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2011年07月 Archive

映画「ポンヌフの恋人」 監督:レオス・カラックス

メインTBDL1113_l すみません、わかんない映画です。
 路上生活者アレックスは、寒さをしのぐため酒に頼っていた。車道をふらふら歩いて交通事故にあう。市当局による浮浪者対応の、乱暴な医療サービスを受けて住みかに戻る。そこは、400年前からあるパリのポンヌフ橋。アレックスの過去は語られない。時々、火吹きの芸をして現金収入を得ている。口数の少ない優しい青年。弱者である。しかし彼は何者か、知らされない。

 このアレックスという路上生活者ネタに、物語の起伏をつけてお話を作り、ラブストーリー仕立てにするためにミシェルが登場する。ミシェルは裕福な家のお嬢さん。芸術大学の学生。ところが難しい眼病にかかり治療の決め手が見つからない。加えて失恋してしまう。この重圧に耐えかねたミシェルは家を出て無一文でパリを放浪するが、アレックスのおかげで路上生活の仲間に入ることが出来て、それなりに日々の生活を送ることができるようになる。

 ここに来てウーン唸ってしまう私。
 例えば・・・・なぜ家出したのか腑に落ちないね。
 目の前に起こった問題をうまく処理できなくて、後先考え無く、苦し紛れに逃げ出す、地頭の弱い幼稚な女にみえる、ミシェルという人物設定。でも、そうではない女性として描きたいんだろうな・・・と見て取れるんですが。
 失恋は分からないでもないが、医療費が払えない実家では無いわけ。病気治療は家にいた方が、セカンドオピニオンでほかの病院にも行けるし救われる確率が高いはず。で、、、、だから、言わないこっちゃない・・・映画後半で眼病の治療法がわかることになる。なんか、ミシェル嬢の幼い早とちり感(笑)が否めないような脚本がいただけない。ミシェル以外の要素でも、話の根幹が脆弱な映画だ。

 話を戻す。
 たぶん、アレックスは初めての恋かもしれない。2人は互いの愛を確かめ合い、路上生活の日々を謳歌するのだった。その後、眼の治療が成功し失明を逃れたミシェルは、ふつうの女子大学生としてアレックスの前に現れる。
 さて、その時アレックスは・・・・・。
 
 いろんなエピソードが登場するが、それはただ目を楽しますだけで、木に竹を接ぐ感じ。何を伝えたい映画なの?これ。わからない映画でした。
 というわけで、「悲恋な映画で、きれいでした」って言えれば、いいんですがね・・・・。

地下鉄ポスター_1164730220

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監督:レオス・カラックス|フランス|1991年|125分|
原題:Les Amants du Pont-Neuf
出演:ドニ・ラヴァン(アレックス)|ジュリエット・ビノシュ(ミシェル)|クラウス=ミヒャエル・グリューバー(ハンス)

橋の上 le_1164730967 橋の上 2 img_441630_62685774_3
ポンヌフ橋で暮らすアレックスと、裕福な実家を家出中の女子学生ミシェル
火吹きamants_du_pontneuf_2    橋とハナビ5_01_02_02
アレックスは火吹き大道芸人、炎と嘆きを闇に吐く  革命200年祭の夜、橋の上、花火。2人は恋に落ち、花火のごとく・・・・

おんな 1  _01_03_02 ふたり ages おんな4_16230195_5
失明と失恋を背負い世を捨てたミシェル  彼女を救うアレックス     視力が回復し、橋の上の出来事を一時の愛に納めてしまうミシェル  



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「わかってない」という事が、わかってない。

  • Posted by: やまなか
  • 2011-07-02 Sat 06:41:29
  • 一話
つまり、ご本人は、「わかってる」と思ってる。
こいつは難儀だ。
決して人ごとではない。重々気をつけねばならない。

「わかってない」という事が、わかってる。
大したものだ。
ただし、さらに分かろうとしているか否か?
わかったフリをするか否か?
「わかった・つもり」というのもある。
選択肢は広い。
しかし、だ。
「わかってない・という事が、わかってない」人たちが、寄ってたかって、世の中を動かしている。
なので時に、「わかってない」という事が、わかってない、フリが重要だ。
つまり、とても「わかってる」フリをする。
うまく演出できれば、世の中を動かしている人から抜擢されるかもしれない。
どちらにしろ、相手はわかってないので、その、わからなさ度合いをよ~く観察しよう。

わかっている。 わかってしまった。
うむ、これは、なかなか大変だ。
わかってしまうと、アラばかりが見えてしまう。
不用意に、わかってしまった発言をすると、
「お前ら、わかってねぇーな」的に聞こえるので、
どうしてもトンガッてる風に感じちゃう。
ので周りから、いい顔されない。
へたすると、居場所さえなくなる。
「わかってない」という事が、わかってない人々のうち、賢い人は、
「わかってない」という事が、わかってない・・・・ことを薄々わかってる。
重々気をつけねばならない。

わかってしまった系の人々は、孤独に陥りがちになるので、
内向きにならず、気力気運を旺盛にして前向きになれれば、
ひょっとして、明日を拓く人になる。

映画「ミフネ」 監督:ソーレン・クラウ・ヤコブセン

メインS9019EL デンマークの片田舎が舞台。
 父親と3人兄弟が住む豊かでない農家。三男のクレステンは要領が良くて、コペンハーゲンに出てレストランに勤め、業績を買われ出世。社長令嬢クレアを妻に迎えることができた。高額なアウディーを乗り回し、黒の粋なビジネススーツに身を固めコペンハーゲンに住む。

 一方、田舎では長男は地元で自分の人生を自分で捨て無職の自暴自虐、ふらふら愚痴男。優しい次男ルードは先天的な障害を持っていて父親と同居、三男クレステンとは幼い頃から馬があう、今でも「ミフネ」ごっこがふたりの秘密の遊び。ところが父親が急逝。ここからクレステンの素晴らしき人生が急展開。そうじゃなきゃ映画にならない!

 高級娼婦クラブに勤めるリーバ(←写真右)は両親なく、弟のビアーケとふたりだけ。リーバはふと見た新聞の家政婦募集広告に応募する。それはクレステンが出した広告で、ルードと自分のための家政婦であった。
 ということで、話のてんまつは、だいたい想像がつきましょう。
 でも社長令嬢クレアを妻に迎えたんでしょ、どうなるの?それは観ての・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
監督:ソーレン・クラウ・ヤコブセン|デンマーク|1999年|98分|
原題:Mifunes Sidste Sang
出演:アナス・ベアデルセン(クレステン)|イーベン・ヤイレ(リーバ)|イエスバー・アスホルト(兄ルード)|ソフィー・グロベル(社長令嬢クレア)|エミル・ターディング(Bjarke)|

kopi570主人公e-sang-mzov20080868-01 兄30ke4 あっちの_normal
主人公クレステン    兄のルード                 リーバの弟ビアーケ
廃車02355  ふたり02362
                               クレステンとリーバ


この映画、どう宣伝すればいいか? 難しかったんだろうな。いろんなポスターデザインがある(笑)。
ユーほーX2G9JFL         ミフネごっこ-sidste-sang_plakat-dk_360    にわとりsteSangMoviePosterEnglish
ルードのUFO遭遇をメインに、社長令嬢クレア   ルードとクレステンのミフネ・ごっこ     鶏の首チョッパ
とクレステンとの過激セックス、アヘアへ連続写真が。


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映画「パーマネントバケーション」 監督:ジム・ジャームッシュ

歩きerton_permanent_vacation 今、改めて観ると、青い。 
 監督の青さが、すがすがしい。いいね。

 だから、この映画の観かたは、当時の監督の若々しさを愛でて観る。なんたって監督は当時大学生ですから。卒業制作作品。製作・監督・原案・脚本・編集すべて、ジム・ジャームッシュ。
  (←)主人公:アロイシュス・パーカー16歳


