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映画「宇宙人 東京に現わる」  監督:島耕二

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 SF娯楽映画です。
 「宇宙人 東京に現わる」というチョット怖いタイトルですが、宇宙人地球侵略といった好戦的な話じゃない。

 我々よりずっと、科学的に文化的に進化した太陽系外の宇宙人・パイラ星人は、実は地球を案じてやって来たのです。
 しかし円盤がいきなり飛来し、地球は大騒ぎ。
 そんなわけで真意を伝えたいパイラ星人は、人間の姿に変身して東京の日本人に友好的にコンタクトをとろうとするのですが。
 
 それで分かったこと。
 パイラ星人が言うに「地球を観察していると、最近やたら地球のあちこちで核実験のキノコ雲が見られる。我々もかつて核を持っていたが廃絶した。地球人の未来を案じる我々は、地球人も核廃絶の道を選ぶように提言しに来た」と。(まるでノーベル平和賞を授賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の人のよう)
 「だから地球人のなかでも、広島長崎で悲惨な経験をした日本人と最初にコンタクトをとるのが一番だと考え、こうして話している」と。

1-0_20180308144029517.png 時を置いて次に分かったこと。
 地球人には発見できないほどにまだ遠くにいる天体R(彗星?)だが、いま刻々と地球に向かって高速で接近している、らしい。
 これは一大事!核保有各国はそれぞれに、そのすべての核爆弾を天体Rへ向けて発射し、天体破壊ないしはコース変更を試みたのですが、残念ながら天体Rに何の変化も起きませんでした。
 その間も天体Rは地球にどんどん接近し、今や肉眼でも見えだした。

 そこで、こりゃあかんと思ったパイラ星人は、世界でただ一人、ウリュウムという元素を発見し密かに研究する松田博士(山形勲)とコンタクトをとった。(パイラ星人も知らない発見だった)
 ウリュウムで作る爆弾は、原子爆弾や水素爆弾より破壊力があるらしい。
 パイラ星人は松田博士から研究成果を提供してもらい、地球近くの宇宙空間に浮かぶ母艦内で急ぎ爆弾を製造した。そして母艦からRへ向けて発射。Rは期待通り破壊された。
 かくしてパイラ星人は地球の危機を救ったのであった。(終わり)
 以上が話の核ですが、本作はSF娯楽映画ですので、パイラ星人という宇宙人らしさの強調、(SFによくある)科学者数人の懸命な働き、取り巻きの若い男女、無垢な子供たち、世間一般の驚き恐怖を中心に物語ります。

 話の顛末は至って単純なのですが、映画のあちこちに挿入される野外シーンが効果的で、映画を生き生きしたものにしています。センスの良さを感じます。

 本作製作年の1956年は、米ソともにまだ人工衛星を実現していませんので、実際はRへ確実に、核爆弾をロケット発射できなかったのでしょう。(たぶん)
 ちなみに1964年製作のスタンリー・キューブリックの映画「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」では、核爆弾はミサイルじゃなくて、まだ爆撃機B-52から「投下」していますね。(下線部から映画記事をご覧いただけます)

 また本作製作年の1956年とは、太平洋戦争(1945年)から11年経ったが、サンフランシスコ講和条約発効(1952年)からまだ4年しか経っていない。つまり国際社会の舞台に日本が復帰して間もないころ。まだまだ信用度は低かったろう。
 だからでしょうか、R天体破壊について、日本は海外各国に対し音頭をろうとするのですが、その外交姿勢は腰が引けていてドメスティック。内向的なのを感じました。
 ついでに言えば、日本の民間一般人が、観光目的で海外旅行が自由に出来るようになるのは、まだ8年も先。(1964年)
 そう考えると、観客は、東京に来て日本人に化けたパイラ星人の星よりも、外国のほうが遠い国と思って観ていたかもしれません。

 お話の結末のその後を考えると、Rに向けてすべての保有核爆弾を使いつくした核保有国は、また新たに核を製造するのでしょうね。
 一方、松田博士が発見したウリュウムについて、どこかの国がその研究成果を盗もうとするのでしょうか。(研究資料はR天体破壊後、破棄したということでしたが博士の頭の中にはあるわけです)
下2監督:島耕二|1956年|87分|
原案:中島源太郎|脚本:小国英雄|色彩指導:岡本太郎|美術:間野重雄|特殊技術:的場徹 、築地米三郎 、田中捨一|大映カラー使用作品
出演:磯辺直太郎(南部彰三)|磯辺徳子(目黒幸子)|磯辺徹(川崎敬三)|小村芳雄(見明凡太朗)|小村多恵子(永井ミエ子)|松田英輔(山形勲)|松田清子(平井岐代子)|天文台通信係(フランク・熊谷)|高島博士(河原侃二)|青空ひかり / 天野銀子(パイラ人)(苅田とよみ)|パイラ人第二号(八木沢敏)|パイラ人第三号(夏木章)|パイラ人第四号(津田駿二)|黒メガネの男(斎藤紫香)|ほか

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