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2017年09月 Archive

映画「カフェ・ブダペスト」 ハンガリー映画 監督:フェテケ・イボヤ

上
歌とギターのユーラと、サックス吹きのワジム。ブダペストの街角にて。

1-0_20170901122232caf.png
 時は1990年、ソ連崩壊(1991年)の前年。
 祖国ソ連を離れ、開かれた東欧ハンガリーへと旅立ったロシア人の男たちの物語。

  映画冒頭のナレーションより…(本作は1995年製作)
  当時の気分を語るのは難しい。あり得ないことが突如 起きたのだ。
  ハンガリーが西側に扉を開いたのを契機に、すべてが急速に進行した。
  東欧が幸福に酔ったあの日々、忘れ得ぬ時代。
  そしてついにハンガリーからソ連軍撤退。
  (ところが)今度は別のロシア人がやって来た。西側を目指し、その入り口、ハンガリーに人々が押し寄せたのだ。
 (下記|1989年の出来事)
 
 2人のロシア人ミュージシャン、歌とギターのユーラと、サックス吹きのワジムが、ハンガリーのブダペストへたどり着く。(※※下記|2人の経路)

2‐0 (ユーラが歌う)
  ♪さあ 旅立とう 歌を道連れに
  ステンカ・ラージンは もう十分歌われた
  新時代の俺たちは そんなの歌わない。
  直立不動で大声で 一体何を歌ってる
  共産主義の歌なんて もう うんざり …
 (ユーラ役の俳優は、ロシア出身のシンガーソングライター)

 機械工をしていた若いロシア人のセルゲイも、西側諸国を目指して、まずはブダペストにたどり着く。
 このようにして当時、既にブダペストには、祖国ソ連を脱出した人々の他に、少々危ない商売をする出稼ぎ組や、自身の人生を捨てた破滅型の放浪人など、様々なロシア人たちが滞留していた。
 また、そんなロシア人を相手に宿を提供するブダペストの人、フリーマーケットでロシア人を鴨にする人など、様々なハンガリー人がいた。
 加えて、東方諸国の解放とソ連国内の混乱に乗じて、ロシア系犯罪組織がブダペストへも進出して来て、表のフリーマーケットや裏のヤミ市で、恐喝とブローカーの動きを見せ始めていた。

下


 一方、こんな東欧に対し、冒険心とある種のロマンを抱いてブダペストに来る西側の人々もいて、映画は2人の女性を登場させて、恋を語り物語を彩る。
 それはイギリス人のマギーと、アメリカ人のスーザンだ。
 ひょうきんで明るいユーラはマギーと出会い、サックスのメロディがかっこいいワジムはスーザンと出会う。
 真面目な青年セルゲイは、泊まった宿のハンガリー人の女将(年上の独身女性)の世話になる。



 この映画、誰が主人公かと言えば、ユーラが歌うメロディとその歌詞だろう。
 ユーラ役のロシア出身のシンガーソングライター、ユーリ・フォミチェフという人の歌が、映画の各所で流れる。これが素晴らしい。
 ロシア由来かな、独特のうら悲しさと、その反面の楽しさを合わせ持つ音楽だ。西側のブルース音楽の領域とは別世界。

 映画は、当時のブダペストを活写し、時代の変わり目を、重くせずにすっきりと饒舌に語っている。いい映画だ。  

 このお話の時代のあと、ロシアは西側諸国と共に生きていくはずだったが、いつの間にかプーチンの国となっている。
 また、東欧の人々は職を求めて西側に移って行く。東欧諸国も我先にEUに加盟した。そして今、今度はEU離脱を考えている国がある。
1989年の東欧の出来事
 1989年5月2日 - ハンガリー政府がオーストリアとの国境にある鉄条網の撤去に着手。鉄のカーテンが破られる。
 同年6月 - ポーランドで、自由選挙実施。非労働党政党「連帯」が上院過半数を占める。東欧革命のさきがけ。
 同年8月19日 - ハンガリーで汎ヨーロッパ・ピクニックが開催、約600人の東ドイツ市民がオーストリア経由で西ドイツへ亡命。
 同年10月7日 - ハンガリー社会主義労働者党、ハンガリー社会党への改組を決定し、一党独裁政党としての歴史に終止符を打つ。
 同年10月17日 - 東ドイツで強権的な政治を行っていたエーリッヒ・ホーネッカー・ドイツ社会主義統一党書記長の書記長解任が党政治局で決議され、ホーネッカーが失脚。
 同年11月9日 - 東ドイツがベルリンの壁の通行を自由化。
 同年11月10日 - ベルリンの壁崩壊。
        ブルガリアで共産党書記長のトドル・ジフコフが失脚。これを機にブルガリアでも民主化が始まる。
 同年11月24日 - チェコスロバキアビロード革命。共産党政権が崩壊。
 同年12月1日 - 東ドイツで憲法が改正され、ドイツ社会主義統一党(SED)による国家の指導条項が削除される。SEDの一党独裁制が終焉。
 同年12月22日 - ルーマニアのニコラエ・チャウシェスク政権崩壊(ルーマニア革命)。

3-1_20170901123010e01.png※※2人の経路
 時は1990年。ユーラとワジムは、ロシア人バンドのメンバーで、ユーゴで行われるコンサート会場へ、バンド専用バスで向かっていた。このバンドのバスの経路に注目。
 当初、ソ連・ハンガリー国境に到着するが、検問で拒否され越境できず迂回することになる。
 まずはソ連・チェコ国境を通過、次にチェコ・ハンガリー国境を通過し、ハンガリー・ユーゴ国境を越えようとした。(リアルな描写)
 ところがここで、2人はバスを降り、バンド仲間から分かれてブダペストにたどり着く。
オリジナルタイトル:BOLSE VITA|
監督・脚本:フェテケ・イボヤ|ハンガリー、ドイツ|1995年|101分|
撮影:サライ・アンドラーシュ|
出演:ギター弾きのユーラ(ユーリ・フォミチェフ)|サックス吹きのワジム(イーゴリ・チェルニエヴィッチ)|機械工のセルゲイ(アレクセイ・セレブリャコフ)|イギリス女性・マギー(ヘレン・バクセンデール)|米国人女性・スーザン(キャロリン・リンケ)|外人向けの宿の女将・エルジ(マール・アーグネシュ)|ほか

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美術展「ピカソとシャガール 愛と平和の讃歌」 ポーラ美術館開館15周年記念展 2017年3月18日~9月24日

上2

 「破壊する画家」ピカソと「語る画家」シャガール。
 世界初の2人展。紡ぎ出される愛と平和へのメッセージ。
 これがこの展覧会のキャッチフレーズ。

 無性に油絵が見たくなる時がある。
 ストレートに「本物」が見たい。
 霧が流れるポーラ美術館(箱根)へ行ってきた。
 絵画の展示点数が多く、どれも良くて、大満足。

 その中でも、持って帰りたかった作品。
 シャガールの「婚約者達」の大きな絵と、ピカソの「坐る女」の小さな絵。

 これは持ち帰るには大きすぎるが、ピカソの「ミノタウロマキア」とシャガールの「平和」も印象に残った。
 どちらも巨大なタペストリー作品。(画家が元絵を描き、タペストリー作家が制作した作品)