レコード9nca8exnyoeo1_r1_500 交通量の多いニューヨークの大通りから、一歩も二歩も入った裏通り。1980年、そこは荒れ放題、いつからか時間が止まっている。レンガ造りの古い低層ビル・倉庫が並んでいる。道路の舗装もひび割れて。人影も無い。
 そんな街をあてもなく歩き回る高校生男子アロイシュス・パーカー16歳。彼女の元からふいと姿を消していた彼が、倉庫の一角のような彼女の部屋を訪れる。その場に定住すること、淀むことがいたたまれなく、常に流れていたいアロイシュス。そう彼女に言いながらも、ご無沙汰だった事に照れて、レコードをかけ、おどけてダンスし始める。一曲分、フルにダンスして息が上がるが、彼女は背を向けて無視。


 ある日、アロイシュスは決断した。何着かの服と一足のブーツをトランクに放り込み、それ以外のニューヨークでの何もかもを捨て旅に出る。右手にパスポートを握り締め、マンハッタンからの出港を待っている。
 ここに居続けることに嫌悪と、せりあがる不安があるけど、あそこに行きたい、あれがしたいというわけじゃない。もちろん精神的にも定住したくない。逃げるわけじゃない。「清流」に身を任せ、流れていたい。今それが一番自分に素直な選択なんだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
監督:ジム・ジャームッシュ|アメリカ|1980年|75分|
原題:Permanent Vacation
出演:クリス・パーカー Allie (Aloysious)|リーラ・ガスティル Leila|ジョン・ルーリー Sax Player|リチャード・ボース War Vet|サラ・ドライヴァー Nurse|ほか

ダンス344_44744042_15
Punk RockじゃなくJazzなんだよね。ジム・ジャームッシュの製作スタンス。
海09002544  マンハッタン101008
ロアマンハッタンの港              ワールドトレードセンターが完成して3年後、
                           パンアメリカン航空の本社ビル売却直前
                           1980年、アップルが株式公開。




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映画「スリ」 監督:ロベール・ブレッソン

メインbf4pnuqtc 質素と言っていいくらいにギミックのない映画。
 人物描写も淡白。あなたをヨイショしません。

  スリを始めた男が、プロの道を教えてもらい仲間になって稼ぐが、相変わらず無口な一匹狼。セリフがとても少ない。もう少し何か言いたいのを、グッと胸に収めてしまう当時のフランス人。奥ゆかしいというか、昔のどこかの国の人々に近い。出番の少ない字幕をつなぎ合わせていくと、あらすじが出来てしまう。
  正直、ブログにする気は無かったのですが、ジャンヌ役のマリカ・グリーンというこの方(→)!!!大人の女に成りかけという香りがしたので、調べてみたら17歳!ねっ!

  当時は新鮮斬新なことも、半世紀経った21世紀の観客が観ると普通ってことも多い。
  だが、映画のシンプルさ、そして登場人物たちが持つ見識のすがすがしさは、古びない。

ポスターposuta-イメージ 1 監督:ロベール・ブレッソン|フランス|1960年|76分|
 原題:Pickpocket
 出演:マルタン・ラサール(ミシェル)|マリカ・グリーン(ジャンヌ)1943年~|ピエール・レーマリ(ジャック)|ペルグリ(警部)|ピエール・エテックス(第2の共犯者)|フィリップ・マーリー(第3の共犯者)|マム・スカル(母)
 【シアター・イメージ・フォーラムにて】 

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映画「フルスタリョフ、車を!」 監督:アレクセイ・ゲルマン

病院lyov-mashinu.avi_001338720  なんだか、すごい映画を観てしまった。いい映画だ。でも、お薦めしにくい。
  首から上じゃ理解できなくて、身体でヅーンと受け止める映画です。

  映画製作のお作法・お約束事から、とても逸脱した特異・孤高の映画です。よって観客もいつもの文法でストーリーを読み解くことができません。私の前の席の人は上映開始10分で退場していきました。(池袋・新文芸座)

  1998年製作ですが映像はモノクロです。
  話は1953年のソ連。主人公はモスクワの大病院の脳外科医ユーリー・クレンスキー将軍。人一倍体格がよく、いつも軍服で急ぎ足そして横暴。家庭でも病院でも我が物顔に君臨する。自分が人生の頂点にいることを自覚していて日々楽しんでいる。時に子供のように有頂天な振る舞い。

室内iov-ma-voiture-khrustalyov-mashinu-13-01-1999-10-g  この映画のシーンの半分は彼の自宅と病院の中です。室内撮影は細部まで実にていねいに撮られています。さっき、「映画製作のお作法・お約束事から、とても逸脱」と言いましたが映像は逸脱してません・・・・どころか、何年もかけて設計を繰り返して完成した精密機械の細部を覗くようで驚嘆します。
  彼の自宅には狭いながらたくさんの部屋があり、各部屋には調度品や食器や衣服、それから意味不明なもの(例えば体操で使う吊り輪)とか狼の頭部剥製など小物類が雑然とあふれ返っています。今観るとそれらはどれも骨董品のようです。病院でも幾多の部屋・病棟病室・倉庫に不思議な医療機器がある。そして例えば、これらの物の向こうに窓があり、窓越しに雪が降っている。さらにその先ずっと向こうに見える街灯の明かりの下を黒っぽい人物が通り過ぎている。スクリーンの隅だけ観ていても、そこにストーリーが発見できるのです。
  また録音はどんなに小さな音でも逃さずに録られています。キシキシ雪を踏む音、食器のふれる音、ブリキを叩く音、くしゃみなどいささか耳障りなほどです。とにかく情報量が膨大で、ボーっとしていては、大切なことを見逃してしまいます。

室内室内khroustaliov-ma-voiture-khrustalyov-mashinu-13-01-1999-11-g  さてここまではシーンの背景。次は登場人物、俳優たち。
  こちらは真剣に観ていると気が狂います。
  まず、彼の家には、とてもたくさんの人がいるんです。彼の親、妻子、いそうろう一家、これプラス、親戚、近所の人々がわんさか、常時いる。そして、各人それそれ、テンデバラバラに大声の独り言・わめき・叫び・怒り、向き合って会話していても互いに言ってる事が違う。そんな登場人物がカメラの前を入れ替わり立ち代わり。カメラが各部屋をめぐって、室内に入るごとに、こんなセリフと人々があふれ返っていて、食事をしていたり酒を飲んでたり家事をしていたりボーっとたたずんでいたり便所の前で待っていたりしている。延々と続くのです。なんなの、この人たちは!! あまりのエネルギッシュさにこちらの頭はくらくらします。病院でのシーンも同じです。たくさんの医師たち、看護師たち、精神病患者たち、たくさんの部屋。
要するにまったく意味不明! わかることは映画に情報がギッシリ とつまってる。

  とまあ、総上映時間の半分以上を占めるシーンは、人々のこんなセリフです。
  で、残りの上映時間はストーリーになってます。それは史実をから来ていて、こうです。

  ソ連首脳とその側近がいるモスクワのクレムリン。このクレムリンにいる著名なユダヤ人医師たちによって、ソ連指導者の毒殺が計画されていたという『医師団陰謀事件』。このでっち上げ情報を理由に多くのユダヤ人医師が告訴・逮捕された。実はこれはスターリンの策略で、狙いはソ連領内ユダヤ人の大粛清。これを実行すべく、ユダヤ人を迫害・排斥しようとするキャンペーンが1953年1月13日に党機関紙で公表され、多くの一般ユダヤ人に対して、解雇、逮捕、強制収容所への連行、処刑・虐殺の用意が行われ始めた。
  ところが2ヵ月もたたず、3月5日にスターリンが死去。死後、逮捕された全ての医師はすぐに解放され、この医師団陰謀事件全体はでっち上げだっだと公表。ユダヤ人への迫害、ユダヤ人強制移住計画は中止に。この事件に直接関与したソ連の情報機関・秘密警察の役人は逮捕される。党機関紙による反ユダヤキャンペーンは終わった。

