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日本映画 「ぼくらの亡命」  監督:内田伸輝  ~第17回東京フィルメックス上映作品   

 第17回東京フィルメックスで上映された作品について、順次書いて行きます。今日はその12回目、やっと最終回です。
 なお、上映作品の「まとめ」記事は、こちらです。

「ぼくらの亡命」  日本|2016|116分|
 監督:内田伸輝 (UCHIDA Nobuteru)
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 今年のフィルメックスに出品された2本の邦画は、なかなか力作、いい出来だ。(もう一本は、庭月野議啓 監督の「仁光の受難」。この記事はこちらから。)
 本作「ぼくらの亡命」も、観たあとに新鮮な印象が残る。公開してほしい。

 主人公の昇は、二十歳代だろうか、ホームレスのように見える。
 彼は数年に渡り、そんな生活を続けている。
 だが昇には、後見人がいる。そのころ昇は未成年だったのだろう、昇の親が死んだあと、叔父が後見人として彼について今に至っている。
 だから、生活最低限程度の金が昇の口座に振り込まれている。かつ、時々、叔父は昇を訪ねて、彼の近況を心配する。

0_20161201134407b36.jpg 昇は、郊外の林のなかで、ひとりテント生活をしている。人を寄せ付けない引きこもりの暮らし。叔父も追い払われる。
 食事はコンビニに頼り、持ち物と言えば、街に出るための古びた自転車と習字道具くらいだ。彼は紙に墨で、彼がよく思わない人間の名前などを書き散らし、それをテントに張り付けている。彼流の儀式のようだ。
 昇はチラシ入れのバイトも時々しているが、まったくやる気がない様子。雇い主がそんな彼を雇おうとするのも、雇い主が昇の親に恩義あってのことらしい。要するに、昇という男は、今もって大人になりえていない、甘やかされてきた子供だった。

 ある日、昇は樹冬という女に街で出会う。
 樹冬は売春をしている。昇は樹冬を好きになったのだろう、彼女をそういう境遇から救い出そうとした。
 まず昇は街頭の物陰から、樹冬と売春斡旋の男(美人局:つつもたせ)とを、隠れて観察する。そして、昇は客を装い、樹冬に近づく。(スーツを叔父から借りてだ)
 樹冬と話しすることが出来た昇は、美人局の男から逃げたい樹冬に、一案を提案する。昇が誘拐犯になり樹冬を誘拐する、身代金を美人局の男に要求する、こういう段取りだった。
 だが、その男はまるっきり、取り合わない、関心さえない様子。樹冬の替えになる女は、いくらでもいるのだ。
 この事態に樹冬は動揺する。結局、樹冬は男のマンションで男を刺してしまう。そのあと、昇がそのマンションに忍び込み、男の死を確認した。

 ふたりは逃亡する。東京を離れ、ロシア領の島へ渡るのだ。亡命だ。
 しかし、所詮、そんなことはおもちゃのような戯言。所持金が底をつく。昇は電話で叔父に、叫びながら金を要求するが、叔父は振り込まない、早く帰って来いと電話の向こうで言うだけであった。
 そして、売春斡旋の男の死亡記事が、いつまで経っても、新聞に出ない。樹冬は言う。ほんとに死んでたの?
 北海道にさえも行けないふたりは、千葉辺りの浜辺でテントを張っている。食物にも事欠く。樹冬は安いウィスキーをがぶ飲みする。昇は墨でなにやら書き始める。誰が見ても、ふたりの愛は、徐々に崩れていくようであった。

 そんな日が続くある日、樹冬は近くに住む一人住まいの男に出会い、その男は樹冬を自宅に招き優しくいたわった。柔らかいベッド、温かい朝食。この事態に樹冬は動揺するどころか、心は決まる。
 昇は去りゆく樹冬に向かって叫ぶ。「愛している、戻って来てくれ!」 そして・・・・。(ここら辺で止めときます)

 昇の、この叫びのセリフは、とても陳腐に見えるが、シーンでは、案外すんなりと受け入れられる。監督の力だろう。

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