシャンのリスト】
◆Track 1:
James Alexander – bass|Michael Toles – guitar|Allen Jones – organ|Howard Grimes -drums
◆Tracks 2 through 9:
Piano and organ – John Keister, Marvell Thomas|Guitars – Raymond Jackson, Bobby Manuel|Donald “Duck” Dunn – bassAl Jackson, Jr. – drums
◆Track 10:
Carl Hampton – piano|Raymond Jackson, Michael Toles – guitars|James Alexander – bass|Al Jackson, Jr. – drums?|
プロデューサは曲ごとに異なります。
Producer – Al Jackson Jr. (tracks: A1 to A5, B1 to B4), Carl Hampton (tracks: B5), Homer Banks (tracks: B5)
Producer, Performer [Rhythm By] – Raymond Jackson (tracks: B5)
Producer, Remix [Re-Mix Engineer] – Jim Stewart (tracks: A1 to A5, B1 to B4)

 

 

一夜一話の “ 今日はビッグバンドジャズだよ。 ”   ボブ・フローレンスのビッグバンド

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 今日の一枚は、ボブ・フローレンスのビッグバンドの「セレンディピティ18」 というアルバム。
 目の覚めるような演奏とは、まさにこのアルバムのことを言う。とても洗練されたモダンジャズです。

 まずは、ビッグバンドの一糸乱れぬダイナミックさが素晴らしい。
 また、曲が、指揮が実に良い。それはサウンドの表情・演出効果、音の強弱・音色の硬軟、変化するテンポ、そして緊張と緩和の絶妙さ。どの一音一打もまったく無駄がない、素晴らしい演奏。
 ライブで聴いたら、鳥肌がおさまらないだろう。

 各楽器のどの音も、まるで色かたちがあるかのようにはっきり見えて、自由に動き回るその様子が明確に分かる。かつ、そうでいて、全体のサウンドやハーモニーは緻密に計算されている。加えて、バンド内のコール・アンド・レスポンス。そして、そんな中を、曲のあちこちで、ソロ演奏が入る。
 メンバーの誰もが力量があって素晴らしいソロをとる。

 1曲目は、1拍目冒頭から、いきなりサックスが炸裂する。2曲目はボブ・フローレンスの力強いピアノで始まりアップテンポで疾走する。有無を言わせず、このバンドのダイナミックな力を見せつけられる。
 例えば、3曲目、4曲目はスローな曲が並ぶ。
 3曲目の曲は、ボブ・フローレンスによる静謐なピアノトリオで始まるが、途中からテンポがアップしてバンド全体のサウンドになり、爽快なノリが出てくる。身体が勝手にリズムを取りはじめる。
 4曲目は高層ビル最上階のレストラン、灯したキャンドルを前にしてロマンティックナイト・・・そんな感じの曲。でも言っとくけど、安っぽさなんか微塵もないよ。
 5曲目は、またアップテンポだが、力を抜いた疾走感。このノリを出しているのが、ドラムのブラシワーク。オカズを入れるタイミングはさすがのセンス。いいなこの人。そして、このドラムにクラリネットやベースのソロが絡む。
 と、まあ、以上、そんな感じです。アルバムにある曲は全7曲(9トラック)。

 ボブ・フローレンスという人は、ピアニスト、アレンジャー、コンポーザー、コンダクター、ビッグバンド・リーダー、そして教育者。
 彼のピアノは、バンドサウンドの中の、ここぞ!という要所要所で、1音か数音のフレーズを入れる。エリントンやベイシーっぽい。 
 ビッグバンドを主題に取りあげている、2014年のアメリカ映画「セッション」を観ていて、無性にこのアルバムが聴きたくなった次第。 (この映画の記事はこちらからお読みください) 

「Serendipity 18  Limited Edition」
1 Serendipity 18  Composed By – Bob Florence 9:24
2 Sugar  Composed By – Stanley Turrentine 7:52
3 Tres Palabras  Composed By – Osvaldo Farrés, Ray Gilbert 10:31
4 Now Playing  Composed By – Bob Florence 9:38
5 Bimbosity  Composed By – Bob Florence 8:47
6 Evelyn  Composed By – Bob Florence 7:55
E-Motions  Composed By – Bob Florence
7 Part 1 6:27
8 Part 2 8:07
9 Part 3 4:26

Produced By – Bob Florence
Arranged By – Bob Florence

Conductor/Piano – Bob Florence
Trumpets
Steve Huffsteter|Wayne Bergeron|Rick Baptist|George Graham (2)|Ron Stout|Carl Saunders|
Trombones
Alex Iles|Bob McChesney|Charlie Loper|Don Waldrop (Bass Trombone)|
Reeds
Bob Carr (Baritone Saxophone、Contra-Alto Clarinet)|Terry Harrington (Tenor Saxophone、Clarinet、Flute)|Don Shelton (Alto Saxophone(2)、Soprano Saxophone(2)、Clarinet(2)、Flute(2))|Kim Richmond (Alto Saxophone、Clarinet、Flute)|Jeff Driskill (Tenor Saxophone、Clarinet、Flute)|Bob Efford (Baritone Saxophone、Bass Clarinet)|
Bass – Trey Henry
Drums – Dick Weller

一夜一話の “ 今日はサンバの詩人だよ。 ” カルトーラ

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 今日の一枚は、サンバのシンガーソングライター、カルトーラだよ。(1908 - 1980)
 サンバといえば、サンバ・カーニバルの派手さを思い浮かべる向きもあろうが、カルトーラは詩人だ。

 このライブアルバムは、カルトーラのファンが集まって、彼を温かく包み込んでいる様子が目に浮かぶ。
 カルトーラの声は、ややかすれて美声ではないが、スラーの旋律では、その声が柔らかく伸びる。
 歌は巧くはない。しかし、彼が作り出す、物悲しくも美しい哀愁のメロディー、それはサウダージ、これがなんとも素晴らしい!につきる。
 一度、いいなと思うと、たぶん、病み付きになる。

 伴奏は、主にマンドリンが旋律を、ギターの5弦6弦が低域を担い、カヴァキーニョがリズムを刻む。(カヴァキーニョはウクレレのような形のブラジルの弦楽器)
 ここで重要なことは、このアルバムの全曲がバラードのように聴こえるが、注意して聴くと、実はゆったりした「サンバ」なのだ。つまり、カルトーラは、「サンバ」の作曲家であり同時に詩人なのだ。
 タメ(溜め)をきかせたギターの低音フレーズが、何とも言えぬ心地良いサンバのノリを作りだし、他の楽器のコード・カッティングがリズムを華やかにしている。よって、サウダージな歌を聴きながらも、からだの方はリズムを感じて自然と揺れはじめる。 
 このライブは1978年、その2年後、彼はサウダージを残して他界した。

2-50.png 同じくカルトーラのこちらのアルバム「Pranto de Poeta」は、いろんなパーカッションが楽しく入り、バックコーラスもついたスタジオ録音。
 誰が聴いても、サンバなアルバムです。そういう意味では、上のアルバムより分かりやすいかもしれないが、サウダージ感は薄まる。
 「愛するマンゲイラ」「わが人生の冬」の2曲が、両アルバムに入っている。(下記収録曲リスト中、※印)
 聴き比べてみると、上のアルバム「ライブ」では、どちらの曲もバラード曲のように聴こえるけれど、やっぱりサンバだ、と分かる。
 
 カルトーラの歌は、映画でも取り上げている。
 ブラジル映画 「セントラル・ステーション」(1998年)のラストで、また、同じくブラジル映画 「リオ、アイラブユー」(2013年)でも聴ける。(それぞれの映画記事は、題名をクリックしてお読みください) 

カルトーラ:「ライブ」  1978年録音  ディスク・ユニオン REMMI-1774 (RUI MIFUNE)
CARTOLA:「LIVE」

1. Alvorada (夜明け)   (Cartola - Carlos Cachaça - Hermínio B. de Carvalho)
2. O mundo é um moinho (人生は風車)   (Cartola)
3. Sim (そうさ)   (Cartola - Oswaldo Martins)
4. Acontece (アコンテセ)   (Cartola)
5. Amor proibido (禁じられた愛)   (Cartola)
6. As rosas não falam (沈黙のバラ)   (Cartola)
7. Verde que te quero rosa (愛するマンゲイラ)   (Cartola - Dalmo Castelo)
8. Peito vazio (からっぽな心)   (Cartola, Elton Medeiros)
9. Alegria (歓び)   (Cartola)
10. O inverno do meu tempo (わが人生の冬)   (Cartola - Roberto Nascimento)
11. O sol nascerá (日は昇る)   (Cartola - Elton Medeiros)

