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映画「青空娘」 主演:若尾文子  監督:増村保造

下






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 いい映画ですね。
 娯楽映画の喜劇をベースにした、継子(ままこ)いじめと、まだ見ぬ実母を探す話。
 そして、

 この物語の中、主人公・小野有子18歳(若尾文子)は、苦境をはねのけ、青空の下、爽やかに駆け抜けて行きます。


 喜劇的な役回りは、有子が卒業した女子高の恩師で独身の二見先生(菅原謙二)、有子に一目惚れするお坊ちゃん青年の広岡(川崎敬三)、有子の実父小野栄一の大邸宅の女中・八重(ミヤコ蝶々)、そしてちょい役ですが、穏やかな広岡の母親(東山千栄子)や、気っぷのいいキャバレーの女支配人(清川玉枝)。
 これに対し、有子を虐める悪役は、小野の正妻・達子(沢村貞子)にその長女照子。

 そもそも、有子の不幸のもとは、父親の小野栄一(信欣三)だ。
 栄一は今は大手町にある会社の社長だが、若いころ、職場の女性と恋愛し、有子が生まれた。しかし、これは不倫であった。
 それまでに栄一は、上司の役員に押し切られて、その娘・達子(沢村貞子)と結婚していた。だが結婚当初から栄一は、達子に愛を感じることはなかった。

2-0_20171025103255905.png 有子は生まれてすぐに、伊豆の海近い、母親の実家に預けられた。そして母・三村町子(三宅邦子)は姿を消す。
 それから18年後、祖母に育てられ高校を卒業した有子は、父親の招きで、東京にある父親の自宅で暮らすことになっていた。
 その直前、祖母が他界。祖母は死に際に、東京の母は実の母ではないと有子に告げた。
 次女の有子はこれまで、兄姉そして弟の4人のうち、自分だけが伊豆にいることに疑問を持ってはいたが、誰もそのわけを言う者はいなかったし、有子も深くは考えて来なかった。

 そして、高校を卒業した有子は東京へ。
 しかし、大邸宅で有子を待っていたのは正妻・達子の冷たい仕打ちだった。
 つまり、次の女中が見つかるまでは(というレトリックで)、その日から、有子は女中としてこの家に住むことになった。なんと彼女にあてがわれた一室は階段下の納戸であった。(まるでハリー・ポッターのようだ)
 有子を不憫に思うのは、この家の古女中の八重(ミヤコ蝶々)、八重は有子を暖かく、面白おかしく励ます。

 そこへ父親が出張先から帰宅。有子との再会を喜ぶ間もなく、父親は、妻・達子の有子に対する待遇に驚き、冷たく短い夫婦喧嘩。
 そして父親が折れた。それから達子へ愚痴。有子を呼ぶことについて、あんなに何度も、頭を下げて頼んだのに、この様か。
 しかし、有子は歳に似合わず大人の対応であった。つまり、女中として同居することに異を唱えなかった。八重は有子に、女中仕事を教え始め、有子は積極的に女中であろうとした。

3-0_2017102510491822e.jpg そんなある日、さる会社社長の御曹司である広岡(川崎敬三)が、この家に現れる。広岡は、長女の照子が招いた遊び仲間のひとりで、照子は彼を好いていた。(照子も社長令嬢だ)
 しかし、広岡は女中の有子に一目ぼれしてしまう。このことから、照子はそれまで以上に有子を憎むようになるし、母・達子も同様だった。

 そんなこんなで、自宅で有子とゆっくり話せない父親は、彼女を会社に呼んだ。
 有子は父親から、実母とのいきさつを初めて聞き、母の写真を見せられた。初めて見る、私のお母さん。

 女中であろうとした有子だったが、正妻・達子と照子の虐めに耐えかねて、ついに伊豆へ帰ってしまう。
 煮え切らぬ父親と、有子を愛する広岡、そして不憫に思う女中・八重は、有子を案じる以外に手の打ちようはなかった。

 
 ここから話は急展開。
 帰郷した有子に、叔母が言った。つい先日、お前の母親が訪ねてきたと。私のお母さんは生きている。東京にいるらしいことが分かる。
 東京に戻った有子は、恩師・二見先生(菅原謙二)に会う。(有子の卒業後、先生は教師を辞め、東京の広告制作プロダクションのデザイナーになっていたのだ)

5_2017102511323909e.png 教え子恩師の一線を越えて密かに有子を愛する二見先生と、結婚を前提に付き合いたいと公言する広岡の二人は、有子の母親探しに協力する。
 そして、有子は母親の三村町子(三宅邦子)に会えたのであった。

 
 喜劇と悲劇で挟んだ「王子様との恋」サンドイッチをお楽しみください。 
 くわえて、映画が語る物語の展開に沿って、映像が実に的確で分かりやすい表現をしていることに注目してほしい。
 有子を実家に預けた母は悲しみを抱き満州へ、そして現地で結婚。これは、戦前、たぶん昭和14、15年ごろ。中国東北部に満州国という日本の傀儡政権があったころ。母は戦後、帰国し二見先生の勤務先の雑居ビルの掃除婦をしていた。

監督:増村保造|1957年|88分|
原作:源氏鶏太|脚色:白坂依志夫|撮影:高橋通夫|
出演:小野有子(若尾文子)|有子が通った高校の恩師・二見桂吉(菅原謙二)|有子に一目惚れした広岡良輔(川崎敬三)|その母親・広岡静江(東山千栄子)|有子の実父・小野栄一(信欣三)|その正妻・小野達子(沢村貞子)|その長女・小野照子(穂高のり子)|同じくその長男・小野正治(品川隆二)|同じくその次男・小野弘志(岩垂幸彦)|有子の実母・三村町子(三宅邦子)|小野家の女中・八重(ミヤコ蝶々)|小野家に出入りする魚屋・哲五郎(南都雄二)|有子のお婆さん(滝花久子)|有子の友人・信子の叔母でキャバレーの支配人(清川玉枝)|
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有子の部屋は、階段下の納戸
写真
女中であろうとする有子
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ブルジョアは鯛、私らはイカ
     
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有子を諦める二見先生
写真
失恋乾杯に付き合う女支配人
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広岡と始まる新しい人生


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やまなか

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めてはや9年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
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