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映画「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」  監督:ガス・バン・サント

上






組1-0-1




  見応えのある映画だ。
  ウィル・ハンティングにとっては、数学の天才でいるよりも、自身の心が解放される方が重要であった。

  ここは、かのマサチューセッツ工科大学(MIT)の数学科の教室。
  教授が大勢の学生を前にして、「廊下の黒板に書いた難問にぜひ挑戦してくれ。」と言い学生たちを煽っている。
  「今までに、この問題を解けたのは、あるノーベル賞数学者と高名な宇宙物理学者、そして私だ。」 そう言う教授の名はジェラルド・ランボー、数学界のノーベル賞であるフィールズ・メダル受賞者だ。

組1-0-2  さてその日の夕方、誰もいなくなった大学の廊下でひとり床清掃をしていたウィルは、この問題に気付く。さっそく家に帰った彼は苦も無く問題を解き、翌日学生が帰った頃を見計らい床洗浄機を脇に置いて黒板に解を書いた。
  次の日、これを見た数学科の教授や学生らは驚いた。いったい誰が解いたのか!
  ランボー教授ら数学科教授陣は、これは何者かからの無言の挑戦だと考え、次なる難問を黒板に書いた。
  さあ、今度の問題は、教授陣が2年かかって証明した難問である。だが、またしてもウィルはこの問題を床清掃中に、その場ですらすらと解いてしまった。
  その時、ウィルはランボー教授に見つかるが、彼は逃げ切った。教授は黒板の前に急いで戻り、それが正解であることを確認した。

中1-0  その後、教授はウィルに会いに行った。そこは留置所内の一室。
  ウィルは、街のワル仲間と乱闘、止めに入った警官を負傷させ裁判となり留置所にいた。
  もともと、ウィルは保護観察中の身であった。これまでに、暴行傷害、自動車窃盗罪、公務執行妨害で幾度も警察や少年鑑別所の厄介になっていた。ランボー教授は担当判事から、監督付き保釈の同意を得て、その日彼に面会に来たのである。つまり、教授がウィルを監督する任を負うことで彼は釈放される。
  教授は彼に二つの条件を出した。ひとつは、教授の元で数学の勉強をすること。
  二つ目は、心理療法(セラピー)を受けること。この二つの条件をウィルが吞めば、彼は自由の身。心理療法をひどく嫌ったが、刑期を務めるよりはずっとマシ。
  ウィルは了承し釈放となった。


組2-0  ランボー教授は、何故これほどまでにウィルに関心を寄せるのか。
  それは彼の数学的才能が、100万人に1人有るか無いかという飛び抜けたものであることを見抜いたからだ。その極めて直感的、独創的、天才的な閃きは、世界のどんな数学者をも凡人にする。

組2-2  教授が出す難問を目の前で次々に解いて行くウィル。彼の才能の素晴らしさに改めて驚き、だからこそ共同研究者として彼を迎えて学会に業績を残そうと考えた教授は、徐々に自身の凡人さ、才能の桁違いさに気付かされ、ウィルに嫉妬と脅威を感じ始める。
  そしてある日、ウィルはうんざりした様子で教授に言う。 「こんな問題は朝飯前。簡単すぎて遊びにもならない。解けずにモタモタしている先生を見るのが苦痛だ。俺は数学の世界で生きていく気はまったくない。」 と、誰も証明できなかった問題を解いたレポートに、ウィルは火をつける。あわてて火を消そうとする教授。ランボー教授は打ちのめされてしまう。

  次に、何故ウィルに心理療法が必要なのか。
  ボストンのスラム街に生まれたウィル21歳には親がいない。里親から里親へと、たらい回しされて育てられた。そして里親から刺されるなど虐待を長期に受けて来た。この強い精神的衝撃が原因で、彼はたぶん心的外傷後ストレス障害(PTSD)。だから、彼のこころは硬く閉じているのだ。