CARTOLA:「Pranto de Poeta」  1978 - 1979年録音

1 - Autonomia      2:41 (Angenor de Oliveira (Cartola))
2 - Nós dois   2:40 (Angenor de Oliveira (Cartola))
3 - O inverno do meu tempo (わが人生の冬)    2:40 (Angenor de Oliveira (Cartola) - Roberto Nascimento)
4 - Grande Deus    3:10 (Angenor de Oliveira (Cartola))
5 - Ciência e arte   3:05 (Angenor de Oliveira (Cartola) - Carlos Cachaça))
6 - Tempos idos    3:38 (Angenor de Oliveira (Cartola) - Carlos Cachaça))
7 - Pranto de poeta      3:32 (Guilherme de Brito - Nelson Cavaquinho)
8 - Fita meus olhos      2:47 (Angenor de Oliveira (Cartola) - Osvaldo Caetano Vasques (Baiaco))
9 - Verde que te quero rosa (愛するマンゲイラ)    3:13 (Angenor de Oliveira (Cartola) - Dalmo Castelo)
10 - A mesma estória     2:49 (Angenor de Oliveira (Cartola) - Elton Medeiros)
11 - Fim de estrada       2:16 (Angenor de Oliveira (Cartola))
12 - Que é feito de você       2:50 (Angenor de Oliveira (Cartola))
13 - Silêncio de um cipreste     2:45 (Angenor de Oliveira (Cartola) - Carlos Cachaça)
14 - Bem feito      2:27 (Angenor de Oliveira (Cartola))

一夜一話の “ 今日はソウルのライブだよ。 ”  ダニー・ハサウェイ

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 きょうの一枚は、ダニー・ハサウェイのライブ録音アルバム、「ライヴ」(1971年)。
 なんたって、ソウルのライブ・アルバムでは、ピカイチだ。
 出だしの一曲目、「愛のゆくえ」 "What's Going On"で、あなたは有無を言わさず、熱気むんむんのライブハウスに連れ込まれる。そこは、女の子たちがキャーキャー言ってる、ライブ演奏の真っただ中。
 例えば、キャロル・キングの「きみの友だち」 "You've Got a Friend"。
 ダニー・ハサウェイがエレクトリック・ピアノで弾き始めるイントロのフレーズ、その数拍目で、観客はみな、「あっ"You've Got a Friend"だ!」と察する、その一瞬の気配も伝わってくる。
 客は感情があふれ出し一斉に歌い出す。その客のコーラスに、ダニー・ハサウェイはゴスペル風の合いの手フレーズを歌い、場を盛り上げていく。
 このアルバム、このライブ感がすごく良い。客とステージの距離が近くライブハウスならではの良さがよくでている。

 にぎやかな前半(レコード時代のA面)に比べ、後半(5曲目以降)は少し落ち着いた客を前にして、マニア受けな曲が並ぶ。(ライブ録音した場所が異なる)
  5曲目の"Little Ghetto Boy"では、躍動感あるベースのフレーズがいいね。 次の"We're Still Friends"では、コーネル・デュプリーのギターが抜群。
 そして当のダニー・ハサウェイだが、全曲、のびのび思うままに歌っている。彼が弾くエレクトリック・ピアノは、フェンダーローズじゃなく、たぶんウーリッツァーだ。その少々丸っこい音色にエフェクターをつなぎ、ロータリーエフェクトもわずかにかけて雰囲気を出してる。いいですね!
 ダニー・ハサウェイやバンドメンバーの演奏は、総じてラフで、普段着な演奏。スタジオ録音時の演奏では、きれいに仕上げないといけないが、ここはライブハウスですから、これでいい、この方がいい。 
 A面の「ゲットー」 "The Ghetto"と、ラストの曲はインストゥルメンタル(楽器演奏)が長い。だるく思う向きもあるかもしれないが、身体で聴きましょう。
 古くならないアルバムです。もし、今、ソウルなバンドがライブハウスで、「音楽ビジネス・ライクじゃなく」気ままに演奏できるとしたら、きっとこのアルバムみたく演奏したいでしょう。

ダニー・ハサウェイ : 「ライヴ」 1971年
Donny Hathaway : 「LIVE」
曲目
1 愛のゆくえ "What's Going On"  (Renaldo "Obie" Benson, Al Cleveland, Marvin Gaye) – 5:17
2 ゲットー "The Ghetto"  (Donny Hathaway, Leroy Hutson) – 12:06
3 ヘイ・ガール "Hey Girl"  (Earl DeRouen) – 4:01
4 きみの友だち "You've Got a Friend"  (Carole King) – 4:31
5 リトル・ゲットー・ボーイ "Little Ghetto Boy"  (E. DeRouen, Edward Howard) – 4:29
6 ウィアー・スティル・フレンズ "We're Still Friends"  (D. Hathaway, Glenn Watts) – 5:11
7 ジェラス・ガイ "Jealous Guy"   (John Lennon) – 3:07
8 エヴリシング・イズ・エヴリシング "Voices Inside (Everything Is Everything)"  (Richard Evans, Philip Upchurch, Ric Powell) – 13:40

一夜一話の “ 今日はジャズ・ボーカルだよ。 ” ダイアナ・クラールとナット・キング・コール

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 きょうの一枚は、女性ジャズシンガーのダイアナ・クラールの「オール・フォー・ユー (ナット・キング・コール・トリオに捧ぐ)」。(1995年)
 聴きやすいジャズボーカル。かつ玄人受けもする奥行きがある人。
 ピアノも弾くが、弾き語りレベルの腕前ではない、彼女はジャズピアノ奏者でもある。だから、間奏で弾くきびきびとしたピアノソロが素晴らしい!
 歌声は少々ハスキーボイスで、メリハリある歌いっぷりだが、うるさくない、強弱のコントロールがきいている。ムーディーな曲では色気ある ささやき声で、あなたに吐息がかかる。

 ダイアナ・クラールは、黒人歌手ナット・キング・コール(1919 - 1965)が好きらしい。
 このアルバムは、副題に「ナット・キング・コール・トリオに捧ぐ」とあるように、 “ナット・キング・コール”トリオが演奏していた曲を集めている。つまり、ナット・キング・コールの選曲センスを、ダイアナ・クラールは好きなんだろう。歌が歌としていきいきしていた豊潤な時代の曲たち。どれも古い曲だが、古臭さを全く感じさせない、ダイアナ・クラールのモダンな感性と演奏で、曲は素晴らしく仕上がっている。
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 ドラム、ベース、ギターをバックにやっているが、ギター伴奏だけで歌う曲もある。どの曲も破たんが無い出来。ただしなぜか12曲目だけが、ダイアナ・クラールはピアノを他人に任せてボーカルに専念している、このピアノ伴奏が唯一、凡庸。あと、ウッドベースが控えめな音量の録音なので、これが聴こえる装置で聴いてね。
 ダイアナ・クラールは、例えば「ホエン・アイ・ルック・イン・ユア・アイズ」といった、ジャズスタンダードを歌うオシャレなアルバムもあるが、私はこの「オール・フォー・ユー」が好きだ。何度聴いても飽きない。


1-2-90.jpg そんなわけで、ナット・キング・コールの「アフター・ミッドナイト」(1956年)を聴いてみる。
 彼もジャズボーカル&ジャズピアノ奏者で、このアルバムはドラム、ベース、ギターをバックに、ゲストにトランペット、アルトサックス、トロンボーン、ヴァイオリンを加えてやっている。
 う~ん、演奏は古さを拭えないが、やはりナット・キング・コールのボーカルがあたたかく魅力的。曲はどれも懐かしさを誘う。下記の収録曲リストに*印をつけたものをダイアナ・クラールも「オール・フォー・ユー」で取り上げている。オリジナルと比べ聴いて、ダイアナ・クラールのモダンな感性を確認できる。
1-150.png ナット・キング・コールの歌声はベルベット・ボイスと言われる艶やかさがある。例えば、美しいストリングスをバックに歌う、スタンダードバラード集1956年の「恋こそはすべて」(LOVE IS THE THING)は、いいアルバムですね。

 時々になりますが、これから、こんな音楽コーナーを始めます! よろしく。



ダイアナ・クラール(1964 - )
「オール・フォー・ユー (ナット・キング・コール・トリオに捧ぐ)」  1995年
DIANA KRALL : 「ALL FOR YOU (A DEDICATION TO THE NAT KING COLE TRIO)」
曲目
1 "I'm an Errand Girl for Rhythm"  (Nat King Cole) – 2:55
2 "Gee Baby, Ain't I Good to You"  (Don Redman, Andy Razaf) – 4:07
3 "You Call It Madness"  (Gladys Dubois, Con Conrad, Russ Columbo, Paul Gregory) – 4:37
4 "Frim Fram Sauce"  (Joe Ricardel, Redd Evans) – 5:01
5 "Boulevard of Broken Dreams"  (Al Dubin, Harry Warren) – 6:27
6 "Baby Baby All the Time"  (Bobby Troup) – 3:36
7 "Hit That Jive Jack"  (John Alston, Campbell "Skeets" Tolbert) – 4:16
8 "You're Looking at Me" (Troup) – 5:33
9 "I'm Thru with Love"  (Matty Malneck, Gus Kahn, Fud Livingston) – 4:26
10 "Deed I Do"  (Fred Rose, Walter Hirsch) – 3:32
11 "A Blossom Fell"  (Howard Barnes, Harold Cornelius, Dominic John) – 5:13
12 "If I Had You"  (Ted Shapiro, Jimmy Campbell, Reg Connelly) – 4:55
13 "When I Grow Too Old to Dream" (Sigmund Romberg, Oscar Hammerstein II) (non-US bonus track) – 4:35

