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2018年03月 Archive

映画「誘惑されて棄てられて」 イタリア映画  監督:ピエトロ・ジェルミ

上
ペッピーノとアニェーゼ

 「誘惑されて棄てられて」とは、なんとも悲しい題名ですが、これはビターなドタバタ・コメディです。
 お話は、シチリアに住む2人、16歳の娘アニェーゼとペッピーノが結婚に至るまでの、てんやわんやな物語。
 ただしラブロマンスではない。アニェーゼとペッピーノは互いに敵対しながらも、結婚してしまいます。なぜ?

1-0_2018030510014608b.jpg 脚本は監督自身の作。監督は本作の舞台、イタリアの離島シチリア島※の社会規範を喜劇仕立てで批判しています。(※シチリアはイタリアの自治州)

 そのシチリアの社会規範を体現する役回りが、アニェーゼの父親ヴィンチェンツォ。この喜劇の主人公です。
 家長であるヴィンチェンツォは、唯一の誇りである「名誉」を最優先にして生きる男。(シチリアの社会規範、その1)
 だから世間体を悪くすることには断固立ち向かうのです。

 さて、物語の切っ掛けは、アニェーゼの姉で太っちょのマティルドに、父が認める許婚(いいなずけ)のペッピーノがいるのですが、このペッピーノが美人のアニェーゼに手を出して妊娠させてしまったことでした。
 苦しむアニェーゼは教会で懺悔しますが、ことはどうにもなりません。
 ヴィンチェンツォにとっては、このことが世間に知れては、彼の名誉(家名、家長責任等)が大きく傷つきます。こうなったら、何としてもアニェーゼとペッピーノを結婚させなければ・・。

 一方、ペッピーノは開き直ります。婚約者マティルドをないがしろにして置きながら、婚前交渉を許したアニェーゼを尻軽女と罵り、俺はアニェーゼとは結婚しないと、彼の両親にわめきます。

 これを聞くに及んだヴィンチェンツォは怒り心頭、怒髪天をつく。アニェーゼも愛想が尽きました。
 姉のマティルドとの婚約は流れ、アニェーゼは今後誰とも結婚できないかもしれない。憎っくきペッピーノ!

 そこでヴィンチェンツォは、いとこの弁護士に極秘で相談します。
 弁護士は「これは未成年誘惑罪だ、ペッピーノはアニェーゼと結婚する以外に罪は免れない。しかし法の力で結婚させては噂の種になるだろ?」と言うと、「奴を殺す!」と怒鳴るヴィンチェンツォを制して「いや、それでは殺人罪で20年になる」
 しかしと、弁護士は刑法を読み上げる。
 「法には『自己の配偶者、娘、姉、妹が不法なる肉体関係を結ぶ時、これを発見し激昂の上殺害せる者は、3年以上7年の刑に処す』とある」と・・。
 つまり、シチリアでは「名誉を汚された」場合、殺人の罪はとても軽いのです。(シチリアの社会規範、その2)
2-0_20180305100559139.jpg
 ヴィンチェンツォは早速、気弱な長男アントニオに拳銃を持たせ、隠れ住むペッピーノを射殺しに行かせます。
 一方、これを知ったアニェーゼは警察に告げ、警察が現場に急行し二人を連行します。人殺しは回避できました。

 そして事件は殺人未遂事件として裁判になります。
 ペッピーノはアニェーゼはもとから淫乱な女だったと証言します。(そういうシーンが挿入されます)
 ま、とにかく、これは喜劇ですから、裁判シーンは可笑しく混乱します。何も解決しません。

 ヴィンチェンツォは、徐々に世間に漏れ出す不名誉にいら立ちを隠せません。
 そんななか、彼にひとつのアイデアが浮かび、ペッピーノ一家を巻き込んで、自力で解決しようとします。
 つまり、公権力に頼らず、自分の力で問題を解決しようとします。(シチリアの社会規範、その3)
 
 先に書いた通り、どの道、ペッピーノの未成年誘惑罪はアニェーゼと結婚する以外に罪を免れないのですが、しかし法の力で結婚したとなれば、ヴィンチェンツォは笑い者になってしまうわけです。
 これを切り抜けるアイデアは、ペッピーノによる強引な誘拐結婚という大芝居でした。衆目を集める狙いで、町の祭りのさ中に行われました。これでヴィンチェンツォに限らずペッピーノの両親も面目が立ったわけです。??
 その社会の人々にとって、正しく至極当たり前だとして、日々空気のように存在する「規範」が、おかしい事もあるわけです。
 それは本作のように、シチリア独特の風習や法律であったりします。広くみれば、その規範の範囲はひとつの国、あるいは、ある時代であったりします。

3_2018030510100064a.jpg ちなみに、姉のマティルドは父親から貧乏貴族の独身男性(→)を紹介されますが、ペッピーノ事件に翻弄されて貴族男は去りました。かわいそうにマティルドはその後、修道院に入ります。
 
 町の警察署で、壁に貼ってあるイタリア全土の地図を前にして、警部がシチリア島を手で隠しながら嘆くシーンが印象に残ります。
 もうひとつ印象に残るのは、アニェーゼ役の女優ステファニア・サンドレッリがとても妖艶。その後この女優は妖艶さが売りになったそうです。
オリジナルタイトル:Sedotta e Abbandonata
監督:ピエトロ・ジェルミ|イタリア|1963年|115分|
脚本:ピエトロ・ジェルミ 、ルチアーノ・ビンチェンツォーニ 、アージェ&スカルペッリ|
撮影:アイアーチェ・パロリン|
出演:アニェーゼ(ステファニア・サンドレッリ)|ペッピーノ(アルド・プリージ)|アニェーゼの父ヴィンチェンツォ(サーロ・ウルツィ)|アニェーゼの姉マティルド(パオラ・ビッジョ)|アニェーゼの兄アントニオ(ランド・ブッツァンカ)|ほか

