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映画 「ミュージアム・ヴィジター」、「パッツァーニ」   “ レンフィルム ペレストロイカ以前/以後 ” から


  川崎市市民ミュージアムにて、シネマテーク・コレクション 「レンフィルム ペレストロイカ以前/以後」 から、次の2作品を観て来た。  
  (川崎市市民ミュージアム公式サイト:http://www.kawasaki-museum.jp/
  ペレストロイカとは、1980年代後半からソビエト連邦で進められた政治体制の改革運動。


上
「ミュージアム・ヴィジター」

  幻想シーンが多いSF映画。
  荒れ狂う海、稲妻、荒涼とした海岸、20世紀の時代の廃棄物埋立処分場といった荒涼とした広大な風景に点景として主人公がいるシーン。これに対し、洞窟の聖堂に、ろうそくを持った無数の信者が集う宗教的シーンが、対比的に映し出される。

組1-0  映画の舞台は、核戦争後の21世紀、場所はソ連のどこか。荒涼とした海岸が続く海辺。
  生き残った人々は、少数の健常者と、数多くの精薄(と字幕表示。つまり知的障害者)の人々、それぞれ別れて住んでいる。
  知的障害の人々は、異端のキリスト教を信仰していて、大きな洞窟聖堂に聖職者のもと、多数の信者が集まり、熱気に溢れるも厳かな典礼儀式が行われる。健常者たちは、これを邪教とみなし忌み嫌っている。

  年に一度、七日間の大干潮の時期が来ると、沖合にある島へ歩いて渡れる。その島では、消滅したかつての文明の遺跡 “ミュージアム” を見ることができる。そこは知的障害の人々の聖地でもある。健常者の中にも珍しがる者がいて、干潮時にここを訪れようとするが、みな途中で方向を見失い、島にたどり着けずに七日間が過ぎ、潮が満ちて溺れ死んでしまう。
組1-22  ある時、ひとりの男・マックス(ヴィクトル・ミハイロフ)が磁場に吸い寄せられるように、この海辺に現れた。危険を承知で “ミュージアム” へ行きたい。
  大干潮を待つため、マックスは小さな宿に宿泊した。宿に雇われている知的障害の女に案内され、彼は洞窟の聖堂に紛れ込んだ。多くの信者が集う、この異様な光景に彼は魅入られていく。
  宿に戻ったマックスに変調が現れる。幻想の中で彼は激しく憂いている。大干潮を待つ間、そんな日々が過ぎて行く。

  知的障害の信者たちが語り継ぐものに、他界から来訪する「まれびと」信仰があった。
  まれびとは、異界からの訪問者であり、我々を祝福しにやって来る。そして、まれびとは沖合の聖地へ行き、神に祈りをささげ、障害から解放してくれる、憂いから我々を救ってくれる。

組2-0  幻覚に苛まれるマックスは、いつしか信者たちによって、まれびととして祭り上げられ、聖堂にて聖地へ向かう装束を着せられる。
  そして、ついに大干潮が始まった。彼は夢うつつの中、聖地を目指して さ迷う。苦悩し叫びながら、彼は島の丘を登り、地を這いずり、丘に建つ廃墟群にたどり着く。大きな十字架が立っている。ここが聖地 “ミュージアム” なのか・・・。

オリジナルタイトル:Посетитель музея  
英語タイトル:Museum Visitor
監督:コンスタンチン・ロプシャンスキー|ソ連、ドイツ (レンフィルム+ドイツTV局ZDF合作)|1989年|135分|
脚本:コンスタンチン・ロプシャンスキー|撮影監督:ニコライ・ポコプツェフ|
出演:ヴィクトル・ミハイロフ|ヴェーラ・マイオーロワ|ワディム・ロバーノフ|

マックスは板の上に寝かされ、洞窟聖堂の中を信者たちに担がれて行く。
下




上「パッツァーニ」

   不良少年更生のためのキャンプ施設・プロメテウスでは、キャンプリーダーのアントーノフのもとで、数多くの少年たちが寝起きを共にしている。少年たちの出自はさまざまだ。親がいない者、路上生活者、なかには両親がいてかつ中流階級の家の子もいる。

中  腕白で悪さ好きな少年が多いから、日々何かしらの問題や事件が起こる。キャンプリーダーのひとりは、権威主義的態度で少年に対するため、反感を買っている。その点、アントーノフは少年たちを思う気持ちで接していて信頼を得ている。
  物語は、アントーノフと少年たちとのこころのやりとりを綴っている。

  一言で言えば、ソ連版金八先生か。きれいに整えたお話。
  それを一枚の絵に集約すれば、下の絵のよう。



下オリジナル・タイトル:Пацаны
英語タイトル:Tough Kids
監督:ディナーラ・アサーノワ|ソ連 (レンフィルム)|1983年|95分|
脚本:ユーリー・クレピコフ|撮影監督:ユーリー・ヴェクスレル|
出演:ワレリー・プリヨミホフ|アンドレイ・ズィーコフ|セイゲイ・ナウーモフ|エフゲーニー・ニキーチン|オレーグ・ホーレフ|


レンフィルム関連のソ連映画  ~ アレクセイ・ゲルマンとアレクサンドル・ソクーロフ
  
  一夜一話からピックアップしました。(題名をクリックしてレビューをお読みください。)

アレクセイ・ゲルマン
「道中の点検」 1971年           「戦争のない20日間」 1976年     
「わが友イワン・ラプシン」 1984年    「フルスタリョフ、車を!」 1998年    

アレクサンドル・ソクーロフ
「マリア」 1975-88年            「日陽はしづかに発酵し・・・」 1988年
「セカンド・サークル」 1990年       「エルミタージュ幻想」 2002年       

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
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