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映画 「喜劇 にっぽんのお婆あちゃん」  監督:今井正

くみ(北林谷栄)と、サト(ミヤコ蝶々)
上

 いい俳優たちが、それぞれの持ち味を出し合ったこの映画は、社会派ドラマといったカテゴリーをするりとすり抜け、ほろ苦い喜劇になっている。
 浅草のロケは、戦後の新しい若さと、何か先を急ぐような心の落ち着かなさを、うまく今に伝えている。

1-0 日々の現実から逃げだした、くみ(北林谷栄)と、サト(ミヤコ蝶々)のふたり。
 ふたりは、浅草の街で出会い、意気投合した。
 くみ72歳は老人ホームから、サト65歳は同居する息子夫婦の団地から、それぞれ抜け出したのであった。

 くみのいる老人ホーム。そこでの狭い人間関係に、彼女は疲れていた。そして、密かにホームを出た。
 サトは、嫁とうまく行っていない。嫁は同居ノイローゼで疲弊し、夫とサトに辛く当たる。自分の居場所を失くしたサトは自殺するために家を出たが・・・。

 老人ホームの老人たちが、みな名うての脇役俳優たち。飯田蝶子、浦辺粂子、東山千栄子、左卜全、中村是好、殿山泰司、上田吉二郎など。加えて、そのほかのちょい役も、伴淳三郎、田村高廣、木村功、小沢昭一、渥美清、三木のり平、沢村貞子、市原悦子などと豪華な顔ぞろえ。十朱幸代もすがすがしい。よって、なんとも言えぬ奥行きのある映画になった。

 先に記事にした山田洋次の映画「下町の太陽」では、結婚して団地に住むことが、ステイタスになっていた。だが、そこには、年老いた親との同居は視野にない。「下町の太陽」が、20歳代の視点で見た社会を描いているのだとすると、「喜劇 にっぽんのお婆あちゃん」は、同時代の社会をその反対側から、つまり年配者の視点で描いた映画と言える。
 「下町の太陽」とあわせて観ると、先の東京オリンピック直前の時代が少し分かる。「下町の太陽」の記事はこちらから

下監督:今井正|1962年|94分|
原作・脚本:水木洋子|撮影:中尾駿一郎|
出演:喧嘩ばあさん・サト(ミヤコ蝶々)|おとぼけばあさん・くみ( 北林谷栄)|風船ばあさん・花(飯田蝶子)|ざあませばあさん・わか(浦辺粂子)|大食いばあさん・ハツ(原泉)|横着ばあさん・艶(村瀬幸子)|いじわるばあさん・かく(岸輝子)|あそばせばあさん・末野(東山千栄子)|ロマンチックじいさん・安西(斎藤達雄)|インテリじいさん・鈴村(渡辺篤)|皆勤主事曽我(織田政雄)|優等生じいさん・関( 左卜全)|乞食じいさん・三谷(中村是好)|迷コック(清水金一)|モグモグじいさん・手塚(杉寛)|ノイローゼじいさん・加藤(小笠原章二郎)|親分じいさん・杉山( 山本礼三郎)|お巡りさん(柳谷寛)|八掛見じいさん・象水(殿山泰司)|政治家じいさん・大川(上田吉二郎)|画家じいさん・多田(菅井一郎)|鮒中の女店員・昭子(十朱幸代)|下町つ娘ひろ子 (五月女マリ)|団地亭主・達二(渡辺文雄)|ヒステリーのその女房・志保子(関千恵子)|老人ホームの新米寮母青木(市原悦子)|栄養士(沢村貞子)|大道掛軸屋(三木のり平)|お巡りさん(渥美清)|副園長小野(小沢昭一)|セールスマン田口(木村功)|純情園長さん福田(田村高廣)|酔っぱらいじいさん兼井(伴淳三郎)|


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