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映画「宇宙人 東京に現わる」  監督:島耕二

上






 SF娯楽映画です。
 「宇宙人 東京に現わる」というチョット怖いタイトルですが、宇宙人地球侵略といった好戦的な話じゃない。

 我々よりずっと、科学的に文化的に進化した太陽系外の宇宙人・パイラ星人は、実は地球を案じてやって来たのです。
 しかし円盤がいきなり飛来し、地球は大騒ぎ。
 そんなわけで真意を伝えたいパイラ星人は、人間の姿に変身して東京の日本人に友好的にコンタクトをとろうとするのですが。
 
 それで分かったこと。
 パイラ星人が言うに「地球を観察していると、最近やたら地球のあちこちで核実験のキノコ雲が見られる。我々もかつて核を持っていたが廃絶した。地球人の未来を案じる我々は、地球人も核廃絶の道を選ぶように提言しに来た」と。(まるでノーベル平和賞を授賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の人のよう)
 「だから地球人のなかでも、広島長崎で悲惨な経験をした日本人と最初にコンタクトをとるのが一番だと考え、こうして話している」と。

1-0_20180308144029517.png 時を置いて次に分かったこと。
 地球人には発見できないほどにまだ遠くにいる天体R(彗星?)だが、いま刻々と地球に向かって高速で接近している、らしい。
 これは一大事!核保有各国はそれぞれに、そのすべての核爆弾を天体Rへ向けて発射し、天体破壊ないしはコース変更を試みたのですが、残念ながら天体Rに何の変化も起きませんでした。
 その間も天体Rは地球にどんどん接近し、今や肉眼でも見えだした。

 そこで、こりゃあかんと思ったパイラ星人は、世界でただ一人、ウリュウムという元素を発見し密かに研究する松田博士(山形勲)とコンタクトをとった。(パイラ星人も知らない発見だった)
 ウリュウムで作る爆弾は、原子爆弾や水素爆弾より破壊力があるらしい。
 パイラ星人は松田博士から研究成果を提供してもらい、地球近くの宇宙空間に浮かぶ母艦内で急ぎ爆弾を製造した。そして母艦からRへ向けて発射。Rは期待通り破壊された。
 かくしてパイラ星人は地球の危機を救ったのであった。(終わり)
 以上が話の核ですが、本作はSF娯楽映画ですので、パイラ星人という宇宙人らしさの強調、(SFによくある)科学者数人の懸命な働き、取り巻きの若い男女、無垢な子供たち、世間一般の驚き恐怖を中心に物語ります。

 話の顛末は至って単純なのですが、映画のあちこちに挿入される野外シーンが効果的で、映画を生き生きしたものにしています。センスの良さを感じます。

 本作製作年の1956年は、米ソともにまだ人工衛星を実現していませんので、実際はRへ確実に、核爆弾をロケット発射できなかったのでしょう。(たぶん)
 ちなみに1964年製作のスタンリー・キューブリックの映画「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」では、核爆弾はミサイルじゃなくて、まだ爆撃機B-52から「投下」していますね。(下線部から映画記事をご覧いただけます)

 また本作製作年の1956年とは、太平洋戦争(1945年)から11年経ったが、サンフランシスコ講和条約発効(1952年)からまだ4年しか経っていない。つまり国際社会の舞台に日本が復帰して間もないころ。まだまだ信用度は低かったろう。
 だからでしょうか、R天体破壊について、日本は海外各国に対し音頭をろうとするのですが、その外交姿勢は腰が引けていてドメスティック。内向的なのを感じました。
 ついでに言えば、日本の民間一般人が、観光目的で海外旅行が自由に出来るようになるのは、まだ8年も先。(1964年)
 そう考えると、観客は、東京に来て日本人に化けたパイラ星人の星よりも、外国のほうが遠い国と思って観ていたかもしれません。

 お話の結末のその後を考えると、Rに向けてすべての保有核爆弾を使いつくした核保有国は、また新たに核を製造するのでしょうね。
 一方、松田博士が発見したウリュウムについて、どこかの国がその研究成果を盗もうとするのでしょうか。(研究資料はR天体破壊後、破棄したということでしたが博士の頭の中にはあるわけです)
下2監督:島耕二|1956年|87分|
原案:中島源太郎|脚本:小国英雄|色彩指導:岡本太郎|美術:間野重雄|特殊技術:的場徹 、築地米三郎 、田中捨一|大映カラー使用作品
出演:磯辺直太郎(南部彰三)|磯辺徳子(目黒幸子)|磯辺徹(川崎敬三)|小村芳雄(見明凡太朗)|小村多恵子(永井ミエ子)|松田英輔(山形勲)|松田清子(平井岐代子)|天文台通信係(フランク・熊谷)|高島博士(河原侃二)|青空ひかり / 天野銀子(パイラ人)(苅田とよみ)|パイラ人第二号(八木沢敏)|パイラ人第三号(夏木章)|パイラ人第四号(津田駿二)|黒メガネの男(斎藤紫香)|ほか

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映画「ボッカチオ'70」 監督:マリオ・モニチェリ、フェデリコ・フェリーニ、ルキノ・ヴィスコンティ、ヴィットリオ・デ・シーカ

上







 イタリア喜劇映画です。
 4人の監督による4作品オムニバス。それぞれに主役の女優を立てて、その女性の奔放さを語ります。
 タイトル名「ボッカチオ'70」の「'70」は、本作製作年の8年後はこうなるかも、と語り、笑いを誘おうとしているのでしょうか。

 第1話「レンツォとルチアーナ」と第4話「くじ引き」は、イタリアの庶民層が主人公で、第2話「アントニオ博士の誘惑」は上流階級、第3話「仕事中」は貴族のお話。

1-0_20180310162557725.jpg いま観かえすと、第1話「レンツォとルチアーナ」が一番にいい出来だ。
 若い男女のレンツォとルチアーナのすなおさが清々しいし、1962年当時のイタリアのつつましい都市生活が垣間見れる。
 妊娠したと思い込んでの急ぐ結婚、親戚や職場に内緒で、会社帰りに立ち寄るようにして挙げるスピード略式結婚式と、この式を挙げる教会の要領いい対応。(ちなみに結婚行進曲は教会内にあるジュークボックスから流れる)

