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映画 「ソポトへの旅」  監督:ナナ・ジョルジャーゼ  グルジア映画

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  黒海とカスピ海の間に位置する、グルジアという国のお話。
  さらっとスケッチしたような短編映画です。

1-0_201504231413395a9.png  時は、1979年のころ。
  田舎駅から列車に乗った男ふたり、ゴギとオマル。無賃乗車だ。
  ゴギは坊主頭、オマルは伸びるに任せた髪でゴギより少し若い。
  まずはコンパートメント(個室)の客車に乗り込んだふたり、個室を次々に巡り、写真を売り歩く。手に持ったそれは、アンティークな白黒のヌード写真だ。
  次にクロスシートが並ぶ二等車に移った。そして同じように乗客に写真を売り歩く。女性たちにも、子供がいる家族やご老人にも遠慮なく声をかけている。引きがいいのは、やっぱり若い男たちが座る席だ。値段も、そんなもんだ。 
  ゴギもオマルも、そして乗客たちも、服装は簡素でくたびれている。乗っている車両は、いかにもソ連からのお下がりのよう。
  ふたりは数駅過ぎたところで列車を降り、別の列車に乗り込んだ。
  また、車内を売り歩くが、車掌に見つかり客室を追い出される。常習犯らしい。

  次の駅でホームに降りたふたりは、駅舎にあるがらんとした粗末な食堂に入る。
  食うのはゆで卵、飲むのはビール。
  そこへひとりの男が近づいて来て、つまらぬ難くせをつけられ、けんか。男に加勢するのが数人現れ、ゴギとオマルは食堂を駆け出し、ちょうど発車し始めた貨物列車に飛び乗り、難を逃れる。
  ゆっくり走る貨車の上で、ちょっと一息、食堂に金を払わず済んだのはラッキーだった。

2-0_201504231446142c1.png  ところが、急に雨が降り始めた。ふたりが乗ってる貨車には屋根がない。
  しかし運よく、新車が積載されている貨車があった。その車の窓をこじ開け車内に入って、雨宿り。
  これはいい!、自動車のシートに座っていると豪華列車に乗っている気分だ。雨があがった。ちょうど貨物列車は人里離れて自然の中を走る。窓からの景色も風もいい。タバコもうまい。
  そんなふたりが車内で話す話から、ゴギはかつて刑務所にいたこと、妻がいたこと、そしてオマルは天涯孤独の人生を歩んでいること、そんなことが分かってくる。

  そのうちに、ふたりを見つけた車掌たちが、走る列車の貨車伝いにやって来た。そして車を取り囲んだ。
  その時、ゴギはオマルに言う。おれがおとりになるから、お前はそっちのドアから出て、貨車から飛び降りろ。おれは後から飛び降りるから。

  無事に飛び降りたオマルは、線路脇に立った。
  列車は彼方へ消えたが、ゴギの姿はどこにも見えない。オマルは呆然と立ち尽くす。


  グルジアは、東西冷戦後にグルジア・ソビエト社会主義共和国からグルジア共和国となり1991年に独立した。
  映画は、今から30年以上前、まだこの国がソ連の傘下にあった頃のことを身近に教えてくれるようだ。 


オリジナル・タイトル:Mogzauroba Sopotshi
監督:ナナ・ジョルジャーゼ|グルジア|1980年|28分|
脚本:ナナ・ジョルジャーゼ、イラクリ・クビリカーゼ|撮影:ニコロズ・スクビシヴィリ|
出演:ギオルギ・ダディアニ(Gogi)|オマール・グヴァサリア(Omar)|


  グルジアの映画
    これまでに掲載したグルジアの作品です。
    「ロビンソナーダ」  1920年ころ、イギリス人との恋を描く。「ソポトへの旅」と同じ監督の作品。
    「ピロスマニ」     フォークアートな絵を描くグルジアの画家ニコ・ピロスマニ(1862-1918)の話。
    「花咲くころ」     グルジア独立後のころの、青春真っただ中の女の子たちの話。
                 第14回東京フィルメックスで上映。
   

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