  教授は高名な精神分析医にウィルを託したが、こころの内を他人に見せるセラピーを極端に嫌う彼は、カウンセリング中に医師のプライドをもてあそんだ。こうして、これまでに五人の医師がみなウィルの再診を拒んだ。
組3-0   そして、6人目の精神分析医ショーン(ロビン・ウィリアムズ)に声がかかった。初対面の医師の心を傷つけるテクニックを学んだウィルは、ショーンに臨む。
  ショーン医師の研究室に入ったウィルはすぐに、部屋の蔵書をけなし、ショーンの絵に難癖をつけ、終いにはショーンの亡き妻を悪く言った。それまで黙って聞いていたショーンは、ウィルの首根っこを鷲づかみし、「妻を汚すようなことは言うな!」と怒鳴った。

組4-1  だが、ショーンは再診を拒まなかった。ショーンはウィルをさとす。
  「君は難しい子だ。本から得た膨大な知識をもとに、知ったかぶりで人と接するが、実体験から得たものは持っていない。この街ボストンを出たことはあるか?女を知っているか?女の隣で目覚めて、真の幸福を感じたことはあるか? 私は君から学ぶことは何もない。すべて本に書いてある。今の君は生意気で怯えた、ただの若者だ。もし、君自身のことを話すなら喜んで聞こう。だが、それが嫌なんだろう。君はそれが怖い。今後、心理療法を続けるか否かは君次第だ。」

中2  時を同じくしてウィルは、スカイラーという女性と付き合い始めていた。
  ハーバード大の学生だ。13歳で親を失っている。並みの女性じゃない、なぜか気が合う、そう彼は思っている。関係は続いていた。
  だがスカイラーがウェストコーストに行くと言い出し、一緒にボストンを出ようと言う。これを聞いたウィルは、急に豹変する。彼女を罵りはじめ、一方的に彼女との関係を壊し別れた。
  ウィルはボストンを離れることが怖いのだ。彼にとってさらに怖いのは、人に捨てられること。
  彼女はどうしてもウェストコーストに行きたい、自分は街を出ない、それはウィルにとって振られることを意味した。だから捨てられる前に人を捨てる。そうとは知る由も無いスカイラーはひとり旅立って行った。

中3  ウィルには、三人のワル仲間がいた。チャッキー、モーガン、ビリー。どこへ行くのも何時も一緒、いつもバーでたむろっている。そのチャッキーに言われる。天才的な才能を当たりくじに見立てて、「お前は宝くじの当たり券を持っているが、現金にする度胸がない。その券を無駄にするなら、俺が許さない。度胸を試せ。」

組3-6  そんなこんながあって、ウィルは徐々にショーンに心を開いて行く。回を重ねる心理療法の効果が現れる。
  以前にランボー教授に紹介された企業に面接に行き就職も決まった。ショーンの仕事もこれで終わった。
  そんなある日、ショーンの家のポストにウィルからのメモがあった。
  ボストンを出て、スカイラーのあとを追ってウェストコーストに行くと。
  閉じていたウィルの心は、解放されたようである。
  
  ウィルとショーン医師の関係に注目し過ぎると、映画の全体像が見えてこないと思う。
  かつて、ラマヌジャン(1887-1920)という数学の大天才がいた。
  映画中、ランボー教授はこの名を口にする。極貧のバラモン階級に生まれ、ケンブリッジ大学の教授に見いだされた。連分数や代数的級数などの新発見がなされたとのこと。

下オリジナル・タイトル:Good Will Hunting
監督:ガス・バン・サント|アメリカ|1997年|127分|
脚本:ベン・アフレック、マット・デイモン|撮影:ジャン=イブ・エスコフィエ|
下2出演:ウィル・ハンティング(マット・デイモン:脚本)|精神分析医ショーン・マグワイア(ロビン・ウィリアムズ: 1951年 - 2014年)|ウィルの友人チャッキー・サリヴァン(ベン・アフレック:脚本)|ウィルの恋人・ハーバード大学学生スカイラー(ミニー・ドライヴァー)|数学教授ジェラルド・ランボー(ステラン・スカルスガルド)|ウィルの友人 モーガン・オマリー(ケイシー・アフレック)|ウィルの友人ビリー・マクブライド(コール・ハウザー)|

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