Home > 洋画評だけ見る 直近50作 > 映画「さすらいの女神(ディーバ)たち」  監督:マチュー・アマルリック

映画「さすらいの女神(ディーバ)たち」  監督:マチュー・アマルリック

上          上2

  アメリカのヌードショー一座がフランスを興行している。
  ユーモアたっぷりの楽しいショーだ。
  彼女らをフランスに連れてきたのは、ジョアキム(マチュー・アマルリック)というフランス人座長。
中0  ジョアキムは、座員一人ひとりに暖かい気遣いをする男。彼女たちが自分で考えたショーのアイデアやコスチュームを尊重してくれる。他の座長だと頭ごなしの命令ばかりだが、彼は違った。彼女たちは、ジョアキムのそんな人徳を慕って喜んで彼に付いて行くし、一座はいつも笑いが絶えない。
  各地のキャバレーを転々と巡っている。興行は、今のところ成功だ。
  時に、「今夜はここに泊まる」と言って、高級ホテルのロビーでダンサーたちを驚かす。みんなの興行疲れを癒やしたい、ジョアキムのサプライズ。
  
  このジョアキムという男、実はフランスの放送業界を追放されたプロデューサーであった。業界は、彼独特の尖がった感性は認めつつも、業界の掟や業務プロセスをまったく鑑みない彼の態度を許さなかった。
  おまけに口が悪い。人と会う時、彼は挨拶代わりに相手を批評し、相手の弱点をつつく。女癖も良くなかったようだ。そんなゴタゴタが、今も大きなしこりとなって業界内に残っている。結果、業界周辺で彼を良く言う人はいない。だから、ジョアキム念願のパリ興行は実現しない。
  それにしても、一座にいるジョアキムは別人のように穏やかだ。しかし時折、ダンサーに対して鋭い物言いが出るが、彼女たちは全くもって動じない。それは、長年ダンサーとしてやって来た彼女らの自信と、ジョアキムに対する信頼からくるのだろう。
  この一座は、彼が行きついた楽園であった。

  この映画は、ダンサーたちのどっしりとした存在感と、その明るさで成り立っている。
  それもそのはず、彼女らはヌードダンサーが本業。だから、飾らない演技が生きている。役を作る俳優では、こうは行かない。ステージのシーンも多いが、彼女らの素の演技を愛でる映画。特に、ミミ・ル・ムー役のミランダ・コルクラシュアがいい。ジョアキム役で監督のマチュー・アマルリックは、脇役である。
  残念なのは、脚本が弱い。放送業界との軋轢、離婚した子達との関係、ラストシーンの落としどころが中途半端。だが、一方でガソリンスタンドでのシーンなど光るものはある。脚本もチュー・アマルリック。
  彼の演技を褒めるとすれば、映画 「潜水服は蝶の夢を見る」。この映画のレビューは、こちらから、ご覧ください。 いい映画です。

組0オリジナル・タイトル:Tournée
英語タイトル:ON TOUR
監督:マチュー・アマルリック|フランス|2010年|111分|
脚本:マチュー・アマルリック、ラファエル・ヴァルブリュンヌ|撮影:クリストフ・ボーカルヌ|
出演:ジョアキム・ザンド(マチュー・アマルリック)
ミミ・ル・ムー: 白い羽を使うダンサー(ミランダ・コルクラシュア)|
キトゥン・オン・ザ・キーズ: ピアノと歌(スザンヌ・ラムジー)|
ダーティ・マティーニ: 紙幣を食べるパフォーマンス、蜘蛛の巣のパフォーマンス(リンダ・マラシーニ)|
ジュリー・アトラス・ミュズ: 切断された腕のパフォーマンスと大きな風船のパフォーマンス(ジュリー・アン・ミュズ)|
イーヴィ・ラヴェル(アンジェラ・ドゥ・ロレンゾ)|ロッキー・ルーレット: 一座の男性ダンサー(アレクサンドル・クレイヴン)|ユリス:ジョアキムのアシスタント(ユリス・クロッツ)|フランソワ: ジョアキムの昔の仲間(ダミアン・オドゥール)|ガソリンスタンドの女性(オレリア・プティ)|キャバレーの支配人(アンドレ・S・ラバルト)|シャピュイ: ジョアキムとフランソワの昔の上司(ピエール・グランブラ)|スーパーのレジの女性(アンヌ・ブノワ)|シャピュイの舞台女優(ジュリー・フェリエ)|


カリフォルニア・ドールズ 女子プロレスの映画 「カリフォルニア・ドールズ」 はいかが? <お薦め>
  
  各地を興行してまわるロードムービーでもある。
  手に汗握るリング・シーンがたくさんあって、映画館はプロレス会場と化す。
  大勢の観客と一緒に盛り上がって観るべき作品だ。結構、本気の試合を見せてくれます。プロレスラーのマネジャー役は、ピーター・フォーク。
  女性が主役の、興行もの映画&ロードムービーは、これがお薦めです。
  こちらからレビューをご覧ください。
  

一夜一話の歩き方・ガイド
◆ TOPページ (総合案内) ここから見る
   掲載映画人気ランキング・新着映画紹介・お薦め映画ピックアップを随時、掲載中。

◆ ふつうに見る。 こちらから、どうぞ。 (ブログの最新記事が読めます)

◆ 邦画評だけ見る。 こちらから、どうぞ。        ◆ 洋画評だけ見る。 こちらから、どうぞ。

   女優名から探す。 (新登場)

   邦画の題名から探す。  監督名から探す。       洋画の題名から探す。  国名から探す。

◆ 記事全リスト (All Archives)
関連記事
スポンサーサイト

Comments: 0

Comment Form
Only inform the site author.

Trackback+Pingback: 0

TrackBack URL for this entry
http://odakyuensen.blog.fc2.com/tb.php/1083-66040228
Listed below are links to weblogs that reference
映画「さすらいの女神(ディーバ)たち」  監督:マチュー・アマルリック from 一夜一話

Home > 洋画評だけ見る 直近50作 > 映画「さすらいの女神(ディーバ)たち」  監督:マチュー・アマルリック

タグクラウド
プロフィール

やまなか

Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

RSSリンクの表示
Tree-CATEGORY

Return to page top