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映画 蛍火 (螢火)

監督:五所平之助|1958|松竹|原作:織田作之助 「蛍」

出演:淡島千景(登勢)  伴淳三郎(伊助)  若尾文子(お良)  沢村貞子(おとみ)  森美樹(坂本竜馬)  三好栄子(お定)  水原真知子(椙)  須賀不二男 (五十吉)  福田公子(お貝)  石井トミコ(おまつ)  尾上菊太郎(巳之吉)  近森美子(お京)  初音礼子(おこと)  三島雅夫(「小六」のおやじ)  三井弘次(商人源吉)  東野英治郎(医者玄以)  佐竹明夫(有馬新七)  中村是好(門付の老爺)


< 幕末に書かれた大和日記からの抜粋 >
・・・そして伏見京橋へ着いたときは、船宿の軒行灯が初秋の夕闇に、ぼんやりと浮かんでいた。
伏見湊には大小四十軒の船宿があり一行は荷船問屋魚久へ入った。・・・

五所IMGこの大小四十軒の船宿の一軒が寺田屋。その女将が登勢(淡島千景)、旦那が伊助(伴淳三郎) 、養女がお良(若尾文子)。
淡島千景の凛とした演技と和服姿の立ち振る舞い、そして大人の美貌(当時34歳)グッときます。若尾文子(同25歳)が少々かすんでる。脇役が陣を張る。伴淳三郎、沢村貞子などなど、一瞬の緩みもない確かな演技。しかし観客にはそう感じさせない。文句なくいい映画だ。

京都の表玄関「港町」伏見、寺田屋事件を題材にしているが、そこに住む庶民のつつましやかな生活が話の中心。そしてラストは主音に帰結しない、なにやら落ち着かぬ不安を残す、そんなエンディングがいい。当時の庶民の思い、先が見えない幕末の鈍い不安を表している。五所監督の唯一の時代劇らしい。
山中貞雄原案、萩原遼監督の「その前夜」(1939年)は池田屋事件を扱っていた。同じく幕末、京都は四条、池田屋近くで宿屋を営む家族と、新撰組・浪人たちとの思わぬ巡り合わせを映画に仕立てた。「その前夜」の私の映画評はこちら

伏見港(伏見湊)
伏見湊 絵  絵図IMG















大阪から船で淀川を上り、大きな湖である巨椋池に入ってたどり着くは伏見港。(伏見港は巨椋池の北岸にあり、伏見城の城下町にあった) 
巨椋池は日本の湖沼30位の大きさの「湖」で、東西4km、南北3km、周囲16km。面積は約800haと、甲子園球場の約200倍の面積だった。(箱根の芦ノ湖、富士五湖の山中湖より1k㎡分大きい)歴代の治水工事や洪水の氾濫ごとに湖の形は変わってきた。戦後干拓が行なわれ今はない。

                      巨椋池の図巨椋池 絵













【今年の「MyBest 3」にノミネートしてる映画】

 これに、「蛍火」を加えます。

・イエローキッド     |2009|監督:真利子哲也    この映画の私の評はこちら
・川の底からこんにちは  |2009|監督:石井裕也     この映画の私の評はこちら
・ハッピーエンド     |2008|監督:山田篤宏     この映画の私の評はこちら   
・パリ20区、僕たちのクラス|2008|監督:ローラン・カンテ この映画の私の評はこちら
・ヴァンダの部屋     |2000|監督:ペドロ・コスタ  この映画の私の評はこちら
・僕らのうちはどこ?   |2009|監督:レベッカ・カンミサ  この映画の私の評はこちら
・蛍火          |1958|監督:五所平之助

今のところ、この7本。(新作旧作、洋画邦画、上映・DVD・TV放映問わず。)
うむ、どれも甲乙付けがたい。

大和日記=天誅組のひとり半田門吉の幕末の日記



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Comments: 2

やまなか URL 2012-09-10 Mon 23:23:51

投稿ありがとうございます。
貴重なご体験ですね。うらやましいです。
NHK BSか、CSの日本映画チャネルで放映してほしいと思います。
わたしも一時、伏見に住んでいました。そのせいか、本作に魅かれるものを感じました。
(一夜一話の映画リスト一覧に、この映画もれていました。追加しておきます。山中)

我里庵 URL 2012-09-10 Mon 16:49:00

蛍火は地元で撮影されました。
スタッフが農家に1週間ほど泊まられて。
その撮影で小生は若尾文子さんにいがぐり頭を撫ぜられました。
映画が完成して上映されると、地元民が多数観に行きました。
最近、この映画のことが話題になり、もう一度観たいと。
ツタヤレンタルにはありませんでした。
DVDにはならないのでしょうかね?

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