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2018年01月 Archive

明けまして おめでとうございます。

  • Posted by: やまなか
  • 2018-01-01 Mon 06:00:00
  • 映画

明けまして おめでとうございます。

一夜一話、早いもので、今春で9年目を迎えます。
これからも地道に続けてまいります。
今年も、御ひいきの程、よろしくお願い申し上げます。

掲載した映画本数、振り返って数えてみると、1000本越えました。
でも、まだ観ぬ映画は無数にあります。
今年も、いい映画に出会えることを楽しみにしています。

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映画「希望のかなた」(2017年) 監督:アキ・カウリスマキ

上

1-0_2018010321382586f.jpg アキ・カウリスマキ監督「節」が楽しめます。
 フィンランドにたどり着いたシリア難民青年の話ですが、深刻さは余り感じ無い軽い作りです。
 加えて、監督独特の、いつものトボケた可笑しさも織り込まれています。でも、難民流入問題を軽んじているわけではありません。
 また、監督の映画が好きな方は、常連俳優たちの登場や、監督好みの音楽が楽しめます。
 
 青年カーリドは、戦乱のシリア北部の都市アレッポを離れ、トルコ、ギリシャ、ハンガリー、ポーランドを経てフィンランドのヘルシンキの港にたどり着く。
 カーリドは早速、警察に出向き難民申請を願い出て、難民の一時滞在収容施設に落ち着いた。
 施設にはシリア、イランやアフリカ諸国からの多くの申請者がいる。

 さて話は変わって、フィンランド人のヴィクストロムという男は、アル中の妻を置いて家を出、賭博で大金を得て、その金でレストランを買った。
 その頃、カーリドは難民申請が却下され、シリアへの強制送還の決定が出る。
 帰国したくないカーリドは施設を抜け出し街をさ迷い、ヴィクストロムのレストランの前の物陰に潜んでいた。
 ヴィクストロムはカーリドを見つけ、この店で彼を雇い、倉庫に住まわすことになる。

 映画はさらに、レストランの従業員たちとの可笑しなシーン、ヘルシンキのネオナチがカーリドをつけ狙う話、シリアを出てから生き別れとなったカーリドの妹との再会などの話を語ります。 
 そしてラスト、ネオナチに襲われたカーリドの運命は・・。 

オリジナルタイトル:TOIVON TUOLLA PUOLEN
監督・脚本:アキ・カウリスマキ|フィンランド|2017年|98分|
撮影:ティモ・サルミネン
出演:カーリド(シェルワン・ハジ)|ヴィクストロム(サカリ・クオスマネン)|カラムニウス(イルッカ・コイヴラ)|ニルヒネン(ヤンネ・ヒューティアイネン)|ミルヤ(ヌップ・コイブ)|ヴィクストロムの妻(カイヤ・パカリネン)|ミリアム(ニロズ・ハジ)|マズダク(サイモン・フセイン・アルバズーン)|洋品店の女店主(カティ・オウティネン)|収容施設の女性(マリヤ・ヤルヴェンヘルミ)|

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映画「心に花の咲く日まで」 主演:淡島千景  監督:佐分利信

上

 いい映画を見つけました。よく出来た作品です。
 「昭和30年」を生きる、すず子(淡島千景)という女の日常を、あたたかく描く映画です。
 穏やかな喜劇でありますが、スパイスを効かせた突飛なエピソードが所々に仕掛けられています。

1-0_20180110122812af3.png 畑が続く武蔵野の郊外に住むすず子は、夫の笹山三吉(芥川比呂志)と赤ちゃんの三人暮らし。
 三吉は造船会社の技師でしたが、会社が倒産し今は無職。
 そんなことで夫にかわってすず子が、習い覚えた洋裁でわずかな稼ぎをしています。
 三吉はというと、好きな交響曲「田園」のレコードを聴きながら子守りや家事をし、時に造船の研究をしています。
 すず子は、呑気で優しいそんな三吉が好きですが、二人そろって銭湯にも行けない貧しさが、いつまでも続けられないと思っています。
 三吉はあれこれ職探しをしていますが、贅沢にも選り好みしています。それは、なにしろ、三吉は口下手で人との応対が上手くないため。すず子も仕方ないなと夫を見守っています。でも時々いら立ちます。

 さて、こんな一家を見守る人々がいます。
 すず子と同窓の原さん(丹阿弥谷津子)は、この家に少しのお金を貸したり時折、土産を持ってきます。原さんは、友達のすず子が心配ですし、いい旦那と暮らしているすず子を羨ましく思っています。実は原さんは妾の生活をしているのです。(そんな気持ちをすず子に吐露するシーンがあります)

 すず子の実家は都内にある大きな家です。父親は既に他界しているようで、いまは裕福ではありませんが、母親は健在です。弟も陰ながら姉を気遣います。
 そして、造船会社の元上司たちも三吉の行く末を心配しています。