ナット・キング・コール(1919 - 1965)
「アフター・ミッドナイト」 1956年

NAT KING COLE : 「AFTER MIDNIGHT  Nat 'King' Cole And His Trio」
曲目
1 "Just You, Just Me"  (J.Greer, R.Klages) – 3:00
2 "Sweet Lorraine"  (C.Burwell, M.Parish) – 4:33
3 "Sometimes I'm Happy"  (I.Caesar, V.Youmans) – 4:11
4 "Caravan"  (Ellington, Mills, Tizol) – 2:45
5 "It's Only a Paper Moon"  (Arlen, Harburg, Rose) – 3:06
6 "You're Looking at Me" (Bobby Troup) – 4:12
7 "Lonely One"  (Hambro, Heller) – 3:45
8 "Don't Let It Go to Your Head"  (Hadamik, LaVere, Nast) – 3:11
9 "I Know That You Know" (A.Caldwell, V.Youmans) – 2:28
10 "Blame It on My Youth"  (O.Levant, E.Heyman) – 4:06
11 "When I Grow Too Old to Dream" (O.Hammerstein,S. Romberg) – 4:33
12 "(Get Your Kicks on) Route 66"  (Bobby Troup) – 3:41

【 一夜一話の 歩き方 】

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映画 「スライ・ストーン」  ドキュメンタリー映画   2015年

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2-0_2016062811555425b.jpg スライ&ザ・ファミリー・ストーンのリーダー、スライ・ストーン(1943年-)のドキュメンタリー映画です。

 映画のなかでスライのサウンドが流れてくるだけで、ウキウキする方々向けの映画。
 言い換えれば、1970年前後のころのファンクミュージックに共感持てないと、正直、面白くない。 

 思うこと。
 40年以上の時の流れは残酷だな。
 凄く音楽的才能ある彼は、自身が望む音楽はやるが、音楽ビジネスが言うことには迎合しない人かも。そして案外、利にさとい人じゃないかもしれない。でもヒットし売れた。
 頭にひらめいたサウンドを実現するのにあれこれ考え没頭する凝り性さが、音楽ビジネス側が言う以上のサウンドを作り上げたのだろうと思える。
  実は永遠にアマチュア精神の人なのかもしれない。
  映画の中で、彼はホテルの一室でひとり、パソコンに向かって曲を作っている。あれは、若い頃スタジオにこもり、バンドメンバーを昼夜問わず待機させ、夜中にたたき起こし、すぐさま彼が期待するプレイをさせた、のと同じだ。幾つになっても彼は、曲を作り演奏したい。素晴らしい曲を作りライブするのが、お金以上に好きかも。そう感じた。

 いろいろあった末に、業界からも世間からも長年、身を隠し通していた。おまけにマネジャーに金を奪われ無一文、キャンピングカーに寝泊まりしてホームレス状態だった。この映画のインタビューに応じたのも金かも知れない。しかし訴訟に勝ち、金は戻った。離れていた元メンバーも、それまでの しがない毎日を抜け出そうと集まってくる。
  まだ生きているのに、もう既に伝説になってしまっていたが、これを打ち払うように彼は音楽活動を再開する、御年72歳。

 曲名をクリックして、Sly & the Family Stone をお聴きください。
 サンキュー(1970) ソウルトレインのライブ演奏
 ダンス・トゥ・ザ・ミュージック(1968) ライブ演奏

 当時、私はそれほど熱心に聴かずに終わっていた。
 時が経ち、私の聴く耳が変わったようだ。アルバム何枚かは、まだどこかにあるはず。これを機に、また聴いてみるかな。

オリジナル・タイトル:Dance to the Music
監督ウィレム・アルケマ|オランダ|2015年|90分|
出演 :スライ・ストーン|ウィレム・アルケマ|アルノ&エドウィン・コニングス兄弟|フランク・アレラノ|ジェリー・マルティーニ|グレッグ・エリコ|リッチ・ロマネロ|ほか

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最近行ったコンサートから(2)

1)「水の輪コンサート」 ~精神障害者たちによるコンサート (我孫子けやきプラザ ふれあいホール)

  大勢による祭り太鼓、ハンド・チャイムによる演奏、子たちだけの歌と打楽器演奏など。
  それぞれ一生懸命な演奏、本人たちも楽しそうでした。

  なかでも、「Fly me to the moon」をピアノソロで演奏した男性が素晴らく、思わずのけぞった。
  一口で言えば、「この人のジャズ」になっているのだ。
  つまり、 Fly me to the moon をジャズアレンジした譜面を上手に弾きましたといった世界ではない。
  彼のプレイは少しアップテンポでアタックが強い。そして新鮮な響き。彼ならではのピュアな感性が、ガシガシ伝わってくるのだ。聴きいってしまった。
  このプレイに立ち向かえるジャズミュージシャンが、さて日本に何人いるだろうか?



2)「大貫妙子と小松亮太 コンサートツアー」 ~NEWアルバム「Tint」発売記念コンサート (オーチャードホール)
  出演:大貫妙子(ボーカル)  小松亮太(バンドネオン)
  ゲスト:国府弘子(ピアノ)
  バンド:近藤久美子(ヴァイオリン)、天野清継(ギター)、鈴木厚志(ピアノ)、田中伸司(コントラバス)

  ゲストの国府弘子がソロでピアノを弾いた、このオリジナル曲(ソロピアノ曲)が良かった。
  音の選びのセンスが素晴らしい。
  大貫妙子はね、若いころ、いい曲をうまく歌っていた。
  小松亮太と彼のバンドは、上手なんですが、ピアソラ五重奏団を聴いた耳には、あまりにも物足りない。
 
  
  

1970年代の日本のロック、フォークを振り返る。

上
 1970年代初頭に大きく台頭してきた、エポックメーキングな「’70年代の日本のロック、フォーク」。
 思うに、あれは一種の祭りであった。あの祭りは、演奏者と熱心な観客とが一体化できた「場」であり、かつ暗黙のうちに、何らかの共同作業をした場であった。幻想だったろうか? 
 振り返ると、1970年代のロック・フォークは、あのバブルの頂点(峠)の向こう側。そして、1960年代からの政治の波が、足元で引いて行く浜辺にあった。

1_201509281213369c0.png
「70年代シティ・ポップ・クロニクル」  
  萩原健太 (著)  (ele-king books) Pヴァイン 2015年


 クロニクルとは年代記のこと。つまり、1970年代の日本のロック、フォークを語る本。名盤としてイチオシのアルバム15枚(下記目次)を紹介しながら、著者は当時を語る。
 かつ、各アルバムごとに、関連するミュージシャンのアルバムが数枚紹介されていて、結果、15枚+86枚の合計101枚のアルバムで1970年代の日本語ロックとフォークを、おおよそ総覧できる。
 当時を懐かしむも良し、新たな発見をするも良し。良質な音楽であったことに間違いはない!

【目次】
まえがき|「風街ろまん」前史|風街ろまん・・はっぴいえんど|大瀧詠一・・大瀧詠一|摩天楼のヒロイン・・南佳孝|扉の冬・・吉田美奈子|Barbecue・・ブレッド&バター|久保田麻琴Ⅱ~サンセット・ギャング・・久保田麻琴|MISSLIM・・荒井由実|黒船・・サディスティック・ミカ・バンド|HORO・・小坂忠|SONGS・・シュガーベイブ|バンドワゴン・・鈴木茂|センチメンタル・シティ・ロマンス・・センチメンタル・シティ・ロマンス|火の玉ボーイ・・鈴木慶一とムーンライダーズ|泰安洋行・・細野晴臣|熱い胸さわぎ・・サザン・オールスターズ|あとがき|

