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映画 「ベニスで恋して」   監督:シルビオ・ソルディーニ

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1‐0 その時、観光バスがパーキングエリアを出て行くのを、ロザルバは見送るしかなかった・・・。

 もし、ロザルバが、パーキングエリアのトイレで、ピアスを便器に落とさなければ、これから始まるこの話はなかった。(ドジ!)
 もし、彼女が携帯電話を持ってたなら、夫から「おいバスが出るぞ、早く戻れ」と電話が入ったろうに。(普及率がそう高くない2000年製作)
 しかし、バスツアー客を、そう待たせるわけにはいかない。夫は発車してくれと言ったのだろう。
 
 それは、ロザルバと夫と次男との、ギリシャ・バスツアーの最中だった。
 おまけに、夫は携帯を替えたばかりで、彼女はその電話番号をまだ知らない。
 彼女は夫の母親にでも連絡をとったのだろう、番号を聞いて、車中の夫に電話した。苛立つ夫は、「そこで待ってろ」

 だがロザルバは、こうなったら夫や息子に残る旅行日程を楽しんでもらい、自分は旅行を諦めて自宅に帰り、仕残した家事をしようかと、その時は思ったのだ。
 でも、ここはギリシャ。所持金は少ない。ヒッチハイクだ。パーキングエリアで知り合った女性の車で途中まで、そして次の車に乗り継いで・・・。だが、彼女は家には帰らず、帰途途中で高速を降り、夜更けのベニスにたどり着く。(夫の指示を無視してちょっと冒険)
 それはベニスに行ってみたいという、ふとした思い。私も楽しみたいという思い。一泊なら。そしてそれは、最初に車に乗せてもらった女性の自由奔放な生き方に、少し影響されたのかもしれない。

 ロザルバの家庭はそれなりに裕福だ。夫はバストイレの施工・販売の会社社長。家族は4人。長男は成人していて次男は学生。ロザルバはこれまで、良き妻良き母として夫や息子たちに尽くしてきたようだ。一見、不都合ない家。ただし実は、夫には愛人がいて5年の付き合いをしているが。

 映画は、夫の性格や妻に対する態度を、話の合間に時折見せるが、それはイタリア人の目には、妻に対し専制的な夫、にみえるんだろうな。つまり、イタリア人の観客は、「ロザルバがベニスで恋に落ち、ベニスで生活し始めた」ことは、しょうがないが許される結果だと。そして素晴らしい恋をしたじゃない! だから、この映画ストーリーは成り立つ。
 しかし、日本人には夫婦の亀裂の度合いがあまり分からない。夫は偉そうで子供っぽく、家庭でも社長目線だが、まあ普通に見える。だから、なぜ、ロザルバが家を捨てるのか、悪い女、家庭崩壊じゃん、となる。

 一方では、この映画が好きな人は、ロザルバの恋の行方に注目して、情熱的なイタリアのロマンスを楽しむのでしょう。
 お相手は、トラットリア(大衆食堂)のあるじ・フェルナンド(ブルーノ・ガンツ)。しかし、なぜか彼は自殺しようとしている。

2‐0 さて、ともあれロザルバは、夜のベニスにたどり着き、一軒のトラットリアに入った。
 夜更け、店に現れたロザルバを、フェルナンドはあわれに思った。宿代も無く、彼のアパートの一室に泊めてあげることにした。

 その日から、フェルナンドはロザルバの優しい気心にふれ、彼女に関心を抱くようになる。
 片や、ロザルバは一泊の予定が、ずるずると延びる。言い換えるとワクワクする非日常が始まった。もちろん、家に電話したし手紙も書いた。

 ロザルバは、部屋にあったアコーディオンが弾ける、フェルナンドは昔、船上のラウンジ歌手だった。フェルモじいさんの花屋の仕事は面白い。エステシャンのグラツィアとは女同士で親しく話せるようになった。

 そして、夫が差し向けた探偵がベニスの街を歩き回り始め、ついにロザルバを探し出したが・・・。(探偵のシーンはコミカルです)
 さらには、次男ニコラが麻薬に溺れはじめた、という一報を聞き、ロザルバはペスカーラの自宅へ帰る。しかし、それは麻薬じゃなくてマリファナだった。ニコラは多感な子、バストイレの家業は継ぎたくない、だが自分の道は見つからない。

 ある日、ロザルバは次男ニコラとショッピングセンターの駐車場にいた。そこへなんと、花束を持ったフェルナンドが現れた。そしてニコラの前で、ロザルバに愛の告白をした。後ろにはエステシャンのグラツィアや彼女の彼氏になったあの探偵がいる。みんな笑顔だ。

 後日、ベニスでは、ロザルバとフェルナンドを祝うパーティの真っ最中。花屋のフェルモじいさん、グラツィア、探偵、ニコラはじめ多くの客が踊っている。そしてステージではロザルバのアコーディオンでフェルナンドが歌っている。


オリジナルタイトル:Pane e Tulipani (パンとチューリップ)
英語タイトル:BREAD AND TULIPS
監督:シルビオ・ソルディーニ|イタリア、スイス|2000年|115分|
脚本:ドリアーナ・レオンデフ、シルビオ・ソルディーニ|撮影:ルカ・ビガッツィ|美術:パオラ・ビガッジ|
出演:ロザルバ(リーチャ・マリェッタ)|フェルナンド(ブルーノ・ガンツ)|エステティシャンのグラツィア(マリーナ・マッシローニ)|にわか私立探偵・コスタンティーノ(ジュゼッペ・バッティストン)|ロザルバの夫Mimmo(アントニオ・カターニア)|ロザルバの義理の姉・ケティ(ヴィタルバ・アンドレア)|花屋のフェルモ(フェリーチェ・アンドレアージ)|Adele(タティアーナ・レポレ)|

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