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映画 「喜劇 女は度胸」  主演:倍賞美津子、沖山秀子、渥美清  監督:森崎東

上
学は、レコード店でひとり クラシック音楽を試聴していた。


 少しビターな娯楽映画ですが、面白い。

 桃山 学(河原崎建三) に一目惚れし、アタックしたのは愛子(倍賞美津子)の方だった。
 そして、学が愛子にプレゼントした一冊の詩集がもとで、学が大変な誤解をし、そのせいで二人の愛の道のりは、大きく遠回りすることになった。
 さらには、この誤解がもとで、学の兄・勉吉(渥美清)の結婚が本決まりし、またこの誤解がもとで、学の両親(花澤徳衛、清川虹子)は、ささくれ立った夫婦の絆を、辛くも繫ぎ止めることができた。
 学が言うに、この一連の騒動はぜ~んぶ、兄さんが悪いのである。学は気弱なインテリだった。だから、兄(渥美清)や父親(花澤徳衛)が、大酒飲みで女好きで下品な人種に思え、学は日ごろから耐えきれないでいた。

母親と学、そして兄の勉吉
1-0_20160611143545238.png この映画の舞台は、東京都大田区。東京湾に突き出た羽田空港がすぐそばの運河沿い。
 学の家も、学が勤める町工場も運河岸にある。運河に沿って、空港利用客向けに大きな看板がいくつも連なって立っている。 
 愛子は、四ツ星電機の工員で女子寮(相部屋)に住んでいる。

 さて、学が愛子にプレゼントした詩集だが・・・、シーンは学の家の中。
 勉吉がちゃぶ台の前で声に出して詩集を読み上げている。それを聞いて、学は驚いた。
 なぜ、勉吉がゲーテの詩を読んでいるのか! その赤い装丁は愛子にあげた本に似ている。当然、学は兄に聞いた。その本、どうしたの。「俺の彼女だよ、ひとみチャン。コールガールだよ。どうせ本名じゃないけどな。四ツ星電機の工員だ。」 
 これを聞いた学は驚愕した。愛子はコールガールか! 四ツ星電機の工員がコールガールをしている、そんなうわさは学も聞いていた。

 実は、学が愛子にプレゼントした詩集だが・・・、
 女子寮で、愛子と同じ部屋の笑子(沖山秀子)が勝手に借りて寮から持ち出した。持ち出した先は、ホテルというより、木造のあいまい宿。つまり笑子はコールガールを副業としていた。その常連客が、学の兄の勉吉(渥美清)。勉吉は何を思ったか、その詩集を笑子から借りて家に持ち帰った。(もちろん笑子は、勉吉に弟がいることも、その彼女が愛子だということも知る由もない。)

 その日のデートは学にとって辛かった。大きな誤解の中にいる学は、「なぜ詩集が」やコールガールのことを率直に問いただせなくて、遠回しに愛子に辛く当たった。愛子は、わけが分からず、かつ不快になって、学に平手打ちを食らわし帰ってしまう。
 後日、学は斡旋屋(有島一郎)で「ひとみチャン」なる女を指名し、恐るおそる そのアパートの部屋へ向かった。
 そこは、ひとみチャン(笑子)の部屋であった。笑子は寮を出たのだ。学が訪れた時、部屋は留守だった。学は部屋の前にいた。そこへ愛子が笑子を訪ねて来た。ふたりは出会い、互いに驚くが、その驚く中身が違う。そこへ笑子が帰って来た。

2-0_20160611144141fff.png これで学の誤解は解けた。しかし、愛子は疑われていたことに大いに傷つく。また、面と向かって確かめない態度が気に入らない。そこへ、勉吉の鼻歌が聞こえてきた。学は兄に会うのを避けて、その場から逃げた。

 部屋には愛子と笑子と勉吉。勉吉は笑子に所帯を持とうかと、すき焼き鍋を前に話している。
 そのうち、窓辺に座って外をぼんやり眺めている愛子に気付く勉吉。傷つき悲しそうな愛子を見て、相談に乗ってやる。そして言う。「そんなウジウジした男、結婚してもいいことない。別れろ別れろ。」 愛子もそうだと思う。(この愛子が自分の弟の彼女だとは、勉吉はまだ知らない。)

 愛子は意を決して別れを言うため、学の「下宿」へ向かった。居たのは父親(花澤徳衛)だった。下宿じゃないんですか? えっ?お父さんですか? 学は自分の家の事、家族の事を愛子に偽っていたのだ。
 学は父親に言っていたのだろう。結婚したい女性がいるが、アルバイトでコールガールをしているかもしれないので悩んでいると。それを聞いていた父親は、「こう言っちゃ何だが・・・、その、そういう商売をした女が家庭を持つってぇのは親としては・・・」と割りとストレートに言いだした。愛子は怒る。「とにかく別れますと伝えてください!」と吐き捨てるように言い帰ろうとした。(父親は愛子の疑いが晴れたことを、まだ知らされてなかった・・・。)


3-0_201606111559041db.png そして、ここが映画の山場。
 その時、学が帰ってくる。学は玄関先で、愛子に何度目かの平手打ちを食らう。
 そこへ、酔った勉吉が笑子を連れて親に婚約発表しようと楽しげに帰って来た。
 そこで勉吉と笑子は驚く。勉吉の驚きは、愛子の彼氏が学であったこと。笑子の驚きは、客だった男が勉吉の父親だったこと。すぐさま、父親は学の嫁になる女の様子を窺いに客として行っていたのだと。続いて、学、勉吉、愛子、笑子の4人それぞれが次々に言い合う。愛子と笑子の間でも言い合うことに。可笑しい! 
 観客も知らないすべてが明らかになって行く。 (観てのお楽しみ。)

 そして、この取っ散らかった事態を収拾したのが、学の母(清川虹子)。それまで無口であった母は、肝っ玉母さんだった。学、勉吉、愛子、笑子と自分の旦那を家に上げて話をまとめていく。だが、その中で母親の告白があり、そのことで勉吉と父親が取っ組み合い、包丁騒ぎから運河にドボン。その隙に、母親は、息子たちの嫁になろうとする愛子と笑子に、ある頼みをするのであった。そして、夜が明ける。

 若い倍賞美津子と沖山秀子。特に若い頃の沖山秀子(1945 - 2011)を見てください。



下監督:森崎東|1969年|松竹|90分|
原案:山田洋次|脚本:大西信行 、 森崎東|撮影:高羽哲夫|
出演:桃山泰三(花澤徳衛)|桃山ツネ(清川虹子)|桃山勉吉(渥美清)|桃山学(河原崎建三)|白川愛子(倍賞美津子)|笑子(沖山秀子)|コールガール斡旋屋の黒田甚兵衛(有島一郎)|春子(春川ますみ)|路子(中川香奈)|太一(大橋壮多)|次郎(佐藤蛾次郎)|スミエ(久里千春)|

【森崎東監督の映画】 ~これまでに記事にした作品です。

 「時代屋の女房」、「生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言」、「街の灯」(これはお薦めしません)

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