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2018年06月21日 Archive

映画「北京好日」  監督:ニン・イン

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 現在進行形の(1992年当時の)、北京の街中の人々をドキュメンタリー風に活写する映画。
 登場人物はみな、京劇が三度の飯より好きなおじいちゃん達。
 塀沿いの通りの傍らに集まって、京胡(胡弓のような擦弦楽器)や太鼓、月琴など楽器を奏でる人達、代わるがわる自慢の喉を聴かせる人達。
 文革の世を生きてきたじいちゃん達はみな様々な労働者だったが、今は隠居の身。時間だけはある。

2-0_20180621140001726.png こんな一群に登場するのが主人公の韓(ハン)じいさん65歳。
 韓さんは京劇の劇場で長年、守衛をしてきた。
 とは言っても守衛・宿直業務以外に、劇場の事務方雑用や、出番前の(端役の)役者へ注意をしたり、舞台で虎のぬいぐるみに入ることもあった。つまり劇場と劇団の、陰ながらではあるが世話役といった立ち位置。そのすべてが韓さんの生きがいであった。
 そして定年。本人はまだまだ仕事を続けたいが、代わりの人も既に採用された。すなおに辞めるしかない。

 韓さんは独り住まい。連れ合いは先に逝った。否応なく定年後の日々が始まったが、さて、することがない。
 毎日出勤時間に家を出て、街をあてもなくうろつく。そしてある日、京劇好きな一群に出会った。

 韓さん、正直なところ、京劇の真似をして楽しむ事にさほど興味がわかない、それよりも、京劇好きな男たちの一群に対して世話役を名乗り出たい。これができれば、韓さんの生きがいの継続になる。
 韓さんは洋風ダンス教室をやっている会館を偶然見つけ、役所に京劇教室の申請をし許可が降りる。

 京劇好きのじいちゃん達は、韓さんのおかげで、寒風吹きすさぶ寒空の下で集まることもなくなると、みな大喜び。
 韓さんは韓さんで、歌う順序や運営ルールを決めたり、茶を用意したりと楽しそう。

 街の京劇コンクールにも出た。おじいちゃん達の数も増え、仲も深まり、そして一年が経とうとしていた。
 そんなある日に、歌う順序にルール無視で割り込むといった些細なことから、その場にいたおじいちゃん達も巻き込んで、大人げない喧嘩沙汰になる。韓さんは世話役を辞めると出ていった。
 その夜、会館ではおじいちゃん達が集まっていた。これまでやって来れたのは韓さんのおかげだ、喧嘩をはじめたお前は韓さんに詫びを入れろなどと話している。これを外から盗み聞きしている韓さんの表情は悲しそう。

 会館の利用は、もとから一年限りであった。みな、決まりが悪い別れとなってしまった。
 ラストシーン。塀沿いの通りに以前のように集まって、おじいちゃん達数人が京劇の演奏と歌を楽しんでいる。
 韓さんが通りの角からそおっと、その様子をうかがっている。そして、意を決した韓さんが皆の方へ向かって歩みだす。

 地味な映画ですが、こういうの好きです。
 出演者の大かたは素人だそうです。おじいちゃん仲間の中で唯一の若者(練炭町工場の雇われ役)は、ダウン症の障害のある方ですが、この人の存在が映画になごみを添えています。
 それと、製作当時の1992年から26年経った中国の急速な経済発展にあらためて驚く。
 この映画に登場したじいさん達も、きっとあの世で目を丸くしているだろう。

オリジナルタイトル:For Fun 找楽
監督:ニン・イン|中国、香港|1992年|93分|
原作:チェン・チェンコン|脚本: ニン・イン、ニン・タイ|撮影:シアオ・フォン、ウー・テイー、ヤン・シアオウェン|
出演:韓(ハン)じいさん:ホワン・ツォンルオ|喬万有(チアオ・ワンヨウ):ホワン・ウェンチェ|何明(ハー・ミン):何明|楊(ヤン)先生:ヤン・ヨウタン|董(トン)じいさん:ハン・シャンシュイ|王(ワン)じいさん:ワン・シューマン|

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やまなか

Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めてはや9年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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