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映画 「マッチ工場の少女」  監督:アキ・カウリスマキ

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 主人公のイリスは、マッチ製造の小さな工場で働き、両親を養っている。
 その少ない給料を、ワンマンな義父は有無を言わさず取り上げる。そんな義父の気性に反抗して、イリスの兄は家を飛び出し、ひとりで生活している。

1-0_20151212133828df3.png イリスに友人は少ない。人付き合いが苦手そう。彼氏もいない。日々は、家と工場の往復だけ。
 でもイリスは年ごろ。出会いを求めて、時々はダンスホールに出かける。出かけるが、ダンスのお相手は現れず、いつもホールの隅でジュースを飲むだけで終わってしまう。
 そんなある日、イリスは街角のショーウィンドーで素敵なドレスを見つけ買ってしまう。
 義父は、いつもの給料が半分もないのに怒ってイリスを平手打ち。母親もドレスを返品するように言う。だが、彼女はそうしなかった。
 そしてそのドレスを着てダンスホールに行った。しばらくして、男が彼女をダンスに誘った。イリスは嬉しかった。そしてその夜は彼の家に泊まった。翌朝、彼はベッドサイドに金を置いて、会社へ行った。
2-0_201512121347366ed.png そののち、イリスはその男に会うが、男はイリスと付き合う気はまったくない。
 そして時が経ち、イリスの妊娠が発覚。このことを男に伝えたが、送られてきた封筒には小切手と始末しろの一文。
 
 イリスは、「効果てきめんイチコロ」と薬局の女が言う、殺鼠剤の粉末を買う。
 さっそく、これを水に溶かしボトルに詰めハンドバックに入れた。そして、妊娠の事で話したいと言う口実で男の家に行き、隙を見てウィスキーのグラスに殺鼠剤を入れる。家に帰って、今度は義父に・・・。

 こうして、あらすじをたどると、何の変哲もないない、いや、むしろまったく陳腐な話なのだが、なぜか、この映画はいい。
 それは、絶妙な「間」のマジックが映画を素晴らしいものにしていると言える。ストーリー展開の中でのすっとぼけたような「間」、セリフ前やセリフ間のぐっと堪える「間」が、映画に豊かな物語性を生み出している。それは音楽に例えれば、アフタービートの2拍4拍を譜面通りに演奏せずに、ジャストから僅かに遅れ気味(「間」)にプレイすると、がぜん乗りが出てくる、このマジックに似ている。
 加えて、この映画はセリフや表情の動きがとても少ない。それでも映画は饒舌だ。なぜなら、イリス役のカティ・オウティネンはじめとする俳優が出す「気」が、多くを語りかけてくるのだ。 

 ◆アキ・カウリスマキ監督の映画 (これまでに記事にした映画です。題名をクリックしてご覧ください)
 「ル・アーヴルの靴みがき」 (2011年)  「過去のない男」 (2002年)
 「愛しのタチアナ」 (1994年)        「真夜中の虹」 (1988年)
 「パラダイスの夕暮れ」 (1986年)     「カラマリ・ユニオン」 (1985年)
  
オリジナル・タイトル:Tulitikkutehtaan Tytto
監督・脚本:アキ・カウリスマキ|フィンランド|1990年|68分|
撮影:ティモ・サルミネン|
出演:イリス(カティ・オウティネン)|その母(エリナ・サロ)|義父(エスコ・ニッカリ)|ダンスホールでイリスを誘った男(ヴェサ・ヴィエリッコ)|ほか
(出番は少ないが、) イリスの兄は、困った妹に優しい。
下


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やまなか

Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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