 驚いたこと。展示の多くが、ポーラ美術館自身が持っている作品だった。いいの持ってるね。



写真
「婚約者達」(1930年制作 148×89cm)
写真
「坐る女」(1921年制作 33×24cm)


映画「ヴィンセントが教えてくれたこと」 監督:セオドア・メルフィ

上


1-0_201709061020036f5.jpg 70歳の頑固ジジイと、12歳の孤独な少年のお話。
 この映画、若い方には少年モノ映画に観えるかも知れないが、年配にはいささかビターな喜劇映画に観えるかも知れない。 

 頑固で人の話を聞かない人嫌いなジジイ、ヴィンセント(ビル・マーレイ)は、二十歳代の頃にはベトナム戦線を経験した世代。
 今は、白人中産階級(中の下)が住む住宅街の中の、小さな一軒家で一人暮らしだ。(子はいないようだ)

 ヴィンセントの楽しみは、安酒とタバコとTVそして、行きつけの店の踊り子・ダカと時々の有料セックス。
 暮らしは決して豊かじゃない、いや苦しい。無職の上に、自宅を抵当に入れての生活資金は底をつき、借りちゃいけない所から金を借りている。
 彼のお金はどこへ消えるのか? それは、今も最愛の妻サンディを預けている上等な介護施設。妻は重度の認知症なのだ。そして、この施設への払いが滞っている。

 そんなある日、ヴィンセントの隣家にマギーとその1人息子オリバーが越してきた。
 マギーは病院のMRI検査技師。夫は弁護士だが、この夫の度重なる浮気が原因で夫婦関係は破たん、今、オリバーの親権をめぐって離婚調停中。子供の奪い合いを避け、マギーはオリバーを連れて越してきた。(子は養子らしい)

 オリバーは12歳にしちゃ小柄。転校生への学内いじめ、母親の長時間勤務やらで、オリバーは一人ぼっち。
 「結果的に」これを救ったのが、人嫌いな隣人ヴィンセント。いいウチの子に育ったひ弱なオリバーは、おやじの塊みたいなジジイに世間を教わることになる。(競馬場、バー、娼婦、ケンカの仕方、悪い言葉など)

 これは、ヴィンセントから見れば、転がり込んで来たベビーシッターという時給稼ぎだった。
 マギーから見ればヴィンセントは、隣家のベビーシッターで便利な反面、ウチの子をワルに染め上げるジジイ。
 オリバーにとっては、初めは近寄りがたい偏屈ジジイだったが、いつの間にか仲良くなり、最後には「St.VINCENT」と褒め称える。

 話は、脳溢血によるヴィンセントの緊急入院・リハビリや、妻のいる介護施設からの料金不払いによる退去勧告や妻の死、オリバーの親権騒動の結末、踊り子のダカの嬉しい出産などのエピソードが絡んで行く。

 オリバーが学内発表で、ヴィンセントを聖人と褒めるシーンは、あまりにもアメリカ映画的感動シーンに仕立て上げられていて白けるが、これは、映画の結末のヴィンセントのうら悲しい境遇を考えると、プラスマイナスのバランスをとっての配慮とみておこう。
オリジナルタイトル:St.VINCENT|
監督・脚本:セオドア・メルフィ|アメリカ|2014年|102分|
撮影:ジョン・リンドレイ
出演:ヴィンセント(ビル・マーレイ)|オリバー(ジェイデン・リーベラー)|その母親マギー(メリッサ・マッカーシー)|ヴィンセントの有料彼女・ダカ(ナオミ・ワッツ)|ヴィンセントの妻サンディ(ドナ・ミッチェル)|ほか

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映画「青いドレスの女」 監督:カール・フランクリン

上
 映画冒頭は、こんなイラストと、T-ボーン・ウォーカーの歌うブルースで始まる。


1-0_201709071744482a8.jpg 原作は推理小説。(黒人の私立探偵小説「イージー・ローリンズ」シリーズの第1作を映画化)
 最近は少なくなってしまった、黒人が主体の映画。(1995年制作)

 時代は1948年、場所はロサンゼルス。
 黒人差別は当然の時代。(公民権運動が本格的に動き出すのは1950年代半ば頃から)

 第二次世界大戦で欧州戦線(黒人部隊)を経験した主人公の黒人青年イージーは、戦後、兵役経験を活かし機械工として造船所や航空機メンテ工場で働いていた。
 イージーは真面目な青年だ。勤め先では社員として勤務。それ故に、黒人ではあるが一定の社会的信頼を得ていた。
 つまり住宅ローンが組めて、(黒人だけの)戸建住宅街に一軒家を持ち、粋な車も持っていた。優雅な独身生活であった。

 しかし、突然の解雇。職探しを始めるが、まともな勤め先がみつからない。ローン返済が滞る。
 そんな折、行きつけのバーのあるじジョッピーから、オルブライトという怪しげな白人の男を紹介される。
 オルブライトはイージーに、ある白人女を探してほしいと札束をちらつかせる。切羽詰まっていたイージーはこの話に乗った。

 話は、市長選挙が絡む。
 ロスの富豪トッド・カーターと、対抗馬のマシュー・テレルという二人の白人が立候補を表明していた。
 ところがカーターは突然、自ら立候補を取り下げた。
 カーターが愛し婚約者となった女性に、「ある問題」があることが発覚し、彼の周囲はカーターに婚約破棄を迫った。その結果、カーターは出馬の意欲も無くなり、失意に沈んでしまったのだった。
 一方のマシュー・テレルは押しの強い男だが、密かなある弱点を持っていた。
  
 イージーは、白人女探しに、市長選挙が絡むこんな背景があるとは知る由も無かった。
 いざイージーが動き始めると、彼の行く先々で殺人現場に遭遇する。警察に連行される。
 そして、彼が探す白人女性、(青いドレスの女)ダフネがイージーの前に現れた。
 彼女はマシュー・テレルの弱みを握っているらしい・・なぜ。
 イージーが足で知り得た事柄が、次の謎を解き明かすことになり、イージーの身の危険は増していく。
 そもそも、カーターの婚約者の「ある問題」とは何?、婚約者は誰?、マシュー・テレルの弱みとは?
 
