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映画 「GO NOW」  監督:マイケル・ウィンターボトム

上


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カレンとニック


 スコットランドの、ある街に住み、地元で働く男女のラブ・ストーリー。
 苦難の壁をふたりして乗り越え、ようやっとハッピーエンドの結末を迎えます。
 スコットランドらしい雰囲気を味わえます。(行ったことはないですが)

 ニックは、歴史的な建築の外装修理の現場で、職人として働いています。
 休日は地元のアマチュア・サッカーチームで汗を流しています。
 チームのメンバーは、ニックの飲み友達であり悪友です。

 カレンは、小さなホテルのラウンジで働いています。
 ホテルの上司チャーリーは前々からカレンにお熱で、一方、カレンも上司が嫌いじゃないし、遅刻しても見逃してくれるとか融通を利かせてくれるのをいいことに、だらだら続く職場不倫。
 カレンの私生活は、ポーラという女性と部屋をシェアして住んでいます。

 そんなある日、ニックとカレンは出会います。
 ふたりは、すぐに好き同士になるのですが、ニックは、カレンが上司と付き合っていることを知っています。カレンはそれを認めるでもなく否定するでもなく、そんな態度でした。上司の男はニックよりもずっと高給取りです。

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 そして、それでもニックとカレンは部屋を借りて一緒に住み始めます。
 幸せな日々が続くように見えた、その矢先、ニックの身体に自覚症状のある異変が生じます。
 それは、手のしびれから始まり、徐々に異変は広がり、モノが二重に見える複視、排尿障害、ついに歩行障害に至り、車椅子生活を余儀なくされます。多発性硬化症という難病でした。
 生活の一部であったサッカーは諦めざるを得ません。

 もちろん、その間、専門医へ通い、入院、リハビリをしました。
 カレンは、ニックの闘病を懸命に助けます。診察や検査やリハビリに立ち会い励まし、多発性硬化症の専門書を密かに読み、病床に付っきり、退院後はリハビリのためのランニングでも伴走しました。食事療法も彼に提案します。
 また、ニックのサッカー仲間たちも彼を見舞い見守ります。
 しかし、一時の小康状態はあったものの、病は治りません。車椅子生活です。

 ニックはカレン以上に悩みます。誰でも、難病の診断が下されては、平常心ではいられません。
 ニックは言います。もし、私が難病にならなかったら、お前はとうに私から離れて行ったよね。お前が、今も上司チャーリーと会っていることは、街のうわさで知ってるよ。それに、お前が私のあれこれ全部を仕切っているのに、うんざりだ。

 確かに、カレンは上司とホテルで会っていました。
 また、元ルームメイトのポーラに会った時、ポーラに「もう別れたら」と言われ、「結婚の約束をしたわけじゃないし・・・」ともカレンは言っていました。
 ニックに対する憐れみ(憐憫)の呪縛の中に、カレンはいるのでしょうか。カレンはカレンで葛藤しています。


3-0_2017051214533586d.png ついに、ニックは決断します。この部屋から出て行け!
 ニックは、カレンの服やなにもかもをタンスから出して、すべて放り投げます。
 カレンはニックのアパートの外で、雨の中、じっと立ちすくんでいます。それを窓越しにちらりと見るニック。
 ニックは外に出て、去れと追い打ちを掛けます。
 そしてそれから、どのくらい経ったのでしょうか、カレンはまだアパートの前にいます。またニックは外へよろよろと出て行きました。
 そしてニックは、カレンへ歩みより、カレンに寄りかかるようにして、言った。
 「愛してる」と。そう言ってふたりは抱きしめ合うのでした。



 難病をテーマにした、よく有り勝ちなドラマとは、数段違います。(ことさらに難病を売りにする売り文句はやめましょう。)
 ニックのサッカー仲間のトニーは、以前から誰彼かまわず、きつい冗談を言います。難病になったニックにも、彼の心を理解しないかのような冗談をトニーは言います。
 一方、ニックが振るえる身体で、何とかビリヤードをしているのを見て、親しいサッカー仲間は押し黙り、じっと見詰めます。
 映画は、時折、ニックに同情しません。カレンの浮気もそういう観点から描かれています。
 こういう辛口さが、本作の味でもあります。

下 しかし、映画はギャグも忘れません。映画に何回か挿入されるモノクロシーンは、静止画の連写(フリーズフレーム)手法で、笑いを提供します。
 加えて、各シーンに流れる音楽は、元気の出るソウルミュージック。アメリカのソウルシンガー、ジョー・テックスが、時にボブ・マーリーのレゲエも流れます。重苦しいシーンであっても、明るい活力を呼び起こすスパイスとして、音楽が効果的に使われています。
 地味な映画と言っちゃ、それまでですが、マイケル・ウィンターボトム監督の映画、いいです。
 

オリジナルタイトル:Go Now
監督:マイケル・ウィンターボトム|イギリス|1995年|83分|
脚本:マイケル・ウィンターボトム、ポール・ヘンリー・パウエル、ジミー・マクガヴァーン|
撮影:ダフ・ホブソン|
出演:ニック(ロバート・カーライル)|カレン(ジュリエット・オーブリー)|トニー(ジェームズ・ネスビット)|カレンのルームメイトでトニーと付き合う様になる女性・ポーラ(ソフィー・オコネド)|サミー(バーウィック・ケイラー)|デル(ダレン・タイ)|ジョージ(ショーン・マッケンジー)|ほか

【マイケル・ウィンターボトム監督の映画】
 これまでに記事にした作品から。以下のタイトル名をクリックしてお読みください。

バタフライ・キス」  「ひかりのまち」  「アイ ウォント ユー


5-0_20170512150916ebd.png【 一夜一話の 歩き方 】

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

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