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映画「愛しのタチアナ」  監督:アキ・カウリスマキ  フィンランド映画

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  実にいい映画だ。 上質な喜劇です。
  一見、素っ気ないまでの態度を示す作品かも知れない。
組1-0new  しかし、そう感じるとすれば それは、手取り足取りサービス過剰な映像の観すぎだろう。
  「愛しのタチアナ」、この映画の完成度は、様式美の領域にある。

  自宅で、女物の服を手慣れた手つきで仕立てるヴァルト。
  母親の仕事を引き継いだ。大きな体に小さなミシン。
  これから始まるこの物語は、そんなヴァルトが見た、内気な彼の夢の話か。

  ある日突然、俺は家を出るんだ。
  急ぎの注文、母のこと全部打ち捨てて、男の旅に出る。
  しかし出るには、金が要る。仕方ない、親をクローゼットに押し込んで、その隙にハンドバックから有り金全部いただこう。
  まずは、こんな日のために準備しておいたモノを取りに行く。それは、母に内緒で郵便局留めにしておいたドライブ用のドリップ式コーヒーメーカーだ。

中2  なにしろ俺は、カフェイン中毒で、一時もコーヒーカップが離せない。
  一方、アル中のレイノ (マッティ・ペロンパー) は、いつもウォッカのビンを手離さない。
  そのレイノは、いい加減な自動車修理をやっている。
  早速、彼に預けて置いた車を取りに行って、俺とレイノはこの町を出た。
  車中、やつは隣りの席でウォッカ片手に、さっきから 大声出してエンドレスな馬鹿話。もちろん、俺は黙って運転だ。




中1  そのうち夜が更けて、立ち寄った店で女がふたり、ヘルシンキの港まで乗せてくれと言うんだ。
  片方は、エストニアの女・タチアナ(カティ・オウティネン)、もうひとりはポッチャリした女でロシア人のクラウディア。
  ふたりはフィンランドに出稼ぎに来て、これから国へ帰るところ。


中3  今夜は、ホテルに泊まる。
  まず、レイノとふたりだけでホテルに入って行って、シングル2部屋でチェックイン。それから、女2人がホテルに入ってくる段取り。たぶん、受付の女は、見逃してくれる。

  そして、何故か、話のこのあたりから、俺の思う通りに行かなくなるんだ。
  成り行きのことだったのかも知れないが、荷物を持って部屋に向かうレイノの後をタチアナがすっと付いて行き・・・、これで自ずと部屋割りが決まってしまった。結果、俺はロシア女と部屋を共にすることになる。
  さて、ホテルのレストランで4人で食事したいところ。だが、金がない。
  ドリンクとタバコだけでも、楽しい会話をしたい。しかし、俺もレイノも、女向けの話題を持ち合わせていない。ダンスも出来ない。だんまりを決め込むしかなかった。(記事冒頭の写真)


組2-0-1組2-0-2  そこへ、追い打ちをかけるように、レイノが 「もう寝る」 とガキみたいなこと言って、席を立つんだ。
  そう、ここを聞いてくれ、レイノのやつ、テーブルの隅に置いてあったタチアナのカメラをそっと奪って部屋に行った。
  だから、タチアナはそうかと思って、すぐに席を立ってやつの後を追ったわけ。
  残された俺は、ロシア女と気まずい場を取り繕うはめに。 さっきから、このスチームの調子が、どうもおかしい・・・。


  ま、しかし、一夜明けた。
  その日は、一日走り続けて、夜になってヘルシンキにたどり着いた。
  女2人は、明日ここからフェリーで、エストニアの首都タリンへ渡る。
  気を遣ってタチアナとクラウディアは、我々ふたりにサンドイッチとティを奢ってくれた。
  彼女たちも、金の余裕はなかった。その小さなサンドイッチは4等分されて、まるでカナッペのようだった。  



組3-0  さてさて、車中泊の夜が明ける。
  4人は、埠頭でお別れの挨拶。女たちは、大きなフェリーの中へと消えて行った。
  その時、レイノが言った。「まだ、金はあるか?」 と。 
  お人よしの俺は、少しはあると言ってフェリーの切符を2枚買い、車ごと乗船。海を越えタリンの港に着く。
  ここで長距離列車に乗るクラウディアを見送った我々3人は、車でタチアナの家へと向かった。そして、やつは いみじくも言った。
  「俺と彼女は、ここに残る。」と。 あっそ。

  俺はひとり、来た道を引き返し、親を押し込めたクローゼットの戸を開けた。      

下01オリジナル・タイトル:TAKE CARE OF YOUR SCARF, TATIANA
監督:アキ・カウリスマキ|フィンランド|1994年|62分|
脚本:アキ・カウリスマキ、サッケ・ヤルヴェンパー|撮影:ティモ・サルミネン|
出演:ヴァルト(マト・ヴァルトネン)|レイノ(マッティ・ペロンパー)|タチアナ(カティ・オウティネン)|クラウディア(キルシ・テュッキュライネン)|ホテルの受付(エリナ・サロ)|ヴァルトの母さん(Irma Juni Lainen)|






ラスト◆ 映画に出てくる、古き良き時代の 「カー・レコードプレーヤー」 の音を聞いてみよう。
  シングル盤をプレーヤーのスロットに押し込んで、オールディーズ・ロックンロールを、下記URLから どうぞ!

  http://www.youtube.com/watch?v=4ou7QJxXLfs
  (外部リンクですので、今後リンク切れが生じる可能性があります。)

 アキ・カウリスマキ監督作品 ~ 一夜一話から

「カラマリ」       「パラダイスの夕暮れ」       「ル・アーヴルの靴みがき」
「カラマリ・ユニオン」             「パラダイスの夕暮れ」            「ル・アーヴルの靴みがき」

「真夜中の虹」        「GO!GO!L.A. 」
「真夜中の虹」                  「GO!GO!L.A.」 
                           監督の実兄・ミカ・カウリスマキ監督作品
                           ヴィンセント・ギャロ、ジュリー・デルピーが出演

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やまなか

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

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