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2018年11月 Archive

「カキフライが無いなら来なかった」, 「まさかジープで来るとは」 せきしろ, 又吉 直樹 (著) ・・最近読んだ本。

  • Posted by: やまなか
  • 2018-11-02 Fri 06:00:00
  • 書評
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 せきしろ, 又吉 直樹の両氏が詠んだ俳句の本。

 俳句と聞いて、即スルーしないで欲しい。
 例えば、本の題名、これがすでに俳句作品のひとつ。
 こういうのを、五七五の形式をとらないから、自由律俳句というらしい。

 どの句も、身の周りの断片を、普通の感覚ですくい上げている。
 「カキフライが無いなら来なかった」と、この句はつぶやく。
 すると何故か「ああ、そうだよね」と、思える。(話の前後の様子が分からないのに・・)
 これが魅力。
(共感し、ほっとする一瞬。ここがエンターテイメント)

 俳句は大きなフォントで表され、1ページに2句か3句、多くて4句。
 だから、ページが進む。
 そうすると、次々にいろんな情景が立ち現れ、ある種の疾走感。
 これが気持ちいい。
 そして心の底にある気持ちが、そっと騒ぐ。 


 
 思えば例えば、ある朝、着替えして、部屋を出、いつもの道を10分歩いて駅へ、電車に乗って30分、目的の駅で降り、ちょっと時間があるので牛丼屋で朝飯を食った、としよう。
 誰しも、この間に、道で、ホームで、車内で、店内で、何かを見て、一瞬何かを感じている。言葉にしないが・・。
 その言葉にしないが・・をこの本は、読者に代わって、巧みに「つぶやきの言葉」にしてくれている。 (悪口の「つぶやき」はありません)


 この2冊、図書館で見つけた。
 なんとなく、今風の詩か俳句か短歌が読みたくて、図書館の詩のコーナーに居たんだけれど・・。
 国語の授業で名を聞いた詩人俳人から俵万智あたりまで、たくさん本が並んでるが、手に取ってみると、どれも古臭く、特別な人の独特の世界観が面倒くさい。
 せきしろ, 又吉 直樹の句は、どちらかと言えば読者が新聞に投稿している川柳とかにに近い。
 しかし、その川柳は、型をなぞり、どこか気取っている感がする。

 取り上げた2冊は、両氏の撮った街風景の写真や散文も掲載されていて飽きさせない。
 気軽にどうぞ。どのページからでも読み始められます。



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映画「オンディーヌ 海辺の恋人」  アイルランド映画  監督:ニール・ジョーダン

上

 大人の世界と、子供の世界との境目から生まれた、人魚と漁師のラブストーリー。
 ハッピーエンドな話です。

1-0_201811071706266fe.jpg 漁師のシラキュースがある日、漁船の巻き上げ機で網を引き上げていると、魚と共に、なんと「女」が網にかかった。
 水死体だと思ったが、生きている。慌てて網から出した。
 ずぶ濡れの怯える女は、意識が戻り、オンディーヌと名乗った。(オンディーヌとは水を司る精霊、とっさの機転が利く女のようだ)

 シラキュースは女を病院に連れて行こうと、急ぎ港へ向かおうとしたが、女はそれを制して、誰にも会いたくないと言った。
 そこで一瞬考えたシラキュースは、彼女を世間からかくまうため、亡母が住んだ家のある、小さな入り江へ向かった。
 その家は、海べりに一軒ぽつんと建った、隠れ家のような粗末な あばら屋。
 シラキュースは、ずぶ濡れのオンディーヌをその家に置いてとりあえず去った。(家には亡母が残した衣服がある)
 この日から彼は頻繁にこの家を訪ねることになる。
 ある日、シラキュースはオンディーヌを乗せて漁に出る。するといつも不漁のロブスターが捕れ、刺し網ではないのにサケがたくさん捕れる、その不思議。


 シラキュースは港町に独りで住んでいる。
 妻とは別れた。同じ港町に妻は別な男と住んでいる。
 シラキュースの一人娘アニーは、その家にいる。

2-0_201811071715385bc.jpg だがアニーは実父シラキュースが大好き。
 二人が一緒の時、シラキュースはアニーに即興のおとぎ話をする。アニーはいつもそれを聞きたがる。
 そしてオンディーヌとの出会いののち、シラキュースはアニーに、人魚の話をした。

 聡いアニーは、その話をするシラキュースに何か変、と感じた。
 後日、好奇心旺盛なアニーはひとりで、あばら屋に行き、オンディーヌに会った。
 アニーはオンディーヌを人魚だと思い始める。