 昨今のアメリカをみていると、こんな黒人主体の映画はもう製作されないかもしれない。

 総じて、描き切れていない大雑把さのある映画だが、娯楽映画ですからね。
 でも挿入音楽がいいです。
 映画冒頭、のっけからT-ボーンのブルースが流れて、私はノックアウト。
 この映画に取りあげられた主なミュージシャンは、往年のモダンブルースシンガーのT-ボーン・ウォーカー、ピー・ウィー・クレイトンや、ビッグバンドをバックにして歌うジャンプブルースシンガーのジミー・ウィザースプーン、ロイ・ブラウンなどなど、そしてデューク・エリントンも。
 サウンドトラック情報:http://www.allmusic.com/album/devil-in-a-blue-dress-sony-mw0000176104

オリジナルタイトル:Devil in a Blue Dress|
監督・脚本:カール・フランクリン|アメリカ|1995年|102分|
原作:ウォルター・モズレイ|撮影:タク・フジモト|
出演:イージーこと、エゼキエル・ローリンズ(デンゼル・ワシントン)|青いドレスの女・ダフネ・モネ(ジェニファー・ビールス)|イージーの親友で殺人が得意なケンカの助っ人・マウス・アレクサンダー(ドン・チードル)|バーのオヤジでイージーの友人・ジョッピー(メル・ウィンクラー)|ロス一番の富豪の白人、ダフネを愛するトッド・カーター(テリー・キニー)|カーターと市長選挙を争う白人、他人に言えない秘密を持つ男マシュー・テレル(モーリー・チェイキン)|ジョッピーがイージーに紹介した白人でマシュー・テレルに雇われる男ドウィット・オルブライト(トム・サイズモア)|ダフネの親友・コレッタ・ジェームズ( リサ・ニコル・カールソン)|コレッタの彼氏、イージーの知り合いデュプリー・ブロチャード(ジャーナード・バークス)|ほか

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気になる映画 59  《これから上映の映画》

写真
「パターソン」
監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
8/26~武蔵野館、ヒューマントラスト
写真
「50年後のボクたちは」
監督:ファティ・アキン  9/16~
シネマカリテ、ヒューマントラスト
写真
「鉱」(あらがね)
監督:小田香 監修:タル・ベーラ
10/21~11/3 K's cinema
写真
チェコ・ヌーヴェルヴァーグ
60年代チェコ映画祭  「パーティと招待客」
「ひなぎく」「愛の殉教者たち」ほか全9本上映
11月~イメージフォーラム
写真
エミール・クストリッツァ監督特集
9/16~29 恵比寿ガーデンシネマ
上映作品中、次の3作は記事にしてます。
アンダーグラウンド」「ジプシーの時」「黒猫・白猫
題名をクリックしてご覧ください。
写真
「軽蔑」 デジタル・リマスター版
監督:ジャン=リュック・ゴダール
9/30~恵比寿ガーデンシネマ

1年前・3年前・5年前の9月、一夜一話。(2016年9月・2014年9月・2012年9月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-09-14 Thu 06:00:00
  • 映画
1年前の9月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2016年9月 Archive>

写真
「風の又三郎」
監督:島耕二
映画音楽に魅せられて
写真
「イン・ザ・プール」
監督:三木聡 オダギリジョー
松尾スズキ、市川実和子
写真
「泥の河」
監督:小栗康平
田村高廣、加賀まりこ
写真
「舞妓はレディ」
監督:周防正行
上白石萌音、富司純子
写真
<か行> の邦画
これまでに記事にした邦画から
    
写真
「ドリンキング・バディーズ
飲み友以上、恋人未満の
甘い方程式」
   アメリカ
写真
「世界」
監督:ジャ・ジャンクー
中国
写真
「その怪物」
監督:ファン・イノ
韓国
写真
「人生スイッチ」
監督:ダミアン・ジフロン
アルゼンチン・スペイン
写真
「シュトロツェクの
        不思議な旅」

西ドイツ
写真
「永遠と一日」
監督:テオ・アンゲロプロス
ギリシャ
写真
京都に行って来た。
「京都の湯と水の話」



3年前の9月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  3年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2014年9月 Archive)

写真
「ミスター・ミセス・ミス
       ・ロンリー」

原田美枝子、宇崎竜童
写真
「水の声を聞く」
監督:山本政志
玄里、趣里、村上淳
写真
「小早川家の秋」
監督:小津安二郎
原節子、中村鴈治郎
写真
「夢みるように眠りたい」
監督:林海象
佐野史郎、佳村萌
写真
「祇園囃子」
監督:溝口健二
若尾文子、木暮実千代
写真
特集「関西の映画です。」
過去記事よりピックアップ
       
写真
「女優で検索」
その名で探す、出演映画。
但し暫定版    
写真
「イーダ」
監督:パベウ・パブリコフスキ
ポーランド
写真
「365日のシンプルライフ」
監督:ペトリ・ルーッカイネン
フィンランド
写真
「愛しのタチアナ」
監督:アキ・カウリスマキ
フィンランド
写真
「最愛の夏」
監督:チャン・ツォーチ
台湾
写真
「マンハッタン」
監督:ウッディ・アレン
アメリカ
写真
「黒いジャガー」「スーパーフライ」
ソウルフルなブラック・シネマは、いかが?



5年前の9月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  5年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2012年9月 Archive)

写真
「不良少年」
監督:羽仁進
山田幸男
写真
「あなたと私の合言葉 
    さようなら、今日は」

若尾文子、京マチ子
写真
「旅の重さ」
監督:斎藤耕一
高橋洋子
写真
「HANA-BI」
監督:北野武
岸本加世子
写真
「さよならS」
監督:エリック・ゾンカ
フランス
写真
「月曜日に乾杯!」
監督:オタール
 ・イオセリアーニ|フランス
写真
「ラテンアメリカ
       光と影の詩」

アルゼンチン
写真
「憎しみ」
監督:マチュー・カソヴィッツ
フランス
写真
「太陽の下の10万ドル」
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
フランス
写真
「カラマリ・ユニオン」
監督:アキ・カウリスマキ
フィンランド
写真
「パリ・ルーヴル美術館
          の秘密」

フランス
写真
「夜行列車」
監督:J・カワレロウィッチ
ポーランド
写真
「ひなぎく」
監督:ヴェラ・ヒティロヴァ
チェコスロヴァキア


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映画「夏をゆく人々」 イタリア映画 監督:アリーチェ・ロルヴァケル

maxresdllefault2.jpg
長女ジェルソミーナ、多感な年ごろ


 イタリア半島の中ほどにある大きな湖、この湖畔に住む家族のお話。

1-0_201709151404336b7.jpg 湖周辺の広々とした草原、ここで一家7人は養蜂で生計を立てている。
 でも、男手は父さんだけで、母さんとその子4人姉妹と居候のおばさんの、女6人の家。
 そのうえ、長女ジェルソミーナの下の娘たちは、まだ幼い。

 ミツバチの箱を運んだり、遠心分離機で蜂蜜を抽出したり、バケツに一杯になった蜂蜜を運んだりと、力仕事はたくさんある。
 だから、父さんは女手しかいないことで、いつもイライラしている。(そして家族に対して、しょっちゅうワンマンなふるまい)

 そんな父親をみて、ジェルソミーナは懸命に養蜂の仕事をこなしている。口にこそ出さないが、父親も長女のそんな様子を力強く思っている。

 ある日、無口な少年が少年院からこの家にやって来た。父親は、少年の更生のためのプログラムを利用して男手を手に入れたのだ。家に住み込みで仕事を手伝うことになった。

 自然に優しい農業・畜産・養蜂家などを対象にしたコンクールがテレビ局の主催で開催されるという。
 このことを知ったジェルソミーナは密かにコンクールに応募した。よそ者を嫌う父親は、こういうことには絶対反対することを彼女は知っていました。

 さあ、さて、ここら辺りから物語は思わぬ展開をし始めます。
 話の筋のその先を急いで追う姿勢では、この映画は楽しめません。ゆったりした気分で観ましょう。
 主人公のジェルソミーナ役の女性の、楚々とした雰囲気がいいです。プロの俳優じゃないようです。映画はこのジェルソミーナの存在感で成り立っています。

