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映画「強虫女と弱虫男」 主演:乙羽信子  監督:新藤兼人

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 強い女が主人公の喜劇映画。
 女のバイタリティー(生活力)がスクリーンから溢れ出る迫力、力作です。

 時は昭和43年、映画の舞台となるのは京都祇園と、もうひとつは九州の筑豊。
 母フミ子(乙羽信子)と長女キミ子(山岸映子)は、ネグリジェ・キャバレー「平安母艦」のホステス。
 祇園の四条通から、(たぶん)「花見小路通上ル」あたりの夜の街で、母娘同じ店で働いている。

0 母フミ子と長女キミ子は、大勢いる店のホステス達を尻目に、客への積極的営業で店一番の成績。「はい、おビールいただきましょうネ」
 さらに母娘は、客たちの中から金づるになる「カモ」を探していた。
 母フミ子が見つけ出したのが西陣の織元のじいさん(若宮忠三郎)。店に内緒で小遣いをくれる。
 もう一人は長女キミ子についた客で、母フミ子は“本命のカモはこの男だ!”と言って策略を練って、娘がものにした男が権兵衛(観世栄夫)。権兵衛は「寿司食おう」といってキミ子を連れ出し、織元のじいさんより多額の小遣いをくれる。
 権兵衛は、京の街の外れに畑を持つ大地主(豪農)の一人息子。30歳代半ばの独身でバツ2。

 母フミ子には、長女キミ子の下に長男次女がいて、年上の夫・善造(殿山泰司)がいる。
 善造は筑豊の炭鉱の鉱夫で、これまで一家の生計を担ってきたが、炭鉱が閉鎖。その後は、年老いた善造の転職はままならず、一家5人は生活保護を受ける日々だった。
 善造一家らが住んでいた炭鉱の木造社宅は、閉山後、地元の代議士が買い上げ、この男が大家となる。
 善造ら家賃滞納の住人たちは、大家から嫌がらせを受けている。家の隣にわざと養鶏場を作り、鶏の騒音や悪臭で住人を追い出そうとする。
 善造の家では、生活保護の金で密かに買った白黒テレビや洗濯機があって、これについて大家はあれこれ言う。誰かの密告か。
 さらには、京都へ出稼ぎに行ったフミ子らの収入があるだろと、生活保護受給停止をちらつかせ善造を脅した。これに対し夫婦は形式上、離婚手続きをとって対抗する。
 それでも社宅住人達は立ち退かないので、大家は強硬手段に出た。

 さて、京都。権兵衛の屋敷。(歴史ある大屋敷)
 権兵衛の母(毛利菊枝)は権兵衛を叱っている。家の金を勝手に使って怒られている。
 しかもキャバレーの女・キミ子と結婚したいと言う権兵衛に、母は呆れてなすすべがない。
 最初の嫁は西陣のお嬢さんで家事ができなくて追い出され、二人目は姑に虐められて出て行ったらしい。そして親離れできない一人息子・権兵衛。

 一方、キミ子は、母フミ子の策略に従って、権兵衛に誘われるままにホテルで処女を与えていた。
 このことでキミ子は売春の罪で捕まった。(警察が知ったのは、権兵衛の母の指図で権兵衛の友人が動いた結果だった)
 キミ子もしたたかな女。(映画では言わないが、キミ子も家族を養う意気込みが凄い)
 権兵衛の母はフミ子を呼び出し直談判、10万円を差し出して、手を引いてくれと下手に出た。フミ子は金は受け取ったが、権兵衛の母が用意した証文にはサインしなかった。「私は字が書けません」と。

 さてさてキミ子に惚れ、どうしても結婚したい権兵衛は、フミ子キミ子が住む一間の貸間を訪ねる。
 だが母親フミ子はこの求婚の願い出を蹴った。
 蹴られて気持ちの行き場を失った権兵衛は、かっとなって思わず手元にあった果物ナイフでフミ子の腹を刺した。
 示談で済ませたい権兵衛の母であったが、フミ子はがんとして裁判を選んだ。そして勝つ。
 しかし、その後、家にやくざが押し入り、フミ子は殴られた。(この男が本作一番の強い男) 

 そののちフミ子は娘キミ子を連れて、筑豊の家に帰ってきた。
 帰ってみれば、夫・善造が大家の娘を妊娠させたという騒ぎ。(娘は飛び切り美人だが重度の知的障害がある)
 いや、善造だけじゃなく、社宅の男二人も交わったと言う。
 これをもって、大家は住人を追い出せると踏んでいた。
 だが実は濡れ衣、フミ子は大家を前にして、この一難をなんなくやり過ごす。(実は大家が3人を脅迫しての嘘の自白であった)

 それからまた日が過ぎて、フミ子と娘キミ子が列車に乗っている。
 駅弁を食べながら、「大阪にしようか、でもやっぱり京都よね」
 「あんた、権兵衛に惚れてたんじゃない?」
 ふたりの屈託ない笑い。(終)
 
 昭和40年代の「空気」を体現するネグリジェ・キャバレー「平安母艦」の店内シーンが圧巻。(経験ないが)
 くわえて、キャバレー店の海軍軍服姿の主任(戸浦六宏)が漫画チックさを添えている。
 総じて、新藤兼人作品のうちで好きな映画です。
 エネルギッシュないい映画なので、どこかの映画専門チャンネルで放映して欲しい。
監督・脚本:新藤兼人|1968年|107分|
撮影:黒田清巳
出演:フミ子(乙羽信子)|キミ子(山岸映子)|権兵衛(観世栄夫)|平安母艦の主任(戸浦六宏)|善造(殿山泰司)|フミ子の常連客(若宮忠三郎)|権兵衛の母親(毛利菊枝)|権兵衛の友人・川原(草野大悟)|炭鉱社宅住人・ステテコ(山村弘三)|炭鉱社宅住人・フンドシ(宮田勝)|権兵衛側の弁護士・熊谷(浜田寅彦)|フミ子の長男(中学生)の担任の先生・矢島教師(小川吉信)|キャバレーの歌手(佳川ヨコ)|大家の娘?竜(中村良子)|山野(武周鴨)|オミツ(川口敦子)|

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めてはや9年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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