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映画「アッカトーネ」 監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ

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 イタリアはローマでのお話。
 ただし、ローマとは言っても、市街の周辺地域。
 映画の舞台となるこの辺りは、まだ戦禍のあとが生々しい。焼けて半壊した住宅がところどころにポツンと建っていたり、煉瓦のカケラや砕けた石ころがゴロゴロしている。そして何よりも、この一帯の景色は、電柱だけが目立つ荒涼とした土地が広がっている。
2-0_20151119162306fd0.jpg そしてその荒れた空き地のあちこちでは、戦後復興の掛け声のもと、鉄筋コンクリート造りのアパートの建設ラッシュ。もっとも、主人公のアッカトーネらにとっては、あの建設ラッシュは自分たちとは無縁の別世界らしい。(彼らが住むこの一帯は、戦争以前から、底辺層の人々の集落だっだのだろうか。)

 アッカトーネは20歳前半くらいの男。彼には愛人がいる。マダレーナという女で、商売は街娼だ。アッカトーネは、マダレーナの所に居候し食わせてもらっている。ちなみにアッカトーネという名はあだ名で、意味は乞食、本名はヴィットリオという。
 アッカトーネは、男はあくせく仕事しないもんだという心得の男たちと一緒にたむろして、毎日ぶらぶらしている。ただし、その誰もが文無しで、路上に椅子を出してタバコをくわえ賭け事をする毎日。一食や二食、なにも食えずのこともしばしば。でも、稼ごうとはしない。そして、誰もが暗くない。(もちろん、この街には少数派だが働く男たちもいる、アッカトーネの弟もその一人)
 
 ある日の夜、街娼仲間らと道に立っていたマダレーナのところに一台の車が止まった。彼女は、男たちに誘われ車に乗り、暗い空き地に連れて行かれる。そして暴行を受けた。しかし、これは仕返しだった。マダレーナが、以前、彼らの親分を警察に密告したのだ。
 翌日、マダレーナは警察に訴えはしたが、突かれたくない自身の過去や今の職業を思えば、犯人は彼らだとは言えぬ事情がある。結局、苦し紛れにアッカトーネの仲間の一人を犯人だと言ったがために、偽証の罪でマダレーナは刑務所に入ってしまった。
 困ったのは、アッカトーネ。食うや食わずの日々。仕方なく、妻の実家を訪ねたが、義弟に袋だたきにされ尻尾を巻いて引き返した。

3-0_20151119174631685.jpg そんな折、ステラという若い女と出会う。始め、それはアッカトーネにとって恋であった。この女のために、アッカトーネは再び妻の実家に忍んで行き、自分の息子が首にかけている金のネックレスをそっと奪い、換金してアクセサリーを買った。
 そして、これまでを反省したのか、アッカトーネは紹介されて仕事に就いた。がしかし、一日で働くことを諦めてしまう。食ってないので体力が続かないのだ。
 しばらくすると今度は、アッカトーネはステラに街娼の仕事をさせようとした。初めて道に立った彼女は、だが客の要求を断わった。見兼ねていた街娼仲間は、これに安堵した。そして、アッカトーネとステラは食えない日が続く。

4-0_20151119203142b1c.jpg 最近、刑務所から出所してきた男がいた。自分の天職は泥棒だと言ってはばからない小柄な中年男。アッカトーネはこの男と若いのと3人で泥棒稼業を始める。
 初日、ローマ市街を一日中歩き回ったが、盗める物が見つからない。疲れ切って座り込んでいる時、肉屋の巡回トラックが停車した。配達人が店に入った隙に、若いのがハムやベーコンを盗んできた。その時、警察官が追いかけてきた。
 アッカトーネは近くにあったバイクで逃走。猛スピードで街角を走り抜け、そしてその先の橋詰めの交差点で、走って来たトラックと激突。病院に運ぶまでもなく、彼は呆気なく死んだ。(終)


 アッカトーネが見た悪夢のシーンが幻想的だ。自分の葬式が行われている。それをそばで見ている本人。彼の仲間たちが花束を持って喪服姿で現れる。気がつくとアッカトーネも喪服を着ている。葬儀の列が墓場に向かうが、本人は入り口で止められてしまう。塀を乗り越え墓場に入ると、墓堀人が穴を掘っている。それを見ていてアッカトーネが言う。そこは塀の影で暗い、もっと日の当たる所にしてくれ。
 
 パゾリーニ監督の第一作目の映画。すさんだ物語ですが、どこかのんびりした風が吹いています。
 この映画、とにかく、他の堅苦しい記述にとらわれることなく、肩ひじ張らず、すなおに観たいものです。

事故直後のシーン。このあと人々が駆けつける。
下オリジナル・タイトル:ACCATTONE(乞食の意)
監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ|イタリア|1961年|117分|
脚本:ピエル・パオロ・パゾリーニ、セルジオ・チッティ |
撮影:トニーノ・デリ・コリ|
出演:フランコ・チッティ (アッカトーネこと、ヴィットリオ)|フランカ・パスット(ステラ)|シルヴァーナ・コルシーニ(アッカトーネの愛人で売春婦のマダレーナ)| アドリアーナ・アスティ(売春婦のアモーレ)|アデーレ・カンブリア(アッカトーネが世話する子持ちの女ナンニーナ)|パオラ・グイディ(アッカトーネの妻アシェンサ)|ロベルト・スカリンジェッラ(横縞シャツのカルタジネ)|ウンベルト・ベヴィラクア(ナポリから来たチンピラ男サルバトーレ)|ほか





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