2-0_20180110122932fd0.jpg 続いて、突飛なエピソードとなる喜劇的登場人物も、この一家を見守っています。
 いや、すず子と三吉が世話しているといった方がいいかもしれない二人が、すず子の家の隣に住む、森下さん(杉村春子)と、その愛人で森下さんよりずっと年下の志野君(仲谷昇・当時26歳)。(三吉が志野君と呼ぶのです) 
 森下さんと、美男子で小説家志望の変人で女たらしの志野君とのドタバタは、この映画に賑わいを添えます。

 そして、すず子の姉(文野朋子)。姉は出戻りで実家にいます。離婚がそうさせるのでしょうか、姉は独善的でガメツイ女です。すず子が盲腸で入院し、その入院費が払えないという時、姉は金を貸そうかと言います、銀行利子で。

 結局、入院費は三吉が家の家具や大切な蓄音機を売って払いました。
 退院後、家に帰ったすず子は、家ががらんとしているのに驚きます。
 三吉が売らずに残したものは、すず子のミシン、ベビーバスケット、三吉の造船研究模型、そしてテニスラケット。
 学生時代、三吉はテニスが上手で、すず子は三吉のその姿に惚れたのでした。


 話は、三吉の元上司が、三吉に研究所の職を世話するところで穏やかに終わります。
 この映画、ところどころでフォトジェニックなシーンを見せます。(お見逃しなく)
 そんなシーンも手伝って、この映画の中を吹く、ふくよかなそよ風が感じられれば、いいですね。これが本作の肝です。 
 小津映画などでの杉村春子の役回りに慣れ親しんだ向きには、この映画の森下さん役の演技が写実風に見えるかもしれませんが、そうではありません。

監督:佐分利信|1955年|109分|
原作:田中澄江|脚本:田中澄江、井手俊郎|撮影:藤井静|
出演:笹山三吉(芥川比呂志)|笹山すず子(淡島千景)|森下さん(杉村春子)|志野君(仲谷昇)|すず子の母親・山崎とき(長岡輝子)|すず子の姉・山崎たか子(文野朋子)|すず子の弟・山崎良(飯田紀美夫)|すず子と同窓の原さん(丹阿弥谷津子)|ほか

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一夜一話の “今日は日本のポップスだよ” 細野晴臣

1_20180110200908474.jpg



 今日の一枚は、細野晴臣のファーストソロアルバム「HOSONO HOUSE」(1973年)だよ。
 
 細野が加わっていた「はっぴいえんど」というロックバンドの解散後に出されたこのアルバムは、彼がそれまでに温めていた着想がぎっしり詰まっている。
 今、聴いても聴きごたえが十分あるエバーグリーンな素晴らしいアルバムだ。

 サウンドについて言う前に言うことは、歌詞がいい。
 青年・細野個人が日々感じたことが紡がれて、詩になっている。
 この歌詞と相まって、このアルバムのサウンドは、歌謡界やフォークソングシンガー達からは生まれ得ない、日本の新しいポップスのひとつの方向を定めたかに当時見えた。(下記)

 まずは、全曲通して、細野のひょうひょうとしたボーカルに味がある。
 そして、バンドサウンドを支える林達夫のセンスあるドラムが、このアルバムの肝である。
 加えて、「はっぴいえんど」からの朋友・鈴木茂のエレクトリックギターがいぶし銀。
 駒沢裕城のペダル・スティール・ギターも、無くてはならない存在だ。
 まずは聴いてほしい。ビルボードジャパンのサイトで試聴できる。
 http://www.billboard-japan.com/goods/detail/561504

 どれもこれも好きな曲ばかり。
 1曲目「ろっかばいまいべいびい」は、細野の愛するアメリカンオールドタイミーなラブソング。ガットギター弾き語りに自身のベースを重ねているセルフレコーディング。
 2曲目「僕はちょっと」はスローなカントリーロック風。歌詞にある「僕はちょっと黙るつもりです」というフレーズが心に残る。
 3曲目「CHOO CHOO ガタゴト」はなかなか凝ってる曲。鈴木茂のギターフレーズが効いている。歌詞にある「楽隊稼業はこりごり」はたぶん、はっぴーえんどのバンド遠征旅行のことだろう。
 4曲目「終りの季節」は素直な青年細野の詩。自身が吹くメロディオンのわびし気な音が歌詞に沿う。
 5曲目「冬越え」は、ブラスが入ってのノリのいい曲。
 6曲目「パーティー」も凝ってる曲、味わい深いが、どこかコミカル。
 7曲目「福は内 鬼は外」も細野ならではの曲。ほかの誰にも作れない。のちのトロピカル路線を暗示する。
 8曲目「住所不定無職低収入」、これまたノリがいい曲。ブラスがいきる。
 9曲目「恋は桃色」はリリカルな歌詞を乗せての曲。駒沢裕城のペダル・スティール・ギターもリリカル。
 10曲目「薔薇と野獣」、これ、アルバム中、一番の異色。アンニュイな旋律に緩い16ビート。
 11曲目「相合傘」はおまけ。細野がアメリカンポップス大好きと言いたいがため?