 父親は家族の中ではワンマンですが、世間に対しては自閉的な男です。
 そんな彼ですが、男手が欲しいがためによそ者の少年を家に迎え入れました。
 一方、ジェルソミーナはそろそろ大人の女になろうとしています。自分の意志でコンクールに応募したように、ジェルソミーナの意識は田舎の一軒家から世間に出ていこうとしています。そんな彼女と彼女の恋を母親も叔母も応援します。

 
 映画の後半ぐらいから、「エトルリア」「エトルリア人」という言葉が出てきます。
 この一家の住む地域は、エトルリアという、紀元前8世紀~紀元前1世紀ごろにイタリア半島中部にあった都市国家群があった場所。
 映画は、そんな歴史の謎めいた不思議さをバックグラウンドに秘めているようです。(それは例えば、この一家の家のそばにロケに来た女優さんの姿を借りて・・)
 

オリジナルタイトル:LE MERAVIGLIE|
監督・脚本:アリーチェ・ロルヴァケル|イタリア スイス ドイツ|2014年|111分|
撮影:エレーヌ・ルヴァール|
出演:ジェルソミーナ(マリア・アレクサンドラ・ルング)|アンジェリカ(アルバ・ロルヴァケル)|ウルフガング(サム・ルーウィック)|ココ(ザビーネ・ティモテオ)|ミリーカテナ(モニカ・ベルッチ)|アドリアン(アンドレ・M・ヘンニック)|少年更生係イルデ(マルガレーテ・ティーゼル)|ほか

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〜モンテヴェルディ生誕450年記念〜 ラ・フォンテヴェルデ 第25回定期演奏会 マドリガーレ集全曲演奏シリーズ 「円熟期II :サン・マルコの楽長」

2_201709171331175e6.jpg


 白寿ホールのコンサートに行ってきた。
 いい、コンサートでした。満足。
 舞台の上の方々が、実に楽しそうに演奏していました。

 メンバーの多くは、古楽オーケストラのバッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーなんですね。
 どうりで、どこかで見た顔があった。

 昨今よく言われる、Jクラシックなんていう生半可な範疇を優に飛び越えた、実力ある立派な演奏でした。

 リュート演奏の方が弾くギター(ルネッサンスギター?)、あれ、実物を初めて見て感激。カポタストをしてました。

 モンテヴェルディ(1567- 1643)は、16~17世紀にかけてのイタリアの作曲家、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者、歌手。
 マントヴァ公国の宮廷楽長、ヴェネツィアのサン・マルコ寺院の楽長を歴任し、ヴェネツィア音楽のもっとも華やかな時代の一つを作り上げた人。
 彼の作品はルネサンス音楽からバロック音楽への過渡期にあると位置づけられる。(ふむふむそうなんだ)


出演
ラ・フォンテヴェルデ:
鈴木美登里、染谷熱子、中山美紀(ソプラノ)、上杉清仁(カウンターテナー)、布施奈緒子(アルト)、谷口洋介、中嶋克彦(テノール)、小笠原美敬、渡辺祐介(バス)

若松夏美、荒木優子(ヴァイオリン)、成田寛、佐藤駿太(ヴィオラ)、西澤誠治、角谷朋紀(ヴィオローネ)
伊藤美恵(ハープ)、金子浩(リュート、ルネッサンスギター?)、上尾直毅(チェンバロ)

曲目
クラウディオ・モンテヴェルディ:マドリガーレ集第7巻
竪琴の調子を合わせて Tempro la cetra
愛の神よ、僕はどうしたらいいのだ? Amor, che deggio far?
黄金の髪よ Chiome d’oro

同:マドリガーレ集第8巻
他の者は軍神マルスについて歌う Altri canti di marte
僕は恋に燃えているが Ardo, avvampo mi struggo
ニンファの嘆き Lamento della ninfa
私の美しい演奏に合わせて Movete al bio bel suon  他

映画「クスクス粒の秘密」 フランス映画 監督:アブデラティフ・ケシシュ

上2










 「クスクス粒の秘密」という題名から、印象としてファンタジックな映画に思われるかもしれないが、そうじゃない。
 フランス南部の港町(セット Sète)に住むチュニジア系移民一世とその子たちの話です。

 総じて、話のタッチは重くなく、比較的軽いですが、「人生、そうそう上手くは行かない」と映画は言っています。しかし、人々はそんな人生をなんとか受け入れ、日々を過ごしています。

 そして、彼らのそんな様子は(傍から見る人には)、時に滑稽じみた様にみえることもあると映画は言っています。


1-0_20170918141944b2f.jpg
 冒頭のいくつかのシーンで映画は、主な登場人物の境遇と人間関係をみせます。
 それは同時に、この港町の現状を語っています。(中小造船業の斜陽、港の漁業の衰退、観光業へのシフト。)

 港のドックで働くスリマーヌは小型船の造船・修理のベテラン、御年60歳でチュニジア系移民一世。実直で無口な男。
 彼の子は4人いて、息子が2人に娘が2人、みな二世。長男長女は既婚。しかし、チュニジア系移民一世の妻スアドとは離婚している。 

 スアドは、チュニジアの伝統料理クスクス((粒状のパスタ))が得意なBIG MAMA。
 子たちとその伴侶や孫たちは母親の家に集って、おふくろの味・クスクスを食べることを楽しみにしている。
 子たちの伴侶はフランス人とロシア人ですが、みな、とても美味しいクスクスが好き。
 しかし、その席にスリマーヌはいない。

2-0_20170918143612705.jpg スリマーヌは愛人ラティファと暮らしている。ラティファもチュニジア系一世だ。
 彼女は小さなホテルと付随するバーを買い取って生計を立てている。そして、ラティファの一人娘リムが母親を手伝っている。リムは20歳で二世。

 スリマーヌはホテルの狭い空き部屋に住んでいる。居候だ。
 ラティファとリムの母娘もホテルの一室を住居としている。
 くわえて、チュニジアの民族音楽バンドの老メンバーも住んでいる。彼らはバーで演奏し生活している。


 さて、こんなシチュエーションをもとに、物語は展開します。
 長年勤めた職場をリストラで追われたスリマーヌは、廃船間際の船を買って船上レストランを始めようと考えます。
 世事に疎いスリマーヌは、リムの助けを借り、資金の手配や役所への諸手続きを始めます。しかし、レストラン経験もなく手元資金もなく、よって信用がありません。でも、船の修理技術はあるスリマーヌは、船の改装だけは済ませました。

 ちなみにこのレストランの売りは、クスクス。
 そうです、スリマーヌは元妻のスアドをコック長にしようという算段。この段で、愛人ラティファはソッポを向きっぱなし。

 信用が容易に得られないと分かったスリマーヌとリムは、お役人や仲間を呼んで、とても美味しいクスクスの船上パーティを企てます。
 バンドのメンバーは、ギャラは出世払いでいいとして、演奏を買って出ます。
 そして彼の息子・娘4人とその伴侶も、このパーティ準備を手伝います。もちろん、前菜やクスクス料理はスアドが作ります。(船にはまだ厨房がありません、スアドは自宅で料理しました)
 彼女はこれまでも、誰かの結婚パーティなどで大量の料理経験はあるのです。準備万端。

