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映画 「GUMMO ガンモ」  監督:ハーモニー・コリン

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  巨大な竜巻被害にあった地域に住む子供たちを、ドキュメンタリータッチで描く映画。刺激的です。
 場所はアメリカのオハイオ州にある小さな町。 
 なにしろ被害は甚大で、竜巻に巻き上げられた人間や家や地上にあるモノすべては、ものすごい速度で上空高く舞いあがり落下した。
1-0_20170304192143903.jpg 人々は、身体がちぎれた家族の遺体に直面し、家屋や車は壊され、犬は電柱の上で死んでいた。(映画の冒頭で示される)
 加えて竜巻で破壊されたのは、人の精神と善悪の感覚と向上心だった。徹底的に崩れた。
 まるで第三次世界大戦が起きたあとの、荒廃した世界を描くSF映画のような世界だ。
 ただし、竜巻被害の範囲はハリケーンのように広範囲ではなく局地的。竜巻が通過した所だけだ。よって、まわりの世間一般は、何の被害も無く、世の中は平常だ。それだけに、被災地域は妙に孤立している。(映画はここを舞台とする)

 さらに追い打ちをかけたのは、ここに住む住人の生活レベルがもともと低いことから、金銭的な立ち直りが出来ない事、また水道などライフラインの復旧も十分には進んでいないようだ。
 人々は壊れた家に住んでいる。家の中は、片づけをする意欲もなく、ゴミ屋敷のようになった家もある。大人は働くことをせず、怠惰な日々、子供は通学もせず毎日遊んでいる。被災者たちに明日は見えない。

 映画は、これらの状況(物語の設定)によって、健全な社会通念、つまり「良い子ちゃん」市民と言う束縛から、人々の精神が「もし」解放されたとしたら、人はどんな行動をとるのだろうか、それを子供達の行動を中心にして描いて見せている。
 社会通念的に言っちゃいけない事、やっちゃいけない事が、これでもかと出てくる。それがどんなことかは、観てください。

 これに加えて映画は、身体障害や精神障害の人も登場させている。つまり本作は、映画製作にあたっての、言っちゃいけない事、やっちゃいけない事を、気にしないで製作すると、どんな映画になるかに、敢えて挑戦しているとも言える。

 本作を観てすぐ思い浮かべたのは、アレクセイ・ゲルマン監督のロシア映画「神々のたそがれ」。本作と通底している。
 物語に身を任せる映画の対極にある映画です。

オリジナルタイトル:Gummo
監督・脚本:ハーモニー・コリン|アメリカ|1997年|89分|
撮影:ジャン・イヴ・エスコフィエ|
出演:ソロモン(ジェイコブ・レイノルズ)|タムラー(ニック・サットン)|バニーボーイ(ジェイコブ・シーウェル)|ドット(クロエ・セヴィニー)|ソロモンの母(リンダ・マンズ)|Helen(キャリサ・グラックスマン)|Darby(ダービー・ドグハーティー)|Cole(マックス・パーリッチ)|

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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