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2014年06月 Archive

映画「こだまは呼んでいる」  監督:本多猪四郎  主演:池部良、雪村いづみ

上
  バスの車掌と運転手の、牧歌的で陽気なラブロマンス。

  昭和34年ごろ、山梨県にある中央本線韮崎駅。ここを始発にする山梨交通のバス営業所。
  車掌のタマ子(雪村いづみ)と運転手の精造(池部良)は、つづれ折りの険しい山岳路線を受け持っている。山に入っての道は、この小ぶりなバスがやっとの道幅、ガードレール無し、未舗装、そして道の下は絶壁が続く。ワイルドだ。危険個所に来るとタマ子は、バスのドアを開け、身を乗り出して、オーライオーライ タイヤが道からはみ出さないよう確認し続ける。車掌と運転手の呼吸が合わないと、危ない路線だ。
  タマ子に縁談の話が来た。韮崎の旧家のひとり息子だ。タマ子の実家は、彼女の担当路線の終着駅、山あいの集落にある理容店。この縁談は、お坊ちゃまの、一方的な一目惚れではあるが、玉の輿、そして身分違いの話でもある。結局、一週間の試用期間が設けられ、タマ子は旧家に住み込むことになる。しかし、やはり身分違い、いや生活文化が違い過ぎて、話は破談になる。
  落ち込むタマ子、そんなタマ子の様子を遠目に見やる精造。そして、あることが起こって、ふたりは気付くのであった・・・。

  名優たちが脇を固めます、盛り立てます。
  タマ子が実家に出戻った時のシーンで、トラックのエンジン音が聞こえてきます。窓の向こうに、ミニチュアのトラックが過ぎて行きます。東宝技術部の特撮ですね。
  昔のローカルバスの話が好きです。「有りがたうさん」、「秀子の車掌さん」、「雲がちぎれる時」、とかありますね。

下監督:本多猪四郎|1959年|86分|
脚本:棚田吾郎|撮影:芦田勇|特撮:東宝技術部|
出演:池部良:鍋山精造|雪村いづみ:三好タマ子|伊東隆:三好富雄|沢村いき雄:三好菊三|千石規子:三好おせん|沢村貞子:平沢孝子|藤木悠:平沢健一|左卜全:籠屋の爺さん|飯田蝶子:籠屋の姿さん|内海突破:諸田|小柳久子:瀬戸信江|横山通乃:京子|由利徹:為さん|南利明:勝ちゃん|若水ヤエ子:姙婦|瀬良明:姙婦の夫|出雲八重子:夫の母親|藤尾純:バス営業所主任|八波むと志:神主|小桜京子:村の娘A|笹るみ子:村の娘B|河美智子:村の娘C|三浦敏男:書店の小店員|加藤春哉:ハイカーA|重信安宏:ハイカーB|大村千吉:ハイカーC|馬野都留子:農婦|家田佳子:花嫁|中山豊:運転手|

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映画「孤独なツバメたち  デカセギの子どもに生まれて」  ドキュメンタリー映画

  浜松市に住む日系ブラジル人5人の2年半を追った、青春と苦悩のドキュメンタリー。

  かつて、ブラジルから日本へ出稼ぎに来た親たち。その時、親に同伴して来日した幼い子供たち、あるいは来日後 日本で生まれた子供たちは、その後日本で中学を卒業し、出稼ぎの子として浜松で働いている。
  しかし、非正規労働者として働く出稼ぎの親子たちは、リーマンショックの波を受け、派遣切りにあい、ブラジルへ帰国するしか道は無かった。そんな中、5人の若者は、悩みながら自らの道を選んでいく。

1 50◆ 佐竹エドアルド 19歳 日系4世 中卒 
  17年前、母に連れられ来日。4歳でブラジルへ帰国。幼い彼を親戚に預けて、母はまた日本へ。8歳で父死亡。彼は再び母親がいる日本へ。そして現在。
  高校に行きたかったが、中学卒業後、浜松市内の自動車部品工場にて派遣で働いていた。 住まいは、高架道路下にある派遣会社が借り上げたアパート。
  2008年秋に派遣切りにあう。ハローワークで紹介を受けるが、どの会社からも無視される。母親も失職しブラジルへ帰国。
  ひとり日本に残って職を見つけた。彼の仕送りで、帰国した母は生活している。このまま、日本に在留して高校、大学へと進学し、いい仕事に就きたい。
  その後、大麻所持で逮捕される。在留資格はあるが、入管から強制退去命令を受ける。
 
3 50◆ 鈴木ユリ  19歳 日系?世
  少年院に一年いて帰って来た。これで二回目。浜松で南米人のグループ(本人曰くギャング)のリーダー。つまり小さな窃盗を繰り返す不良グループ。リスペクトされたいという気持ちが強かった。だが、表の社会じゃだめなので裏の世界でリーダーになった。地元じゃ名が知られている。その後、グループから足を洗う。3 60  
  先行して帰国した父を追ってユリもブラジルへ。2010年9月。(ブラジル南東部 ゴベナドールバラダレス) 帰国したが地域の同世代の仲間に入れない。町をまわって仕事探し。ブラジルに仕事は無い、やはり日本がいい、日本のほうがチャンスがある。  
  ユリにブラジル人の彼女(右写真)が出来た。2人で日本へ行く相談をしている。ユリが言う。出稼ぎ、悪くないと思うようになった。 未知の日本行に彼女は不安だが、たぶん2人でい行くんだろう。

2 50◆ 佐藤アユミ・パウラ  15歳 日系4世  中卒
  日本で生まれ、育つ。中卒で工場で働く。そして今、家族全員でブラジルへ帰国することになる。彼氏との別れ。
  ブラジルにて。「旅行に来たような感じ・・・実感ない」 恋人とネットでやり取り。17歳の誕生日を迎える。
  ここブラジルでは、彼女が一家を背負ってひとり働いている。オフィスワーク、そして夜間学校に通っている。勉強して、よりいい仕事に就きたい。