 この一枚のアルバムと共有した時間の蓄積を大切にしたいし、得るものがまだあるしこれからも活かしたいな。
 
 上で、日本の新しいポップスのひとつの方向を定めたかに当時見えた、と言ったが、私は中山うりがこれを受け継いでいると思う。

細野晴臣:作詞作曲※、ボーカル、ベース、ギター、フラットマンドリン、メロディオン、カリンバ、ピアノ
松任谷正隆:ピアノ、フェンダーローズ、アコーディオン
鈴木茂:エレクトリックギター
林達夫:ドラム、パーカッション
駒沢裕城:ペダル・スティール・ギター
※但し、次の2曲の歌詞は、「パーティー」by YASUSHI NAKAYAMA,RYOKO SUZUKI、「終わりの季節」by宇野もんど

「HOSONO HOUSE」(1973年)
01.ろっかばいまいべいびい
02.僕は一寸(僕はちょっと)
03.CHOO CHOO ガタゴト
04.終りの季節
05.冬越え
06.パーティー
07.福は内 鬼は外
08.住所不定無職低収入
09.恋は桃色
10.薔薇と野獣
11.相合傘 (インストゥルメンタル)

映画「国際市場で逢いましょう」(2014年) 監督:ユン・ジェギュン

上1
上2
















 朝鮮半島に住む人々の親子親戚の強い絆と、生き抜くエネルギーを描く、結末はハッピーエンドなドラマ。
 コミカルなシーンもたくさんある娯楽映画ですが同時に、朝鮮民族が背負った苦難の歴史を通史として見せてくれます。

01-_20180112134526771.jpg 話は、南北の軍事境界線で半島が分断されることになる朝鮮戦争(1950-53)で、北側に住んでいた親子6人の一家が住む場所を追われ、無数の難民の波に飲まれるところから始まる。
 世界を二分する冷戦が朝鮮半島におよぼしたこの戦争は、たまたま北や南に住む庶民にとっては、外国が絡む、降ってわいたような内戦だったのかもしれません。

 とにかく、米軍の軍艦(難民引き揚げ救助船)に、間際で乗船できなかった父親と末の妹とに生き別れとなってしまった母親と子供3人は、釜山に住む父方の叔母の家に落ち着いた。(ここが国際市場と呼ばれる商店街)
02-.png そのころ、釜山の街は米軍兵士がたくさんいて、ちょうど日本の戦後直後の進駐軍によるギブミーチョコレートの様相そのものであった。そして、北から避難した人々は釜山の人々から「アカ」と呼ばれ始める。

 主人公となる、一家の幼い長男・ドクス(ファン・ジョンミン)は、生き別れとなる間際に、父親から「私にかわってお前が家長になるんだ。家長はどんな時でも自分よりも家族のことが優先だ」と、家族の団結と幸せを任されたのであった。

 青年となったドクスはお金を稼ぐため、政府の試験に合格し、西ドイツの炭鉱に炭鉱労働者として2年間派遣される。
 その稼ぎは、家族の生活費はもちろんだが、次男のソウル大学の学費のためでもあった。
 たしかに稼ぎは良かったけれども、ドクスが落盤事故に会うといった危険な仕事でもあった。
 しかし西ドイツの地でドクスにとって見返りもあった。それは、看護師として派遣されていた、のちに妻となる韓国人女性・ヨンジャ(キム・ユンジン)と出会えたことであった。

 (このあたりの史実は下記のKBS WORLD Radio のサイトに掲載の「コリア70年 西ドイツへ向かった韓国の青年たち」に詳しいようです)
 http://world.kbs.co.kr/japanese/program/program_kpanorama_detail.htm?No=10037233

 帰国後ドクスはヨンジャと結婚したが、国際市場で商いをする叔母の店を手伝うも、ドクス一家を養う金は生まれない。
 ドクスはベトナム戦争最中のベトナムへ兵隊としてではなく出稼ぎに行く。(韓国軍のベトナム派兵は1964-72)
 がしかし、現地でドクスは片足を負傷し義足となった。

3-1_201801121349260c0.png それからまた時が経ち、弟妹も結婚し孫達も生まれ一家は大人数となった。
 そんなころ、南北分断の結果、離散してしまった家族との再会の場として、テレビ番組が放送されていた。
 これに出演したドクスは、父親には会えなかったものの、幸運にも末の妹と再会できた。
 妹はアメリカ人の養子となってアメリカにいたのであった。

 余生を生きる今、ドクスは回想する。 父親から「私にかわってお前が家長になるんだ。家長はどんな時でも自分よりも家族のことが優先だ」と、家族の団結と幸せを任されたことが、なんとか成し遂げられたと・・。