スターリンstalyov-07  映画に戻ります。このことを語るシーンは、積雪の野外撮影が多い。
  主人公の脳外科医ユーリー・クレンスキー将軍はユダヤ人で、ソ連指導者への毒殺計画陰謀のメンバーとみなされ強制連行される。彼ひとりだけが連行されるトラックの中で、彼は数人の兵隊から性的暴力を受ける。翌日、このトラックを追いかけてくる一台の高級乗用車。秘密警察である彼らは、ボロボロになったユーリー・クレンスキー将軍を救い出し自宅に送り届ける。再起したユーリー・クレンスキー将軍を乗せた秘密警察の車は、雪道を郊外へと突っ走って辺鄙な林間で停車。もう一台の車が待っていて、彼を乗り換えさせ、さらに田舎へ。たどり着いた一軒家に入ると、スターリンの側近にして秘密警察長官ベリヤが一人で出迎えた。あの部屋にスターリンがいる。脳卒中でベッドに寝ていてすでに意識はない。小声で「治療しろ」と言う。ベリヤ長官はもう手遅れと思っている様子。ユーリー・クレンスキー将軍はスターリンのベッドサイドに立ち診察するが、「私にできることはない」と言う。物音ひとつしない室内は死臭が充満している。そして、ある処置をし、スターリンは息を引き取る。

マフィアyov-end
  スターリンの死去。スターリン主義が重く苦しくおおっていた暗雲の時代が終わりを告げる。
  ユーリー・クレンスキー将軍は、家を捨て放浪し、ロシア独自の犯罪集団であるロシアン・マフィアに加わる。
  新たな人生が開けようとしていた。(→)

  





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
道lyov-01 監督:アレクセイ・ゲルマン|ロシア=フランス|1998年|142分|
 原題:Khrustalyov, mashinu!
 出演:ユーリー・アレクセーヴィチ・ツリロ:ユーリー・クレンスキー将軍(外科医)
   ニーナ・ルスラノヴァ:ナターリャ、将軍の妻
   ミハイル・デメンティエフ:リョーシカ、将軍の息子
   ユーリ・ヤルヴェット:フィンランド人のレポーター



aoaoaoaoaDSCF6230.jpg 
しかし、なぜ監督はこんな映画を作ったんだろうか?

「スターリン時代は思い出したくないけど、懐かしい」当時を民衆の立場から映画にしたい。当時の空気をなんとかして現したいが、盛り込むべきことが無数にある。そこで当時の民衆の生活実態を圧縮して映画表現してみた、ンジャナイカと考える。

Q : 主人公の家に、異様にたくさんの人々がいるのは、なぜ?
A : 例えば半年間にこの家に来た来訪者を、時間を圧縮して一気に見せている。

Q : 登場人物たちが、わけのわからないことを話したり叫んだりしているのは、なぜ?
A : 例えば半年間にその人が口にしたことの全部から、その一部分の断片を、無作為に、あるいは作為的にピックアップして、セリフにした。
   断片のセリフだけど、当時を知る人間は、その単語を聞いて、あるいはその言い回しを聴いて、懐かしくインスパイアーされる。イメージが広がり1953年あの時分の臭いを思い出せる。そうそう、そうだったよね、と、懐かしがれる。(のかもしれない)

圧縮された映画を、解凍して楽しもう! ということかな。
(でも日本人には当時がわからない、この映画で覗くしかない)

字幕の太田直子さんは、大変な仕事だったのではと思う。


アレクセイ・ゲルマンの映画 (一夜一話より)

「戦争のない20日間」
  1942年の年末、従軍記者ロパーチンが所属するこの部隊は浜辺を歩いていた。楽しげな会話。明日から休暇がもらえる連中が多い。兵役延長の見返りとして20日の休暇が与えられるのだ。隊は戦闘態勢を解いていた。と、その時・・・。

「道中の点検」
  1942年の話だ。
  ナチスの領土拡張が進んで行く。ナチス・ドイツ軍はソ連北西部に侵攻し、この地を占領していた。占領下において、ユダヤ人に迫害を加えると共に、反ナチスの動きをするロシア人を徹底的に抑え込んだ。強制労働、絞首刑、銃殺なんでもありだ。 一方、・・・。

「わが友イワン・ラプシン」
  1935年ごろ、ロシアの地方の話。
  当時、少年だった男が、若き父や、父の周辺の男たちを懐かしく振り返る。
  これは遠い昔の話だ。父から何度も聞かされた。長い廊下に響く幼い私の足音、男たちのタバコのにおい、今では考えられない貧しい暮らし。通りはいつも冷たい風が吹いていた。そんな環境でも、私たちは不自由を感じることもなく、助け合って生きていた。記憶の彼方でよみがえる大切な人たちの顔や声。これは私の告白だ。

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音楽ドキュメンタリー映画「キングス・オブ・クレズマー」 監督:シュテファン・シュヴィーテルト

メインTickle in the Heart  クレズマーとは、東欧系ユダヤ人の民族音楽です。
  東欧系の民族音楽といえば、ロマの音楽を思い出す人もいるかと。エミール・クストリッツァ監督の「ウェディング・ベルを鳴らせ!」や「黒猫白猫」の音楽。あれとサウンドの感じは近いです。スローだと憂いがあって哀しい音色、アップテンポだとウキウキ。
  映画に登場するミュージシャン兄弟の親は、1910年に東欧の田舎(現在ロシア領土)からニューヨークに移民してきました。こうして当時とても多くのユダヤ人がアメリカに移民しました。膨れ上がるニューヨーク・ユダヤ人街では、故郷と同じスタイルで結婚式やパーティーや葬儀をやりたい。そのためにはクレズマー楽師たちが必要でした。多くのバンドがいて、商売として儲かったようです。
  そんな彼らは、老後をフロリダの高齢者専用の分譲住宅街に住んでいます。とても広大な住宅街です。しかし、この作られた人工の街にも多くのユダヤ人がいました。そこで彼らは改めてバンドを再結成してコンサートをし始めました。そんな様子を描いたドキュメンタリー映画です。
  3兄弟がドイツに演奏旅行に行ったシーンがあります。コンサート会場には、ユダヤ人収容所から生還された、ドイツ在住の方々が聴きに来てました。そういう時代も乗り越えてきたことを、この「キングス・オブ・クレズマー」で学びました

  映画の3兄弟の音楽は、1920~40年代のスタイルを色濃く残したサウンドです。長男でバンドリーダーでクラリネットのマックスさん(中央)は歌も歌います。
  残念ながら、このドキュメンタリーの映像はネット上に無いので、サウンドが聴けません。なので下記に、ほかのバンドのクレズマー音楽が聴けるようにしてみました。

故郷にて1095   街並42454C373207BD5DB3F_Large
自分達のルーツを探してロシアの村に来て               地域の様子
両親が住んでいた地域の古老に演奏する。

映画とは関係ないですが、昔のユダヤ人のイメージ
婦人hujinncdIMG_0002.jpg 辻cdIMG_0001 スタイルcdIMG_0003
1910年のユダヤ人の写真        昔の辻音楽師ヴァイオリンとツィンバロン     暇な?ユダヤ人老人 TZADIKのCDより
                     クレズマー・バンドの祖形
                ロマの人々と住む地域が重なっていたので、音楽は相互に影響されあった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
監督:シュテファン・シュヴィーテルト|アメリカ/ドイツ |1996年|84分|
原題:A Tickle in the Heart
出演:マックス・エプスタイン|ウィリー・エプスタイン|ジュリアス・J・エプスタイン
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■クレズマーって、どんなサウンドなの?