 いよいよ、客が船に集まります。酒が出て前菜が出て演奏が始まり、パーティは賑やかに盛り上がります。
 時間を見計らい、スリマーヌの長男次男が車で自宅に戻り、スアドが作った各種のクスクス料理を取りに行きます。そして、いくつかの大鍋を船上に持ち込みました。

 だが、ここで問題が起きます。
 何が問題かというと、長男の浮気相手の女性がパーティに来ていたのを長男が気づき、やばいということで、彼は密かに会場を抜け出し、車でどこかに逃げてしまいます。
 ですが、肝心要のクスクス(粒状のパスタ)を蒸した鍋が、まだ長男の車のトランクの中! これだけを運び出し忘れていたのです。

 事態を知ったスリマーヌはじめ皆は顔面蒼白、もう呆然としています。一方、客たちは、クスクス料理が出てこないことにいら立ち始めます。
 そこへ、ラティファとリムの母娘が客として遅れてやってきました。リムは嫌がる母親を説き伏せてやっとのことで連れて来たのです。なにしろ愛人ですから、この場にそぐわない。(一方、スアドも会場には来ていません)

 お話はここに来て頂点に差し掛かります。急いで話の先を言えば結果的に、ラティファとリムは救世主でした。大活躍!
 かたや、要のスリマーヌはというと、会場を後にして長男を探しに行きますが、彼の混乱ぶりは悪夢のシーンにありがちな展開に・・。(このシーンは冗長ですがご愛敬でみてください)

tunisia-map1.jpg 映画の中で聴こえて来るチュニジア民族音楽バンドが奏でる魅惑的なサウンド、これが流れることで、このフランス映画がチュニジア映画風に観えてきます。お楽しみください。(監督の出自はチュニジアとのこと)

 映画の出来具合については、2013年製作作品「アデル、ブルーは熱い色」の方が、エッジが効いていて、ずっと良い。 

オリジナルタイトル:La graine et le mulet|
監督・脚本:アブデラティフ・ケシシュ|フランス|2007年|135分|
出演:スリマーヌ(アビブ・ブファール)|リム(アフシア・エルジ)|上の娘カリマ(ファリダ・バンケタッシュ)|愛人ラティファ(アティカ・カラウイ)|長男の嫁でロシア人のジュリア(アリス・ユーリ)|下の娘オルファ(サブリナ・オアザニ)|元妻スアド(ブラウイア・マルズーク)|ほか

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映画「朧夜の女」(おぼろよの女) 1936年 監督:五所平之助

下
 照子


 時は昭和の初め頃、叔父に連れられ行った先の銀座のバー、そこの女と出来てしまった初心な大学生の初恋の顛末。

01-_20170919135736160.jpg 大学生の誠一(徳大寺伸)は、父を早くに亡くし、母のお徳(飯田蝶子)が女手一つで育てた一人息子。すれてない箱入り息子でいい男。
 お徳は、牛や(牛鍋屋)で働いているが、若いころは芸者だった様子。どこかの店の主人風の旦那に頼まれ、唄、三味線の個人教授をしている。

 誠一を銀座のバーに連れ出した張本人の叔父・文吉(坂本武)は、お徳の実兄で昔は粋な遊び人だった。
 その文吉が収まるところにやっと収まって所帯を持った、その妻が、おきよ(吉川満子)という女。
 この夫婦には子がいない。神社の石段下で張物屋を営んでいる。(着物の洗濯屋さん:お客の着物を抜糸して反物にし洗濯する稼業。洗い張り。)
 以上こんな登場人物の描写が話の前段にあって、映画は物語のその先を語り始める。

2-0_20170919140548d74.jpg バーの女・照子(飯塚敏子)は、昔風にありていに言えば、芸者上がりの女給だ。
 だが照子は数年前までは芝神明で指折りの芸者だった。旦那(パトロン)がついて芸者を辞めたが、その旦那が急死、照子の人生は下り坂となっていた。

 文吉は芝神明にいた照子を覚えていた。照子も客として文吉を覚えていた。銀座のバーは再開の場でもあった。
 さて、その後、誠一と照子は密かに会い文通を交わした。ふたりの愛は純であった。しかし誠一はこのことを母親に言えないでいる。

 そしてある日、誠一は照子から妊娠したことを告げられる。
 誠一は驚き戸惑うが、照子は心の奥底で、これを機に身を引くことを決めていた。
 誠一さんは勉強をして将来偉くなる人。子一人、私ひとりでもちゃんと育てていける・・。

 かたや、悩み抜いた誠一は、叔父・文吉に打ち明ける。(死んでも母親には言えない)
 文吉は驚きはしたが、すぐさま、こう思った。自慢の甥が自分を頼りにしてくれた嬉しさ、照子はまったく知らぬ女じゃないこと、さらにはわが身を振り返れば、身に覚えがないことでは無い。
 そこで文吉は思案の末、自分が照子と浮気して子をこしらえてしまった、という嘘を思いつく。そして、これを妻のおきよに言った。

 これを聞いたおきよは、大いに悲しむ一方、これまでの文吉の放蕩を思うと、そんなには驚かなかった。
 誠一と照子の関係を未だ知らぬ母・お徳は、兄の放蕩ぶりを「いい歳して」と非難するも、義姉として子供の出来ないおきよに言う。「兄さんは女ときっぱり分かれる、その代わり、子は家で育てると言ってる。辛いだろうけど、いっそ育ててみれば。赤ちゃんは可愛いよ。世間は、おきよさんはよく出来た嫁だと、ほめそやすよ。」

 ひとつ目の嘘が通って文吉は、慌てて空き家を探し、土手下の家に照子を住まわせる。
 つまり今度はこれ、姉のお徳に対しての嘘。文吉と照子のこの愛の巣に、お徳は便所の傍の軒に吊り下げる「吊り下げ手洗い器」や何やかにやを買いそろえてやってくる。

 さて文吉、お徳が去ったあと、ポツンと座る照子、そこへ誠一が現れる。
 誠一は言う、こんな嘘はやめよう。俺は母親に正直に言う、結婚しよう。叔父や叔母にこれ以上迷惑はかけられない、俺は卑怯だ、と。しかし、照子は誠一の訴えを受け流すだけだった。

 それからそんなに時を経ず、照子は妊娠中毒症で急遽入院する。そして、あっけなく世を去る。
 土手下の家で通夜が行われた。霊前には文吉の友人やお徳もいる。そこへ誠一が現れた。これに気づいた文吉は彼を家の外に連れ出す。
 「もうこれ以上の嘘は、耐えられない、母親にすべてを言う。」と泣く誠一を制して文吉は言う。「この世の中、嘘も正しいことがある、何よりも照子は今もそれを望んでいる」と。


 なにしろ80年以上前の映画です。
 世間の常識が、今と違うことを理解して観ましょう。
 それと、近代を対象にした都市民俗学?とでも言いましょうか、銀座のバーの様子、そこで働くキラキラ衣装の少女、牛鍋屋の様子、張物屋の職人の仕事風景、寄席の様子、一般家屋の室内などに注目しても面白いかもしれません。