 さて、そのオンディーヌだが。
 実はヨアナというルーマニアの女で、なぜ、海で溺れかけていたのか?、それは観てのお楽しみ。

 話は、シラキュースの優しさと世渡りの疎さ、彼に芽生えたオンディーヌへの恋心、そして、それらにほだされ始める謎の女オンディーヌ。
 ですがオンディーヌはこの地に根を下ろす気は無かったようです。
 しかし結果的には、アニーがオンディーヌを人魚だと思う、その心の清らかさが、荒んだオンディーヌの心を打ったのでしょうか。オンディーヌはシラキュースのもとに留まろうとします。


 脚本は登場人物にリアルな色付けしています。
 シラキュースは2年前まではアル中で、港町に知れ渡ったアル中阿呆な男でした。
 その後、酒を断ったものの世を捨てていました。唯一の楽しみは娘のアニーといる時。
 そのアニーは、人工透析が必要な娘。車いすの生活です。
 シラキュースの妻はあばずれな女です。
 オンディーヌことヨアナは、ヤクの密輸にかかわる女。表に出しませんが世慣れした一面がある女のようです。
 そのほか例えば・・神父。シラキュースは信仰心は無いですが、教会の懺悔室は利用します、それを聞く神父がピリッと味を出しています。
 総じて、この映画、人物描写はおおげさでなく、地味。でも、その人となりが、さりげなく伝わってきます。巧い。
 加えて、映像の構図も素敵です。

 ちなみに、ヨアナの仲間があばら屋に押しかけます。ヨアナがブツを隠していると・・。
 これを回避できたのは結果的に、アニーとヨアナとが育んだ世界、人魚にまつわるファンタジーのおかげでした。
 そして、ヨアナの仲間の死が、幸いなことにアニーの腎臓移植につながりました。
 さらには、シラキュースとオンディーヌの心は再び通じ合うことになります。

オリジナルタイトル:Ondine
監督・脚本:ニール・ジョーダン|アイルランド、アメリカ|2009年|111分|
撮影:クリストファー・ドイル|
出演:オンディーヌ(アリシア・バックレーダ)|シラキュース(コリン・ファレル)|娘のアニー(アリソン・バリー)|ほか

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映画「イン・ハー・シューズ」  監督:カーティス・ハンソン

上
妹のマギー、祖母のエラ、姉のローズ


 性格と才能がまったく違う姉妹と、その祖母、女3人のそれぞれの幸せを見つける物語。
 アメリカンテイストな娯楽映画をお楽しみください。
 
0-1.jpg ローズとマギーは、仲が良い。そして共に、独身。
 二人の母は二人が幼い頃、交通事故死したらしい。父親は再婚し姉妹を育て姉は自立し今に至る。

 30歳を過ぎた姉のローズ(トニ・コレット)は、フィラデルフィアの大手法律事務所に勤める弁護士。
 仕事に没頭の毎日は、ある種の現実逃避。
 恋愛に縁が無いらしい、寂しい私生活とエッチな恋愛小説。
 買った上等なマンションの、ウォークインクローゼットには高価な靴がズラリ。ローズにとって慰みの靴たち。
 しかし最近、上司といい関係になったが・・。

 かたや、30歳を前にした妹のマギー(キャメロン・ディアス)は、美貌とナイスバディで男に不自由なし。
 結果、日々、夜遊び度重なる外泊と世間を浮遊する遊び人、ついに継母に実家から追い出される。
 性格は大雑把で楽天家。ファッションセンスは優れてる。
 だが発達障害※があって、店員やレジの仕事もできず、いつも金欠。
 (※読むこと暗算することがとても遅い、学校では特別支援学級だった)

0-2_20181111093116cf7.jpg 姉妹の(母方の)祖母、エラ(シャーリー・マクレーン)は、フロリダにいる。リゾートホテルのような高級な老人ホームに住んでいる。
 エラは今も、娘(姉妹の母親)のことで悔い続けているようだ。(姉妹の母親は映画に登場しない)
 実は姉妹の母親は交通事故死ではなく自殺だった
 エラはあの頃を振り返り、もっと何かしてあげていれば自殺には至らなかったと悔いているのだ。



 姉妹の母親は奇行の人であったらしい。(長女のローズは母親のそんな様子を少しだけ覚えている。マギーは赤ちゃんだった)
 幼い姉妹にとって、母のおかしな振る舞いは楽しかったが、父親にとっては耐え難かったのだろう。
 そんな母親を懸命にかばったのがエラだった。だから、エラと姉妹の父親はいがみ合っていた。