20.png10_20150930231426cd7.png◆「70年代シティ・ポップ・クロニクル」が紹介する中から、好きなバンド2つ。
<はっぴいえんど>   
 1stアルバム「はっぴいえんど」(1970年URC)と、2ndアルバム「風街ろまん」 (1971年URC)は、道を教えてくれました。右はURCレコードによるレコードリストです。はっぴいえんどの当時の立ち位置が分かります。クリックして拡大できます→
 加えて、細野晴臣の「HOSONO HOUSE」(1973年)と、大瀧詠一の1stソロ・アルバム「大瀧詠一」(1972年)が強烈であった。
 1973年の解散コンサートは行きました。あっという間に、はっぴいえんどというバンドは、なくなりました。
<はちみつぱい>
 鈴木慶一とムーンライダーズの前身のバンドです。
中 1973年に、初めて彼らの音を聴いた時、突如ライブハウスのステージ空間が歪み出し、妖しい異空間に遭遇、ワクワクしました。渋谷百軒店のロック喫茶BYGの地下から、時折、彼らの練習が聴こえていました。そして、近くのロック喫茶ギャルソンで、彼らがリクエストするレコードを密かにチェックしてました。今も深く思い入れがあるバンドです。
 2013年のあがた森魚コンサートに、ムーンライダーズ一派と、元はっぴいえんどの鈴木茂が参加してました。このコンサート記事は、こちらからご覧ください。
 右は、1stアルバム「センチメンタル通り」(1973年ベルウッドレコード)


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「ライブハウス「ロフト」青春記」
  平野 悠 (著)  講談社 2012年


 筆者は1971年に「ロフト」を立ち上げ、その後40年以上に渡り今もライブハウスを経営する人。
 上記の「70年代シティ・ポップ・クロニクル」にある1970年代から、80年代半ば頃までのロック、フォーク、ジャズのライブ現場を回顧する本であり、かつライブハウス経営の当事者の視点でライブハウスという場の変遷を語る本。
 内容は、下の目次を見てください。日本の音楽シーン全体が、プロフェッショナルなアマチュアから脱皮して、職業人としてビジネスに乗って行く変遷を追う、貴重なドキュメンタリーでもあります。
 
【目次】
プロローグ
第一章 開宴(失業、そしてジャズ喫茶を開店)
ジャズ喫茶・烏山ロフトの誕生(1971年春)|開店資金は140万円|店のレコード枚数が少ない事を武器に|烏山ロフトの論客たち・坂本龍一ほか|吉祥寺・ぐゎらん堂の衝撃|ライブハウスへの目覚め|ほか
第二章 飛躍(西荻窪ロフト編)
西荻窪ロフト、1973年オープン|ライブはいつも大赤字|チャージ全額バック制に移行|春二番コンサート・イン・西荻窪ロフト|店をいっぱいにしたスターたち・高田渡、友部正人、大塚まさじ(ディランⅡ)と西岡恭蔵、中山ラビ、河島英五|都会派の南佳孝と浜田省吾|歌う哲学者・斉藤哲夫と天才・加川良|ほか
第三章 追撃(荻窪ロフト編)
日本のロックの躍進が始まった|西荻窪ロフトの限界は広さ|シンガー・ソングライターの誕生|手作りで荻窪ロフトを開店|プロのブッカ―の投入|山下洋輔トリオは荻窪ロフトの楽屋で解散|情報誌「ぴあ」と「シティロード」|ロフトから私の愛するジャズライブは消えた|ニュー・ミュージックの躍進|「日本語ロック」で悪いですか?|ティン・パン・アレーと一夜で解散した伝説のバンブー|ほか
第四章 革命(下北沢ロフト編)
ライブハウスの時代が始まった|下北沢ロフト、オープン|中島みゆきが出演|サザンオールスターズと下北沢ロフトの物語|ほか
第五章 天下御免(新宿ロフト編vol.1)
下北沢ロフトの成功から新宿へ|70年代後半、ニュー・ミュージックの時代|歌謡曲と日本型ポップスの衰退|日本一巨大なスピーカーを装備|かくして新宿ロフトはオープンした|ライブハウスの原点が崩壊していく!|ポスト・パンク=テクノの時代へ|ほか
第六章 爛熟(新宿ロフト編vol..2)
ライブハウスの大型化と大手商業資本の参入|先鋭化するパンク・シーン|朋友、今はなき「渋谷屋根裏」と「ルイード」に栄光あれ|ロフトのロックに対する歴史的な役目は終わった|悶々とした日々|ロフト解散宣言|日本を捨て無期限の世界放浪の旅に出る(1984-92)|ほか
エピローグ
日本のロックはどこに行くのだろうか?|ほか

◆「ライブハウス「ロフト」青春記」を読んで、西荻窪ロフトを思い出す。
 隣りが八百屋、向かいは魚屋という古びた市場の中にあった西荻ロフトでは、ロックバンドがガンガンに音を出していた。
中2 例えば、大塚まさじ率いるオリジナル・ザ・ディラン。エレクトリックギターを抱える石田長生やフェンダーローズ(エレクトリックピアノ)の佐藤博、ドラムの林敏明、エレクトリックベースの田中章弘。みんな凄くかっこ良かった。
 西荻ロフトの店内にはトイレが無かった。市場にある小さな共同便所を利用した。だから、ライブの休憩タイム時は、すぐに混みあった。よって男性は、人目のない近所の暗がりで用を足していた。そんな訳で、ミュージシャンも客も、連れションしながらいろいろ話ができた。例えば、「演奏中に、なんでチョコレートを、かじってるんですか?」佐藤博さん曰く、「カフェイン中毒なんだよ、ほんとに(笑)」
 右はオリジナル・ザ・ディランのアルバム「悲しみの街」1974年キングベルウッドレコード


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「ライブハウス文化論」
  宮入 恭平 (著)   (青弓社ライブラリー 53)  青弓社 2008年


 1968年生まれの著者は、80年代末ごろから、フリーのミュージシャンとして東京のライブハウスで活動してきた人。
 だから1970年代を客観的に歴史として整理しながら、同時に、現在のポップス音楽シーンを、ミュージシャン側から見たライブハウスの現場、という切り口から批評する本。1980年代を転換期に音楽シーンは産業化が進み、高度に商業化システム化して行く。
 現在のシステム化されたライブハウスの経営は、ミュージシャンに課せられるノルマやチャージによって支えられている。
 ミュージシャンの、「プロ」と「プロフェッショナル」と「アマチュア」の区分の日米比較が面白い。また、ライブハウスとカラオケの関係も述べていてこれも面白い。
 この点については、上記の本「ライブハウス「ロフト」青春記」のエピローグにも関連の記述がある。
 長らく海外にいて92年に帰国したばかりの著者でロフト・オーナー平野 悠が、ライブハウスのノルマ制度が一般化しているのに驚いて、・・・
 「えっ、客が入らない(入りが悪い)と、ライブハウスは表現者から罰金を取るのか?」
 スタッフ曰く、「はい、出演料です」
 「出演料って、店側が払うものじゃないの?カラオケと勘違いしてない?」
 スタッフ曰く、「アマチュア・ミュージシャンを相手にしたカラオケの豪華版です」 

【目次】
第1章 ライブハウスの全貌
ライブハウスのイメージ|現状|変遷|
第2章 ライブハウスとミュージシャン
ロック系ミュージシャン|ライブハウスのミュージシャン|
第3章 ライブハウスと音楽空間
演奏者と観客の固定的関係~コンサートホール|演奏者と観客の流動的関係~ストリート、ロック・イベント|ライブハウスでの演奏者と観客の関係|
第4章 ライブハウスとノスタルジア
団塊世代と音楽|団塊世代の音楽消費|ノスタルジアとしての音楽~懐かしいの商品化、後ろめたさ|
第5章 ライブハウスとミュージック・クラブ
ライブハウスとミュージック・クラブ|音楽ブームと音楽シーン|天国のアーティストと地下鉄のミュージシャン|カラオケとKARAOKE
第6章 ライブハウスのゆくえ
存在意義|ゆくえ|


◆音楽評論家の小沼純一が言っている。
 「“ある音楽が通じる”共同体がある。その共同体とは、その音楽が響いている その持続の中でしか存在しない、その響きの中でしかありえない想像的なものだ。」
 「音楽はそれだけで成り立つわけはない。視覚的要素や空気、つまり「場」というものと切り離しがたいものとして、音楽はあるはず。」
 「音楽と人の生活は、時代を追うごとに結びつきが希薄になって来た。音楽を奏でる人と聴く人が分離し、聴く人は聞く人になり、聞き方は散漫になった。」
(「サウンド・エシックス これからの音楽文化論入門」より)
0_20151003175902e40.jpg◆私が好きだった、そのほかのバンド。
<センチメンタル・シティ・ロマンス>
 彼らを初めて聴いたのは、やはりどこかのライブハウスでした。はちみつぱいのステージの後に、トリで登場し、両バンドの色の違いを鮮明にした。アルバムを聴く分にはカラッと洗練された完成度高いサウンドだが、メンバーは一様に見た目、むさ苦しくダサかった。だから泥臭いサウンドに見えた。今回、恐るおそる聴いてみたが素晴らしい。1975年、1stアルバムを出したあとだったか?ドラムの人が替わった。こうして、どのバンドも技量のアップが求められて行った。
<その他、キリがない・・・>
 葡萄畑は、私にとって身近な先輩たちのバンドでした。そして、ソー・バッド・レビュー、上田正樹とサウス・トゥ・サウス、小坂忠(1stアルバム「ありがとう」1971年)、布谷文夫(ニューオリンズR&Bのドクター・ジョンをやった)、伊藤銀次(「ごまのはえ」や「ココナツ・バンク」)、斉藤哲夫、ダッチャ(「26号線」1973年)、ブレイク・ダウン、憂歌団、ウエスト・ロード・ブルース・バンド、空飛ぶドーナツなどなど・・・・・・。
 1980年代が近づくにつれて、日本の音楽がどんどんオシャレに上手くなってビジネスになり、その結果、70年代初めのピュアなマインドが希薄になるに従って、私の関心は徐々に、ソウルやR&Bやファンク、そしてサルサ・南米音楽・沖縄島唄など民族音楽へと傾倒して行った。ミュージシャンにも生活があったし、音楽産業も企業として成長したかった。そして時代はバブルに向かって行った。