監督:五所平之助|1936年|111分|
原作:五所亭|脚本:池田忠雄|撮影:小原譲治
出演:照子、バーでの源氏名(飯塚敏子)|誠一(徳大寺伸)|文吉(坂本武)|お徳(飯田蝶子)|おきよ(吉川満子)|医師(佐分利信)|町内の旦那衆(河村黎吉、野本正一、新井淳)|職人(青野清、谷麗光)|芸者(忍節子)|牛やの女(岡村文子、江坂静子)|女給(朝見草子、立花泰子)|女中(大関君子)|牛やの主人(水島亮太郎)|学生(大山健二、阿部正三郎、金光嗣郎)|講釈師(一龍斎 貞丈)|

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一夜一話の “今日はボサノバかな?” 三宅純とアート・リンゼイ

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 今日の一枚は、三宅純の「Innocent Bossa In The Mirror」というアルバム。(2000年)

 部屋にひとり、ぼんやりしている時
 遠くに聞こえる街のざわめきを聞いているのも悪くはないが
 自分だけのこんな時に、「静かな音楽」を聴くのも手だ。

 真夜中や早朝や夕暮れ、目の前の風景と、心の中の風景とが織りなす、切ない儚さ。
 こんな時に聴くといいかもしれない。


 このアルバム、読書を妨げないと感じるなら、イージーリスニングと思えなくはない。
 だが、作り手はリラクゼーションの立ち位置にいない。
 けだるい中にも、経験したことのない軽い緊張が持続する、前衛的なサウンドだ。
 三宅純という人はサウンド・クリエイター、あるいは作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、楽器演奏者。
 
 アルバムを通して印象的なのは、ボサノバの4曲。(下記曲目の1、2、7、9)
 ボサノバに不可欠なアコースティックギターと歌、これに吟味された大人しいパーカッションとベース。
 そして三宅純の涼しげなピアノの単音メロディ。
 くわえて、これらのサウンドの隙から聴こえて来る、三宅制作のサンプリングされた音(主にシンセサイザー系の各種凝った音色)。

 そのほかの曲も良い。10曲中6曲がアート・リンゼイとの共作。(アート・リンゼイはギタリスト、歌手、プロデューサー、作曲家)
 2、7、8の曲はアートリンゼイがけだるく歌う。
 彼が奏でるエレキギターを使ったノイズも、いつもの通り、控えめに控えめに小さな音で入る。

 アルバムの全10曲、どれも静かな音楽です。(歌詞はすべてポルトガル語らしい)
 ただしラストは余計だった。たぶん好きな歌なんだろうけれど。

 以前ブログで取り上げた映画「プープーの物語」のオリジナル・サウンドトラック(1998年)は、三宅純の作だった。
 この映画の記事は、こちらからどうぞ。

「Innocent Bossa In The Mirror」 (2000年)
01. [Cai Nessa]  Jun Miyake/Arto Lindsay
    Vinicius Cantuaria (Vocal, Acoustic guitar, Percussion), Jun Miyake (Piano, Fender rhodes)
02. [Gaiato]  Jun Miyake/Arto Lindsay
    Arto Lindsay (Vocal), Jun Miyake (Piano), Vinicius Cantuaria (Acoustic guitar, Percussion)
    Masahiro Itami (Electric guitar scratch), Peter Scherer (Loops)
03. [Lista De Praias]  Jun Miyake/Arto Lindsay
    Jun Miyake (Piano, Fender rhodes, Samples), Vinicius Cantuaria (Acoustic guitar, Percussion)
    Arto Lindsay (Voice), Dairo Miyamoto (Bass clarinets, Wood blocks), Hitoshi Watanabe (Cello)
04. [Trejeitos]  Jun Miyake/Arto Lindsay
    Zeno Ishida (Vocal), Jun Miyake (Piano, Flugelhorns, Samples), Arto Lindsay (Chorus)
    Vinicius Cantuaria (Acoustic guitar, Percussion), Masahiro Itami (Steel strings guitar)
    Hitoshi Watanabe (Electric bass), Tomo Yamaguchi (Percussion)
05. [Titia Inocencia]  Jun Miyake
    Jun Miyake (Piano, Fender rhodes, Samples), Arto Lindsay (Electric guitar)
    Vinicius Cantuaria (Acoustic guitar, Percussion), Dairo Miyamoto (Alto flute)
    Hitoshi Watanabe (Acoustic bass), Tomo Yamaguchi (Percussion)
06. [Creamy Thighs]  Jun Miyake
    Jun Miyake (Flugelhorn, Samples), Vinicius Cantuaria (Percussion), Masahiro Itami (Acoustic guitar)
    Hitoshi Watanabe (Electric bass), Peter Scherer (Pads)
07. [A Lua Pela Grade]  Jun Miyake/Vinicius Cantuaria/Arto Lindsay
    Arto Lindsay (Vocal, Electric guitar), Vinicius Cantuaria (Acoustic guitar)
08. [Tres]  Jun Miyake/Arto Lindsay
    Arto Lindsay (Vocal, Electric guitar), Jun Miyake (Fender rhodes, Samples)
    Vinicius Cantuaria (Acoustic guitar, Percussion), Hitoshi Watanabe (Acoustic bass)
    Dairo Miyamoto (Cymbals)
09. [Giraffe In Green]  Jun Miyake
    Jun Miyake (Piano, Fender rhodes, Samples), Vinicius Cantuaria (Acoustic guitar, Percussion)
    Hitoshi Watanabe (Acoustic bass)
10. [As Tears Go By]  Mick Jagger/Keith Richards/Andrew Oldham
    Vinicius Cantuaria (Vocal, Acoustic guitar), Jun Miyake (Flumpet)

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映画「或る女」(1942年) 主演:田中絹代 監督:渋谷実

上


 話は、明治から大正にかけての、「或る女」の10年を描いている。

1-1_20170923130911f26.png 席主※(坂本武)の計らいで、寄席で下働きしている、おしげ(田中絹代)。(※寄席のあるじ)
 このおしげに向かって、寄主に雇われている元落語家の男・柴田(河村黎吉)が、話していいものか、いけないものかと迷いながらも、話始める。
 「実はね、三楽が東京に帰ってきているらしい」と、くわえて「子もいてね、おまけにカミさんが病に伏せってしまい、金に大層、困ってるらしい」
 これを聞いて、おしげは「僅かばかりだけど、お金ならあるわ」、しかし柴田は「そりゃ、いけねえよ」

 そこへやって来た席主は即座に、「おしげさんに、三楽のことなんか言うもんじゃない」と柴田を制した。続けて、おしげには、「三楽は、あんたにあんなに苦労をかけた男だ、もうかかわりなさんな」と三楽を罵りながら言った。
 これに対しおしげは、「もう10年も前のことだもの、今じゃ何とも思わないわ」

2-0_20170923131120b96.png そして映画は10年前にさかのぼる。(明治の終わり頃)
 そのころ、三楽という芸人(徳大寺伸)は東京じゃ少しばかり売れ始めていた。
 寄席で働く若き娘おしげは、三楽の舞台と舞台を降りた後の短い逢瀬をいつも心待ちにしていた。三楽のほうも、まんざらではなかった。
 だが、彼に欲があった。上方の舞台に出て一旗揚げたいと、三味線の女を連れて東京を去った。三楽はこの女と、既に出来ていたのだった。
 おしげは、突然の失恋に心砕かれ、席主にそれまでの礼も言わず、故郷の田舎へ帰った。

