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映画 「12モンキーズ」  監督:テリー・ギリアム

上

1-0_2016012514362183a.jpg
 人類の1%が、なんとか生き残っている2035年。(この映画の現在)
 絶滅寸前にまで迫ったこの危機の原因は、ある種のウィルス。人間だけに凄まじい影響力がある。
 しかし今、ウィルスについて科学者たちが分かっていることは、ふたつだけ。1996年からこのウィルスが蔓延し出したこと、そしてこの出来事に関連すると思われる「TWELVE MONKEYS」という何かの名称。
 (たぶん、1996年以降、時を置かず数年で世界人口が激減し、よって多くのウィルス研究者も死亡したのだろう。ウィルスが蔓延して40年近くも経っているのに、未だにワクチン開発が進んでいない。また、ウィルスについての重要記録も多くあったと思われるが、今は皆無となってしまったようだ。)

 そんなわけで、とにかくワクチンを作りたい。
 ワクチンを作るには、その辺にウヨウヨいるウィルスを採取すれば良いというものではないらしい。ワクチン製造には「原種ウイルス」が要る。
 で、囚人ジェームズ(ブルース・ウィリス)が登場する。
 タイムマシンで1996年へ行けと言われる。「TWELVE MONKEYS」というキーワードを頼りに「原種ウイルス」を見つけ出し、持ち帰って来い。相当に無茶な話だが、持ち帰って来れれば、恩赦だ。そしてジェームズが選ばれた理由は、彼が強靭な精神力の持ち主だから。これまで同じ任務に就いた囚人たちは、みな発狂した。

2-0_20160125145106096.jpg 結局、彼はタイムマシンで2035年と過去とを、3回行き来することになる。
 一度目はタイムマシンの不調で1996年に行けず1990年に滞在して帰還、二度目もまたマシン不調でなんと第一次大戦の戦場に一瞬送り込まれるが、すぐに目的の1996年に再ワープされてたどり着き、しばらく滞在し帰還する。三度目は前回帰還したその直後のころに、ジャストで着けた。

 一回目のワープ滞在時(1990年)、ジェームズは精神病院に放り込まれた。そこで2人の人物に出会う。ひとりは患者ジェフリー(ブラッド・ピット)、もうひとりは精神科医のキャスリン。そして、ある日、ジェームズは独房監禁室の拘束ベッドから忽然と消える。彼は科学者たちに対する怒りを抱えて2035年に戻った。
 二回目の滞在(1996年)では、忽然と現れては消える不思議現象の研究者になっているキャスリンに再会。再会した事で、彼女とジェームズは急接近する。
 また、精神病院を退院したその後のジェフリーにも再会する。彼の父親は著名な細菌学者で、極秘で動物実験を繰り返していた。ジェフリーは父親の研究姿勢を非難し、動物愛護の小さな団体「TWELVE MONKEYS」を結成し活動していた。この「TWELVE MONKEYS」に反応したジェームズとキャスリンは、退院したものの、未だに不可解な行動をするジェフリーを追うが、またもやジェームズは忽然と消える。2035年に帰った彼は、研究者から祝福される。「TWELVE MONKEYS」というキーワードから、何やら極秘で謎な研究をしている細菌研究所を探り当てたのだ、素晴らしい。よって、もう一回ワープして、その研究所からとにかく研究中のあらゆる「原種ウイルス」を持ち帰って来い。
 そして、三回目のワープ時(同じく1996年)、ことは意外な展開をしだすのであった。
 ちなみに、ジェームズは1991年生まれである。

3-0_20160125150629dbd.jpg ところで、ジェームズには以前から、よく見る夢があった。
 それは彼が幼い頃に、空港ロビーで目撃した出来事。夢の中のシーンは断片的だが、何者かによって射殺された瞬間の男の後ろ姿、それを見て撃たれた男に駆け寄る女、そして何故だか、別の見知らぬ男が持つ金属製アタッシュケース。 
 ま、とにかく、この先・・・話の結末は観てのお楽しみ。