下

オリジナルタイトル:국제시장
監督・脚本:ユン・ジェギュン|韓国|2014年|127分|
撮影:チェ・ヨンファン|
出演:ドクス(ファン・ジョンミン)|その妻ヨンジャ(キム・ユンジン)|ドクスの親友で西ドイツ、ベトナムにも一緒に行ったダルグ(オ・ダルス)|ドクスの父親(チョン・ジニョン)|ドクスの母親(チャン・ヨンナム)|ドクスの叔母(ラ・ミラン)|ドクスの上の妹クッスン(キム・スルギ)|ほか

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1年前・3年前・5年前の1月、一夜一話。(2017年1月・2015年1月・2013年1月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-01-16 Tue 06:00:00
  • 映画
1年前の1月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の1月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。  <2017年1月 Archive>

写真
「幕末太陽傳」
監督:川島雄三
フランキー堺,左幸子,南田洋子
写真
「さらば愛しき大地」
監督:柳町光男
根津甚八、秋吉久美子
写真
「さくらん」
監督:蜷川実花
土屋アンナ、椎名桔平
写真
<さ行> の邦画
これまでに記事にした映画から
2017.1.5 現在
写真
「歌うつぐみがおりました」
監督:オタール・イオセリアーニ
ジョージア(旧名グルジア)
写真
「天使の涙」
監督:ウォン・カーウァイ
香港
写真
「パリ、テキサス」
監督:ヴィム・ヴェンダース
西ドイツ

写真
“今日はサンバの詩人だよ”
カルトーラ
CD紹介記事
写真
“ ひとつに括れない国、日本 ”
最近、読んだ本。
写真
“アメリカを、ちゃんと
知ろうとは思わなかった”

最近読んだ本。


3年前の1月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  3年前の1月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2015年1月 Archive)

写真
「鮫肌男と桃尻女」
監督:石井克人
浅野忠信、小日向しえ
写真
「おそいひと」
監督:柴田剛
住田雅清、とりいまり
写真
「病院へ行こう」
監督:滝田洋二郎
薬師丸ひろ子、真田広之
写真
「イロイロ ぬくもりの記憶」
監督:アンソニー・チェン
シンガポール
写真
「バンディッツ」
監督:カーチャ・V・ガルニエル
ドイツ
写真
「ミュージアム・ヴィジター」
監督:K・ロプシャンスキー
ソ連
写真
「パッツァーニ」
監督:ディナーラ・アサーノワ
ソ連
写真
「妻の愛人に会う」
監督:キム・テシク
韓国
写真
「孤独な声」
監督:A・ソクーロフ
ソ連
写真
「スーパー!」
監督:ジェームズ・ガン
アメリカ
写真
「ナショナル・ギャラリー
英国の至宝」

フランス
写真
「幸せのありか」
監督:マチェイ・ピェプシツァ
ポーランド
写真
「スクリーミング・マッド・
ジョージの BOY IN THE BOX」

アメリカ


5年前の1月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  5年前の1月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2013年1月 Archive)

写真
「恋や恋なすな恋 」
監督:内田吐夢
大川橋蔵、瑳峨三智子
写真
「ガラスの中の少女」
監督:若杉光夫
吉永小百合、浜田光夫
写真
「十九歳の地図」
監督:柳町光男
沖山秀子、白川和子
写真
「19 (ナインティーン)」
監督:渡辺一志
渡辺一志、川岡大次郎
写真
「毎日かあさん」
監督:小林聖太郎
小泉今日子、永瀬正敏
写真
「いつかギラギラする日」
監督:深作欣二
荻野目慶子、萩原健一
写真
「縮図」
監督:新藤兼人
乙羽信子、山田五十鈴

写真
「子猫をお願い」
監督:チョン・ジェウン
韓国
写真
「素粒子」
監督:オスカー・ロエラー
ドイツ
写真
「ふたりの人魚」
監督:ロウ・イエ
中国
写真
「パリ、恋人たちの2日間」
監督:ジュリー・デルピー
フランス
写真
「ジャンク・メール」
監督:ポール・シュネットアウネ
ノルウェー
写真
「桃さんのしあわせ」
監督:アン・ホイ
中国
写真
「殺人に関する短いフィルム」
監督:K・キェシロフスキ
ポーランド
写真
「風櫃の少年」
監督:ホウ・シャオシェン
台湾
写真
「ナイン・シガレッツ」
監督:ウーゴ・ロドリゲス
メキシコ


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映画「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」(2016年) 主演:神木隆之介、長瀬智也  監督:宮藤官九郎

上

 奇想天外、波乱万丈なドタバタ喜劇でありながらも悲劇、かつ純情恋愛物語。
 そして、ロックバンドのお話でもあり、さらには輪廻転生、これがストーリーの要となります。
 125分、一気にみせます。

1-0_20180118102841587.jpg 高校生の大助(神木隆之介)の乗る修学旅行の観光バスが突然、断崖絶壁から真っ逆さまに転落。
 気が付きゃ、大助は地獄にいた。どうして、俺が地獄なんだ。それより、俺、死んだの?
 なぜに地獄なのか、それはあまりにも不条理、ほんに些細な罪とは言えぬ罪だった。
 バスに乗っていたほかのクラスメイトは、ここにいない。皆は天国なのか・・。俺だけかよ!

