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映画 「ウィスキー」 ウルグアイ映画  監督:フアン・パブロ・レベージャ、パブロ・ストール

上
事業主のハコボと従業員のマルタ、ともに独身だ。


01- 人生を十分味わって来た年配者たち3人の機微を描く映画です。
 
 南米ウルグアイの街中にある、朴訥な事業主と無口な女性従業員3人の、靴下製造の小さな町工場。
 古い製造機械を相手に黙々と、決まりきった単純労働をこなす日々。
 明るい期待は無いが、月々決まった生活の糧は得る。
 出社退社時の判で押したような毎日の挨拶、朝夕の表のシャッターの開閉、機械の騒音と蛍光灯の光、就業中最低限の会話、沈み込む感受性。

 その一方で映画は、真面目な市井の人が時に見せる、作られていない、じんわりとした可笑しさを提供する。
 しかし、これを喜劇と言い切るには、いささか重苦しい。

 心を閉じてしまった年配者たちの、思ってもみなかった恩返し。それは彼らの誠実さが擦り切れていなかった証。
 映画は喜劇を求めず、無口な人の実直さをすなおに描いている。

2-0 靴下工場の事業主ハコボと、長年従業員頭を務める独身女性マルタの二人は、わずかな会話で意志が通じ合う。
 そんなある日、ハコボの母親の墓石建立式に出席するために、ブラジルに住むハコボの弟エルマンがやって来た。(兄弟はユダヤ人)

 この兄弟は仲が悪く長年会っていない。面と向かっても、話す話題もない。
 それは独身のハコボが、介護も含め母親の世話を最後まで面倒みたからだった。実母でありながら弟エルマンはまったく兄任せであった。

 そのエルマンは昔、父親が始めた靴下製造の、稼業の古臭さを嫌がり、家を飛び出してブラジルで新式の靴下工場を始め、商売はうまく成功した。兄弟の造る靴下の品質やデザインの違いは鮮明だ。兄より弟に才覚があったと言える。
 ちなみに、エルマンの家族は幸せそうで、娘のひとりは近く医者になると言う。

 弟の、兄と母に対する不義理。兄の、弟に対する漠然とした嫉妬。
 そんな中で、ハコボは弟に対するメンツか、自分は結婚したと嘘を伝えていた。
 映画はここから始まる。
 ハコボはマルタに、弟が滞在している間だけ(仮の)妻になってくれと頼みこんだ。意外にもマルタはすなおに受け入れた。長年雇ってもらえている日ごろの恩を返すつもりだったのか。
 さっそくマルタはハコボの家に行き、シングルベッドをくっ付けてダブルベッドに見立てたり室内を小ぎれいにして、なんとか夫婦の家に見えるようにした。しかしハコボはこれを嫌がり、ベッドを離し、自身はソファで寝た。

 また、エルマンは不機嫌な兄と話ができないために、マルタに語りかけることが多くなる。マルタはマルタで、日ごろ、男性と話す機会がないためか、いつになく笑顔と饒舌さを世慣れたエルマンに見せる。そしてそんな二人を見て、ハコボはうっすら焼きもちを焼く。

 この三人が一泊旅行をする。
 ホテルのクラブで三人がショウを見ている時、マルタは出し抜けに、紙に包んだ札束をテーブルに乗せてハコボに差し出す。
 不義理を金で埋め合わせしようとするのかという気持ちでそれを一旦押し返したハコボだが、結局紙包みを懐に仕舞い込んだ。
 次に映画はふたつを語る。
 ホテルの夜、マルタは約束の時間に密かにエルマンの部屋へ行きベッドを共にした。
 同じころ、ハコボはホテルのカジノへ行き、紙包みの全額を両替しルーレットに賭けた。

 翌朝、ホテルのチェックアウト前に、ハコボはマルタに、綺麗な包装紙に包んだ「モノ」をプレゼントした。
 そして次の日、これまで一度も遅刻すらしなかったマルタは、ついに工場に現れなかった。

下


オリジナルタイトル:Whisky|
監督:フアン・パブロ・レベージャ、パブロ・ストール|ウルグアイ・アルゼンチン・ドイツ・スペイン| 2004年|94分|
脚本フアン・パブロ・レベージャ、パブロ・ストール、ゴンサロ・デルガド・ガリアーナ|
撮影バルバラ・アルバレス|
出演:ハコボ・コレル(アンドレス・パソス)|マルタ・アクーニャ(ミレージャ・パスクアル)|エルマン・コレル(ホルヘ・ボラーニ)|マーティン(ダニエル・エンドレール)|グラシェラ(アナ・カッツ)|カルロス(アルフォンソ・トール)|

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