 式を挙げたその日から、新郎レンツォはルチアーナの狭い実家(アパートで5人家族)の一員となり、新婚を味わえないと嘆くレンツォ。結局、共稼ぎの2人が越した先は当時としては、未来をちょっと感じさせる新築高層のアパート。

 ふたりが勤務するビスケット工場、嫌な上司、退職金、転職、会計士資格試験準備、ローン返済計画、新婚旅行計画などのエピソードは、今も観る者の共感を呼ぶことでしょう。
 ふたりは引っ越し、転職し、レンツォは給料は少し上がったが夜勤の仕事。朝帰りの夫を待ってルチアーナは朝、出勤していきます。


20_20180310162707a53.jpg 第4話の「くじ引き」の主役はソフィア・ローレン。一般的にはこの第4話がお気に入りになるかもしれない。
 ソフィア・ローレン演ずるゾーエは、射的場の女。
 田舎のこの町で売られる闇くじで、これに当選するとゾーエとベッドを共にすることができる。だから町中の男たちはワクワク。
 今回のラッキー男は教会の童貞中年男、そしてゾーエの心を射抜いた男も現れる。イタリアの田舎の粗野を味わいましょう。

 第2話の「アントニオ博士の誘惑」は、初めて観ると意表を突いた話で、それなりに面白いかもしれないが、改めて観ると、社会的な道徳的な既成概念を単純化先鋭化していて(それで笑いを取ろうとしているが面白くない)、なかには偏見や差別につながる表現もあり、フェリーニ作だが駄作。
  
 第3話の「仕事中」は、ヴィスコンティの出自である貴族の「結婚」をテーマにした室内劇仕立ての話。
 まだ新婚の域なのに早や倦怠期中の夫婦、資金力ある貴族の親の庇護から抜け独立し、仕事をすると言い出した主人公プーペ夫人(ロミー・シュナイダー)のお嬢様的思いつき、娼婦と遊びそれが新聞ネタになった夫はプーペの親の金にすがる。
 そんな夫婦の駆け引きを描きます。
製作年:1962年|上映時間:165分|製作国:イタリア、フランス|
第1話レンツォとルチアーナ」 Renzo e Luciana
監督・脚本:マリオ・モニチェリ、共同脚本:ジョヴァンニ・アルピーノ、イタロ・カルヴィーノ、スーゾ・チェッキ・ダミーコ、撮影:アルマンド・ナンヌッツィ、主演:マリサ・ソリナス、ジェルマーノ・ジリオーリ
第2話アントニオ博士の誘惑」 Le tentazioni del dottor Antonio
監督・脚本:フェデリコ・フェリーニ、共同脚本:エンニオ・フライアーノ、ゴッフレード・パリーゼ、トゥリオ・ピネリ、ブルネロ・ロンディ、撮影:オテッロ・マルテッリ、主演:ペッピーノ・デ・フィリッポ、アニタ・エクバーグ
第3話仕事中」 Il lavoro
監督・脚本:ルキノ・ヴィスコンティ、共同脚本:スーゾ・チェッキ・ダミーコ、撮影:ジュゼッペ・ロトゥンノ、主演:ロミー・シュナイダー、トーマス・ミリアン、パオロ・ストッパ
第4話くじ引き」 La riffa
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ、脚本:チェーザレ・ザヴァッティーニ、撮影:オテッロ・マルテッリ、主演:ソフィア・ローレン

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一夜一話の “今日はジャズかな?”  ヴァイタル・インフォメーション

1_20180310214103f2b.png




 今日は、ヴァイタル・インフォメーションという4人組のアルバム、「Where We Come From」。
 このバンドは、CD販売の区分で言えば、ジャズのうちのフュージョンのジャンルになる。

 たしかに、音量控えめにぼんやり聴き流せば、普通のフュージョンかもしれない。
 でもね、ボリューム上げてサウンドの一皮をむくと、単なるフュージョンを越える素晴らしさが聴こえて来てくる。 下記のリンク先から試聴できます。※1

 メンバーの構成は、ドラム、ベース、ギター、キーボード。
 最初に注目すべきは、リーダーでドラムのSteve Smithが叩き出すサウンド。乾いた音で疾走感がある。凄くいい!
 このノリあるリズムは、Jeff Andrewsのベースと相まって、まさにニューオーリンズ・ファンクの「ミーターズ」※2のサウンドを感じさせる。これをルーツにしているね。
 くわえて、5、15曲目ではニューオリンズのセカンドラインのドラミングが登場する。

 かたや、ギターのFrank Gambaleは、バンドメンバーの中で一番ジャズ寄りのミュージシャン。
 “いかにも”のフュージョンの雰囲気は、こいつの和音やリード時のメロディラインが生み出している。
 とは言え、アルバムのあちこちで独創的なフレーズも聴け、彼ならではのいい味を出している。
 10曲目のサーフィンミュージック的?な曲では、アンティークな演奏をする。

 次は、先に言ったベースのJeff Andrews。
 ソウルやR&B系のベースラインを主に、ウッドベースに持ち替えての4ビートも難なくこなし、2、14曲目ではエレキベースのハイポジションでリードもとる。それはちょっとジャコ・パストリアス っぽい音色かな。

 さて残るは4人目、キーボードのTom Coster。こいつがとても面白い。
 楽器は、ハモンドオルガンのB-3、フェンダーローズと、アコーディオン。
 B-3のプレイは、聴いてすぐ思い出すのは、60年代のアメリカでよくあったハモンドオルガン演奏による楽しいインストルメンタル・ミュージックや、ソウル系のインストルメンタル・バンド「Booker T. & the M.G.'s」※3のオルガンだと分かる。親しみやすい明るいメロディを奏でる。(4、5曲目)
 もちろん、フュージョン的演奏やジミー・スミス風のジャズオルガンもやる。
 さらにはTom Costerさん、アコーディオンで「ザディコ」※4という米国のクレオール系黒人民俗音楽風な演奏をする。(5曲目)