 故郷の家には、兄とその子の二人が住んでいる。この親子は困窮していた。兄は少ない蓄えを人に騙され奪われ、また借金で家は抵当に入っていた。
 しかし兄の子・勇は、幼いながらも進学を望んでいた。将来大きな船の船員になりたいという。

 おしげは自身の悲しみを心の底に押しやって、この世に身内はこの三人、力合わせて勇を育ててやりましょうと、兄を励ます。
 おしげは東京に戻って働き、稼いだお金は兄の子・勇の教育費にと、兄は借金返済にと、兄妹はそれぞれ再び働き始めた。

 そう、おしげのこの頑張りは、どこから来るのだろうか。
 それは、おしげが失った自身の生きがいを新たに見つけたから。つまり、三楽への想いから、実の母子のようにして勇を育てる愛へと、気持ちを切り替えたから。
 それでも、おしげは、三楽への愛を今も心に抱き続けている。そして、だから、私は一生結婚はしないと決心していた。

 東京に戻ったおしげは、斡旋屋の紹介で、あるお屋敷の住み込み女中の職を得る。
 安定したこの職は、兄のもとへ送金するに十分であった。
 この家の娘は病弱で家に閉じこもったままで日々を過ごしていたが、おしげが来たことで親しい話相手ができ、おしげを慕った。

 だが不幸なことに、この娘に好きな人がいたが、相手の家から一方的に婚約が破棄され、娘は失意に陥った。
 たまたま、おしげは田舎の兄の家に帰っていた。そこへおしげに会いたくて娘が一人でやって来た。だが病弱な娘は、儚くもここで体調を崩し世を去ってしまう。屋敷の主は、これをおしげのせいにし、おしげは突然に解雇された。

 理不尽に思いながらも、おしげは挫けない。
 顔の広い柴田の紹介で、勇のため、おしげは料理屋で働き始めた。
3-0_201709231321415ff.png そんなある日、勇(佐野周二)がおしげに会いに来た。商船大学を成績二位で卒業したことを報告に。
 とても喜ぶおしげは勇を連れて、大学の寮じゃ食べられない美味しいものをご馳走しようと、上等な店のうなぎやへ。おしげが勇に酌をするその仕草は玄人の様だった。
 勇はおしげに言った、「叔母さんは料理屋なんかで働く女性じゃない。僕は嫌だ、無理を言うようだが仕事を変えてほしい」と訴えた。「これからは僕は給金をもらえて、採用前提の試用期間航海に出る。お金の方はもう大丈夫。無理しないで田舎に帰ってゆっくりして」
 (当時、商船大卒の航海士とは、日航のパイロット以上の高給とりだった。くわえて勇が知識人になったせいだろう、自分を養ってくれた大事な叔母には飲み屋の女でいて欲しくなかった、勇はそう思っていた)

 しかし、おしげは田舎に帰らず、東京のミシン縫製の町工場で働き始める。(私はもう畑仕事はできない)
 ある日、工場でおしげが倒れた。彼女の人生は、これまで働き詰めの毎日であった。

 このことを聞きつけた席主は、弱ったおしげを手厚く介抱し、快復したおしげは再び寄席で働くことになった。
 こうして、おしげの10年が過ぎた。

 さて、冒頭シーンの続きに映画は戻る。
 おしげは、幾何かの金を口座から下ろし、三楽一家が住む家へ向かった。
 どぶに掛かる小橋を渡って、おしげは三楽の粗末な家の玄関先に立った。
 驚く三楽はおしげを家にあげた。儀礼的な挨拶の後、おしげが差し出す金に、三楽は躊躇するも手を出そうとしたが、三楽の妻はこれを制した。

 そこへ突如、勇が柴田の案内でやって来た。勇は叔母を苦しめた三楽を罵りに来たのだった。
 それはおしげに代わって誰かがいつか言うべき三楽に対する罵りであった。
 その三楽は、そう言ってもらえて私もすっきりした、長年の胸のつかえがやっととれたと感謝し泣いた。
 荒んだ場をおしげと柴田が納め、三楽夫婦はおしげの金を受け取ったのであった。
 
 脚本が弱いが、田中絹代の優れた演技でもっている映画。
 戦時中に製作・公開されたものだが、戦時下の影響はない。ただし、映画が始まる前に「一億の誠で包め兵の家」というスローガンが映し出される。

 映画に石油ランプと白熱電球のあかりが出てくる。
 電灯は、大正11年頃には東京市内のほぼ全域に普及したらしい。
 よって、おしげの10年は、明治末期から大正時代にかけての話なんだろう。

 それと映画に出てくる知らない言葉。
 「おちょうもく」:金銭の異称。江戸時代までの銭貨は中心に穴があり、その形が鳥の目に似ていたところからいう。「お鳥目」
 「おちょうばさん」:帳場とは商店・旅館・料理屋などで,帳簿をつけ勘定をする所。会計場。
           おしげは料理屋で「お帳場さん」も兼ねてた仕事をしていた。
 「アプレンティス」:見習いを意味する英語。卒業した勇が見習いで航海に出ることをおしげに言うシーンで勇が言う言葉。

監督:渋谷実|1942年|96分|
脚本:池田忠雄、津路嘉郎|撮影:森田俊保|
出演:おしげ(田中絹代)|実兄の一人息子・勇(佐野周二)|柴田(河村黎吉)|良吉(斎藤達雄)|三楽(徳大寺伸)|おたま(木暮実千代)|筆子(文谷千代子)|小せい(伏見信子)|樋口(坂本武)|お豊(忍節子)|お松(三村秀子)|勇の少年時代(津田晴彦)|藤子未亡人(葛城文子)|下宿のお母さん(飯田蝶子)|料亭の女将(吉川満子)|おとし(高松栄子)|昌子(森川まさみ)|敬一郎(日守新一)|徳さん(水島亮太郎)|お兼(松尾千鶴子)|城太郎(大塚紀男)|半玉(森和美)|

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映画「マダム・マロリーと魔法のスパイス」 監督:ラッセ・ハルストレム

上2
開店の夜


 気楽に観れる娯楽映画です。
 インド料理を生業とする移民の一家が、フランスの片田舎でレストランを開業する話。二つの愛が芽生えます。

1-0_20170925200941f73.jpg インドで一家は料理屋を営んでいた。
 店は母親が料理し、父親がマネジメントする繁盛店だったが、地元の選挙陣営対立の中、反対陣営を支援する人々によって店が焼き打ちに合い、不幸なことにこの時、一家は母親を亡くし、その地を追われた。
 故国を捨てた一家(父と息子、娘夫婦に2人の子供)は、旧宗主国イギリスへ渡ったが商売がうまく行かず、またイギリスでは良い食材が手に入らずこの地を諦めた。そののちレストラン開業の新たな場所を求めて、一家は今度はヨーロッパ大陸へと向かった。
 
 祖国を離れ西欧のどこかの国でインド料理レストランを開業したいという父親の思いは、父親が息子のハッサンの料理に一目も二目も置いているからこそであった。
 なぜなら、ハッサンは母親の血を受け継いで味覚が鋭く、子供のころから母親に料理を教わっていた。ハッサンも母の教えのすべてを吸収していたのだった。

