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映画 「あん」  主演:樹木希林  監督:河瀬直美

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 なんとも、すなおな映画です。
 樹木希林(主人公:徳江さん)の演技を称える映画です。
 筋のその先を急いで追わず、映画が語る、ゆったりした語り口に身を委ねましょう。

1-0_2016111114105308c.jpg 商店街から外れた所にある、どら焼きの店が話の舞台です。
 馴染み客は近所の女子中学生達で、店内のカウンターは3人座れば満席の小さな店。
 どら焼き屋の千太郎(永瀬正敏)は無口な男で、中学生にからかわれても反応しない。
 
 あのどら焼き屋の男(千太郎)は、なんと悲しい目をしてるんだろう、店の前を通る度にそう思う女性がいました。
 その名は徳江(樹木希林)といい、70歳半ばでしょうか、あとで分かることですが、徳江はハンセン病患者専用の施設に住む女性です。
 まだ10代の若い頃にハンセン病を患い、それ以来その施設で隔離されて来た徳江は、とっくに完治した今もそこに住み続けています。他に住むべき所も身よりもないのでしょう。
 「あのどら焼き屋の男の目は、施設に入った頃の自分の目と同じだ」 徳江はそう思い、同時に、店に関心を持つに至ります。

 桜が満開のある日、徳江はだめもとで、店で雇ってくれないかと、どら焼き屋の千太郎に申し出ます。
 実は徳江はあんを作るのが得意です。これまで施設内で、試行錯誤を重ね楽しみながら、あんを手作りしてきたのです。施設の生活は、とにかく時間が有り余るほどあるのです。その味と風味は優れていて、もちろん周りの患者に好評です。しかし徳江は、施設外で働いたことが無かったのです。

 この徳江に、千太郎と、そしてどら焼き屋のオーナー(浅田美代子・・・悪役です)が加わり話は進みます。
 どうやら千太郎には過去に過ちがあって、店のオーナーの旦那に、大きな額の金を工面してもらっていた。刑務所を出所後、千太郎はオーナーのこの店で働き、毎月売上金を収め、かつ少しずつ借金を返していく生活でありました。もちろん独身です。

 徳江の作るあんに感心した千太郎は彼女を雇うことになるのですが、徳江がハンセン病患者だという噂を聞き付けたオーナーが千太郎に徳江を追い出せと言います。そしてほどなく、噂は街に流れ出し、徳江のあんで行列ができるほどになった店は閑古鳥が鳴くようになってしまいます。
 さらに話に加わって来るのは、店に来る常連の中学生・ワカナ(内田伽羅)。彼女は母子家庭の一人娘で母からの愛情が薄い子でした。さて、あとは映画を観てください。
 穏やかな語り口の映画ですが、ハンセン病に対する誤解偏見差別への怒りが込められています。これを機会にハンセン病についての基本は押さえておきましょう。
 残念なのは、ラストの締めが甘い。我慢しましょう。
 
監督:河瀬直美|2015年|113分|
原作:ドリアン助川|脚本:河瀬直美|撮影:穐山茂樹|
出演:徳江(樹木希林)|千太郎(永瀬正敏)|桂子(市原悦子)|ワカナ(内田伽羅)|ワカナの母(水野美紀)|ワカナの部活の先輩・陽平(太賀)|どら春のオーナー(浅田美代子)|オーナーが可愛がっている甥っ子・若人(兼松若人)|

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

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