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映画 「Rain レイン」 監督:マイケル・メレディス  製作総指揮:ヴィム・ヴェンダース

上3

  冷たい雨が降りしきるオハイオ州クリーブランドの街。
  どこか遠い国から降ってくる、その悲しみと、その幸せ少し。
  クリーブランドの街を舞台に、それぞれの転機。

  タクシードライバーのジョンは沈んでいる。一緒に仕事していた息子を亡くしてまだ数日。
  しかし休むわけにはいかない。雨の中、様々な客を乗せては、走る。
  一日の仕事を終えた深夜。ジョンは、がらんとした安食堂に立ち寄る。
0.png  誰もいない店内。赤いケチャップ入れと黄色いマスタード入れが、唯一の彩り。
  ひとり身となったジョンの心が安らぐのは、カウンター越しに店の女と話す時。 

  知的障害があるデニスの仕事は、鉄道の線路を補修点検する保線員の補助。
  ただし、ここの線区は引込線なのか、列車が走る様子はない。
  デニスは、詰所のまわりを清掃したりの規則正しい毎日を送っている。
  その彼が人員削減の対象となる。謂れのないことを理由に退職を言われる。何故だかは俺だってわかる。
  三日続いた雨がやんだ早朝、彼はレールの継ぎ目のボルトからナットをひとつひとつ外していく。

  テスは、判事の家のベビーシッター。豪華な邸宅、優雅な奥さん。
  養子のその赤ちゃんは、実はテスと判事との間にできた子だ。
  地位ある判事にとって、これがわが身を守る最善の策であった。なにしろ、テスはヘロイン中毒で窃盗犯。
  彼女は、ベビーシッターの時間しか我が子を抱きしめられない。判事は、ベビーシッターの日にテスを迎えに行き、決まって車の中で変態セックスを要求する。
  明日の無いテスは、ついに我が子の顔に枕を押し付けた。
  
  創作タイルを作るサンダー。嫁に逃げられ、ぽつんとひとり暮らす。
  金にも困っている。家賃滞納で明日追い出される。
  以前に工事した家から、施工代の入金がない。一人住まいの女のその家に、押しかけた。いま現金で支払ってくれ。金を受け取るまで帰らないと言い、サンダーはソファに座り込む。現金はないと抵抗する女。しつこく粘るサンダーに、女は辛子スプレーまで持ち出した。
  そして夜が明ける。何がどうなったのか。女が眠る傍らに素っ裸のサンダーが寝てる。

  ひとり、安酒をあおるワルドという男(ピーター・フォーク)。
  元病院だという無機質な建屋に、身寄りのない老女三人と部屋をシェアしている。
  飲む金がない。父としての自尊心をぐっと抑え込み、しばらく会っていない息子に金をせびりに行った。金は貸してくれた。息子は返してもらう気は無い。いい子じゃないか。そしてワルドは、またバーへ行ってひとり酒。
  息子と一緒に住もうなどとは考えてない。眠る部屋がある。少々、歳はとってはいるが話し相手の女達もいる。雨で曇るガラス越しに、にじむ街灯。
  ワルドは思う。俺はしあわせだ。
  
  アレックスは、誰もが羨むサクセスストーリーを成した成功者だ。
  猛烈に働き、事業で財をなし、いい家に住み、美人の妻。だが、この歳になって何か空しい。
  ある夜、妻と一緒にレストランでの夕食の帰り、駐車場へ行く途中、信号待ちの路上で、ホームレスの男が 「その食い物をくれ」 とせがんできた。それは、夫婦と同居する妻の妹への手土産だった。アレックスは、その男に手土産をやろうと思ったが、妻はそれを制した。あんなホームレスにやる必要などは無いと。
  この一件が、アレックスの心にしこりとなって残った。そして、ハイソに染まった妻に、私の気持ちは分からない。
  翌日、雨降る中を、彼は男と会った街角に行ってみたが、男はいない。
  そして深夜、彼はベッドから起きて冷蔵庫から食料を取り出し、袋に詰め込んだ。
  ふと、そばに人の気配。 そこに妻の妹が立っていた。 「あたしも行くわ。」 ふたりは車に乗り込み家を後にした。
下0  夜明けの埠頭に車を止めて、ふたりは群青色の港を眺めている。 自分のこころを分かってくれる人が、ここにいる。
  

  なんと言うことはないが、さらりとした描写。いい映画だ。
  静かな映画。ビターな美味しさが分かる大人の映画。
  こころにゆとりがある時、観てください。



オリジナル・タイトル:THREE DAYS OF RAIN
監督・脚本:マイケル・メレディス|アメリカ|2003年|98分|
製作総指揮:ヴィム・ヴェンダース
出演:ピーター・フォーク|ジェイソン・パトリック|ロバート・キャラダイン|ドン・メレディス|ブライス・ダナー|へザー・カフカ|


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