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京都のはなし  京料理店 「陶然亭」と 料理旅館 「山名」、そして白川と四条大橋。

  • Posted by: やまなか
  • 2014-12-25 Thu 06:00:00
  • 一話
中


マップ3-4京料理店 「陶然亭」

  東海道五十三次の西の起点、京都三条大橋。その三条大橋から、つまり京阪電車の三条駅から数分のところにある京料理の店 「陶然亭」に行った。
  開店は午後6時。ほぼ完全予約制だ。店内は、四人掛けテーブル席が二つ三つに数人並ぶカウンタ―席だけ。
  店の付近は古美術商が多く、近くの花見小路通に比べて静か。午後6時、古美術商はどこも店を閉めていて、辺りはもう暗い。
  会席料理なので、待つ時間を楽しむ。店内は今風の落ち着いたインテリア。2時間くらいかけてゆっくり食べる料理は、創作風京料理。味は、角が丸く穏やかで、やや女性好みか。とにかく、京都の夜をたっぷり楽しめる店だった。
  住所:京都市東山区新門前通大和大路通東入ル西之町227-3

料理旅館  「山名」

  この「陶然亭」がある近くに、かつて「山名」という料理旅館があった。大和大路通の西側、弁財天町。百年の歴史を持つ店だった。
  ある夏を記憶している。
  まだ京阪電車が鴨川と琵琶湖疏水の間、鴨川の土手の上を走っていた頃だ。
  そして三条駅が終点ターミナル駅だった頃のこと。鱧(ハモ)づくし料理を食おうと、連れられて炎天下のお昼に、この山名に入った。
  店はうなぎの寝床、廊下を通って奥の部屋に通される。出迎える女将が、暑かったでしょう、まずお風呂をどうぞ。汗を流して上がると、パリッと糊の効いた浴衣が用意されている。袖に腕を通すのに苦労するくらいに、ごわごわに糊が効いている。裾をはがすようにして浴衣を着る。座布団に座ると、ぐしゃっとなって、やっと浴衣が身体に馴染む。いささか、ご飯のすえた臭いがする。すかさず、女将が残りご飯で糊付けするんです。
  なにしろ今日は、鱧料理。鱧づくしだ。通された涼しい部屋で、さっぱりた気分。まずは冷えたビール。ぼんやり外を見ると、手前に店の庭、その先に疎水の流れが見える。鴨川の土手の柳のむこうには、鴨川の西岸、先斗町の床が鴨川に張り出しているのが眺められる。と、京阪電車が目の前を通過する。だが、疎水の川幅を介してなので、意外と目障りじゃない。振動もない。
  近所の魚屋で調理された鱧の照り焼きしか食べたことのなかった私は、氷に乗った鱧の落としや刺身、鍋や吸いものやら、鱧のフルコースに驚いたし、大大満足であった。ああ、このまま、ここで昼寝したいな、と冗談を言うと、ええ、どうぞ、皆さん昼寝して、夕方に起きてまた飲まはる。とにかく、時間とカネをかけた美味い物を教えてくれた店でした。板前は、大阪で修業した人だった。
  その後、数回行ったが、以後20数年ご無沙汰していた。今回、陶然亭の帰りに、この山名を探したが無かった。店のあった場所は、焼き肉屋になっていた。京阪電車が地下化し、疎水が暗渠となって、その上が川端通になって車の往来、情緒も吹き飛んだ。閉店の訳は知らないが、なんであれ店はやって行けなかったろう。
  追記。京阪電車の地下化は、京都府によって1935年(昭和10年)に計画されたが、第二次大戦勃発で戦後へ繰り延べされた。(※1
  住所:京都市東山区祇園四条縄手上ル新橋 末吉町16