4 50◆ 松村エドアルド(通称:コカ)  22歳 日系4世 
  浜松の日系ブラジル青年たちのブレイクダンスチーム・フロワーモンスターズ2代目リーダー。
  日本来て15年。2008秋のリーマンショックによる派遣切りで、両親・弟とも失職。ブラジルへ帰ることになった。
  アマゾンに近いカスタニャウ。両親がアパート経営。一家は、この収入で食っていける。近隣の貧困地区で、ダンスチームを結成し活動を始めた。そのメンバーたちは、 ヒップホップで自己実現できて、犯罪や麻薬に走らないようになった。

5 50◆ オタビオ
  8年続いてる、フロワーモンスターズの初代リーダー。リーダーを2代目に譲ったものの、2代目が日本を離れるため、オタビオは自身の帰国予定を伸ばしてチームを続けたが、本人もブラジルに帰国。
  ブラジル・サンパウロ郊外 カンビナースに帰ったオタビオは、ブラジルでブレイクダンスチーム作る。

  この映画を観て、彼らの気持ちや置かれた位置を知ってほしい。

オリジナルタイトル:Andorinhas Solitárias - Nasci Uma Criança Dekassegui -
監督:津村公博 、 中村真夕|2011年|88分|日本・ブラジル合作|
撮影:中村真夕 、 津村公博 、 村井隆太 、 木村伸哉 、 佐藤アユミ・パウラ|
出演:佐竹エドアルド|鈴木ユリ|佐藤アユミ・パウラ|松村エドアルド|カルピノ・オタビオ|

映画「罪の手ざわり」  監督:ジャ・ジャンクー

1-0 50
  この映画の売り文句や著名人のコメントは、映画が語る真意に、正面から向き合おうとしていない。中国当局に配慮しているのかな。

◆ 大海  40歳代 独身 山西省
  「村人たちを沈黙させる力」に抗って、言いたいことを言う男であった。  村人や親族は日ごろから、大海の行動を制したが、彼は聞かなかった。
  村の共同所有だった鉱山が、村人が知らぬ間に私企業のものになっていた。つまり国有鉱山が、民間に払い下げになったのだろう。党幹部かその親族が、真っ先に利益を得る。自家用ジェット機、高級車を所有する男。
  大海は、社長を猟銃で射殺する。

2-0.jpg◆ 小輝  20歳前後 独身 広東省広州→広東省東莞(ドングァン)・・・香港の近く
  広州の縫製工場で工員をしていた。小輝が、作業中の従業員に話しかけ、この私語の最中、相手が大けがを負う。工場は小輝に、相手の従業員の入院期間、小輝の給与はゼロと言い渡す。小輝に非は無くはないが、適正な賃金・基本的な職の保護を要求するリスクを小輝は避け、無言で工場を辞める。
  東莞(ドングァン)へ。大きな企業に勤める友人を、工場に訪ねる。広大な従業員用食堂の片隅で友人と会話。小輝は管理された職場を嫌った。結局、高級ナイトクラブにもぐり込みボーイの職を得る。
  ナイトクラブで小輝が見たものは、上層階級の男たちの歪んだ精神と、クラブで働く下層の女性たち。その女性たちのひとりに、小輝は恋をしたが・・・。小輝は、素直に理解できない社会、恋に、思いのほか疲れていた。飛び降り自殺。


3-0.jpg◆ 小玉  30歳代? 独身 湖北省宜昌(イーチャン)
  彼女の仕事は、風俗サウナの受付カウンター担当。広州の男と不倫の関係が続いているが、そろそろはっきりさせる時期が来ていた。つまり彼女は精神的に辛い時期だった。
  地元・宜昌で我が物顔の男がいた。公道を占拠し、通行料を取るといった行動を制する者はいない、そんな男。地元官僚や警察との賄賂・癒着、そんなことなんだろう。
  ある日、この男がサウナに来店。小玉を見て、札束で風俗を強要しようとする。拒み続けた小玉は、ついに男をナイフで刺殺する。

4-0.jpg◆ 周  30歳代? 既婚 重慶 (家族は妻と一人息子)
  妻や村人には、出稼ぎに出る、と言いながら、実は中国各地をバイクやバスで放浪し、強盗殺人を繰り返している。不定期に、妻に多額の仕送りをする。妻はもちろん、親・親族から、一定の距離を置く人生。妻に今度はどこへ行く?と聞かれて、ミャンマーで高性能な拳銃を入手すると言う。
  周のエピソードのラストシーン。銀行で金をおろした富裕層夫人を路上で射殺しハンドバッグを奪う。(上記3つのエピソードとは色合いが違うように思える。)

  以上、4人のエピソードで構成された映画。実際の事件をヒントに製作されたらしい。
  党幹部・賄賂などというようなキーワードは映画に出てこない。遠回しに、京劇の劇中セリフに代替されている。たぶん、中国が許すギリギリのラインなんだろう。
  話は飛ぶが、中国の市場改革派の理論的支柱とされた経済学者・コルナイ・ヤーノシュ曰く、「中国は、社会主義経済ではない。非民主的で権威主義的な一党支配体制下の資本主義経済」 らしい。
  そんな中、ジャ・ジャンクー監督は中国でもっともタブーとされるタブーに対して、疑問を呈し批判をする挑戦をしているのだろう。
  一方、映画の売り文句は、「罪を犯さずにはいられなかった人々の怒りと哀しみが胸をうつ、衝撃と慟哭の物語」・・・だ。 4人個人への思い、という事に限定し、視野をせばめて語ろうとしている。監督との温度差を感じる。