 そんな大助の前に、鬼のキラーK(長瀬智也)が現れる。
 キラーKは地獄のロックバンドのリーダーでギター&ボーカルであった。
 (バンドメンバーは、ドラムのCOZY(桐谷健太)、ベースの邪子(清野菜名))

 お話は、このキラーKと大助を軸に、地獄絵図の世界と生前の世界とを交互に描いていく。
 二つの世界を結ぶのは、大助の輪廻転生。大助はさまざまな動物となって何度も現世に現れる。そして現世で見たことを地獄以外には行けない鬼のキラーKに話す。
 (現世に比べて地獄の時間の歩みは遅く、地獄のちょっとした時間が現世では1年2年であったりする。結果、現世の未来へのタイムマシンの様相を呈する)

2-0_20180118103018cc6.jpg この舞台仕掛けの中、大助はあこがれの同級生ひろ美(森川葵)のその後を知り、またキラーKの彼女なおみ(尾野真千子)のその後も知ることとなる。それぞれの恋愛に共通するは純情恋愛物語。

 さて地獄では、ド派手なロックバンドの決戦が繰り広げられる。
 なぜか地獄にいる、大助の同級生・じゅんこ(皆川猿時)率いる地獄のガールズバンドは強敵であった。

 しかし、そんなことより、大助あこがれのひろ美ちゃん、キラーKのなおみちゃんのことが気にかかかるわけでありますが、映画はそれをちゃんと語ります。
 さらには、ついに大助は天国に行けたのですが・・・。(この天国の様子が可笑しいです。仏(荒川良々)、神(瑛蓮))

 兎に角、ひっちゃかめっちゃかなストーリーなのですが、宮沢りえ(20年後のひろ美)、烏丸せつこ(牛頭)、田口トモロヲ(馬頭)、みうらじゅんも出演しています。
 また、憂歌団の木村充輝(小鬼)や、ギタリストのChar(鬼)や、シシド・カフカ(地獄のガールズバンド・ドラマー)らも出ています。

 サウンドについて言えば、ハードロックな演奏が大半だが、キラーKがバンドを従えて大助に対して歌うファンキーな曲がいいし、大助の同級生で転落事故の生存者であったが40歳代になって不倫で地獄へ落ちた松浦(古舘寛治)が一人でキーボードを弾くシーンでのファンキーな演奏がいい。

監督・脚本:宮藤官九郎|2016年|125分|
撮影:相馬大輔|
下出演:関大助(神木隆之介)|キラーK、生前は近藤善和(長瀬智也)|近藤善和の彼女・なおみ、あだ名は死神(尾野真千子)|大助が想いを寄せる同級生・手塚ひろ美(森川葵)|COZY(桐谷健太)|邪子(清野菜名)|大助の同級生・じゅんこ(皆川猿時)|大助の同級生で生存者であったが不倫で地獄へ落ちた松浦(古舘寛治)キラーKからウェストバックと呼ばれる|閻魔大王のえんま校長(古田新太)|20年後のひろ美(宮沢りえ)|地獄のガールズバンド・ドラマー(シシド・カフカ)|地獄のガールズバンド・ベーシスト(清)|大助の母親(坂井真紀)|仏(荒川良々)|神(瑛蓮)|MOJA・MJ(みうらじゅん)|鬼ギタリスト(Char)|ジゴロック挑戦者(野村義男)|ジゴロック挑戦者(ゴンゾー)|地獄の軽音楽部(福田哲丸)|地獄の軽音楽部(一ノ瀬雄太)|地獄の軽音楽部(藤原一真)|地獄の軽音楽部(柳田将司)|歌うたいの小鬼(木村充輝)|鬼警備員(関本大介)|緑鬼(ジャスティス岩倉)|牛頭(烏丸せつこ)|馬頭(田口トモロヲ)|鬼野(片桐仁)|

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映画「断絶」(1971年) 監督:モンテ・ヘルマン

上3

1-0_20180124161343139.jpg
 The Driver(ジェームズ・テイラー)とThe Mechanic(デニス・ウィルソン)、この二人の男がアメリカの各州を放浪するアメリカン・ニューシネマ。
 オリジナルタイトルは「Two-Lane Blacktop」(アスファルト舗装道路)。

 彼ら二人が乗る車は、レース仕様に改造した1955年型シボレー。モンスターなエンジンを積んでいる。兎に角、速い!
 改造車マニアやスピード狂がどの州にもいて、直線コースでスピードを競うドラッグレースが各地で日常的に行われている。
 The DriverとThe Mechanicの二人は、そんなドラッグレースを渡り歩き、レースに勝って賭け金を得ては又、次のレースを求めて各地を巡るのだ。
 二人はレースに対しとてもストイックで、その生きざまはアウトサイダー。