 アルバム全体について追加して言うと、彼らは4ビートジャズもやるし(2、12、14曲目)、(3、6、9、13曲目)ではノイジーな音楽もやっている。
 そんなわけで、結局のところ「こいつら、何者?」と思うだろう。
 そもそもフュージョン(Fusion)のフューズは融合ということなので、ヴァイタル・インフォメーションというバンドは、幅広い音楽への関心と消化を基に、多要素が網の目のように入り込んだ、「シモフリ状態サウンド」を作りだした「フュージョン・バンド」ってことになる。(そうか)
※1 このアルバムの試聴は、こちらアマゾン。
   https://www.amazon.co.jp/Where-We-Come-Vital-Information/dp/B000009NSK

5_2018031114220537a.jpg
※2 ミーターズとはニューオーリンズ・ファンクの産みの親のR&Bバンド。
   ミーターズのサウンドが聴ける代表的なアルバム(LP持ってます)は、1stアルバム「The Meters」(1969年)
   下記リンク先で試聴できます。
   https://www.amazon.it/Meters/dp/B00005KB3W
※3 Booker T. & the M.G.'sとは、ソウルのレーベルであるスタックス・レコードの専属スタジオ・バンドでした。
   聴ける代表的なアルバムは、彼らのデビューアルバム「Green Onions」(1962年)
   下記リンク先で試聴できます。
   https://www.amazon.co.jp/Green-Onions-12-inch-Analog/dp/B000066AVF
※4 ザディコとは、アメリカのクレオール系黒人達が演奏するアコーディオン音楽。詳しくは下記参照。
   https://ja.wikipedia.org/wiki/ザディコ
「 Where We Come From 」 (1998)

Drums – Steve Smith|Bass – Jeff Andrews|Guitar – Frank Gambale|Keyboards – Tom Coster|
Producer – Vital Information

1 Dr. Demento 3:10|2 Moby Dick 8:20|3 Craniac Trilogy - Part 1: Transport 0:53|4 Listen Up! 4:53|5 Swamp Stomp 6:00|6 Craniac Trilogy - Part 2: The Extraction 1:10|7 First Thing This Morning 5:12|8 Take Eight 6:10|9 Craniac Trilogy - Part 3: The Implant 2:17|10 Bob 3:59|11 Cranial Joy: Completion 1:06|12 Happy House 2:30|13 Cranial Meltdown: Dementia 1:28|14 Blow Fish Blues 5:40|15 Sitting Ducks 5:20|16 Once In A Lifetime 10:43|17 008 7:11|

これまでに掲載したポピュラー音楽の記事は、こちらから





1年前・3年前・5年前の3月、一夜一話。(2017年3月・2015年3月・2013年3月の掲載記事)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-03-15 Thu 06:00:00
  • 映画
1年前の3月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  1年前の3月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2017年3月 Archive>

写真
「安珍と清姫」
監督:島耕二
若尾文子、市川雷蔵
写真
「いなべ」
監督:深田晃司
松田洋昌、倉田あみ
写真
「やくたたず」
監督:三宅唱
柴田貴哉、玉井英棋

写真
「ブロンドの恋」
監督:ミロス・フォアマン
チェコスロヴァキア
写真
「卵の番人」
監督:ベント・ハーメル
ノルウェー
写真
「GUMMO ガンモ」
監督:ハーモニー・コリン
アメリカ
「第三の男」
監督:キャロル・リード
映画音楽に魅せられて

写真
<さ行> の洋画
これまでに記事にした映画から
2017.3.19 現在
写真
“かつて、「21世紀」は
    素敵な未来だった。”

最近読んだ本
スティーヴ・ライヒ
   コンサートに行ってきた。
80th ANNIVERSARY 《テヒリーム》


3年前の3月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  3年前の3月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。(2015年3月 Archive)

写真
「荒野のダッチワイフ」
別題 「恐怖人形」
監督:大和屋竺
写真
「波影」
監督:豊田四郎
若尾文子、大空真弓
写真
「川下さんは何度もやってくる」
監督:いまおかしんじ
佐藤宏、水澤紳吾
写真
「午前中の時間割り」
監督:羽仁進
国木田アコ、蕭淑美

写真
「アパートの鍵貸します」
監督:ビリー・ワイルダー
アメリカ
写真
「ラブ・ジョーンズ」
監督:セオドア・ウィッチャー
アメリカ
写真
「彼女を見ればわかること」
監督:ロドリゴ・ガルシア
アメリカ
写真
「ヴィクとフロ、熊に会う」
監督:ドゥニ・コテ
カナダ
写真
「フェスティバル・エクスプレス」
1970年のロックコンサート
    ・ドキュメンタリー

写真
金沢に行ってきた。(その1)
新幹線金沢開業の直前
2015年3月
写真
金沢に行ってきた。(その2)
新幹線金沢開業の直前
2015年3月


5年前の3月に掲載した映画です。
  映画の画像をクリックしてお読みください。
  5年前の3月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。(2013年3月 Archive)

写真
「億万長者」
監督:市川崑
久我美子、山田五十鈴
写真
「任侠外伝 玄海灘 」
監督:唐十郎
李礼仙、根津甚八
写真
「荒川アンダー ザ ブリッジ
THE MOVIE」

監督:飯塚健
写真
「白い息/ファの豆腐・冬の日」
監督:久万真路・黒崎博
菊池亜希子、長澤まさみ
写真
「絶唱」
監督:滝沢英輔
浅丘ルリ子、小林旭
写真
「河内カルメン」
監督:鈴木清順
野川由美子

写真
「Bubble/バブル」
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
アメリカ
写真
「道中の点検 」
監督:アレクセイ・ゲルマン
ソ連
写真
「エイプリルの七面鳥」
監督:ピーター・ヘッジス
アメリカ
写真
「GO!GO!L.A. 」
監督:ミカ・カウリスマキ
イギリス
写真
「アンジェラ/Angela」
監督:レベッカ・ミラー
アメリカ
写真
「ゲンスブールと女たち」
監督:ジョアン・スファール
フランス
写真
「セカンド・サークル」
監督:アレクサンドル・ソクーロフ
ロシア
写真
「ブルーバレンタイン」
監督:デレク・シアンフランス
アメリカ