そこで、「Klezmer」で動画検索すると、いろいろ出てきます。

1926年当時のユダヤ人とニューヨークの様子が、わかりやすく映像になってます。
たくさんの人々が船でアメリカに来た様子、クレズマー楽師がまだまだ地位が低かった様子などが伺えます。
http://www.youtube.com/watch?v=s6e4GqUMYh0&feature=player_detailpage

現代の標準的な演奏は、こんな感じです。いいですね!
http://www.youtube.com/watch?v=ZpqVYvPIv1s&feature=player_detailpage


ビッグバンド ジャケットIMG_0004 バンドマン その2 IMG_0005
1925年のビッグバンド演奏スタイル                         ダンディーなメンバー達                 
アメリカでビッグバンドJAZZを取り入れて、クレズマー音楽が近代化しました。

■気ままに、関連CDコーナー
DON BYRON 「Mickey Katz」 
ドン・バイロン。この人、好きなんです。偉大なMickey Katzという人を取り上げたアルバム。
Don Byron Plays the Music of Mickey Katz

THE NEW ORLEANS KLEZMER ALLSTARS 「FRESH OUT THE PAST」
こいつらの面構えがいい。「いてまえ!」って感じ。
KOREKOREIMG_0002.jpg

COMPOSTELA 篠田昌巳 
ジャンルを超越して不滅の名盤!
「しあわせなユダヤ人」とか「イディッシュ・ブルース」とか、やってまっせ。
もちろんチンドンあり。大熊亘、駒沢裕城、江戸アケミとかも。
KOREKOREIMG_0003.jpg

お勉強系
「中東欧音楽の回廊 ~ロマ・クレズマー・20世紀の前衛」 (付録DC付き)
伊東信宏著 岩波書店
付録CDが欲しくて手に入れた。
中東欧音楽の回路―ロマ・クレズマー・20世紀の前衛   KOREKOREIMG_0001.jpg

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自販機で使えない10円玉

  • Posted by: やまなか
  • 2011-07-12 Tue 06:56:15
  • 一話
こrこれ11IMG_0002自販機が拒否するんです。3回も。その10円玉だけを。
チャりンと、自販機の下の返却口に落ちてくる。クソッ!

よく観ると、昭和29年製、1954年だ。(→)
年齢でいえば57歳だよ、この10円玉。
自販機に、その存在を否定されても、
毎日毎秒、いつでも、自分の価値を維持しなければならない。
57年間、ご苦労様。そして今後も。
偉いね!この10円玉。

後輩の、他の10円硬貨より、厚みがない感じが、わかる。
だから、自販機のセンサーが拒否するんでしょうか。
製作当時、材料不足だったんでしょうかね。


「ギザ十」
1951年(昭和26年)から1958年(昭和33年)にかけて製造された十円硬貨に、その縁にギザがあり、俗にギザ十(ギザジュウ)と呼ばれる。1959年 : 側面のギザがないものに変更される。

映画「黒い神と白い悪魔」 監督:グラウベル・ローシャ

黒い神38_11133521  一握りの大地主と多数の小作人たち、20世紀初頭のブラジル東北部バイーア地方。気象変動が起これば、たちまち小作たちは困窮し、年貢を納められない小作は畑から追放される。そんな状態だったんだろう。
  大地主を守るカトリック教会。小作人のための宗教のひとつに土着化したカトリックがあった。岩だらけの地面を両膝で這ったりしてまるで五体投地、十字架を持ったチベット仏教のような。独特の荒修行もある、新興宗教ともいうべき教団の宗祖シバスティアン(写真右の人物)は黒人であった。これが「黒い神」。各地を巡礼しながら、信仰を広め多くの小作の支持を集めていた。武装組織も作り、大地主や警察や政府軍を襲撃する。これに対抗すべく、地主やカトリック神父たちは、宗祖シバスティアンを亡き者にしようと、「白い悪魔」つまり殺し屋アントニオを送った。話を承諾したものの、どこか抵抗感を持ったアントニオはつぶやく「黒い神は必ずしも悪ではない。いいところもある。彼を殺すのなら、金額をもっとはずめ」と。
  主人公マヌエロ(上の写真、岩を掲げる男)は、あることを境に黒い神に心酔しだした。妻ローサーを残し、巡礼する教団を追いかけ合流する。それを追って妻も・・・・。ただし妻は夫を追って来たのであって、宗教には関心を示さない。彼女の目には周りの信者たちが異様な者たちに映るだけ。
  荒野の丘の頂上にある洞窟に、この教団の教会があり、呪術的な祭礼、いけにえが行われていた。殺意を感じながらも十字架の前に我が乳飲み子を黒い神に差し出した主人公マヌエロは、案の定、目の前で子供を殺され、泣き伏す。それを傍で見ていた妻は、子供を刺したその剣で、黒い神を刺し殺してしまう。
  期せずしてちょうど、その時、殺し屋アントニオはこの教会を探り当て、取り巻きの多くの信者たちを銃殺し洞窟の教会に向かった。そして教会に入ったアントニオが見たものは、もう死体となった宗祖シバスティアンだった。

黒い神と白い悪魔  夫婦は、その場を逃げ、子供の亡骸を埋葬して二人だけで放浪の旅に出た。そして荒野でカンガセイロ(山賊集団)のコリスコウ大尉(→)と出会う。大尉は大地主や教会を襲撃し宝物や金銭を得ていた。そしてただ山賊としてだけではなく義賊、ある意味で黒い神の後継者たらんという意思を持っていた。これに共鳴した主人公マヌエロは、大尉の率いるこのカンガセイロに加わる。しかしここにも、殺し屋アントニオが現れるのであった。目指すはコリスコウ大尉であった。 なぜ?

  実は上映途中、私の集中力は、ここで尽きた模様・・・・。
  アントニオがなぜ大尉を狙うのか?そのわけが記憶に無い。
  周りを見ると、頭がスクリーンに向いていない人がチラホラ、いびきも聞こえる。なぜ?

  大尉が出てくるシーンから、この映画のテイストがガラッと変わる。荒野の野外劇、大尉の一人芝居を記録しました的映画になる。これが実に実に冗長なんです。30分間はある? さらには、例えば、一人芝居の大尉の後ろで、ずーっと無言で立っている家来役の役者、集中力が途絶えてる!てことが、まるわかり。これを観る観客はさらに冗長感を味わうハメになる。

  ラストは? それは観てのお楽しみ・・・・ということで、私も逃げる。よろしく!
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白い悪魔065_03  監督:グラウベル・ローシャ|ブラジル|1964年|118分|
  原題:BLACK GOD, WHITE DEVIL/DEUS E O DIABO NA TERRA DE SOL
  出演:ジェラルド・デル・レイ(主人公マヌエロ)|イオナー・マガリェイイーンス(その妻ローサー)|リーディオウ・シルヴァ(黒い神シバスティアン)|マウリシオ・ド・バーレ(白い悪魔つまり殺し屋アントニオアントニオ)




写真の右の男が「白い悪魔」(↑)
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映画ポスターは、カンガセイロ(山賊集団)のコリスコウ大尉だけを取り上げている。(→)

映画に直接関係ないが、ブードゥー教(Voodoo)は、カリブ海の島国ハイチやアメリカ南部のニューオーリンズなどで信仰されている民間信仰。下の写真の、この男はDr.Jhon、ニューオーリンズR&B界の大御所ミュージシャン。ブードゥー好き。衣装スタイルに相関ありと見た。
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ふと、思うんですが・・・映画の再評価
  ラブロマンスやサスペンスなど娯楽を主にした映画は別として、今回のような映画、その時代、その国、そんな人々、そしてそんな監督、なんていう、シリアスていうんでしょうか? 難しい映画について。

  1960年代当時、はるかなブラジルという未開発で詳細不明な国から発表された映画が、時の西欧の映画人を驚かせたらしい。
<映画チラシから、以下抜粋>
  ゴダールをして、ベルトルッチ、ストローブ=ユイレ、スコリモフスキと並び「もっとも新しい映画監督の一人」と言わしめ、ネルソン・ペレイラ・ドス・サントスを押しのけ、ブラジルのシネマ・ノーヴォの誕生を世界に告げた男、それがグラウベル・ローシャだった。<抜粋終わり>
  当時、1960年代特有の同時代観の中で、賞賛した西欧映画界、観客たちは、この映画からある種の興奮や空気を共感・共有したのだろう。この映画チラシも、当時の興奮の渦の中のスタンスで書かれている。それ自体は悪いわけじゃないですが。
  でも、半世紀も過ぎて少々の事じゃ驚かない現在の観客に、当時と同じ事を、1960年代特有の同時代観がない今の人に言っても、カラッキシ通じない、そう思いません?
  通じるかもしれない人々とは、1960年代を文化的・政治的に意識しながら生きた人々の一部、生まれていなかったが何かからか学んで疑似体験し共感できるようになった人々。ごく少数派だろう。この世界観だけをもって、この映画は上映されているのだろうか?
  半世紀後の今、この一連の映画を改めて上映するにあたっては、それなりの再評価が必要じゃないかと思う。
  いや、再評価があって上映に至るだ。BRICsなんていう前に、映画初公開その後この方、ブラジルを取り巻く環境は大きく変わっただろう。一方貧富の差など内在的に変わらない部分もあるのだろうと思われる。もちろんブラジルだけを取り上げて、地域限定の視野だけでああだこうだと言う必要もないだろう。再評価のファクターはいろいろある。50年近く過ぎて、新たな視点が提供できなくて、当時のことしか言えない映画なら悲しい。今となっては再評価は、上映館の仕事だと思う。上映するだけの名画座もいいけど、一観客としては期待したい。