  衝撃と言えば、銃の発射音や血しぶきや小玉(チャオ・タオ)のナイフさばきが、まさにアクション映画!! パワフル?  これ、なんか違和感あるな。
下0  
  映画のチラシに、スピルバーグが「なんてパワフル!ジャ・ジャンクーの才能に敬意を表したい。」と言っているのは、ジャ・ジャンクーの挑戦を言っているのだろうか?
  映画自体は、エピソードを並べただけで、作品の出来としては、決して いい方じゃない。

オリジナル・タイトル:天注定 |A Touch of Sin|
監督:ジャ・ジャンクー|中国・日本|2013年|129分|
出演:チャオ・タオ:小玉(シャオユー)|チアン・ウー:大海(ダーハイ)|ワン・バオチャン:周(チョウ)|ルオ・ランシャン:小輝(シャオホイ)|チャン・ジャーイーヨウ:リャン|リー・モンリェン:ロン|ハン・サンミンサン:ミン|ワン・ホンウェイ:サウナ客|

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映画「BU・SU」  監督:市川準  主演:富田靖子

上

  富田靖子18歳の映画。
  高校三年生の森下麦子(富田靖子)は、東京・神楽坂の置屋に住み込みで、芸妓見習いの生活を始めた。
  田舎で心閉ざす日々を送った麦子は、大都会東京の華やかさ、芸者の夜の世界、転校先の高校生活を経験するが、そのどれもが彼女の心を重くした。
中  しかし、人影の少ない波立たない田舎とは違って、ここ東京では麦子を刺激するものは多かった。
  置屋を営む叔母は、厳しい反面、何もかもを含んで明快な態度で、時にまるで母親のように麦子に接した。叔母の娘で売れっ子の芸者・揚羽が、馴染み客と駆け落ちする大人の愛を、間近に垣間見た。そして、麦子は自身の出自、母親のかつての不倫を知ることになる。
  田舎で、母と二人して向き合うように生きて来ながら、母親とすなおに接することができなかった麦子は、自分が、幼かったことに気付き始める。しかし、東京に来ていつしか彼女は、少しずつ前を見るようになっていった。それは同時に、同級生の邦彦(高嶋政宏)との淡い恋の始まりでもあった。

  この映画、富田靖子のきれいなイメージ映像集じゃんと、言えなくもないが、いやいや存在感は十分にあります。
  富田靖子の野外ロケ場所が、東京のあちこちなので、その場所を知る者にとってはそれぞれが懐かしい。だが、あ、あそこだ、ここだと知っているだけに、何の脈略もないロケ地選択に、観る方が いささか落ち着きなくなってくる。   

下監督:市川準|1987年|95分|
脚本:内館牧子|撮影:小林達比古|
出演:森下麦子・鈴女 (富田靖子)|叔母・胡蝶(大楠道代)|叔母の娘で芸者揚羽(伊藤かずえ)|津田邦彦(高嶋政宏)|京子(藤代美奈子)|北崎(イッセー尾形)|怜子(白島靖代)|ぽん太(室井滋)|春千代(伊織祐未)|菜の花(香苗圭子)|トレーナー(輪島功一)|客(中村伸郎)|客(まけい)|麦子の母・雪乃(丘みつ子)|

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映画「闇のあとの光」  監督:カルロス・レイガダス  メキシコ映画

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  分からない事に出会うと、けなすか、ほめるかの両極に分かれるものだ。
  だが売り文句は、ほめなきゃいけない。
 
  確かに、映画冒頭のワイルドな野外シーンは幻想的で美しい。
  黒々とした異様な山影、雲と光が織りなす広い空、馬や牛の群れ、その群れを走り抜ける荒々しい犬たち、そしてたどたどしい足取りの可愛いい子供がひとり。
  あるいは映画の中ほどに出てくるシーンは海辺。勢いよく打ち寄せる大西洋の荒波、人影の無い広大な砂浜、遊ぶ子たち。こういった美しいシーンが続く。
  また、家族4人の家庭。戯れる子ども。優しい父さん母さん。こんなシーンも多い。
  つまり、幻想的な野外風景と、誰もが思わず可愛いと見とれる子どもの様子。これらのキャッチーなシーンが印象に残る。だから、この映画をほめる一因になる、のかもしれない。それと、なにやら赤い影!

  じゃ、この映画、それだけ?
  うーん、これ以外で印象に残ったシーンは?  そうそう お父さんが射殺される。
  いくつかのエピソードがあった。でも、それ以上は、思いだせない・・・。エピソード間に関連性を感じないからか、散漫な印象は拭えない。よく分かんなかったが、この難解さは傑作だからこそ なんだろう・・・か?(笑)
  万華鏡的なビジュアル・エフェクト? なんだ、陳腐なレンズフィルターじゃない。
  それにしても、映画の売り文句は力作だが、誇大妄想・自己陶酔、要するに、力み過ぎだな。その文章はこうだ。
  「雷鳴轟くマジックアワーの驚異的な大自然のイメージと、万華鏡的なビジュアルエフェクト。圧倒的な映像美でラテン・アメリカ特有の魔術的なリアリズムをスクリーンに刻んでゆく。暴力・性・依存症・家族愛・若々しい力・光に溢れた海山々・・・。闇と光が交錯する世界に身をさらし、それでも何かにすがり、愛を見つけて生きていく人間の逞しさに魂を揺さぶられる。」 ときたもんだ。作文に苦しんだあとがみえる。ご苦労様。
  日本初公開にして最高傑作とのこと。金返せ。

  映写前に、監督インタヴュー映像が流れた。この監督、溝口健二が大好きとのこと。これはうなずけた。

組0

オリジナル・タイトル:Post Tenebras Lux|
監督・脚本:カルロス・レイガダス|メキシコ・フランス・ドイツ・オランダ|2012年|115分|
撮影・アレクシス・サベ|