映画「幸せをつかむ歌」 主演:メリル・ストリープ  監督:ジョナサン・デミ

上

01-.png 女優メリル・ストリープが貧乏なロックミュージシャンを演じる映画。

 30歳代で離婚し、家庭を後にしたリッキー(メリル・ストリープ)が、その後20年間、家庭を一切顧みず、50歳半ばになって、ある事をきっかけに初めて家族と再会する話です。

 ある事とは、リッキーが産んだ娘ジュリー(メイミー・ガマー)が、ジュリーの夫の浮気が原因で精神的に参ってしまい出戻った事。
 ジュリーの引きこもりは激しく、元夫ピート(ケヴィン・クライン)や再婚の奥さんでは手におえず、ピートがリッキーにヘルプの電話をしたことから物語は始まる。

 あわせてこの映画、登場人物の設定を対極的に対比させ、階層社会の上と下や、成功者と敗者のコントラストをはっきりと見せます。
 ただし人生、幸せか不幸せかは、階層の上下ではないことも映画は語ります。

 その昔、リッキーはピートとの結婚後も3人の子を出産後もロックミュージシャンになる夢を抱き続けていた。かたや夫ピートはビジネスでの成功を目指していた。
 そして離婚後20年ほどが経ち、リッキーは貧乏バンド生活で格安モーテル住まいの独身。夫ピートはビジネスに成功し大邸宅住まい、富裕層の黒人女性を妻にし、妻はリッキーが産んだ子3人を育てあげた。

 もう少し、お話のことを言うと・・。 
 1970年から1980年代、ロックが一番輝きロックしていた頃、リッキーはピートと結婚した。
 リッキーはきっと育児や家事にも専念していたのだろう。(このころリッキーは白人中流以上の層にいた)
 しかしリッキーはロッカーになりたいという若いころからの夢を捨てきれず結局、夫婦の関係は崩れ、子たちを残して家を出た。
 
 その後、リッキーはアルバムを一枚出すまでには至ったが、あとが続かなかった。
02-.jpg そして今、ライブハウスでRICKI AND THE FLASHというバンドで歌っている。(演奏曲はこちら映画公式サイト、外部リンク)
 RICKI AND THE FLASHは、有名曲をカバーするしがないバンドだが、いい演奏をする。店の客も乗っている。
 リッキーは、バンドのギタリストのグレッグ(リック・スプリングフィールド)と、いい仲。互いにバツイチ似たような境遇。
 ライブハウスの客は、バンドメンバーたちと同じ50歳代、そして同じような下層生活レベル。また、バンドも客たちも、ごく普通に白人黒人が混じっている。

 一方、ピートはモーリーン(オードラ・マクドナルド)と再婚し、今や高級住宅街(ゲーテッドコミュニティ)に大きな家を構えている。
 ピート夫妻を取り巻く人々は上流階級の白人たちだけで、黒人は妻のモーリーンだけのようだ。
3-0_2018031821434115c.jpg リッキーが産んだ子たちは、出戻りのジュリー、ゲイのアダム、近々結婚するジョシュ。
 兄妹間の人間関係は悪いし、父親ピートとの関係も悪い。(継母モーリーンとの関係は描かれていない)
 そんななかにリッキーが20年のブランクののち急に現れたわけですから、ジュリーがリッキーを無視するのは当たり前。

 さてさて、お話はどう展開しますやら、それは観てのお楽しみ。ハッピーエンドで終わります。
 本作の監督ジョナサン・デミについて言えば、2008年の作「レイチェルの結婚」の方が出来がいい。題名下線部から記事をご覧ください。
オリジナルタイトル:RICKI AND THE FLASH
監督:ジョナサン・デミ|アメリカ|2015年|101分|
脚本:ディアブロ・コディ|撮影:デクラン・クイン|
出演:リッキー愛称リンダ(メリル・ストリープ)|元夫ピート(ケヴィン・クライン)|出戻った娘ジュリー (メイミー・ガマー)|リッキーの彼氏グレッグ(リック・スプリングフィールド)|ピートの妻モーリーン(オードラ・マクドナルド)|息子ジョシュ(セバスチャン・スタン)|ジョシュの結婚相手エミリー(ヘイリー・ゲイツ)|息子アダム(ニック・ウェストレイト)|

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映画「はじまりのうた」 監督:ジョン・カーニー

上

 今年に入って3か月間に観た映画のうちで、一番のいい映画。良く出来ている。
 ニューヨークを背景にしたラブロマンス映画として観ていいのですが・・。

1-0_2018032013400674e.jpg この映画の一番の魅力は、ソングライターを目指すグレタ(キーラ・ナイトレイ)が自作曲を歌うシーン。
 キーラ・ナイトレイが歌う、そのかすれ声の歌が朴訥で儚げで、なかなかいいのだ。
 そういうシーンはいくつもあるが、特に、
 映画冒頭、小さなライブハウスに客として座っていたグレタが、突然ステージで歌う羽目になるシーンの曲「ア・ステップ・ユー・キャント・テイク・バック」(1)(上の画像)と、
 別れた彼氏デイブに電話で聴かせる曲「ライク・ア・フール」(2)と、
 そして学生の頃にデイブの前で歌った曲「「ロスト・スターズ」(3)が良い。
 まず聴いてほしい。
 本作のオリジナル・サウンドトラック(HMV&BOOKS onlineの試聴こちら)の中の12曲目が(1)、7曲目が(2)で、5曲目が(3)です。

 作った歌が、まだ自分の中だけにいる時のガラス細工のような至福感((1)の曲)や、あたかも天からの啓示で歌が生れて輝くその一瞬の時の((2)の曲)や((3)の曲)に、思いを馳せて欲しい。(監督は歌作りを知っている人間だな)
 この3曲を聴いてグッと来なきゃ、この映画の良さの半分しか楽しめない。(と思う)

