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映画「アルファヴィル」  監督:ジャン=リュック・ゴダール

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組1-0  主人公のレミー・コーションは、フィガロ・プラウダ紙のジャーナリストという肩書でアルファヴィル(α都市)に、銀河を越えてやって来た。
  アルファヴィルというこの都市、実はα60という人工知能が絶対権力を持ち独裁政治を行っている都市国家だ。α60に逆らう者は、容赦なく処刑されている。
  レミー・コーションの任務は、この都市で行方不明となった仲間を探し出すこと、さらにはα60の開発者フォン・ブラウン教授を逮捕あるいは抹殺することであった。
組2-0  そんな中、レミー・コーションはフォン・ブラウン教授の娘ナターシャと出会い、アルファヴィルの情報を得ようとする。一方、α60とその配下は、レミー・コーションの行動を逐一追った。また、ナターシャはレミー・コーションから、外の世界の様子を知ろうとし出す。そして、レミーとナターシャは恋に落ちる。

  だが、愛、涙、ポエムなどα60が演算不可能な(理解不能な)事象は、不穏なことであり、その単語を口にするだけで体制批判であり、公の場で語ると処刑の対象となる。よってアルファヴィルの人々は、感情を押し殺して生きていくうちに、いつしか感情を失くしていた。だから、ナターシャは恋に落ちるも、そのことが理解できないでいた。

  さて、自由に泳がされていたようにみえたレミー・コーションだが、ついに逮捕されα60によって尋問を受けることになる。しかし、逆にレミーは巧妙にも、α60に対し自問自答させる決して解けない問いかけをする。たぶん、α60は無限ループの罠にかかった。最後にα60は言う。不幸なことに世界は現実であり、そして不幸にも私はα60なのだ。
  そして、レミーとナターシャは、アルファヴィルを脱出する。

  映画「アルファヴィル」は、東西冷戦真っただ中の時代から近未来を見た物語であるが、同時にソ連、全体主義を批判している映画だ。かつ、人工知能の技術に夢を抱きつつも、コンピュータ応用技術最優先の気運に不安を抱いて書かれたお話。
  だから、SF映画として見るとつまらない。
  むしろ、おとぎ話として観る方がいい。ゆえに、映画の言うことを真に受けちゃ野暮ですよ。例えばラストシーン。レミーとナターシャがアルファヴィルを脱出し、地球から9000キロ離れた宇宙にある星へ行く手段は自動車だ。こんなシーンは、幼い子供のごっこ遊びに付き合う気持ちで共感しよう。つまりこの映画、子どもの心から国際政治までの感性の幅を持つ、大人向けの作品だと理解したい。

組3-0  α60の開発者フォン・ブラウンの名は、数学者でノイマン型コンピュータを考案し人工知能にもかかわったジョン・フォン・ノイマンからの発想だろう。またレミー・コーションの肩書である新聞社名、フィガロ・プラウダは、フランスとソ連の新聞名の合体だ。おまけとして、α60配下のヘッケル教授ジャッケル教授は、ご存じのとおりアメリカのアニメに登場する2羽の鳥のキャラクターの名前。

組500  いま、この映画を観る時、映像の美しさを見逃すわけにはいかない。それを愛でたい。 また、製作当時の人が「未来を感じさせるものが何であったか」が分かるのも面白い。

  その後、東西冷戦が終わったことをはじめ、監督の未来予測はおおいに外れたことになる。未来予測はいつも外れる。だが最近、また東西冷戦のような兆しがあるようにも言われている。加えてコンピュータの話。例えば、膨大な品数を誇る著名通販サイトの巨大な倉庫&配送センター。ここで働く人々の、その作業の指示出しや管理は、コンピュータだ。これをα60とみるなら、発注主は、さしずめ神か?


オリジナル・タイトル:Alphaville, une étrange aventure de Lemmy Caution 
(アルファヴィル、レミー・コーションの不思議な冒険)
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール|フランス・イタリア合作|1965年|99分|
撮影:ラウール・クタール
出演:エディ・コンスタンティーヌ (レミー・コーション)|アンナ・カリーナ(ナターシャ)|エイキム・タミロフ (レミーの仲間アンリ・ディクソン)|ハワード・ヴェルノン(レオナール・ノスフェラチュ・フォン・ブラウン教授)|クリスタ・ラング(誘惑者)|ジャン=ルイ・コモリ(ジャッケル教授)|ジャン=アンドレ・フィエシ(ヘッケル教授)|ラズロ・サボ(主任技師)|




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