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映画「黒い眼のオペラ」 監督:ツァイ・ミンリャン

メイン101ages  マレーシアのクアラルンプール。脚光を浴びる繁華街の外れ。そこは流れ着いた者たちが淀むスラム街。人通りのない捨てられた町並み。期待を持って南アジア各地から出稼ぎに来た人々が、この街にうずくまる、今や明日もない底辺者。そんな街の一軒の食堂。店内はタイル張りの床、コンクリにペンキを塗った壁、湿った感じ。屋外屋内のあちこちを反響してくる、ややリバーブな喧騒、話し声やエンジン音。こうした音響を背景に沈黙劇がたんたんと続く。背景音であるはずの喧騒が妙にリアルに感じる。ここまでで、もう映画世界が成立している。

  路上のチンピラ、賭博詐欺集団にもてあそばれ、負傷し意識を失ったシャオカン(リー・カンション)を救ったラワン(ノーマン・アトン)。インド人かバングラデシュ人か? 同国人たちが共同生活する廃墟のようなアパートの一室で、看病が続き快方に向かうシャオカン。献身的なラワンは引き続き彼の身の回りの世話をやくのだった。

2     89_17352472  もうひとつのエピソードが並行して進む。
  食堂の女主人(パーリー・チュア)は、植物人間の息子を、つまり重度の意識障害を持つ寝たきりの息子(リー・カンション・二役)を抱えている。店に住み込みのシャンチー(チェン・シャンチー)が、この息子の介護もさせられている。そして、回復したシャオカンとシャンチーが出会う。寝たきりの息子に似たシャオカンに食堂の女主人もいつしか、彼に心ひかれていくようになっていく。
  弱い者が、さらに弱い者への愛を忘れないこともある、ということを「黒い眼のオペラ」は言っているようだ。

  ほとんどセリフがない沈黙劇なので、映画をよーく観てないと?、話のすじが分からなくなるのが難点。(笑)

  同じマレーシア映画でもヤスミン・アフマド監督が描く世界とは、まったく違う世界が「黒い眼のオペラ」では描かれている。ヤスミン・アフマド監督もマレー系、中国系、インド系の人種間の軋轢を描くが、それでも、「黒い眼のオペラ」と比べると明と暗の差がある。
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1     e21bfdf36ffc3dd9 監督:ツァイ・ミンリャン|台湾=フランス=オーストリア|2006年|118分|
 原題:黒眼圏/I DON'T WANT TO SLEEP ALONE
 出演:リー・カンション(Hsiaokang)|チェン・シャンチー(Shiangchyi)|ノーマ・アトン(Rawang)|パーリー・チュア(Lady Boss)|






廃墟ビルの中に溜まって出来た池、好きだなこういう水風景!


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映画「江分利満氏の優雅な生活」 監督:岡本喜八

本人eburi  原作を借りての、おっとり穏やかなアジテーション映画。監督の言いたいことで埋め尽くされて自己完結している。ただし、一般サラリーマンの会社生活の嘆き、自嘲などを織り交ぜ「俺もそうなんだよな~」と観客の共感を得ようとはしているが。

  この映画で監督は、日本が歩んできた道のりを大衆の立場から語ろうとしている、のかな??。大正から昭和初期、太平洋戦争中から戦後という、戦争を挟んで二つの世代・江分利さんの父親と江分利さんが歩んだ道をモデルにして。
サントリーeveryman_4  でも、でもですね。主人公・江分利満(えぶりまん)は大企業サントリー勤務で仕事がきつくなく社宅も上等で家庭も平和で、あまりに生活や身分が良すぎて、おまけに直木賞を獲得するなんて、、、、こりゃスーパーマン。大衆の代表としては、失格だね。
 ← 「おい、聴いてる?江分利さん!」


家庭isi1963  その江分利さんは36歳。それにしても1961年当時、日本の36歳はこんなに大人だったのだろうか? 映画を観ていると彼の思考の成熟度合いが40歳以上に見える、50歳代といってもおかしくない。
  だからかな?映画の冒頭とラストに、会社のビル屋上で若い社員が昼休みにバレーボールをしているシーンが出てくるが、江分利さんだけが一人ポツンといる。大正生まれの人間が、戦争を挟んで幾つもの歴史の波を乗り越えて来たがために、歳の割りに老成しているのかもしれない。あるいは、戦前戦中を知っている人間からすると、経済が前年度より必ず右上がりで、彼から見ると何もかもが規定路線で安直な時代に映る、そんな流れに乗って楽しそうに日々を過ごす若者が気に食わないのかもしれない。で江分利さん言うには「おもしろくない」となる。

3人ninn008006001199  また江分利さんは語りが上手。独特の語り口と知識・細かい観察眼・空想力を持っている。職場の若い社員は最後までは聞いてくれないが、呑み屋で話はじめると夜中過ぎても止まらない。小説を書くようになる人は、こうなのかもしれない。無口な時でも、頭の中では饒舌だったり。だから、婦人雑誌編集の人に呑み屋でスカウトされ小説を書くようになる。


本人2 images  さて、江分利さん親子を題材に、日本が歩んできた道のりを大衆の立場で語ろう、としたことは何?
  江分利さんは大正15年生まれ。早稲田大学卒。生真面目だが枠にはまりたくないタイプ。出世は望まない、ゆっくらサラリーマンが性に合っているが日常を変える変化も欲しい。太平洋戦争では兵隊にならなくて済んだぎりぎりの世代。思春期青年期は戦時下で啓蒙洗脳され、いろいろ抑制されもした。その重たい抑圧感を引きずりながら、戦後直後の開放感を味わう。しかしその余裕もなく、生活のために奔走した。江分利さんが勤めるとすぐに会社が倒産するなどいくつかの会社を渡り歩き、今、サントリーの広報宣伝部部員。(映画は原作者山口瞳をなぞっている、山口瞳はサントリー宣伝部から小説家になる)1961年現在を映画化しているので、安保闘争にも江分利さんは関心がある。しかし、さすが大会社サントリー、社宅が戸建て庭付き。いい生活している。

おやじ9709e  そして江分利さんのお父さん。性格は自由奔放、誰にも邪魔されたくない我が道を行くタイプ。明治生まれで、この世代も戦場経験がない世代。太平洋戦争では兵役に出るには歳をとっていた。よって商売や事業に専念できた。昭和初期から太平洋戦争初期、日本は戦争準備で好景気であった。素人がなにか事業を起こしても、いい確率で成功できたし、失敗しても再起ができた。また企業が競って自社の存在基盤を作っていった時代。だから会社員といえども、戦前は転職がわりかし普通にできたし、会社員人口が現在よりも圧倒的に少なく、サラリーマンにとってポストが職場にそれなりにあり、いい時代であった。江分利さんのお父さんは、自営で事業をしていたのをやめて、「そのうち開戦がある、油だ、油の需要が大きく伸びる」と気がつき石油会社に勤め、波に乗りうまい具合に出世する。大きな社宅、自家用車、家政婦さんといった上等な生活ができた。江分利さんはそんな家庭に育った。