◆1970年代、ロック、フォークの周辺。
<ライブハウス>
 もちろん、ロフト系以外のライブハウスにも通った。高円寺のジロキチなど、京都に帰れば拾得、磔磔。三ノ輪の「モンド」も印象に残ってます。
<大型コンサート>
 いろいろ行きましたが、どれが一番強烈だったか?それは春一番コンサート(大阪の天王寺公園野外音楽堂)。
 あと、もうひとつ。革マルが主催で四谷会館で催された友部正人コンサート。たくさんの折り畳みイスが並べられていましたが、観衆はわたし1人。3メートルの距離をおいて、友部正人と私。対峙して聴きました。
<よく通ったロック・フォーク系の音楽喫茶店(兼・呑み屋)> 
 金も無いのに、どの店もよく通いました。いろんなレコード聴きました。渋谷百軒店の「BYG」と、すぐ近くの「ギャルソン」に「ブラックホーク」。吉祥寺は、なんといっても「ぐゎらん堂」。下北沢は、カントリーブルース系の「Zem」と、ブルース・ソウルの「STOMP」。それと、ライブが無くても、ライブハウスで飲みました。
<レコード屋>
 とにかく、週に一度はどこかのレコード屋に行って、たとえ無一文でも、輸入盤レコードを探してました。だから、もっぱら中古レコード専門のハンターやディスクユニオン。
 当時のある日、西荻窪駅近くにあった、あの時代によくあったアンティーク何でも屋の店先に、中古レコードが2、30枚ほど置いてあった。欲しいレコードが安い金額で出ていた。その中から4枚買おうとしたら、後ろから声がかかった。「それ、俺が出したレコードだよ」振り向いたら、にっこり笑う久保田麻琴が立っていた。「いいセンス」と褒められた。(笑)
 就職してからは民族音楽など濃いレコードは専門店も回った。水道橋の「ティア・ホアナ」、高円寺の「ビスケット・タイム」とか。東横線都立大学駅だったか、ソウルの中古専門店があったな。
<練習スタジオ>
 軽音楽同好会の地下練習部屋以外では、渋谷のエピキュラスでスタジオ借りて、バンドの練習をしていた。(こりゃもう告白だな)
 エピキュラス内の各スタジオの、防音ドアの窓越しに中をソットのぞくと、たまにプロがいた。ユーミンがひとり、グランドピアノを弾いてるシーンが印象に残ってる。
 以上ここまで、お付き合い頂き、ありがとうございます。筆が滑りました。

映画 「フェスティバル・エクスプレス」  1970年のロックコンサート・ドキュメンタリーフィルム

上
      上2
                   上3


1-0.png  1970年に、コンサート巡業のために仕立てられた特別専用列車“FESTIVAL EXPRESS”が、カナダを東から西に向かって突っ走った。
  乗っているのは、ジャニス・ジョプリン、ザ・バンド、ザ・グレイトフル・デッド などのロックミュージシャン。
  最高級の食堂列車を連結し、車内でジャムセッションができるように十分な環境も整えられていた。そして、沿線各地で大規模な野外ロックフェスティバルが催された。

2-1-0.png
  コンサートはどこも大盛況であったが、無料で会場に入ろうとする大勢の観客たちと地元警察が各所で衝突した。
  一方、FESTIVAL EXPRESSの車内では、ミュージシャンたちの楽しげなセッションが昼夜行われていた。
  そして、酒やドラッグが大量に消費されていくミュージシャン同士の内輪のお祭りでもあった。ドラッグの効果で、FESTIVAL EXPRESSは、実際の速度の数倍の速さで走っていたらしい。
  
  1970年の撮影後、散逸していたフィルムを集め、各種の利害関係をクリアし、さらに参加したミュージシャンたちの当時を振り返ってのインタビューを加えて、33年たった2003年に、やっと公開された。
  インタビューのなかで、1969年に開催されたウッドストック・フェスティバルよりも、意義のあるコンサートという発言もあった。

  う~ん、ザ・バンドのライブシーンが一番かっこいい!
  また、ジェリー・ガルシアが、ジャニス・ジョプリンに愛の告白をしているシーンが笑える。 

オリジナル・タイトル:Festival Express
監督:ボブ・スミートン|イギリス・オランダ合作|2003年|90分|
出演:ジャニス・ジョプリン(1970年10月4日死去)|ザ・バンド|ザ・グレイトフル・デッド|バディ・ガイ|マシュマカーン |フライング・ブリトー・ブラザーズ|シャ・ナ・ナ|



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鈴木茂のBAND WAGONライブが、SOLD OUTだった。 渋谷WWW

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残念! 気づくのが遅かった。

HMV GET BACK SESSION Special 
鈴木茂『BAND WAGON』 LIVE
鈴木茂(G.)/ 田中章弘(B.) / 坂田学(Ds.) / 柴田俊文(Key.) / 山本隆太(Key.)

◆鈴木茂は、1969~1972年まで活動した日本のロックバンド「はっぴいえんど」のリードギター。
◆彼のソロアルバム「BAND WAGON」は、1975年にリリースされた。
 このソロアルバムに収められていた曲を全曲、ライブで再演する!!コンサート。うーん残念。

映画「バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち」  監督:モーガン・ネビル   ドキュメンタリー映画

上
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  いい映画だ。ジーンときました。
  この映画のオリジナル・タイトルは、「20 Feet from Stardom」 だ。 
  つまり、スターが歌うステージ中央から6メートル離れた場所が、バックコーラス隊が歌う立ち位置。そして、バックコーラスの歌姫から見れば、スターダムまで、あと6メートルの距離。
  
  歌姫たちは、幼いころからゴスペルが歌われる黒人教会の聖歌隊で歌っていて、歌うことが大好きで、天才的にすごく上手な少女たちだった。そして、ソウル(R&B)音楽業界に入り、下積みから這い上がり、抜擢されて女性コーラス隊の一員となる。
  一員となって第一に重要な事は、メンバー間の声のトーンの調和と団体行動。自分だけ目立っちゃいけない。「あんたの替りは何人もいるよ。」 そして、どんなスターの声質にも、寄り添うことができる声の七変化が大切。
  この映画に出てくる歌姫たちは、みな相当な実力者たちだ。スター歌手に負けない歌唱力がある。だからこそ、質の高いバックコーラスができるのである。
  しかし、うますぎるのだ。コーラス隊の中で目立ってしまう。それをみて、スターミュージシャンや音楽プロデューサーは彼女を抜擢して、ライブツア-を共にしたり、リードボーカルをとらせたりする。例えば、ストーンズやマイケル・ジャクソンが、そうだった。
  そして歌姫たちは、残り20 Feetを歩いて、ソロ活動に入るが、さて思うように売れない。理由はある。スターとして売れるには、歌唱力以上に必要な能力・意欲を持ち合わせていないといけないのだ。その能力とは、・・・。
  アレサ・フランクリン並みの歌唱力があっても・・・華がない、とか性格が温和すぎる。プロデューサーをヨイショするコミュニケーション意欲が乏しい、ビジネスマインドが足りない。あるいは、音楽プロデューサーに騙される、所属レコード会社の経営方針変更。そして極めつけは「運がない」・・・。まあでも、こんなことは音楽業界の中だけじゃなく、日々のオフィスでもよくあることですがね。

55組00  とにかく、彼女たちの歌を聴いてやってほしい。私はリサ・フィッシャーが好きだ。
  ミック・ジャガーやブルース・スプリングスティーンやスティービー・ワンダーたちの証言が生々しく伝わってくる。彼らは歌姫たちを愛している。
  