 2035年の科学者たちの目的は、あくまで「原種ウイルス」の獲得であった。これを元にさっそくワクチンを作り、人類を再び繁栄させたい。しかし、そこには思惑があった。生き残れた、ごく一握りのエリートたち(科学者)の強烈な思惑だ。この悲惨なゼロベースの世界状況をうまく利用し復興に便乗できれば、自分たちは「これからの世界の覇者」として君臨できる、そういう思惑だ。なぜなら、これからの世界を、自分たちに都合の良い様に思うがままに作れるのである。なにやら、ショックドクトリン(新自由主義的な構造改革)を連想する。 

ここで思うに、科学者たちとジェームズとの間で考えが相反する。科学者たちは、過去を修正してウィルス蔓延地獄がなかったことには、したくない。一方ジェームズは、これから起きる悲惨な事が回避できるならば、何十億と言う人々は助かる、という思い。

 さてさて、ジェームズとキャスリンは、危険なウィルスを地球上に蔓延させようとする男を突き止めた。彼は「原種ウイルス」を抱え空港にいる。これを阻止すれば、人類は滅亡から免れるのだ。だが、阻止に失敗した。
 ところが、まんまと機上の人となった犯人の隣席には、なんと、2035年のあの科学者たちの一人が平然と座っているであった。

 「12モンキーズ」は、フランス映画「ラ・ジュテ」(1962年)に触発されて生まれたとのこと。「ラ・ジュテ」では、第三次世界大戦後にわずかな人々が生き残った。タイムトラベルの研究者の命令で、ある男が未来から医療品とエネルギーを持ち帰ることとなったが・・・そんな話。続きはこちらからどうぞ。

オリジナル・タイトル:TWELVE MONKEYS
監督:テリー・ギリアム|アメリカ|1995年|130分|
脚本:デヴィッド・ピープルズ、ジャネット・ピープルズ|
撮影:ロジャー・プラット|
出演:ブルース・ウィリス(ジェームズ・コール)|マデリーン・ストー(キャスリン・ライリー)|ブラッド・ピット(ジェフリー・ゴインズ)|クリストファー・プラマー (ゴインズ博士)|ジョン・セダ(ホセ)|H・マイケル・ウォールズ(植物学者)|ボブ・エイドリアン(地質学者)|サイモン・ジョーンズ(動物学者)|ジョセフ・メリト((少年時代のジェームズ・コール)|キャロル・フローレンス(宇宙物理学者)|ビル・レイモンド(微生物学者)|フランク・ゴーシン(ドクター・フレッチャー)|デヴィッド・モース(ドクター・ピーターズ)|ほか

【テリー・ギリアムの映画】 ~これまでに記事にした作品。
 「ラスベガスをやっつけろ」(1998年)・・・この映画のブラッド・ピットの方が、危険人物で可笑しい!
 「ローズ・イン・タイドランド」(2005年)・・・これも好きな映画です。
 「未来世紀ブラジル」は、そのうち記事にします。「バンデットQ」「バロン」「ブラザーズ・グリム」「Dr.パルナサスの鏡」と「ゼロの未来」は、今後も取り上げないと思う。それぞれの映画記事は題名をクリックしてご覧ください。

左側が「12モンキーズ」の1シーン
0-0-0.jpg【ほかの映画と似ているシーン】
 左上は、ジェームズとキャスリンが変装して空港に向かうタクシーの場面。小柄な女性運転手と会話している。これ、ジム・ジャームッシュ監督の「ナイト・オン・ザ・プラネット」(1991年)を連想する。「ナイト・オン・・・・」でも、帽子をかぶった女性運転手は小柄で、かつ、後部座席の女性はサングラス。(髪に上げているが)
 下のシーンは、2035年の女性科学者がどういう訳か、大きな四角いレンズを前にした、レンズ越しのシーン。スティーヴ・クエイ、ティム・クエイ監督による「ベンヤメンタ学院」(1995年)でも、似たシーンがある。両手にバケツを持った男の前に、やはりレンズ越しの男が顔を大きくしている。
 ま、だからどうだということはないですが・・・。それぞれの映画記事は題名をクリックしてご覧ください。

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

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