  ここまで書いてきて思う。何だ!、この映画、江分利さんちの成功物語 じゃん。
  どおりでタイトルが「江分利満氏の優雅な生活」なわけ。
  優雅な生活という担保があって、優雅な憂鬱、優雅な「おもしろくない」があり、庶民とは違う視点が持てるので、束縛されない自由さで世間や政治を切っていく江分利満。everyman=ごく普通の人 じゃないね。
  こんな主人公に何を語らせても、リアルじゃない。彼の言うことをなるほどと思う人は、江分利さんにオルグられていることに気付かねばならない。
  そんな、こんなの全体をつかんだ上で、かるーく楽しんで観るべき作品である。
  ただし、観客に求められている理解度のハードルは結構高いので、注意。
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家庭5_main  監督:岡本喜八|1963年|106分|
  原作:山口瞳
  出演:小林桂樹 江分利満(サントリー社員)|新珠三千代 江分利の妻・夏子|矢内茂 庄助|東野英治郎 江分利の父親・明治|英百合子 みよ|横山道代 矢口純子|中丸忠雄 佐久間正一|ジェリー伊藤 ピート|松村達雄 赤羽常務(サントリー重役)|南弘子 坂本和子(サントリー社員)|桜井浩子 泉俊子(サントリー社員)|八代美紀 柴田ルミ子(サントリー社員)|二瓶正也 田代(サントリー社員)|小川安三 小宮(サントリー社員)|西条康彦|* 天本英世 柳原(サントリー社員)|江原達怡 辺根(サントリー社員)|田村奈巳 ミチ子(その妻)|草川直也 マスター|河美智子 トンちゃん|森今日子 トシコ|北あけみ ヨシ江|柳川慶子 寛子|塩沢とき  ナポリの女|砂塚秀夫 香具師|堤康久 小野田医師|長谷川弘 松本上等兵|平田昭彦 江分利の兄|太刀川寛 江分利の弟|芝木優子 その妻|沢村いき雄 会葬者|紅美恵子 看護婦|

天本英世が演じているサントリー社員・柳原とは社内デザイナー(イラストレーター)で、サントリーの初期の宣伝キャラクターを描いた柳原良平。神奈川県横浜市在住。


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Bな映画「どつかれてアンダルシア (仮)」 監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア

  一夜一話流のB級映画です。好き・嫌いが大きく分かれるアクの強い映画です。嫌悪感に至るかも。
  
  ニノ&ブルーノという、スペインの「どつき漫才コンビ」がスターダムを駆け上がり、そして10年続いたコンビを解消。さらに10年経て一時だけの再結成をした、そのステージで意外なことが起こります。

  いきなりですが、例えば横山やすし・西川きよし。
  やすしは、ボケ役・漫才の天才・口数が多く女好きギャンブル好きで常識を逸脱する。
  きよしは、ツッコミ役・女房役・口数が多くなく常識派。これでバランスが取れていた。

その瞬間rtos_risa_cap3  さて、ニノ&ブルーノの場合は、
  ニノ(写真の左)がボケ役・殴られ役・無口・実は漫才の天才肌。
  ブルーノがツッコミ役・口数多く・女好きで常識を逸脱するときもあった。
  女房役がいない。これが災いする。

  漫才コンビの芸が確立して成熟してくると、練習も必要なくなり、2人が会うのはステージの上の時間だけとなってくる。新ネタもちょっとの打ち合わせで済む。コンビの連帯感は希薄になり、いつしか亀裂も生まれる。
  「紳助・竜介」はボケ役の島田紳助が残った。「ツービート」もボケ役のビートたけしが残った。
  ニノ&ブルーノの場合、ボケ役ニノが残る。 

  さて映画を観てみよう。
  映画冒頭いきなり、カーチェイス。ニノとブルーノがそれぞれ運転する2台のベンツが数台のパトカーに追跡されながら、互いにカーアクション。向かうはテレビ局の公開スタジオ。さあ、再結成1回限りのステージ。観客はふたりの登場を今か今かと待っています。

  時をさかのぼること20年前、1972年のスペインの田舎町にあるディスコで、ニノはへたな歌手をしていた。舞台に立つ人間としては口下手でたどたどしい。その店で出会う男がブルーノ。口が立つブルーノは無職でやさぐれ、女を口説くのが生きがい。彼の発案で2人は漫才のオーディションに出る。それを見たストリップ巡業のマネージャーのフリアンが、彼らを拾う。やれば何とかなるさ的に、ショーの幕間で初舞台。緊張からセリフもままならぬ時に、ブルーノはニノのほほを、思いっきりひっぱたく。これが受けた!大うけ。爆笑の渦。

局局  os_risa_cap5  その後、巡業はスペイン全土をめぐり、徐々にコメディアンの地位を築いていく。行っていない場所はマドリードだけ。そんなある日、マドリードにあるテレビ局から出演のオファーを受ける。テレビデビューである。ますます人気はあがり彼らは国民的スターとなっていった。
 しかし、彼らの間では、互いに暗黒の憎しみが増すばかりになっていた。ニノいわく 「なぜ、俺だけが殴られるのか?」 「なぜブルーノだけが注目を浴びるのか」 これに引き換えブルーノは我関せず・お気楽に見えた・・・・・・マネージャーもお手上げである。

  その後、お互いの猜疑心、嫉妬と憎悪は頂点に達する。互いに精神的に破綻していた。
  ついに惜しまれながら10年続いたコンビを解消し2人は別れる。ニノは、引き続きスターダムにいたが、ブルーノは零落していきヤクに手を出していた。
  コンビ解消から10年たって、マネージャーは2人に、その日だけの再結成を提案する。何といってもギャラが凄い金額。マネージャーにとっては、おそるおそるの提案であった。ブルーノは賛成、ニノは拒否。だがブルーノの策略でニノも賛成に。実は生活に窮していたブルーノは、スターのニノをおとしめる策略をもって、チャンスを狙っている。ここから話は、さらに急展開。互いに憎み合って来たふたりだが、過去を振り返ると、さすが相手に手を出すような具体的な行動はしなかった。しかし、今、ブルーノはその一線を破る。結果、ブルーノにはめられたニノは麻薬不法保持で監獄へ。
  再結成ステージの当日、あらゆることの末に、ニノは脱獄、ブルーノは傷害致死と、それぞれの罪を犯した末に、ふたりは今ここで向き合う。「もうこれまでだ、ここで相撃ちして死のう。いや、同じ死ぬなら、観客のいるステージの上がいい。」15年ぶりに意見が合う。2人はテレビ局の公開スタジオに、パトカーに追われながら猛スピードで向かう。再結成1回限りのステージ。
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スタジオ入り前に、2人は、それぞれに拳銃を手にしながら言う・・・。
  ブルーノ:20年間、お前に勝つためだけに生きてきた。
  ニノ:俺もだ。
  B:ラウラの事もだ。お前へのいやがらせで寝ただけだ。好きでもなかった。
  N:俺はラウラに惚れていた。お前は嫉妬してたのか?
  B:そうとも。
  N:でも、なぜ? お前は俺よりいい男なのに、背だって高い。
  B:それが何だ。何の意味もない。お前には才能がある。笑いの天才だ。俺は足元にも及ばない。俺はお前の添え物だ。虚しさが俺の心をむしばみ続けてきた。
  N:俺は笑われたくない。みんなに尊敬されたかった。お前のように。俺はボケ役、道化にすぎない。もう笑われるのはイヤだ。

  
  その後、ふたりは救急車で集中治療室に運ばれる。瀕死の重傷だ。しかし、話はシブトイ。ふたりをそう簡単には死なせない。集中治療室で2人はなぜか不思議にまだ、わずかに生きている。あ! ニノの脈がついに途絶えた。その時、ブルーノが何かに繰られるように、むっくり起き上がり・・・・・・・・・・・・・・。

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ステージdotsukare1  監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア|スペイン|1999年|100分|
  原題:Muertos de risa
  出演:サンティアゴ・セグラ(デブでボケ役のNino)|エル・グラン・ワイオミング(突っこみのBruno)|アレックス・アングロ(Julian)|カルラ・ヒラルゴ(Laura)