オリジナル・タイトル:20 Feet from Stardom|
監督:モーガン・ネビル|アメリカ|2013年|90分|
撮影:ニコラ・B・マーシュ、グラハム・ウィロビー|
出演:<歌姫たち>ダーレン・ラブ|メリー・クレイトン|リサ・フィッシャー|ジュディス・ヒル(マイケル・ジャクソンとライブを共にした。彼の死後もソロ活動を目指している)|クラウディア・リニア(業界を去った)|タタ・ベガ(業界を去った)|ほか
<証言するミュージシャンたち>ミック・ジャガー|ブルース・スプリングスティーン|スティービー・ワンダー|スティング|ベット・ミドラー|
<ライブ・シーン登場ミュージシャンたち>マイケル・ジャクソン|デビッド・ボウイ|ジョージ・ハリスン|リンゴ・スター|レイ・チャールズ|デビッド・バーン|トム・ジョーンズ|ジョー・コッカー|アイク&ティナ・ターナー|シェリル・クロウ|カイリー・ミノーグ|ほか


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映画「僕は天使ぢゃないよ」 & 「あがた森魚」のコンサートに行ってきた。

  あがた森魚が監督した「僕は天使ぢゃないよ」という映画と、関連して、あがた森魚のコンサートのご報告です。


  映画 「僕は天使ぢゃないよ」
上  実にマニアックな映画だ。
  1974年のこの映画を表わすに、「昭和」や「フォーク」だ、などという形容詞を言うのは、やめてくれ。
  ・「昭和」と一口に言うが、昭和は64年もあって、戦後の昭和は45年もある。少なくとも1970年代と言ってくれ。 加えて、1970年代前半の、政治経済的背景や同時代的空気を知って、とりわけ音楽・漫画などの文化の魅力を楽しんでから言ってもらいたい。
  ・「フォーク」と一口に言うのは、やめてくれ。
  あがた森魚という男がフォークギター1本で歌うのは、さだまさしや吉田拓郎と同じだ。また、若くて貧しい男女を暗く歌う、この頃のあがた森魚の歌は、「神田川」のかぐや姫(南こうせつ)と似ている。
  だが、この程度の認識でこの映画を観ても、よくわからないだろう。
  そう、つまり、次に言うが基本的に違うんだ。

組1-0  まず、この映画の原作、林静一の漫画を見て欲しい。 そして漫画雑誌「ガロ」(1964-2002年・青林堂)を楽しんでほしい。それからこの映画を観ても遅くはない。(蛇足だが、青林堂創業者の長井勝一氏が、この映画に出演している。)

  次に、この映画の音楽を「フォーク」と一口と言わないで欲しい。
  「僕は天使ぢゃないよ」の背景にあるのは、日本のミュージック・シーンにおけるロックの台頭だ。最初期、まずは、フォーク歌手(シンガー・ソングライター)のバックバンドとして、ロックがステージに上がる。そして次第に、そのロックバンドが、自分たちで曲や歌詞を自作自演しだした。例えばサザンオールスターズって感じかな。
  実のところ、フォーク歌手は、オリジナル曲は作れたが自分じゃできない「ロック」のサウンドが欲しかった。片や、ロックバンドは、外国のかっこいいサウンドはコピー再現できたが、当初「自分たちの曲」は作れなかった。表現者と演奏者、それぞれの出自が違った。つまり、フォークとロックが互いに刺激し合い、その音楽性が急成長した時期を背景に、この映画があった。

  さて、この映画の音楽バックグラウンドを、下記の<映画データ>にある「音楽」という項目を見て確かめて欲しい。松本隆、大瀧詠一、・・・とたくさんの名が並んでいる。彼らの音楽を楽しんでから、この映画を観ても遅くはない。
  とりわけ、「はちみつぱい」と「ティンパウン・アレイ」というロックバンドに注目。一言で言えば、「はちみつぱい」とは、「ムーンライダーズ」の前身、「ティンパウン・アレイ」とは、元「はっぴいえんど」の細野晴臣、鈴木茂がいる。その「はっぴいえんど」には、「僕は天使ぢゃないよ」に参加している松本隆、大瀧詠一もいた。細野晴臣はのちにYMOの一員になって時代を継いでいく。
  当時、ミュージシャンの横のつながりは強かった。例えば、あがた森魚はロック人脈をはじめ、プラス映画や漫画の人脈にも通じていたようだ。そんなジャンルの総体が当時、何となく文化らしきものの部分を作っていたのかもしれない。

  その上で、その上でだ。この映画、つまらない。でも、関心ある方には、観て欲しい。
  当時は、音楽や漫画、そして紅テント・黒テントなどの芝居等々の文化は、今じゃ考えられないほどに凄い活気があった。 そんな残り香を楽しもう。
  
<映画データ>
監督・脚本:あがた森魚|1974年|86分|
原作:林静一「赤色エレジー」|撮影:宮崎哲郎|
音楽:あがた森魚、松本隆、大瀧詠一、矢野誠、西岡恭蔵、友部正人、はちみつぱい鈴木慶一、武川雅寛、岡田徹、駒沢裕城、本多信介)、ティンパウン・アレイ細野晴臣、鈴木茂、林達夫)|
出演:あがた森魚:一郎|斉藤沙稚子:幸子|緑魔子:倖子、一郎の母|桃井かおり:悠紀|横尾忠則:荒川|大瀧詠一:大滝|鈴木慶一|友部正人|西岡恭蔵|泉谷しげる|三上寛|井上堯之|山本コウタロー|下田逸郎|中川五郎|渡辺勝(元・はちみつぱいメンバー)|岡本喜八|長井勝一|
  言い残したことを、この辺に書いとく。
  フォークとロックの話。Bob DylanとThe Bandの関係、ザ・バンドの名前がまさにフォークとロックの関係を言ってるかもしれない。


  ライブコンサート あがた森魚  ~神奈川県・座間ハーモニーホール
131117.jpg  ほんとに久々にロックのコンサートに行ってきた。
  正直なところ、主役のあがた森魚には関心はなく、そのバックバンドを聴きたかった。

  彼らのサウンド、いいいい、実に巧い、味がある演奏、ほとんどが還暦過ぎた人達。
  このメンバーのうち、上記の映画「僕は天使ぢゃないよ」には、次の人が関係していた。元・はっぴいえんどの鈴木茂、元・はちみつぱいの武川雅寛、駒沢裕城。そして矢野誠の計4人。
  あわせて、元・はちみつぱい、現・ムーンライダーズの鈴木慶一の弟で、ムーンライダーズ創設時からの鈴木博文、後から加入の白井良明、そしてドラムの矢部浩志の計3人。以上7名で構成されたバックバンドだった。
  演奏された曲のうち、いくつかは、はちみつぱい/ムーンライダーズの持ち歌だ。特に「大寒町」(作詞・作曲:鈴木博文)が涙! 鈴木博文もあがたと一緒に歌った。メドレー曲はアレンジがいい。さすがムーンライダーズ。
  あと、武川雅寛のトランペットが良かった。ニューオリンズ・ジャズ風のオールドタイミーな音色に加えて、チンドン風な陰り、さらにはソウル・サウンドのブラス隊的なフレーズ。
  おっと、忘れちゃいけない鈴木茂。しっかし、変わんないな、この男! 駒沢裕城も。以上。

組3-0  出演:あがた森魚(Vo., A.G.)|駒沢裕城(Pedal Steel G.)|白井良明(G.)|鈴木茂(G.)|鈴木博文(B.)|武川雅寛(Vn.,Tp)|矢野誠(Pf., Key.)|矢部浩志(Dr.)|


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映画「メイク・イット・ファンキー」  ニューオリンズの音楽ドキュメンタリー映画

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  上質なドキュメンタリー映画です。
  ニューオリンズ・サウンドを携えて、様々なミュージシャンがステージに上がります。
  ライブを楽しめます。からだで感じて楽しんでください。

ライブ会場  ニューオリンズと言えば、ニューオリンズ・ジャズ。例えばルイ・アームストロングだが、この地の音楽は、ジャズだけじゃない。と言うところから話が始まります。
  貿易港として大いに栄えた歴史的な都市ニューオリンズの音楽は、カリブ海やラテンの音楽を、アフリカの音楽を吸収して、独自なサウンド領域を築き上げ、今日まで発展してきたし、現在も進行形だ。
  カリブやラテン音楽、アフリカの音楽を、ジャズやブルースやリズム&ブルースとミックスして、ニューオリンズR&Bや、ニューオリンズ・ファンクが誕生した。こんな特異な音楽の歴史を、このドキュメンタリー映画は、有名なミュージシャンへのインタビューや演奏で、饒舌に語ります。
  
  的確なナレーションに従って話は進みますが、ネヴィル・ブラザーズの面々が主に登場します。また、ニューオリンズの知的ミュージシャン/プロデューサーで、ニューオリンズのデューク・エリントンとも言えるアラン・トゥーサンもインタビュー量が多い。もちろん他にも多くのミュージシャンがインタビューで語ります。ダーティ・ダズン・ブラス・バンド、アール・パーマー(ドラマー)、アーマ・トーマス、ボニー・レイット、キース・リチャーズなどなど。

ファッツドミノ  おおよその内容は、まずは古典的なブラスバンドが紹介され、この街の風土が語られます。続いて、ブラスバンドの進化形として、ダーティ・ダズン・ブラス・バンドの演奏ステージ。そして、ニューオリンズR&Bの初期として、ピアノとボーカルのファッツ・ドミノが取り上げられ、彼の古い映像が観れます。続いて、ニューオリンズR&Bの、あのロールするピアノ! プロフェッサー・ロングヘアが紹介されます。今も現役の女性ボーカルとして、アーマ・トーマスがアラン・トゥーサンのピアノで元気に歌います。
アーマ,
  ニューオリンズR&Bのロックへの影響というテーマでは、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズへのインタビューとステージ(ファッツドミノの曲・I'm Ready)が観れます。そして、女性ロック・ミュージシャンのボニー・レイットも、インタビューとステージがあります。(後述!)

