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映画 「甘い生活」  監督:フェデリコ・フェリーニ

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 この映画は「フェデリコ・フェリーニの代表作なんだから」なんて思って、固く構えて観てはいけません。
 何しろ、素晴らしい映像です。これを楽しみましょう。

 ただし、話の筋はほとんど無く、様々なシーンが取っ散らかった状態です。つまり、ストーリー展開で物語ることを放棄しています。
 映画でこういうことをやること自体が、60年近く前の当時、とても斬新でかっこ良かったのでしょう。
 よって、映画が与えてくれる物語に、心地良く揺られることを期待するなら、この映画は難解な作品と言っていいでしょう。

 映像が素晴らしいと思うのは、シーンのある一瞬を切り取ると、それがそのまま、一枚の優れた写真作品になる位のクオリティが、映画のあちこちにあるからなのです。(これって案外、そうあることでは無いです)

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 つまり具体的には、俳優たちのそれぞれの向き・身振り・人物群配置の計算や、会員制キャバレー・地下室・トレヴィの泉・病院・古城など映画の舞台装置のバリエーションある選択や、郊外の新築アパート群・道路・海辺などの野外ロケ地選択の、そうした演出の総体と、それらの画面の構図の組み立てが、何でもないようでいて、実は緻密になされている。

 加えて例えば、カメラを構えてばらばらと走るパパラッチ軍団の荒っぽい突撃や、トレヴィの泉に入っちゃうシーンや、ものすごい数のエキストラの登場や、聖母マリア出現の地の広く開けたシーン、そして極めつけが突然の豪雨が、ともすれば、緻密に組み上げたからこそ、静的になりがちな映像に、動きと驚きのドラマ効果を与えている。

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 そしてさらに観ると、その演出・構図に、二通りある。
 そのひとつは例えば、多くの人物がいるキャバレー店内シーンなどの屋内シーンや、トレヴィの泉の周りのパーティなど比較的狭い範囲で撮影するシーンに注目してみると、俳優たちはてんでに動いているようだが、その動きが前もって計算されていて、なるほど、いい構図(絵)になっている。(そう見える)
 もうひとつは、病院ロビーや聖母マリア出現の地やラストの海辺など、開けた画角と遠近のあるシーンでは、大きなステージ上で展開される「舞台演劇演出」の手法が駆使されて、俳優達の、うまい具合な構図配置がなされている。
 素晴らしい映像です。楽しみましょう。

 あと、登場人物にも注目したい。
 過去の栄光にすがる年配の貴族たち、その空気に反発するも退廃的にしか振る舞えない若い貴族。
 そんな貴族だけれども、彼らの特権・財産である「上流階級」、そこへ加わった新興ビジネスの富裕層。
 そんなイタリアに来て、売れっ子美人女優という華やかな風を送り込む米国映画芸能界。
 そんな上流階級や映画女優のスキャンダルを狙う、芸能記者とパパラッチ軍団という庶民。
 そんな騒がしいローマとはまったく無縁の庶民が、ローマの娼婦であり、郊外に住む貧しい庶民は救いを求めて聖母マリア出現の地に集う。
 
 これまでに記事にしたフェリーニの作品は、1963年製作の「8 1/2」です。こちらから、お読みください。

オリジナルタイトル:La Dolce Vita
監督:フェデリコ・フェリーニ|イタリア|1960年|174分|
原案:フェデリコ・フェリーニ、トゥリオ・ピネリ、エンニオ・フライアーノ|
脚色:フェデリコ・フェリーニ、エンニオ・フライアーノ、トゥリオ・ピネリ、ブルネロ・ロンディ|
撮影:オテロ・マルテリ|音楽:ニーノ・ロータ|
出演:マルチェロ・マストロヤンニ(マルチェロ)|アニタ・エクバーグ(シルヴィア)|アヌーク・エーメ(マダレーナ)|アラン・キュニー(ステイナー)|イヴォンヌ・フルノー(エマ)|マガリ・ノエル(ファニー)|レックス・バーカー(ロバート)|ジャック・セルナス(セルナス)|ウォルター・サンテッソ(パパラッツォ)|ニコ(ニコ)|


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