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映画 「皆月」 (みなづき)  出演:奥田瑛二、吉本多香美、北村一輝   監督:望月六郎

上風俗嬢の由美



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 男と女と男の話。

 諏訪という中年サラリーマンで、うだつ上がらぬ どん臭い男が、ある日突然、妻に逃げられ狼狽える。
 おまけに、苦労して貯めた住宅資金2000万円の貯金通帳も妻と共に消えていた。40過ぎて諏訪は結婚し、ふたりの生活は6年で終わった。
 しかし今、暗い部屋にポツンといる諏訪の頭によぎる情景は、いい女だった妻とのセックスであった。
 意気消沈しきった独り身の諏訪は、働く意欲も萎え、勤務先の大手ゼネコンに未練無く、退職金もらって早々に辞めるつもり。
 
 逃げた妻の弟はアキラといい、新宿にある小さな組の下っ端で、乱暴なヤクザ。
 アキラは、どん臭い諏訪を、これまでも一応「兄貴」と呼び、それなりに慕ってきた、案外、義理堅い男。
 姉の失踪を諏訪から聞いたアキラは、諏訪をなだめようと、新宿に呼び出して一緒に飲んだ。組長に頼み込んで、諏訪に組のパソコン仕事を世話しようとも言う。

 飲んだ後、アキラに連れられて言われるままに入った新宿の風俗店で、諏訪は由美という女に出会う。
 (アキラは由美を知っていて、諏訪のために、店の女の中から由美を指名したのだろう。)
 風俗初体験の、風采の上がらない、その上、嫁に逃げられたと言う、このさえない客から、近く 「退職金が入る」 と聞かされた、その一言が、借金に追われる由美の気を引いた。そして、由美には諏訪とのセックスが良かった。

 その後、日は過ぎて、諏訪はあらためてひとりでこの店に来店し、由美を指名した。「何もしなくていい」という諏訪は、由実といると何か気持ちが落ち着くようだ。由美も諏訪を見て何か変わったとみたが、逃げた女房をまだ思う女々しいオッサンだとも思った。
 こうして、由美のあとをよろよろした足取りで付いて来る様子のオッサンに、由美はまるでペットに向けてのような、いとおしさを感じはじめていた。(これはのちに由美がアキラに述懐している) そうしてなんだかんだあって、由美は自分のマンションに諏訪を引き入れる。
 しかしこの時アキラは、諏訪が由美と同居することを良く思っていない。由美の狙いは、兄貴の退職金目当てだと。だから、アキラは由美のマンションで諏訪の眼前で、由美に万札を投げつけ、風俗嬢は所詮こんなもんだと言って、由美をレイプした。

 アキラが出て行ったあと、アキラには想定外であったが、諏訪はマンションに留まり、泣き崩れる由美を慰める。
 このことは、由美にとっても意外であった。諏訪も出て行くと思った。でも、今ここにいてくれる。それが、うれしかった。由美は諏訪に心の内を吐きだした。これが、諏訪への気持ちが愛に変わるきっかけとなった。

 そして、その後、3つのことが発覚する。
 1つは、諏訪の勤務先が破たんし、諏訪は退職金がもらえなくなったこと。
 2つ目は、アキラからの情報で、ある男の居場所が分かったこと。かつて、由美はこの男に金を騙し取られて、借金するはめになったのだ。 
 アキラは由美を連れ、それに諏訪もくっ付いて3人は、その男の養鶏場を訪ね、男に取られた金の一部を回収できた。その際、アキラは男を必要以上にたたきのめしたため、男は死亡する。
 3つ目に分かったことは、諏訪の妻の失踪について。失踪は実は駆け落ちで、その相手はアキラの組の組員・高岡だった。
 アキラはこのことに薄々気づいていたが、これまで諏訪に言わないでいた。しかし、高岡の実家が石川県皆月であることが分かり、駆け落ちの2人はきっと皆月へ行くだろう。そういう事がアキラの耳に入ったのだ。
 そんなことで、アキラと諏訪は、そして、旅の準備をした由美を見てアキラが言う「お前も行くのか」と、またもや3人は車に乗り、石川県へ向かった。

 このあとは、映画をご覧くださいってところだが、アキラと諏訪と由美の人生は、新たな展開を迎えます。
 ラストはちょっと綺麗にまとめ過ぎたな。観客サービスだが、ま、これもよしか。
 言葉少なに語る、アキラと諏訪と由美3人の心情を、丹念に読み取りながら観ることが、この作品をいいものにします。
 ちなみに、実はこの映画の主役はアキラかもしれません。アキラを演ずる北村一輝がいい味出してます。
 
下

監督:望月六郎|1999年|日活|114分|
原作:花村萬月|脚色:荒井晴彦|撮影:石井浩一|
出演:諏訪憲雄(奥田瑛二)|アキラ(北村一輝)|由美(吉本多香美)|諏訪の妻・沙夜子(荻野目慶子)|高岡(篠原さとし)|由美の金を騙し取った男・養鶏業の荻原(斉藤暁)|新宿公衆便所の男(西沢仁)|ほか 



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