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映画 「ある過去の行方」  監督:アスガー・ファルハディ

上
 マリー


 登場人物の心の機微が、うまく描かれています。
 パリを舞台に、マリーとその恋人、別居していたマリーの夫、マリーの前夫との娘たち、恋人の連れ子らが織りなす物語。
 話が進むにつれ、事は徐々に明らかに。殺人なんか起きないが、スリリングなドラマです。

1‐0 ひとりテヘランに帰国し別居していたマリーの夫・アフマドは、妻のマリーに乞われてパリに来た。それはふたりの離婚手続きのため。
 4年前までふたりが住んでいたパリの家に今、マリーとマリーの恋人と、子供が3人住んでいる。

 マリーはアフマドに、離婚手続きのほかにもうひとつお願いをした。それは、長女リュシーが最近グレた態度でマリーの言うことを聞かない。あなたはリュシーに優しかったから、彼女の本心を聞き出せると思うの。

 アフマドがリュシーから話を聞き出すと、こんなことだった。「マリーの恋人サミールが現れて、私は3人目の父親と付き合わなきゃならない。私の居場所はもうない。」 (この一言で観客は、アフマドはマリーの2人目の夫で、長女リュシーとその妹は、マリーの最初の男との間の子だと分かる。)

 続けてリュシーは話し出す。
 「サミールには奥さんがいて自殺未遂で入院中。意識が戻らない植物状態なの。それはマリーとの浮気が原因。なのにマリーとサミールは同居生活を始めたの。」 (アフマドは、マリーと別れてテヘランへ帰国した後のことを理解し始める。)

 ひとり沈みこむリュシーは、それからのちにアフマドに苦しい告白をした。「マリーとサミールとのメールを、私、マリーの携帯からサミールの奥さんに転送したの。だから、奥さんは自殺したのだと思う。取り返しのつかないことをしてしまった。」 
 アフマドは慎重に、マリーにこの事の顛末を話したがマリーは激怒した。しかし、この話をマリーから聞いた恋人サミールは腑に落ちなかった。リュシーは妻のメアドをどうして知ったんだろうか。

 このように、マリー、サミール、その妻・セリーヌ、リュシー、そしてサミールが雇う従業員の女・ナイマが絡んで、物語は次へ次へと進む。そうして、徐々に真相が明らかになって行く。なぜ、サミールの妻は自殺しようとしたのか、が。
 さらには、マリーとサミールの、それぞれの心の内の本当が、露わになって行く。

 いいサスペンスになっています。アフマドは、この映画の狂言回し(話の進行を担う重要な役)を担っています。
 ドロドロした人間関係にはならないよう、さっぱりと描いています。
 リュシーがアフマドに言う台詞に注目して欲しい。わけても、「サミールは、あなたに似ている男よ。」 マリーの揺れる心を読み解いて行きましょう。
 サミールと自殺未遂の妻との子・フアッドの演技もお見逃しなく。

 この映画は、アスガー・ファルハディ監督がイランを出て、フランスで製作した映画です。
 以前に記事にしたアスガー・ファルハディ監督の映画 「別離」は、こちらからお読みください。

 
オリジナルタイトル:Le passé|英語タイトル:The Past
監督・脚本:アスガー・ファルハディ|フランス、イタリア、イラン| 2013年| 130分|
撮影マームード・カラリ|
出演:マリー(ベレニス・ベジョ)|サミール(タハール・ラヒム)|アフマド(アリ・モッサファ)|リュシー(ポリーヌ・ビュルレ)|サミールと自殺未遂の妻との息子・フアッド(ジャンヌ・ジェスタン)|リュシーの妹・レア(エリエス・アギス)|サミールが雇う従業員の女・ナイマ(サブリナ・ウアザニ)|サミールが親しくしているシャーリヤル(ババク・カリミ)|その妻・ヴァレリア(バレリア・カバッリ)|

2‐0
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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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