Home > 洋画評だけ見る 直近50作 > 中国映画 「最愛の子」 ~第16回東京フィルメックス上映作品

中国映画 「最愛の子」 ~第16回東京フィルメックス上映作品

上
「最愛の子」  Dearest / 親愛的

中国、香港 / 2014年 / 130分
監督:ピーター・チャン  (Peter CHAN)
出演:実の父親・黄渤(ホアン・ボー)|その元妻で実の母親・郝蕾(ハオ・レイ)|誘拐犯の妻で養母の趙薇(ヴィッキー・チャオ)|ほか


1-00_201512011751028e0.jpg 一人息子のポンポンは3歳。
 彼の父親・黄渤(ホアン・ボー)は中国・深圳の街の、込み入った路地でインターネット屋を営んでいる。元妻の郝蕾(ハオ・レイ)は時々、車に乗ってこの店に現れ、息子のポンポンとひと時を過ごすことを毎回楽しみにしていた。

 ある日、郝蕾は息子と会ったあと、前夫・黄渤といつものように親権についてひとしきり言い争い、そののち車で大通りへ出ようと狭い道をゆっくりと抜けていた。近所の子たちと遊んでいたポンポンは、母親のその車を見かけ、追いかけた。車は低速だったので、追いつけると思って彼はさらに追いかけた。
 だが、結局追いつけなくて、彼は道でひとり佇んでいた。その時、ポンポンは見知らぬ男に誘拐される。

2-0_2015120113223095d.jpg 日が暮れて、ポンポンの帰りが遅いことに気付いた父親・黄渤は、周辺の路地を捜し歩いた。近隣の人も手伝って、郝蕾も呼び寄せて、くまなく探しまわった。警察に願い出たが、捜索は24時間経ってから行う規則だ、今すぐは出来ないと断わられる。黄渤は、誰かに誘拐され列車で連れて行かれるかもしれないと思い、ターミナル駅へも行った。(中国では子供の誘拐、売買が多発していて、年間20万人もの子供が行方不明になっているといわれている。下記参照)

 それからというもの、黄渤は毎日、ネットで子供の行方不明情報を必死になって探し続ける。チラシを作って街で配った。だが、手がかりは見つからない。
 そのうち、ポンポンを見たという情報が、中国各地から寄せられる。だが、みな、金欲しさのウソの情報であった。そんな輩から危ない目にも会ったが、彼は怯まない。
 だが精神的に落ち込んで行く。黄渤の店は開店休業状態。悪いことは重なる。店のオーナーは、別のテナントを用意し彼を追い出しにかかった。彼は商売を諦めざるを得ない。そんな彼を心配して、郝蕾が様子を見に来る。郝蕾の夫は金を工面してもいいと申し出たが、黄渤は断わった。 
 黄渤は「子を誘拐された親の会」に入った。その会合では誰もが悲痛な思いを押し殺し、互いに慰め励まし合っていた。そんな中で、黄渤のすさんだ心は僅かに和んで行った。

3-0_20151201134549f07.jpg そしてある日、黄渤の元にポンポンを知っているという情報が入る。情報提供者は金は要らないと言っている。黄渤は郝蕾(ハオ・レイ)を連れて遠い現地に向かった。案内されて行ったそこは、山あいの一軒家である。二人は物陰からのぞき見ると、少し成長したポンポンらしき姿が庭に見える。そーっと近づき、彼の前髪を上げると額に傷跡がある。ポンポンだ!
 喜んだ二人は、すぐさま彼を抱きかかえ、来た道を走った。物音に気付いたその家の女が、二人を追いかけた。(これも誘拐である)村人も追いかけはじめる。ついに二人は追いつかれ村人らに取り囲まれた。

 二人には、「子を誘拐された親の会」のリーダーが、サポート役として付き添って来ていた。地元警察署で、取り調べを受ける二人のそばでリーダーは、ことの次第を署長に説明し、ポンポンは二人の実の子であることを署長は理解した。そして次に、ポンポンがいた家の女に調査が移った。その女は趙薇(ヴィッキー・チャオ)といい、ポンポンを誘拐した犯人の妻であった。かつ、誘拐犯であるその夫は既に死んでいた。
 6歳なったポンポンは、その女・趙薇に懐いている。実態は養母であり、ポンポンにとっては実の母である。彼に3歳までことを思い出せと言っても無理であった。一方、夫を亡くした趙薇の心のよりどころは子供であった。そして、今やひとりとなってしまった。