  ニューオリンズR&Bのファンク・ミュージックへの影響として、否、ニューオリンズR&Bがファンクを生んだんです。ここでは、ネヴィル・ブラザーズのアート・ネヴィルが、自身の出自バンド、ミーターズを語ります。彼は一貫して、ハモンドオルガン(B-3)とレスリースピーカーの愛用者。  
  話をハショッて、最後はネヴィル・ブラザーズの面々のご子息が、生きのいいミュージシャンになっていて、これから未来のニューオリンズ音楽も、発展します!というエンディング。

差別  最後に・・・。言い忘れましたが、この映画では、黒人ミュージシャンの音楽活動にあたっての人種差別問題、ライブハウスやラジオ放送局、録音スタジオなどで差別と暴力があったことが、時間をかけて語られています。差別の壁を乗り越えて来るには、黒人ミュージシャンの忍耐力だけではなくて、ニューオリンズR&Bが大好き白人ディスク・ジョッキーや、ニューオリンズR&Bを実は聞きたがっている多くの白人ティーンエイジたちが、後押ししました。
  

  実は、ここまでは、どうでもよくて、
  告白・・・。
  私、不覚にも、ボニー・レイットがステージに登場するシーンで、感・極まり、むせび泣きそうになりました。 
  「what is success」を一曲分のシーンが観れます、聴けます。
  ピアノは、アラン・トゥーサン、そしてブラス隊とコーラス隊を含むバックバンド。
  ボニー・レイットのスライド・ギターも楽しめます。こりゃ、お宝・映画じゃ!!
シーン


オリジナル・タイトル:MAKE IT FUNKY!

監督・脚本:マイケル・マーフィ|アメリカ|2005年|110分|ドキュメンタリー|
出演:ネヴィル・ブラザーズ|アラン・トゥーサン|キース・リチャーズ|ボニー・レイット|ダーティ・ダズン・ブラス・バンド|アーマ・トーマス|ロイド・プライス|ほか多数のミュージシャン|

<ニューオリンズのCD紹介を少し。>

DRジョン 60  このドクター・ジョンのアルバムで、ニューオリンズR&Bの多くを学びました。
  もちろん、彼の師匠・プロフェッサー・ロングヘアのことも、このアルバムで知りました。
  神棚に上げておきたいアルバムです。







プロフェッサー  プロフェッサー・ロングヘアは、このアルバムから聴きはじめました。
  ひょうひょうとしたボーカル、よくロールするピアノ、そして口笛。
  いや、あまりにも独特なサウンドです。癖になります。







ボニー・レイット  映画で演奏される「what is success」が入ってるボニー・レイットのアルバムがこれ。
  他には、これら初期のアルバム数枚が良い。
アルバム1   アルバム2



サザン  映画でアラン・トゥーサンがひとり弾き語る名曲「サザン・ナイト」は、このアルバムだ。
  初めて聴いたときのショックは、未だに忘れられない。
  映画で本人がこの曲が生まれた背景を語っている。新鮮だ!







ミーターズ  私のミーターズ体験は、このアルバムから。
  ハイトーンにセッティングされるスネアが、凄い!
  今でも、とてもファンキーなファンクと言っていい。 
  でも、リズムが結構、もたついているんです。このアバウトさがいいです。






ダーティ  ダーティ・ダズン・ブラス・バンド。
  ニューオリンズそのもの、ブラス・バンドだ。
  首に巻きついたような、低音担当のチューバと、太鼓が鳴り出すと、もう、それだけで十分にウキウキ・「16ビート」サウンドになる。その上に、トランペットやトロンボーンたち。
  ダーティ・ダズン・ブラス・バンドは、CD屋では、ジャズのコーナーに置いてある。





シリーズ  ニューオリンズR&Bのオムニバス・シリーズのアルバム。
  vol.3まであったかな?
  この「いなたい」アルバム・デザインが、田舎くさい/泥くさいニューオリンズR&Bを現していました。







ロイド       ファッツ
ロイド・プライス              ファッツ・ドミノ

アーニー       リー
アーニー・ケイ・ドゥ           リー・ドーシー(発売当初から木の上にいる)
これもR&B歌手シリーズなアルバムだった。


バーバラ       ヒューイ
バーバラ・リン              ヒューイ・ピアノ・スミス

このほかにも、まだまだ多数のミュージシャンとレーベルがあります。




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「はいからぼ~いず」を、黙って聴け!

はいからCD1_omote
「ジャケ買い」 を カンペキに 拒絶 している。

中身のサウンドを聴け!と、ウムを言わさぬ決意が感じられる。

今年の4月に、CDデビュー。 試聴はこちらから。
ブルースフォーマットに自分達のセンスを注ぎ込んでいる。
日本の音楽界をぐるーっと見渡して、思うに
このバンドは、大人のサウンド を出します。

30年目のファーストアルバムだ。
バンド暦は長い、みなベテランメンバーたち。
タイトなドラムス、思わず腰が動くベースライン。
こんなリズム隊にボーカル、ギター、ブルースハープが暴れる。
そう、歌詞も聴いてほしい。

先日、新たなレコーディングをしたらしい。

各方面でいろいろな雑誌に取り上げられたりしてなかなか好評です。
Southside Record の所属アーティストとしては珍しく売れているらしい。
歳なんか考えず がんばれ!



音楽ドキュメンタリー映画「キングス・オブ・クレズマー」 監督:シュテファン・シュヴィーテルト

メインTickle in the Heart  クレズマーとは、東欧系ユダヤ人の民族音楽です。
  東欧系の民族音楽といえば、ロマの音楽を思い出す人もいるかと。エミール・クストリッツァ監督の「ウェディング・ベルを鳴らせ!」や「黒猫白猫」の音楽。あれとサウンドの感じは近いです。スローだと憂いがあって哀しい音色、アップテンポだとウキウキ。
  映画に登場するミュージシャン兄弟の親は、1910年に東欧の田舎(現在ロシア領土)からニューヨークに移民してきました。こうして当時とても多くのユダヤ人がアメリカに移民しました。膨れ上がるニューヨーク・ユダヤ人街では、故郷と同じスタイルで結婚式やパーティーや葬儀をやりたい。そのためにはクレズマー楽師たちが必要でした。多くのバンドがいて、商売として儲かったようです。
  そんな彼らは、老後をフロリダの高齢者専用の分譲住宅街に住んでいます。とても広大な住宅街です。しかし、この作られた人工の街にも多くのユダヤ人がいました。そこで彼らは改めてバンドを再結成してコンサートをし始めました。そんな様子を描いたドキュメンタリー映画です。
  3兄弟がドイツに演奏旅行に行ったシーンがあります。コンサート会場には、ユダヤ人収容所から生還された、ドイツ在住の方々が聴きに来てました。そういう時代も乗り越えてきたことを、この「キングス・オブ・クレズマー」で学びました

  映画の3兄弟の音楽は、1920~40年代のスタイルを色濃く残したサウンドです。長男でバンドリーダーでクラリネットのマックスさん(中央)は歌も歌います。
  残念ながら、このドキュメンタリーの映像はネット上に無いので、サウンドが聴けません。なので下記に、ほかのバンドのクレズマー音楽が聴けるようにしてみました。

故郷にて1095   街並42454C373207BD5DB3F_Large
自分達のルーツを探してロシアの村に来て               地域の様子
両親が住んでいた地域の古老に演奏する。

映画とは関係ないですが、昔のユダヤ人のイメージ
婦人hujinncdIMG_0002.jpg 辻cdIMG_0001 スタイルcdIMG_0003
1910年のユダヤ人の写真        昔の辻音楽師ヴァイオリンとツィンバロン     暇な?ユダヤ人老人 TZADIKのCDより
                     クレズマー・バンドの祖形
                ロマの人々と住む地域が重なっていたので、音楽は相互に影響されあった。

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監督:シュテファン・シュヴィーテルト|アメリカ/ドイツ |1996年|84分|
原題:A Tickle in the Heart
出演:マックス・エプスタイン|ウィリー・エプスタイン|ジュリアス・J・エプスタイン
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■クレズマーって、どんなサウンドなの?