2-0_20180320134334f6b.jpg 次いでこの映画に、「ビジネスの成功に走る音楽業界」が「歌自身が持つ本来の魅力」を軽んじることへの苦言が、本作に織り込まれていることに注目したい。
 それは、音楽プロデューサーのダンと、ダンが創設したレーベル会社の社長サウルとの確執で表現されている。(これでダンはついに首になる)
 また監督は、音楽業界への苦言を、グレタと彼氏デイブとの恋愛関係にも影響させている。

 さてグレタとデイブとの関係だが、それは大学時代からの付き合い。ともに歌を作り歌うことが好きな軽音楽サークルの一員だった。
 グレタの作詞作曲の才能に嫉妬するデイブだったが、歌唱力はデイブの方が断然巧い。
 卒業後デイブはミュージシャンの道を歩み、ついにメジャーデビューを果たす。レコード会社はふたりが住む広いアパートも用意した。
 だがこの頃からグレタとデイブの間に亀裂が生じ始める。きっかけはデイブの浮気。デイブはグレタから去った。
 そして水面下でのもうひとつの亀裂は、売上至上志向の音楽業界がするサウンドプロデュースに対するふたりの意見の違い。

 デイブが去ったのちに、グレタは苦しい胸の内をその場で作った自作曲「ライク・ア・フール」(2)に託し電話でデイブに聴かせた。
 この事で、デイブは我に返り、結局グレタの元に舞い戻るのである。(改めてグレタの作る歌に惚れもした)
 そして我に返ったデイブは自身の新作アルバムに、学生時代にグレタが作った「ロスト・スターズ」(3)を入れた。

3-0_20180320140809341.jpg ふたりの再会時に、その曲をグレタに聴かせるのだが、グレタはそのアレンジが気に入らない。「この売れ線アレンジは私の歌に合わない」と。二人の関係は戻りそうにない。
 グレタ:「制作段階で曲の良さが消えちゃってる。この曲バラードなのにポップスになってるわ」
 「でもヒットさせたいだろ」「なぜ?」「君の作った曲が売れたらすごい」「だけど曲の良さが失われたら意味ないわ、曲は繊細よ」「でもライブでは盛り上がるんだ、一気にヒートアップする」「・・・・・」
 ラスト近く、デイブは女性ファンで満席のライブコンサートにグレタを招待し、「ロスト・スターズ」をグレタ風にギター弾き語りで歌って見せてみせた。観客は大いに感激している。
 グレタはこれをステージの袖で聴いたあと、会場を出、夜の街を自転車で走る、微笑みを浮かべて。

 ストーリーの構成が面白い。
 グレタがライブハウスで突然用意もなく歌う羽目になるシーン、映画はこの同じシーンをストーリーが進むなかで3度繰り返す。
 1度目は映画冒頭にあって、このシーンでグレタが無名のソングライターだと分かる。
4-0_20180320140943a52.jpg 2度目はグレタがいるライブハウスに、音楽プロデューサーのダンが偶然に居合わせ、グレタの自作曲に惚れるシーンとなる。
 この出会いは、ダンがグレタをシンガーソングライターとしてプロデュースすることへと発展し、また、歌に対するふたりのセンスが一致して、いつしか歳の差のある「淡い恋らしきもの」へと進む。
 3度目は次にいう話の帰着シーンとして出てくる。
 彼氏デイブと別れ、悲しみに沈むグレタを、学生時代からの音楽仲間で現在ストリートミュージシャンのスティーヴに救われるが、グレタは引きこもりがち。
 そこで、スティーヴが自分が出演するライブハウスにグレタを連れ出したことで3度目のシーンとなる。つまりスティーヴが突然、客にグレタを紹介し、座って聴いてい彼女を無理やりステージに上げたのだった。(上記画像のシーン)

5-0_20180320141057a4a.jpg そして映画はもうひとつのストーリーを用意している。
 グレタと音楽プロデューサーのダンは意気投合し、ダンのもとでアルバムのレコーディングが始まる。
 だが、そのデモテープは、ダンが創設したレーベルの社長サウルに否定されるが、グレタとダンはネットでアルバムを発表し、絶大なフォロー数と多くのダウンロード数を得ることになった。(ラストのエンディングまで観てね)
 そして次回のアルバムはヨーロッパで野外録音しようとか話は進むのです。



 ちなみに、グレタとデイブとダン、この三人の関係はどうなるか、気になるところ。
 デイブのコンサートのあとグレタは、ダンと一緒に好きな歌を聴き合った‎iPhone二股ケーブルを郵送でダンに送り返した。(巧い脚本!)
6-0_20180320141217c2d.jpg ついでに、グレタを助けるスティーヴにも注目してあげよう。いい男だよ。

 なにしろこの映画、多くのことを語っているので、例えばダンの家族の家庭不和に視線が行き過ぎると、映画の良さが見えてこなかったりする。
 とは言え、その家庭不和によって家を出たダンは精神的に参ってしまい、プロデューサーの仕事に専念できず、ヒット曲を産み出せないスランプにいた。そんな中で、酔っ払って街をうろついて、ふと入った店でダンはグレタと出会えたのであった。
 スランプ以前のダンはラップ・ミュージシャンをスターダムに押し上げたりと、著名なプロデューサーであった。そのラッパーはダンへの感謝の気持ちで、グレタのアルバムを制作する資金を援助するのである。
オリジナルタイトル:BEGIN AGAIN
監督:ジョン・カーニー|アメリカ|2013年|104分|
脚本:ジョン・カーニー|撮影:ヤーロン・オーバック|
出演:グレタ(キーラ・ナイトレイ)|音楽プロデューサーのダン(マーク・ラファロ)|グレタの彼氏デイブ・コール(アダム・レビーン)|グレタの学生時代からの友人スティーヴ(ジェームズ・コーデン)|ダンが創設したレーベルの社長サウル(ヤシーン・ベイ)|ダンの娘バイオレット(ヘイリー・スタインフェルド)|ダンの妻ミリアム・ハート(キャサリン・キーナー)|ダンがスターダムに押し上げたラップ・ミュージシャンのトラブルガム(シーロー・グリーン)|ほか