映画「雨月物語」  監督:溝口健二  主演:京マチ子、田中絹代、森雅之

上10 70        上2 70

  時は遠い昔、戦国時代。
組0  琵琶湖湖畔で妻と子は、作った陶器を舟に乗せ、商いに行く夫を見送った。
  商いに出た夫・源十郎は、姫の亡霊に取りつかれ極楽の夢を見るが、辛くも逃れて我に返ると、そこは焼け落ちた古い屋敷跡であった。

  市に陶器を買いに来た姫・若狭(京マチ子)の、まさにこの世の者とは思えぬ美しさに源十郎(森雅之)は驚く。この姫と年老いた乳母の二人連れは、信長に滅された一族の霊であった。
  すすきの原を越え、湖畔に立つ立派な武家屋敷に連れて行かれた源十郎は、一方的な若狭の愛を受け入れ極楽を垣間見たが、謎の修験者の助けで背中に呪文の文字を書いてもらい、命拾いすることになる。

安0  当時、ここ琵琶湖湖畔は羽柴秀吉と柴田勝家の戦場の地であった。
  源十郎を見送った妻・宮木(田中絹代)は、子・源市と共に家を守っていたが、収奪乱暴を繰り返す武士たちに、宮木は殺されてしまう。残された源市は、村人によって養われていた。
  そんなある日、我に返った源十郎はやっとの思いで妻の元に舞い戻って来た。源十郎は、久々の我が家で宮木と子と一緒に囲炉裏を囲み、心穏やかな夜を過ごした。だが翌朝、宮木の姿は消えていた。
  昨夜から居なくなった源市を探しに来た村人は、源十郎があばら屋となった家にいるのに驚いた。そして源十郎は知った。昨夜の宮木、あれは亡霊であったと・・・。

  さてさて時を戻して、源十郎が商いに出たあの日、舟には源十郎を手伝うために妻の妹夫婦・阿浜と藤兵衛が乗っていた。
  武士の戦いは、一方で市場をかき立てる。源十郎の陶器商いも勢い付いていた。農民・藤兵衛は、侍に憧れた。上昇志向でリスペクト求めて戦に加わった藤兵衛は功績をあげ立身した。しかし、家では妻・阿浜が侍たちに犯されてしまった。これを知った藤兵衛は、地位を捨て村に帰って、妻と畑仕事に精を出し始めるのであった。


舟0英文タイトル:Ugetsu Monogatari/Tales of Ugetsu|
監督:溝口健二|1953年|96分|
モチーフ(原作):上田秋成「雨月物語」より|脚本:川口松太郎、依田義賢|撮影:宮川一夫|
出演:若狭 (京マチ子)|源十郎(森雅之)|宮木(田中絹代)|右近・若狭の乳母(毛利菊枝)|宮木の妹・阿浜(水戸光子)|その夫・藤兵衛(小沢栄太郎)|丹羽方の部将(羅門光三郎)|村名主(香川良介)|古着屋の主人(上田吉二郎)|遊女(小柳圭子)|遊女(大美輝子)|遊女宿の老女(金剛麗子)|自害する武将(光岡龍三郎)|梅津の船頭(天野一郎)|武将(尾上栄五郎)|家臣(伊達三郎)|目代(横山文彦)|村の男(玉置一恵)|源市(沢村市三郎)|貝足商人(村田宏二)|




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1年前の6月、一夜一話。   2013年6月掲載記事

  • Posted by: やまなか
  • 2014-06-14 Sat 06:00:00
  • 映画
2013年06月
◆ 去年の6月掲載記事の全文を、画面スクロールしながら スルッと全部ご覧になりたい方は、
   こちらからどうぞ。   <2013年06月 Archive

◆ 掲載記事タイトル
   <日本の映画>
     「大地の子守歌」  監督:増村保造  主演:原田美枝子
     「愛怨峡 (あいえんきょう)」  監督:溝口健二
     「下町(ダウンタウン)」  監督:千葉泰樹  主演:山田五十鈴、三船敏郎
     「ハッピーフライト」  監督:矢口史靖   出演:綾瀬はるか
     「古都」  監督:中村登  主演:岩下志麻 (一人二役)
     紹介

   <外国の映画>
     「理髪店の娘」  監督:シャーロット・リム  ~ シネ・マレーシア2013★マレーシア映画の現在
紹介2
     「新世界の夜明け」・「The Collector」・「Bunohan」  マレーシア映画祭のまとめ   
     「闇からの声なき声」   難病ドキュメンタリー映画
     「出発」  監督:イエジー・スコリモフスキ
     「マイ・ブルーベリー・ナイツ」  監督:ウォン・カーウァイ
     「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」  監督:トーマス・ヤーン

   <音楽>
     イェール大学合唱団&ジュリアード音楽院古楽オーケストラ演奏会  指揮:鈴木雅明
       「J.S.バッハ ロ短調ミサ曲 BWV232」  

     映画「メイク・イット・ファンキー」   ニューオリンズの音楽ドキュメンタリー映画

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 一夜一話の中からテーマに沿って、お薦め映画をピックアップしています。
第1弾:「子供が主演の映画は、視点がピュア。」      第2弾:「やはり、大人の映画ってある。」

