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映画「0.5ミリ」 監督:安藤桃子 主演:安藤サクラ

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 「天使か、悪魔か。おしかけヘルパーVSジイちゃんズ」
 この映画は、この変てこなキャッチコピーどおりなのだろうか。

 話は五話あって、そのドラマ設定は下の図のとおり。
 主人公のサワ(安藤サクラ)は、この五話それぞれに登場する老人たちに巡り会います。 
001_20150810135041283.png 第一話の悲しい事件でサワの人生は狂ってしまいます。
 サワは訪問介護のヘルパーとして平田家へ派遣されていた。平田家は、要介護の老人、その娘・雪子(木内みどり)、孫のマコトの三人住まい。家族の関係は、すでに崩壊していて、絆が切れる寸前ギリギリの状態にあった。
 ある日、雪子がサワに、「父と添い寝すること」を頼んだ事から、老人とサワが取っ組み合いとなり、これが原因で石油ストーブから出火。家は全焼。老人は焼死した。また、雪子は出火前に自殺していた。そして、サワは介護派遣サービスの会社から契約を切られて、寮から追い出されてしまった。

 サワに身寄りは無かった。放心状態の彼女は終電に財布とコートを忘れてしまう。どこか夜を明かす場所を探していた彼女が見つけたのが、ひとりの老人がカラオケ店の受付カウンターをホテルのフロントと誤解して揉めている場面であった。職業柄、サワはこの老人が認知症の傾向が少しあることを見抜いた。結果、老人の金で彼女は老人と一緒に、カラオケルームで楽しい一夜を過ごすことができた。翌朝、別れ際にサワは老人のコートをもらった。この一件で、彼女は住所不定無職無収入の生き方を知るのであった。(第二話)

 
002_20150810135124738.png 次にサワは、独居老人の茂(坂田利夫)に出会う。(第三話)
 茂は駐輪場に身を潜めアイスピックで自転車のタイヤを突いていた。サワはこの現場を押さえて、交番に行こうと茂を脅すことに成功する。そしてサワは茂の自宅に上がり込み、夜露をしのぐ場所を得て、押しかけ同居となる。一宿一飯ならぬ多宿多飯、いや、彼女は料理が得意であった。家事をよくした。茂も話し相手ができた。彼は孤独のはけ口を自転車のタイヤに向けていたのだった。
 そんなある日、茂が投資詐欺に会う。これで彼の決心がついた。迷いが消えた。その後、茂は一人、自身の金で有料老人ホームへ入って行った。サワはまた一人となった。

 第四話。サワは真壁義男(津川雅彦)とその妻・静江(草笛光子)に出会う。
 手口は、義男が本屋であの種の写真集を万引きしようとするところをサワに見られて、義男は彼女に弱みを握られる。真壁はこの街で名のある家であった。さっそく、サワは今度は真壁の屋敷に勝手に上がり込んだ。
 そこには、寝たきりの静江がいた。静江には介護ヘルパーの女が通っていたが、その仕事の質はレベルが低く、また静江の口がきけない事をいいことに手抜き仕事で、加えて義男に隠れてイジメもあるようであった。だから、サワの登場に、静江は大いに喜んだのだろう。むかし歌った歌を歌えるようになり、義男やヘルパーを驚かせた。
 一方、義男は初めは図々しい女だと苦り切っていたが、サワの料理の味に惚れ、サワのいる浴室前に立つ喜びを味わうことになる。サワは風呂の引き戸を少し開けておいた。
 義男が認知症になった。そこへ真壁の姪の久子(浅田美代子)が現れる。この家の叔父叔母の面倒をみたいと言う。かつて、久子は自分の両親の介護に疲れ自分も病に倒れた。そのトラウマから抜け切れた久子は、親に対して出来なかった心ある介護を叔父叔母に対して行いたい。そう決心して、この家に来た。そして、叔母静江の快復の様子を見た久子は、サワの介護に感謝の意を表わした。サワは素直にこの家を出た。

01.png ラスト、第五話。偶然にも、サワはマコトを見かけた。(第一話に登場した家の子)
 マコトの誕生直後に家を出た実父(柄本明)は、あの悲惨な事件後、仕方なく子を引き取ったが父子の間に愛はない。父親の暴力も絶えない。そして貧困生活。
 サワはこの環境からマコトを救った。さらには、母親から強制的に男児として育てられてきたマコトはサワによって解放されるのであった。そしてサワは、思わぬところから茂・老人(坂田利夫、三話で登場)のプレゼントを発見し号泣する。

 サワの老人に対する優しさに注目する方はサワを天使かも、と思い、一方、老人に付け込むサワの手口や、結局金品を狙ってんじゃないかとみる方は、サワを悪魔的と感じるのかもしれない。でも、どちらの方も、もう少し映画を読み解いてね。

 主演の安藤サクラがいい。彼女独特の味と存在感がある。
 話の方は、第四話の後半、義男が認知症になった後のシーンが冗長。これが残念。老人と戦争体験というテーマをここに盛り込みたかったのだろうが唐突である。また、第五話で登場するマコトと実父については、脚本の練りが足りないために、柄本明の演技がむなしく空を切る。一話から四話の前半までは、いい感じなのにね、惜しい。
 本作と同じく五話で構成されている映画で、アメリカ映画「彼女を見ればわかること」が、よく出来ていた。その記事はこちらからご覧ください。
 

キャプチャ図0監督・原作・脚本:安藤桃子|2013年|196分|
撮影:灰原隆裕|
出演:山岸サワ(安藤サクラ)|
第一話・・・平田昭三(織本順吉)|平田雪子(木内みどり)|平田マコト(土屋希望)|
第二話・・・康夫(井上竜夫)|カラオケ店員(東出昌大)|
第三話・・・茂(坂田利夫)|勧誘する男・斉藤末男(ベンガル)|
第四話・・・真壁義男(津川雅彦)|真壁静江(草笛光子)|ヘルパーの女・浜田(角替和枝)|姪の真壁久子(浅田美代子)|
第五話・・・マコトの父・佐々木健(柄本明)|平田マコト(土屋希望)|

下2

下












安藤サクラが出演の映画 (これまでに一夜一話で取り上げた映画から)

 ・「百円の恋」 監督:武正晴|2014年| こちらからご覧ください。

 ・「ペタル ダンス」 監督:石川寛|2012年| この映画はこちらからどうぞ。


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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
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