下


【 一夜一話の 歩き方 】


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一夜一話の “今日はモータウンだよ” マービン・ゲイ

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 今日の一枚(シングル盤)は、リズム&ブルースの楽しさを味わえる。
 マービン・ゲイの「スタボン・カインド・オブ・フェロー」、1962年の曲。
 (Stubborn Kind Of Fellow)

 まずは聴いてみて。
 ディスクユニオンのサイトにある試聴曲リスト(1曲目だよ)
 http://diskunion.net/black/ct/detail/XAT-1245298835

 シンプルで楽しい。ずっと昔から大好きな曲。
 女性バックコーラスが可愛らしく盛り上げてくれる。(マーサ&ザ・ヴァンデラスという3人組)
 ただしレコードでこの曲を聴くと、CDなんかで聴くよりもワイルドな印象で、とてもよろしい。
 マービン・ゲイはのちに、ソウルを歌うようになるが、私はリズム&ブルースの彼のほうがいい。

 このシングル盤のB面は「イット・ハート・ミー・トゥー」( It Hurt Me Too)、上記サイトの7曲目。
 こっちは、ポップス的な伴奏をバックに、マービン・ゲイはちょいとソウルな感じで歌っている。

marvin-fellow.jpg 実は私が持ってるのは、右のLPレコード。
 1960年代のLPレコードは、それまでにリリースしたシングル盤の寄せ集め集が普通だった。
 上記のディスクユニオンのサイトにあるのは、右のレコードの試聴リスト。

 このアルバムには10曲が納められているが、うちリズム&ブルースの曲は5曲だけ。
 試聴リストの2曲目「プライド・アンド・ジョイ」、3曲目「ヒッチ・ハイク」が、Good!
 4曲目「ゲット・マイ・ハンズ・オン・サム・ラヴィン」10曲目「アイム・ユアーズ、ユアー・マイン」は、まあまあ。
 あとの曲はと言うと、それはいわゆるポップスなんだ。
 レコード会社はリズム&ブルースだけじゃなく二股の売れ筋を狙っていた。
 ま、マービン・ゲイに限らず、リズム&ブルースやソウルを歌う多くの黒人歌手はポップスや時には4ビートの曲も歌った。

これまでに掲載したポピュラー音楽の記事は、こちらから。 


映画「未知への飛行」  監督:シドニー・ルメット

上
米ソ間のホットラインと米国大統領

 1964年製作の米ソ冷戦時代のSF映画。
 話は緊迫感がラストまで続き、112分一気に観せます。 

1-0_20180328172332b89.jpg アメリカ空軍のB-58爆撃機がモスクワに核爆弾(水爆)を投下するまでの話を、ホワイトハウス、ペンタゴン、ネブラスカ州オマハの戦略空軍司令部、およびモスクワへ進撃するB-58爆撃機の4者間で行われる指示/連携を描く一方、ホワイトハウスとソ連側とのホットラインでのやりとりを映画は観せていく。

 しかし、これはアメリカがソ連に仕掛けた戦争(奇襲攻撃)ではなかった。
 空軍司令部にある軍事情報集中センターの、電子機器モジュールの誤作動が原因で、モスクワ核攻撃の司令信号が、洋上上空にいた核爆弾搭載のB-58爆撃機へ発信されてしまったのだ。
 モスクワへ進路を取ったB-58編隊へ、軍司令部は慌てて交信しようとしたが、ソ連の常設の電波妨害で交信不能。
 そこでしかたなく、軍はB-58編隊を自軍ジェット機で撃墜しようとしたが、ジェット機は燃料切れで相次いで海に墜落。
 そうこうするうちに、B-58はある一線を越えてしまう。
 ある一線とは、進撃ルート途中のある一線を越えてしまうと、例え大統領であろうが、攻撃司令の解除が出来なくなる地点。
 つまり交信で攻撃中止を伝えたとしても、それは敵の仕業(偽情報)だとして信じるなと、空軍兵士は徹底的に教え込まれている。

 ホワイトハウス(その地下室)には、アメリカ合衆国大統領(ヘンリー・フォンダ)と通訳のバック(ラリー・ハグマン)の2人だけ。そしてソ連とつながる電話(ホットライン)がひとつ。(ソ連側については、映画は電話音声でしか表現しない)
 ペンタゴンや空軍およびソ連高官とのやり取りの中で、大統領が出した苦渋の決断は、B-58編隊撃墜をソ連へ依頼したことであった。

 ソ連軍は、ジェット戦闘機や地対空ミサイルなどで、B-58、4機を撃墜したものの、その4機はいずれも核爆弾を積んでいない機体であった。
 ソ連軍の攻撃をかわした、編隊長グレイディ大佐が乗る核弾頭搭載のB-58一機は、モスクワへと突き進む。
 ソ連側はもう打つ手が無い。B-58はあと数分でモスクワ上空に達するのであった。
 そして、ここで大統領がとった二つ目の苦渋の決断とは、ソ連を納得させるための驚愕の司令であった・・・。

 観終えて思うのは、米国大統領のこの最後の決断は、果たしてソ連の納得を得られるのだろうか。
 大統領の意思に反して、ここから米ソの核戦争が始まるのではないだろうか。
 
 核爆発による電磁パルス(EMP)発生で起こる電子機器の誤作動について。
 1950年代、核実験が行われた際、近くの米軍軍事施設の電子機器に不具合が生じたらしい。また1962年、太平洋上空での核実験で1400キロ離れたハワイで警報機、信号機の誤作動がみられたらしい。そして現在も各国で電磁パルスの軍事研究が行われているらしい。(2018.3.25朝日新聞、想定外を考える「電磁パルスで機器誤作動」)
 こんなことを想定すると、誤作動による、あるいは意図的に起こす誤作動で、今後、紛争が起きる可能性は大だ。

