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映画 「ディストラクション・ベイビーズ」   監督:真利子哲也

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 世間から、「はみ出た」者たちへの哀歌。そして、覚醒し始めるモンスターの物語。あるいは、痛そうな映画。
 
 ある日、何の前触れもなく、やがて駆出し、そして、その一瞬、暴発する怒り。仕掛けるケンカとその痛みと血の味は、覚醒し始める暗黒の悪の予感と快感を誘い、男はなかば陶酔の中。

 愛媛県の松山から、さほど遠くない小さな漁村で、その男、泰良(柳楽優弥)は養父(でんでん)のもとに育った。
 高校生の泰良はいつもケンカ沙汰。ある日、ふいっとふらり無一文で松山の街に出る。あては何もない。
 泰良は行き当たりばったりに、通りすがりの男や街のヤクザ相手に、ケンカをいきなり仕掛ける。打ちのめされるが、再度は勝つ。この繰り返しで泰良は徐々に、そして確信的に、バイオレンスの奥にある甘い味に目覚め、心の闇の中で陶酔していく。

 泰良に出会った裕也(菅田将暉)は、臆病な男だったが、泰良の腕力を利用し、泰良を従え、通行人に乱暴を働きながら、松山の街を我が物顔で歩き出す。裕也の心の奥に潜んでいた、こんな悪の衝動が路上に転がり出たのだ。
 そんな裕也を、いささか小馬鹿にした目で見る泰良。泰良は裕也に従っているとは、まったく思ってない。

 裕也が強奪したベンツに、偶然、キャバクラ嬢の那奈(小松菜奈)がいた。
 那奈は身柄を拘束されながら、裕也と泰良の3人は、このベンツで深夜の松山市街を離れた。
 翌日、山の中の道で、泰良は車を降りる。しばらくして戻って来た泰良の服に血が着いている。どこかでまた、乱暴したらしい。泰良を追って来た男が、泰良に叩きのめされ路面に倒れた。 

 それまでトランクに入れられていた那奈が運転をさせられる。と、走りだそうとするその時、車は何かに乗り上げる。倒れていた男だった。裕也は那奈にその男をトランクに入れさせる。
 あっ、那奈は慌てた。その男が意識を取り戻したのだ。那奈はなぜか反射的に、男の首を渾身の力で絞めた。それを見た泰良と裕也は、少しの驚きを感じながらも、ニヤリとするのだった。

 警察に追われていた泰良が、祭りの夜、松山に現れた。泰良の人相はがらりと変わっていたのだった。

 全体的に、セリフの聞きやすさを嫌い、わざと低めの音量になっている。とりわけ泰良のセリフの数は僅か。その中で立ち上がってくる「異様さ」を表現するのが、泰良・役の柳楽優弥の仕事。だが、その顔に幼さが残るせいか迫力に欠ける感じ。高校生という設定だからか? 少し残念。(もっとも、映画によくある安っぽいヤサグレ男ではないが。)
 バイオレンス・モンスターで思い出すのが、2014年の韓国映画「その怪物」だが、この映画は優男で迫力がなかった。 (下線部をクリックして「その怪物」の記事をご覧ください)

1-5_20170202101351566.jpg【 真利子哲也監督の映画 】
これまでに記事にした作品です。
以下のタイトル名をクリックしてお読みください。
イエローキッド」 2009、「NINIFUNI」 2011、
同じ星の下、それぞれの夜  FUN FAIR」 2012
【 柳楽優弥出演の映画 】
誰も知らない」 2004  監督:是枝裕和 お薦め

監督:真利子哲也|2016年|108分|
脚本:真利子哲也、喜安浩平|撮影:佐々木靖之|
出演:柳楽優弥(芦原泰良)|菅田将暉(北原裕也)|小松菜奈(那奈)|村上虹郎(芦原将太)|池松壮亮(三浦慎吾)|北村匠海(健児)|三浦誠己(河野淳平)|でんでん(近藤和雄)|ほか

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

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 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
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