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映画 「特急にっぽん」  フランキー堺、団令子、白川由美  監督:川島雄三

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宣伝のための撮影写真            
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 忙しくてゆっくり休む間もない、スピード優先のせわしない時代になりました、と言いたい昭和36年の喜劇映画。

 話は終始、東海道本線を走る列車の中の出来事を追う、群像劇。
 特急「こだま」の、東京-大阪間の所要時間は6時間30分、最高速度は120 km/h。このスピード感がすばらしく最先端に思える時代でした。(新幹線開通以前の時代)

 喜一(フランキー堺)は、「こだま」の食堂車に乗り込む日本食堂(株)のコック助手。コック長に言わせると筋がいいらしい。喜一の夢は、一流ホテルのコックになりたい。
 サヨ子(団令子)は、同じく日本食堂に勤務し、「こだま」の食堂車のウェイトレス達や車内販売(ワゴンサービス)する女子乗務員のリーダー役。喜一と結婚の約束をしている。サヨ子の夢は喜一と結婚して小さな食堂を開店したい、そう彼に言い続けている。しかし、喜一は喜一で男のロマンがある。だから、喜一は彼女は好きだが、結婚と職場をセットにされると、どうしても煮え切らない態度になる。

2-0_20160721122637b4a.jpg 「こだま」に乗務する彼らは関西人で、日々、大阪東京をせわしなく行き来し、東京では車両基地近くの、会社の営業所兼宿泊所で一泊している。
 東京で「こだま」に乗務するその朝、いつまでも煮え切らぬ喜一に対し、業を煮やしたサヨ子はとうとう喜一に言った。「今日、列車が大阪に到着(6時間半後)するまでに態度をはっきりさせて」と迫る。
 一方、国鉄の客室乗務員の今出川(白川由美)が列車内で喜一に、笑顔でささやきかけているのを、サヨ子はじめ日本食堂の連中が何度か目撃している。これに嫉妬し、結婚につて悩み出すサヨ子、まんざらでもない喜一。

 美人の今出川から、「ちょっとお話したいことがあるの」と言われ、最近いい気分になっていた喜一だが、今日二人だけになった場で聞いた「ちょっとお話したい」の話の中味は、今出川が東京で開業する予定のレストランに「コックとして来ていただけないかしら?」というリクルート話。これを聞いた喜一は喜んだが、サヨ子のことを思うと苦しい。彼は乗務員室にひとり閉じこもり悩む。下り特急「こだま」は、いま静岡あたりを走っている。

 さあ、さらにいろんな話が絡んで来る。
 チューインガム製造会社の社長・岸和田は、「こだま」の常連客で、ジェット機の美人スチュワーデスよろしく、以前から今出川に惚れている。それで、彼女にレストランの開業資金を出そうとしている。
 もうひとり、常連客が乗車している。甲賀げん(沢村貞子)という裕福そうなおばさん。甲斐甲斐しく、てきぱき立ち働くサヨ子を、前々から気に入っていて、是非、息子の嫁にしたい。今日は、嫌がる息子も連れて来た。

 さて、熱海から乗って来たチャイナドレスの色っぽい女が、岸和田社長の隣りに座った。これが色仕掛けで社長にちょっかいをかけている。この女、熱海や京都で店を持っているらしい。社長は、今出川からチャイナドレスへ乗り換えようとし始めた。
 そのころ、京都から今出川宛に、走る「こだま」に電話が入る。今出川の彼氏からだ。彼は寺の息子らしい。今出川は彼を愛しているが、寺の嫁にはなりたくない。東京でレストランを始めたい今出川に彼は、「寺を継がなくてもよくなったから、もう大丈夫、東京へ行ける」 そんな知らせの電話だった。
 さらには、鉄道公安職官(今の鉄道警察隊)が三人、東京から密かに乗車している。人相の悪いふたりの男の行動に目を光らせている。あとで分かるが、そのボスは・・・・だった。さてさて、喜一、サヨ子、今出川はこのあと、いかがなことに相成りますやら・・・。
 加えて映画は、乗客達の可笑しな様子と一緒に、爆弾持ち込みの噂が車内に流れたり、踏切内で立ち往生するトラックを発見し急停車したりのドッキリを、楽しく描いて行きます。

朝の車両基地(電車区)で休む、特急「こだま」             
3-0_20160721125312dd5.png 東京での一泊は、元気ハツラツの女の子達は宿泊所で過ごしますが、コック達は電車区で停車中の「こだま」内で車中泊なんですね。賄いの朝食は一同、食堂車の中でとっている。関西人が納豆を食べているが、まだ食べ慣れない様子。
 女の子たちの入浴シーンや、喜一とほかのコックとのけんかシーンや、「こだま」乗車未経験の観客向けシーンなど、観客サービスは十分。しかし・・・。
 この映画、観たいと長らく願っていた映画のひとつなんですが、同じく川島雄三監督の「貸間あり」など下記の作品に比べれば、出来は並みでした。

【川島雄三監督の映画】  ~ これまでに記事にした映画から。

 「貸間あり」、「洲崎パラダイス 赤信号」、
 「しとやかな獣」、「雁の寺


監督:川島雄三|1961年|東宝| 85分|
原作:獅子文六「七時間半」|脚色:笠原良三|撮影:遠藤精一|
出演:フランキー堺(矢板喜一)|団令子(藤倉サヨ子)|白川由美(今出川有女子)|小沢栄太郎(さくらガムの社長・岸和田太市)|中島そのみ(チャイナドレスの謎の女・伊藤ヤエ子)|沢村貞子(甲賀げん)|滝田裕介(その息子・甲賀恭雄)|太刀川寛(佐川英二)|森川信(コック長の渡瀬政吉)|中山豊(若山)|安達国晴(大川)|丘寵児(食堂長森山)|佐羽由子(ヒロ子)|紅美恵子(セツ子)|中真千子(ヨシ子)|柳川慶子(ケイ子)|芝木優子(キミ子)|横山通乃(望月みち子)|小西ルミ(井上さかえ)|佐多契子(向井たか子)|田武謙三(酔いどれ老人)|石田茂樹(専務車掌影山)|堺左千夫(公安官青木)|大塚国夫(営業所の男)|谷村昌彦(上野)|平凡太郎(下谷)|塩沢とき(女将)|

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

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