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映画 「非行少女ヨーコ」  監督:降旗康男

上3
1960年代の新宿の街をのぞき見れる映画でもあります。


1-0 田舎を飛び出してきた女の子・ヨーコ(緑魔子)のお話。
 新宿の街に現れたヨーコは、とんがった子。
 田舎者の女として、いいように扱われそうになると、
 「あたし百姓じゃないんだから、犬っころじゃないんだから!」 
 反体制的というより、周りの旧態依然の「世間」に反抗的。
 「結婚してテレビみたいな家庭作ろうなんて! あたしは負けないんだから!」
 じゃ、あんたはどうありたいんだ? の答えは持っていない。どうありたいか分からないが、悶々としたくない。悶々としていても、それを見られたくない。負けん気は人一倍。

 そんなヨーコが新宿で、中学の先輩タケシ(荒木一郎)に偶然出会うところから映画は始まる。
 そして映画は、2人の男をヨーコの前に並べる。ラーメン屋で厨房の男たちに馬鹿にされる下働きのタケシと、何やら余裕の金持ちの浅井(岡田英次)。ラーメン屋従業員が雑魚寝する寮に転がり込んだヨーコにとって、浅井の高級マンションはバラ色の世界。

 結局、ヨーコはラーメン屋を辞め、浅井からも逃れて、ハルミと出会う。ハルミは新宿でたむろする自分の仲間を紹介する。
 そのひとり、ナロン(石橋蓮司)が、いい所に連れて行ってあげると言う。どんな所よというヨーコに、「エレキ、モンキーはガキ遊び、最低よ。もっとズーンと現代的でしびれちゃう所よ。」 それはフリージャズがガンガン流れるジャズの店。
 この店でヨーコは初めてハイミナールを飲んでラリハイ(ラリってハイ)になる。陽気に踊れた。
 そして仲間の一人ジロウ(谷隼人)と出会ったヨーコは、彼の部屋で過ごすことになる。やがて彼女は仲間たちとも馴染み、自由で勝手気ままな日々が続いた。


2-0 そんなある夜、ジャズの店でラリッていた仲間たちは、いつになく暴れた。
 店の壁にあった油絵を何枚も切り裂き、グラスもテーブルもひっくり返す大騒ぎ。警察で調べを受けたみんなは、それからまもなく、大人しくなった。
 ナロンは美容師見習に精を出し、トミイは自動車修理工として真面目に働き、会社のお偉方の娘アコ(大原麗子)も雇ってくれる所があったらしい。これを知ってヨーコは言う、「(みんな何よ)へいこら、しちゃってさ。」

 ここでまた映画は、2人の男を、もうすぐ二十歳のヨーコの前に並べてみせる。
 父親に勘当されかかり慌てて大阪へ帰っていた、ぼんぼんのジロウが、まとまった金を持って帰って来た。そしてラーメン屋を辞めた先輩タケシがチンピラとなって現れ、俺と一緒になれと言うが。
 結局、ヨーコはジロウと貨物船に乗ってフランスのサントロペへ行くことになる。


中2 結末が良くないね。浅丘ルリ子か中原早苗と小林旭、あるいは和泉雅子&浜田光夫の映画にありそうなラスト。そうしたかったんだろうな。
 この映画を、新宿カルチャー最先端の様子だと当時風に構えて言うのは、今ではもうピントハズレに感じるし、緑魔子を主役に据えて、悪女エロい魔性の女優だと言う声高な当時の宣伝文句に、今さらドキドキする人もいないだろう。今、「素」になったこの映画を観て、どう思います? ヨーコ始め仲間のみんなが、案外真っ直ぐ素直で、かつ幼く見えます。かつ、表層的な新宿描写に少々げんなりもする。そう思うと、ラストの結末は、これでいいのかも。ああ、青春映画。
 ところで、ジャズの店で暴れるヨーコらを冷ややかに見ながら、寺山はなんて言ったか。「面白くないね、ぜんぜん面白くない。絵を壊したって何も壊れやしないじゃないか。こんな所に来る連中は毎朝ラジオ体操でもすりゃいいんだよ。馬鹿げてるよ実際。」

上


監督:降旗康男|1966年|84分|
脚本:神波史男、小野竜之助|撮影:仲沢半次郎|
出演:緑魔子(ヨーコ)|谷隼人(ジロウ)|石橋蓮司(美容師見習ナロン)|城野ゆき(トルコに勤めるハルミ)|大原麗子(アコ)|関本太郎(トミイ)|東野孝彦(沖縄出身のボクサーオキ)|荒木一郎(ヨーコの中学の先輩タケシ)|岡田英次(浅井)|大坂志郎(矢吹)|中北千枝子(ヨーコの母)|佐野周二(ジロウの父)|芳村真理(珠江)|戸浦六宏(中田)|寺山修司(本人)|今井健二(喫茶店マスター)|ほか


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アコ役の大原麗子が可愛い。
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