 この話に華を添えるがThe Girl(ローリー・バード)という家出娘。ヒッチハイクで気の向くままに放浪している。
 ストーリーは、The Girlが1955年型シボレーに拾われて進んでいく。

2-0_20180124162908edf.jpg さらにはGM製マッスルカー、ポンティアック・GTOの新車に乗る中年男、G.T.O(ウォーレン・オーツ)が登場する。
 G.T.Oは何やら孤独を背負う中年。ヒッチハイクの人を乗せては、を繰り返しながら、行く当てもなくこいつも放浪している変人。
 The Driver、The Mechanic、The Girlの若いの3人が無口なのに対して、このおっさんはヒッチハイカーにその都度、有ること無いこと口から出まかせ、よくしゃべる。

 映画は、1955年型シボレー組とポンティアック・GTOの、一般道長距離レースを軸にゆっくり展開するが、話に起承転結はない。カーアクションを求める向きは肩透かしを食らう。(ただし、ラストシーンは意味深長だ)

 おそらく映画は、語られる話(=近景)の向こうにある、1971年のアメリカを感じ取ってくれと言っている。
 つまり、映画で表現される様々な中に、作者が思う1971年のアメリカが比喩的に表現されている。それをくみ取って観てみましょう。

 ちなみに、The Driver役のジェームズ・テイラー、The Mechanic役のデニス・ウィルソンは、ともに著名なミュージシャン。
 ついでに言うと、漫画家、大友克洋の作品「ハイウェイスター」は、この「断絶」にインスパイアされたと思う。1955年型シボレーは、1950年代のトヨペット・クラウンになっている。
オリジナルタイトル:Two-Lane Blacktop|
監督:モンテ・ヘルマン|アメリカ|1971年|102分|
原作:ウィル・コリー|脚本:ルディ・ワーリッツァー、ウィル・コリー|
撮影:ジャック・デールソン|
出演:The Driver:ジェームズ・テイラー|G.T.O:ウォーレン・オーツ|The Girl:ローリー・バード|The Mechanic:デニス・ウィルソン|

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一夜一話の “今日はソウルだよ” アレサ・フランクリン

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 今日はなんだか、70年代に入っての、スイートなアレサ・フランクリンが聴きたい気分。
 選んだのは「Let Me in Your Life」(輝く愛の世界)だよ。(1974年)
 もちろん、60年代のアレサも良いが、それはまたの日に。

 スイートとは言ったが、A面1曲目のイントロはなかなか躍動的。ミディアムテンポの16ビート、渾身の1曲だ。アレサがシャウトする。
 2曲目はアップテンポのダンサブルな曲。ブラスセクションもバックコーラスも頑張ってます。ノッテください。
 そして3曲目にスローなバラードが用意される。スイートなアレサ・フランクリンをじっくり聞いてほしい。
 4曲目はテンポを少しあげて、リズムは軽やか。ボビー・ウーマックの曲。
 5曲目はスティービー・ワンダーの曲。これも軽やか。いつまでも耳に残るいい曲だ。
 A面6曲目、このアルバム中、一番のスイート、とてもいい曲。古い歌で、多くの歌い手が取り上げている。

 さてB面に移る。B面はA面に比べて、かつてのアレサのアルバム寄りな内容。
 アレサのピアノが大きくフィーチャーされる曲があり、ソウルというよりもゴスペルっぽいバック演奏がある。
 これはこれでもちろんいいね。ライブでは新旧交えて歌われたんだろうな。
 7曲目はまさにそういう曲で、ゆったりとしたスローな曲。
 8曲目はこのアルバム中、一番のあかん。アレンジが酷くて、アレサが可哀そう。自作の曲なのにね。
 気を取り直す9曲目。ミディアムテンポの、アルバム中で最もゴスペル風なノリ。B-3のオルガンが入る。
 10曲目、のびのびと歌うスイートな歌。いいですな!
 ラスト、11曲目は、あの「ア・ソング・フォー・ユー」、レオン・ラッセルの曲。イントロはアレサのかわいいエレピ・ソロで始まる。
 アルバムB面の最後って、「あと1曲、レコードに入るけど、なんか曲、無い?」って感じってよくある話。
 この「ア・ソング・フォー・ユー」もそうなんだろうけど、なかなか良く仕上がっている。後半、4ビートになるのもシャレている。

 そう、言い忘れてたが、スタジオ・ミュージシャン連中が凄いね。(下記クレジット参照) ダニー・ハサウェイもいる。
 70年代に入って、こういう連中が新しいサウンドを作った。(もちろんアトランティックやプロデューサーがそうしたわけだが)
 つまりアレサ自身はそう変わってはいない。バックの音がスイートになった。
 当時は、このサウンド、新鮮でオシャレだったろうが、今現在になっても、基本、このサウンドはそのまま継承されているね。
 回し者ではないが、アマゾンで視聴できる。https://www.amazon.co.jp/Let-Me-Your-Life-Jewl/dp/B0018DPC7E