第3弾:「人生なんて、そうそう うまく行かないワケよ。」   第4弾:「女が、自分の道を歩む時」

第5弾:「関西の映画です。」                   第6弾:「自分を探す旅 (邦画編 その1)」

第7弾:「自分を探す旅 (邦画編 その2)」          第8弾:「イギリスの映画をちょっと。」

第9弾:「静かな映画  邦画編」                第10弾:「静かな映画  洋画編」

第11弾:「実話の映画 邦画編」                 第12弾:「娯楽な映画 洋画編」 

その7
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映画「新装開店」  監督:キム・ソンホン

上170                 上270

  とても濃厚な韓国風ドタバタ喜劇。 泥臭く、垢抜けしない、お馬鹿なソウルフード・ムービーです。
  アクが強いので、ご用心。

組00  ここは、韓国のどこか、土ぼこり舞う田舎町。
  申し訳程度の商店街には、最低限の店しかない。
  飲食店は、たったひとつ、くたびれた様子の店・中華楼。地場の、毎度のお客と、出前で、なんとか営んでいる。
 
  ある日、事件が起きた。
  とにかく、すごく美味しいチャジャンミョン(韓国風ジャージャー麺)の店・阿房宮が新装開店したのです。
  それも、こともあろうに中華楼の、道を挟んで真向いに! 開店した。
  不意打ちの開店。挨拶もない。だが、美味い評判は、町中を駆け巡り、人は阿房宮に押しかける。うまい!

  中華楼の店主・ワン社長は、怒り心頭だが、気が気じゃない。店のコックを阿房宮へ試食に行かせたが、感動の涙で帰って来た。意を決して、社長も食ってみた。「うまい!」 だが、口の中で、なにやら大きな異物が・・・。吐き出してみると、それは、ナント、人の指であった!

組0  社長はじめ、中華楼の面々は考えた。飛びぬけた、あの美味さの秘密は、人肉じゃないか?
  そういえば、向かいの阿房宮のやつらは、いつも黒づくめの服に、ニヒルな表情。そして毎夜、夜中に密かに店を出入りしている。とても怪しい。  そんなことで、林の中にある阿房宮のやつらの隠れ家を発見するに至る。
  かつ、中華楼の3人は急きょ、人肉ハンターと化し、店の繁栄を目指すのであったが・・・。 その頃、時を同じくして、この町で殺人事件が起きて、警察が慌ただしい動きをみせていた。結局、3人は阿房宮のやつらと警察に追われることになるのだが。あとは観てのお楽しみ。

下監督・原案:キム・ソンホン|韓国|1999年|100分|
脚本:ナム・グンギュン|撮影:ソン・グァンジェ|
出演:キム・スンウ(中華楼ワン社長)|チン・ヒギョン(その妻)|パク・サンミョン(コック)|イ・ボムス(出前担当パルボン)|キム・ヨンホ(阿房宮ホン社長)|キム・ソンギョン(その妻)|ペク・チェジン(イルド)|ソン・スンヒョン(ミョリョン)|キム・セジュン(野菜商人)|コン・ヒョンジン(キム巡査)|



中000
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映画「地獄」  監督:中川信夫   1960年

上       上3 1

組0  ま、少なくとも、真昼間から観る映画じゃない。
  登場人物が次々に死んでいく。ストーリーはおそろしく単純。全員が地獄へと なだれ込む。そんな話。
  演技やストーリーで観る映画ではない。そして、とて~も チープ! 観ない方がいい。

中上  田村という得体の知れない、ねっとり嫌な雰囲気の男が、大学生の清水(天知茂)に付きまとっていた。
  清水が同乗し、田村が運転する車は、やくざの男を轢き殺した。ここから、清水の周辺で人が次々と死んでいく。事故死、過失致死、殺人と・・・。 
  清水と婚約者の幸子(三ツ矢歌子)が乗ったタクシーが街路樹に激突し幸子が死んだ。清水の母親が田舎の実家で病死。

  田村の車に轢き殺された男の母親は、あの現場を目撃していた。車のナンバーと清水の顔を見られていた。この母親とその娘は執念で清水を探し求め、ついに清水の実家にたどり着く。清水は、母親の葬儀で実家に帰っていた。
中
  近所に深い渓谷があって吊り橋がかかっている。その橋の上にいる清水に、娘は拳銃を向けたが、ふたりは もみ合い、娘が吊り橋から転落死。さらには、その一部始終を見ていた田村が、吊り橋上で清水と押し問答の末に、これまた田村が転落死。だが、この男、死んでも、このあと清水に付きまとう。


中000  清水の実家は、天上園という老朽化した薄暗い養老施設を開いている。老人たちが大勢、ここに住んでいる。さらには、なにやら、ここに出入りする人々は、一応に怪しい過去を持つ人物ばかりだ。
  すでに死んだはずの、清水の婚約者・幸子そっくりな女性までいる。清水の父親は、田舎芸者風の色っぽい二号を家に引き込んでいる。怪しい新聞記者・変な刑事・地獄絵画家などなど、実家の中を我が物顔。

  養老施設では、また一人の老人が息を引き取ろうとしている。そんな中、車に轢き殺された男の母親が、天上園に紛れ込み、酔っぱらっていた清水の首を絞める。極めつけは、養老施設の老人たちが全員、毒物を含む魚で中毒死してしまう・・・ああ。
  そんなことで、みんなあの世へ行く。行かないと、次が始まらない、そういう趣向。

  地獄では、閻魔大王(嵐寛寿郎)の裁きが待っていた。
  これまでに死んだ登場人物の過去が暴かれ、刑が行われていく。
  清水の婚約者・幸子のお腹には、赤ちゃんがいた。幸子の母親は、清水の母でもあった。そんなことが地獄の世界で明るみになって行く。
  もがき苦しむ人の群れや、地獄の広大な様子が、スぺクタルに展開します。
  地獄の、めくるめく怖~い世界を、どうぞ怖がらずに楽しんでください。
  要するに、カルトな喜劇です。地獄観光できます。