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映画「エヴァとステファンとすてきな家族」 監督 :ルーカス・ムーディソン

メイン flr  時は1975年、スウェーデンのストックホルム。マンションに住む、極ふつうの家族4人の話。

  夫婦げんかをして、妻エリザベートは子供2人連れ家出する。心配する妻の兄ヨーランが仮住まい先の世話をかってでる。用意された部屋とは、ヨーランが住んでいてヒッピー達が住む家の一室だった。この家には大人が7人子供が2人住んでいて共同生活をしている、すでに過密。空いている一室は物置部屋で窓も無い。食事のテーブルは一度に全員が座れない。この家の人々が言っているキーワード。ジェンダーフリー、ベジタリアン、ヨガ、テレビ・コーラの禁止という禁欲生活、政治運動、マルクス主義哲学論争などなど。加えて各種の愛の芽生え、思想論争とささいな言い争い、ステレオの音量など、人の過密はいろいろな衝突が避けられない。こんな世界に放り込まれた3人は・・・・。

  一方、ひとり取り残された父親ラルフは、酒と孤独とに向き合う毎日。同じマンションに住む老人、妻子に逃げられて20年の、この老人がラルフを励ます。「今、勇気をもって帰って来いと言わないと、俺のように一生の不覚になるぞ」と。ラルフは妻子の仮住まいの家に出向くのであった・・・・・・。

  時代設定が1975年ということは、この夫婦は1940年代生まれ、日本で言えば昭和20年終戦前後、つまり団塊の世代。スウェーデンでも新たな時代を作り上げてきた人たちなんだろう。だから過去を壊し、世間のしがらみから自身を引き剥がしといったこともあったろう。
  ヒッピーについて、この映画は適当におちょくっている。口先だけの政治闘争、哲学論争。カウンターカルチャーと言いつつ、中身はボンヤリだったと。
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監督:ルーカス・ムーディソン|スウェーデン/デンマーク/イタリア|2000年|106分|
原題:Tillsammans
出演:エンマ・サミュエルソン(娘・エヴァ)|サム・ケッセル(弟・ステファン)|リーサ・リンドグレン(母親・エリザベート)|ミカエル・ニュークヴィスト(父親・ラルフ)|グスタフ・ハンマシュテーン(叔父、母親の兄ヨーラン)

父tgether-6    後gether
妻子が家出し、1人で怒鳴り嘆く父・ラルフ        映画ラスト、世間のしがらみから開放され、妻子から祝福される父
母hahaClipboard06-56 姉6921_1481635 弟eva_02
子連れで家出し悩む母・エリザベート    もっと悩む娘・13歳のエヴァ        あきらめる弟・10歳のステファン

開放outug9kozoku 小さな恋2361_140265 とも vsl041
しがらみから開放される母・エリザベート     恋に落ちた娘          友達ができた弟



ちらし2f141cd7d4128ceb57b22a0 
 ←スウェーデンの映画ポスター、
  父親だけを取り上げていることに注目!
  どう解釈すればいいのか、凄い。
  そうだ、父親ラルフだけが唯一、新しい自分を発見したんだ。







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Bな映画「キス・キス・バン・バン」 監督:スチュワート・サッグ

メイン25660765  イギリスの大きな古い橋、タグボートでしか行けないその橋脚に秘密の入り口がある。ここは凄腕を束ねる殺し屋集団のアジト。「クラブ」と称して歴史がある。鉄階段で降りていくと大きな空間がある地下、アンティークなボイラー発電施設だ。
  このクラブのボスが主人公フィリックス。その道で名を上げた男ほど、ある時潔く引退する。フィリックスもそうだった。愛弟子ジミーを初めてクラブに紹介し、フィリックスの仕事のすべては終わった。

  だが翌日から始めた、殺し屋以外の職探しは大変だった。やっと見つけた案件は美術品密輸入商のせがれの子守。普通の子守じゃないだろうとは思っていたが、おもちゃでいっぱいの子供部屋から出てきたのは33年間部屋から出たことのないデブ男のババ。独身フィリックスとキリンの縫いぐるみを手放さないババの奇妙なコンビが笑いを誘う。幼児年齢であったババがフィリックスとの付き合いの中で急速に青年になっていく、ババに彼女も出来た。ここに、フィリックスの彼女シェリーが加わる。シェリーに言われる「ババの面倒をみるようになってから、あなた優しくなったよ」 てなわけでシェリーのおなかに・・・・。

  さて、ここに重大なことが。殺し屋集団クラブは生きて退団できない、なぜならかつて退団した先輩はみな死んで退団したから。この即興のオキテでフィリックスは執拗に何度も狙われる。ババとシェリーをかばいながら逃げる。そしてフィリックスを影から助ける愛弟子ジミー。それを知らないフィリックス。ジミーの行為は当然クラブを敵にまわすことになる。いやいや、テンマツはいかに、いかに・・・・・・・・。

  英国味のコメディなアクション&ロマンス。B級とは言え、手は抜いていません!
  この映画観た人はきっと言うと思う。ババは、「千と千尋の神隠し」の湯婆婆の息子「坊」にそっくり。ただし「キス★キス★バン★バン」は2000年、「千と千尋」は2001年製作だ。パクッた?

......................................................................................................................................................................
監督:スチュワート・サッグ|イギリス|2000年|101分|
原題:KISS KISS (BANG BANG)
出演:ステラン・スカルスガルド(フィリックス)|クリス・ペン(ババ)|ポール・ベタニー(ジミー)|ピーター・ヴォーン(ダディ・ズー)|ジャクリーン・マッケンジー(シェリー)|アラン・コーデュナー(ビッグ・ボブ)|マルティン・マカッチョン(ミア)|シエンナ・ギロリー(カット)
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セミが遅い。

  • Posted by: やまなか
  • 2011-07-24 Sun 05:59:26
  • 一話
競争しているわけではない。

先週16日に、今年初めてセミの声を聴いた。
近所の魚屋さんは、並木道に面していているが、
そのオッサンが言うには 「今年はセミが鳴くの 遅いョ」

それも、ところどころで数はない。
夏休みに入ったと言うのに。
どうした もっとセミ出て来い!



夏 木々20090814124917

映画 「きょうのできごと」 監督:行定勲

メイン00f01  実は好きな映画です。何回観てもいい。
  正道は京都の大学院に合格し、大阪から京都に引越しした。その下宿は、河原町今出川あたりの路地奥の町家。(京都にあるあるこういうシチュエーション)
  ここに友人たちを集めてささやかな飲み会が始まる。けいと(伊藤歩)真紀(田中麗奈)ふたりの女は酔って男に絡む。男はみな気弱。
乾杯2e0a7ad4 ふたりの女cap133
  自宅パーティでありがちな、ウダダラした飲み会。呑めるヤツは呑んで騒いでいるが、手早く切り上げて2階でマージャン組も。テレビ見てるヤツも。
  そのテレビでなにげにニュース。日本海の砂浜(京都府)にクジラらしきものが打ち上げられているというニュース。もうひとつは、大阪府堺市で男がビルとビルの隙間にハマって動けなくなってるのが発見されたが、救助がうまく進まないというニュース。
いやもう、どうでもいい つまらん話なんです・・・・・が、
これが、映画になってる
 のです。
確かに、たんたんとしてますが、決してあきさせない。凄い!
tv cap134 くじらages 壁 堺東iimages
テレビのニュースを見入る。       浜辺に打ち上げられた鯨      ビルの隙間に挟まった男(堺市堺東)

田中麗奈と池脇千鶴、両女優、それぞれの場面でグチを言う長ゼリフがある。
この映画の見どころのひとつ。すごくいい!!