「Let Me in Your Life」(輝く愛の世界) 1974年
(A面)
01 "Let Me in Your Life"  (Bill Withers)
02 "Every Natural Thing"  (Eddie Hinton)
03 "Ain't Nothing Like the Real Thing"  (Nickolas Ashford, Valerie Simpson)
04 "I'm in Love"  (Bobby Womack)
05 "Until You Come Back to Me (That's What I'm Gonna Do)"  (Stevie Wonder, Clarence Paul, Morris Broadnax)
06 "The Masquerade is Over"  (Herbert Magidson, Allie Wrubel)
(B面)
07 "With Pen in Hand"  (Bobby Goldsboro)
08 "Oh Baby"  (Aretha Franklin)
09 "Eight Days On the Road"  (Michael Gayle, Jerry Ragovoy)
10 "If You Don't Think"  (Aretha Franklin)
11 "A Song for You"  (Leon Russell)

【 Personnel 】
Aretha Franklin - lead vocals (All tracks), acoustic piano (tracks 2, 5, 7-9), electric piano (tracks 10-11)
Gwen Guthrie - background vocals (tracks 4-5)
Donny Hathaway - acoustic piano (tracks 4, 6), electric piano (tracks 5, 8), additional keyboards (3, 7)
Bob James - organ (track 1), additional keyboards (3)
Chuck Rainey - bass (tracks 2, 5, 7, 9)
Ernie Royal - trumpet (track 10)
Deodato - arranger, electric piano (track 1)
Ralph MacDonald - percussion (tracks 1-4, 6-11)
Kenneth Bichel - synthesizer (track 5)
Margaret Branch - background vocals (tracks 2, 5, 7, 9)
Cissy Houston - background vocals (tracks 3-5)
Ann S. Clark - background vocals (tracks 2, 5, 7, 9)
Stanley Clarke - bass (tracks 1, 3-4, 6)
Judy Clay - background vocals (tracks 3-4)
Cornell Dupree - guitar (tracks 2, 4, 7-11)
Joe Farrell - tenor saxophone (track 2), flute (track 5)
Arif Mardin - producer (All tracks), string arranger (track 2, 4)
Rick Marotta - drums (tracks 1, 3-4, 6)
Hugh McCracken - guitar (track 5)
Pancho Morales - percussion (tracks 2, 7, 9)
Gene Orloff - concertmaster
Bernard "Pretty" Purdie - drums (tracks 2, 5, 7-11)
Sylvia Shemwell - background vocals (track 3)
Myrna Smith - background vocals (track 3)
David Spinozza - guitar (tracks 1, 3-4, 6)
Richard Tee - piano, electric piano, organ, keyboards (track 1,2,5,9-11)
Deirdre Tuck Corley - background vocals (track 4)
Willie Weeks - bass (tracks 8, 10-11)

映画「歌行燈」(1943年)  監督:成瀬巳喜男

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 話は明治の30年頃。
1-0_201801291259301d7.png 将来を期待されていた観世流の能楽師、恩地喜多八(花柳章太郎)がある事でしくじり、父親で家元の恩地源三郎に「二度と謡を口にするな」と言われ、勘当(破門)される。

 その後、喜多八はあてもなく東京を離れ、地方の盛り場で三味線を弾き、当時はやりの博多節を、客の求めに応じて歌う「流し」稼業に落ちていった。(博多節とは花柳界のお座敷唄。喜多八の様な稼業を博多節の「門付け」と言う。街を流し歩き、待合茶屋や呑み屋の前に立って唄い、客や芸者からお金を頂く商売)

2-0_20180129130102072.png 喜多八のしくじりとは、伊勢に住み名古屋辺りじゃ著名な謡曲の師匠、宗山という盲目老人を自殺に追いやったことであった。
 事の発端は、喜多八はじめ家元総出の名古屋公演の折り、ある客が喜多八の芸は未熟だと批判し、ついては「宗山先生に教えを請え」と言われたことから始まった。

 さて、無事に名古屋公演を終えた家元・恩地源三郎と、喜多八の叔父・辺見雪叟は、喜多八を伴い、骨休みにと前から計画していた伊勢に逗留する。これは喜多八にとっては好都合であった。
 宿に着いてのその夜、喜多八は宿をそっと抜け、宗山の家を探し出し、その家に上がり込んだ。

 俺は観世流家元の倅、恩地喜多八だ、田舎者の宗山とやらに、観世流の芸の高さを思い知らせよう。
 一方、盲目の宗山は突然の客人・喜多八を、駆け出しの能楽師と思い、自信たっぷりに謡を披露し始める。
 喜多八は鼓を打つかわりに、その謡に合わせて腿を叩く。そして徐々に、宗山の拍子を先導し、謡の息の間合いを縮めていく。 
 追い詰められて宗山は、ついに息が切れ畳に打っ伏した。(このシーンはお侍で言えば道場破りだ)
 宗山は喜多八に頭を下げ教えを請うとしたが、喜多八は意気揚々とその場を去った。振り返れば若気の至りであった。