芝居3白川と四条大橋

  ところで、このあたりを祇園白川という。白川という小川が流れていて、山名の店のそば辺りで疎水に流れ込む。疎水が開削される以前つまり江戸時代までは、鴨川に流れ込んでいた。(上の地図内の黄色い円の所)
  白川(白河)の最上流は、東山の一峰で、東山の最高峰・如意ヶ嶽と比叡山との間あたり。下って銀閣寺付近を流れ、南下し疎水の流れと相乗り入れして(※1)ここへ来る。白河院、白河上皇、白河女などは、もともとこの川の名からきている。

  さて、400年近くの時をジャンプして、17世紀の京都の様子。(右の地図 ※2
  京都最大のあそびの空間・四条河原では、芝居や見世物の最盛の時(寛政期)。  
  歌舞伎の大劇場が7軒、オレンジ色で示している。このほかにも20軒以上の歌舞伎や人形浄瑠璃の小屋があったらしい。今では、四条大橋東詰の南座が残るのみだ。
  地図上の右上端、赤で囲んだ「A」記号で示された茶屋が並ぶ。ここ辺りが、上記の料理旅館 「山名」があった辺りだ。

  ※1:「祇園白川地区における都市形成と白川・琵琶湖疏水の役割に関する史的研究」 
  京都大学大学院工学研究科 PDF資料 (詳しくはこちらから) 将来、リンク切れの可能性があります。

  ※2:「京都歴史アトラス 足利健亮編」  近世の京都 - あそびの空間より  (中央公論社1994年発行)
  
祇園 

中2  四条河原と祇園町は一体となって発展してきた。上の地図(現在)の「一力亭」から花見小路通を南に入ると、いわゆる祇園だ。(※3) 一力亭の暖簾から中を覗き見ようとすると、おっさんが怖い顔してにらみ返す。これ、昔から変わんない。彼は一日にいったい何人をにらむんだろうか。

  「陶然亭」に入る前に、ここ祇園にあるカフェにいて時間をつぶしていた。店の外見は、まさしく祇園の町家だが、店内はイタリアンなインテリア。カフェを出た路地向かいの街並みは、こんな感じ(左写真)で人通りも僅かで静かです。
  だが、メインストリートの花見小路通は、夜になっても海外の観光客であふれ、人波をかき分けようとする勇敢な車は最徐行しかできない。中国の観光客が多く、一番目立つ。花見小路通を楽しそうに闊歩している。ロシアの観光客の団体が20人ほど、旗を先頭に二列縦隊で行進する様に驚いた。まるでSF映画のワンシーンの様。祇園は大きく変わり始めている。    

  ※3:祇園には、ふたつの街があります。
  一力亭があるのは、四条花見小路の角。その四条花見小路上ル(北上し)東側を、祇園のうちの「祇園東」。戦前は「祇園乙部」と呼ばれたらしい。「祇園甲部」は現在、祇園と呼ばれている所。名が示すとおり、甲乙の差があったらしいです。

中3  若尾文子、木暮実千代の主演、溝口健二監督の映画 「祇園囃子」 のレビューは、こちらから

  山田五十鈴主演、同じく溝口監督の映画 「祇園の姉妹」 のレビューは、こちらからご覧ください。この映画は、「祇園東」が舞台です。
  

  次回の「京都のはなし」は、東山にある料亭 「菊乃井」を予定。




地図下1977年(昭和52年)当時の地図

  40年ほど昔の・・・、もう古地図。
  京阪電車が鴨川に沿って地上を走る。
  終点の三条駅、四条駅も分かる(ピンク色表示)。 三条駅起点で京阪京津線が三条通を走っている。
  三条駅の東側、バスターミナルの東側に寺が見える。今は、どこへ行っちまったのか? それと、駅の北側にあった正面の改札口前にある横断陸橋が地図上にヒョロヒョロと白く表示されている(笑)。
  疎水の流れも見える。三条駅は疎水の上にあった。駅構内、ホームの真ん中、柵越しに疎水の激流が見える怖い箇所があった。それが地図で分かる。(駅構内に五軒町と記載がある、青い色の箇所だ)
  白川が露出しながら、疎水に流れ込むのが確認できる。
  
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