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映画「幻影師アイゼンハイム」  監督:ニール・バーカー

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組1-0









  この映画は、おとぎ話だ。
  現実世界の実写やサスペンスがあっても、妖精やドラゴンや子供が出てこなくても、おとぎ話は成立します。 ま、こんなことを言わなくても、「幻影師アイゼンハイム」には、お姫様と、いい王子様に悪い王子様と、魔法が登場する。
  おとぎ話に、どうして? なぜ? の説明は無い。 その展開は唐突でブッキラボウで強引だ。  敢えて言えば、その強引さをも楽しむのが、おとぎ話を楽しむ お作法。

  舞台は、今から100年以上前、19世紀が終わろうとするウィーン、らしい。
  それまでの古い世界観と伝統、そして20世紀の未知が交差する時代。様々な言葉を話す人々が集まる都。 幻想的なマジックショーで人気を博すアイゼンハイムは、若いころ、世界を放浪して東洋のダークで深淵な秘術も学んだ。そして、のちにウィーンに来た。
  そんなマジックの種明かしをたいと思う好奇心の一方で、観客たち民衆は、時の権力を恐れない もの言いをするアイゼンハイムを慕い、庶民の心がわかるリーダーとして信奉しはじめた。警察は治安や秩序を乱す者として制圧を加え始める。

  警部からの報告を聞いた皇太子レオポルドは、アイゼンハイムに関心を持った。婚約者の公爵令嬢ソフィを同伴してアイゼンハイムのショーを観に行く。 近代的な現実主義者のレオポルドだが、人々のアイゼンハイムへの人気と信奉に、いささかの嫉妬を覚えていた。だから、民衆の前で、アイゼンハイムのトリックを暴露したかった。
  レオポルドは、婚約者のソフィをマジックの協力者としてステージに上げてみたが、トリックは分からなかった。

組2-0  後日、アイゼンハイムが皇太子主催のパーティに呼ばれた折に、レオポルド自身がステージに上がり、あらかじめ準備していないマジックをやれと迫る。アイゼンハイムは、平然として皇太子の剣を借り、その剣を床に突き刺し、アーサー王伝説よろしく、この剣を抜いた者が次の王になると言った。パーティ招待客も皇太子の側近も剣を抜けない。レオポルドの番になるが、やはり抜けない。彼は、アイゼンハイムをにらんだ。そして、やっと剣は抜けた。この夜、パーティ会場にいた多くは、密かにアイゼンハイムに拍手を送った。それがまたウワサとなって世に広まる。

組2-000  このあたりから、話はぐっと展開しだす。
  婚約者の公爵令嬢ソフィは、実は、アイゼンハイムとは幼なじみで、その昔、二人は身分を越えた愛を交わしていたが、侯爵家はふたりを結ぶ赤い糸を断ち切った。それから10数年後、まったくの偶然の再会であった。そして、ソフィは、未だに皇太子との婚約に躊躇していた。それには、秘密があった。

  ソフィがとるアイゼンハイムとの親交に、レオポルドは嫉妬を隠さない。強権を使ってアイゼンハイムを追いやるが、そうすれば するほどに、ふたりの心に愛が育った。そしてアイゼンハイムは、ステージで披露する以上のトリックを実行し始めるのであった。 そんなある日、怒り狂うレオポルドはソフィに・・・。 そして、どんでん返し。

組3-0  幻影師アイゼンハイムのマジックはトリックなの?魔法なの?とか、皇太子レオポルは本当に悪い王子様なの?とか、ソフィ発見の現場検証や検死とかを、あれこれ言っちゃ、ダメ。はじめに言ったとおり、お作法に反します。この映画は、お姫様と、いい王子様に悪い王子様と、魔法が活躍する、おとぎ話なんです。ただし、大人のおとぎ話ですから、そこんとこ、よろしく。

  アイゼンハイム、ソフィ、レオポルドに加えて4人目の登場人物、ウール警部が、肉屋のせがれである彼が、この映画を大きく支えます。
  皇帝とウィーン市に対する警部の忠誠心と、庶民の近代化の芽生えへに対する彼の共感、そして職務としての真実解明、この三つの間で揺る彼の心がペン先となって、物語の行方を、アイゼンハイムとレオポルドの立ち位置を、物語ることになります。なかなか重要な役回りです。ご注目!
  
オリジナル・タイトル:The Illusionist
監督・脚本:ニール・バーカー|アメリカ、チェコ|2006年|109分|
原作:スティーブン・ミルハウザー|撮影:ディック・ポープ|
出演:エドワード・ノートン(幻影師アイゼンハイム)|ポール・ジアマッティ(ウール警部)|ジェシカ・ビール(公爵令嬢ソフィ)|ルーファス・シーウェル(皇太子レオポルド)|エドワード・マーサン(興行師フィッシャー)|ジェイク・ウッド(ヤルカ)|トム・フィッシャー(ウィリグート)|アーロン・ジョンソン(若きアイゼンハイム)|エレノア・トムリンソン(若きソフィ)|カール・ジョンソン(医者/老紳士)|

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