監督:中川信夫|1960年|100分|
脚本:中川信夫 、 宮川一郎|撮影:森田守|
出演:清水四郎(天知茂 1931-1985年)|田村(沼田曜一 1924-2006年)|婚約者・矢島幸子、谷口サチ子 二役(三ツ矢歌子 1936‐2004年)|矢島教授(中村虎彦)|妻芙美 (宮田文子)|清水剛造(林寛)|妻イト(徳大寺君枝)|妾絹子(山下明子)|谷口円斎 (友純)|草間医師(大谷友彦)|赤川記者(宮浩一)|針谷刑事(新宮寺寛)|志賀恭一(泉田洋志)|母やす(津路清子)|情婦洋子(小野彰子)|刺青の老人(石川冷)|漁師 (山川朔太郎)|閻魔大王(嵐寛寿郎)|

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映画「時計じかけのオレンジ」  監督:スタンリー・キューブリック

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  原作が1962年、映画が1971年。当時としては、衝撃的だったんだろう。
  そもそもが、お上品なテーブルの上で構築された お話だから、それゆえに今の眼で観ると、なんとも可愛らしい。

組0  ロンドンに住む、中流のいい家の子・アレックス15歳と、彼の手下3人の男の子たちのワル・グループ。時は、そんなに遠くないイギリスの未来の話らしい。
  舞台はロンドン郊外、敵対するグループとの縄張り争い、婦女暴行、ホームレス殺し、窃盗、仲間割れ。そして、アレックスは金持ちのおばさんを殺し、刑務所行き。

中0  ナチス的な雰囲気の刑務所で、アレックスは好色な視線を浴びながら、模範的いい子であった。
  ここから話は大きく展開するが、アレックスは残る刑期と引き換えに、ある実験モルモットになることを志願する。特別な薬剤を注射された後に、まぶたを閉じることが出来ぬ状態で、暴行のシーン、強姦のシーン、ナチスドイツ軍パレードを長時間、何回も見せられる。結果、彼が乱暴しようとすると、吐き気がして乱暴できない、そういう精神状態を作り出す実験であった。実験は成功し、時の政府は刑務所に服役中の犯罪者たちに対して、この療法を実施し全員を出所させ、替わりに空いた刑務所を政治犯収容に当てる計画。  この療法の成功はマスコミを賑わし、政治家や反政府な人々までもが、アレックスを大いに利用した。
  出所したアレックスは、ホームシックな気持ちで自宅に帰ったが、彼の居場所はすでに無かった。さらに、彼を待ち構えていたかのように、かつての手下やホームレスから仕返しを食らう。悲観したアレックスはついに、窓から飛び降りるのであったが・・・。
  反ユートピアを描いている映画だが、銃が出てこないことは、いいことだ。
  先がとがった物がダメな、先端恐怖症の方には、痛い映画!

下70オリジナル・タイトル:A Clockwork Orange|
監督・脚本:スタンリー・キューブリック|アメリカ|1971年|136分|
原作:アンソニー・バージェス|撮影:ジョン・オルコット|
出演:アレックス:マルコム・マクダウェル|ディム:ウォーレン・クラーク|ジョージー:ジェームズ・マーカス|ホームレス老人:ポール・ファレル|ビリー・ボーイ:リチャード・コンノート|ミスター・フランク:パトリック・マギー|ミセス・アレクサンダー:エイドリアン・コリ|キャットレディ:ミリアム・カーリン|デルトイド:オーブリー・モリス|トム:スティーヴン・バーコフ|バーンズ看守長:マイケル・ベイツ|刑務所の牧師:ゴッドフリー・クイグリー|女医:マッジ・ライアン|下0 80

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映画「凶気の桜」  監督:薗田賢次

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組0
  舞台は東京、渋谷。
  この街で生まれ育った主人公・山口(窪塚洋介)は、仲間2人(RIKIYA、須藤元気)と結社をつくり、渋谷の街でチャラチャラする輩を掃除する。強い!逃げ足速い。

右  これを面白がる組の会長・青田(原田芳雄)と、野心を持つ組頭や、殺しのプロ・消し屋三郎(江口洋介)たち、対抗するヤクザ交え、山口たちは、裏の大人の世界に染まりながらも、渋谷の街を疾走し、それぞれに自分たちの道を選んでいく。そして・・・。

  スタンリー・キューブリックの「時計じかけのオレンジ」を相当に意識している映画だ。


監督:薗田賢次|2002年|122分|
原作:ヒキタクニオ|脚色:丸山昇一|撮影:仙元誠三 、 佐光朗|
出演:山口進:窪塚洋介|市川勝也:RIKIYA|小菅信也:須藤元気|青田修三:原田芳雄|“消し屋”三郎:江口洋介|藤原宏:麿赤兒|木村玉緒:山口美也子|遠山景子:高橋マリ子|兵頭秀次:本田博太郎|
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  • Posted by: やまなか
  • 2014-06-23 Mon 16:03:42
  • 映画
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映画「ハーダー・ゼイ・カム」  監督:ペリー・ヘンゼル  主演:ジミー・クリフ  ジャマイカ映画

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  ジャマイカのレゲエ映画。
  シンガーになりたくて、バスに乗ってキングストンの街に出てきた男・アイヴァン(ジミー・クリフ)。
組0  歌には自信があった。ラジオから流れるレゲエを毎日聴いて、有名になる夢を抱き、自作曲をたずさえて田舎を後にした。とは言え、そう簡単にチャンスはないことは分かっていた。だが、手に職がないアイヴァンは、この街で仕事はなかった。

中0  一方、キングストンでは、レゲエが音楽業界の繁栄を牽引し始めていた。つまり、ある音楽プロデューサーのもとで、無名ミュージシャンを発掘しデビューさせるレコード会社、その曲を流すラジオ局、そしてレコード販売店と、連携したビジネスが成り立ち始めていた。
  ある日、やっと歌を聴いてもらえるチャンスを得てアイヴァンは喜んだが、歌い終わって、その契約はたったの20ドル。ごねたアイヴァンは、プロデューサーに嫌われた。それは、彼の曲をラジオ局で流さないということでもあった。

