Home > 洋画評だけ見る 直近50作 > 映画 「フル・フロンタル」   出演:ジュリア・ロバーツ  監督:スティーヴン・ソダーバーグ

映画 「フル・フロンタル」   出演:ジュリア・ロバーツ  監督:スティーヴン・ソダーバーグ

上
(上段) 雑誌記者・キャサリン、TV俳優・ニコラス、人事部長のリー、
(下段) 映画プロデューサーのガス、マッサージ師・リンダ、脚本家のカール(リーの夫)



 この映画の売り文句、「 Discover what really happens behind closed doors in Hollywood. 」
 頭が冴えてる時に観ると、いい映画。 話のスピードについて行ければ、刺激的ないい映画だと思える。

 ハリウッドの業界裏話。超人気映画プロデューサーと、その周辺の人々による群像劇です。
 登場人物それぞれのシーンは、次から次に入れ替わって現れ、群像劇全体がアップテンポで展開、モザイク模様を呈します。
 時間経過と共に、それぞれの人の、少し悲しい、うまく行かぬシーンとシーンとが、思わぬ関係を見せはじめ、同時に、それぞれの人々の生きざまが分かりだすころ、次第に佳境へ。(話に引き込まれていきます)
 ラスト近く、群像劇の人々は、映画プロデューサーの誕生パーティに招待されて集まります。このパーティ・シーンは、言わば話の踊り場で、そこから意外なハッピーエンドが待ち構えています。

1‐0 情報量が多くややこしい群像劇をひも解くには、まずは一組の夫婦の話から始めましょう。
 カール(42歳)は内気な映画脚本家だが、これまでに数本は成功している。だが脚本だけでは食えないので、出版社に勤務し雑誌編集の仕事をしているが、まあ、彼は勤め人には向かない。
 妻のリー(41歳)は、カールと対照的な性格で、高層ビルにある大手企業の人事部長の職にあり上昇志向、そして過剰な敵対心や不信を抱く女。
 だが、最近の業務は、会社の事業整理に伴う首切り。該当者を1人ずつ人事部長室に呼び出しては、個人面談とクビの宣告。
 この面談シーンが滑稽。(該当社員から見れば人格否定の酷い仕打ち) リーのあんな捻じれた行動は、少女時代の悲しい体験に由来している(らしい)と同時に、カールと離婚したい暗い気持ちと、愛人との関係がうまく行っていないことの、ミックスから生じている。

 その日、つまりハリウッドの人気映画プロデューサー、ガスの誕生パーティがある日の朝。リーは、離婚したい旨の手紙を、テーブルの朝刊の下にそっと差し入れ、夫より先に出勤した。(夫婦はパーティに招待されている)

 リーの不倫相手とは、映画俳優の黒人・カルヴィン。だがカルヴィンには好きな女性がいる。彼にとってリーとは、ホテルの部屋を用意しての遊び相手でしかなかった。(あとで分かる)

2‐0 そのカルヴィン(36歳)、職業・映画俳優について。
 映画は、カルヴィンが 「TV俳優・ニコラス」の役を演じているシーンを観せる。(それは劇中劇のシーンなのだが、それまでの現実シーンと区別なく観せるので観客は混乱する。これが監督の狙い!というお茶目で意地悪な映画です)

 さて、劇中劇シーンのお相手(競演者)は、「ニコラス」に密着取材する「雑誌記者・キャサリン」。
 「キャサリン」は空港ロビーで「ニコラス」と待ち合わせて、彼がロケ地へ行く機内では隣同士の席、そしてロケ現場まで同行してインタビューする。(この間に「ニコラス」は「キャサリン」が好きになる)
中 その「キャサリン」役の女優とは、人気の有名映画女優のフランチェスカ(33歳)、これをジュリア・ロバーツが演じています。 (撮影が終わり「キャサリン」役のカツラを取って、一息つくフランチェスカ →)

 ついでに言うと、劇中劇の中でのロケ現場にブラッド・ピットがブラッド・ピット本人役として現れ、撮影が始まり刑事役を演じる。「ニコラス」はブラッド・ピットの相棒役をする。(このロケ撮影シーンは短いです)

 ちなみに「ニコラス」を演じたカルヴィン、「キャサリン」を演じたフランチェスカ(ジュリア・ロバーツ)も、映画プロデューサー、ガスの誕生パーティに招待されている。だからパーティ会場で、カルヴィンと愛人・リーが派手な痴話喧嘩をする。(以上4人の人間関係は、下記の相関図を見てください)

 ここで、リーの夫、内気なカールの話。
 妻が離婚したい旨の手紙を置いて出勤したその日。(ガスの誕生パーティに招待されている日)
 出版社に出勤したカールは、編集長から前触れもなく、解雇を言い渡される。「家の冷蔵庫に冷えたビールがあるとする。君ならビールをカップに入れて飲む、直接ビンから呑む、どっち?」と聞かれ、カップで、と回答して、「そうなんだよね、だから君は当社に向かない!」という解雇宣告だった。カールは極度に落ち込み、パーティなんか行く気も起こらず、帰宅。
 帰宅して気がついたことは、愛犬がぐったり倒れている。異なもの※を食べてしまったらしい。あわてて獣医に往診を依頼する。(※キッチンに置いてあったハシシ入りチョコレートケーキ)

