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映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」  監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

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 これはなかなかいい映画、見ごたえもある。(ビターな喜劇です) 
 スーパーヒーローの賞味期限が過ぎ、ハリウッドから見放された映画俳優リーガンが、過去の栄光にさいなまれながらも、演劇の道で再起しようする話。

1-0_20180224204517a23.jpg 主人公リーガンの心模様がよく描かれています。
 そしてカメラが実に元気がよい。
 楽屋裏の狭い通路を行く俳優を、揺れずブレずに追いかけるシーンが幾度もある。
 またシーン遷移が途切れなく滑らか、この工夫が楽しい。
 さらには、VFX(特撮)でリーガンの超能力(?)が表現される。

 では、お話です。
 リーガン(マイケル・キートン)は、かつて、スーパーヒーロー映画「バードマン」シリーズで絶大な人気を得た映画俳優だったが、乗りに乗った波は消え去り、今は落ち目。
 落ち込むリーガンの耳には、何かとリーガンを批判するバードマンのささやき(幻聴)が、うるさく聞こえる始末。

 しかしリーガンは負けてはいない、再起を目指す。
 レイモンド・カーヴァーの小説を舞台化してブロードウェイで上演しようと準備は進む。
 自ら脚色・演出・主演を手がけ、不足の資金は自らねん出し、プロデューサーには、リーガンの弁護士で友人のジェイクがあたる。
 現場とプロデューサー間によくあることだが、懸命だが気分屋で感情爆発のリーガンと、冷静沈着なジェイク両者の口論は絶えない。

 この2人を取り巻く登場人物。(この映画は、ブロードウェイの劇場舞台裏に集う人々の群像劇でもあります)
 リーガンの娘サム(エマ・ストーン)は父親の付き人、薬物依存症で最近まで入院していた。父娘のコミュニケーションはうまくいっていない。
 リーガンの芝居に出演する女優レズリー(ナオミ・ワッツ)は、今回ブロードウェイ初出演で胸いっぱい。
 同じく出演女優ローラ(アンドレア・ライズボロー)は、リーガンの愛人。妊娠したと言われるが・・。
 楽屋を訪れるシルヴィア(エイミー・ライアン)は、リーガンの元妻でサムの母親。2人が会うと、良かった昔を思い優しく語らうが、次の瞬間には口喧嘩しシルヴィアは去るといった塩梅。

2-0_201802242047462d9.jpg さて、リーガンは相手役に最適の男優が見つからず壁にぶち当たっていた。
 そこへ舞い込んだうまい話。
 それは、ブロードウェイ初出演のレズリーが「私の恋人マイクはどう?」という提案だった。
 その恋人とは、なんとブロードウェイ舞台俳優として著名なマイク(エドワード・ノートン)だった。
 おまけにレズリーは台本の読み合わせを、自宅でマイク相手にやっていたので、マイクはすでにセリフを覚えていた。もちろんリーガンは喜んでマイクを起用した。

 プレビュー公演が始まる。(本公演開幕前に、2〜3週間の期間を設けておこなうリハーサル的な試験公演)
 ところがこのマイク、芝居は巧いが、あまりにも自由奔放な性格。
 リーガンに対し言いたい放題を言う。リーガンは痛いところを突かれ爆発する毎日、ついに取っ組み合いのけんかとなる。
 またマイクは、舞台の小道具であるジンを本物のジンにすり替え、公演中の舞台上で飲む。これに腹を立てたリーガンは、その日の公演を途中で終わらせた。
 さらにマイクは、リーガンの娘サムに言い寄り、いつしかサムもその気になる。(口も巧い)

 そしてもう一人、リーガンにとって大変手ごわい相手が、ニューヨーク・タイムズの辛辣な演劇批評家、タビサ・ディッキンソンという女性。
 プレビュー公演も観ず、ハナからリーガンを酷評するつもりだ。元・娯楽映画俳優ごときが、ブロードウェイの舞台に立つこと自体が許せないらしい。

 ともあれ、プレビュー公演は続く。
 そんなある日、公演中、下手(しもて、舞台左脇)に下がったリーガンは衣装を着替え、次の出番を待つ間に、ちょっとタバコが吸いたくなった。
 楽屋口のドアを開けタバコを吸っていると、ドアが急に締まり、衣装の裾がドアに挟まってしまう。裾を引くが抜けない。魔が差した。時間は無い。
3-0_2018022420542668d.jpg 挟まった衣装を脱ぎ捨てると、パンツ一枚の姿。仕方ない。この格好で劇場表玄関へと向かった。そこはニューヨークの街の中。人々は「あっ、バードマン!」と口々に叫ぶ。
 なんとか出番に間に合ったリーガンは客席後方から、パンツ一丁で登場する。
 芝居が終わり、今日はいつになく熱演だったと言われるが・・。
 翌朝の新聞はこれを記事にした。それよりも、街の通行人たちによる投稿動画の拡散でネットは大騒ぎ。
 
 こんなあり様のなか、さすがのリーガンも鬱(うつ)の一歩手前になる。  
 頭の中、真っ白状態のリーガンは、現実から解き放たれた浮遊感を感じるようになった。NYの空中をバードマンになって飛んでいるのだ。
 リーガンを批判し続けてきた、心の中のあのバードマンがこの時、リーガンに大きな勇気を与えているのだった。

 とにかく何回かのプレビュー公演は劇場を満席にできた。
 そして本公演が始まる。パンツ一枚の動画のおかげで、チケット前売りは完売。プレミアムまでつく。
 その初日、ついにあの辛辣な演劇批評家も客席に現れる。

4-0_20180224205647bf1.jpg しかし、この日、リーガンはある重大な決意を持って舞台に立った。(その決意とは、観てのお楽しみ)
 その翌朝、辛辣批評家による絶賛の記事がニューヨーク・タイムズに掲載されたのだが・・・。
 ちなみにラストシーンはさらに、観てのお楽しみ。

オリジナルタイトル:BIRDMAN OR (THE UNEXPECTED VIRTUE OF IGNORANCE)
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ|アメリカ|2014年|120分|
脚本:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 、 ニコラス・ヒアコボーネ 、 アレクサンダー・ディネラリス・Jr. 、 アルマンド・ボー|
撮影監督:エマニュエル・ルベツキ|
出演:リーガン・トムソン(マイケル・キートン)|ジェイク(ザック・ガリフィアナキス)|マイク・シャイナー(エドワード・ノートン)|ローラ(アンドレア・ライズボロー)|シルヴィア(エイミー・ライアン)|サム(エマ・ストーン)|レズリー(ナオミ・ワッツ)|ほか

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めてはや9年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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