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映画「ふりむいた花嫁」 主演 : 倍賞千恵子, 淡島千景, 伴淳三郎  監督 : 番匠義彰

上2



 昭和36年(1961年)のカラー娯楽作品、喜劇です。
 映画が語るのは、江戸時代から続く老舗「隅田」という、どじょう料理店を営む一家の話です。
 しっかりした脚本・演出を味わいつつ、さりげなく巧い演技というものを知ってほしい。

1-1_20180212193513891.jpg コミカルな役回りは、伴淳三郎、桂小金治、千之赫子、大泉滉らが主に担い、ラブストーリーは倍賞千恵子と山本豊三、淡島千景と伴淳三郎が担います。

 よってこの映画、伴淳三郎が主役の作品と言っていい。
 伴淳は、憧れのスター俳優といった風な看板は無いがしかし、名脇役というジャンルには収まらない存在感ある巧い俳優だ。
 はしゃがず抑えた演技と、笑いを誘うちょっとした仕草のセンスに、あらためて注目したい。
 これにあわせてか、桂小金治も比較的抑えて演技しているところが好ましい。また千之赫子、大泉滉はともに、伴淳・小金治とは違う角度から笑いを誘う。
 淡島千景が色っぽいが、淡島に対してピチピチ20歳の倍賞千恵子が、この映画の売りなんだろうが、これら俳優に森繁久彌とフランキー堺が加わると、どこの何の映画か分からなくなってしまうな、などと詰まらぬ事を考えた。

 さて、お話です。
 老舗どじょう料理店「隅田」のあるじ・亀太郎(伴淳三郎)には、新一(小坂一也)、その妹の春江(倍賞千恵子)と二人の子はいるが、妻は亡くしている。
 店は有名店で、観光バスのコースにもなっている。由造(桂小金治)や光子(千之赫子)、ベテランのおふく(高橋とよ)といった店の者は毎日大忙しの大繁盛。
 春江も店を手伝い、父にかわって帳場も接客もこなしている。生まれた時から、どじょう屋の中で育った春江はこの店この商売が大好き。

 一方、長男・新一は家の商売にまったく関心がない。大学時代から演劇の道を目指し、卒業後は就職もせず民放テレビドラマのエキストラ(端役)をしている。
 だから、新一に店を継いでほしいと思う父と、長男との口論はいつものこと。中に入るのは春江だ。
 そしてある日、次期連続ドラマで、ついに新一に主役級の役がまわってきた。
 そんなことで父は、娘・春江に婿を迎えることを考え始めた。さて由緒あるどじょう屋に最適な婿とは・・。

 次に男と女の話。
 亀太郎が組合の会合に行くと言っていつも行く先は、実は蓮子(淡島千景)がマダムのバー。
 ここでは亀太郎はある会社の社長さんということになっていて、本当の社長さんで福原という男(三井弘次)と亀太郎とが、店に来てはマダムの取り合いになっている。

 父がそうなら娘の春江は、「隅田」に来た中島という近所に住む男(山本豊三)と親しくなって行く。がしかし、父親は以前から付き合いのある、若きどじょう研究家の南小路邦麿(大泉滉)を勧めるのであった。

 父娘がそうならば、調理場を任されている由造(桂小金治)は、店に雇われの光子(千之赫子)と前からいい仲。だが由造は、あるじ亀太郎から「この店はお前が頼り」と言われ、それを盗み聞きした光子は、あるじは由造と春江さんを一緒にさせようとしていると早合点し悶々とする次第。(亀太郎が調理場の頭から婿養子になったのを知ってのこと) 
 ところが由造も「可愛い春江さんと一緒になってこの店のあるじになれるのかも・・」と思う期待の気持ちも隠せない。
 というわけで、何やらそれぞれにひと悶着ありそうな。

1-2_201802121937276ab.jpg ここで話を混ぜっ返す役が、春江の恋人となった中島君。
 その日、中島は「隅田」の店の奥、春江の家の居間にいた。つまり春江さんと結婚します宣言をしに来たのだが、結果は散々なことになってしまう。
 亀太郎はどじょう研究家の男が念頭にあり、サラリーマンの中島なんて問題外、そのうえ(誰にも言えないが)一番頭に来たのは、なぜか、蓮子を狙うあの福原が社長の会社・福原商事に、中島が勤めていることであった。
 春江はとうとう家出する。兄の新一が家を飛び出て住んでいる下宿に、かくまってもらった。

