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映画「影」(1956年) ポーランド  監督:イェジー・カワレロウィッチ

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 ポーランド人民共和国、時は1950年代、共産主義時代初期のころの話。
 (ポーランドの共産主義時代1945~1989年)

 炭坑労働者ミクラは、ビスクピックというボスに頼まれて、密かに男たちを坑内に入れたのであった。
 しかし男たちは、坑道内で爆薬を仕掛けたテロを実行し、多くの犠牲者が出る大事件となった。
 ミクラは驚いた。そして俺が疑われると感じたミクラは、実行犯の侵入を依頼した男を急いで探し、事の次第を問いただしたかった。

 男が乗ったという列車が、まさに駅を発車しようとしていた。
 ミクラは、その列車に飛び乗り、男を探して車内を巡った。男はいた。男はミクラを見て車内通路を逃げる。そして男はついに、走る列車から飛び降りた。だが即死であった。

 その飛び降り現場を若い男女が偶然に目撃し警察へ連絡した。
 男の死体はさっそく警察に運ばれ、医師クニシンによる検死が始まった。

 一方、男が飛び降りたそのあと、ミクラは次の駅で降りたところで、駅員に無賃乗車で捕まった。
 そののち警察はミクラの供述から、この列車飛び降り事故の真相を知ることとなった。

 映画はこの話を語る中で、2つの回想シーンを挿入する。
 その1つは、飛び降り死した男を検死する医師クニシンの語る話。

 回想は第二次世界大戦中の1943年にクニシンが体験した事件。
 当時、ポーランドはナチスドイツの占領下にあった。若きクニシンはレジスタンスとして活動していた。
 ある日、クニシンらレジスタンスは、活動資金を得るため、あるドイツ人高利貸しの店を襲い金を奪おうとしていた。
 そこへ別の男たちが店に来て銃撃戦となった。だが、相手はドイツ軍ではなかった。
 あとで分かった事だが、撃ち合った双方は組織こそ違え、ともにレジスタンスの男たちであった。
 これは明らかに意図的にレジスタンス組織間の争いを誘う誰かの企てであった。
 双方のレジスタンス組織に、店襲撃計画と襲撃時間を勧めたのは一体誰なのだろうか。だが当時、ことは謎に終わった。

 今にしてクニシンは振り返る。銃撃戦のあと、負傷した男を抱きかかえ、通りに出ると、ちょうどビスクピックが荷台付自転車に乗ってそこを通りかかった。クニシンは負傷した男をその荷台に乗せて現場を去ることができたのだ。
 それにしてもビスクピックの出現は偶然だったのか。ちなみに、ビスクピックという男は、クニシンらレジスタンスの活動拠点を提供していた男であった。

2-0_20171209175457979.jpg もう1つの回想は、列車飛び降り事件の捜査を総指揮する老刑事カルボウスキーが、ビスクピックという名を部下から聞いて思い出した話だった。
 それは終戦直後の混乱時期(1946年)に、カルボウスキーが政府軍兵士として体験した襲撃作戦であった。
 当時、「小隊」と呼ばれる武装集団がいて、村々で略奪を繰り返し、村人たちを虐待し恐れられていた。
 しかし、この「小隊」の戦闘能力は優れていて、政府軍はいまだ彼らを鎮圧できずにいた。
 そこでカルボウスキーら志願兵は、その身分を偽り、武装集団の本陣に入り込み、隠し持った手りゅう弾で首領ら幹部を亡き者にした。
 この襲撃作戦で判明したことは、「小隊」が政府軍兵士の中に、スパイたちを潜り込ませていたことだった。これを画策した人物は、ビスクピックという名の男だったと、当時、カルボウスキーは聞かされた、ということであった。

 以上、映画は、3つの出来事に謎の男を登場させる。
 これが「影」である。それぞれのビスクピックという名の男は同一人物なのか。

 映画は、謎の「影」を登場させたスリラー仕立ての作品である。
 だが、なぜ、「影」を悪者とするのだろうか。
 「影」とは、たぶん、1939年以来、ソ連に刃向かい続けたポーランド亡命政府なのだろう。

 映画のテーマは学ぶべき重要なことだが、映画の作りは、総じて巧くない。傑作とはとても言い難い。 

オリジナルタイトル:CIEN|The Shadow|
監督:イェジー・カワレロウィッチ|ポーランド|1956年|98分|
脚本:アレクサンドル・シチボル・リルスキ|撮影:イェジー・リップマン|
出演:医師クニシン(ズィグムント・ケンストウィッチ)|ビスクピック(イグナチー・マホフスキー)|ミクラ(タデウシュ・ユラシュ)|カルボウスキー(アドルフ・フロニッキー)|ヤシチカ(エミール・カレウィッチ)|ほか

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