 翌早朝、宿に新聞記者が押し寄せていた。宗山の自殺だ。
 家元・恩地源三郎は、記者たちの前で倅の喜多八の非を謝罪し、その場で即座に喜多八を破門にした。

 こうして博多節の門付けとなった喜多八は、三重県辺りで毎日をうつろに漫然と過ごしていた。
 そんなある日、喜多八は同業の門付け芸人・次郎蔵と出会い意気投合する。
 そして奇遇にも、この次郎蔵を介して喜多八は、宗山の娘・お袖(山田五十鈴)を知ることになる。

 父を亡くしたお袖は、親戚に家を追い出されて芸者になっていた。だが、不幸にもお袖に音楽の才が無い。三味も弾けぬ芸者は芸者と言えぬ。身を売るしかない。
 これを不憫に思う喜多八はお袖に舞を教えた。お袖は喜び懸命に習った。それは喜多八の思う罪滅ぼしでもあった。そしていつしか、ふたりに恋が芽生え始める。

 さて、家元・恩地源三郎は、一門に喜多八に優る謡の担い手が育たず悶々としていたが、それでも名古屋興行を決行した。
 そののち、源三郎は弟の辺見雪叟と再び、伊勢の宿にいた。二人はあらためて時の巡りを感じ、その思いを打ち払うべく、芸者でも呼ぼうか、となった。

 街の芸者たちは他の大きなお座敷に呼ばれていたのだろう。芸者置屋にただ一人残ったお袖が源三郎の座敷に呼ばれる。
 そこで、芸の無いお袖は、おずおずと源三郎に舞をみせた。
 さすが家元たちである。その舞の動作に観世流を直観する。これはまぎれもなく喜多八が教えたに違いない!
 そこに、この様子を庭の隅から見ていた喜多八が登場し、お袖は宗山の娘であること、そしてお袖を救い罪滅ぼししたことを話す。
 これを聞いた源三郎は破門勘当を許し、喜多八お袖はじめ叔父も喜び涙ぐむのであった。めでたしめでたし。

 原作者は泉鏡花。
 泉鏡花のあの、装飾音符連射の、艶ある幻想的表現、あれを映画にするのはとても難題。
 そして山田五十鈴の演技だが、1935年溝口監督「マリアのお雪」に、当時18歳で主演した山田五十鈴のあの素晴らしい演技とは、比べようがない出来。(「マリアのお雪」の記事はこちらから、どうぞ)
 別な見方をすれば、本作製作は昭和18年、戦争のさ中によくこんな映画が作れたものだと思う。戦意高揚の影響はフィルム上、「一億で背負へ、誉の家と人」というスローガンと下記の写真だけだ。(東宝のマークの下に東南アジアの地図)

 ちなみに、喜多八が歌う博多節が実にいい。(街の人々がそれを惚れ惚れと聴くシーンがある)
 最後にどうでもいいことだが、喜多八が東京から姿を消したあと、父親が言うセリフ。「たぶん、京都大阪か、あるいは伊勢近江あたりにいるんだろう」の、伊勢近江が気になった。特に近江だ。明治の頃、近江は今よりずっと栄えていたんだと思った次第。
監督:成瀬巳喜男|1943年|93分|
原作:泉鏡花 『歌行燈』|脚本:久保田万太郎 |撮影:中井朝一|
出演:恩地喜多八(花柳章太郎)|お袖(山田五十鈴)|喜多八の父・恩地源三郎(大矢市次郎)|喜多八の叔父・辺見雪叟(伊志井寛)|お袖の父・宗山(村田正雄)|門付け芸人の次郎蔵(柳永二郎)|ほか

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2年前・4年前・6年前の1月、一夜一話。(2016年1月・2014年1月・2012年1月の掲載記事です)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-01-31 Wed 06:00:00
  • 映画
2年前の1月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
2年前の1月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2016年1月 Archive)

6THCD5002.jpg
「非行少女ヨーコ」
監督:降旗康男
緑魔子,谷隼人,石橋蓮司
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「満員電車」
監督:市川崑
川口浩,笠智衆,川崎敬三
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「12モンキーズ」
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「トロピカル・マラディ」
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
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日本三名泉のひとつの
草津温泉へ行ってきた。

4年前の1月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
4年前の1月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2014年1月 Archive)

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「女と三悪人」
監督:井上梅次
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「東京ゴッドファーザーズ」
監督:今敏
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「百万円と苦虫女」
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「HYSTERIC(ヒステリック)」
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6年前の1月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
6年前の1月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2012年1月 Archive>

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やまなか

Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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