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映画「ヴィンセントが教えてくれたこと」 監督:セオドア・メルフィ

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1-0_201709061020036f5.jpg 70歳の頑固ジジイと、12歳の孤独な少年のお話。
 この映画、若い方には少年モノ映画に観えるかも知れないが、年配にはいささかビターな喜劇映画に観えるかも知れない。 

 頑固で人の話を聞かない人嫌いなジジイ、ヴィンセント(ビル・マーレイ)は、二十歳代の頃にはベトナム戦線を経験した世代。
 今は、白人中産階級(中の下)が住む住宅街の中の、小さな一軒家で一人暮らしだ。(子はいないようだ)

 ヴィンセントの楽しみは、安酒とタバコとTVそして、行きつけの店の踊り子・ダカと時々の有料セックス。
 暮らしは決して豊かじゃない、いや苦しい。無職の上に、自宅を抵当に入れての生活資金は底をつき、借りちゃいけない所から金を借りている。
 彼のお金はどこへ消えるのか? それは、今も最愛の妻サンディを預けている上等な介護施設。妻は重度の認知症なのだ。そして、この施設への払いが滞っている。

 そんなある日、ヴィンセントの隣家にマギーとその1人息子オリバーが越してきた。
 マギーは病院のMRI検査技師。夫は弁護士だが、この夫の度重なる浮気が原因で夫婦関係は破たん、今、オリバーの親権をめぐって離婚調停中。子供の奪い合いを避け、マギーはオリバーを連れて越してきた。(子は養子らしい)

 オリバーは12歳にしちゃ小柄。転校生への学内いじめ、母親の長時間勤務やらで、オリバーは一人ぼっち。
 「結果的に」これを救ったのが、人嫌いな隣人ヴィンセント。いいウチの子に育ったひ弱なオリバーは、おやじの塊みたいなジジイに世間を教わることになる。(競馬場、バー、娼婦、ケンカの仕方、悪い言葉など)

 これは、ヴィンセントから見れば、転がり込んで来たベビーシッターという時給稼ぎだった。
 マギーから見ればヴィンセントは、隣家のベビーシッターで便利な反面、ウチの子をワルに染め上げるジジイ。
 オリバーにとっては、初めは近寄りがたい偏屈ジジイだったが、いつの間にか仲良くなり、最後には「St.VINCENT」と褒め称える。

 話は、脳溢血によるヴィンセントの緊急入院・リハビリや、妻のいる介護施設からの料金不払いによる退去勧告や妻の死、オリバーの親権騒動の結末、踊り子のダカの嬉しい出産などのエピソードが絡んで行く。

 オリバーが学内発表で、ヴィンセントを聖人と褒めるシーンは、あまりにもアメリカ映画的感動シーンに仕立て上げられていて白けるが、これは、映画の結末のヴィンセントのうら悲しい境遇を考えると、プラスマイナスのバランスをとっての配慮とみておこう。
オリジナルタイトル:St.VINCENT|
監督・脚本:セオドア・メルフィ|アメリカ|2014年|102分|
撮影:ジョン・リンドレイ
出演:ヴィンセント(ビル・マーレイ)|オリバー(ジェイデン・リーベラー)|その母親マギー(メリッサ・マッカーシー)|ヴィンセントの有料彼女・ダカ(ナオミ・ワッツ)|ヴィンセントの妻サンディ(ドナ・ミッチェル)|ほか

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