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一夜一話の “今日はジャズかな?”  ヴァイタル・インフォメーション

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 今日は、ヴァイタル・インフォメーションという4人組のアルバム、「Where We Come From」。
 このバンドは、CD販売の区分で言えば、ジャズのうちのフュージョンのジャンルになる。

 たしかに、音量控えめにぼんやり聴き流せば、普通のフュージョンかもしれない。
 でもね、ボリューム上げてサウンドの一皮をむくと、単なるフュージョンを越える素晴らしさが聴こえて来てくる。 下記のリンク先から試聴できます。※1

 メンバーの構成は、ドラム、ベース、ギター、キーボード。
 最初に注目すべきは、リーダーでドラムのSteve Smithが叩き出すサウンド。乾いた音で疾走感がある。凄くいい!
 このノリあるリズムは、Jeff Andrewsのベースと相まって、まさにニューオーリンズ・ファンクの「ミーターズ」※2のサウンドを感じさせる。これをルーツにしているね。
 くわえて、5、15曲目ではニューオリンズのセカンドラインのドラミングが登場する。

 かたや、ギターのFrank Gambaleは、バンドメンバーの中で一番ジャズ寄りのミュージシャン。
 “いかにも”のフュージョンの雰囲気は、こいつの和音やリード時のメロディラインが生み出している。
 とは言え、アルバムのあちこちで独創的なフレーズも聴け、彼ならではのいい味を出している。
 10曲目のサーフィンミュージック的?な曲では、アンティークな演奏をする。

 次は、先に言ったベースのJeff Andrews。
 ソウルやR&B系のベースラインを主に、ウッドベースに持ち替えての4ビートも難なくこなし、2、14曲目ではエレキベースのハイポジションでリードもとる。それはちょっとジャコ・パストリアス っぽい音色かな。

 さて残るは4人目、キーボードのTom Coster。こいつがとても面白い。
 楽器は、ハモンドオルガンのB-3、フェンダーローズと、アコーディオン。
 B-3のプレイは、聴いてすぐ思い出すのは、60年代のアメリカでよくあったハモンドオルガン演奏による楽しいインストルメンタル・ミュージックや、ソウル系のインストルメンタル・バンド「Booker T. & the M.G.'s」※3のオルガンだと分かる。親しみやすい明るいメロディを奏でる。(4、5曲目)
 もちろん、フュージョン的演奏やジミー・スミス風のジャズオルガンもやる。
 さらにはTom Costerさん、アコーディオンで「ザディコ」※4という米国のクレオール系黒人民俗音楽風な演奏をする。(5曲目)

 アルバム全体について追加して言うと、彼らは4ビートジャズもやるし(2、12、14曲目)、(3、6、9、13曲目)ではノイジーな音楽もやっている。
 そんなわけで、結局のところ「こいつら、何者?」と思うだろう。
 そもそもフュージョン(Fusion)のフューズは融合ということなので、ヴァイタル・インフォメーションというバンドは、幅広い音楽への関心と消化を基に、多要素が網の目のように入り込んだ、「シモフリ状態サウンド」を作りだした「フュージョン・バンド」ってことになる。(そうか)
※1 このアルバムの試聴は、こちらアマゾン。
   https://www.amazon.co.jp/Where-We-Come-Vital-Information/dp/B000009NSK

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※2 ミーターズとはニューオーリンズ・ファンクの産みの親のR&Bバンド。
   ミーターズのサウンドが聴ける代表的なアルバム(LP持ってます)は、1stアルバム「The Meters」(1969年)
   下記リンク先で試聴できます。
   https://www.amazon.it/Meters/dp/B00005KB3W
※3 Booker T. & the M.G.'sとは、ソウルのレーベルであるスタックス・レコードの専属スタジオ・バンドでした。
   聴ける代表的なアルバムは、彼らのデビューアルバム「Green Onions」(1962年)
   下記リンク先で試聴できます。
   https://www.amazon.co.jp/Green-Onions-12-inch-Analog/dp/B000066AVF
※4 ザディコとは、アメリカのクレオール系黒人達が演奏するアコーディオン音楽。詳しくは下記参照。
   https://ja.wikipedia.org/wiki/ザディコ
「 Where We Come From 」 (1998)

Drums – Steve Smith|Bass – Jeff Andrews|Guitar – Frank Gambale|Keyboards – Tom Coster|
Producer – Vital Information

1 Dr. Demento 3:10|2 Moby Dick 8:20|3 Craniac Trilogy - Part 1: Transport 0:53|4 Listen Up! 4:53|5 Swamp Stomp 6:00|6 Craniac Trilogy - Part 2: The Extraction 1:10|7 First Thing This Morning 5:12|8 Take Eight 6:10|9 Craniac Trilogy - Part 3: The Implant 2:17|10 Bob 3:59|11 Cranial Joy: Completion 1:06|12 Happy House 2:30|13 Cranial Meltdown: Dementia 1:28|14 Blow Fish Blues 5:40|15 Sitting Ducks 5:20|16 Once In A Lifetime 10:43|17 008 7:11|






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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めてはや9年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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