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映画「みなさん、さようなら」 2003年カナダ映画 監督:ドゥニ・アルカン

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  末期がんと診断された父親レミとその家族、そして面会に来た愛人と旧友たち、それぞれの振る舞いを愛情深く、かつカラッとコミカルに描いた大人の「おとぎ話」。舞台はカナダのモントリオールです。
  加えて、反りが合わず互いの思いを素直に語れなかった父と息子の信頼回復、また父親レミと愛人との間にできた娘ナタリーに、生きる張り合いが生まれたことが語られる。

  父親レミの青春時代は、カウンターカルチャーと政治の季節だった。その影響を受けて彼は歴史学者となったが、その後の学者人生は思うようには行かなかった。だが、レミは今もってエネルギッシュだ。口は悪いが、人を惹きつける魅力があるらしい。

  15年前に妻と別れたレミには、二人の子がいる。息子セバスチャンはロンドンにいて大手証券会社に勤務、高給取りだ。娘はヨット搬送の仕事ためヨットに乗り込み、どこかの洋上にいる。
  そんな散り散りな家族をよそにひとり暮らしするレミの老後は、愛人たちと過ごすそれなりに楽しいものであった。しかし、がんを宣告され入院。元妻のルイーズが駆けつけ、父と反りの合わぬセバスチャンは、母に呼ばれ仕方なくロンドンからやって来た。だが、面会一番乗りはケバイ愛人であった。

  レミのいる病室は相部屋だ。患者でごった返すこの公立病院では、病室が足りなくて廊下にまでベッドがあふれているありさま。病室に入れたのは幸運だった。そこへ、実に個性的な元・愛人たちや旧友らが押しかけてきた。ベッドサイドで猥談を大声で言い笑い合っている。一番しゃべっているのはレミだ。
2-0  実は、そんな彼らを呼び集めたのはセバスチャンだった。もちろん父親にそんなこと言わない。口を開けば必ず喧嘩になる。だが、ベッドサイドの様子を見ていたセバスチャンは、父親の最期を何とかしてやりたい、そう強く思うようになる。

  セバスチャンは、このカナダの病院が信頼できない。アメリカにある先端的な取り組みをしている病院で父親の病状を診てもらいたい。セカンドオピニオンだ。渋る父親を連れてアメリカまで行った。診断結果は末期であった。そして医者から、鎮痛剤としてヘロインの使用をすすめられる。

  カナダから舞い戻ったセバスチャンは、エリートビジネスマンらしい手際の良さとお金で、院内に父親のための病室を用意した。病院トップや院内従業員組合と交渉し、病院内にあるスペースを広い病室に改装させて、父親を相部屋から移した。これで面会者は皆、気兼ねなく騒げるようになった。(これは、おとぎ話ですから。)
  次にヘロインの入手だ。この病院では処方しないため、非合法に入手しなければならない。この件は、父親の元愛人がセバスチャンに手を貸した。彼女の娘が入手先を知っているらしい。娘とセバスチャンは異母兄妹。名はナタリーといい、ヘロイン中毒なのだ。このナタリーが、父親レミにヘロイン吸引の面倒をみることになる。

3-0  さて、レミがピエール湖畔で最期の時を過ごしたいと言う。思い出のある湖畔なのだ。ベッドサイドに集まった全員も湖畔に向かった。ここでお話はエンディングになる。

  喜劇仕立てだが、がん患者の尊厳を傷つけていない。こんな幸せな終末期を、誰もが迎えることができれば良いのに。
  おとぎ話として楽しみましょう。
  




 
  
オリジナル・タイトル:Les Invasions barbares
監督・脚本:ドゥニ・アルカン|カナダ、フランス|2003年|99分|
撮影:ギイ・デュフォー|
出演:主人公のレミ(セバスチャンの父親):レミー・ジラール|セバスチャン(レミの息子):ステファン・ルソー|ナタリー(レミの元愛人の娘):マリ=ジョゼ・クローズ|ガエル(セバスチャンの婚約者):マリナ・ハンズ|ルイーズ(レミの妻):ドロテ・ベリーマン|シスター・コンスタンス(レミの担当看護師):ジョアンヌ=マリー・トランブレー|ピエール(レミの旧友):ピエール・キュルジ|クロード(レミの旧友):イヴ・ジャック|ディアーヌ(レミの元愛人、ナタリーの母):ルイーズ・ポルタル|ドミニク(レミの元愛人):ドミニク・ミシェル|シルヴェーヌ(レミの娘、セバスチャンの妹):イザベル・ブレ|ルヴァク刑事(麻薬課の刑事)ロイ・デュプイ|


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