  かつて夢持ってキングストンに移り住んだ人々の多くは、スラム街にいた。広大なゴミ捨て場は、彼らの生活の糧になっていた。そんなスラムの中にある教会でアイヴァンは、スラムの人々とともに救いを信じてゴスペルを歌う日々であった。
  アイヴァンは、金が欲しかった。ある男の誘いで、大麻ビジネスで稼ぐ裏の社会で働き始めた。だが、稼いだ金はボスに吸い取られてしまう。キングストンでは、音楽業界も裏社会も、しょせん、一強の世界であった。  アイヴァンはこれに抗った。

  ちょうどその頃、アイヴァンの曲「ハーダー・ゼイ・カム」が、ジャマイカでヒットし出した。そして、一強に抵抗する彼の行動は英雄視される。アイヴァンは舞い上がった。怖いものはないと。だが、警察はすでに動き始めていた。


  映画は1972年の製作だが、日本で公開されたのは、ずっとのちだった。(1978年)
  つまり1978年までに、レゲエ・ミュージックは日本でも ひととおりヒットし、年月は経っていた。でも、映画冒頭の、バスが向かって来るあのシーンで、心が弾んだことを覚えている。そして中野サンプラザでのジミー・クリフのライブも楽しかった。
  時代的には、このあと、ポピュラーミュージックの、その軌跡は大きくカーブして行った。

オリジナル・タイトル:The Harder They Come
監督:ペリー・ヘンゼル|ジャマイカ|1972年|104分|
脚本:ペリー・ヘンゼル、トレバー・ローヌ|撮影:ピーター・ジェソップ、デビッド・マクドナルド、フランクリン・セント・ジャステ|
出演:ジミー・クリフ:アイヴァン|ジャネット・バートレー:エルザ|カール・ブラッドショー:ホセ|ラス・ダニエル・ハートマン:ペドロ|ボビー・チャールストン:ヒルトン|ウィンストン・ストナ:刑事|プリンス・バスター:レコード店のDJ|ドン・ドッピング:ラジオ局のDJ|下

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映画「レイチェルの結婚」  監督:ジョナサン・デミ

上
レイチェルの妹・キム

  ある姉妹の話。
  姉・レイチェルは、自身の結婚式準備に追われていた。
組1-0  米国東部・コネティカット州にある彼女の実家・バックマン家は裕福だ。家は大きい、庭は緑豊かでとても広い。
  レイチェルは、この家で、その何もかも手作りの、心こもったおもてなし、納得のいく結婚式&パーティをしようと、新郎・シドニーと共に、挙式の方法や、ウエディングドレスやケーキ、料理や余興のコンサートに至るまで、アイディアを出し合い、親しい人達の助けを得て、今日まで楽しく計画を練って来た。さあ、その日は、あさって。
  料理の準備、屋外の設営やらに余念のない友人たちが、家や庭のあちこちにいる。父親・ポールも、後妻のキャロルも、なにかと手伝いをしている。
  庭に、白い大きなテントが立ち上がった。ここでライブコンサートが行われる。新郎・シドニーは音楽業界の人らしい。親しいプロのミュージシャンがたくさん来ている。レゲエ、サンバ、ロック、ソウル、フリージャズ、ヒップホップ、クレズマーと音楽のジャンルは多彩で、どれもすごくセンスがいいサウンド。バックマン家は、エスニックでカラフルな色合いに染まり始めていた。

組2-1  そんな、家中の大わらわをかいくぐって、両親は車を走らせ、娘のキムを迎えに行く。
  キムはレイチェルの妹だ。 迎えに行く先は、依存症・回復施設。一時帰宅の許可を得てキムは、実に久々に実家に帰って来た。

  たぶん、あの頃、キムは16歳だったんだろう。(映画は多くを語らない)  
  その日キムは、年が離れた弟・イーサンを車に乗せ、ふたりだけでドライブに出た。キムは麻薬でラリッていた。運転を誤り、車が川に落ち、チャイルドシートのイーサンは溺死してしまった。事件は当時大きなニュースとなって、街の人々の記憶に残った。
  そののち、キムの依存症はエスカレートしたんだろう。家はゴタゴタが絶えなかった。父親とうまくいかなくなった母親が、家を出て行った。残された父親は、キムの扱いに手こずり続けた。姉のレイチェルも、キムには手を焼いた。そして、どうかすると、父親の愛情がキムひとりへ注がれているように、感じ始めたレイチェル。だが賢明なレイチェルは、その感情を表にしなかった。
  一方キムは、精神的にどん底にいて何もかも振り乱していたが、でも、時々は本来の繊細なキムでもあった。彼女は姉のそれを感じていた。感じていたが、感じた分だけ反作用して、キムは自己中心の女王様的態度を父親の前でする。父親はさらにキムに対して、そして、レイチェルはさらに・・・。父娘3人の、そんなマイナス・スパイラルの末に、キムは依存症・回復施設に入ったのだった。(以上のことは映画の途中で徐々に分かってくる。)
組3-0
  姉妹の久々の再会。
  ふたりは、すなおに嬉しかったが、同時にどう接すればいいか、互いに手探りであった。キムは知らない人々が家に大勢いることで、すでに心を硬くしていた。タバコを離せない。
組5-00  結婚式の前々夜祭として、身内のパーティが始まった。総勢30人ほどもいる。新郎の家族や親戚も来ている。新郎新婦の友人に父親の友人もいる。順繰りに出席者のスピーチが始まる。父親の親友が、ついイーサンの名を口にした。急に顔色が変わったキム、レイチェル、父親・・・。(このスピーチ場面で映画は、新郎新婦や両家の人々の、これまでの様子や社会的地位を描写、紹介している。このシーンを理解しないと映画の奥行きが見えてこない) 