 ポンポンはこうして、父親・黄渤の元に帰った。実の親に馴染むのに、この先、時間はかかるだろうと、黄渤はゆっくり構えて親子の生活が始まった。郝蕾も、以前のように時々、ポンポンの様子を見に来た。

5-0 第2話。
 さて、ポンポンが育ったあの村の家には、もう一人の女の子がいた。この子も、趙薇(ヴィッキー・チャオ)の夫によってどこかから連れてこられた娘であったが、この事件以降、女の子は行政の手で児童養護施設(孤児院)に引き取られた。
 この娘見たさに、養母の趙薇が深圳の街に出てきた。施設に行ったが面会は断られた。どうしても会いたい。偶然だったが、彼女は若い弁護士に出会う。この弁護士の男は趙薇に惚れ、弁護士報酬抜きで、施設から女の子を法的に引きとれないか考え始める。
6-0 一方、ポンポンを自分の手元に置けない実母の郝蕾(ハオ・レイ)は、ポンポンの妹のようにして育ったその女の子を養女として迎えられないかと強く思い始めていた。今の夫はこの件を理解できなくて、夫婦は裁判の直前についに離婚してしまう。
 やがて民事裁判が行われ、二人の女はひとりの女の子をめぐって争うこととなる。判決は、離婚した郝蕾にその資格はない、となった。片や、趙薇の弁護士は裁判長から、こう言われた。誘拐犯の妻に女の子を渡せるか?弁護士として、まともな依頼人を選んで仕事しなさい、と馬鹿にされた。

 後日、趙薇が体調を崩し、弁護士の男に付き添われて病院に来た。診断の結果、医師から妊娠していると言われる。これを聞いた趙薇 は、ふたつのことに驚愕した。
 そのひとつは、趙薇は自分は子を産めない身体だとずーっと思いこんでいた。だから、夫が連れて来た子供ふたりを養子として迎えたのだった。
8-1_20151201195838126.jpg もうひとつは、妊娠した相手だ。趙薇は、亡き夫から、女の子は誘拐したのではなく、拾って来たのだと聞いていた。弁護士は、その証言を誰かから聞き出せないかと彼女に問うていた。趙薇は、夫が出稼ぎに行っていた現場の仲間で親戚の男を探し出した。男は面倒なことに巻き込まれたくないと証言を拒否したが、趙薇がベッドを共にすることを引き換えに、証言することを呑んだのであった。その時のことで、趙薇は妊娠したのであった。(終)

 このストーリーは実話を基にしたとのこと。
 一方、この映画は有名俳優が出演するエンターテインメントな作品に仕上がっている。だから、「何処までか」は事実で、「何処か」からは作り話。その作り話的なシーンが、いかにもそうで、いささか興ざめする。 

 映画冒頭で、ポンポンの実の母・郝蕾(ハオ・レイ)が運転する車をポンポンが追いかける。実は、郝蕾は、ポンポンのその様子をバックミラーで見ていた。(だから低速運転だった。)見ていたが・・・、結局、声もかけずにそのまま走り去ってしまった。
 後日、郝蕾は前夫の黄渤に誘われて、「子を誘拐された親の会」に出席する。その席で彼女はこのことを皆の前で告白する。誘拐されたのは私のせいだと言って泣き崩れた。これは事実なんだろう。

 ◆中国の行方不明者の情報サイト「中国失踪人口档案库」 http://www.zgszrkdak.com/

 ◆“行方不明児20万人”の衝撃 ~中国 多発する誘拐~ NHKクローズアップ現代の記事 2015年4月21日
  http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3644_all.html

 ◆“我が子はどこに…” ~中国・横行する子どもの誘拐~ NHK ONLINE 国際報道の記事 2015年2月9日
  http://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2015/02/0209.html
 
 (以上の3つは、外部リンクです。今後、リンク切れの可能性があります)


関連記事
スポンサーサイト

Comments: 0

Comment Form
Only inform the site author.

Trackback+Pingback: 0

TrackBack URL for this entry
http://odakyuensen.blog.fc2.com/tb.php/1323-240435af
Listed below are links to weblogs that reference
中国映画 「最愛の子」 ~第16回東京フィルメックス上映作品 from 一夜一話

Home > 洋画評だけ見る 直近50作 > 中国映画 「最愛の子」 ~第16回東京フィルメックス上映作品

タグクラウド
プロフィール

やまなか

Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

RSSリンクの表示
Tree-CATEGORY

Return to page top