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映画 「宇宙人王(ワン)さんとの遭遇」 イタリア映画  監督:アントニオ・マネッティ、マルコ・マネッティ

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1-0_20160520162114ca0.jpg 宇宙人を題材にしたB級のSFだが、観客に問題提議する映画。
 
 フリーで中国語の翻訳通訳を仕事にしている女性ガイアのもとに、馴染みの斡旋会社から電話が入った。
 同時通訳のギャラが2時間で2000ユーロだと言う。あまりの高額さに一瞬躊躇したが、ガイアは引き受けることにした。

 依頼主は何やら急を要しているようで、さっそく迎えの車が来た。せかされる様にしてガイアは車に乗せられる。
 「これからの事はすべて機密だ。行先も知ってもらっては困るので目隠しをさせてもらう。」と、キュルティという男に言われた。そして、目隠しを外した場所は、地下の一室であった。

 部屋の奥は真っ暗で、どうやらそこに中国語を話す誰かがいるらしい。すぐさま、同時通訳が始まった。
 キュルティがその誰かに向かって高圧的に話し始める。ガイアは不安な気持ちを抱きつつも通訳を始めた。しかし、ここは尋問の場であった。
 暗闇で姿が見えぬ誰かは、流ちょうな中国語を話すが明らかに怯えている。「表情が見えないと正確に通訳できない」とガイアがキュルティに訴える。今度はキュルティが躊躇した。
 さて部屋の奥が明るくなるやいなや、ガイアは部屋の出口へ走った。先ほどまで王(ワン)と名乗っていた男は、なんと宇宙人であった。

図0 落ち着きを少し取り戻したガイアは勇敢にも仕事を続けた。王さんに対するキュルティの態度はますます高圧的になって行く。なぜなら尋問のやりとりが堂々巡りなのである。
 国防省のキュルティは、この宇宙人がなぜ地球に来たのか、侵略ではないか、その本意を知りたい。電極による拷問も辞さない構え。
 一方、手足を縛られ椅子に座らされている王さんだが、彼はあくまで親善的な態度を崩さず、しつこく繰り返される同じ質問に対し、「地球人と友好関係を築くために来た」と、何度も答えている。
 キュルティが高圧的になればなるほど、ガイアは王さんに同情的になって行く。思い余ってついに、彼女はキュルティに人道的になれと噛みついた。
 ガイアは休憩時に、部屋から自販機やトイレへ行った。その折、彼女は国際人権NGO、アムネスティ・インターナショナルに電話しようとしたが失敗していた。

 さて、ここからガイアの冒険が始まる。キュルティが席を外した隙に、ガイアは王さんを助け出そうと、監視の男をノックアウトして王さんを部屋から連れ出した。
 しかし、長い地下廊下を通り抜け、地上階に上がって見たその光景に、ガイアはひどく驚愕した!
 彼女が見たものは、破壊されつつある都市と、上空ではイタリア軍戦闘機とUFOとの激しい戦闘の光景であった。そして宇宙人の優勢は誰の目にも明らかであった。
 呆然としているガイアの後ろから一言、王さんは彼女に同情的に言った、その一言とは・・・・。

 
 紳士然として友好を装った王さんは、地球制覇の先遣隊であった。国防省のキュルティは、当初から強い疑惑を抱いていた。
 しかし、王さんに最善をつくそうと懸命であったガイアの善意は、見事に裏切られた。
 この映画について、米中のマスコミが言い合ったらしい。それはつまり宇宙人=中国人と捉えての、中国の覇権的行動批判とその応酬だった。
 もし、イタリアとしている国が日本なら、どうだろうか。
 もし、この宇宙人を今ヨーロッパに流入している難民に置き換えれば、どうだろうか。そして、もし、あなたがガイアであったら。
 この映画は、こうした「もし」の置き換えで立ち現れる状況を観客に考えさせ、問題提議する。

 ちなみに2つのこと。
 ひとつは、この映画にアモニーケという被害者の女性が登場する。王さんがある事情でアモニーケの家に侵入した際に、王さんはアモニーケの一撃で失神し王さんは警察に捕まった。しかし、アモニーケも国防省によって連行され、ガイアがいた同じ施設で事情聴取されていた。そして、アモニーケは王さんと国防省を敵視する一方で、ガイアの脱出を助けるのであった。
 もうひとつは、なぜ王さんは中国語を話すのか。これはキュルティの質問であった。王さんは答えた。それは中国語が地球上の一番多くが話す言葉だったと。

 最後にこの映画、シナリオは荒っぽいし、王さん(VFX)はいかにもビニール製っぽくて、お粗末。
 だが、それは意図的なのかもしれない。

                              アモニーケとガイア
下オリジナル・タイトル:L'arrivo di Wang
監督:アントニオ・マネッティ、マルコ・マネッティ|イタリア|2011年|82分|
脚本:アントニオ・マネッティ
出演:フランチェスカ・クティカ(ガイア)|エンニオ・ファンタスティキーニ(キュルティ)|ジュリエット・エセイ・ジョセフ(アモニーケ)|アントネッロ・モッローニ(マックス)|ジャーデー・ジラルディ(ファルコ医師)|

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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