  そのさなか、実の母親アビーが夫とともに、予定より一日早く、突然に現れた。ウソ!と喜び、母に駆け寄る姉妹、それとは対照的に急に立ち上がって身構える父親と後妻。だが、場の緊張は、みなの祝福の雰囲気にかき消される。
  スピーチが、キムの番に来た。その内容に、レイチェルはむかついた。あたしが作り上げた、あたしの結婚式よ。何よ、あんたの相変らずの自己中なスピーチ。パーティを壊さないで。
  たぶん、イーサン事件以前から、明るく行動的で頭のいい姉と、劣等感に苛まれる妹という構図があったと想像できる。

  翌朝、つまり式の前日は、大変なことが起こる。
  姉妹がそろって美容院に行く。そこでキムは、依存症・回復施設で一緒だった男に偶然遭遇。レイチェルがその場にいるとは知らずに、その男は当時キムから聞いた「レイチェルについての話(※)」をし出した。それは明らかに、姉の真実ではなかった。憤慨するレイチェル。
  キムは美容院を飛び出し、姉が運転してきた車に飛び乗り、何処へ行くでもなく猛スピードで走り去った。そして事故。
  車は林に突っ込んで止まったが、キムは警察官に起こされるまで車内で寝込んでいた。


組4-1  事故で顔にアザを作って帰宅したキムを、温かく迎えたのはレイチェルであった。
  その夜、実の母アビーとキムが激しく言い争った。それは、亡くした弟・イーサンのことであった。「なぜ、あの日、イーサンを私に任せたの?」というキムの、母への問いから始まった。 

  そして、挙式当日。
  家は招待客であふれ、たくさんの祝福のもと、式とパーティは計画通りに、盛大にとり行われた。そして朝から深夜まで途絶えることなく、次々に多彩なサウンドが家と庭を包み、みなダンスに興じた。
  夕方に実の母夫婦が、別れを告げた。翌朝、誰も起きてこない早朝に、依存症回復施設から迎えの車が来て、キムが去ろうとしていた。朝日の中、ただひとり、レイチェルがキムを抱きしめていた。中


  いい映画。大人の映画。キムの、3泊4日の物語。
  多くの人々の感情が重なり合う話を、うまく描き分けている。
  この作品に関心ある方は、下記のも、お薦めです。
  ※キムはウソをついていない、かもしれない。何年も精神カウンセリングを受けるうちに、患者の心のなかで、事実でないことが、いつのまにか「事実の記憶」となってしまう事があるらしい。 「バグる脳」 ディーン・ブオノマーノ著・河出書房新社・2012年

新郎の母と、姉妹の実母・アビー
下1-000

オリジナル・タイトル:Rachel Getting Married
監督:ジョナサン・デミ|アメリカ|2008年|112分|
脚本:ジェニー・ルメット|撮影:デクラン・クイン|
出演:キム:アン・ハサウェイ|姉・レイチェル:ローズマリー・デウィット|父親・ポール:ビル・アーウィン|実の母親:アビー:デブラ・ウィンガー|姉の夫になる男・シドニー:トゥンデ・アデビンペ|後妻:キャロル:アンナ・ディーヴァー・スミス|




お薦め映画  ~ やっかいな娘たち   一夜一話 掲載映画から Pickup

その1          その2
「17歳のカルテ」                       「この森で、天使はバスを降りた」
その3       その4        その5
「エイプリルの七面鳥」        「ゴーストワールド」         「明るい瞳」

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気になる映画 40

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「GF * BF」                              「浮城」
台湾 監督:ヤン・ヤーチェ                    香港 監督:イム・ホー       
6/7~ シネマ六本木/心斎橋                 6/21~ シネマ六本木/心斎橋

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「収容病棟」 前篇・後編                     ソヴィエト・フィルム・クラシックス  30作品
中国 監督:ワン・ビン                       主催:アテネ・フランセ、ユーロスペース
6月 イメージ・フォーラム                     終わってしまってました。

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オスカー・ミショー   アメリカン・インディペンデント
「我らが門の内にて」、「神の継子たち」
監督:オスカー・ミショー    8/24  映画美学校試写室
主催:アテネ・フランセ

2年前の6月、一夜一話。   2012年6月 掲載記事

  • Posted by: やまなか
  • 2014-06-30 Mon 06:00:19
  • 映画
◆ 去年6月掲載の記事全文を、スクロールしながら ご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 <2012年06月 Archive

◆ 掲載記事タイトル
 <日本の映画>
「ガス人間第一号」  監督:本多猪四郎  出演:八千草薫
「東京物語」  監督:小津安二郎  出演:原節子
ごーやー「ゴーヤーちゃんぷるー」  監督:松島哲也  主演:多部未華子、武田航平 (→)
「祇園の姉妹」  監督:溝口健二 主演:山田五十鈴
「今宵ひと夜を」   監督:千葉泰樹  主演:八千草薫
「海ほおずき The Breath」 監督:林海象 出演:唐十郎 、原田芳雄

 <外国の映画>
アニー「アニー・ホール」  監督:ウディ・アレン  出演:ダイアン・キートン (→)
「PARIS (パリ)」  監督:セドリック・クラピッシュ
「5時から7時までのクレオ」  監督:アニエス・ヴァルダ
「中国娘」  監督:グオ・シャオルー
「ロードキル」  監督:ブルース・マクドナルド
「恋する惑星」   監督:ウォン・カーウァイ
「ボルベール<帰郷>」  監督:ペドロ・アルモドバル
「レポマン」  監督:アレックス・コックス

 <音楽>
コンサート「細川俊夫の音楽」 コンポージアム2012 東京オペラシティの同時代音楽企画

Index of all entries

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プロフィール

やまなか

Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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