5-0 リーの妹・リンダ(36歳)も登場人物の1人。職業はマッサージ師。
 高級ホテルの客室を訪ねて、マッサージだけをサービスする仕事をしている。
 リンダもパーティ出席者。姉のリーから「プロデューサーのガスを紹介してあげるから」と言って、パーティに誘われていた。
 パーティのあるその日、ホテル客室で、ある客のオーダーでマッサージをしていると、性処理も頼まれる。拒絶したが、強引さに負けて請け負ってしまう。その直後、手を洗いにバスルームへ駆け込んだリンダは、客の名を知る。その客とは、なんとガスその人だった。

 実はこのホテルが、ガス誕生パーティの会場だ。
 招待客が大勢集まり、時間は経ったが、当のガスがまだ現れない。(かつ、カールも来ない)
 唯一、ガスの居場所を知っているリンダが、ガスの客室に行き部屋に入ると、素っ裸のガスがベッドで自殺していた!
 リンダは、助けを求めて(パーティ会場でカルヴィンと痴話喧嘩中の)リーに電話した。リーもガスの部屋に現れる。リーは10歳の時、父親の自殺現場を発見し、それ以来トラウマを抱えている。リーは、ガスの死よりも自身のトラウマ再発で泣いた。

 さて、この映画にハッピーエンドは二つある。
 ①カールの自宅では、獣医が来て診察し、犬は大丈夫とのこと。カールは親しい獣医に、妻を愛している、関係を修復したい、てなことをボソボソ言っている。そこへ、リーがしょんぼり帰宅。カール、獣医の話をふたりの後ろでじっと聞いていたリーは、嬉し泣きし、夫婦は抱き合う。(幸いにも、離婚するを書いたあの手紙を、カールはまだ読んでなかった) カールは教師の職を見つけるつもり。
 ②リンダは、ネットのやりとりで好きな彼を見つけていた。まだ見ぬこの相手は、実はアーサーというミニシアターの座付劇作家。二人はネットで約束し、初めて出会うことにした。
 顔を知らない二人は同じ飛行機で座席も隣り。そんな二人は、(互いにネット上の相手だとは露知らず)、機内の出会いで一瞬に愛が芽生える。・・・そんなシーンの次に、カメラは二人から遠のき、機内セット全体が映し出される、というお茶目な作りの映画でありました。


 この映画を観るお目当てが、ジュリア・ロバーツやブラピだったりしてもいいのですが、ストーリーを楽しみたいなら、カールとリーの夫婦を軸に据えて観ると、映画が分かりやすくなると思います。あとは、フランチェスカ役を演ずる時のジュリア・ロバーツは金髪ロング、雑誌記者・キャサリン役の時は栗色、これを目印に観ると、いま観てるシーンが劇中劇か否かが分かりやすいです。


図オリジナルタイトル: Full Frontal
監督:スティーヴン・ソダーバーグ|アメリカ|2002年|101分|
脚本:コールマン・ハフ|撮影:スティーヴン・ソダーバーグ|
出演:下記
フランチェスカ(ジュリア・ロバーツ):人気映画女優/劇中劇では雑誌取材記者・キャサリン
カルヴィン(ブレア・アンダーウッド):黒人映画俳優でカールの妻・リーの不倫相手/劇中劇では記者キャサリンやブラッド・ピットの相棒として共演のTV俳優・ニコラス
カール(デヴィッド・ハイド・ピアース):映画脚本家だが、出版社に勤務し雑誌編集員
リー(キャサリン・キーナー):カールの妻で大手企業の人事部長
リンダ(メアリー・マコーマック):リーの妹でマッサージ師
ガス(デイヴィッド・ドゥカヴニー):ハリウッドの人気映画プロデューサー
アーサー(エンリコ・コラントーニ):劇作家
ヒトラー役の舞台俳優(ニッキー・カット)
本人役(ブラッド・ピット)、 本人役(スティーブン・ソダーバーグ) ほか



【 一夜一話の 歩き方 】

最新の記事はこちら。      直近の記事100 リストは、こちらから (All Archives)

邦画評だけ見る (直近掲載の50作品)   洋画評だけ見る (直近掲載の50作品)  

TOPページ (映画記事の人気ランキング、新作映画みました、映画の特集)

邦画の題名リスト    ◆洋画の題名リスト

邦画の監督名リストから記事を探す   ◆洋画の国別リストから記事を探す

一話 (京都、旅行、美味など)      書評   美術

クラシック音楽    ポピュラー音楽              

 
関連記事
スポンサーサイト

Comments: 0

Comment Form
Only inform the site author.

Trackback+Pingback: 0

TrackBack URL for this entry
http://odakyuensen.blog.fc2.com/tb.php/1489-4fc5e747
Listed below are links to weblogs that reference
映画 「フル・フロンタル」   出演:ジュリア・ロバーツ  監督:スティーヴン・ソダーバーグ from 一夜一話

Home > 洋画評だけ見る 直近50作 > 映画 「フル・フロンタル」   出演:ジュリア・ロバーツ  監督:スティーヴン・ソダーバーグ

タグクラウド
プロフィール

やまなか

Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

RSSリンクの表示
Tree-CATEGORY

Return to page top