 さらには、混ぜっ返された話をまとめに入ったのは、バーのマダム蓮子(淡島千景)でした。
 新一の演劇仲間にキリ子(芳村真理)という俳優の卵がいて、この子が偶然にも蓮子の姪だった。そんなことが切っ掛けで、蓮子は新一から、春江と中島の仲を裂こうとするのが、常連客の亀太郎だと知ったわけ。
 それからのその日、今度は蓮子が春江の家の居間にいる。
 亀太郎はドキリとした。あの時のあの事を思い出したのだ。
 それは蓮子の店で、亀太郎は蓮子から真面目な顔で「あなたがお客の中で一番信頼できる方、私のこれからのことを相談したい方」と聞いた忘れられぬ一言。だから亀太郎はドキリとしたのち、ニヤリとした。

 しかし、蓮子の話は春江と中島の結婚を認めなさいという申し出であった。さらには「私が母親役として式に出たい」とまで言われて、亀太郎はうんと言う以外に言うことはなかった。「こりゃ、蓮子が「隅田」の女将になるかも・・」

 式は無事済んだが、亀太郎の隣に座る蓮子、その仲睦まじい二人の様子に妬き通しの福原社長であった。
 それから、亀太郎と蓮子はご苦労様を言い、そのあと亀太郎は意を決して言った。「俺の嫁になってくれないか」
 「ごめんなさい。夫に死に別れて5年、亡くした夫が忘れられない女なんです」

 しょんぼり店に帰って来た亀太郎は由造(桂小金治)に「お冷だ」と言う。「水じゃない」「へい、かしこまりました、特級冷や」(終わり)

 あれっ、「隅田」の跡取りはどうなるんだ?って話は残されたままで終わります。老舗の家の結婚は難しいようですね。
 ちなみに聞いた話ですが、この「隅田」のモデルになったであろう浅草の名店のお嬢さんが、これまた江戸時代からの老舗和菓子屋に嫁いだとか。
 最後に1961年の映画をちょっと。(ひっくり返して見ても1961、という腕時計のTVコマーシャルがあった年)

 東京浅草を舞台にした話の「ふりむいた花嫁」の製作年、1961年(昭和36年)を軸に、日本を見渡してみると・・
 東京の郊外、私鉄沿線では「喜劇 駅前団地」で、とんだ騒動がありました。(監督:久松静児)
 もうひとつの郊外、新しく宅地開発された丘陵地では、社内結婚した若夫婦が大家の二階を間借りしています。「二階の他人」(監督:山田洋次)
 銀座四丁目交差点では、スリの女と若い男がすれ違っていました。「セクシー地帯」(監督:石井輝男)
 「隅田」がある浅草の夜の街の影には、身寄りのない少年もいるんです。「不良少年」(監督:羽仁進)
 横須賀、軍港の街じゃ、やくざの抗争が報じられています。「豚と軍艦」(監督:今村昌平)
 東京大阪間を走る特急列車の食堂車では、コックとウェイトレスとの恋が・・・。「特急にっぽん」(監督:川島雄三)
 その大阪駅の構内では詐欺を商売にする男たちに気を付けましょう。「猫と鰹節 ある詐話師の物語」(監督:堀川弘通)
 そして京都伏見では、老舗の造り酒屋の一家で、やはり、あれやこれやがありました。「小早川家の秋」(監督:小津安二郎)
 それぞれ映画のタイトル名をクリックして、記事をお読みください。
監督:番匠義彰|1961年|89分|
脚本:笠原良三|撮影:生方敏夫|
出演:伴淳三郎(三田亀太郎)|小坂一也(新一)|倍賞千恵子(春江)|三井弘次(福原康之助)|淡島千景(マダム蓮子)|山本豊三(中島和男)|大泉滉(南小路邦麿)|芳村真理(キリ子)|高橋とよ(女中頭おふく)|千之赫子(女中光子)|下村朱実(女中トミ子)|桂小金治(職人由造)|中村是好(鳶職寅吉)|ほか

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めてはや9年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
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