そこで、「Klezmer」で動画検索すると、いろいろ出てきます。

1926年当時のユダヤ人とニューヨークの様子が、わかりやすく映像になってます。
たくさんの人々が船でアメリカに来た様子、クレズマー楽師がまだまだ地位が低かった様子などが伺えます。
http://www.youtube.com/watch?v=s6e4GqUMYh0&feature=player_detailpage

現代の標準的な演奏は、こんな感じです。いいですね!
http://www.youtube.com/watch?v=ZpqVYvPIv1s&feature=player_detailpage


ビッグバンド ジャケットIMG_0004 バンドマン その2 IMG_0005
1925年のビッグバンド演奏スタイル                         ダンディーなメンバー達                 
アメリカでビッグバンドJAZZを取り入れて、クレズマー音楽が近代化しました。

■気ままに、関連CDコーナー
DON BYRON 「Mickey Katz」 
ドン・バイロン。この人、好きなんです。偉大なMickey Katzという人を取り上げたアルバム。
Don Byron Plays the Music of Mickey Katz

THE NEW ORLEANS KLEZMER ALLSTARS 「FRESH OUT THE PAST」
こいつらの面構えがいい。「いてまえ!」って感じ。
KOREKOREIMG_0002.jpg

COMPOSTELA 篠田昌巳 
ジャンルを超越して不滅の名盤!
「しあわせなユダヤ人」とか「イディッシュ・ブルース」とか、やってまっせ。
もちろんチンドンあり。大熊亘、駒沢裕城、江戸アケミとかも。
KOREKOREIMG_0003.jpg

お勉強系
「中東欧音楽の回廊 ~ロマ・クレズマー・20世紀の前衛」 (付録DC付き)
伊東信宏著 岩波書店
付録CDが欲しくて手に入れた。
中東欧音楽の回路―ロマ・クレズマー・20世紀の前衛   KOREKOREIMG_0001.jpg

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映画「クロッシング・ザ・ブリッジ ~サウンド・オブ・イスタンブール」監督:ファティ・アキン

メインCrossing The Bridge - The Sound of Istanbul 楽しめます。音楽映画なんで、映像で聴くのが一番。
 で、これ映画の予告編です。(しっかし乱暴な粗雑な予告編です)
 http://www.youtube.com/watch?v=g7Emtncpypw

 楽しや!!たくさんのバンドが出てきますぞ。
 「ペルシャ猫を誰も知らない」よりもっと音楽映画です。
 充分にイスタンブール化された、アラビックな、エレクトロニカ、ロック、ヒップホップなバンドをはじめフォーキーなバンドや、果ては北島三郎、美空ひばり、淡谷のり子と、トルコ民謡・歌謡・大衆音楽の大御所まで、まるでイスタンブールをジェットコースターで走りぬける感じです。

 【ネットで見つけた映画に登場するプレーヤーたちの映画映像】

 http://www.youtube.com/watch?v=vIyMhjgaMa4
 このバンドは、映画に登場するバンドのなかでは古典的。もとはバイオリンが主旋律を担っていて、より大きな音量を求めてクラリネットになったのがよくわかる(ロマの音楽も同じ)
クラphoto


 http://www.videobu.com/video/759/Mercan-Dede--Ab-i-hayat
 このバンドは、古典をベースに現代的アレンジと楽器編成でいいですね。笛、クラ吹いてるふたりがリーダー。

 http://www.youtube.com/watch?v=9XGPBmjsn4U
 これはイスタンブールの街の東岸ユーラシア側。クルドの音楽。歌っている女性が言っているが、「悲しい旋律と歌詞ばかりの音楽です。それだけクルドの民の苦難が伝わってきます」と。演歌です、聴き終わった後もコブシが耳の中で後引きます。

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トルコTS3B0817  監督:ファティ・アキン|2005年|トルコ=ドイツ|
  公式サイト:http://www.alcine-terran.com/crossingthebridge/
  出演:アレクサンダー・ハッケ|ババズーラ|オリエント・エクスプレッションズ|デュマン|レプリカス|エルキン・コライ|ジェサ|アイヌール|イスタンブール・スタイル・ブレイカーズ|メルジャン・デデ|セリム・セスレル|ブレンナ・マクリモン|シヤシヤベンド|オルハン・ゲンジェバイ|ミュゼィイェン・セナール|ゼゼン・アクス|



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映画 ミステリー・オブ・サンバ ~眠れる音源を求めて

サンバたくさん_監督:カロリーナ・ジャボール、ルラ・ブアルキ・デ・オランダ|2008|ブラジル|原題:O Mistério do Samba
出演:マリーザ・モンチ, パウリーニョ・ダ・ヴィオラ, ヴェーリャ・グアルダ・ダ・ポルテーラほか

サンバの大御所を訪ね、1940年から50年代に作曲され広く歌われたが、録音もされずに何時しか埋もれていった名曲を探す旅。

<映画冒頭のサンバの歌詞より>

私はただ生きる 何の野心もなく
それでも豊かなのは 神のおかげ
かけがえのない愛があるから
何よりも美しい宝物が
(分かってる)嘆いたってムダだと
あなたはまだ気付いていない この世界のすばらしさに
本当の生き方を知る者は 受け入れるだけ
神が与えるままに
命は生まれ そして花開く
いつか この世を去る日のために

日々の中にある、愛、涙、笑い、憂い、喜び、苦しみ、怒りの前後に無限のつぶやきがある。
その無数のつぶやきの中には、まれに詩(うた)に値する一節がある。
その一節は時としてメロディーとリズムを持っている。
あるペンキ塗りが高いはしごの上で、ある日、その一節を見つけた。
家に帰ってカバキーニョを手に取って歌ってみる。
そして仲間の電気修理屋に聴かせ、その男はその場で曲の後半を即興で付け加える。
こうしてサンバの名曲がいくつも生まれてきた。
カバーキョ
<サンバの背景>

豊かな人々が住まない街角、職人や小さな店の街
見上げれば抜けるように青い空、そしてさえぎる無数の電線
ただれた水色の壁、イエローな車、グリーンな雑貨屋、
オレンジ色の塀、ひび割れた道路
白い室内に黒い扇風機、隣家の料理の匂い、使い古した安テーブル、ビールそしてカバキーニョ(↑)
サンバ2







2.jpg  3.jpg



cena_20176.jpg
11.jpg

サンバ3






<中央アメリカ・南アメリカの映画・選>
悲しみのミルク (ペルー) 映画評はこちらから
家政婦ラケルの反乱 (チリ・メキシコ) 映画評はこちらから
僕らのうちはどこ?~国境を目指す子供たち (メキシコ・アメリカ) 映画評はこちらから
闇の列車、光の旅 (アメリカ・メキシコ) 映画評はこちらから
リオ40度 (ブラジル) 映画評はこちらから



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はいからぼ~いず ライブコンサート

ブレイク直前! はいからぼ~いず  知ってるだろ!

はいから1年明けにインディーズアルバムデビューのバンド。
すでにレコーディング終了。
濃厚で渋さシラズ、かつ そこらへんのポップさをぶっ飛ばす。
タワーレコード、ディスクユニオン他のインディーズ・コーナーに並びます。アマゾンでも買えます。



 
ライブ・コンサート
『ブルーヒート』 
新宿区舟町7番地 舟町ビル 地下1階
Charge 1000円
メトロ 丸の内線 四谷三丁目 から徒歩3分
新宿線 曙橋 から5分
http://blueheat.jp/map.html




お試しにサウンド聴いてくれ!→ 
公式サイトはこちら http://members3.jcom.home.ne.jp/kiy/audio.html

はいからTown





坂本龍一総合監修 『にほんのうた 第4集~冬』

905.jpg東京都写真美術館のシネマホールで上映前に館内で流れていた音楽。
耳に残っていた、あの時の音楽は、このCDだとわかった。

「村の鍛冶屋」のトンカチ音のしゃれたタイミング、中山うり だと分かった「たきび」、
そして好きな唄「雪の降るまちを」の3曲が良かったね。
音的には、バックの演奏を極力省き、さらっとした力まない歌集。

しかし、ま、買ってまで聴きたいCDではないな。

【収録曲】

村の鍛冶屋■細野晴臣・木津茂理・青柳拓次
北風小僧の寒太郎■中納良恵・ASA-CHANG
冬の星座■ショコラ
小ぎつね■イノモト+ピラにアンズ
とうだいもり■岡林信康
たきび■中山うり
冬景色■元ちとせ
冬の夜■小林翔・栗原務
ペチカ■嶺川貴子+reiharakami
雪■saigenji
雪の降るまちを■手嶌葵+坂本龍一


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やまなか

Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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