 1959年、アメリカをはじめとする西側との平和共存路線を模索してのフルシチョフの訪米(雪解け)も、1960年のU2型機事件※で米ソの平和共存は暗礁に乗り上げた。(1961年ベルリンの壁構築、キューバ危機と米ソの平和共存が崩れる)
 U2型機事件の4年後の本作は、(シリアスなSF映画であるだけに)、話は牧歌的に思える。

 本作と同年製作の、似たテーマの映画に、スタンリー・キューブリックの「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」があるが、これは喜劇仕立てであったがために救われている。(下線部から記事をご覧いただけます)

 ※U-2撃墜事件とは、1960年にソ連を偵察飛行していたアメリカ合衆国の偵察機、ロッキードU-2が撃墜され、偵察の事実が発覚した事件。その後、予定されていたパリでの米ソ首脳会談が中止されるなど大きな影響があった。(wikipediaによる)

オリジナルタイトル:Fail Safe
監督:シドニー・ルメット|アメリカ|1964年|112分|
原作:ユージン・バーディック 、ハーヴェイ・ホイラー著「未確認原爆投下指令/フェイル・セイフ」
脚本:ウォルター・バーンスタイン|撮影:ジェラルド・ハーシュフェルド
出演:アメリカ合衆国大統領(ヘンリー・フォンダ)|ブラック将軍(ダン・オハーリー)|グロテシェル教授(ウォルター・マッソー)|ボーガン将軍(フランク・オーヴァートン)|バック(ラリー・ハグマン)|グレイディ大佐(エドワード・ビンズ)|ラスコブ下院議員(ソレル・ブック)|カッシオ大佐(フリッツ・ウィーヴァー)|スウェンソン国防長官(ウィリアム・ハンセン)|コリンズ(ドム・デルイーズ)|フォスター(ダナ・エルカー)|ゴードン・ナップ(ラッセル・コリンズ)|

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2年前・4年前・6年前の3月、一夜一話。(2016年3月・2014年3月・2012年3月の掲載記事です)

  • Posted by: やまなか
  • 2018-03-31 Sat 06:00:00
  • 映画
2年前の3月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
2年前の3月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2016年3月 Archive)

写真
「かぞくのくに」
監督:ヤン・ヨンヒ
安藤サクラ、井浦新
写真
「牡蠣工場」
監督:想田和弘
ドキュメンタリー映画
写真
「みんなわが子」
監督:家城巳代治
中原ひとみ
写真
「旅するパオジャンフー」
監督:柳町光男
台湾のドキュメンタリー
写真
「おゆきさん」
監督:鍛冶昇
和泉雅子、笠智衆

写真
「情事」(1960年)
監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
イタリア
写真
「アイ ウォント ユー」
監督:マイケル・ウィンターボトム
イギリス
写真
「昔々、アナトリアで」
監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
トルコ

4年前の3月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
4年前の3月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。 (2014年3月 Archive)

写真
「老人の恋 紙の力士」
監督:石川均
丸純子、ミッキー・カーチス
写真
「日本の裸族」
監督:奥秀太郎
阿部サダヲ、松尾スズキ
写真
「FM89.3MHz」
監督:仰木豊
小沢仁志、松浦祐也
写真
「33号車応答なし」
監督:谷口千吉
池部良、司葉子、志村喬
写真
「幻の光」
監督:是枝裕和
江角マキコ、浅野忠信、内藤剛志

写真
「マルコヴィッチの穴」
監督:スパイク・ジョーンズ
アメリカ
写真
「キッチン・ストーリー」
監督:ベント・ハーメル
ノルウェー
写真
「エバースマイル,ニュージャージー」
監督:カルロス・ソリン
アルゼンチン
写真
「インポート、エクスポート」
監督:ウルリッヒ・ザイドル
オーストリア
写真
「コーヒーをめぐる冒険」
監督:ヤン・オーレ・ゲルスター
ドイツ
写真
「アンビリーバブル・トゥルース」
監督:ハル・ハートリー
アメリカ
写真
「パラダイス 神」
監督:ウルリッヒ・ザイドル
「パラダイス3部作(愛/神/希望)」より
写真
「パラダイス 愛、希望」
監督:ウルリッヒ・ザイドル
オーストリア

6年前の3月に掲載した映画です。
映画の画像をクリックしてお読みください。
6年前の3月の掲載記事全文をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。<2012年3月 Archive>

写真
「ロビンソンの庭」
監督:山本政志
町田康、太田久美子
写真
「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」
監督:吉田大八
佐藤江梨子,佐津川愛美,永作博美
写真
「芝居道」
監督:成瀬巳喜男
山田五十鈴、長谷川一夫

写真
「ボクと空と麦畑」
監督:リン・ラムジー
イギリス
写真
「さすらい」
監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
イタリア
写真
「女と女と井戸の中」
監督:サマンサ・ラング
オーストラリア
写真
「旅芸人の記録」
監督:テオ・アンゲロプロス
ギリシャ
写真
「ハッピー・ゴー・ラッキー」
監督:マイク・リー
イギリス
写真
「ちいさな哲学者たち」
監督:ジャン=ピエール・ポッジ他
フランス|ドキュメンタリー
写真
「ヤンヤン 夏の想い出」
監督:エドワード・ヤン
台湾
写真
「アメリカン・スプレンダー」
監督:シャリ・S・バーマン他
アメリカ
写真
「ローズ・イン・タイドランド」
監督:テリー・ギリアム
イギリス
写真
「BIUTIFUL ビューティフル」
監督:A・G・イニャリトゥ
スペイン
写真
「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」
監督:ブラッド・シルバーリング
アメリカ
写真
「昼間から呑む」
監督:ノ・ヨンソク
韓国
写真
「アナザー・デイ・イン・パラダイス」
監督:ラリー・クラーク
アメリカ


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プロフィール

やまなか

Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めてはや9年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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