 一家六人を乗せて車は開業する適地を求め諸国を走った。そしてある日、フランスのある片田舎の町を通りかかる。
 ここで父親は、廃屋に近い一軒の家の前でひらめいた。ここで始めよう。そこは元レストランであった。

 開店の準備が進む中、発覚したことは、道向かいのフランス料理レストランがミシュラン一つ星の店であること。(お話は都合よくできています)
 このレストランのあるじは、マダム・マロリー(ヘレン・ミレン)といい、夫を亡くし自らが女将となって、毎年一つ星を勝ち取っている女性。

2-0_20170925201118f82.jpg さていよいよ開店。100フィートしかはなれていない、道のこっちと向こうだから、一つ星の店にカレーの匂いが流れていく。
 (原題はTHE HUNDRED-FOOT JOURNEY(100フィートの旅))

 マダム・マロリーは勝気のうえにイケズな女。向かいの店の邪魔をする。ハッサンの父も対抗意識を燃やす。
 そんなうちに、インド料理レストランにやっと客が付き始める。
 美味しいのだ!

 ハッサンはマダム・マロリーの店の女性マルグリットと仲良くなっていた。ともに料理人だ。
 ハッサンに貸したフランス料理本をもとに、ハッサンが初めて作ったソースにマルグリットは唸った。そして愛は深まる。

 マダム・マロリーの店のシェフが、深夜、ハッサンの店の石垣に大きな落書きをした。このシェフは移民を蔑視する男であった。
 これにマダム・マロリーが怒り、即座に彼を首にした。
 そして、後釜になんとハッサンを起用する。実はハッサンが素晴らしい料理人であることをマダムは見抜いていたのだ。

 もちろん、短いが修行(下働き)期間を経て、ハッサンは正式にシェフとなる。そうしてその年、店はミシュラン二つ星を獲得するに至る。 
 このころになって、マダムとハッサンの父親の距離が縮まっていった。

 さて、フランスの飲食業界で名をはせたハッサンは、パリの三ツ星高級レストランに引き抜かれる。
 ハッサンは、新進気鋭の若手シェフとしてパリで最新のメニューを次々に編み出し、有名人となった。
 しかし時が経つうちに、ハッサンの心に空洞ができていく。私はインド人、母から教えられたインド料理のその先を極めたい。
 ハッサンは父親の店に帰り、マルグリットとよりを戻し、ふたりで新たなレストランを開業することにした。
 私はここで三ツ星を狙うと・・。
 
オリジナルタイトル:THE HUNDRED-FOOT JOURNEY(100フィートの旅)|
監督:ラッセ・ハルストレム|アメリカ|2014年|122分|
原作:リチャード・C.モライス|脚本:スティーヴン・ナイト|撮影:リヌス・サンドグレン|
出演:マダム・マロリー(ヘレン・ミレン)|パパ(オム・プリ)|ハッサン(マニッシュ・ダヤル)|マルグリット(シャルロット・ルボン)|市長(ミシェル・ブラン)|マンスール(アミット・シャー)|ジャン=ピエール(クレマン・シボニー)|ポール(ヴァンサン・エルバズ)|トーマス(アントワン・ブランクエフォート)|

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2年前・4年前・6年前の9月、一夜一話。(2015年9月・2013年9月・2011年9月の掲載記事です)

  • Posted by: やまなか
  • 2017-09-30 Sat 06:00:00
  • 映画
2年前の9月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
2年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2015年9月 Archive)

写真
「運命じゃない人」
監督:内田けんじ
中村靖日、霧島れいか
写真
「花よりもなほ」
監督:是枝裕和
岡田准一、宮沢りえ
写真
「白線秘密地帯」
監督:石井輝男
三原葉子、宇津井健
写真
「風の子」
監督:山本嘉次郎
渡辺篤、夏川静江
写真
「メイド・イン・ホンコン」
監督:フルーツ・チャン
香港
写真
「さよなら、人類」
監督:ロイ・アンダーソン
スウェーデン
写真
「ヤクザガール 二代目は10歳」
監督:セルゲイ・ボドロフ
ロシア
写真
「ロスト・イン
     ・トランスレーション」

アメリカ
写真
「フォー・ルームス」
監督:クエンティン・タランティーノ他
アメリカ


4年前の9月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
4年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2013年9月 Archive)

写真
「旅籠屋騒動」
監督:森一生
ミスワカナ、玉松一郎
写真
「モル」
監督:タナダユキ
タナダユキ、石川貴子
写真
「少年」
監督:大島渚
渡辺文雄、小山明子
写真
「にあんちゃん」
監督:今村昌平
長門裕之、松尾嘉代
写真
「いつか読書する日」
監督:緒方明
田中裕子、岸部一徳
写真
「指輪をはめたい」
監督:岩田ユキ  山田孝之、
小西真奈美、真木よう子
写真
「寝ずの番」
監督:マキノ雅彦  長門裕之、
中井貴一、木村佳乃
写真
「裸の十九才」
監督:新藤兼人
原田大二郎、乙羽信子|
写真
「天使が見た夢」
監督:エリック・ゾンカ
フランス
写真
「さすらい」
監督:ヴィム・ヴェンダース
ドイツ
写真
「SWEET SIXTEEN」
監督:ケン・ローチ
イギリス

写真
「自分を探す旅
   (邦画編 その1)」

過去記事からピックアップ
写真
「女が、自分の道を歩む時。」
過去記事からピックアップ
写真
「人生なんて、そうそう
   うまく行かないワケよ。」

過去記事からピックアップ
写真
「やはり、
  大人の映画ってある。」

過去記事からピックアップ
写真
「子供が主演の映画は、
     視点がピュア。」

過去記事からピックアップ


6年前の9月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
6年前の9月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2011年9月 Archive>

写真
「二人が喋ってる。」
監督:犬童一心
新屋鳴美、宇野志津香
写真
「風の歌を聴け」
監督:大森一樹
小林薫、真行寺君枝
写真
「米」
監督:今井正
江原真二郎、中村雅子
写真
「NOVEM ノヴェム」
監督:ブラッド・キンメル
アメリカ
写真
「旅人は休まない」
監督:イ・チャンホ
韓国
写真
「ようこそ、羊さま。」
監督:リウ・ハオ
中国
写真
「胡同の理髪師(フートン)」
監督:ハスチョロー
中国
写真
「死の教室」
監督:アンジェイ・ワイダ
ポーランド
写真
「パレルモ・シューティング」
監督:ヴィム・ヴェンダース
ドイツ
写真
「モンド」
監督:トニー・ガトリフ
フランス
写真
「少年と砂漠のカフェ」
監督:A・ジャリリ
イラン
写真
「Jazz Seen
   /カメラが聴いたジャズ」

ドイツ
「ブラックブレッド」
監督:A・ビリャロンガ
スペイン・フランス
写真
「ラストサーカス」
監督:A・デ・ラ・イグレシア
スペイン
写真
「ロビンソナーダ」
監督:ナナ・ジョルジャーゼ
グルジア
写真
「誤発弾」
監督:ユ・ヒョンモク
韓国 1961年
写真
近世文学研究
「江戸滑稽化物尽くし」
アダム・カバット (著)

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やまなか

Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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