 母の死後、父親はすぐに姉妹からエラを遠ざけた。その後は姉妹は祖母と会うことはなかった。
 だから、幼い姉妹は、祖母はとうに死去したと思っていたのだ。

 さて、お話はどう進んで行くかは観てのお楽しみ。

オリジナルタイトル:In Her Shoes
監督:カーティス・ハンソン|アメリカ|2005年|131分|
原作:ジェニファー・ウェイナー|脚本:スザンナ・グラント|撮影:テリー・ステイシー|
出演:マギー・フェラー(キャメロン・ディアス)|ローズ・フェラー(トニ・コレット)|エラ・ハーシュ(シャーリー・マクレーン)|サイモン・スタイン(マーク・フォイアスタイン)|エイミー(ブルック・スミス)|トッド(アンソン・マウント)|ジム・ダンヴァーズ(リチャード・バージ)|サイデル・フェラー(キャンディス・アザラ)|マイケル・フェラー(ケン・ハワード)|グラント(エリック・バルフォー)|

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気に入ってる、最近の映画。(アジアの映画編)

写真
「花嫁と角砂糖」
結婚式に集まった一族郎党の群像劇。
人々が各々に人生を背負い、ここに集
う様をうまく描いている。これでイラ
ンの家庭料理の匂いがすれば最高。
イラン
監督:レザ・ミルキャリミ
写真
「スタンリーのお弁当箱」
ムンバイの小学校がお話の舞台。クラ
スの中に貧富の差がある。その度合い
を示すのがお弁当の内容と量。でも待
ちに待ったお昼時になると、みな夢中!
インド
監督:アモール・グプテ
写真
「ハーモニー・レッスン」
やくざの世界に通じる18歳の生徒が全
校を支配する中、低学年が公然と虐め
に会い、さらには13歳の少年が殺人事
件に巻き込まれ自白を迫られるが…。
カザフスタン
監督:エミール・バイガジン
写真
「コインロッカーの女」
バイオレンスな裏の世界と短く儚い初
恋を描くアクション映画。最後まで飽
きさせない娯楽作品。しっかりした構
成よく書き込まれた脚本。パワフル!
韓国
監督:ハン・ジュニ
写真
「恋物語」
女性同士のLove Story。女性監督なら
ではの心細やかな描写。ユンジュとジ
スの揺らぐ心の機微を上手にすくい上
げる。脚本への緻密な配慮も伺える。
韓国
監督:イ・ヒョンジュ
写真
「ブンミおじさんの森」
おじさんが住む一軒家は精霊たちが住
む深い森。日が暮れると闇の中に浮か
ぶ舟の様。森のすべての生死・輪廻転
生を包み込んでいるのはアジア的風土。
タイ
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
写真
「光りの墓」
突然の発作後ひたすら眠り続ける不可
思議な難病。この患者が何人も収容さ
れる病院。光る医療機器の不思議感。
患者や死者と交信する女。古代と現代。
タイ
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
写真
「マンダレーへの道」
ミャンマーからタイへ不法入国した男
女のラブストーリーと別れを描く。不
法滞在者が得るのは長時間労働を強い
られる厳しい職場。芽生える恋、だが。
台湾、ミャンマー
監督:ミディ・ジー
写真
「昔々、アナトリアで」
トルコ東部の果てしなく続く丘陵風景
の中で語られる荒涼としたロードムー
ビー、そして関係者たちの群像劇。映
像の文筆力が飛びぬけて素晴らしい。
トルコ
監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
写真
「記憶が私を見る」
観る者の感性が試される映画かも。何
んでもない日常の奥にひっそり佇む精
神の有り様、感情の細やかさを僅かな
台詞で静かに描いて映画にしている!
中国|製作:ジャ・ジャンクー
監督・主演:ソン・ファン
写真
「最愛の子」
実話が基の話。3歳の一人息子の誘拐
事件。中国では子供の誘拐、売買が多
発、年20万人もの子供が行方不明にな
る。この世情を背景に親たちを描く作。
中国
監督:ピーター・チャン
写真
「妻の愛、娘の時」(相愛相親)
母の遺骨を父親が眠る故郷の墓に埋葬
しようとするが故郷に住む父の先妻に
断固反対される喜劇的な話。場面の切
り返しに独特のリズムがあって好印象。 
中国
監督・主演:シルヴィア・チャン
写真
「苦い銭」
市井の人々のありのままを、それも広
大な国土の極一点の様子を描いたドキ
ュメンタリーだが「中国の今」をしっ
かりと感じとれるのはこの監督の魅力。
中国
監督:ワン・ビン
写真
「普通の家族」
マニラの街中でストリートチルドレン
として育った16歳のジェーンと17歳の
アリエスの物語。二人の間に子が生ま
れ、母は強しの苦労の日々。
フィリピン
監督:エドゥアルド・ロイ・Jr




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プロフィール

やまなか

Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めてはや9年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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