行きの車中o511   田中麗奈
  飲み会がある京都へ向かう車中、田中麗奈が、運転する妻夫木に対して、ありったけのグチを言う。「あの店のあの服、メチャ気に入ったのに、買おう思って次に行ったら無かった!なんで無いの!私のためにある服やのに!」と延々と続く長ゼリフ。うまいうまい。拍手拍手。


池脇204962  池脇千鶴
  夜に京都の飲み会に参加予定の かわち君は、昼に大阪天王寺動物園で池脇千鶴とデートの約束。待てど かわち君が時間に来ない。いつものこととは言え池脇はイラだってる。やっと かわち君が来る。セキを切ったように池脇は言う。
  「なんで遅れたん? また路上アンケートの人につかまったんやろ。そんなことしてるからアンタはあかんのや!」そう言っているはたから、かわち君は天王寺名物の路上カラオケ屋に呼び止められて捕まってしまう。もう!池脇はプリプリして一人先に行ってしまう。そのあと池脇は かわち君の、人並み以上な人の良さ、人の言いなりになってしまう情けなさに、グチを言う言う言い続ける。この長ゼリフ。うまいうまい! 池脇千鶴の関西弁は好きだね。
  動物園を一巡りして、かわち君は、そろそろ京都に行かないといけない時間。しかし かわち君、お腹が急変、トイレに駆け込む。出てきてすぐにまた駆け込む。池脇はそんな彼に取り付く島が無い。そして かわち君は小声でおずおず言う「もうそろそろ京都に行かないと遅れる」「そんなん遅れてもいいやん!」と池脇、最後に爆発する。・・・・おお!これはもう、ハイレベルな漫才になってます!

 ま、でも、地味な映画です。
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監督:行定勲|2003年|110分|a day on the planet|
出演:田中麗奈(真紀)|妻夫木聡(中沢、真紀の彼氏)|伊藤歩(けいと)|
|池脇千鶴(ちよ)|松尾敏伸(ちよの彼氏かわち君・美男子)|柏原収史(正道・院生になった)|三浦誠己(西山・長髪)|石野敦士(坂本)|山本太郎(山田)|椎名英姫(山田の恋人)|北村一輝(サーファー)|派谷恵美(のぞみ)|佐藤仁美(堺東からの報道キャスター)|大倉孝二(川崎哲・壁に挟まる男)|津田寛治(松本)

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映画「スイート・スイート・ビレッジ」 監督:イジー・メンツェル

メインe01520823  おっとりした優しい映画。
  起伏の激しいストーリーからは、もっとも遠い部類の話です。
  チェコの田舎の空気を味わえます。

  チェコのプラハ、その郊外の小さな村に、のっぽのオチクと、おじさんデブなパヴェク、2人が務めるコミューンがある。(農民組合で経営する集団農場)
  仕事はトラック運転。収穫時に広大な農場で、刈り取った麦をコンバインと並走してトラックの荷台で受ける運ぶ。日ごろは耕作機材や肥料、土砂の輸送。パヴェクはベテラン。助手のオチクはいつまで経っても仕事を覚えられない。
  つまり障害を持つオチクだが、早くに両親を亡くし一人ぼっち。近所のおばさんが彼の身のまわりの世話をしていて、両親の家で一人住まいを続けている。だから、オチクの後見人は自ずとパヴェク。公私なく面倒をみている。

  そんなある日、こんな村でも騒動はおきる・・・・・。
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サブ8__Vesnicko_ma_strediskova 監督:イジー・メンツェル|チェコスロヴァキア|1985年|102分|
 原題:MY SWEET LITTLE VILLAGE
 出演:ヤーノシュ・バーン(のっぽの主人公・オチク)|マリアン・ラブダ(オチクのボス、集団農楊の太っちょ運転手・パヴェク)|ルドルフ・フルシンスキー(村医者スクルジュニー先生)|ペトル・チェペック(集団農楊の運転手・トゥレク)|リブシェ・シャフラーンコヴァー(女房ヤナ)|ヤン・ハートル(獣医研修生カシュパル)|ミカル・スチビッチ(Kalina)|オルドジッフ・ヴラフ(Kunc)

オチクicko_ma_strediskova_4_ 食堂0
悩むオチク           集団農場の食堂でボスのパヴェクに、慣れないオベッカを使うオチク
村の朝a_strediskova_2_ ポスターMY SWEET LITTLE VILL 1SH
村の朝、2人は元気よく並んで毎朝、行進して出勤。

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映画「原子力戦争 Lost Love」 監督:黒木和雄

  福島第一原子力発電所周辺を舞台とした1978年の劇映画。(この原発の営業運転開始は1979年3月)
  原作はドキュメントノベル「原子力戦争」田原総一朗著1976年。
TVTV  B0865
入り口index  映画の途中で、原発正門を無許可で撮影するシーンが何故か出てきます。ここだけが唯一「ルポ」なのですが、今観ると妙にリアルです。


  この福島原発の浜に、心中死体が上がります。小さな町は、大きく動揺しだします。
  この町の名家青葉家には3人の子がいる。漁業組合長で市議を狙う「守」、東京へ大学に通っているはずの長女「望」、地元にいる次女「翼」(風吹ジュン)。その「望」は、ヒモの坂田(原田芳雄)に、「帰郷するがすぐ東京に戻ってくる」と言い残して東京の家を出て1ヶ月帰らない。心配する坂田は実家のある福島原発の町に来た。わかったことは「望」は見も知らぬ男と心中していた。その男とは、原発勤務の東大出の技術者・山であった。不審に思う坂田は、山の妻(山口小夜子)に会う。そして、山が残した書類を受け取った。その書類は、燃料棒の欠損事故の顛末書であった。
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  一方、新聞記者(佐藤慶)は独自の調べで、福島原発にどうも大きな事故があったらしいことを先にかぎつけていた。「人間ふたり殺さなければならないような、大きな事故だ」と。坂田は、町にいる佐藤慶と協力し合い事故隠蔽を暴こうとするが、大きな抵抗勢力にあう。漁業組合長で市議を狙う「守」は、漁業補償で2億円の追加が得れる。原発に秘密調査で訪れている原発学者は御用学者で、佐藤慶のツッコミにノラリクラリの発言を繰り返すのみ。福島原発所長にも会うが遠まわしに取材は止めろと言われる。新聞社上司からも取材の中止を命令される佐藤慶。
  そして、心中偽装の実行者たちは、坂田にも手を伸ばし始めた。
  もっとも坂田にとっては、なぜ「望」が死なねばならなかったのか、それが分かればよかった。


  今となっては、お話はチンケですが、「かつては年間2億円の町が、今は12億の年収があるのは原発のおかげ」という漁業組合長「守」のセリフが耳に残ります。また映画冒頭に出てくる町のシーンで、ちらっと見える店の看板に驚き!「お食事と原発みやげ」


監督:黒木和雄|1978年|106分|
原作:田原総一朗
出演:原田芳雄(坂田正首)|山口小夜子(原発職員山の妻・明日香)|風吹ジュン(青葉翼)|石山雄大(青葉守)|浜村純(青葉繁)|佐藤慶(新聞記者・野上)|



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映画「竜馬暗殺」 監督 :黒木和雄

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時代劇だが時代劇じゃない。
ジャンルの壁をぶち壊し、この映画は観客の前に現れた。

変わりゆく時代を前にして、それも時代の渦中にいながら、時代に乗れなかった者たち。集合128877f04a0d9327164653
そして、遅れて来たために、時代に乗り遅れた者たち。
そんな者たちの代弁者として、原田芳雄は今も輝いています。

この映画の立ち位置は1974年。ここが重要だ。
もし1975年であれば、こういう映画にはならなかった。
なんとか続いた緊張感がほどけ始める1973年、かわって新たな時代が台頭し始める1975年。
「竜馬暗殺」は時代に乗れた。

江戸時代の時代劇じゃないが、1970年代の時代劇だ。
同時代観が無くて観ると、この映画が持つ価値の半分しか見えないだろう。
それが残念だ。
................................................................................................
はしご0719200150  監督:黒木和雄|1974年|119分|
  出演:原田芳雄(坂本竜馬)|石橋蓮司(中岡慎太郎)|松田優作(右太)|中川梨絵(幡)|桃井かおり(妙)|粟津號(富田三郎)|野呂圭介(藤吉)|田村亮(大久保利通)|外波山文明(中村半次郎)|山谷初男(岩倉具視)|






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プロフィール

やまなか

Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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